(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】窓
(51)【国際特許分類】
E06B 3/32 20060101AFI20240617BHJP
E06B 1/36 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
E06B3/32 Z
E06B1/36 Z
(21)【出願番号】P 2021063820
(22)【出願日】2021-04-02
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】笠原 康貴
(72)【発明者】
【氏名】林 貴規
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-31785(JP,A)
【文献】特開平8-158748(JP,A)
【文献】特開2019-85834(JP,A)
【文献】特開2001-146876(JP,A)
【文献】実開昭60-108682(JP,U)
【文献】特開2019-44435(JP,A)
【文献】特開平8-158749(JP,A)
【文献】特開2007-23616(JP,A)
【文献】実開昭51-86035(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、枠体内に配置される障子を備え、
枠体は、見込み寸法が見付け寸法の2倍以上の寸法を有する断面略矩形の中空部を有する枠材を四周組して形成されており、
障子は、ガラス間口と中空部が見込み方向に隣接して形成され、見込み寸法が見付け寸法の2倍以上の寸法を有する框材を四周組して形成されており、
框材は、枠体の内周に見込み方向の両側で断面略L字状の取付金具によって取り付けられている窓。
【請求項2】
枠体と、枠体内に配置される障子を備え、
枠体は、下枠の内周面の中央部分に突出部が形成されており、
障子は、下框の見込み方向の一方が下方に延設されて突出片が形成されており、
下框は、突出片が下枠の突出部に当接した状態で、枠体の内周に見込み方向の両側で断面略L字状の取付金具によって取り付けられている窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の仕切り壁の開口部等に配置される窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ガラス等の固定面材を枠に支持させたFIX窓が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたFIX窓は、施工性があまり良好ではなかった。
【0005】
本発明は、施工性の良い窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の窓は、枠体と、枠体内に配置される障子を備え、枠体は、見込み寸法が見付け寸法の2倍以上の寸法を有する断面略矩形の中空部を有する枠材を四周組して形成されており、障子は、ガラス間口と中空部が見込み方向に隣接して形成され、見込み寸法が見付け寸法の2倍以上の寸法を有する框材を四周組して形成されており、框材は、枠体の内周に見込み方向の両側で断面略L字状の取付金具によって取り付けられている窓である。
また、実施形態の窓は、枠体と、枠体内に配置される障子を備え、枠体は、下枠の内周面の中央部分に突出部が形成されており、障子は、下框の見込み方向の一方が下方に延設されて突出片が形成されており、下框は、突出片が下枠の突出部に当接した状態で、枠体の内周に見込み方向の両側で断面略L字状の取付金具によって取り付けられている窓である。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の窓によれば、施工性の良い窓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態の窓を室内側から見た模式図である。
【
図2】一実施形態の窓の竪断面図であり、(a)は通常時の竪断面図であり、(b)は施工時の竪断面図である。
【
図4】一実施形態の窓の下辺部分の竪断面図であり、(a)は通常時の竪断面図であり、(b)は施工時の竪断面図である。
【
図5】一実施形態の窓の上辺部分及び竪辺部分の断面図であり、(a)は上辺部分の竪断面図であり、(b)は竪辺部分の横断面である。
