(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】沸騰水型原子炉
(51)【国際特許分類】
G21C 3/34 20060101AFI20240617BHJP
G21C 3/332 20060101ALI20240617BHJP
G21C 15/00 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
G21C3/34 100
G21C3/332
G21C15/00 B
(21)【出願番号】P 2021135851
(22)【出願日】2021-08-23
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 慶太
(72)【発明者】
【氏名】菊地 義春
(72)【発明者】
【氏名】大滝 健斗
(72)【発明者】
【氏名】三浦 宏起
(72)【発明者】
【氏名】赤池 正則
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 武裕
(72)【発明者】
【氏名】内山 好司
(72)【発明者】
【氏名】黒板 翔
【審査官】後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-002246(JP,A)
【文献】特開平08-337853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/06
G21C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料集合体の側面を囲むように配置された四角筒状のチャンネルボックスと、
前記チャンネルボックスの側面上部を支持する格子板とを備え、
前記格子板は、前記チャンネルボックスの上部が挿入される複数の孔が設けられた内周部に対し、外周部の全周又は一部の上面の高さが高
くなるように構成されており、
前記内周部の最外周部分の領域で、かつ、一体の前記チャンネルボックスの上部が挿入される孔が形成された領域を1バンドルセルとし、前記内周部の最外周部分の領域で、かつ、二体の前記チャンネルボックスの上部が挿入される孔が形成された領域を2バンドルセルとし、
前記1バンドルセルと前記2バンドルセルとに隣接する部位において、前記外周部の上面の高さは、前記内周部の上面の高さよりも高い
ことを特徴とする沸騰水型原子炉。
【請求項2】
請求項1に記載の沸騰水型原子炉において、
前記外周部の上面の位置は、チャンネルボックスの上端付近である
ことを特徴とする沸騰水型原子炉。
【請求項3】
燃料集合体の側面を囲むように配置された四角筒状のチャンネルボックスと、
前記チャンネルボックスの側面上部を支持する格子板と、
前記格子板による前記チャンネルボックスの支持をサポートするサポート部材と、を備え、
前記格子板は、前記チャンネルボックスの上部が挿入される複数の孔が設けられた内周部と、当該内周部の外周に配置された外周部と、を有し、
前記外周部の上面の高さは、前記内周部の上面の高さと同じになっており、
前記外周部の全周又は一部において、前記外周部の上面の上には、前記サポート部材が配置されている
ことを特徴とする沸騰水型原子炉。
【請求項4】
請求項
3に記載の沸騰水型原子炉において、
前記サポート部材の上端の位置は、チャンネルボックスの上端付近である
ことを特徴とする沸騰水型原子炉。
【請求項5】
請求項
3又は請求項
4に記載の沸騰水型原子炉において、
前記内周部の最外周部分の領域で、かつ、一体の前記チャンネルボックスの上部が挿入される孔が形成された領域を1バンドルセルとし、前記内周部の最外周部分の領域で、かつ、二体の前記チャンネルボックスの上部が挿入される孔が形成された領域を2バンドルセルとし、
前記1バンドルセルと前記2バンドルセルとに隣接する部位において、前記外周部の上面の上には、前記サポート部材が配置されている
ことを特徴とする沸騰水型原子炉。
【請求項6】
請求項
3乃至請求項
5のいずれか一項に記載の沸騰水型原子炉において、
前記サポート部材は、板状の形状を呈しており、前記格子板の下に配置された炉心シュラウドにボルトで締結されている
ことを特徴とする沸騰水型原子炉。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の沸騰水型原子炉において、
