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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】マイクロカプセルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/14 20060101AFI20240617BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20240617BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20240617BHJP
   A61K 8/11 20060101ALI20240617BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240617BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20240617BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240617BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240617BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20240617BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240617BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240617BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240617BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240617BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B01J13/14
C11B9/00 Z
C11D3/50
A61K8/11
A61K8/06
A61K8/64
A61K8/92
A61Q11/00
A61Q15/00
A61Q5/00
A61Q19/00
A61Q19/10
A61Q5/12
A61Q5/02
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020545499
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019066215
(87)【国際公開番号】W WO2019243426
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】62/687,876
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18184284.0
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18179125.2
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヒューダ ジェリ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ハンセン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス インペリッツェリ
(72)【発明者】
【氏名】アマル エラバディ
(72)【発明者】
【氏名】マルレーヌ ジャクモン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ エルニ
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-536811(JP,A)
【文献】特表2008-538916(JP,A)
【文献】特開2000-079337(JP,A)
【文献】特表2010-515455(JP,A)
【文献】特表2009-528161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/14
C11D 3/50
A61K 8/11
A23L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア・シェル型マイクロカプセルのスラリーを製造する方法であって、前記方法は、以下のステップ:
(i)少なくとも1つのタンパク質を含有する水溶液に、塩、および任意で架橋剤を添加混合して、水相を形成するステップ、ここで、ステップ(i)の水溶液に添加される塩を、CaCl 、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、NaCl、KCl、LiCl、Ca(NO 、MgCl 、CaBr 、CaI 、NaBr、NaI、NaNO 、KBr、KI、KNO 、LiBr、LiI、MgBr 、およびこれらの混合物からなる群から選択し、
(ii)前記水相中に疎水性材料を含有する油相を分散させて、水中油型エマルションを形成するステップ、
(iii)架橋剤がステップ(i)で添加されていなかった場合には、前記水中油型エマルションに架橋剤を添加するステップ、
(iv)前記タンパク質がスラリーの形でコア・シェル型マイクロカプセルを形成する架橋を誘発するために十分な条件を適用するステップ
を含む、コア・シェル型マイクロカプセルのスラリーを製造する方法。
【請求項2】
以下のステップ
(i)少なくとも1つのタンパク質を含有する水溶液に、塩を添加混合して、水相を形成するステップ、
(ii)前記水相中に疎水性材料を含有する油相を分散させて、水中油型エマルションを形成するステップ、
(iii)前記水中油型エマルションに架橋剤を添加するステップ、
(iv)前記タンパク質がバイオポリマーシェルを形成する架橋を誘発するために十分な条件を適用するステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンパク質を、マイクロカプセルスラリーの全質量を基準に、0.5~10%に含まれる量で使用する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記タンパク質を、ミルクプロテイン、カゼイン酸ナトリウム、カゼイン酸カルシウム、カゼイン、ホエイプロテイン、タンパク加水分解物、ゼラチン、グルテン、ピープロテイン、ソイプロテイン、シルクプロテインおよびこれらの混合物からなる群から選択する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記タンパク質が、カゼイン酸ナトリウムとホエイプロテインとの混合物である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(i)の水溶液に添加される塩を、CaCl、NaCl、KCl、LiCl、Ca(NO、MgClおよびこれらの混合物からなる群から選択する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記塩と前記タンパク質との質量比が、0.01:1~1:1に含まれる、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記架橋剤が、酵素である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記油相がさらに、多官能価モノマーを含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(iv)の後に、さらに以下の
(v)任意で、マイクロカプセルシェル上に、少なくとも1つの鉱物質前駆体を吸着させるステップ、
(vi)マイクロカプセルシェル上での鉱物質層の成長を誘発するために適切な条件を適用するステップ
からなるステップを含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの鉱物質前駆体溶液中でコア・シェル型マイクロカプセルをインキュベートすることによりマイクロカプセルシェル上に前記鉱物質前駆体を吸着させ、前記鉱物質前駆体溶液は、硫酸鉄(II)溶液、塩化鉄(III)溶液、カルシウムベースの塩溶液、リン酸塩ベースの塩溶液、炭酸塩ベースの塩溶液、チタンベースの前駆体溶液、亜鉛ベースの前駆体溶液およびこれらの混合物の群から選択する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(v)で得られたマイクロカプセルをさらに、前記鉱物質前駆体とは反対の電荷を有する第二の鉱物質前駆体の溶液中で、またはステップ(v)の前記鉱物質前駆体の鉱質化を誘発するための溶液中でインキュベーションする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
- オイルベースのコア、
- 任意で、重合された多官能価モノマーから構成された内側のシェル、
- タンパク質を含有し、少なくとも1つのタンパク質は架橋されており、かつ錯塩を形成しているバイオポリマーシェルおよび
- 任意で、少なくとも1つの外側の鉱物質層
から構成されている少なくとも1つのマイクロカプセルを含有するコア・シェル型マイクロカプセルのスラリー。
【請求項14】
前記タンパク質が、カゼイン酸ナトリウムを含む、請求項13に記載のコア・シェル型マイクロカプセルのスラリー。
【請求項15】
前記タンパク質が、カゼイン酸ナトリウムとホエイプロテインとを含む混合物である、請求項13または14に記載のコア・シェル型マイクロカプセルのスラリー。
【請求項16】
少なくとも2個のポリイソシアネート官能基を有する、重合されたポリイソシアネートから構成された内側のシェルを有する、請求項13から15までのいずれか1項に記載のコア・シェル型マイクロカプセルのスラリー。
【請求項17】
請求項13から16までのいずれか1項に記載のマイクロカプセルを含有する組成物であって、付香された消費者製品の形であるか、またはフレーバー付けされた消費者製品の形である組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア・シェル型マイクロカプセルを製造するための新規の方法に関する。マイクロカプセルもまた本発明の対象である。前記マイクロカプセルを含有する消費者製品、特に付香された消費者製品またはフレーバー付けされた消費者製品もまた本発明の一部である。
【背景技術】
【0002】
香料およびフレーバー産業が直面する問題の1つは、活性化合物の揮発性に起因して、嗅覚的な利益が比較的急速に失われることである。それらの活性物質をカプセル封入することは、同時にカプセル内の成分の保護ももたらす。これは、「攻撃(aggressions)」、たとえば酸化または湿分に対してカプセル化されることであるが、他方、フレーバーまたはフレグランスの放出動態をある程度制御して、連続的な放出により感覚的な効果を誘導することも可能になる。
【0003】
ポリ尿素およびポリウレタンベースのマイクロカプセルスラリーは、たとえば香料産業で広く使用されている。というのも、このようなマイクロカプセルスラリーは、たとえば様々な基材に適用した後に、長時間持続する心地よい嗅覚的効果をもたらすからである。そのようなマイクロカプセルは、先行技術において広く開示されている(たとえば出願人による国際公開第2007/004166号または欧州特許出願公開第2300146号明細書を参照されたい)。
【0004】
従って、その性能、特に消費者製品中での安定性に関する性能について妥協することなく、かつ疎水性材料の送達に関して良好な性能をもたらす新規のマイクロカプセルを提供する必要性がなお存在する。
【0005】
本発明は、架橋されたバイオポリマーシェルを有する新規のコア・シェル型マイクロカプセルに基づいて、上記の課題に対する解決手段を提案するものである。
【発明の概要】
【0006】
ところで、タンパク質の錯塩形成によって膜の密度を高め、次いでタンパク質を架橋することにより、疎水性材料、好ましくは活性成分をカプセル封入する高性能のマイクロカプセルが得られることが判明した。従って、本発明の方法は、上記の問題に対する解決策を提供するものである。というのも、様々な適用において所望される安定性を備えたマイクロカプセルの製造が可能になるからである。
【0007】
第一の態様では、本発明は、コア・シェル型マイクロカプセルのスラリーを製造する方法であって、以下のステップ:
(i)塩および任意で架橋剤を、少なくとも1つのタンパク質を含有する水溶液に添加混合して、水相を形成するステップ、
(ii)疎水性材料、好ましくは香料オイルまたはフレーバーオイルを含有する油相を、前記水相中に分散させて、水中油型エマルションを形成するステップ、
(iii)架橋剤がステップ(i)で添加されていなかった場合には、前記水中油型エマルションに架橋剤を添加するステップ、
(iv)前記タンパク質がスラリーの形でコア・シェル型マイクロカプセルを形成する架橋を誘発するために十分な条件を適用するステップ
を含む方法に関する。
【0008】
第二の態様では、本発明は、
オイルベースのコア、
任意で、重合された多官能価モノマーから構成された内側のシェル、
タンパク質を含有し、少なくとも1つのタンパク質が架橋されているバイオポリマーシェルおよび
任意で、少なくとも1つの外側の鉱物質層
から構成されている少なくとも1つのマイクロカプセルを含有するコア・シェル型マイクロカプセルのスラリーに関する。
【0009】
第三の態様では、本発明は、上記で定義した方法により得られるコア・シェル型マイクロカプセルスラリーに関する。
【0010】
第四の態様および第五の態様では、本発明は、上記で定義したマイクロカプセルを含有する、付香された消費者製品およびフレーバー付けされた食用製品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、シャワージェルベース中での本発明のマイクロカプセルの安定性を示す(37℃、1週間)
図2図2は、繊維柔軟剤ベース中での本発明のマイクロカプセルの安定性を示す(37℃、1週間)
図3図3は、繊維柔軟剤ベースから吸取紙上で評価した、本発明のマイクロカプセルの嗅覚的性能を示す(37℃、2週間)
図4図4は、繊維柔軟剤ベース中での本発明のマイクロカプセルの安定性を示す(37℃、1ヶ月)
図5図5は、繊維柔軟剤ベースからライン乾燥したタオルにおいて評価した本発明のマイクロカプセルの嗅覚的性能を示す
図6図6は、鉱質化された本発明によるマイクロカプセルである鉱質化カプセルKの走査型電子顕微鏡写真を示す
図7図7は、鉱質化された本発明によるマイクロカプセルである鉱質化カプセルNの走査型電子顕微鏡写真を示す
図8図8は、鉱質化された本発明によるマイクロカプセルである鉱質化カプセルOの走査型電子顕微鏡写真を示す
図9図9は、本発明によるマイクロカプセルであるカプセルEの走査型電子顕微鏡写真を示す
図10図10は、鉱質化され、かつ噴霧乾燥された本発明によるマイクロカプセルである、噴霧乾燥プロトコルに供した鉱質化カプセルPの走査型電子顕微鏡写真を示す
図11図11は、本発明によるカプセルJの走査型電子顕微鏡写真を示す
図12図12は、吸取紙で評価した、ロールオンタイプの制汗剤組成物中での本発明のマイクロカプセルの嗅覚的性能を示す
図13図13は、毛髪上で評価した、リーブオン・コンディショナー組成物中での本発明のマイクロカプセルの嗅覚的性能を示す
図14図14は、毛髪上で評価した、リンスオフ・シャンプー組成物中での本発明のマイクロカプセルの嗅覚的性能を示す
図15図15は、界面活性剤混合物サンプルから毛髪上での本発明によるマイクロカプセル(カプセルE、G、H)ならびに本発明による鉱質化マイクロカプセル(カプセルN、K、L)のマイクロカプセル堆積のパーセンテージを示す
図16図16は、過酸化水素溶液(pH6.5)中、22℃で1ヶ月インキュベーションした後の本発明によるマイクロカプセル(カプセルN)の鉱物質コーティングの安定性を示す
図17図17は、高エタノールEdT組成物について、摩擦効果の前と後とに示される平均的な嗅覚的強度を示す
図18図18は、低エタノールEdT組成物について、摩擦効果の前と後とに示される平均的な嗅覚的強度を示す
【発明を実施するための形態】
【0012】
その他の記載がない限り、パーセンテージ(%)は、組成物の質量百分率を意味する。
【0013】
「疎水性材料」とは、水と混合した時に2相の分散液を形成する材料を意味する。本発明によれば、疎水性材料は、「不活性」材料、たとえば溶剤または活性成分であってもよい。1実施態様によれば、疎水性材料は、疎水性の活性成分である。
【0014】
「活性成分」とは、単一の化合物または複数の成分の組合せを意味する。
【0015】
「香料オイルまたはフレーバーオイル」とは、単一の付香用化合物またはフレーバー付け用化合物またはいくつかの付香用化合物もしくはフレーバー付け用化合物の混合物を意味する。
【0016】
「消費者製品」または「最終製品」とは、頒布、販売および消費者により使用される準備が整った製造後の製品を意味する。
【0017】
明確性のため、本発明における「分散液」という表現は、異なった組成の連続相中に粒子が分散している系を意味し、これは特に懸濁液またはエマルションを含む。
【0018】
「コア・シェル型マイクロカプセル」または同様の記載は、本発明では、ミクロン範囲の粒径分布(たとえば好ましくは約1~3000ミクロンに含まれる平均直径(d(v,0.5))を有し、バイオポリマーシェルと、バイオポリマーシェルに囲まれた内部の連続した油相とを含むカプセルを意味する。本発明によれば、「平均直径」または「平均サイズ」という用語は、区別されることなく用いられる。
【0019】
本発明のマイクロカプセルは、10ミクロン超、より好ましくは15ミクロン超、さらにより好ましくは20ミクロン超の平均サイズを有する。
【0020】
1実施態様によれば、マイクロカプセルは、10~500ミクロン、好ましくは10~100ミクロン、より好ましくは10~50ミクロンに含まれる平均サイズを有する。
【0021】
1実施態様によれば、マイクロカプセルは、15~500ミクロン、好ましくは15~100ミクロン、より好ましくは15~50ミクロンに含まれる平均サイズを有する。
【0022】
1実施態様によれば、マイクロカプセルは、20~500ミクロン、好ましくは20~100ミクロン、より好ましくは20~50ミクロンに含まれる平均サイズを有する。
【0023】
本発明によるマイクロカプセルは好ましくは凝集していない。
【0024】
「バイオポリマー膜」または「バイオポリマーシェル」とは、架橋したタンパク質、好ましくは酵素により架橋したタンパク質を含む層を意味する。
【0025】
本発明の文脈で、「鉱物質層」とは、通常シェルの終端荷電表面(terminating charged surface)に成長する安定した無機の鉱物質層から構成されており、テクスチャ構造の鉱物質表面をもたらすものである。
【0026】
1実施態様によれば、本発明によるカプセルは、有機と無機とのハイブリッドカプセルである。この特定の実施態様によれば、オルトシリケート、シランまたは複数のシランの組み合わせを油相または水相から添加して、ハイブリッド化された無機/有機膜または表面コーティングを形成することができる。シランは油相中に懸濁させて、内側の膜をケイ化するか、または乳化後に添加して、成長中のポリマーカプセル膜の周囲にケイ化シェルを形成することができる。エマルション液滴中または液滴表面におけるアルコキシドの縮合を介してポリマー膜の内側または外側で3Dのシロキサン結合を形成させ、かつ硬化させることにより、インサイドアウトおよびアウトサイドインのゾルゲル重合が生じてもよい。
【0027】
「鉱物質前駆体」とは、所望の相の成長のために必要とされる鉱物質前駆体であると理解すべきである。鉱物質前駆体は好ましくは、所望の鉱物質相の成長のために必要なイオンを少なくとも部分的に含有する水溶性無機塩である。
【0028】
「インキュベーション」という用語は、本発明の文脈では、前駆体溶液中にマイクロカプセルを浸し、前記溶液とマイクロカプセルとが相互作用する時間をもたせる行為を記載するために使用される。
【0029】
「多官能価ポリマー」とは、1つの単位として、化学的に反応または結合して、ポリマーまたは超分子ポリマーを形成する分子を意味する。本発明の多官能価ポリマーは、マイクロカプセルシェルを形成することができる官能基を少なくとも2個有している。
【0030】