【
図6】他の実施形態1の窓を室内側から見た模式図である。
【
図9】他の実施形態2の窓を室内側から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態の窓について、室内の仕切り壁に形成された開口部に配置された枠体に対して、障子が固定されて形成されたFIX窓の例を用いて、図面を参考にして説明する。
【0010】
-全体の構成-
本実施形態の窓は、
図1に示すように、枠体1と、枠体1の内周に固定される障子2を備えている。
枠体1は、アルミ合金等の金属材料からなる上枠11、下枠12及び左、右の竪枠13,13を四周に組んでなり、開口部の内周面に釘等の固定手段によって固定されている。
【0011】
障子2は、アルミ合金等の金属材料からなる上框21、下框22及び左、右の竪框23,23を四周に組んで内周にガラス等のパネル体を嵌め込んで形成されており、枠体1を構成する上枠11,下枠12及び左右の竪枠13,13の内周面に配置され、取付金具5(
図1には、記載されていない。)によって固定されている。
【0012】
-枠体-
本実施形態の枠体1の上枠11は、
図2(a),
図5(a)に示すように、断面略矩形の中空部を有する長尺部材であり、中空部の外周壁11aが釘等の固定手段bによって仕切り壁Aに形成された開口部の内周面に固定されている。
上枠11は、見込み寸法が見付け寸法に比べて大きい扁平形状をしており、少なくとも見込み寸法は、見付け寸法の2倍以上の寸法を有している。
【0013】
上枠11は、中空部の内周壁11bの見込み方向両端から内周方向に延びるリブ11c,11cが設けられており、内周壁11bの中空部側に左右の竪枠13,13を連結するためのタッピングホール11d,11dが設けられている。
【0014】
本実施形態の枠体1の下枠12は、
図2(a),
図4(a)に示すように、中空部を有する長尺部材であり、中空部の外周壁12aが釘等の固定手段bによって仕切り壁Aに形成された開口部の内周面に固定されている。
下枠12は、見込み寸法が見付け寸法に比べて大きい扁平形状をしており、少なくとも下枠12の見込み寸法は、見付け寸法の2倍以上の寸法を有している。
【0015】
下枠12は、中空部の内周壁12bの見込み方向両端から内周方向に延びるリブ12c,12cが設けられているとともに、見込み方向中央部分に上方に突出する突出部12dが設けられており、突出部12dの中空部側に左右の竪枠13,13を連結するためのタッピングホール12e,12eが設けられている。
【0016】
本実施形態の枠体1の左右の竪枠13,13は、
図3,
図5(b)に示すように、断面略矩形の中空部を有する長尺部材であり、中空部の外周壁13a,13aが釘等の固定手段bによって仕切り壁Aに形成された開口部の内周面に固定されている。
竪枠13は、中空部の見込み寸法が見付け寸法に比べて大きい扁平形状をしており、少なくとも見込み寸法は、見付け寸法の2倍以上の寸法を有している。
【0017】
竪枠13は、中空部の内周壁13bの見込み方向両端から内周方向に延びるリブ13c,13cが設けられており、両端に設けられたリブ13c,13cの間は内周方向に突出する部分を有しておらず、リブ13c,13c間の内周面はほぼフラットに形成されている。
【0018】
-障子-
本実施形態の障子2の上框21は、
図2(a),
図5(a)に示すように、ガラス間口21aと、ガラス間口21aの見込み方向に隣接する断面略矩形の中空部21bを有している。
上框21は、見込み寸法が見付け寸法に比べて大きい扁平形状をしており、少なくとも見込み寸法は、見付け寸法の2倍以上の寸法を有している。
【0019】
上框21は、外周面はほぼフラットに形成されており、ガラス間口21aにグレイジングチャンネルを介してガラス等のパネル材が配置されている。
【0020】
本実施形態の障子2の下框22は、
図2(a),
図4(a)に示すように、ガラス間口22aと、ガラス間口22aの見込み方向に隣接する断面略矩形の中空部22bを有している。
下框22は、見込み寸法が見付け寸法に比べて大きい扁平形状をしており、少なくとも見込み寸法は、見付け寸法の2倍以上の寸法を有している。
【0021】
