(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240617BHJP
H01L 21/764 20060101ALI20240617BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L21/76 A
H01L21/76 L
(21)【出願番号】P 2021091340
(22)【出願日】2021-05-31
(62)【分割の表示】P 2020068363の分割
【原出願日】2016-01-26
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】浮ケ谷 信貴
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0153128(US,A1)
【文献】特開2013-175494(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0292782(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0372031(US,A1)
【文献】特開2014-072297(JP,A)
【文献】特開2015-162679(JP,A)
【文献】特開2012-038981(JP,A)
【文献】特開2012-178429(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0263054(US,A1)
【文献】特開2011-044489(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0115769(US,A1)
【文献】特表2015-511765(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0153500(US,A1)
【文献】国際公開第2013/160976(WO,A1)
【文献】特開2013-251539(JP,A)
【文献】特開2014-072296(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104253082(CN,A)
【文献】特開2015-076569(JP,A)
【文献】特開2012-256785(JP,A)
【文献】特開2012-204810(JP,A)
【文献】特開2015-029047(JP,A)
【文献】米国特許第08884319(US,B2)
【文献】特開2008-010544(JP,A)
【文献】特開2015-111604(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0193797(US,A1)
【文献】特開2014-130922(JP,A)
【文献】特開2005-123449(JP,A)
【文献】特開2014-204047(JP,A)
【文献】米国特許第09379043(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0204143(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 21/764
H01L 21/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と前記表面とは反対側の裏面を有し、複数の光電変換部を有する半導体層と、前記半導体層の前記表面の上に配された配線層とを備えた半導体装置において、
前記表面を含み前記表面に沿った仮想的な平面を第1面、前記裏面を含み前記裏面に沿った仮想的な平面を第2面、前記第1面および前記第2面から等しい距離に位置する仮想的な平面を第3面として、
前記半導体層に配され、前記複数の光電変換部のうちのある光電変換部と別の光電変換部との間に配され、前記裏面に連続し、前記第3面を貫通し、前記第1面と前記第3面との間に位置する前記第1面側の端部を有する溝と、
前記溝の中に配された中空部と、
前記溝の中に配され、前記第2面から前記端部まで延在する部分を含み、前記中空部を包囲する固体材料と、を有し、
前記
第1面と前記第2面を結ぶ方向における前記中空部の中心は、前記第1面と前記第3面との間に位置し、
前記方向において、前記中空部の中心と前記第1面との距離は、前記中空部の長さの半分よりも大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記中空部の一部は、前記第2面と前記第3面との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体装置は、前記半導体層を貫通する導電部材を有し、
前記第1面側に配され、前記導電部材の周りに配された素子分離部と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体層を貫通し、前記導電部材と前記半導体層の一部との間に位置する貫通孔を有することを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記導電部材は前記配線層に接続することを特徴とする請求項3または4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記素子分離部はSTI構造であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記複数の光電変換部は、第1光電変換部と、第2光電変換部と、第3光電変換部と、第4光電変換部と、を含み、