「ポリ尿素ベース」の内壁または内側のシェルとは、ポリマーが、アミノ官能性の架橋剤により、または界面重合の間にイソシアネート基が加水分解されることでさらにイソシアネート基と反応することができるアミノ基を生みだすことによって作られた尿素結合を含むポリマーを意味する。
【0031】
「ポリウレタンベース」の内壁または内側のシェルとは、ポリマーが、界面重合の間にポリオールとイソシアネート基とが反応することによって作られたウレタン結合を有するポリマーを意味する。
【0032】
「タンパク質」とは、単一のタンパク質または複数のタンパク質の組合せを意味する。
【0033】
コア・シェル型マイクロカプセルスラリーの製造方法
従って本発明は、第一の態様では、コア・シェル型マイクロカプセルのスラリーを製造する方法に関するものであり、前記方法は、以下のステップ:
(i)塩および任意で架橋剤を、タンパク質を含有する水溶液に添加混合して、水相を形成するステップ、
(ii)疎水性材料、好ましくは香料オイルまたはフレーバーオイルを含有する油相を、前記水相中に分散させて、水中油型エマルションを形成するステップ、
(iii)架橋剤がステップ(i)で添加されていなかった場合には、前記水中油型エマルションに架橋剤を添加するステップ、
(iv)前記タンパク質がスラリーの形でコア・シェル型マイクロカプセルを形成する架橋を誘発するために十分な条件を適用するステップ
を含む。
【0034】
1実施態様によれば、ステップ(iv)は、架橋剤によってタンパク質の架橋が誘発されて、スラリーの形のコア・シェル型マイクロカプセルが形成されるために十分な条件を適用することからなる。
【0035】
疎水性材料(油相)
1実施態様によれば、疎水性材料は、疎水性の活性成分である。
【0036】
好ましい実施態様によれば、活性成分は、香料オイルまたはフレーバーオイルを含む。カプセル封入されることで利益をもたらす代替的な成分は、香料もしくはフレーバーの代わりに、または香料もしくはフレーバーと組み合わせて使用することができる。そのような成分の非限定的な例は、化粧用、スキンケア用、悪臭抑制用、殺菌用、殺真菌用、医薬用もしくは農薬用の成分、消毒薬、昆虫忌避剤もしくは昆虫誘引剤、およびこれらの混合物を含む。
【0037】
疎水性の内相中に存在しうる昆虫忌避剤または昆虫誘引剤の性質および種類は、ここでより詳細な記載を保証するものではないし、そのような詳細な記載はいずれにしても網羅的なものにはなりえず、当業者であれば、自身の一般的な知識と、意図する使用もしくは適用に従って選択することができるであろう。
【0038】
このような昆虫忌避剤もしくは昆虫誘引剤の例は、カバノキ、DEET(N,N-ジエチル-m-トルアミド)、レモンユーカリ(Corymbia citriodora)の精油およびその活性化合物であるp-メンタン-3,8-ジオール(PMD)、イカリジン(ヒドロキシエチルイソブチルピペリジンカルボキシレート)、ネペタラクトン、シトロネラ油、ニーム油、ヤチヤナギ(Myrica Gale)、ジメチルカルベート、トリシクロデセニルアリルエーテル、IR3535(3-[N-ブチル-N-アセチル]-アミノプロピオン酸、エチルエステル、エチルヘキサンジオール、ジメチルフタレート、メトフルトリン、インダロン、SS220、アントラニレート系昆虫忌避剤およびこれらの混合物である。
【0039】
「香料オイル」(または「香料」ともいう)または「フレーバー」とは、ここでは約20℃で液状の成分または組成物を意味する。前記の香料またはフレーバーオイルは、付香用成分またはフレーバー付け用成分単独であってもよいし、付香用もしくはフレーバー付け用の組成物の形の成分混合物であってもよい。「付香用成分」として、ここでは、主目的として心地よい効果を付与するために付香用調製物もしくは組成物中で使用される化合物を意味する。換言すれば、付香用の成分であるとみなされ、当業者によって、少なくとも組成物の匂いに肯定的な特性もしくは快適さを付与するか、または組成物の匂いを好適的にもしくは快適に変性することができると認識される成分でなくてはならず、単に匂いを有するのみの成分ではない。油相中に存在する付香用成分の性質および種類はここでより詳細な記載を保証するものではなく、そのような詳細な記載はいずれにしても網羅的なものにはなりえず、当業者であれば、自身の一般的な知識と、意図する使用もしくは適用および所望の嗅覚的効果に従って選択することができるであろう。一般的には、これらの付香用成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素もしくは硫黄を有するヘテロ環化合物および精油といった多様な化学クラスに属し、前記の付香用補助成分は、天然由来のものであっても、合成されたものであってもよい。これらの補助成分の多くは、S. Arctanderによる著書のPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAのような参考文献、またはその最新版、あるいは同様の性質のその他の文献、ならびに香料の分野における数多くの特許文献に列挙されている。前記の成分は、様々な種類の付香用化合物を制御された方法で放出することで知られている化合物であってもよい。
【0040】
付香用成分は、香料産業において目下使用されている溶剤中に溶解されていてもよい。溶剤はアルコールでないことが好ましい。そのような溶剤の例は、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、Abalyn(R)(ロジン樹脂、Eastmanから入手可能)、ベンジルベンゾエート、エチルシトレート、リモネンもしくはその他のテルペン、またはイソパラフィンである。溶剤は、好ましくは極めて疎水性であり、かつ高度に立体障害を有するものであり、たとえばAbalyn(R)またはベンジルベンゾエートである。香料は好ましくは30%未満の溶剤を含有する。香料はより好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満の溶剤を含有し、これらのパーセンテージは全て、香料の全質量に対する質量によって定義される。最も好ましくは、香料は実質的に溶剤不含である。
【0041】
好ましい付香用成分は、高い立体障害を有するものであり、特に以下の群の1つからのものである:
- グループ1:少なくとも1つの直鎖もしくは分岐鎖C~Cアルキルもしくはアルケニル置換基により置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンまたはシクロヘキセノン環を含む付香用成分、
- グループ2:少なくとも1つの直鎖もしくは分岐鎖C~Cアルキルもしくはアルケニル置換基により置換されたシクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタノンまたはシクロペンテノン環を含む付香用成分、
- グループ3:フェニル環を有する付香用成分、または少なくとも1つの直鎖もしくは分岐鎖C~Cアルキルもしくはアルケニル置換基により、または少なくとも1つのフェニル置換基および任意で1つ以上の直鎖もしくは分岐鎖C~Cアルキルもしくはアルケニル置換基により置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンまたはシクロヘキセノン環を含む付香用成分、
- グループ4:少なくとも2つの縮合環または結合したCおよび/もしくはC環を含む付香用成分、
- グループ5:カンファー様の環構造を含む付香用成分、
- グループ6:少なくとも1つのC~C20環構造を含む付香用成分
- グループ7:3.5超のlogPを有し、少なくとも1つのt-ブチル置換基もしくは少なくとも1つのトリクロロメチル置換基を含む付香用成分。
【0042】
これらの群のそれぞれからの成分の例は以下のとおりである:
- グループ1:2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、イソシクロシトラール、メントン、イソメントン、Romascone(R)(メチル2,2-ジメチル-6-メチレン-1-シクロヘキサンカルボキシレート(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、ネロン、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、テルペニルアセテート、ジヒドロテルペニルアセテート、ジペンテン、ユーカリプトール、ヘキシレート、ローズオキサイド、Perycorolle(R)((S)-1,8-p-メンタジエン-7-オール(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、1-p-メンテン-4-オール(1RS,3RS,4SR)-3-p-メンタニルアセテート、(1R,2S,4R)-4,6,6-トリメチル-ビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2-オール、Doremox(R)(テトラヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピラン(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、シクロヘキシルアセテート、シクラノールアセテート、Fructalate(R)(1,4-シクロヘキサンジエチルジカルボキシレート(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、Koumalactone(R)((3ARS,6SR,7ASR)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン、(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、Natactone(R)((6R)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド、
- グループ2:(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(入手元:スイス国ヴェルニエ在、Givaudan SA社)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、Polysantol(R)((1’R,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、fleuramone、Hedione(R)HC(メチル-シス-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテート(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、Veloutone(R)(2,2,5-トリメチル-5-ペンチル-1-シクロペンタノン(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、Nirvanol(R)(3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ペンタノール(入手元:スイス国ヴェルニエ在、Givaudan SA社)、
- グループ3:ダマスコン、Neobutenone(R)(1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、ネクタラクトン((1’R)-2-[2-(4’-メチル-3’-シクロヘキセン-1’-イル)プロピル]シクロペンタノン)、アルファ-イオノン、ベータ-イオノン、ダマスコン、Dynascone(R)(1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンと1-(3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンの混合物)(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、Dorinone(R)ベータ(1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、Romandolide(R)((1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート(入手元:USA在、International Flavors and Fragrances社)、Limbanol(R)(1-(2,2,3,6-テトラメチル-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、トランス-1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、テルペニルイソブチレート、Lorysia(R)(4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、8メトキシ-1-p-メンテン、Helvetolide(R)((1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、パラtert-ブチルシクロヘキサノン、メンテンチオール、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド、アリルシクロヘキシルプロピオネート、シクロヘキシルサリチレート、2-メトキシ-4-メチルフェニルメチルカーボネート、エチル2-メトキシ-4-メチルフェニルカーボネート、4-エチル-2-メトキシフェニルメチルカーボネート、
- グループ4:メチルセドリルケトン(入手元:USA在、International Flavors and Fragrances社)、ベルジレート、ベチベロール、ベチベロン、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン(入手元:USA在、International Flavors and Fragrances社)、(5RS,9RS,10SR)-2,6,9,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエンおよび(5RS,9SR,10RS)異性体、6-エチル-2,10,10-トリメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエン、1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4-インデンオン(入手元:USA在、International Flavors and Fragrances社)、Hivernal(R)(3-(3,3-ジメチル-5-インダニル)プロパナールと3-(1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナールとの混合物)(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、Rhubofix(R)(3’,4-ジメチル-トリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデセ-4-エン-9-スピロ-2’-オキシラン(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、9/10-エチルジエン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン、Polywood(R)(ペルヒドロ-5,5,8A-トリメチル-2-ナフタレニルアセテート(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、オクタリノール、Cetalox(R)(ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フラン(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デセ-3-エン-8-イルアセテートおよびトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デセ-4-エン-8-イルアセテートならびにトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デセ-3-エン-8-イルプロパノエートおよびトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デセ-4-エン-8-イルプロパノエート、(+)-(1S,2S,3S)-2,6,6-トリメチル-ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-スピロ-2’-シクロヘキセン-4’-オン、
- グループ5:カンファー、ボルネオール、イソボルニルアセテート、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-2-カルボアルデヒド、カンフォピネン、セドランバー(8-メトキシ-2,6,6,8-テトラメチル-トリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、セドレン、セドレノール、セドロール、Florex(R)(9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンと10-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンとの混合物)(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、3-メトキシ-7,7-ジメチル-10-メチレン-ビシクロ[4.3.1]デカン(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、
- グループ6:Cedroxyde(R)(トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]-トリデカ-4,8-ジエン(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、Ambrettolide LG((E)-9-ヘキサデセン-16-オリド(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、Habanolide(R)(ペンタデセノリド、入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、ムセノン(3-メチル-(4/5)-シクロペンタデセノン(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、ムスコン(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、Exaltolide(R)(ペンタデカノリド、入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、Exaltone(R)(シクロペンタデカノン、入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン(入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社)、アストロトン、4,8-シクロドデカジエン-1-オン、
- グループ7:Lilial(R)(入手元:スイス国ヴェルニエ在、Givaudan SA社)、ロジノール。
【0043】
香料は、好ましくは上記で定義したグループ1~7から選択された成分を、少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含有する。より好ましくは、前記香料は、上記で定義したグループ3~7からの成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含有する。最も好ましくは、香料は、上記で定義したグループ3、4、6または7からの成分を、少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含有する。
【0044】
もう1つの好ましい実施態様によれば、香料は、3超、好ましくは3.5超、および一層好ましくは3.75超のlogPを有する成分を、少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%含有する。
【0045】