前記サポート部材は、板状の形状を呈しており、前記格子板の上面に溶接で固定されている
ことを特徴とする沸騰水型原子炉。
【請求項8】
請求項
3乃至請求項
5のいずれか一項に記載の沸騰水型原子炉において、
前記サポート部材は、水平方向に延びる底面と垂直方向に延びる垂直面と斜め方向に延びる傾斜面とを有する側面視で三角形の形状を呈する棒状の部材であって、前記格子板の上面に溶接で固定されている
ことを特徴とする沸騰水型原子炉。
【請求項9】
請求項
8に記載の沸騰水型原子炉において、
前記外周部には、前記チャンネルボックスを通すための四角形状の孔が鉛直方向に貫通して形成されており、
前記サポート部材は、前記垂直面が前記孔の壁面とほぼ同一な面になるように配置されている
ことを特徴とする沸騰水型原子炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沸騰水型原子炉に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉は、正方格子状に並べられた複数の燃料集合体の側面を四角筒状のチャンネルボックスで囲み、チャンネルボックスを介して燃料集合体の側面上部を格子板で支持する構成になっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、改良型沸騰水型原子炉を含む今後の新設沸騰水型原子炉(以下、「新設BWR型原子炉」と称する)では、従来型沸騰水型原子炉(以下、「従来BWR型原子炉」と称する)の格子板よりも板厚(鉛直方向の幅)が薄い格子板(以下、「薄型格子板」と称する)を用いている。新設BWR型原子炉は、薄型格子板の上面を従来とおおよそ同じ位置に配置するとともに、薄型格子板の下面を従来よりも高い位置に配置している。
【0004】
近年、自立型制御棒が海外(日本国外)BWR5型原子炉において採用されている。自立型制御棒は、制御棒を格子板に届くように延長することで、制御棒全挿入時に格子板を支えとして自立する構造とした制御棒である。これにより、ダブルブレードガイドを用いずに燃料交換を実施することが可能となる。
【0005】
自立型制御棒を新設BWR型原子炉に用いる場合、薄型格子板の板厚がBWR5型原子炉の格子板の板厚よりも薄いため、薄型格子板の上面をBWR5型原子炉とおおよそ同じ位置に配置した構成では、格子板の下面位置が高くなるため、自立型制御棒を成立させるためには、制御棒の全長をより長くする必要がある。しかしながら、制御棒を長くすると、原子炉の運転中に全引き抜きされた制御棒が受ける照射の影響が大きくなる等の影響があるため、新設BWR型原子炉では自立型制御棒の成立が困難である。そこで、薄型格子板の上面を従来よりも低い位置に配置することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、薄型格子板の上面を従来よりも低い位置に配置した場合、炉心外周部において、取り合い上、チャンネルボックス(燃料集合体)の水平方向の支持性能(サポート性能)が低い。
【0008】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、チャンネルボックス(燃料集合体)の支持性能(サポート性能)を向上させた沸騰水型原子炉を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、沸騰水型原子炉であって、燃料集合体の側面を囲むように配置された四角筒状のチャンネルボックスと、前記チャンネルボックスの側面上部を支持する格子板とを備え、前記格子板は、前記チャンネルボックスの上部が挿入される複数の孔が設けられた内周部に対し、外周部の全周又は一部の上面の高さが高くなるように構成されており、前記内周部の最外周部分の領域で、かつ、一体の前記チャンネルボックスの上部が挿入される孔が形成された領域を1バンドルセルとし、前記内周部の最外周部分の領域で、かつ、二体の前記チャンネルボックスの上部が挿入される孔が形成された領域を2バンドルセルとし、前記1バンドルセルと前記2バンドルセルとに隣接する部位において、前記外周部の上面の高さは、前記内周部の上面の高さよりも高い構成とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、チャンネルボックス(燃料集合体)の支持性能(サポート性能)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る沸騰水型原子炉の内部構造を示すために一部を切断して示した斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る沸騰水型原子炉に配置される燃料集合体の支持構造を示す斜視図である。