平面視において、前記溝は、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部と前記第3光電変換部と前記第4光電変換部との間に配された十字状の部分を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数の光電変換部は、第1導電型の第1半導体領域を有し、
前記方向において、前記中空部の長さは前記第1半導体領域の長さよりも短いことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体層の厚さは、2μmから10μmの間であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体装置は、前記配線層と前記半導体層を電気的に接続するプラグを有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
半導体装置の製造方法であって、
表面と前記表面とは反対側の裏面を有し、複数の光電変換部を有する半導体層を準備する工程と、
前記半導体層の前記表面の上に配線層を形成する工程と、
前記表面を含み前記表面に沿った仮想的な平面を第1面、前記裏面を含み前記裏面に沿った仮想的な平面を第2面、前記第1面および前記第2面から等しい距離に位置する仮想的な平面を第3面として、前記第3面を貫通するように前記半導体層に前記裏面側から溝を形成する工程と、
前記溝の中に絶縁体である固体材料と中空部とを形成する工程と、を有し、
前記溝を形成する工程において、前記溝は、前記複数の光電変換部のうちのある光電変換部と別の光電変換部との間に配され、前記第1面と前記第3面との間に位置する前記第1面側の端部を有し、
前記固体材料は、前記中空部を包囲し、前記第2面から前記溝の前記端部まで延在し、
前記
第1面と前記第2面を結ぶ方向における前記中空部の中心は、前記第1面と前記第3面との間に位置し、前記方向において、前記中空部の中心と前記第1面との距離が前記中空部の長さの半分よりも大きいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記半導体層を準備する工程は、前記半導体層を含む半導体基板を薄くする工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記溝を形成する工程は、前記溝の幅が前記溝の前記端部に向かうほど狭くなるように行われる請求項11または12に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、半導体装置の分離構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置では、半導体素子間の分離構造や半導体と導電体との間の分離構造において中空部を設けることで、分離構造の周囲に生じる応力の影響を緩和する効果が期待される。
【0003】
特許文献1には、パッド周辺ガードリングの開口部の内部がエアで充填されていることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、絶縁体および空間によって、素子と素子とを分離する素子分離を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-29047号公報
【文献】特開2014-204047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
中空部の位置によっては、半導体装置の信頼性が低下する可能性がある。そこで本発明は、半導体装置の信頼性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段は、トランジスタが設けられた表面と前記表面とは反対側の裏面を有する半導体層と、前記半導体層を貫通する導電部材と、を備えた半導体装置において、前記表面を含み前記表面に沿った仮想的な平面を第1面、前記裏面を含み前記裏面に沿った仮想的な平面を第2面、前記第1面および前記第2面から等しい距離に位置する仮想的な平面を第3面として、前記第2面と前記第3面との間において、前記導電部材と前記半導体層との間には絶縁体である固体材料が配されており、前記第1面と前記第3面との間において、前記導電部材と前記半導体層との間には中空部が配されており、前記第1面および前記第2面に交差する方向における前記中空部の中心は、前記第1面と前記第3面との間に位置することを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するための手段は、トランジスタが設けられた表面と前記表面とは反対側の裏面を有する半導体層を備えた半導体装置において、前記表面を含み前記表面に沿った仮想的な平面を第1面、前記裏面を含み前記裏面に沿った仮想的な平面を第2面、前記第1面および前記第2面から等しい距離に位置する仮想的な平面を第3面として、前記半導体層には前記第3面を貫通する溝が設けられており、前記溝の中には中空部と固体材料が配されており、前記第1面および前記第2面に交差する方向における前記中空部の中心の位置は、前記第1面と前記第3面との間に位置することを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するための手段は、表面を有する半導体基板の前記表面の側から前記半導体基板に溝を形成する工程と、前記溝に絶縁体である固体材料を形成する工程と、前記表面の反対側から前記半導体基板を薄くする工程と、とを備え、前記固体材料を形成する工程は、前記溝の中に中空部が形成されるように行われ、前記溝の深さ方向における前記中空部の中心と前記溝の底との距離は、前記溝の深さの半分よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0011】