好ましくは、本発明において使用される香料は、香料自体の質量の10%未満の第一級アルコール、香料自体の質量の15%未満の第二級アルコール、および香料自体の質量の20%未満の第三級アルコールを含有する。有利には、本発明において使用される香料は、第一級アルコールを含有しておらず、かつ15%未満の第二級アルコールおよび第三級アルコールを含有している。
【0046】
1実施態様によれば、油相(またはオイルベースのコア)は、
- LogT<-4を有する高インパクト香料原料を少なくとも15質量%含有する香料オイル25~100質量%と、
- 1.07g/cm超の比重を有する比重調整用材料0~75質量%
とを含有する。
【0047】
「高インパクト香料原料」は、LogT<-4を有する香料原料であると理解すべきである。化合物の匂いの閾値濃度は、部分的に、その形状、極性、部分電荷、および分子量によって決定される。便宜上、閾値濃度は、閾値濃度の一般的な対数、つまりLog[閾値](「LogT」)として提示される。
【0048】
「比重調整用材料」とは、1.07g/cm超の比重を有し、好ましくは匂いをほとんど有していないか、もしくは全く有していない材料であると理解すべきである。
【0049】
付香用化合物の匂い閾値濃度は、ガスクロマトグラフ(「GC])を使用することによって決定される。特にガスクロマトグラフは、シリンジによって注入される香料オイル成分の正確な体積、正確な分割比、および公知の濃度と鎖長分布の炭化水素標準を使用する炭化水素応答を決定するために校正される。空気の流量を正確に測定し、かつヒトの吸気の継続時間は12秒であると仮定して、試料として採取した体積を計算する。検出器の任意の時点における正確な濃度が公知であるから、吸入される体積あたりの質量は公知であり、従って付香用化合物の濃度も公知である。閾値濃度を決定するために、逆算した濃度におけるスニフポートに溶液を送達する。パネリストがGC溶離液の匂いを嗅いで、匂いに気付いた時の保持時間を同定する。パネリスト全員の平均値により、付香用化合物の匂い閾値濃度を決定する。匂い閾値の決定は、C. Vuilleumier et al.等のMultidimensional Visualization of Physical and Perceptual Data Leading to a Creative Approach in Fragrance Development、Perfume & Flavorist、第33巻、2008年9月、第54~61頁に、より詳細に記載されている。
【0050】
LogT<-4を有する高インパクト香料原料および1.07g/cm超の比重を有する比重調整用材料の性質は、国際公開第2018/115250号に記載されており、その内容をここで参照することにより取り入れるものとする。
【0051】
1実施態様によれば、LogT<-4を有する高インパクト香料原料は、以下の表Aのリストから選択される。
【0052】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0053】
1実施態様によれば、LogT<-4を有する香料原料は、アルデヒド、ケトン、アルコール、フェノール、エステル、ラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリル、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0054】
1実施態様によれば、LogT<-4を有する香料原料は、アルコール、フェノール、エステル、ラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリル、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を、LogT<-4を有する香料原料の全質量を基準に、好ましくは20~70質量%に含まれる量で含有する。
【0055】
1実施態様によれば、LogT<-4を有する香料原料は、アルデヒド、ケトン、およびこれらの混合物を、LogT<-4を有する香料原料の全質量を基準に、20~70質量%含有する。
【0056】
従って、オイルベースのコアに含まれている残りの香料原料は、LogT>-4を有する。
【0057】
LogT>-4を有する香料原料の非限定的な例は、以下の表Bに列挙されている。
【0058】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0059】
1実施態様によれば、油相(もしくはオイルベースのコア)は、1.07g/cm超の比重を有する比重調整用材料を2~75質量%と、LogT<-4を有する高インパクト香料原料を少なくとも15質量%含む香料オイルを25~98質量%含有する。
【0060】
成分の比重は、その質量と体積(g/cm)との間の比率により定義される。
【0061】
成分の比重を決定するためには、複数の方法を利用することができる。
【0062】
たとえば、精油のd20比重を測定するためには、ISO298:1998法を挙げることができる。
【0063】
1実施態様によれば、比重調整用材料は、ベンジルサリチレート、ベンジルベンゾエート、シクロヘキシルサリチレート、ベンジルフェニルアセテート、フェニルエチルフェノキシアセテート、トリアセチン、メチルサリチレート、エチルサリチレート、ベンジルシンナメート、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0064】
特定の1実施態様によれば、比重調整用材料は、ベンジルサリチレート、ベンジルベンゾエート、シクロヘキシルサリチレート、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0065】
特定の1実施態様によれば、疎水性材料は、活性成分(たとえば香料)を含有していない。この特定の実施態様によれば、疎水性材料は、疎水性溶剤、好ましくは、イソプロピルミリステート、トリグリセリド(たとえばNeobee(R)MCTオイル、植物油)、D-リモネン、シリコーンオイル、鉱油およびこれらの混合物からなる群から選択される疎水性溶剤、任意で好ましくは1,4-ブタンジオール、ベンジルアルコール、トリエチルシトレート、トリアセチン、ベンジルアセテート、エチルアセテート、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセロール、グリコールエーテル、およびこれらの混合物からなる群から選択される親水性溶剤との混合物を含むか、好ましくは前記の材料からなる。
【0066】
「フレーバー成分もしくは組成物」とは、ここでは、フレーバー付け用成分、またはフレーバー付け用成分、フレーバー付け用配合物の調製のために目下使用されている溶剤または助剤の混合物、つまり食用組成物またはチュアブル製品に添加して、その感覚的な特性、特にそのフレーバーおよび/または味を付与、改善もしくは変性することが意図された成分の特定の混合物を意味する。味覚調整剤もまた、前記の定義に包含される。フレーバー付け用成分もまた、当業者には周知であり、その性質はここでは詳細な記載を保証するものではなく、そのような詳細な記載はいずれにしても網羅的なものにはならず、経験を積んだフレーバリストであれば、自身の一般的な知識と、意図された使用もしくは適用に従い、かつ達成することが所望されている感覚的効果に従って、それらの成分を選択することができるであろう。これらのフレーバー付け用成分の多くは、S. Arctanderによる著書であるPerfume and Flavor Chemicals、1969年、 Montclair, N.J.、USAといった参考テキストまたはその最新版、または同様の性質のその他の著書、たとえばFenaroli著、Handbook of Flavor Ingredients、1975年、 CRC Press、またはM.B. Jacobs著、Synthetic Food Adjuncts、1947年、Nostrand Co., Inc.に列挙されている。溶剤および助剤またはフレーバー付け用配合物を調製するための目下の使用もまた、この分野では周知である。
【0067】
特定の1実施態様では、フレーバーは、シトラスオイルおよびミントオイルを含むテルペン系フレーバーおよびスルフリルフレーバーからなる群から選択される。
【0068】
本発明の任意の実施態様によれば、オイルは、水中油型エマルションの全質量に対して、約10%~60%w/w、または20%~50%w/wである。
【0069】
任意の多官能価モノマー(油相)
1実施態様によれば、シェルを強化するために、前記疎水性材料に加えてさらに多官能価モノマーを油相に添加する。
【0070】
多官能価モノマーは、少なくとも1つのポリイソシアネート、ポリ無水マレイン酸、ポリ塩化アシル、ポリエポキシド、アクリレートモノマーおよびポリアルコキシシランからなる群から選択することができる。
【0071】
本発明による方法において使用される多官能価モノマーは、ステップiv)のスラリーの0.025~15質量%、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは0.1~6質量%、およびさらにより好ましくは0.1~1質量%の量で存在する。
【0072】
特定の1実施態様によれば、多官能価モノマーは、少なくとも2個のイソシアネート官能基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートである。
【0073】
本発明により使用される、適切なポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらの混合物を含む。前記ポリイソシアネートは、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のイソシアネート官能基を有しているが、しかし6個まで、もしくは4個のみのイソシアネート官能基を有していてもよい。特定の1実施態様によれば、トリイソシアネート(イソシアネート官能基が3個)を使用する。
【0074】
1実施態様によれば、前記ポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートである。「芳香族ポリイソシアネート」という用語は、ここでは、芳香族部分を有する任意のポリイソシアネートを含むものであることを意味する。好ましくは、前記ポリイソシアネートは、フェニル、トルイル、キシリル、ナフチルもしくはジフェニル部分を有しており、より好ましくはトルイルもしくはキシリル部分を有している。好ましい芳香族ポリイソシアネートは、ビウレット、ポリイソシアヌレート、およびジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物であり、より好ましくは、上記の特定の芳香族部分を有するものを含む。より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート(Bayer社から、Desmodur(R)RCの商品名で市場において入手可能)、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(Bayer社から、Desmodur(R)L75の商品名で市場において入手可能)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学株式会社から、Takenate(R)D-110Nの商品名で市場において入手可能)である。最も好ましい1実施態様では、芳香族ポリイソシアネートは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である。
【0075】
もう1つの実施態様によれば、前記ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートである。「脂肪族ポリイソシアネート」という用語は、芳香族部分を有していないポリイソシアネートとして定義される。好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学株式会社から入手可能)、またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(Bayer社から、Desmodur(R)N100の商品名で入手可能)であり、これらの中でもヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットがさらにより好ましい。
【0076】
もう1つの実施態様によれば、前記少なくとも1つのポリイソシアネートは、いずれも少なくとも2個もしくは3個のイソシアネート官能基を有する、少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネートと、少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネートとの混合物の形であり、たとえばヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットと、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットと、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレートとの混合物、およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットと、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。最も好ましいのは、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットと、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。好ましくは、混合物として使用される場合、脂肪族ポリイソシアネートと芳香族ポリイソシアネートとの間のモル比は、80:20~10:90の範囲である。
【0077】
この実施態様によれば、重合した多官能価モノマーから構成された内側のシェルは、この方法における界面重合によって形成される。前記内側のシェルの形成は、バイオポリマーシェルの形成前、形成中、または形成後に行うことができる。
【0078】
特定の1実施態様によれば、油相は、ポリイソシアネートを含んでおらず、好ましくは多官能価モノマーを含んでいない。
【0079】
タンパク質(水相)
水相中のタンパク質は、乳化剤として使用され、水相中の油滴の安定化を可能にする。
【0080】
1実施態様によれば、タンパク質は、ミルクプロテイン、カゼイン酸塩、たとえばカゼイン酸ナトリウムもしくはカゼイン酸カルシウム、カゼイン、ホエイプロテイン、タンパク加水分解物、ゼラチン、グルテン、ピープロテイン、ソイプロテイン、シルクプロテイン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0081】
特定の1実施態様によれば、前記プロテインは、カゼイン酸ナトリウムを含む。
【0082】
前記プロテインは、ステップiv)において定義したスラリーの全質量を基準として、0.5~10質量%、好ましくは1~8質量%、より好ましくは2~4質量%の量で使用することができる。
【0083】
もう1つの特定の実施態様によれば、前記タンパク質は、カゼイン酸ナトリウムと、少なくとも1つの球状タンパク質とを含む混合物である。
【0084】
「球状タンパク質」とは、自然な状態で第三級構造によって特徴付けられ、熱、圧力または特定の化学物質の作用下で展開したり凝集したりすることができる球状のタンパク質であると理解すべきである。
【0085】
本発明において使用することができる球状タンパク質の非限定的な例として、ホエイプロテイン、β-ラクトグロブリン、オバルブミン、ウシ血清アルブミン、植物性タンパク質、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0086】
特定の1実施態様によれば、前記タンパク質は、カゼイン酸ナトリウムおよびホエイプロテインを含む混合物であり、好ましくはカゼイン酸ナトリウムとホエイプロテインとからなる混合物である。
【0087】
カゼイン酸ナトリウムと球状タンパク質、好ましくはホエイプロテインとの質量比は、0.01~100、好ましくは0.1~10、さらに好ましくは0.2~5に含まれる。
【0088】
前記タンパク質が、球状タンパク質を含む場合、本発明による方法は、好ましくは、前記タンパク質を変性するためのさらなる加熱ステップを含む。一般に、加熱ステップは、架橋ステップの後に、70℃~90℃に含まれうる温度で行われる。
【0089】
実際、酵素による架橋および熱によるアニーリングの組み合わせにより、本発明によるマイクロカプセルの性能が改善されることが判明した。
【0090】
特定の1実施態様によれば、この方法は、
(i)少なくとも1つのタンパク質を含有する水溶液に塩を添加混合して、水相を形成するステップであって、前記タンパク質は、カゼイン酸ナトリウムとホエイプロテインとの混合物であるステップ、
(ii)疎水性材料、好ましくは香料オイルまたはフレーバーオイル、および任意で多官能価モノマーを含有する油相を前記水相中に分散させて水中油型エマルションを形成するステップ、
(iii)前記水中油型エマルションに酵素架橋剤、好ましくはトランスグルタミナーゼを添加するステップ、
(iv)架橋剤により、前記カゼイン酸ナトリウムの架橋を誘発するために十分な条件を適用するステップ
(v)ホエイプロテインの変性を、好ましくは熱処理により誘発して、バイオポリマーシェルを形成するために適切な条件を適用するステップ
のステップを含む。
【0091】
加熱ステップは、温度Tden(タンパク質の変性温度)で、好ましくは70℃~100℃、より好ましくは80℃~100℃に含まれる温度で実施することができる。加熱ステップの継続時間は、加熱温度に依存する。一般に、加熱ステップの継続時間は、10~60秒に含まれる。
【0092】
塩(水相)
本発明によれば、タンパク質の錯塩形成は、油/水界面におけるタンパク質の凝集とタンパク質含有量の最大化にとって重要である。
【0093】
水相に添加される塩は、カルシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、臭化物、塩化物、ヨウ化物、アンモニウム塩、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0094】
1実施態様によれば、前記塩は、CaCl、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、NaCl、KCl、LiCl、Ca(NO、MgCl、CaBr、CaI、NaBr、NaI、NaNO、KBr、KI、KNO、LiBr、LiI、MgBr、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0095】
1実施態様によれば、前記塩は、CaCl、NaCl、KCl、LiCl、Ca(NO、MgCl、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0096】
方法が鉱質化ステップを含む場合、前記塩は好ましくは、カルシウム塩からなる群から選択され、好ましくはCaClまたはCa(NOである。というのも、これらは鉱質化のための前駆体だからである。
【0097】
1実施態様によれば、前記塩と前記タンパク質との質量比は、0.01:1~1:1、好ましくは0.1:1~0.4:1に含まれる。
【0098】
エマルションは、高せん断混合により製造することができ、所望の液滴サイズに調節することができる。液滴サイズは、好ましくは1~1000ミクロン、より好ましくは10~50ミクロンに含まれ、光散乱測定法または顕微鏡により確認することができる。
【0099】
この手順は、ここでこれ以上の詳細な記載は必要としない。というのも、当業者には周知のものだからである。
【0100】
1実施態様によれば、平均液滴サイズは、10ミクロン超である。1実施態様によれば、平均液滴サイズは、20ミクロン超である。
【0101】
1実施態様によれば、平均液滴サイズは、10~500ミクロン、好ましくは10~100ミクロン、より好ましくは10~50ミクロンに含まれる。
【0102】
1実施態様によれば、平均液滴サイズは、15~500ミクロン、好ましくは15~100ミクロン、より好ましくは15~50ミクロンに含まれる。
【0103】
1実施態様によれば、平均液滴サイズは、20~500ミクロン、好ましくは20~100ミクロン、より好ましくは20~50ミクロンに含まれる。
【0104】
架橋剤
本発明によれば、架橋剤はタンパク質を架橋するためのプロセスで添加される。
【0105】