下框22は、中空部22bの外周面がガラス間口22aの外周面に比べて内周に位置しており(凹んでおり)中空部22bの下方位置に空間sが形成されているとともに、中空部22bの反ガラス間口側の見付け壁はガラス間口22aの外周面よりも下方に延びて突出片22cが形成されている。
下框22は、ガラス間口22aにグレイジングチャンネルを介してガラス等のパネル材が配置されている。
【0022】
本実施形態の障子2の左右の竪框23,23は、
図3,
図5(b)に示すように、ガラス間口23aと、ガラス間口23aの見込み方向に隣接する断面略矩形の中空部23bを有している。
竪框23は、見込み寸法が見付け寸法に比べて大きい扁平形状をしており、少なくとも見込み寸法は、見付け寸法の2倍以上の寸法を有している。
【0023】
竪框23は、ガラス間口23aの外周面が中空部23bの外周面に比べて内周に位置しており(凹んでおり)、ガラス間口23aにグレイジングチャンネルを介してガラス等のパネル材が配置されている。
【0024】
-取付金具による障子の固定-
本実施形態の障子2を構成する各框材は、枠体1を構成する各枠材の内周面に取付金具5によって固定されている。
障子2を固定する取付金具5は、アルミ合金等の金属材料からなり、固定部5aと、固定部5aに対してほぼ直角に連続する保持部5bを有する断面略L字状の長尺部材である。
なお、本実施形態のFIX窓は、取付金具5は、障子2の全周に亘って配置されており、以下の説明においては、上枠11に対して上框21を固定する金具を取付金具51とし、下枠12に対して下框22を固定する金具を取付金具52とし、竪枠13に対して竪框23を固定する金具を取付金具53とする。
【0025】
窓の下辺部分において、取付金具52,52は、
図2(a),
図4(a)に示すように、下枠12の突出部12dを挟んだ両側の内周壁12bの内周面に固定部52aがビスb1によってビス止めされており、保持部52bが下框22側となるように下枠12に固定されている。
下枠12の内周壁12bに固定された取付金具52,52は、下枠12の突出部12dの上面にガラス間口22aが支持された下框22の両見付け面を保持部52b,52bによって挟持することで障子2を下枠12に保持している。
【0026】
下枠12の内周壁12bに固定された取付金具52の固定部52aの厚みは、下枠12の見込み方向両端に形成されたリブ12cの高さ寸法と同じもしくは小さく形成されており、下枠12に固定された取付金具52の固定部52aの見込み方向両端部が下枠12のリブ12cによって覆われている。
【0027】
また、下枠12の内周壁12bに固定された取付金具52の保持部52bの内周端(上端)は、下枠12の突出部12dの上面に支持された障子2の下框22の内周端(上端)と同じもしくは内周端よりも上方に位置している。
【0028】
窓の上辺部分において、取付金具51は、
図2(a),
図5(a)に示すように、上枠11の内周壁11bの見込み方向両側の内周面に固定部51aがビスb1によってビス止めされており、保持部51bが上框21側となるように上枠11に固定されている。
上枠11の内周壁11bに固定された取付金具51,51は、障子2の上框21の外周面と上枠11の内周面との間に隙間をあけた状態で上框21の両見付け面を保持部51b,51bによって挟持している。
【0029】
窓の上辺部分においても、下辺部分と同様に、上枠11に固定された取付金具51の固定部51aの厚みは、上枠11のリブ11c,11cの高さ寸法と同じもしくは小さく形成されており、上枠11に固定された取付金具51の保持部51bの内周端(下端)は、障子2の上框21の下端と同じもしくは下端よりも下方に位置している。
【0030】
窓の竪辺部分において、取付金具53は、
図3,
図5(b)に示すように、竪枠13の内周壁13bの見込み方向両側の内周面に固定部53aがビスb1によってビス止めされており、保持部53bが竪框23側となるように竪枠13に固定されている。
竪枠13の内周壁13bに固定された取付金具53,53は、障子2の竪框23の外周面と竪枠13の内周面との間に隙間をあけた状態で竪框23の両見付け面を保持部53b,53bによって挟持しており、障子2の竪框23のガラス間口23aの外周面と竪枠13の内周面との間にはスペーサ6が挿入されている。
【0031】
窓の竪辺部分においても、下辺部分と同様に、竪枠13に固定された取付金具53の固定部53aの厚みは、竪枠13のリブ13c,13cの高さ寸法と同じもしくは小さく形成されており、竪枠13に固定された取付金具53の保持部53bの内周端は、障子2の竪框23の内周端と同じもしくは内周端より内周側に位置している。