また、本発明によれば、信頼性の高い半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図5】半導体装置の製造方法の一例を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の説明および図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。
【0014】
図1には本実施形態の半導体装置500の平面模式図を示している。半導体装置500は半導体チップ701を含み、必要に応じて半導体チップを収容するパッケージを含みうる。ガラス基板などを半導体チップに接合してCSP(Chip Size Package)としてもよい。半導体装置500は複数の半導体チップを積層した構成としてもよい。
【0015】
図1には本実施形態の半導体装置500の断面模式図を示している。本例の半導体装置500は撮像装置であり、裏面照射型のCMOSイメージセンサーである。
【0016】
図1(a)に示すように、半導体チップ701には画素回路部703、及び周辺回路部704が配置されている。画素回路部703にはそれぞれが光電変換部710を含む画素回路が配列されている。周辺回路部704には、画素回路を駆動する駆動回路や、画素回路から信号を処理するアナログ信号処理回路およびデジタル信号デジタル信号処理回路、他の回路を制御する制御回路などが設けられている。
【0017】
半導体チップ701は配線構造を備えており、好ましくはこの配線構造は複数の配線層を含む多層配線構造である。また半導体チップ701と外部との信号のやり取り行うように接続部705が設けられている。接続部705には電極パッドは外部回路との信号のやり取りを行う入力パッド、出力パッドを含み得る。半導体チップ701における接続部705は半導体チップ701における周辺領域に配される。
【0018】
図1(b)は、
図1(a)中の接続部705が配列された領域に示した破線で囲んだ部分Aの拡大図である。
図1(b)に示すように接続部705の周囲に分離構造702が配置されている。このような分離構造702により、接続部705を構成する導電部材と半導体チップ701の半導体層とが絶縁される。なお、後に説明するように分離構造702には中空部が設けられている。この中空部は、導電部材とその周囲の材料、たとえばシリコンとの熱膨張係数差による応力を緩和させる役割を担っている。このためパターンレイアウトに応じて応力緩和が必要な場所、たとえば隣接する接続部705間に中空部を有する分離構造702を配置することが好ましい。また中空部の形成を容易にするため分離構造702の幅a,bを異ならせても良い。例えば隣接する接続部705間の絶縁分離部の幅aをより広く取ることが可能である。
【0019】
図1(c)は、
図1(a)中の画素回路部703の光電変換部710がアレイ状に配列された領域を囲んだ部分Bの拡大図である。
図1(c)に示すように光電変換部710の周囲に溝構造を有する分離構造712が配置されている。この分離構造712は光電変換部710を電気的および/または光学的に分離することができる。なお、後に説明するように分離構造712には中空部が設けられている。この中空部は、導電部材とその周囲の材料、たとえばシリコンとの熱膨張係数差による応力を緩和させる役割を担っている。
【0020】
この固体材料203は光電変換部を含む画素の周囲に格子状に配される。あるいは一つの画素に複数の光電変換部を有する場合には、それぞれの光電変換部の周囲に配されても良い。
【0021】
半導体装置500は半導体層102を含む。半導体層102は例えばシリコン層ある。半導体層102は表面10と裏面20とを有する。
【0022】
画素回路部703の光電変換部710は、例えば半導体層102の中に配置されたN型半導体領域107とその周囲のP型半導体領域108を有するフォトダイオードである。なお、P型半導体領域108の一部は半導体層と絶縁体との界面での暗電流を抑制するような不純物濃度に設定されうる。
【0023】
半導体層102の表面10にトランジスタが形成されている。例えば、画素回路部703には、画素トランジスタTr1,Tr2が配置される。周辺回路部704には周辺トランジスタTr3、Tr4が形成される。本例では、画素トランジスタTr1,Tr2および周辺トランジスタTr3,Tr4は絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(MOSFET)である。例えば周辺トランジスタTr3はゲート電極105とソース・ドレイン領域106とを有する。ソース・ドレイン領域106とはソースおよびドレインの少なくとも一方となる半導体領域である。動作によってはソースとなったりドレインとなったりする半導体領域も存在し得る。半導体層102の表面10に配されるトランジスタは絶縁ゲート型電界効果トランジスタに限らず、バイポーラトランジスタや接合型電界効果トランジスタであってもよい。
【0024】
複数のトランジスタの間は素子分離部104で分離される。素子分離部104はLOCOS構造やSTI構造を有する。周辺回路部704に形成されるロジック回路はCMOS回路で構成することができる。なお、半導体層102の表面10は素子分離部104に対応した凹凸を有し得る。表面10の中でもトランジスタのゲート絶縁膜との界面は、表面10を代表する部分とみなすことができる。