架橋剤は、タンパク質を一緒に結合させてバイオポリマーシェルを形成するために重要である。
【0106】
架橋剤の存在が本発明の本質的な特徴であるとしても、前記架橋剤は水相に直接添加することができるが、水相に添加されないのであれば、前記架橋剤は水中油型エマルションが形成されてから添加される。
【0107】
架橋剤はステップ(i)で水相に添加するか、および/またはステップ(iii)で水中油型エマルションが形成されてから添加することができる。
【0108】
特定の1実施態様によれば、架橋剤は、水中油型エマルションが形成されてから添加する。
【0109】
本発明において使用される架橋剤は、酵素架橋剤、たとえば酵素であるか、または非酵素架橋剤、たとえばグルタルアルデヒドもしくはゲニピンであってもよい。
【0110】
特定の1実施態様によれば、架橋剤は酵素である。
【0111】
特定の1実施態様によれば、酵素はトランスグルタミナーゼである。
【0112】
酵素は、ステップ(iii)のスラリーの全質量を基準にして、0.001~0.1%、好ましくは0.005~0.02%に含まれる量で使用することができる。
【0113】
市販の製品には、酵素がキャリアに分散しているものもある。たとえばActiva(R)TI(入手元:味の素)を挙げることができる。換言すれば、ステップ(iii)のスラリーの全質量を基準にして、好ましくは0.001~5%、より好ましくは0.001~1%、さらにより好ましくは0.001~0.1%、いっそう好ましくは0.005~0.02%の量で、市販の製品がプロセスにおいて添加される。
【0114】
架橋剤によるタンパク質の架橋を誘発するために必要とされる作業は、当業者に周知である。一般に、架橋剤、好ましくは酵素を含有する水中油型エマルションを、35℃~55℃に含まれる温度で30分~4時間混合して、バイオポリマーシェルが形成される。
【0115】
架橋剤が酵素である場合、バイオポリマーシェルが形成されてから、スラリーを熱処理して、酵素を失活させることができる。一般に、熱処理は、70℃~90℃に含まれる温度で実施される。
【0116】
任意の加熱ステップ
1実施態様によれば、この方法はさらに、架橋ステップの後に、好ましくは70~90℃に含まれる温度で実施される加熱ステップを含む。
【0117】
この加熱ステップは、架橋のために酵素が使用される場合には酵素を失活させるために、かつ/または油相に多官能価モノマーが添加される場合には界面重合を誘発するために、かつ/またはタンパク質が非球状タンパク質と球状タンパク質との混合物(たとえばカゼイン酸ナトリウムとホエイプロテインとの混合物)を含む場合には、球状タンパク質の変性を誘発するために使用することができる。
【0118】
この加熱ステップは、さらに潜在的に材料を結合するため、隙間の空隙を低減するため、および膜を熱によりアニールすることで欠陥および多孔度を低減させるために使用することもできる。
【0119】
任意のバイオミネラリゼーションステップ
1実施態様によれば、この方法は、架橋ステップ(iv)の後にさらに
(v)任意で、マイクロカプセルシェル上に、少なくとも1つの鉱物質前駆体を吸着させるステップ、
(vi)マイクロカプセルシェル上での鉱物質層の成長を誘発するために適切な条件を適用するステップ
からなるステップを含む。
【0120】
付加的なステップ(v)は、ステップ(i)で添加される塩が鉱物質前駆体である場合(たとえば塩化カルシウムが塩として使用される場合)には、省略することができる。この場合、鉱物質前駆体は、膜の全体に存在し、表面のみに存在するのではない。
【0121】
換言すれば、鉱物質前駆体はすでに乳化の間および/または乳化の後でタンパク質が塩に誘発されて封入されることから存在していることが考えられる。
【0122】
鉱物質前駆体の性質に依存して、ステップ(v)の前に、マイクロカプセルを濃縮するか、または洗浄することで、過剰の乳化剤溶液を除去することができる。マイクロカプセルは、たとえば遠心分離を行い、上澄みを除去した後に水中に再懸濁させることで洗浄することができる。この実施態様は、鉱物質前駆体溶液が、硫酸鉄(II)溶液または塩化鉄(III)溶液からなる群から選択される場合に特に好適である。
【0123】
理論によって束縛されるものではないが、シェルの帯電表面は、機能的なアンカー部位を提供し、マイクロカプセル表面の帯電基の高い局所密度および成核部位によって、鉱物質前駆体種の改善された吸着もしくは吸収が生じ、次いで沈殿種のインサイチュー添加によって鉱物質の成長プロセスが開始されると考えられている。
【0124】
鉱物質前駆体は、帯電したカプセルを、カプセルとは反対の電荷で帯電した鉱物質前駆体を含有する少なくとも1つの溶液中でインキュベートし、カプセル表面の完全な被覆を可能にするために十分な撹拌および時間を提供することで、マイクロカプセルの表面に吸着される。溶液中で遊離の鉱物質材料が発生することを防止するために、溶液から過剰の前駆体を除去することができ、次いで沈殿種のインサイチュー添加によって鉱物質の成長プロセスが開始される。過剰の前駆体の除去は全ての実施態様で必要であるわけではなく、特に低濃度の鉱物質前駆体を反応させることにより鉱物質の成長をゆっくり進行させてバイオポリマーシェル上に選択的に材料を成長させる場合には、必要とは限らない。
【0125】
当業者であれば、鉱物質の成長プロセスのために適切な条件を選択することができるであろう(たとえば前駆体の選択、反応条件、溶液の濃度、インキュベーション時間、撹拌速度、温度およびpH条件)。
【0126】
一般に:
- 鉱質化は室温で生じ、
- 鉱質化プロセスは、鉱物質前駆体の添加に続いて、または沈殿種の添加に続いて(鉱物質前駆体の添加の後に)開始され、
- 鉱物質前駆体の性質に応じて、プロセス所要時間は、1~24時間の間である。
【0127】
特定の1実施態様によれば、鉱物質前駆体溶液は、硫酸鉄(II)溶液(鉄イオンを前駆体として含有)、塩化鉄(III)溶液(鉄イオンを前駆体として含有)、カルシウムベースの塩溶液(カルシウムイオンを前駆体として含有)、リン酸塩ベースの塩溶液(リン酸イオンを前駆体として含有)、炭酸塩ベースの塩溶液(炭酸イオンを前駆体として含有)、チタンベースの前駆体溶液、亜鉛ベースの前駆体溶液、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0128】
たとえばチタンベースの前駆体として、チタンアルコキシド、または亜鉛ベースの前駆体溶液として、亜鉛アルコキシド、酢酸亜鉛、塩化亜鉛を挙げることができる。
【0129】
特定の1実施態様によれば、鉱物質前駆体溶液は、硫酸鉄(II)溶液(鉄イオンを前駆体として含有)、塩化鉄(III)溶液(鉄イオンを前駆体として含有)、カルシウムベースの塩溶液(カルシウムイオンを前駆体として含有)、リン酸塩ベースの塩溶液(リン酸イオンを前駆体として含有)、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0130】
水溶性のカルシウムベースの塩は、塩化カルシウム(CaCl)、硝酸カルシウム(Ca(NO)、臭化カルシウム(CaBr)、ヨウ化カルシウム(CaI)、クロム酸カルシウム(CaCrO)、酢酸カルシウム(CaCHCO)、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。最も好ましいものは、塩化カルシウムおよび硝酸カルシウムである。
【0131】
水溶性のリン酸塩ベースの塩は、リン酸ナトリウム(一塩基性)(NaHPO)、リン酸ナトリウム(二塩基性)(NaHPO)、リン酸ナトリウム(三塩基性):NaPO、リン酸カリウム(一塩基性):KHPO、リン酸カリウム(二塩基性)(KHPO)、リン酸カリウム(三塩基性)(KPO)、リン酸アンモニウム(一塩基性)((NH)HPO)、リン酸アンモニウム(二塩基性)((NHHPO)、リン酸アンモニウム(三塩基性)((NHPO)、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0132】
水溶性炭酸ベースの塩は、ナトリウム、カリウム、およびアンモニウムベースの炭酸塩からなる群から選択することができる。
【0133】
この方法のステップ(v)で使用される鉱物質前駆体の電荷は、マイクロカプセルの終端表面の電荷、溶液の条件(pHを含む)、および鉱物質前駆体の終端表面の親和性により決定されることを理解すべきである。
【0134】
ステップ(iv)の後で、バイオポリマーシェルは好ましくは負に帯電している。
【0135】
しかし、バイオポリマーシェルの表面は、交互の高分子電解質層または機能性コーティングの吸着によって、鉱物質前駆体の吸着に先立って変更することができる。
【0136】
この実施態様は、1つの層または1対の反対の高分子電解質層に限定されるものではなく、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の層、あるいは反対の高分子電解質層の対も含む。最後の層の電荷および官能性が、ステップ(v)で添加される鉱物質前駆体の電荷および官能性を決定する。
【0137】
1実施態様によれば、カチオン性高分子電解質層は、ポリ(アリルアミンヒドロクロリド)、ポリ-L-リジンおよびキトサンからなる群から選択される。
【0138】
もう1つの実施態様によれば、アニオン性高分子電解質層は、ポリ(ナトリウム4スチレンスルホネート)(PSS)、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、フミン酸、カラギーナン、ペクチン、アラビアゴム、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0139】
特定の1実施態様によれば、アニオン性高分子電解質層は、PSSである。
【0140】
実施態様1
1実施態様によれば、鉱物質前駆体溶液は、硫酸鉄(II)溶液または塩化鉄(III)溶液からなる群から選択される。
【0141】
鉱物質の成長プロセスの開始は、沈殿種をインサイチューで添加することにより行うことができる。この実施態様によれば、鉱物質前駆体が鉄溶液である場合、鉄イオンはシェルのアニオン性表面に吸着され、かつ使用される沈殿種は、酸化鉄層を形成するための加水分解のベースである(たとえば水酸化ナトリウム溶液の添加による)。
【0142】
溶液中の鉱物質前駆体と、ステップiv)のマイクロカプセルスラリーとの間の質量比は、1:1~2:1、好ましくは1.3:1~1.7:1、および最も好ましくは1.5:1~1.6:1に含まれうる。値は、溶液中の純粋な塩に関するものであり、当業者であれば、水和形が使用される場合には塩の量を調整することができるであろう。
【0143】
実施態様2
1実施態様によれば、鉱物質前駆体溶液は、炭酸ナトリウムNaCO、塩化カルシウムCaCl、二塩基性リン酸ナトリウムNaHPO、一塩基性リン酸ナトリウムNaHPO、三塩基性リン酸ナトリウムNaPO、硝酸カルシウムCa(NOからなる群から選択される。
【0144】
特定の1実施態様によれば、この方法のステップi)における塩として塩化カルシウムCaClまたはCa(NOを使用する場合、鉱物質前駆体、つまりNaCOまたはNaHPOのみを添加して、それぞれ炭酸カルシウムCaCOまたはリン酸カルシウムCaPOから構成された鉱物質層を形成することができる。
【0145】
しかし、シェルの耐性を改善するために、次いでマイクロカプセルを再度、数回同時にまたは連続的にその後の前駆体溶液(NaCO/CaClまたはNaHPO/CaCl)中でインキュベーションすることができる。
【0146】
実施態様3
この特定の実施態様によれば、マイクロカプセルは、引き続き、または同時に、それぞれ少なくとも1つの前駆体を含有する少なくとも2つの溶液に導入する。好ましくは、第一の溶液は、カルシウム前駆体を含有する水溶性のカルシウムベースの塩を含み(ステップ(v)の第一の鉱物質前駆体)、かつ第二の溶液は、リン酸塩前駆体を含有する水溶性のリン酸塩ベースの塩を含む(鉱物質層の成長を誘発するための第二の鉱物質前駆体)。添加の順序は、下側の終端層の選択または変化に応じて変更することができる。
【0147】
特定の1実施態様によれば、第一の溶液は、硝酸カルシウム(Ca(NO)を含み、かつ第二の溶液は、リン酸ナトリウム(二塩基性)(NaHPO)を含む。
【0148】
もう1つの特定の実施態様によれば、第一の溶液は、塩化カルシウム(CaCl)を含み、かつ第二の溶液は、炭酸ナトリウム(NaCO)を含む。
【0149】
シェルの耐性を改善するために、次いでマイクロカプセルを数回、同時に、または連続的に2つの鉱物質前駆体溶液中でインキュベーションすることができる。
【0150】
実施態様4
もう1つの実施態様によれば、マイクロカプセルはまず、炭酸塩ベースの塩溶液中で、またはリン酸塩ベースの溶液中でインキュベーションして、炭酸イオンCO 2-またはリン酸イオンPO 3-をそれぞれ、表面に吸着させ、次いで、カルシウムベースの鉱物質溶液中でインキュベーションする。
【0151】
もう1つの実施態様によれば、第一の溶液は、炭酸塩前駆体を含有する水溶性の炭酸塩ベースの塩を含み、かつ第二の溶液は、カルシウム前駆体を含有する水溶性のカルシウムベースの塩を含む。
【0152】
より具体的には、特定の1実施態様によれば、第一の溶液は、炭酸ナトリウムNaCOを含有し、かつ第二の溶液は、塩化カルシウムCaClを含有する。
【0153】
シェルの耐性を改善するために、次いでマイクロカプセルを再び数回、同時に、または連続的に2つの鉱物質前駆体溶液中でインキュベーションすることができる。
【0154】
上記の異なった実施態様によれば、溶液中の第一の鉱物質前駆体塩と、ステップ(iv)のマイクロカプセルスラリーとの質量比は、0.01:1~0.5:1、より好ましくは0.03:1~0.4:1に含まれ、かつ第二の鉱物質前駆体溶液とステップ(iv)のマイクロカプセルスラリーとの質量比は、0.01:1~0.5:1、好ましくは0.03:1~0.4:1に含まれることができる。
【0155】
特定の1実施態様によれば、溶液中の第一の鉱物質前駆体塩と、ステップ(iv)のマイクロカプセルスラリーとの質量比は、0.1:1~0.5:1、好ましくは0.15:1~0.4:1に含まれ、かつ第二の鉱物質前駆体溶液とステップ(iv)のマイクロカプセルスラリーとの質量比は、0.05:1~0.3:1、好ましくは0.08:1~0.25:1に含まれることができる。値は、溶液中の純粋な塩に関するものであり、当業者であれば、水和形を使用する場合には、塩の量を調整することができるであろう。
【0156】
上記の異なった実施態様によれば、鉱物質層が形成されたら、第一の鉱物質層とは異なった、少なくとも1つの第二の鉱物質層を形成するために、その他の鉱物質前駆体を用いたバイオミネラリゼーションステップを繰り返すことができる。複数の鉱物質層の間に複数の高分子電解質層が形成されてもよい。
【0157】
任意の外側コーティング
本発明の特定の1実施態様によれば、ステップ(iv)の間またはステップ(vi)の終了時に、および/または鉱質化ステップに次いで、本発明によるスラリーに、多糖類、バイオポリマー、カチオン性ポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを添加して、マイクロカプセルの外側コーティングを形成することもできる。
【0158】
多糖類ポリマーは当業者に周知である。好ましい非イオン性多糖類は、イナゴマメゴム、キシログルカン、グアーゴム、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0159】
特定の1実施態様によれば、コーティングは、カチオン性コーティングからなる。
【0160】
カチオン性ポリマーもまた、当業者には周知である。好ましいカチオン性ポリマーは、少なくとも0.5meq/g、より好ましくは少なくとも約1.5meq/g、しかしまた好ましくは約7meq/g未満、より好ましくは約6.2meq/g未満のカチオン電荷密度を有する。カチオン性ポリマーのカチオン電荷密度は、US Pharmacopoeiaの窒素決定に関する化学的試験に記載されているケルダール(Kjeldahl)法によって決定することができる。好ましいカチオン性ポリマーは、第一級、第二級、第三級および/または第四級アミノ基を有する単位を含むものから選択され、前記ポリマーは、ポリマー主鎖の一部を形成するものであっても、主鎖に直接結合している側鎖置換基の一部であってもよい。カチオン性ポリマーの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000~3,500,000ダルトン、より好ましくは50,000~2,000,000ダルトンである。
【0161】
特定の1実施態様によれば、アクリルアミド系、メタクリルアミド系、N-ビニルピロリドン系、四級化N,N-ジメチルアミノメタクリレート系、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド系、四級化ビニルイミダゾール(3-メチル-1-ビニル-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド)系、ビニルピロリドン系、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド系、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド系、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド系もしくはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル系、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド系およびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド系のカチオン性ポリマーを使用する。好ましいコポリマーは、ポリクアテルニウム-5、ポリクアテルニウム-6、ポリクアテルニウム-7、ポリクアテルニウム-10、ポリクアテルニウム-11、ポリクアテルニウム-16、ポリクアテルニウム-22、ポリクアテルニウム-28、ポリクアテルニウム-43、ポリクアテルニウム-44、ポリクアテルニウム-46、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドもしくはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドからなる群から選択すべきである。
【0162】
市販の製品の具体例として、Salcare(R)SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドとのカチオン性コポリマー、入手元:BASF社)またはLuviquat(R)、たとえばPQ 11N、FC 550またはStyle(ポリクアテルニウム-11~68、またはビニルピロリドンの四級化コポリマー、入手元:BASF社)あるいはまたJaguar(R)(C13SまたはC17、入手元:Rhodia社)を挙げることができる。
【0163】
鉱質化ステップの後でコーティングを添加する場合、鉱質化されたマイクロカプセル表面の電荷および溶液の状態に依存して、アニオン性高分子電解質をまず表面に吸着させ、次いでカチオン性ポリマーを吸着させることができる。あるいはカチオン性ポリマーを吸着させ、次いでアニオン性コーティングを吸着させてもよい。
【0164】
鉱質化させたシェルの後官能化は、バリア機能を向上するため、さらなる酵素架橋のための基礎とするため、さらなる鉱質化のための基礎とするため、または異なった機能化表面を提供して適用ベースとの親和性もしくは適用ベースからの性能(たとえば堆積性能)を促すために行うことができる。
【0165】
本発明の上記の実施態様の1つによれば、上記のポリマーを、約0%~5%w/w、または約0.1%~2%w/wの量で添加することができ、この場合のw/wベースで記載されるパーセンテージは、ステップ(iv)または(vi)の後で得られるスラリーの全質量に対するものである。当業者であれば、前記のとおりに添加されるポリマーの一部のみが、マイクロカプセルシェルに組み込まれるおよび/または堆積することは明確に理解できるであろう。
【0166】
複合的なマイクロカプセルシステム
1実施態様によれば、本発明のマイクロカプセル(第一のマイクロカプセルスラリー)は、第二のマイクロカプセルスラリーと組み合わせて使用することができる。
【0167】
本発明のもう1つの対象は、
- 第一のマイクロカプセルスラリーとしての本発明によるマイクロカプセルスラリー、および
- 第二のマイクロカプセルスラリー