【
図4】実施形態1に係る格子板の部分拡大図である。
【
図6】実施形態1に係る格子板の変形例の側断面図である。
【
図7】実施形態2に係る格子板の部分拡大図である。
【
図8】実施形態3に係る格子板の部分拡大図である。
【
図9】実施形態3に係る格子板に取り付けられたサポート部材の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
[実施形態1]
<沸騰水型原子炉の構成>
以下、
図1を参照して、本実施形態1に係る沸騰水型原子炉11の構成について説明する。
図1は、本実施形態1に係る沸騰水型原子炉11の内部構造を示すために一部を切断して示した斜視図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態1に係る沸騰水型原子炉11は、原子炉圧力容器12と、炉心13と、炉心シュラウド14と、制御棒案内管15と、制御棒駆動機構ハウジング16と、格子板17と、炉心支持板18と、を備え、炉心13に燃料集合体20が装荷されるようになっている。
【0015】
原子炉圧力容器12の内部には、複数の燃料集合体20が装荷される炉心13と、炉心13(燃料集合体20)を取り囲む炉心シュラウド14と、制御棒25(
図2参照)が格納される制御棒案内管15と、炉心シュラウド14の上部に配置され燃料集合体20の横方向の支持の役目を持つ格子形状をした格子板17と、炉心シュラウド14の下部に配置され燃料集合体20を支持する炉心支持板18と、が配置されている。
【0016】
原子炉圧力容器12の底部には、複数の制御棒駆動機構ハウジング16が設けられている。制御棒駆動機構ハウジング16の上部は、原子炉圧力容器12の底部を貫通して、制御棒案内管15の下部と接続されている。制御棒案内管15の上部は、炉心支持板18(燃料支持金具19)に嵌め込まれている。制御棒駆動機構ハウジング16の内部には、制御棒駆動機構(図示せず)が設けられており、制御棒案内管15に格納された制御棒25(
図2参照)を炉心13に挿入することができるようになっている。
【0017】
<燃料集合体の支持構造>
図2は、沸騰水型原子炉11に配置される燃料集合体20の支持構造を示す斜視図である。
図2では、手前側の燃料集合体20と格子板17の一部を切断して示している。
【0018】
図2に示すように、炉心13を構成する燃料集合体20は、複数の燃料棒21が正方格子状に並べられている。燃料集合体20の側面は、四角筒状のチャンネルボックス22で囲まれている。チャンネルボックス22の上部側面は、格子板17によって支持されている。チャンネルボックス22(燃料集合体20)の上部には、チャンネルファスナ23とチャンネルスペーサ24が取り付けられている。チャンネルファスナ23は、板ばねを有しており、隣り合うチャンネルボックス22(燃料集合体20)を板ばねで押し合うことで、チャンネルボックス22間の水ギャップを確保する構成要素である。チャンネルスペーサ24は、地震等でチャンネルボックス22の上部に横方向の荷重が加わり、チャンネルファスナ23の板ばねが縮んだ場合でも水ギャップを維持する構成要素である。
【0019】
炉心支持板18には、複数の燃料支持金具19が配置されている。燃料集合体20は、4体を1組として、燃料支持金具19によって支持されるようになっている。これにより、4体を1組として支持される燃料集合体20の相互間には、水ギャップ(図示せず)が形成される。燃料支持金具19の下側には、制御棒案内管15の上部が嵌め込まれている。
【0020】
制御棒25は、制御棒駆動機構ハウジング16(
図1参照)の内部に設けられた制御棒駆動機構(図示せず)により駆動されるようになっている。制御棒駆動機構(図示せず)を動作させることにより、十字断面の制御棒25は、制御棒案内管15から燃料支持金具19に形成される十字断面の貫通孔19aを通って、4体を1組として支持される燃料集合体20の間の水ギャップ(図示せず)に挿入されるようになっている。