【0025】
半導体層102の表面10上には、配線構造150が設けられている。配線構造150は、複数の配線層110、112、114およびこれらを接続するプラグ109、111、113を含む。配線構造150はこれらの配線層、プラグの周囲に設けられた絶縁膜117を含む。絶縁膜117は、層間絶縁層や拡散防止層、パッシベーション層を含む多層膜である。配線層110、112、114の材料は銅やアルミニウムであり、プラグ109、111、113の材料は銅やタングステンである。絶縁膜117の材料は酸化シリコンや窒化シリコン、炭化シリコンなどである。なお酸窒化シリコンや炭窒化シリコンは酸化シリコンや窒化シリコン、炭化シリコンの一種とみなす。半導体層102の厚さが小さい(例えば100μm以下)である場合、半導体層102は半導体層102より厚い支持基板800によって支持される。
【0026】
半導体層102の裏面20側には、絶縁層302を介して、遮光すべき領域に対応するように遮光層303が配される。遮光層303は半導体層102と電気的に接続されており、遮光層303は所定の電位に固定されている遮光層303上には絶縁層312が積層されている。絶縁層312上には平坦化層304が設けられている。平坦化層304上に各画素に対応して例えば赤、緑、青のカラーフィルタアレイ305が配置され、カラーフィルタアレイ上にはレンズアレイ306が配置されている。
【0027】
接続部705には半導体層102を貫通し、配線層110に達する導電部材310が設けられている。本例の導電部材310はいわゆるシリコン貫通電極(TSV:Through-Silicon Via)である。導電部材310は半導体層102の側面120に沿って延びている。側面120は表面10と裏面20を結ぶ。導電部材310にはパッド電極311が接続されている。典型的なパッド電極311はアルミニウム層を含み必要に応じてチタン層や窒化チタン層を含むことができる。配線層110とパッド電極311とを導電部材310が接続している。パッド電極311の上には開口313が設けられている。パッド電極311には開口313を介してワイヤボンディング用の導電ワイヤやフリップチップボンディング用の導電バンプなどが接続される。半導体装置500では、パッド電極311を介して、電源の供給、信号の入力あるいは出力が行われる。ここでは導電部材310は配線層とパッド電極311とを接続する接続部材であるが、これに限ったことではない。例えば、複数のチップを積層した半導体装置において、一方のチップの配線層と他方のチップの配線層とを接続するための接続部材であってもよい。また一方のチップの配線層と他方のチップのパッド電極とを接続する接続部材であってもよい。また、導電部材310は、外部からの水分等の侵入を抑制するための隔壁部材であってもよい。
【0028】
導電部材310と半導体層102のとの間には絶縁体である固体材料103が配されている。固体材料103は導電部材310と半導体層102の側面120の双方に接し得る。また、導電部材310と半導体層102との間には中空部130が配されている。固体材料103と中空部130とが上述した分離構造702を構成している。固体材料103は中空部130と界面を成す。本例では固体材料103が中空部130を包囲している。固体材料103が中空部130を包囲しているとは、中空部130と中空部130の周囲の部材との界面の全体が固体材料103と中空部130で形成されている場合を指す。中空部130が固体材料103だけでなく、半導体層102や導電部材310とも界面を成すような場合は、包囲とはみなさない。
【0029】
絶縁体である固体材料103により、導電部材310と半導体層102(シリコン層)とを絶縁することができる。固体材料103としては、酸化シリコンや窒化シリコン、炭化シリコンなどのシリコン化合物を用いることができる。中空部130は空気や不活性ガスなどの気体が配された空間であるか、真空の空間である。
【0030】
画素回路部703には、半導体層102に溝220が配されている。溝220の中には固体材料203と中空部230が配されている。固体材料203と中空部230とが上述した分離構造712を構成している。固体材料203は導電体であってもよいし半導体であってもよいし絶縁体であってもよいし、これの複数を含む複合体であってもよい。導電体としては多結晶シリコンや金属、金属化合物を用いることができ、半導体としてはエピタキシャル成長により形成された単結晶半導体や非晶質半導体を用いることができる。絶縁体としては酸化シリコンや窒化シリコン、炭化シリコンなどのシリコン化合物を用いることができる。複合体としては、例えば溝220に沿って配された絶縁層と、その内側に埋められた導電層とを用いることができる。
【0031】
本実施形態では、分離構造702における中空部130の位置と分離構造712における中空部230の位置に特徴がある。以下、中空部130、230の位置について詳細に説明する。なお、半導体装置500においては、分離構造702と分離構造712の少なくとも一方が設けられていればよく、他方を省略することもできる。
【0032】
図3を用いて、分離構造702における中空部130の位置について説明する。
図3(a)は分離構造702の第1例、
図3(b)は分離構造702の第2例を示している。
【0033】
半導体層102の厚さをTとする。厚さTは1~1000μm程度である。本実施形態は厚さTが1~250μmである場合に好適であり、本例における厚さTは2~10μmの範囲に設定されている。
【0034】