を含有し、第一のマイクロカプセルスラリーに含まれているマイクロカプセルと、第二のマイクロカプセルスラリーに含まれているマイクロカプセルとは、その疎水性材料および/または壁材料および/またはコーティング材料および/または鉱物質層が異なっている、マイクロカプセル送達システムである。
【0168】
非限定的な例として、本発明の第二のマイクロカプセルスラリーからのマイクロカプセルのポリマーシェルの性質は、異なっていてもよい。非限定的な例として、第二のマイクロカプセルスラリーのシェルは、アミノプラストベース、ポリ尿素ベースまたはポリウレタンベースであってよい。第二のマイクロカプセルスラリーのシェルは、ハイブリッド、つまり有機-無機のシェル、たとえば架橋した少なくとも2種類の無機粒子から構成されるハイブリッドシェルであるか、またはポリアルコキシシランマクロモノマー組成物の加水分解および縮合反応から得られたシェルであってもよい。
【0169】
1実施態様によれば、第二のマイクロカプセルスラリーのシェルは、アミノプラストコポリマー、たとえばメラミン-ホルムアルデヒドまたは尿素-ホルムアルデヒドまたは架橋したメラミンホルムアルデヒドもしくはメラミングリオキサールを含む。
【0170】
もう1つの実施態様によれば、第二のマイクロカプセルスラリーのシェルは、たとえばイソシアネート系モノマーおよびアミン含有架橋剤、たとえばグアニジンカーボネートおよび/またはグアナゾールから得られるポリ尿素系であってもよいが、これらに限定されるものではない。好ましいポリ尿素マイクロカプセルは、少なくとも2個のイソシアネート官能基を有する少なくとも1種類のポリイソシアネートと、アミン(たとえば水溶性グアニジン塩およびグアニジン)からなる群から選択される少なくとも1種類の反応体との重合の反応生成物であるポリ尿素壁、コロイド状安定剤または乳化剤、およびカプセル封入された香料を含む。しかし、アミンの使用は省略することができる。
【0171】
特定の1実施態様によれば、コロイド状安定剤は、ポリビニルアルコール0.1%~0.4%、ビニルピロリドンの、および四級化ビニルイミダゾールのカチオン性コポリマー0.6%~1%の水溶液を含有する(全てのパーセンテージは、コロイド状安定剤の全質量に対する質量によって定義される)。もう1つの実施態様によれば、乳化剤は、好ましくはアラビアゴム、ダイズタンパク、ゼラチン、カゼイン酸ナトリウムおよびこれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性もしくは両親媒性バイオポリマーである。
【0172】
もう1つの実施態様によれば、第二のマイクロカプセルスラリーのシェルは、たとえばポリイソシアネートおよびポリオール、ポリアミド、ポリエステル等から構成されるポリウレタン系であるが、これらに限定されるものではない。
【0173】
コア・シェル型マイクロカプセルの水性分散液/スラリーの製造は当業者に周知である。1つの態様では、前記マイクロカプセル壁材料は、任意の適切な樹脂を含んでいてもよく、特にメラミン、グリオキサール、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル等を含んでいる。適切な樹脂は、アルデヒドとアミンとの反応生成物を含有し、適切なアルデヒドは、ホルムアルデヒドおよびグリオキサールを含む。適切なアミンは、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、およびこれらの混合物を含む。適切なメラミンは、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、イミノメラミン、およびこれらの混合物を含む。適切な尿素は、ジメチロール尿素、メチル化ジメチロール尿素、尿素-レゾルシノール、およびこれらの混合物を含む。製造のために適切な材料は、以下の企業の1社以上から入手することができる:Solutia Inc. (St Louis, Missouri U.S.A.), Cytec Industries (West Paterson, New Jersey U.S.A.), Sigma-Aldrich (St. Louis, Missouri U.S.A.)。
【0174】
特定の1実施態様によれば、第二のコア・シェル型マイクロカプセルは、ホルムアルデヒド不含のカプセルである。アミノプラストホルムアルデヒド不含のマイクロカプセルスラリーを製造するための一般的な方法は、以下のステップを含む:
1)オリゴマー組成物を製造するステップであって、前記オリゴマー組成物は、
a)メラミン、またはメラミンと、2個のNH官能基を有する少なくとも1つのC~C化合物との混合物の形のポリアミン成分と、
b)グリオキサール、C~Cの2,2-ジアルコキシ-エタナール、および任意でグリオキサレートの混合物の形のアルデヒド成分であって、前記混合物は、1/1~10/1に含まれる、グリオキサール/C~Cの2,2-ジアルコキシ-エタナールのモル比を有するもの、および
c)プロトン酸触媒
の反応生成物であるか、または上記成分を反応させることにより得られるものを含有し、
2)液滴サイズが、1~600μmに含まれる水中油型分散液を製造するステップであって、前記分散液は、
i.オイル、
ii.水性媒体、
iii.ステップ1)で得られた、少なくとも1つのオリゴマー組成物、
iv.以下から選択される少なくとも1つの架橋剤:
A)C~C12芳香族もしくは脂肪族のジイソシアネートもしくはトリイソシアネート、およびそのビウレット、トリウレット、三量体、トリメチロールプロパン付加物、およびその混合物、および/または
B)式
A-(オキシラン-2-イルメチル)
(式中、nは、2または3を表し、かつAは、任意で2~6個の窒素原子および/または酸素原子を有するC~C基を表す)のジオキシランまたはトリオキシラン化合物、
v.任意で2個のNH官能基を有するC~C化合物
を含有しており、
3)前記分散液を加熱するステップ、
4)前記分散液を冷却するステップ。
【0175】
この方法は、国際公開第2013/068255号に、より詳細に記載されており、その内容をここで引用することにより本願に取り入れる。
【0176】
もう1つの実施態様によれば、第二のマイクロカプセルスラリーのシェルは、ポリ尿素系またはポリウレタン系である。ポリ尿素系マイクロカプセルおよびポリウレタン系マイクロカプセルを製造するための方法の例は、たとえば国際公開第2007/004166号、欧州特許出願公開第2300146号明細書、欧州特許出願公開第2579976号明細書に記載されており、これらの内容もここで引用することにより本願に取り入れる。一般に、ポリ尿素系マイクロカプセルおよびポリウレタン系マイクロカプセルの製造方法は、以下のステップを含む:
a)少なくとも2個のイソシアネート基を有する少なくとも1種類のポリイソシアネートを油中に溶解させて、油相を形成するステップ、
b)乳化剤またはコロイド状安定剤の水溶液を製造して、水相を形成するステップ、
c)油相を水相に添加して、平均液滴サイズが1~500μm、好ましくは5~50μmに含まれる水中油型分散液を形成するステップ、
d)界面重合を誘発するために十分な条件を適用し、かつスラリーの形のマイクロカプセルを形成するステップ。
【0177】
マイクロカプセル粉末を製造する方法
本発明のもう1つの対象は、上記のとおりのステップ、およびステップ(iv)または(vi)で得られたマイクロカプセルスラリーを乾燥、たとえば噴霧乾燥に供して、マイクロカプセル自体、つまり粉末状のマイクロカプセルを製造する追加のステップを有するマイクロカプセル粉末の製造方法である。そのような乾燥を行うためには、当業者に公知の任意の標準的な方法を適用することができると理解される。特にスラリーは、好ましくはポリマー担持材料、たとえばポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然デンプンもしくは変性デンプン、アラビアゴム、植物性ゴム、ペクチン、キサンタン、アルギン酸塩、カラギーナンまたはセルロース誘導体の存在下で噴霧乾燥することで、粉末形のマイクロカプセルが得られる。
【0178】
特定の1実施態様によれば、担持材料は、カプセル封入されていない香料オイルを含有し、前記香料オイルは、マイクロカプセルのコアの香料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0179】
マイクロカプセルスラリー/マイクロカプセル粉末
上記の方法によって得られるマイクロカプセルスラリーおよびマイクロカプセル粉末もまた、本発明の対象である。
【0180】
本発明のもう1つの対象は、
- オイルベースのコア、
- 任意で重合した多官能価モノマーから製造された内側のシェル、
- タンパク質を含有し、少なくとも1種類のタンパク質は架橋しているバイオポリマーシェル、および
- 任意で少なくとも1種類の外側の鉱物質層
から構成される、少なくとも1種類のマイクロカプセルを含有するコア・シェル型マイクロカプセルスラリーである。
【0181】
マイクロカプセルスラリーを製造する方法に関する前記の実施態様はすべて、上記のマイクロカプセルスラリーに該当する。
【0182】
疎水性材料、タンパク質、多官能価モノマー、外側の鉱物質層の定義は、上記のものと同じである。
【0183】
本発明によれば、オイルベースのコアは、上記のとおりの疎水性材料を含有する。
【0184】
1実施態様によれば、鉱物質層は、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む。鉱物質層は、好ましくは酸化鉄、オキシ水酸化鉄、またはリン酸カルシウムもしくは炭酸カルシウムである。全ての結晶質鉱物、非晶質鉱物および鉱物多形体(たとえばリン酸カルシウムに関してヒドロキシアパタイト、および炭酸カルシウムに関して方解石、バテライト、およびアラゴナイト)が含まれる。
【0185】
特定の1実施態様によれば、鉱物質層は、オキシ水酸化鉄の針鉄鉱(α-FeO(OH))である。
【0186】
1実施態様によれば、鉱物質層は、リン酸カルシウムである。
【0187】
1実施態様によれば、鉱物質層は、炭酸カルシウムである。
【0188】
1実施態様によれば、リン酸カルシウムおよび炭酸カルシウムを含有する複数の鉱物質層が存在する。
【0189】
特定の1実施態様によれば、マイクロカプセルは、バイオポリマーシェルおよび/または任意の鉱物質層の上に、上記のとおりの外側コーティングを有する。
【0190】
1実施態様によれば、タンパク質は、ミルクプロテイン、カゼイン酸塩、たとえばカゼイン酸ナトリウムもしくはカゼイン酸カルシウム、カゼイン、ホエイプロテイン、タンパク加水分解物、ゼラチン、グルテン、ピープロテイン、ソイプロテイン、シルクプロテイン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0191】
1実施態様によれば、バイオポリマー中に含まれているタンパク質は、架橋したタンパク質からなる。
【0192】
1実施態様によれば、タンパク質は、カゼイン酸ナトリウム、好ましくは架橋したカゼイン酸ナトリウムを含む。
【0193】
1実施態様によれば、タンパク質は、カゼイン酸ナトリウムおよび球状タンパク質を含み、好ましくは、これらはホエイプロテイン、β-ラクトグロブリン、オバルブミン、ウシ血清アルブミン、植物性タンパク質、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0194】
タンパク質は好ましくは、カゼイン酸ナトリウムとホエイプロテインとの混合物である。
【0195】
1実施態様によれば、バイオポリマーシェルは、カゼイン酸ナトリウムおよび/またはホエイプロテインからなる群から選択される、架橋したタンパク質を含む。
【0196】
特定の1実施態様によれば、マイクロカプセルスラリーは、
オイルベースのコア、好ましくは香料オイルを含むオイルベースのコア、
重合された多官能価モノマーから構成された内側のシェル、好ましくは少なくとも2個のイソシアネート官能基を有するポリイソシアネートから構成された内側のシェル、
タンパク質を含有し、少なくとも1つのタンパク質が架橋されているバイオポリマーシェルであり、前記タンパク質が、好ましくはカゼイン酸ナトリウムと球状プロテイン、好ましくはホエイプロテインとを含む混合物を含むものである、および
任意で、少なくとも1つの外側の鉱物質層
から構成されている、少なくとも1種類のマイクロカプセルを含む。
【0197】
1実施態様によれば、カゼイン酸ナトリウムおよび/またはホエイプロテインは、架橋したタンパク質である。
【0198】
カゼイン酸ナトリウムとホエイプロテインとの間の質量比は、好ましくは0.01~100、好ましくは0.1~10、さらに好ましくは0.2~5の間に含まれる。
【0199】
もう1つの実施態様によれば、マイクロカプセルスラリーは、
オイルベースのコア、好ましくは香料オイルを含むオイルベースのコア、
タンパク質を含有し、少なくとも1つのタンパク質は架橋されているバイオポリマーシェルであり、前記タンパク質が、好ましくはカゼイン酸ナトリウムとホエイプロテインとの混合物であり、および
任意で、少なくとも1つの外側の鉱物質層
から構成されており、シェルがポリイソシアネートを含有していない、好ましくは重合した多官能価モノマーを含有していない、少なくとも1種類のマイクロカプセルを含有する。
【0200】
バイオポリマーシェルは、上記のとおりの塩および架橋剤を含有していてもよい。
【0201】
理想的な状況は、送達性能が極めて高いことと組み合わせて、マイクロカプセルが極めて高い安定性を有している場合である、つまり適用において活性成分の漏出が極めて低い場合、たとえば摩擦前および摩擦後の適用における香料の場合には香料産業であるものの、適用に応じて様々なシナリオが非常に興味深いことも考えられ、匂いの性能が高く、安定性が若干低いカプセルが非常に有用であり、また匂いの性能が若干低く、安定性が高いものも同様であることを言及しておかなくてはならない。当業者であれば、適用におけるニーズに応じて最善のバランスを選択することができるであろう。
【0202】
消費者製品
本発明のマイクロカプセルは、活性成分と組み合わせて使用することができる。従って、本発明の対象は、
(i)上記のとおりのマイクロカプセル、
(ii)活性成分、好ましくは化粧用成分、スキンケア成分、香料成分、フレーバー成分、悪臭防止成分、殺菌成分、殺真菌成分、医薬成分もしくは農薬成分、消毒成分、昆虫忌避剤もしくは昆虫誘引剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される活性成分
を含有する組成物である。
【0203】
本発明のマイクロカプセルは、付香用もしくはフレーバー付け用組成物を製造するために使用することができ、前記の組成物もまた、本発明の対象である。
【0204】
付香された消費者製品
本発明のマイクロカプセルは、様々な付香された消費者製品に添加することもできる。
【0205】
特に、(i)上記のとおりのマイクロカプセル、(ii)少なくとも1種の付香用補助成分、および(iii)任意で香料用助剤、を含む付香用組成物は、本発明のもう1つの対象である。
【0206】
「付香用補助成分」とはここでは、付香用の調製物もしくは組成物において、心地よい効果を付与するために使用される化合物であって、上記のマイクロカプセルではないものを意味する。換言すれば、このような補助成分は、付香用のものであると考えられ、組成物に肯定的な、もしくは快い匂いを付与するか、または組成物の匂いを肯定的に、もしくは快いものに変性することができると当業者が認識することができる成分でなくてはならず、単に匂いを有するにすぎない成分ではない。付香用組成物中に存在する付香用補助成分の性質および種類は、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、そのような記載はいずれにしても網羅的なものにはならず、当業者であれば、自身の一般的な知識に基づいて、かつ意図する使用もしくは適用と、所望される嗅覚的効果に応じて選択することができるであろう。一般的には、これらの付香用補助成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素もしくは硫黄を有する複素環化合物および精油といった様々な化学クラスに属するものであり、前記の付香用補助成分は、天然由来であっても、合成に由来するものであってもよい。これらの補助成分の多くは、いずれにしても、S. Arctanderの著書であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAといった参考文献もしくはその最新版に列挙されているか、または同様の性質のその他の文献、ならびに香料分野における数多くの特許文献に記載されている。前記の補助成分は、様々なタイプの付香用化合物を制御された方法で放出することで知られている化合物であってもよいと理解される。
【0207】
「香料助剤」とはここでは、付加的な利益、たとえば色、特定の光に対する耐性、化学的安定性等を付与することができる成分であると理解する。付香ベースにおいて一般的に使用される助剤の性質および種類の詳細な記載は網羅的なものにはなりえないが、前記成分は、当業者に周知であることを言及しておかなくてはならない。
【0208】
好ましくは、本発明による付香用組成物は、上記のとおりのマイクロカプセルを0.1~30質量%含む。
【0209】
本発明によるマイクロカプセルは、多くの適用分野において有利に使用することができ、また消費者製品において使用される。マイクロカプセルは、液状の消費者製品に適用することができる液状の形でも、粉末状の消費者製品に適用することができる粉末の形でも使用することができる。
【0210】
香料オイルベースのコアを含むマイクロカプセルの場合、本発明の製品は、特に付香された消費者製品、たとえばファインフレグランスまたは「機能性」香料に属する製品において使用することができる。機能性香料は、特に、ヘアケア、ボディ洗浄、スキンケア、衛生ケアならびにランドリーケアおよびエアケアを含むホームケア製品を含んだパーソナルケア製品を含む。従って、本発明のもう1つの対象は、付香用成分、上記のとおりのマイクロカプセルまたは上記のとおりの付香用組成物を含有する付香された消費者製品である。前記の消費者製品の香料要素は、上記のとおりの香料マイクロカプセルと、カプセル封入されていない香料ならびにここに開示したマイクロカプセルとは異なるタイプの香料マイクロカプセルとの組合せであってもよい。
【0211】
特に、液状の消費者製品は
- 消費者製品の全質量に対して、2~65質量%の少なくとも1種類の界面活性剤、
- 水または水と混和可能な親水性有機溶剤、および
- 上記のとおりの付香用組成物またはマイクロカプセル(なお、香料を含む活性成分は、本発明のもう1つの対象である)
を含む。
【0212】
また、粉末状の消費者製品は、
- 消費者製品の全質量に対して、2~65質量%の少なくとも1種の界面活性剤、および
- 付香用組成物またはマイクロカプセル(なお、上記のとおりの香料を含有する活性成分は、本発明の一部である)
を含む。
【0213】
特定の1実施態様によれば、付香された消費者製品に含まれているマイクロカプセルを製造する方法は、多量の界面活性剤を含有する難しいベースにおける安定性を改善するために油相にポリイソシアネートを添加することを含む。
【0214】
従って、本発明によるマイクロカプセルはそのままで、または本発明による付香用組成物の一部として、付香された消費者製品に添加することができる。
【0215】
明確性を考慮して、「付香された消費者製品」とは、様々な利益の中でも、その製品が適用される表面(たとえば皮膚、毛髪、テキスタイル、紙または家庭における表面)または空気(エアフレッシュナー、脱臭剤等)に、付香効果をもたらすことが期待されている消費者製品を意味することに言及しておかなくてはならない。換言すれば、本発明による付香された消費者製品は、利益をもたらす剤中でも本発明によるマイクロカプセルの有効量と一緒に「ベース」とも呼ばれる機能的な配合物を含む、製造された製品である。
【0216】
付香された消費者製品のその他の成分の性質および種類は、ここでより詳細な記載を保証するものではないが、そのような記載はいずれにしても網羅的なものにはならず、当業者であれば、自身の一般的な知識に基づいて、かつ前記製品の性質および所望される効果に従って選択することができるであろうであろう。本発明のマイクロカプセルを配合することができる消費者製品のベース配合物は、そのような製品に関する数多くの文献に見出すことができる。これらの配合物は、ここでは詳細な記載を保証するものではなく、そのような記載はいずれにしても網羅的なものにはならないであろう。そのような消費者製品を配合する当業者であれば、自身の一般的な知識と、入手可能な文献とに基づいて、適切な成分を好ましく選択することができるであろう。