【0021】
<格子板の構成>
以下、
図3乃至
図6を参照して、格子板17の構成について説明する。
図3は、格子板17の上面図である。
図4、格子板17の部分拡大図である。
図5は、格子板17の側断面図である。
図6は、格子板17の変形例の側断面図である。
【0022】
図3に示すように、格子板17は、円板状の形状を呈している。格子板17は、原子炉圧力容器12(
図1参照)の内部に水平に配置される。格子板17は、ステンレス鋼によって構成されている。格子板17は、チャンネルボックス22(
図2参照)の上部が挿入される複数の孔33が設けられた内周部30と、内周部30の外周に配置された板状の外周部35と、を有している。
【0023】
本実施形態では、格子板17は、内周部30が従来BWR型原子炉の格子板よりも板厚(鉛直方向の幅)が薄い薄型格子板として構成されている。本実施形態に係る沸騰水型原子炉11は、新設BWR型原子炉で自立型制御棒を適用するために格子板17の内周部30の上面の位置を従来の格子板よりも下げた構成になっている。そのため、内周部30の上面は、日本国内の既設の改良型沸騰水型原子炉(既設原子炉)における格子板の上面よりも低い位置に配置されている。
【0024】
内周部30は、複数の孔33が形成されたセル31を有している。各孔33は、チャンネルボックスの側面上部を支持する複数の格子32によって形成されている。
【0025】
セル31は、1バンドルセル31aと、2バンドルセル31bと、4バンドルセル31cとを有している。1バンドルセル31aは、一体のチャンネルボックス22の上部が挿入される孔33が形成された領域であり、内周部30の最外周部分に形成される。2バンドルセル31bは、二体のチャンネルボックス22の上部が挿入される孔33が形成された領域であり、内周部30の最外周部分に形成される。4バンドルセル31cは、四体のチャンネルボックス22の上部が挿入される孔33が形成された領域であり、内周部30の全域に形成される。
【0026】
外周部35の全周又は一部において、外周部35の上面の高さは、内周部30の上面の高さよりも高い。例えば、
図4に示す例では、外周部35の全周(ハッチングを付して示した部分)において、外周部35の上面の高さが内周部30の上面の高さよりも高くなっている。このような沸騰水型原子炉11では、格子板17の外周部35におけるチャンネルボックス22に対向する部位の面積が拡大されている。そのため、沸騰水型原子炉11は、チャンネルボックス22に設けられたチャンネルファスナ23とチャンネルスペーサ24を格子板17の外周部35に当接させ易くすることができ、チャンネルボックス22(燃料集合体20)の支持性能(サポート性能)を向上させることができる。
【0027】
図5に示す例では、外周部35は、最内周部分から最外周部分に亘って全域が内周部30よりも高さを嵩上げされた嵩上げ範囲W35になっている。内周部30の内部には、格子32によって複数の孔33が形成されている。複数の孔33は、1バンドルセル31a、2バンドルセル31b、4バンドルセル31cとして機能する。
【0028】
本実施形態では、格子板17は、内周部30が従来の格子板よりも板厚が薄い薄型格子板として構成されている。外周部35の板厚は、内周部30の厚さT30よりも厚い厚さT35になっている。外周部35の上面の位置は、好ましくは、チャンネルボックス22の上端付近であるとよい。
【0029】
格子板17は、
図6に示すように変形することができる。
図6に示す例では、格子板17は、外周部35の上面の高さが内周部30の上面の高さと同じになっており、外周部35の上面の上にサポート部材41が配置された構成になっている。サポート部材41は、格子板17によるチャンネルボックス22の支持をサポートする部材である。サポート部材41は、ボルト42で炉心シュラウド14に締結固定されている。ただし、サポート部材41は、溶接で格子板17に固定することもできる。
【0030】
サポート部材41は、上面視で格子板17の外周部35とほぼ同じような円環形状をした板状の部材である。サポート部材41の上面の位置は、好ましくは、チャンネルボックス22の上端付近であるとよい。これにより、格子板17は、外周部35の厚さT35を内周部30の厚さT30よりも厚くすることができる。