半導体層102の表面10を含み表面10に沿った仮想的な平面を第1面11とする。半導体層102の裏面20を含み裏面20に沿った仮想的な平面を第2面21とする。第1面11は、表面10を代表する、ゲート絶縁膜との界面を成す部分を含むように設定することができる。第1面11および第2面21から等しい距離Haに位置する仮想的な平面を中間面30(第3面)とする。距離Haは厚さTの半分に相当する(Ha=T/2)。第1面11と中間面30との間の領域を表側領域31と称し、第2面21と中間面30との間の領域を裏側領域32と称する。第1面11および第2面21に沿った方向を面内方向Xと称し、第1面11および第2面21に交差(典型的には直交)する方向を厚さ方向Zと称する。
【0035】
第1面11と第2面21との間には半導体層102だけでなく、導電部材310や固体材料103、中空部130が位置する。
【0036】
絶縁体である固体材料103は少なくとも第2面21と中間面30との間、つまり裏側領域32に配されている。裏側領域32において、固体材料103が導電部材310と半導体層102との間に配されている。本例では、固体材料103の一部は第1面11と中間面30との間、つまり表側領域31にも配されている。固体材料103は半導体層102の側面120に沿って裏側領域32から表側領域31に渡って配されていることになる。固体材料103は第2面21と第3面30との間のみ配されていてもよい。
【0037】
また、中空部130は少なくとも第1面11と中間面30との間、つまり表側領域31に配されている。本例では、中空部130の一部は第2面21と中間面30との間、つまり裏側領域32にも配されている。中空部130は第1面11と第3面30との間のみ配されていてもよい。宙空部は半導体層102の側面120に沿って表側領域31から裏側領域32に渡って配されていることになる。
【0038】
厚さ方向Zにおける中空部130の中心131は第1面11と中間面30との間、つまり表側領域31に位置する。中空部130の中心131は、中空部130の第1面11側の端部の位置41と中空部130の第2面21側の端部の位置42から等しい距離Hbの位置40に位置する。距離Hbは厚さ方向Zにおける中空部130の長さLの半分に相当する(Hb=L/2)。中心131と第1面11との距離Pは距離Haよりも小さい(Ha>P)。距離Pは距離Hbよりも大きいこと(P>Hb)が好ましい。中空部130が第1面11を貫通して第1面11に対して半導体層102とは反対側に延在すると、距離Pは距離Hbより小さくなりうる。
【0039】
面内方向Xにおける導電部材310と半導体層102との距離Waは、面内方向Xにおける中空部130の幅Wbよりも大きいことが好ましい。中空部130が固体材料103で包囲されていることで、中空部130の幅Wbは距離Waよりも小さくなり得る。応力の緩和性を高める上では、中空部130の幅Wbを極力広くとることが望ましく、幅Wbは距離Waの半分よりも大きいこと(Wb>Wa/2)が好ましい。
【0040】
第1例(
図3(a))と第2例(
図3(b))の違いは面内方向Xにおける分離構造702の幅および導電部材310の幅の、厚さ方向Zにおける関係が異なる点である。
【0041】
第1例では、分離構造702の第1面11における幅が、分離構造702の第2面21における幅がよりも大きい。そして、導電部材310の第1面11における幅Wcが、導電部材310の第2面21における幅Wdよりも小さい(Wc<Wd)。
【0042】
第2例では、分離構造702の第1面11における幅が、分離構造702の第2面21における幅がよりも小さい。そして、導電部材310の第1面11における幅Wcが、導電部材310の第2面21における幅Wdよりも大きい(Wc>Wd)。
【0043】
図4を用いて、分離構造712における中空部230の位置について説明する。
図3(a)は分離構造712の第1例、
図3(b)は分離構造712の第2例を示している。
【0044】
第1面11、第2面21および中間面30については
図3で説明したものと同様であるので、説明を省略する。
【0045】
第1面11と第2面21との間には光電変換部710を有する半導体層102だけでなく、固体材料203、中空部230が位置する。固体材料203および中空部230は半導体層102の設けられた溝220の中に配されている。固体材料203は中空部230と界面を成す。本例では固体材料203が中空部230を包囲している。固体材料203が中空部230を包囲しているとは、中空部230と中空部230の周囲の部材との界面の全体が固体材料203と中空部230で形成されている場合を指す。中空部230が固体材料203だけでなく、半導体層102とも界面を成すような場合は、包囲とはみなさない。
【0046】
溝220は中間面30を貫通する。第1例(
図4(a))において、溝220は裏面20に連続し、第2面21から延びて中間面30を貫通する。溝220の底222は第1面11と中間面30との間、つまり表側領域31に位置している。第2例(
図4(b))において、溝220は表面10に連続し、第1面11から延びて中間面30を貫通する。溝220の底222は第2面21と中間面30との間、つまり裏側領域32に位置している。なお、溝220は半導体層102を貫通していてもよい。その場合、溝220は底222を有しない。例えば、溝220は、第1面11から中間面30を貫通して第2面21まで到達していてもよく、第2面21から中間面30を貫通して第1面11まで到達していてもよい。
【0047】