【0217】
適切な付香された消費者製品の非限定的な例は、香料、たとえばファインパフューマリー、コロン、アフターシェーブローション、ボディスプラッシュ、繊維ケア製品、たとえば液体洗剤もしくは固形洗剤、タブレットおよびポッド、繊維柔軟剤、乾燥機用シート、繊維リフレッシュ剤、アイロン水、または漂白剤、パーソナルケア製品、たとえばヘアケア製品(たとえばシャンプー、ヘアコンディショナー、染毛用調製物またはヘアスプレー)、化粧用調製物(たとえばバニシングクリーム、ボディローション、またはデオドラント剤もしくは制汗剤)、またはスキンケア製品(たとえば付香された石けん、シャワー用もしくはバス用のムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはジェル、バスソルト、または衛生用品)、エアケア製品、たとえばエアフレッシュナー、または「即時使用可能な」粉末状エアフレッシュナー、またはホームケア製品、たとえば多目的クリーナー、液状もしくは粉末状もしくはタブレット形の食器洗浄用製品、トイレ洗浄剤、または様々な表面を洗浄するための製品、たとえばテキスタイルまたは硬質表面(床、タイル、石張りの床等)の処理/リフレッシュを意図したスプレーおよびワイプ、衛生用品、たとえば生理用ナプキン、おむつ、トイレットペーパーであってよい。
【0218】
本発明のもう1つの対象は、
- パーソナルケア活性ベースおよび
- 上記のとおりのマイクロカプセルまたは上記のとおりの付香用組成物
を含み、パーソナルケア組成物の形である消費者製品である。
【0219】
本発明のマイクロカプセルを配合することができるパーソナルケア活性ベースは、そのような製品に関する数多くの文献に見出すことができる。これらの配合物は、ここでは詳細な記載を保証するものではなく、そのような記載はいずれにしても網羅的なものにはならないであろう。そのような消費者製品を配合する当業者であれば、自身の一般的な知識と、入手可能な文献とに基づいて、適切な成分を好ましく選択することができるであろう。
【0220】
パーソナルケア組成物は好ましくは、ヘアケア製品(たとえばシャンプー、ヘアコンディショナー、染毛用調製物またはヘアスプレー)、化粧用調製物(たとえばバニシングクリーム、ボディローション、またはデオドラント剤もしくは制汗剤)、またはスキンケア製品(たとえば付香された石けん、シャワー用もしくはバス用のムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはジェル、バスソルト、または衛生用品)、またはファインフレグランス製品(たとえばオードトワレ、EdT)からなる群から選択される。
【0221】
本発明のもう1つの対象は、
- ホームケアもしくは繊維ケア用の活性ベースおよび
- 上記のとおりのマイクロカプセルまたは上記のとおりの付香用組成物
を含み、ホームケアもしくは繊維ケア組成物の形である消費者製品である。
【0222】
本発明のマイクロカプセルを配合することができるホームケアもしくは繊維ケア用ベースは、そのような製品に関する数多くの文献において見出すことができる。これらの配合物は、ここで詳細な記載を保証するものではなく、そのような記載はいずれにしても包括的なものにはならないだろう。そのような消費者製品を配合する当業者であれば、自身の知識と、入手可能な文献とに基づいて、適切な組成物を好ましく選択することができるであろう。ホームケアもしくは繊維ケア用の組成物は好ましくは、繊維柔軟剤、液体洗剤、粉末洗剤、液状の匂いブースター、固形の匂いブースターからなる群から選択される。
【0223】
特定の1実施態様によれば、消費者製品は、繊維柔軟剤組成物の形であり、
- 85~99.8%の繊維柔軟剤活性ベース
- 0.1~15質量%、より好ましくは0.2~5質量%の本発明のマイクロカプセルスラリー
を含む。
【0224】
繊維柔軟剤活性ベースは、第四級アンモニウムのカチオン性界面活性剤、たとえばジエチルエステルジメチルアンモニウムクロリド(DEEDMAC)、TEAQ(トリエタノールアミンクォート)、HEQ(ハンブルクエステルクォート)を含有していてもよい。
【0225】
特定の1実施態様によれば、消費者製品は、付香用組成物の全質量に対して、
- 0.1~20%の上記のとおりのマイクロカプセル、
- 0~40%、好ましくは3~40%の香料、および
- 20~90質量%、好ましくは40~90質量%のエタノール
を含有する付香用組成物の形である。
【0226】
消費者製品は好ましくは、0.1~15質量%、より好ましくは0.2~5質量%の本発明のマイクロカプセルを含有する(なお、これらのパーセンテージは、消費者製品の全質量に対する質量によって定義される)。当然のことながら、上記の濃度は、それぞれの製品において望まれている有利な効果に応じて調整することができる。
【0227】
フレーバー付けされた消費者製品
本発明のマイクロカプセルは、フレーバーをカプセル内に封入して含んでいるものである場合、多様な食用の最終製品において使用することができる。本発明のマイクロカプセルによりフレーバー付けされる消費者製品は、食品、飲料、医薬品等を含んでいてもよい。たとえば本発明のマイクロカプセルスラリーまたは粉末状のマイクロカプセルを使用することができる食品ベースは、
・ベーカリー製品(たとえばパン、ビスケット、ケーキ、その他のベーカリー製品)、
・非アルコール飲料(たとえば炭酸飲料、ボトル詰めされた水、スポーツドリンク/エナジードリンク、果汁飲料、野菜ジュース、野菜ジュース調合飲料)、
・アルコール飲料(たとえばビールおよびモルト飲料、スピリッツ飲料)、
・インスタント飲料(たとえばインスタント野菜飲料、粉末状ソフトドリンク、インスタントコーヒーおよびインスタントティー)、
・シリアル製品(たとえば朝食用シリアル、事前に調理された調理加工済みコメ製品、米粉製品、雑穀およびモロコシ製品、生もしくは調理加工済みの麺およびパスタ製品)、
・乳製品(たとえばフレッシュチーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、乳飲料、ホエイ、バター、ミルクプロテインの部分加水分解物もしくは完全に加水分解されたミルクプロテインを含む製品、発酵乳製品、コンデンスミルク等)、
・乳ベースの製品(たとえばフルーツヨーグルトもしくはフレーバー付けされたヨーグルト、アイスクリーム、フルーツアイス)
・糖菓製品(たとえばチューイングガム、ハードキャンディおよびソフトキャンディ)、
・チョコレートおよびコンパウンドコーティング、
・油脂もしくは油脂エマルションをベースとする製品(たとえばマヨネーズ、スプレッド、マーガリン、ショートニング、レムラード、ドレッシング、スパイス調合物)、
・スパイスを添加した、マリネした、または加工した魚製品(たとえば魚肉ソーセージ、すり身)、
・卵または卵製品(乾燥卵、卵白、卵黄、カスタード)、
・デザート(たとえばゼラチンおよびプリン)、
・ソイプロテインまたはその他のダイズ成分から製造された製品(たとえば豆乳および豆乳から製造された製品、ダイズレシチン含有調製物、発酵製品、たとえば豆腐またはテンペまたはこれらから製造された製品、醤油)、
・野菜調製物(たとえばケチャップ、ソース、加工され、かつ再構築された野菜、乾燥野菜、冷凍野菜、事前に調理された野菜、野菜のピクルスもしくは酢漬け、野菜濃縮物もしくはペースト、調理済み野菜、ジャガイモ調製物)、
・ベジタリアン用代用肉、ベジタリアン用バーガー、
・スパイスまたはスパイス調製物(たとえばマスタード調製物、ホースラディッシュ調製物)、スパイス混合物、および特に、たとえばスナック分野で使用されるシーズニング、
・スナック製品(たとえばベークドポテトまたはフライドポテトチップ、またはジャガイモ生地製品、パン生地製品、トウモロコシ、コメ、または粉砕したナッツをベースとする押出成形品)、
・肉製品(たとえば加工肉、鶏肉、牛肉、豚肉、ハム、生ソーセージまたは生肉調製物、スパイスした、もしくはマリネした生肉、または塩漬け肉、成形肉)、
・調理加工済み料理(たとえばインスタント麺、コメ、パスタ、ピザ、トルティージャ、ラップ)およびスープおよびブイヨン(たとえばストック、セイボリーキューブ、乾燥スープ、インスタントスープ、調理加工済みのスープ、レトルトスープ)、ソース(インスタントソール、乾燥ソース、調理加工済みソース、グレイビー、スイートソース)、
・口腔ケア製品(練り歯磨き、歯磨き粉、フレーバー付けされたデンタルフロス、マウスウォッシュ…)
を含む。
【0228】
好ましくは、本発明のマイクロカプセルは、ベーカリー製品、インスタント飲料、シリアル製品、乳製品、乳ベース製品、油脂または油脂エマルションベースの製品、デザート、野菜調製物、ベジタリアン用代用肉、スパイスおよびシーズニング、スナック、肉製品、調理加工済み料理、スープおよびブイヨン、およびソースからなる群から選択された製品において使用されるべきである。
【0229】
ところで、実施例を用いて本発明を詳細に記載する。これらの実施例によって特許請求の範囲に記載した発明を何ら限定することを意図したものではないことを認識されたい。
【実施例
【0230】
例1
本発明の方法によるマイクロカプセルの製造(鉱物質層として炭酸カルシウム)
以下のプロトコルに従ってマイクロカプセルA~Dを製造した。
1)カゼイン酸ナトリウムを室温(RT)で脱イオン水(DI)中に溶解、
2)塩化カルシウム(水溶液)をカゼイン酸ナトリウム溶液に徐々に添加し、RTで15分まで撹拌、
3)ポリイソシアネート(Takenate(R) D-110N)を含有する香料オイル(第1表を参照)と乳化剤溶液とを合し、均質化(18,000rpmで3分間)、
4)次いで乳化剤を反応器に移し、pHを6.5w/NaOH以下になるまで調整し、45℃になるまで加熱、
5)反応器にトランスグルタミナーゼ(水溶液)を添加し、45℃で3時間撹拌、
6)次いで反応器を70℃になるまで加熱し、30分間維持し、次いでRTまで冷却。
【0231】
若干のマイクロカプセルは、さらに、以下のプロトコルに従って、NaCO/CaClをそれぞれ添加することにより、炭酸カルシウム(CaCO)によって鉱質化する。
1)マイクロカプセルスラリー20gをDI 180gに添加し、室温で撹拌(250rpm、25℃)、
2)0.1MのNaCO 13.6mLを1時間にわたってゆっくり添加し(0.23mL/分)、次いで1時間にわたって撹拌、
3)0.1MのCaCl 13.6mLを1時間にわたってゆっくり添加し(0.23mL/分)、次いで1時間にわたって撹拌、
4)NaCOおよびCaClの添加を複数回反復(合計で4サイクル)。
【0232】
【表3】
1)Firmenich社の商標名、ペンタデセノリド、入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社、
2)Firmenich社の商標名、メチル-シス-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテート、入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社、
3)IFF社の商標名、7-アセチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-1,1,6,7-テトラメチルナフタレン、
4)Givaudan社の商標名、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール。
【0233】
【表4】
1)Ramsen Food and Dairy Products LLC社、
2)第1表を参照、
3)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、入手元:日本国在、三井化学株式会社、
4)Activa TI(R)、入手元:味の素社。
【0234】
例2
本発明の方法によるマイクロカプセルの製造(鉱物質層としてリン酸カルシウム)
例1と同じプロトコルを使用してマイクロカプセルを製造したが、ただしバイオミネラリゼーションステップは、以下のステップを含む。
1)マイクロカプセルスラリー15gを、NHOH/NHCl緩衝溶液(pH9)に添加し、室温で撹拌(250rpm、25℃)
2)0.18Mの二塩基性リン酸ナトリウム(NaHPO)17mLを1時間にわたって添加(283μL/分)、
3)1時間撹拌、
4)0.3Mの硝酸カルシウム(Ca(NO)7.5mLおよび0.18Mのリン酸ナトリウム7.5mLを、1時間にわたって同時に添加(それぞれ125μL/分)、
5)1時間撹拌、
6)0.3Mの硝酸カルシウム(Ca(NO)30mLおよび0.18Mのリン酸ナトリウム30mLを、1時間にわたって同時に添加(それぞれ500μL/分)、
7)1時間撹拌、
8)ステップ6)~7)を再度反復。
【0235】
例3
シャワージェル組成物の安定性に関する性能
【表5】
1)EDTA四ナトリム、入手元:BASF社、
2)アクリレートコポリマー、入手元:Noveon社、
3)C12~C15パレス硫酸ナトリウム、入手元:Zschimmer & Schwarz社、
4)メチルクロロイソチアゾリノンおよびメチルイソチアゾリノン、入手元:Rohm & Haas社。
【0236】
シャワージェルベースの製造
ビーカーに、脱イオン水を添加し、次いで撹拌下にEDETA B粉末を添加する。carbopol aqua SF-1ポリマーおよびZetesol AO 328 Uを反応混合物に添加する。水酸化ナトリウム溶液によりpHを調整する。Tego(R) Betain F 50、the Kathon CGおよびクエン酸溶液を添加して、シャワージェルベースが得られる(pH=6.0~6.3、粘度:5000~6000cPs、LVスピンドル3、スピード12)。
【0237】
本発明のカプセルを第3表に記載のシャワージェルベース中に分散させて、カプセル封入された香料オイル0.20%の濃度が得られた。次いでサンプルを37℃で1週間老化させて、促進安定性評価に用いた。
【0238】
安定性評価のプロトコル
サンプル1gを20mlのヘッドスペースバイアルに秤量し、セプタムで密閉する。サンプルを65℃で10分間、平衡化させる。SPMEファイバーを65℃で20分間、蒸気相に曝露する。SPMEファイバーを250℃で5分間、標準GCインジェクタ(スプリットレス)中へ脱着させる。次いで成分をAgilent GCMS(5977B MSD、7890B GC)またはその等価物により分析した。全てのサンプルを、100%のリーケージに相応する、カプセル封入されていないオイルの参照コントロールと対比した。
【0239】
結果
結果は図1に示されている。
【0240】
これらの結果から、ポリイソシアネートの量が限定的であっても、本発明のマイクロカプセルは顕著なカプセル封入およびフレグランスの安定化を示すことを結論付けることができる。カプセルは、苛酷で複雑な適用配合物中、37℃で1週間のインキュベーションの後でも著量のオイルを保持しており、このことは、比較的長期間にわたる安定性および性能の促進安定性試験の指標となる。安定性の結果は、シャワージェル中のカプセル封入されていない香料オイルに対応する含有量に対してプロットされている。
【0241】
例4
繊維柔軟剤組成物中の安定性に関する性能
本発明のカプセルを、第4表に記載の繊維柔軟剤ベース中に分散させて、カプセル封入された香料オイル0.20%の濃度が得られ、37℃に高めた温度で1週間後に安定性を評価した。
【0242】
【表6】
【0243】
これらの結果は、図2に示されている。
【0244】
それらの結果から、ポリイソシアネートの量が限定的であっても、本発明のマイクロカプセルは顕著なカプセル封入およびフレグランスの安定性を示すことを結論付けることができる。カプセルは、苛酷で複雑な適用配合物中、37℃で1週間のインキュベーションの後でも著量のオイルを保持しており、このことは、比較的長期間にわたる安定性および性能の促進安定性試験の指標となる。安定性の結果は、繊維柔軟剤中のカプセル封入されていない香料オイルに対応する含有量に対してプロットされている。
【0245】
例5
繊維柔軟剤組成物中での嗅覚的性能
3インチ×5インチの吸取紙の表面に、製品(カプセル封入されたオイル0.2%を含有し、37℃で2週間老化させた繊維柔軟剤)0.15gを均一に適用した。吸取紙を評価する前に、空気中で24時間乾燥させた。フレグランス強度を最初(摩擦前)に評価し、次いで吸取紙を3回摩擦した後(摩擦後)に再度評価した。
【0246】
評価スケール:
1=匂いなし、2=かろうじて知覚可能、3=弱い、4=中程度、5=強い、6=非常に強い、7=極めて強い。
【0247】
結果
マイクロカプセルで処理した吸取紙の香料の知覚強度を、訓練したパネリスト11名のパネルにより評価した。パネリスト達は、1~7のスケールで香料の知覚強度を評価することを依頼されており、1は、匂いがしないことを意味し、7は、匂いが非常に強いことを意味する。
【0248】
図3からわかるように、本発明のマイクロカプセルは、摩擦後に、顕著なバースト効果およびフレグランス強度を示している。37℃に高めた温度で2週間の適用ベース中でのカプセルスラリーの老化後であっても、低い摩擦前強度および高い嗅覚的信号は、安定性、オイル保持、および性能の良好な指標である。
【0249】
例6
本発明の方法によるマイクロカプセルの製造
例1に記載したプロトコルと同様のプロトコルを適用して、下記の第6表に記載のとおりの組成を有するマイクロカプセルEを製造した。異なった香料オイル(香料B、第5表)および異なったポリイソシアネート濃度(0.6)を使用した。
【0250】
【表7】
1)入手元:スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社、
2)IFF社の商標、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート。
【0251】
例7
本発明の方法によるマイクロカプセルの製造
以下のプロトコルに従って、マイクロカプセルF~Jを製造した。
1)カゼイン酸ナトリウムおよび/またはホエイプロテインをRTでDI水中に溶解、
2)塩化カルシウム(水溶液)をタンパク質溶液にゆっくり添加し、RTで15分まで撹拌、
3)ポリイソシアネート(Takenate(R) D-110N)を含有する香料オイル(第5表を参照)と乳化剤溶液とを合し、かつ均質化(10,000rpmで2分間)、
4)次いでエマルションを反応器に移し、pHを6.5w/NaOH以下に調整し、かつ45℃になるまで加熱、
5)トランスグルタミナーゼ(水溶液)を反応器に添加し、かつ45℃で3時間撹拌、
6)pHを5.4w/HCl以下に調整し、次いで85℃になるまで加熱、
7)反応器を85℃で60分間撹拌し、次いでRTに冷却。
【0252】
【表8】
5)Ramsen Food and Dairy Products LLC社、
6)Agropur Dairy Cooperative社、
7)第5表を参照、
8)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、入手元:三井化学株式会社、
9)Activa TI(R)入手元:味の素社。
【0253】
例8
本発明の方法によるマイクロカプセルの製造(鉱物質層としてリン酸カルシウム)
例7のプロトコルと同じプロトコルを使用してマイクロカプセルK~Mを製造したが、ただしバイオミネラリゼーションステップは、例2のプロトコルと同じであった。
【0254】
【表9】
1)Ramsen Food and Dairy Products LLC社、
2)Agropur Dairy Cooperative社、
3)第5表を参照、
4)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、入手元:三井化学株式会社、
5)Activa TI(R)入手元:味の素社。
【0255】
例9
繊維柔軟剤組成物中での安定性に関する性能
本発明のカプセルを、第4表に記載の繊維柔軟剤ベース中に分散させて、カプセル封入された香料オイル0.20%の濃度が得られ、37℃に高めた温度で1ヶ月後に安定性を評価した。
【0256】
安定性評価のプロトコル
サンプル1gを20mLのシンチレーションバイアル中に秤量した。水4mLを添加し、IKA KS 130のオービタルシェーカーを用いて480rpmで5分間混合した。抽出溶剤(イソオクタン90%/エーテル10%、1,4-ジブロモベンゼン150ppmを含む)5mLを添加し、IKA KS 130のオービタルシェーカーを用いて480rpmで15分間混合した。15mLの遠心分離管に移し、6000rcfで60分間回転させた。上澄みをAgilent GCMS (5977B MSD, 7890B GC)またはその等価物により分析する。全てのサンプルは、100%のリーケージに相応する、カプセル封入されていないオイルの参照コントロールと対比される。