【0031】
<沸騰水型原子炉の主な特徴>
(1)
図5に示すように、本実施形態に係る沸騰水型原子炉11は、燃料集合体20の側面を囲むように配置された四角筒状のチャンネルボックス22と、チャンネルボックス22の側面上部を支持する円板状の格子板17と、を備えている。格子板17は、チャンネルボックス22の上部が挿入される複数の孔33が設けられた内周部30と、内周部30の外周に配置された板状の外周部35と、を有している。外周部35の全周又は一部において、外周部35の上面の高さは、内周部30の上面の高さよりも高い。外周部35の上面の位置は、好ましくは、チャンネルボックス22の上端付近であるとよい。
【0032】
このような本実施形態に係る沸騰水型原子炉11では、格子板17の外周部35におけるチャンネルボックス22に対向する部位の面積が拡大されている。そのため、本実施形態に係る沸騰水型原子炉11は、チャンネルボックス22に設けられたチャンネルファスナ23とチャンネルスペーサ24を格子板17の外周部35に当接させ易くすることができる。このような本実施形態に係る沸騰水型原子炉11は、チャンネルボックス22(燃料集合体20)の支持性能(サポート性能)を向上させることができる。
【0033】
つまり、本実施形態に係る沸騰水型原子炉11は、新設BWR型原子炉で自立型制御棒を適用するために格子板17の位置(内周部30の上面の位置)を従来の格子板よりも下げた構成において、格子板17の最外周部分である外周部35のみの厚さを厚くして、外周部35にサポート機能を持たせている。このような本実施形態に係る沸騰水型原子炉11は、チャンネルボックス22(燃料集合体20)の支持性能(サポート性能)を向上させることができる。
【0034】
(2)
図6に示すように、本実施形態に係る沸騰水型原子炉11は、格子板17によるチャンネルボックス22の支持をサポートするサポート部材41を備える構成にしてもよい。
図6に示す構成では、外周部35の上面の高さは、内周部30の上面の高さと同じになっており、外周部35の全周又は一部において、外周部35の上面の上には、サポート部材41が配置されている。サポート部材41の上面の位置は、好ましくは、チャンネルボックス22の上端付近であるとよい。
【0035】
このような本実施形態に係る沸騰水型原子炉11は、
図5に示す構成と同様に、格子板17の外周部35におけるチャンネルボックス22に対向する部位の面積が拡大されている。そのため、本実施形態に係る沸騰水型原子炉11は、チャンネルボックス22に設けられたチャンネルファスナ23とチャンネルスペーサ24を格子板17の外周部35に当接させ易くすることができる。このような本実施形態に係る沸騰水型原子炉11は、チャンネルボックス22(燃料集合体20)の支持性能(サポート性能)を向上させることができる。
【0036】
以上の通り、本実施形態1に係る沸騰水型原子炉11によれば、チャンネルボックス22(燃料集合体20)の支持性能(サポート性能)を向上させることができる。
【0037】
[実施形態2]
前記の実施形態1に係る格子板17(
図4参照)は、外周部35の全周(ハッチングを付して示した部分)において、外周部35の上面の高さが内周部30の上面の高さよりも高くなっている。
【0038】
これに対し、
図7に示すように、本実施形態2では、外周部35の一部(ハッチングを付して示した部分)において、外周部35の上面の高さが内周部30の上面の高さよりも高い構成の格子板17Aを提供する。
図7は、本実施形態2に係る格子板17Aの部分拡大図である。
【0039】
図7に示すように、本実施形態2に係る格子板17Aは、外周部35の一部である、隣接部35aにおいて、外周部35の上面の高さが内周部30の上面の高さよりも高くなっている。隣接部35aは、1バンドルセル31aと2バンドルセル31bとに隣接する部位である。
【0040】
なお、格子板17Aは、
図5に示すように、隣接部35aの板厚を内周部30の板厚よりも厚くした構成にしてもよい。また、格子板17Aは、
図6に示すように、隣接部35aの上に、板状のサポート部材41を配置した構成にしてもよい。
【0041】
本実施形態2に係る格子板17A(
図7参照)は、実施形態1に係る格子板17(