固体材料203は少なくとも第2面21と中間面30との間、つまり裏側領域32に配されている。裏側領域32において、固体材料203が導電部材310と半導体層102との間に配されている。本例では、固体材料203の一部は第1面11と中間面30との間、つまり表側領域31にも配されている。固体材料203は半導体層102の側面120に沿って裏側領域32から表側領域31に渡って配されていることになる。固体材料203は第2面21と第3面30との間のみ配されていてもよい。
【0048】
また、中空部230は少なくとも第1面11と中間面30との間、つまり表側領域31に配されている。本例では、中空部230の一部は第2面21と中間面30との間、つまり裏側領域32にも配されている。中空部230は第1面11と第3面30との間のみ配されていてもよい。宙空部は半導体層102の側面120に沿って表側領域31から裏側領域32に渡って配されていることになる。
【0049】
厚さ方向Zにおける中空部230の中心131は第1面11と中間面30との間、つまり表側領域31に位置する。中空部230の中心131は、中空部230の第1面11側の端部の位置41と中空部230の第2面21側の端部の位置42から等しい距離Hbの位置40に位置する。距離Hbは厚さ方向Zにおける中空部230の長さLの半分に相当する(Hb=L/2)。中心131と第1面11との距離Pは距離Haよりも小さい(Ha>P)。距離Pは距離Hbよりも大きいこと(P>Hb)が好ましい。中空部230が第1面11を貫通して第1面11に対して半導体層102とは反対側に延在すると、距離Pは距離Hbより小さくなりうる。
【0050】
面内方向Xにおける導電部材310と半導体層102との距離Waは、面内方向Xにおける中空部230の幅Wbよりも大きいことが好ましい。中空部230が固体材料203で包囲されていることで、中空部230の幅Wbは距離Waよりも小さくなり得る。応力の緩和性を高める上では、中空部230の幅Wbを極力広くとることが望ましく、幅Wbは距離Waの半分よりも大きいこと(Wb>Wa/2)が好ましい。
【0051】
中空部130と導電部材310との距離が、中空部130と半導体層102との距離よりも小さくてもよい。中空部130と導電部材310との距離は、中空部130と導電部材310との間に位置する固体材料103の厚さに相当する。中空部130と半導体層102との距離は、中空部130と半導体層102との間に位置する固体材料103の厚さに相当する。
【0052】
第1例(
図3(a))と第2例(
図3(b))の違いは面内方向Xにおける分離構造712の幅および導電部材310の幅の、厚さ方向Zにおける関係が異なる点である。
【0053】
第1例では、分離構造712の第2面21における幅が、分離構造712の第3面30における幅よりも大きい。溝220が半導体層102を貫通する場合には、分離構造712の第2面21における幅が、分離構造712の第1面11における幅よりも大きい。
【0054】
第2例では、分離構造712の第1面11における幅が、分離構造712の第3面30における幅がよりも大きい。溝220が半導体層102を貫通する場合には、分離構造712の第1面11における幅が、分離構造712の第2面21における幅よりも大きい。
【0055】
以上説明したように、分離構造702では中空部130の中心131が表側領域31に位置し、分離構造712では中空部230の中心231が表側領域31に位置している。中空部130の中心131や中空部230の中心231を表側領域31に配置することにより半導体装置500の信頼性を向上することができる。以下にその理由を説明する。
【0056】
半導体層102を貫通する導電部材310を構成する導電材料(例えば銅)と、半導体層102は熱膨張係数が異なる。そのため、熱膨張量の違いによって半導体層102と導電部材310との間に歪応力が蓄積されてしまう。このように蓄積された歪応力は、導電部材310と接続する配線層110やパッド電極311との接合部、あるいは導電部材310自体への機械的なダメージの原因となる。
【0057】
また、溝220の中の固体材料203も半導体層102と熱膨張係数が異なりうる。半導体層102の表面10の上に形成された素子分離部104も、半導体層102とは熱膨張係数が異なる。トランジスタのゲート電極等も、半導体層102とは熱膨張係数が異なる。配線構造150の配線層110、112、114、プラグ109、111、113、絶縁膜117も、半導体層102とは熱膨張係数が異なる。そのため、熱膨張量の違いによって半導体層102とこれら半導体層102の周囲の部材との間に歪応力が蓄積されてしまう。このように蓄積された歪応力はこれら周囲の部材への機械的なダメージの原因となる。また、歪応力を内在している半導体層102内の領域においてはトランジスタの電流-電圧特性を変化させてまったり、リーク電流などが発生してしまうなどの問題がある。撮像装置における特性変化やリーク電流は画質に直結する問題となる。
【0058】
このような問題に対して、中空部130あるいは中空部230を配置することで、熱膨張の違いによる応力を緩和することができる。これは、中空の空間が半導体層102の膨張あるいは導電部材310や他の部材の膨張を吸収あるいは緩衝することができるためである。つまり、中空部130あるいは中空部230を配置することで、上述したような、応力に起因した様々な問題を解消あるいは軽減することができる。
【0059】