【0257】
結果は、図4に示されている。
【0258】
図4から、ポリイソシアネートの量が限定的であっても、本発明のマイクロカプセルは顕著なカプセル封入およびフレグランスオイルの安定性を示すことを結論付けることができる。カプセルは、苛酷で複雑な適用配合物中、37℃で1ヶ月のインキュベーションの後でも著量のオイルを保持しており、このことは、比較的長期間にわたる安定性および性能の促進安定性試験の指標となる。安定性の結果は、繊維柔軟剤適用におけるカプセル封入されていない香料オイルに対応する含有量に対してプロットされている。さらに、これらの結果から、カゼイン酸ナトリウムとホエイプロテインとが組み合わされたマイクロカプセルF~Hは、最善のリーケージ安定性を示すことがわかる。
【0259】
例10
繊維柔軟剤組成物中での嗅覚的性能
タオル(24枚)を、付香されていない洗剤36gで洗濯し、次いでカプセルE、F、GまたはHからのカプセル封入されたオイル(香料B)0.116%を含む繊維柔軟剤15gで処理してから、タオルを24時間、ライン乾燥させた。パネリスト達は、自分たちのタオルセットを評価し、フレグランス強度を、摩擦前および摩擦後に、固定された線状の標識ラインスケールでランク付けした。
評価スケール:
1=匂いなし、2=かろうじて知覚可能、3=弱い、4=中程度、5=強い、6=非常に強い、7=極めて強い。
【0260】
結果
マイクロカプセルで処理した乾燥後のタオルにおける香料の知覚強度を、訓練したパネリスト18名のパネルにより評価した。パネリスト達は、1~7のスケールで香料の知覚強度を評価することを依頼されており、1は、匂いがしないことを意味し、7は、匂いが非常に強いことを意味する。
【0261】
図5からわかるように、本発明のマイクロカプセルは、摩擦後に、顕著なバースト効果を示している。37℃に高めた温度で適用ベース中でのカプセルスラリーの老化後であっても、低い摩擦前強度および高い嗅覚的信号は、安定性、オイル保持、および性能の良好な指標である。
【0262】
例11
噴霧乾燥カプセル
マイクロカプセルNを、実験室規模のBuechi B-290 Mini Spray Dyer噴霧乾燥機を使用して噴霧乾燥し、圧縮空気により最大吸引速度の70%~90%に設定した速度で、入口温度を200℃に設定して吸引した。すすいで凝縮させたマイクロカプセルスラリー約50~200gを、最大ポンプ速度の5~15%に設定したポンプ速度で噴霧乾燥機にポンプ輸送した。全てのスラリーをポンプでシステムへ輸送したら、噴霧乾燥機を冷却し、乾燥した粉末を回収する。
【0263】
例12
カプセルの特性決定
マイクロカプセルを画像化するために、アルミニウム台紙に付着させ、次いで金/パラジウムプラズマによりスパッタコーティングしたカーボン紙上で、希釈したカプセルスラリーを乾燥させた。分析のために、台紙を走査型電子顕微鏡(JEOL 6010 PLUS LA)に設置した。鉱質化したカプセルK、NおよびOの画像は、それぞれ、図6図7および図8に示されており、平滑なポリ尿素マイクロカプセルを足場にして、突起のある鉱物質コーティングを成長させることで、安定した、耐久性のある、粗く鉱質化されたマイクロカプセルを生成できることがわかる。
【0264】
比較として、図9のカプセルEは、平滑で変性されていない表面を有している。
【0265】
カプセルNを噴霧乾燥したものは、図10に示されている。
【0266】
ポリイソシアネート不含のカプセルJは、図11に示されている。
【0267】
例13
ロールオンタイプの制汗剤組成物における嗅覚的性能
要求される用量(カプセル封入された香料オイル0.20%に相当)でカプセルを以下の組成物に配合する。
【0268】
【表10】
【0269】
3インチ×5インチの吸取紙の表面に、製品(カプセル封入されたオイル0.2%を含有するAPロールオンベース)0.15gを均一に適用した。評価の前に、吸取紙を空気中で24時間乾燥させた。フレグランス強度を、最初(摩擦前)に評価し、次いで吸取紙を3回摩擦した後(摩擦後)に再度評価した。
【0270】
評価スケール:
1=匂いなし、2=かろうじて知覚可能、3=弱い、4=中程度、5=強い、6=非常に強い、7=極めて強い。
【0271】
結果
マイクロカプセルで処理した乾燥後の吸取紙の香料の知覚強度を、訓練したパネリスト14名のパネルにより評価した。パネリスト達は、1~7のスケールで香料の知覚強度を評価することを依頼されており、1は、匂いがしないことを意味し、7は、匂いが非常に強いことを意味する。
【0272】
図12からわかるように、本発明のマイクロカプセルは、摩擦後に、顕著なバースト効果を示している。低い摩擦前強度および高い嗅覚的信号は、安定性、オイル保持、および性能の良好な指標である。
【0273】
例14
リーブオン・ヘアコンディショナー組成物における嗅覚的性能
【表11】
毛髪サンプルの処理および感覚的評価のプロトコル(リーブオン)
要求される用量(カプセル封入された香料オイル0.20%に相当)で、室温で撹拌下にカプセルをリーブオンベースに配合する。清潔で乾燥した毛髪サンプル10gを37℃の温かい水道水で30秒間濡らす。付香されていないシャンプー2.5gを毛髪サンプルに適用し、30秒間泡立て、次いで毛髪サンプルの山の頂点に向けて、温かい流水(流量=4L/分)下で30秒間すすぐ(サンプルの片側あたり15秒)。過剰の水を優しく搾り出す。次いで毛髪サンプルあたり、リーブオン製品1gを適用し、手袋をはめた手で1分間、優しくこすって毛髪サンプルに均一に分散させる。次いで毛髪サンプルをクシで梳かし、次いで乾燥棚において空気乾燥させる。次の強度スケール1~7を使用して、専門化パネリスト達により、毛髪サンプルを24時間後に評価する:1)知覚不可能、2)わずかに知覚可能、3)弱い、4)中程度、5)持続されている、6)強烈、7)非常に強烈。
【0274】
評価スケール:
1=匂いなし、2=かろうじて知覚可能、3=弱い、4=中程度、5=強い、6=非常に強い、7=極めて強い。
【0275】
結果
マイクロカプセルで処理した乾燥後のタオルの香料の知覚強度を、訓練したパネリスト15名のパネルにより評価した。パネリスト達は、1~7のスケールで香料の知覚強度を評価することを依頼されており、1は、匂いがしないことを意味し、7は、匂いが非常に強いことを意味する。
【0276】
図13からわかるように、本発明のマイクロカプセルは、摩擦後に、顕著なバースト効果を示している。低い摩擦前強度および高い嗅覚的信号は、安定性、オイル保持、および性能の良好な指標である。
【0277】
例15
本発明のカプセルへのカチオン性コーティングの添加
マイクロカプセルPおよびQの製造方法は、それぞれ、マイクロカプセルHおよびLの製造方法に対応するが、ただし、カチオン性コポリマー、つまりアクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー(Salcare(R) SC60、入手元:BASF社)(水中3質量%)を添加する付加的なステップを方法の最後に実施した。
【0278】
【表12】
1)Ramsen Food and Dairy Products LLC社、
2)Agropur Dairy Cooperative社、
3)第5表を参照、
4)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、入手元:三井化学株式会社、
5)Activa TI(R)、入手元:味の素社、
6)アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、入手元:BASF社。
【0279】
例16
リンスオフ・シャンプー組成物における嗅覚的性能
【表13】
毛髪サンプルの処理および感覚的評価のプロトコル(リンスオフ)
要求される用量(カプセル封入された香料オイル0.5%に相当)で、室温で撹拌下にカプセルをリンスオフベースに配合する。清潔で乾燥した毛髪サンプル10gを37℃の温かい水道水で30秒間濡らす。毛髪サンプルあたり、リンスオフ製品1gを適用し、手袋をはめた手で優しくこすって毛髪サンプルに均一に分散させる。毛髪サンプルをすすぐために、毛髪サンプルを清潔で温かい水中で1回の動作あたり3回浸漬し、かつ撹拌し、次いで毛髪サンプルの山の頂点に向けて、温かい流水(流量=4L/分)下で30秒間すすぐ(サンプルの片側あたり15秒)、連続ビーカー洗浄を使用して毛髪サンプルを2回すすぐ。毛髪サンプルを、絞って乾燥させることは行わなかった。サンプルの適用、分配およびすすぎを2回繰り返してから、毛髪サンプルを乾燥棚において空気乾燥させる。次の強度スケール1~7を使用して、専門化パネリストにより、毛髪サンプルを24時間後に評価する:1)知覚不可能、2)わずかに知覚可能、3)弱い、4)中程度、5)持続されている、6)強烈、7)非常に強烈。
【0280】
評価スケール:
1=匂いなし、2=知覚可能、3=弱い、4=中程度、5=強い、6=非常に強い、7=極めて強い。
【0281】
結果
マイクロカプセルで処理した乾燥後のタオルの香料の知覚強度を、訓練したパネリスト16名のパネルにより評価した。パネリスト達は、1~7のスケールで香料の知覚強度を評価することを依頼されており、1は、匂いがしないことを意味し、7は、匂いが非常に強いことを意味する。
【0282】
図14からわかるように、本発明のマイクロカプセルは、摩擦後に、顕著なバースト効果を示している。低い摩擦前強度および高い嗅覚的信号は、安定性、オイル保持、および性能の良好な指標である。
【0283】
例17
毛髪上への付着試験
付着を定量化するために、以下の手順を使用した。ミニサイズの毛髪サンプル500mgを、その山に向けて140mLのシリンジを使用して水道水(37~39℃)40mLで濡らした。過剰の水を優しく1回絞り出し、UVトレーサー(Uvinul A Plus)を含有するマイクロカプセルを含む界面活性剤混合物サンプル0.1mLを、100μLのポジティブディスプレイスメント式ピペットを使用して適用した。界面活性剤混合物を、水平に10回、および垂直に10回分散させた。次いで水道水(37~39℃)100mLをサンプルの山に向けてそれぞれの側に50mL適用することでサンプルをすすいだ。過剰の水を優しく搾り出し、次いで毛髪サンプルを切断して、予め秤量しておいた20mLのシンチレーションバイアルに入れた。この方法をあと2回繰り返し、次いで切断された毛髪を含有しているバイアルを、真空炉中、50~60℃(100トル)で少なくとも5時間乾燥させた。乾燥プロセスの後で、バイアルを再度秤量して、バイアル中の毛髪の質量を決定した。カプセルを含有する界面活性剤混合物サンプル0.1mLを、空のバイアルに添加することによってコントロールも準備した。次いで200プルーフのエタノール4mLをそれぞれのバイアルに添加し、これらを60分間、超音波処理に供した。超音波処理の後、0.45μmのPTFEフィルターでサンプルを濾過し、UV検出器を使用してHPLCで分析した。界面活性剤混合物サンプルからのマイクロカプセルの付着割合を決定するために、毛髪サンプルから抽出したUvinulの量を、コントロールサンプルから抽出したUvinulの量と比較した。
【0284】
【表14】
1)アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、入手元:BASF社。
【0285】
結果
毛髪サンプル上での付着は、この簡潔化された界面活性剤混合物サンプルから測定されたが、これは、パーソナル洗浄用配合物、たとえばシャンプーまたはシャワージェルの代表例を意味するものである。結果は、図15に示されている。
【0286】
図15に示されているデータは、本発明によるカプセル(カプセルE、GおよびH)は界面活性剤混合物サンプルから毛髪サンプル上へのフレグランスオイルの定量化可能な量を付着させ、かつ本発明によるこれらのカプセルの鉱物質層の追加(それぞれ、カプセルN、KおよびL)は、毛髪サンプルへのオイルの付着を最大で5倍まで増大させることを示している。
【0287】
例18
口腔ケア適用のための過酸化水素中での鉱物コーティングの安定性
安定性プロトコルは以下のとおりである:マイクロカプセルスラリー100mgを、pH6.5に調整した過酸化水素溶液10ml中に導入し、優しく撹拌し、次いでサンプルを22℃で一ヶ月インキュベーションした。次いでマイクロカプセルを、走査型電子顕微鏡で観察して、鉱物シェルの物理的な劣化が観察されるかを確認した。図16は、外側の鉱物コーティングは、多くの口腔ケア適用において見られるpHもしくは過酸化水素との接触により影響されないことを示している。
【0288】
例19
リンスオフコンディショナー組成物
付香されたマイクロカプセルHを上記のリンスオフ組成物に添加した。白人の褐色の毛髪サンプル10gを長さ20cmで使用し、平坦な金属クリップで固定した。白人の毛髪で、平坦に束ねたものをこの評価のために選択した。というのは、白人の毛髪はどちらかというと直径が小さく、太くて粗いアジア人の毛髪と比較して粘性のコンディショナー組成物の適用の再現性がより保証されるからである。毛髪サンプルを温かい水道水(37℃)で流し、過剰の水を手で絞り出した。リンスオフ製品1gをサンプルに適用し、30秒にわたって、ニトリル手袋をはめた手で分散させた。次いでサンプルを24時間、乾燥棚で空気乾燥させた。嗅覚的評価は、クシで梳かす前と、梳かした後に、8名のパネリストの群により実施した。強度は、1~7のスケール(1=匂いなし、7=最大の匂い強度)で報告された。8名のパネリストの評価の平均を報告する。
【0289】
【表15】
1)Genamin KDMP, Clariant社、
2)Tylose H10 Y G4,信越化学工業株式会社、
3)Lanette O, BASF社、
4)Arlacel 165, Croda社、
5)Incroquat Behenyl TMS-50-PA- (MH), Croda社、
6)Brij S20, Croda社、
7)Xiameter MEM-949, Dow Corning社、
8)Alfa Aesar社。
【0290】
均一な混合物が得られるまで相Aの成分を混合する。Tyloseを完全に溶解させる。次いで混合物を70~75℃に加熱する。相Bの成分を合し、70~75℃で溶融させる。次いで、相Bの成分を良好な撹拌下に相Aに添加し、60℃に冷却されるまで混合を継続する。次いで撹拌しながら相Cの成分を添加し、混合物が40℃に冷却されるまで混合を継続する。クエン酸溶液でpHをpH3.5~4.0に調整する。
【0291】
【表16】
【0292】
第14表から、本発明によるマイクロカプセルが摩擦効果を示すことに着目することができる。
【0293】
例20
液体洗剤組成物
香料0.15%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルH(0.19g)を秤量し、液体洗剤(第15表)35gの用量と混合した。
【0294】
【表17】
1)Hostapur SAS 60;入手元:Clariant社、
2)Edenor K 12-18;入手元:Cognis社、
3)Genapol LA 070;入手元:Clariant社、
4)入手元:Genencor International社、
5)Aculyn 88;入手元:Dow Chemical社。
【0295】
プロトコル
ファブリック(綿のパイル地タオル2.0kg)を標準的なヨーロッパ式水平軸洗濯機(Miele社Novotronic W 900-79 CH)中、40℃で、マイクロカプセルスラリー0.53%を含有する液体洗剤35gの用量で洗濯した。洗濯後、ファブリックを一夜、ライン乾燥させ、次いで訓練したパネリスト8名のパネルにより綿タオルの匂いの強度を評価した。パネリスト達は、手でファブリックを優しく摩擦する前と摩擦した後とで、タオルの匂いの強度を1~7のスケールで評価するよう依頼された。1は、匂いなしに対応し、7は、極めて強い匂いに対応する。
【0296】
結果
【表18】
【0297】
例21
高エタノールEdT組成物における嗅覚的性能
【表19】
【0298】
3インチ×5インチの吸取紙の表面に、製品(カプセル封入した香料オイルを1%含有する高エタノールEdTベース)160μL(~0.2g)を均一に適用した。吸取紙を1時間、空気乾燥させ、次いで32℃に予熱してあった精密ホットプレートで4時間乾燥させたので、評価の前に合計で5時間乾燥させたことになる。フレグランス強度を当初(摩擦前)と、次いで吸取紙を3回摩擦後(摩擦後)に再度、評価した。
【0299】
評価スケール:
1=匂いなし、2=かろうじて認識可能、3=弱い、4=中程度、5=強い、6=極めて強い、7=著しく強い。
【0300】
結果
マイクロカプセルHおよびLで処理し、乾燥した吸取紙における香料の知覚の強度は、訓練したパネリスト20名のパネルによって評価された。パネリスト達は、1~7の範囲のスケールで香料の知覚強度を評価することを依頼された。1は、匂いがないことを意味し、7は、非常に強力な匂いを意味する。
【0301】
図17からわかるように、本発明のマイクロカプセルは、カプセル封入されていないコントロールオイルの強度デルタと比較して、摩擦後に著しいバーストを示す。
【0302】
例22
低エタノールEdT組成物の嗅覚的性能
【表20】
【0303】
3インチ×5インチの吸取紙の表面に、製品(カプセル封入した香料オイルを1%含有する低エタノールEdTベース)160μL(~0.2g)を均一に適用した。吸取紙を1時間、空気乾燥させ、次いで32℃に予熱してあった精密ホットプレートで4時間乾燥させたので、評価の前に合計で5時間乾燥させたことになる。フレグランス強度を当初(摩擦前)と、次いで吸取紙を3回摩擦後(摩擦後)に再度、評価した。
【0304】
評価スケール:
1=匂いなし、2=かろうじて認識可能、3=弱い、4=中程度、5=強い、6=極めて強い、7=著しく強い。
【0305】
結果
マイクロカプセルH、GおよびLで処理し、乾燥した吸取紙における香料の知覚の強度は、訓練したパネリスト20名のパネルによって評価された。パネリスト達は、1~7の範囲のスケールで香料の知覚強度を評価することを依頼された。1は、匂いがないことを意味し、7は、非常に強力な匂いを意味する。
【0306】
図18からわかるように、本発明のマイクロカプセルは、カプセル封入されていないコントロールオイルの強度デルタと比較して、摩擦後に著しいバーストを示す。
【0307】
例23
噴霧乾燥したマイクロカプセル調製物
以下の成分を含有するエマルション1~5を用意する。
【0308】
【表21】
1)CapsulTM, Ingredion社、
2)マルトデキストリン 10DE、入手元: Roquette社、
3)マルトース、Lehmann & Voss社、
4)シリカ、Evonik社、
5)第20表を参照のこと。
【0309】
【表22】
1)スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社、
2)3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、スイス国ヴェルニエ在、Givaudan SA社、
3)1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、米国在、International Flavors & Fragrances社、
4)スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社、
5)メチルジヒドロジャスモネート、スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社、
6)スイス国ジュネーブ在、Firmenich SA社。
【0310】
ポリマーマトリックス用の成分(マルトデキストリンおよびcapsul(登録商標)、またはcapsul(登録商標)、クエン酸およびクエン酸三カリウム)を完全に溶解するまで45~50℃の水に添加する。エマルション4については、カプセル封入されていない香料Cを水相に添加する。マイクロカプセルスラリーを添加して混合物が得られる。次いで、得られる混合物を25℃(室温)で優しく混合する。
【0311】
Sodeva Spray Dryer(フランス製)を使用して、空気入口温度を215℃に設定し、1時間あたりの処理量を500mlに設定して、エマルションA~Eを噴霧乾燥することにより、造粒された粉末A~Eを製造する。空気出口温度は105℃である。噴霧前のエマルションは、周囲の温度である。