図4参照)と同様に、外周部35におけるチャンネルボックス22に対向する部位の面積が拡大されている。そのため、沸騰水型原子炉11は、本実施形態2に係る格子板17Aを用いることにより、実施形態1と同様に、チャンネルボックス22に設けられたチャンネルファスナ23とチャンネルスペーサ24を格子板17Aの外周部35に当接させ易くすることができ、チャンネルボックス22(燃料集合体20)の支持性能(サポート性能)を向上させることができる。
【0042】
しかも、本実施形態2に係る格子板17A(
図7参照)は、実施形態1に係る格子板17(
図4参照)と比較して、内周部30の上面よりも高くなっている部位が一部(隣接部35a)だけであるため、材料費を低減することができる。
【0043】
[実施形態3]
図8及び
図9に示すように、本実施形態3では、1バンドルセル31aと2バンドルセル31bとに隣接する部位に、棒状のサポート部材46を配置した格子板17Bを提供する。
図8は、本実施形態3に係る格子板17Bの部分拡大図である。
図9は、格子板17Bに取り付けられたサポート部材46の説明図である。
【0044】
図8及び
図9に示すように、本実施形態3に係る格子板17Bは、1バンドルセル31aと2バンドルセル31bとに隣接する部位に、棒状のサポート部材46が配置されている。サポート部材46としては、1バンドルセル31aと2バンドルセル31bとの両方に隣接するサポート部材46aと、1バンドルセル31aにのみ隣接するサポート部材46bと、がある。
【0045】
図9に示すように、サポート部材46aは、水平方向に延びる底面47aと垂直方向に延びる垂直面48aと斜め方向に延びる傾斜面49aとを有する側面視で三角形の形状を呈している。同様に、サポート部材46bは、水平方向に延びる底面47bと垂直方向に延びる垂直面48bと斜め方向に延びる傾斜面49bとを有する側面視で三角形の形状を呈している。サポート部材46a,46bは、それぞれ、格子板17の上面に溶接部51a,51bで固定されている。
【0046】
サポート部材46は、垂直面が孔33の壁面とほぼ同一な面になるように配置されている。具体的には、サポート部材46aは、垂直面48aが孔33の壁面34aとほぼ同一な面になるように配置されている。また、サポート部材46bは、垂直面48bが孔33の壁面34bとほぼ同一な面になるように配置されている。孔33の壁面34aは、1バンドルセル31aと2バンドルセル31bとが並んでいる部位において、格子板17Bの外周部35に臨む壁面である。孔33の壁面34bは、1バンドルセル31aの2バンドルセル31bとは無関係な部位において、格子板17Bの外周部35に臨む壁面である。
【0047】
本実施形態3に係る格子板17B(
図8及び
図9参照)は、他の実施形態に係る格子板17,17Aと同様に、外周部35におけるチャンネルボックス22に対向する部位の面積が拡大されている。そのため、沸騰水型原子炉11は、本実施形態3に係る格子板17Bを用いることにより、他の実施形態と同様に、チャンネルボックス22に設けられたチャンネルファスナ23とチャンネルスペーサ24を格子板17Bの外周部35に当接させ易くすることができ、チャンネルボックス22(燃料集合体20)の支持性能(サポート性能)を向上させることができる。
【0048】
しかも、本実施形態2に係る格子板17B(
図8及び
図9参照)は、他の実施形態に係る格子板17,17Aと比較して、棒状のサポート部材46の体積が少ないため、材料費を低減することができる。
【0049】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
11 沸騰水型原子炉
12 原子炉圧力容器
13 炉心
14 炉心シュラウド
15 制御棒案内管
16 制御棒駆動機構ハウジング
17,17A,17B 格子板
18 炉心支持板
19 燃料支持金具
19a 貫通孔
20 燃料集合体
21 燃料棒
22 チャンネルボックス
23 チャンネルファスナ
24 チャンネルスペーサ
25 制御棒
30 内周部
31 セル
31a 1バンドルセル
31b 2バンドルセル
31c 4バンドルセル
32 格子
33 孔
34a,34b 壁面
35 外周部
35a 隣接部
41 サポート部材
42 ボルト
46(46a,46b) サポート部材
47a,47b 底面
48a,48b 垂直面
49a,49b 傾斜面
51a,51b 溶接部
T30,T35 厚さ
T41 高さ
W35 嵩上げ範囲