一方で、中空部130あるいは中空部230の大部分を第1面11と第2面21の間の大部分に配置してしまうと、分離構造702、712自体の強度が低下する。例えば第2面21側からの機械的衝撃や急激な温度上昇、半導体層102の撓みが半導体層102に生じた場合、中空部130、230が押しつぶされて、固体材料103、203が損傷あるいは崩壊してしまう。そうすると、異常な応力が生じてダメージが生じてしまったり、電気的あるいは光学的な分離性能が低下してしったりする可能性がある。
【0060】
このように中空部130、230を設けることで生じる新たな課題に対して、中空部130、230の中心131、231を表側領域31に配置することで、上述した分離構造702、712自体の強度低下を抑制できる。つまり、中空部130、230の内で裏側領域32に位置する部分の割合を半分以下(零でもよい)として、裏側領域32には固体材料103、203を配置する。これにより、応力による課題の影響が大きい表側領域31では中空部130、230を配置することで応力を緩和する一方で、裏側領域32では中空部130、230の割合を減らすことで、半導体装置500の機械的な強度を確保できる。このため、半導体装置500の信頼性を向上することができる。
【0061】
次に、半導体装置の製造方法を説明する。
【0062】
まず
図5(a)に示すように、厚さSを有する半導体基板101の表面10側に、素子分離部104を形成する。素子分離部104はLOCOS構造あるいはSTI構造を有し得る。本例ではSTI構造を有する。なお厚さSは500~1000μm程度でありうる。この時点での半導体基板101の厚さSは半導体基板101を薄化して得られる半導体層102の厚さTよりもかなり大きい(例えば厚さSは厚さTの10~1000倍)。
【0063】
また、フォトダイオードを成すN型半導体領域107を形成する。また、小野のがゲート電極105およびソース・ドレイン領域106を有する画素トランジスタTr1,Tr2、周辺トランジスタTR3,Tr4を形成する。
【0064】
また半導体基板101の基板深さ方向に、上記の素子分離部104よりも深い位置に底を有する溝121を形成する。溝121の深さDは半導体基板101の厚さSよりも小さくてもよい。半導体基板101の厚さSは大きいため、溝121が半導体基板101を貫通させるのは効率的ではない。溝121は、ゲート電極105を形成した半導体基板101の表面10に保護用の絶縁層(不図示)を形成した後に、表面10側から半導体基板101をエッチングすることで形成できる。溝121は半導体基板101のうち、後の工程で導電部材310が配置される部分を囲むように形成することができる。
【0065】
さらに、溝121の中に絶縁体である固体材料103を形成する。固体材料103は溝121内に絶縁材料をCVD法などにより成膜して埋め込こみ、溝121外に位置する絶縁材料をエッチングやCMP法などにより除去して形成できる。この固体材料103は、後の工程で形成される導電部材310を囲む領域に形成される。このとき、溝121内の一部に中空部130を設ける。このため埋め込み材料の堆積速度、埋め込み形状などを考慮して溝121の深さや幅、埋め込む材料の種類や成膜条件を任意に決めることが可能である。この中空部130の位置は
図3(a)、(b)で説明した中心131が後で表側領域31に位置するように設定される。典型的には、中空部130の中心131と溝121の底との距離を、溝121の深さDの半分よりも大きくすればよい。
【0066】
次に
図5(b)に示すように、半導体層102の表面上に層間絶縁層を形成し、その後、層間絶縁層に接続孔を形成し、所望のトランジスタに接続するプラグ109を形成する。プラグ109はタングステンで形成できる。
【0067】
さらにプラグ109に接続するように、層間絶縁層を介して複数の配線層110、112、114を形成して配線構造150を形成する。配線層110、112、114は銅配線でダマシン法により形成できる。プラグ111、113はデュアルダマシン法により銅で形成できる。配線層114を覆うようにパッシベーション層を形成する。パッシベーション層は、層間絶縁層を主に構成する材料よりも透湿性の低い材料から選択することが好ましく、例えば窒化シリコン層や酸窒化シリコン層をプラズマCVD法により形成することができる。
【0068】
次に、配線構造150に支持基板800を貼り合せる。なお、必要に応じて、パッシベーション層あるいはその下層を平坦化処理しても良いし、パッシベーション層の上に平坦化層を形成してもよい。これにより、支持基板800に貼り合せる界面を平坦にすることができるため、接合の強度を高めるのに有利になる。
【0069】
次に
図5(c)に示すように、半導体基板101の表面10の反対側の面から研削、研磨して半導体基板101を薄くする(薄化工程)。これにより、厚さSを有する半導体基板101から厚さTを有する半導体層102が得られる。表面10の反対側の面が裏面20である。この薄化工程では、少なくとも溝121の底に達するまで行われる。つまり半導体基板101から少なくとも、厚さSと深さDの差に相当する厚さ(S-D)の部分が除去される。さらに多く除去することもできる。この薄化は固体材料103が表面10の反対側に露出するように行われるのが望ましい。これにより、固体材料103による導電部材310と半導体層102との絶縁性能を向上することができる。さらに、中空部130が表面10の反対側に露出しないように行われるのが望ましい。上述したように、中空部130の中心を溝121の深さDの半分よりも表面10側に配置しておくことで、中空部130が表面10の反対側に露出する可能性を低減することができる。
【0070】