【0312】
例24
液体の香りブースター組成物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、液体香りブースター(第21表)に混合する。
【0313】
【表23】
1)Deceth-8;KLK Oleo社の商標および同社より入手、
2)Laureth-9;商標および入手元、
3)Plantacare 2000UP;BASF社の商標および同社より入手。
【0314】
以下のプロトコルに従って、様々なリンギングジェル組成物を製造する(組成物1~6)。
【0315】
第1のステップで、水相(水)、存在する場合には溶剤(プロピレングリコール)および界面活性剤を室温でマグネチックスターラーにより300rpmで5分間撹拌下に一緒に混合する。
【0316】
第2のステップで、リンカーを疎水性活性成分(フレグランス)中に室温でマグネチックスターラーにより300rpmで撹拌下に溶解させる。得られる混合物を5分間混合する。
【0317】
次いで、水相及び油相を室温で5分間混合することで、透明な、または半透明なリンギングジェルが形成される。
【0318】
例25
粉末洗剤組成物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量の顆粒1~5を秤量し、粉末洗剤組成物(第22表)に混合する。
【0319】
【表24】
【0320】
例26
多目的クリーナー濃縮組成物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、多目的クリーナー濃縮組成物(第23表)に混合する。
【0321】
【表25】
1)Neodol 91-8(R);Shell Chemical社の商標および同社より入手、
2)Biosoft D-40(R);Stepan Company社の商標および同社より入手、
3)Stepanate SCS(R);Stepan Company社の商標および同社より入手、
4)Kathon CG(R);Dow Chemical Company社の商標および同社より入手。
【0322】
全ての成分を一緒に混合し、次いでこの混合物を水で希釈して100%とする。
【0323】
例27
固体の匂いブースター組成物
以下の組成物を準備する。
【0324】
【表26】
【0325】
【表27】
【0326】
例28
シャンプー組成物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、シャンプー組成物(第26表)に混合する。
【0327】
【表28】
1)Ucare Polymer JR-400, Noveon社、
2)Schweizerhall社、
3)Glydant, Lonza社、
4)Texapon NSO IS, Cognis社、
5)Tego Betain F 50, Evonik社、
6)Amphotensid GB 2009, Zschimmer & Schwarz社、
7)Monomuls 90 L-12, Gruenau社、
8)Nipagin Monosodium, NIPA社。
【0328】
ポリクアテルニウム-10を水中に分散させる。相Aの残りの成分をその都度の添加の後に十分混合しながら順次添加することで、別途混合する。次いでこのプレミックスをポリクアテルニウム-10分散液に添加し、5分間混合する。次いで、相Bおよびプレミックス相C(Texapon NSO IS中でMonomuls 90L-12を溶融させるために加熱)を添加する。混合物を十分に混合する。次いで相Dおよび相Eを撹拌下に添加する。pHはクエン酸溶液を用いてpHが5.5~6.0になるまで調整する。
【0329】
例29
シャンプー組成物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、シャンプー組成物(第27表)中に混合する。
【0330】
【表29】
1)EDETA B粉末、BASF社、
2)Jaguar C14 S, Rhodia社、
3)Ucare Polymer JR-400, Noveon社、
4)Sulfetal LA B-E, Zschimmer & Schwarz社、
5)Zetesol LA, Zschimmer & Schwarz社、
6)Tego Betain F 50, Evonik社、
7)Xiameter MEM-1691, Dow Corning社、
8)Lanette 16, BASF社、
9)Comperlan 100, Cognis社、
10)Cutina AGS, Cognis社、
11)Kathon CG, Rohm & Haas社、
12)D-Panthenol, Roche社。
【0331】
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびポリクアテルニウム-10を含有するプレミックスを撹拌下に水およびEDTA四ナトリウムに添加する。混合物が均質になったら、NaOHを添加する。次いで、相Cの成分を添加し、混合物を75℃に加熱した。相Dの成分を添加し、均質になるまで混合する。加熱を停止し、混合物の温度は室温まで低下する。45℃で、相Eの成分を撹拌下に、25%NaCl溶液を用いて最終粘度に調整し、10%NaOH溶液でpH5.5~6に調整する。
【0332】
例30
無水の制汗スプレー組成物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、無水の制汗スプレー組成物(第28表)に混合する。
【0333】
【表30】
1)Dow Corning(R)345 Fluid; Dow Corning社の商標および同社より入手、
2)Aerosil(R) 200 ; Evonik社の商標および同社より入手、
3)Bentone(R) 38;Elementis Specialities社の商標および同社より入手、
4)Micro Dry Ultrafine; 入手元:Reheis社。
【0334】
高速撹拌機を使用して、シリカおよびポリクアテルニウム-18-ヘクトライトをイソプロピルミリステートおよびシクロメチコン混合物に添加する。完全に膨潤したら、混合物が均質になり、塊がなくなるまで撹拌下に少量ずつ、アルミニウムクロロヒドレートを添加する。エーロゾル缶を25%の懸濁液および75%のプロパン/ブタンで充填する(2.5バール)。
【0335】
例31
制汗スプレーエマルション組成物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、制汗スプレーエマルション組成物(第29表)に混合する。
【0336】
【表31】
1)Tween 65;CRODA社の商標および同社より入手、
2)Dehymuls PGPH;BASF社の商標および同社より入手、
3)Abil EM-90;BASF社の商標および同社より入手、
4)Dow Corning 345 fluid;Dow Corning社の商標および同社より入手、
5)Crodamol ipis;CRODA社の商標および同社より入手、
6)Phenoxyethanol;LANXESS社の商標および同社より入手、
7)Sensiva sc 50;KRAFT社の商標および同社より入手、
8)Tegosoft TN;Evonik社の商標および同社より入手、
9)Aerosil R 812;Evonik社の商標および同社より入手、
10)Nipagin mna;CLARIANT社の商標および同社より入手、
11)Locron L;CLARIANT社の商標および同社より入手。
【0337】
パートAおよびパートBの成分を別々に秤量する。パートAの成分を60℃に加熱し、パートBの成分を55℃に加熱する。パートBの成分を少量、連続的に撹拌しながらパートAに添加する。混合物が室温になるまで十分に撹拌する。次いでパートCの成分を添加する。エマルションを混合し、エーロゾル缶に導入する。噴射剤を圧縮して添加する。
【0338】
エーロゾル充填:エマルション30%、プロパン/ブタン70%、2.5バール。
【0339】
例32
デオドラントスプレー組成物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、制汗剤としてのデオドラントスプレー組成物(第30表)に混合する。
【0340】
【表32】
1)Irgasan(R) DP 300;BASF社の商標および同社より入手。
【0341】
第24表の列に記載の全ての成分を混合し、かつ溶解する。次いでエーロゾル缶を充填し、圧着し、噴射剤を添加する(エーロゾル充填:活性溶液40%、プロパン/ブタン60%、2.5バール)。
【0342】
例33
ロールオンタイプの制汗剤エマルション組成物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、ロールオンタイプの制汗剤エマルション組成物(第31表)に混合する。
【0343】
【表33】
1)BRIJ 72; 入手元: ICI社、
2)BRIJ 721;入手元: ICI社、
3)ARLAMOL E;入手元: UNIQEMA-CRODA社、
4)LOCRON L;入手元: CLARIAN社。
【0344】
パートAおよびパートBを別々に75℃に加熱する。パートAを撹拌下にパートBに添加し、混合物を10分間均質化する。次いで、混合物を撹拌下に冷却させ、混合物が45℃に達したらパートCをゆっくり添加し、混合物が35℃に達したら撹拌しながらパートDを添加する。次いで、混合物をRTに冷却する。
【0345】
例34
ロールオンタイプの制汗剤組成物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、ロールオンタイプの制汗剤組成物(第32表)に混合する。
【0346】
【表34】
1)LOCRON L; 入手元: CLARIANT社、
2)EUMULGIN B-1; 入手元: BASF社、
3)EUMULGIN B-3; 入手元: BASF社。
【0347】
パートBの成分を容器中で混合し、次いでパートAの成分を添加する。次いで、パートCをパートAおよびパートB中で溶解する。香料と共に、十分に混合しながら、香料1部につき、Cremophor RH40 1部を添加する。
【0348】
例35
ロールオンタイプの制汗剤組成物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、ロールオンタイプの制汗剤エマルション組成物(第33表)に混合する。
【0349】
【表35】
1)Natrosol(R) 250 H;Ashland社の商標および同社より入手、
2)Irgasan(R) DP 300;BASF社の商標および同社より入手、
3)Cremophor(R) RH 40;BASF社の商標および同社より入手。
【0350】
タービンで迅速に撹拌しながら、ヒドロキシエチルセルロースを少量ずつ水中に散布することによりパートAを製造する。ヒドロキシエチルセルロースが完全に膨潤して凝集したゲルが生じるまで撹拌を継続する。次いで撹拌を継続しながら、全体が均質になるまで、パートBを少量ずつパートAに添加する。パートCを添加する。
【0351】
例36
アルコール不含のデオドラントポンプの配合物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、以下の組成物(第34表)に混合する。
【0352】
【表36】
1)Ceraphyl 41; ASHLAND社の商標および同社より入手、
2)DOW CORNING 200 FLUID 0.65cs; DOW CORNING CORPORATION社の商標および同社より入手、
3)Ceraphyl 28; ASHLAND社の商標および同社より入手、
4)Eutanol G; BASF社の商標および同社より入手、
5)Irgasan(R) DP 300; BASF社の商標および同社より入手。
【0353】
第34表の全ての成分を表の列に記載のとおりに混合し、混合物をわずかに加熱して、セチルラクテートを溶解させる。
【0354】
例37
アルコール不含のデオドラントポンプの配合物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、以下の組成物(第35表)に混合する。
【0355】
【表37】
1)Softigen 767; CRODA社の商標および同社より入手、
2)Cremophor(R) RH 40; BASF社の商標および同社より入手。
【0356】
パートBの成分を一緒に混合する。パートAの成分を表の列に記載のとおりに溶解させ、パートBに添加する。
【0357】
例38
アルコール不含のデオドラントスティック配合物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、以下の組成物(第36表)に混合する。
【0358】
【表38】
1)Edeta(R) B Power; BASF社の商標および同社より入手、
2)Cremophor(R) A25; BASF社の商標および同社より入手、
3)Tegosoft(R) APM; Evonik社の商標および同社より入手、
4)Irgasan(R) DP 300; BASF社の商標および同社より入手。
【0359】
パートAの全ての成分を秤量し、70~75℃に加熱する。他方のパートAの成分を混合し、加熱したらCeteareth-25を添加する。Ceteareth-25が溶解したら、ステアリン酸を添加する。1,2-プロピレングリコール中にトリクロサンを溶解してパートBを準備する。蒸発させた水を添加する。混合下でパートBをゆっくりパートAに添加する。貯蔵のために、冷却後に密閉できるようにバケツの中にプラスチック袋を入れる。約70℃で成形品を充填する。
【0360】
例39
制汗スティック
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、以下の組成物(第37表)に混合する。
【0361】
【表39】
1)Dow Corning(R) 345 Fluid; Dow Corning社の商標および同社より入手、
2)Lanette(R) 18; BASF社の商標および同社より入手、
3)Tegosoft(R) PBE; Evonik社の商標および同社より入手、
4)Cutina(R) HR; BASF社の商標および同社より入手、
5)Summit AZP-908; Reheis社の商標および同社より入手。
【0362】
パートAの全ての成分を秤量し、70~75℃に加熱し、十分に混合する。パートBの成分をパートA中に分散させる。混合物を混合し、65℃でケースに入れる。
【0363】
例40
デイクリーム
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、以下の組成物(第38表)に混合する。
【0364】
【表40】
【0365】
例41
タルク配合物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量の顆粒1~5を秤量し、標準的なタルクベース、つまりタルク100%で、特徴的な匂いがごく僅かであり、白色の粉末(入手元:LUZENAC)に混合する。
【0366】
例42
シャワージェル組成物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、以下の組成物(第39表)に混合する。
【0367】
【表41】
10)EDETA B POWDER; BASF社の商標および同社より入手、
11)CARBOPOL AQUA SF-1 POLYMER; NOVEON社の商標および同社より入手、
12)ZETESOL AO 328 U; trademark and origin: ZSCHIMMER & SCHWARZ社の商標および同社より入手、
13)TEGO-BETAIN F 50; GOLDSCHMIDT社の商標および同社より入手、
14)KATHON CG; ROHM & HASS社の商標および同社より入手。
【0368】
成分を混合し、pHを6~6.3に調整する(粘度:4500cPo±1500cPo)ブルックフィールドRV/スピンドル#4/20rpm)。
【0369】
例43
シャワージェル組成物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、以下の組成物(第40表)に混合する。
【0370】
【表42】
1)EDETA B POWDER; BASF社の商標および同社より入手、
2)ZETESOL AO 328 U; ZSCHIMMER & SCHWARZ社の商標および同社より入手、
3)TEGO-BETAIN F 50; GOLDSCHMIDT社の商標および同社より入手、
4)MERQUAT 550; LUBRIZOL社の商標および同社より入手。
【0371】
成分を混合し、pHを4.5に調整する(粘度:3000cPo±1500cPo)ブルックフィールドRV/スピンドル#4/20rpm)。
【0372】
例44
シャワージェル組成物
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、以下の組成物(第41表)に混合する。
【0373】
【表43】
1)EDETA B POWDER; BASF社の商標および同社より入手、
2)Texapon NSO IS; COGNIS社の商標および同社より入手、
3)MERQUAT 550; LUBRIZOL社の商標および同社より入手、
4)DEHYTON AB-30; COGNIS社の商標および同社より入手、
5)GLUCAMATE LT; LUBRIZOL社の商標および同社より入手、
6)EUPERLAN PK 3000 AM; COGNIS社の商標および同社より入手、
7)CREMOPHOR RH 40; BASF社の商標および同社より入手。
【0374】
成分を混合し、pHを4.5に調整する(粘度:4000cPo±1500cPo)ブルックフィールドRV/スピンドル#4/20rpm)。
【0375】
例45
手洗い用の食器用洗剤
香料0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーE、F、G、H、I、JまたはKを秤量し、以下の組成物(第42表)に混合する。
【0376】
【表44】
1)Biosoft S-118(R); Stepan Company社の商標および同社より入手、
2)Ninol 40-CO(R); Stepan Company社の商標および同社より入手、
3)Stepanate SXS(R); Stepan Company社の商標および同社より入手、
4)Tergitol 15-S-9(R); Dow Chemical Company社の商標および同社より入手。
【0377】
水と、水酸化ナトリウムおよびジエタノールアミドとを混合する。LASを添加する。LASが中和された後に、残りの成分を添加する。pHを確認し(=7~8)、必要であれば調整する。
【0378】
例46
歯磨き用ペースト配合物
フレーバー0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーR(マイクロカプセルHまたはNに相当、ただし香料の代わりにフレーバーがカプセル封入されている)を秤量し、以下の組成物(第43表)に混合する。
【0379】
【表45】
1)Tixosil 73; 商標および入手元:
2)Tixosil 43; 商標および入手元。
【0380】
例47
リン酸二カルシウムベースの歯磨き用ペースト配合物
フレーバー0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーR(マイクロカプセルHまたはNに相当、ただし香料の代わりにフレーバーがカプセル封入されている)を秤量し、以下の組成物(第44表)に混合する。
【0381】
【表46】
1)Aerosil(R)200; 商標および入手元。
【0382】
例48
アルコール不含のマウスウォッシュ配合物
フレーバー0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーR(マイクロカプセルHまたはNに相当、ただし香料の代わりにフレーバーがカプセル封入されている)を秤量し、以下の組成物(第45表)に混合する。
【0383】
【表47】
【0384】
例49
マウスウォッシュ配合物
フレーバー0.2%に相当する量を添加するために十分な量のマイクロカプセルスラリーR(マイクロカプセルHまたはNに相当、ただし香料の代わりにフレーバーがカプセル封入されている)を秤量し、以下の組成物(第46表)に混合する。
【0385】
【表48】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18