【0032】
なお、本実施形態のFIX窓の取付金具5は、上枠11及び下枠12に固定される取付金具51,52の保持部51b,52bの両端部を竪枠13,13に固定される取付金具53,53の保持部53bの幅寸法分切り欠くことで、枠体1の角部における取付金具5,5の保持部同士の干渉を防止している。
【0033】
枠体1に障子2を固定するに際しては、
図2(b),
図4(b)に示すように、見込み方向で他方側(ガラス間口側)の取付金具51,52,53を枠体1に固定した状態で、障子2を枠体1の一方側から近づけて、下框22の突出片22cを下枠12の突出部12dに当接させて、当接した個所を回転軸として嵌め込むことができるので施工が容易であり、枠体1に対する障子2の位置決めを容易に行うことができる。
特に、下框22には、中空部22bの下方位置に空間sが形成されているので、空間sによって下枠12の突出部12dを受け入れることができ、スムーズな取付けを行うことができる。
障子2を枠体1の内周に配置した後、見込み方向で一方側の取付金具51,52,53を枠体1に固定することで、障子2を枠体1に取り付けることができる。
【0034】
-本実施形態のFIX窓の効果-
以上のように、本実施形態の窓は、枠体に対して障子の見込み方向両側を取付金具によって保持することでFIX窓を形成することができるので、簡単に施工することができる。
そして、障子が見込み方向両側で同一形状の取付金具5によって取付けられているので、見込み方向のいずれの側からの施工も可能であり、また、見込み方向の両側で同一のデザインを採用することができ、施工性に優れるとともに意匠性に優れている。
【0035】
また、本実施形態の窓は、開口部の内周面に固定される枠体を構成する枠材及び/又は障子を構成する框材の見込み寸法が見付け寸法の2倍以上の寸法を有する形状とすることで、必要な強度を保ちながら、枠体の見付け寸法を小さく抑えることができ、採光部分を広く獲得することができる。
【0036】
さらに、枠材の内周壁に固定された取付金具5,5の固定部5aの厚みは、枠材の見込み方向両端に形成されたリブの高さ寸法と同じもしくは小さく形成されており、枠材に固定された取付金具5,5の固定部5a,5aの端部が枠材のリブによって覆われているので、取付金具5,5の固定部5a,5aが露出することなく、枠材の意匠性を向上させることができる。
【0037】
さらに、枠材の内周壁に固定された取付金具5,5の保持部5b,5bの内周端は、枠材に取り付けられた障子2の框材の内周端と同じもしくは内周端よりも内周側に位置しており、框材が取付金具5の内周側に露出することがなく、枠体の意匠性を向上させることができる。
【0038】
-他の実施形態-
窓は、格子を備えるFIX窓であってもよい。
例えば、
図6ないし
図8に示すように、障子2の上框21,下框22の間及び左右の竪框23の間にビスb2等によって固定される格子材25,26が配置されていてもよい。なお、格子材25,26の固定方法については、何ら限定されない。
【0039】
また、窓は、単一のFIX窓に限らず、FIX窓を上下もしくは左右に隣接させてなる連窓であってもよい。
例えば、
図9及び
図10に示すように、障子2が上下に隣接して配置された連窓であってもよい。
【0040】
なお、連窓を構成するに際しては、上下の障子2,2間に配置される枠材(横材)15は、上面に下枠12の内周面の形状を有し、下面に上枠の内周面の形状を有する専用の横材15を用いればよいが、独立したFIX窓を上下に重ねて竪枠13,13を図示しない連結材によって連結することで連窓を形成してもよい。
【0041】
なお、連窓について、隣接して配置される窓はFIX窓に限定されるものではなく、回転窓や開き窓等を左右もしくは上下に隣接して配置される連窓など、連窓を形成するための窓種については、特に限定されない。
以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1 :枠体
2 :障子
12 :下枠
12d :突出部
12e :タッピングホール
22 :下框
22a :ガラス間口
22b :中空部
22c :突出片
52 :取付金具
52a :固定部
52b :保持部