薄化した後に、フォトダイオードの裏面20側に暗電流抑制のためのP型半導体領域(不図示)を形成する。薄化前の半導体基板101の厚さは例えば600μm程度であるが、薄化後に得られる半導体層102の厚さは例えば1~10μm程度である。これにより、裏面20から入射した光によって生じた電荷を表面10側のトランジスタで処理することが容易となる。
【0071】
次に、
図5(d)に示すように、裏面20側から半導体層102に溝220を形成する。さらに溝220の中に固体材料203を形成する。固体材料203は溝220の中に中空部230が形成されるように、固体材料203の成膜条件や溝220の形状が設定される。
図3を用いて上述してように中空部230の中心231が表側領域31に位置することが好ましい。
【0072】
次に半導体層102の裏面20上に絶縁層302を形成する。絶縁層302は固体材料103、203を覆って形成されうる。絶縁層302を形成してから溝220および固体材料203を形成してもよい。
【0073】
次に
図5(e)に示すように、半導体層102の裏面20側から配線層110に達する孔320を形成する。なお孔320の幅は例えば1~5μmであり、深さは例えば5~15μmである。孔320は半導体基板101のうち、先の工程で溝121で囲まれた部分を除去ように形成することができる。このとき、固体材料103は孔320を形成する際のエッチングガイドリングとして用いることができる。つまり、孔320の形成は、固体材料103が孔320の側面を成すように行われる。エッチングガイドリングとして用いる固体材料103は、例えば半導体層102に対してエッチングレートを低くするのが容易な、酸化シリコンを好適に用いることができる。エッチングガイドリングとして用いる場合には、固体材料103のうち裏面20側の部分の方がエッチングに曝される時間が長くなる。中空部130の中心を裏面20よりも表面10に近づけ、裏面20側に位置する固体材料103の割合を高めることで、エッチングガイドリングとしての耐久性を高めることができる。また、溝121を表面10側から形成することで溝121の幅が溝121の底に向うほど狭くなるテーパー形状が得られる。このようなテーパー形状は孔320を形成する際には、表面10へ向かって孔320が細くなる形状を実現するのに有利である。表面10へ向かって孔320が細くなる形状であれば、導電部材310の形成時において、導電材料を孔320へ埋め込みやすくなる。なお、固体材料103をエッチングガイドリングとして用いる場合、固体材料103の孔320側の部分が半導体層102の部分よりも薄くなる場合がある。その結果、中空部130と導電部材310との距離が、中空部130と半導体層102との距離よりも小さくなりうる。
【0074】
なお、孔320の幅を固体材料103で形成された分離構造の内径よりも小さくして、孔320に固体材料103や中空部130が露出しないようにすることもできる。
【0075】
続いて、孔320内に導電部材310を形成する。導電部材310としては、例えば銅やタングステンなどの金属材料を用いることができる。なお導電部材310が貫通する半導体層102と導電部材310との間には固体材料103が位置する。固体材料103により導電部材310と半導体層102(シリコン層)とを絶縁性能を向上をすることができる。このように、導電部材310は半導体基板101の薄化を行った後に形成される。これにより導電部材310のアスペクト比を小さくすることができる。薄化工程で、中空部130が表面10の反対側に露出しないようにすることで、導電部材310と半導体層102の絶縁分離の信頼性を高めることができる。すなわち、中空部130が表面10の反対側に露出すると、導電部材310のための導電材料を成膜する際に中空部130の中に導電材料が入り込んでしまう。そうすると導電材料と半導体層102が接触してしまったり、薄い固体材料103によって耐圧が低下してしまったりする。中空部130が裏面20側に露出せずに、固体材料103で蓋がされていることで、そのような問題を回避できる。
【0076】
その後、
図2に示すように、裏面20の上に、遮光層303、保護用の絶縁層312が形成される。次に
図2に示すように、次に遮光層303を覆うよう次に絶縁層312に接続孔が形成される。この接続孔を形成した後、バリアメタル層/アルミニウム層を有するパッド電極311を形成する。そして、平坦化層304を形成する。平坦化層304上には各画素に対応して例えば、赤、緑、青のカラーフィルタアレイ305を形成し、さらにその上にレンズアレイ306を形成する。なお、平坦化層304、カラーフィルタアレイ、レンズアレイの形成後においてパッド電極311は露出されるように、パッド電極311上の層には開口が形成される。
【0077】
ここでは半導体基板101の薄化後の半導体層102の裏面20側から分離構造712を形成し、その後に裏面20側から導電部材310を形成する例を説明した。しかし、半導体基板101の薄化後に、半導体層102の裏面20側から導電部材310を形成し、その後に裏面20側から分離構造712を形成してもよい。また、半導体基板101の薄化前に半導体基板101の表面10側から分離構造712を形成してもよく。分離構造702と分離構造712を同時に形成してもよい。
【0078】
以上、撮像装置を例に挙げて半導体装置の実施形態を説明したが、撮像装置以外の、演算装置や記憶装置、通信装置、表示装置として用いられる半導体装置に適用可能である。また、説明した実施形態は、本発明の思想を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
102 半導体層
10 表面
20 裏面
11 第1面
21 第2面
30 中間面
310 導電部材
103、203 固体材料
130、230 中空部
220 溝