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特許7504851放射線撮影システム、放射線検出器、および放射線撮影システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】放射線撮影システム、放射線検出器、および放射線撮影システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240617BHJP
【FI】
A61B6/00 520Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021174757
(22)【出願日】2021-10-26
(65)【公開番号】P2023064460
(43)【公開日】2023-05-11
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】水野 智康
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-058077(JP,A)
【文献】特開2004-337503(JP,A)
【文献】特開2011-098170(JP,A)
【文献】特開2019-130183(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0122481(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1放射線源または第2放射線源より照射された放射線に応じた放射線画像を撮影する放射線検出器と、
前記放射線検出器を制御する制御装置と、
前記放射線検出器、前記制御装置、および前記第1放射線源に通信可能に接続された第1中継器と、前記放射線検出器、前記制御装置、および前記第2放射線源に通信可能に接続された第2中継器と、を含む複数の中継器と、を有する放射線撮影システムであって、
前記制御装置は、前記第1中継器のメンテナンスを行う際に前記放射線検出器を介して前記第1中継器と通信し、前記第2中継器のメンテナンスを行う際に前記放射線検出器を介して前記第2中継器と通信すること
を特徴とする放射線撮影システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記メンテナンスを行う際に、前記放射線検出器から前記制御装置に前記放射線画像を送信するための第1のプロトコルを用いて前記放射線検出器と通信を行い、
前記複数の中継器は、前記メンテナンスを行う際に、前記複数の中継器の少なくともいずれか一つに通信可能に接続された機器へのデータ送受信を行うための第2のプロトコルを用いて前記放射線検出器と通信を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記放射線検出器を介して通信可能に接続された前記複数の中継器のうち少なくとも1つの中継器を指定して前記メンテナンスを行うこと
を特徴とする請求項1または2に記載の放射線撮影システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記放射線検出器を介して通信可能に接続された前記複数の中継器のうち2つ以上の中継器を指定して前記2つ以上の中継器の前記メンテナンスを並行して行うこと
を特徴とする請求項1または2に記載の放射線撮影システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記メンテナンスにより前記複数の中継器のうち少なくとも1つの中継器の動作ログを取得すること
を特徴とする請求項1または2に記載の放射線撮影システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記メンテナンスにより前記複数の中継器のうち2つ以上の中継器の動作ログを並行して取得すること
を特徴とする請求項1または2に記載の放射線撮影システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記メンテナンスにより前記複数の中継器のうち少なくとも1つの中継器に前記中継器を制御するための制御プログラムを書き込むこと
を特徴とする請求項1または2に記載の放射線撮影システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記メンテナンスにより前記複数の中継器のうち2つ以上の中継器に並行して前記中継器を制御するための制御プログラムを書き込むこと
を特徴とする請求項1または2に記載の放射線撮影システム。
【請求項9】
前記複数の中継器のそれぞれの中継器同士が通信可能に接続されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の放射線撮影システム。
【請求項10】
第1放射線源または第2放射線源より照射された放射線に応じた放射線画像を撮影する放射線検出器と、前記放射線検出器を制御する制御装置と、前記放射線検出器、前記制御装置、および前記第1放射線源に通信可能に接続された第1中継器と、前記放射線検出器、前記制御装置、および前記第2放射線源に通信可能に接続された第2中継器と、を含む複数の中継器と、を有する放射線撮影システムにおける前記放射線検出器であって、
前記放射線検出器は、前記制御装置により前記第1中継器のメンテナンスを行う際に、前記制御装置と前記第1中継器との通を介し、前記制御装置により前記第2中継器のメンテナンスを行う際に、前記制御装置と前記第2中継器との通を介すこと
を特徴とする放射線検出器。
【請求項11】
第1放射線源または第2放射線源より照射された放射線に応じた放射線画像を撮影する放射線検出器と、
前記放射線検出器を制御する制御装置と、
前記放射線検出器、前記制御装置、および前記第1放射線源に通信可能に接続された第1中継器と、前記放射線検出器、前記制御装置、および前記第2放射線源に通信可能に接続された第2中継器と、を含む複数の中継器と、を有する放射線撮影システムの制御方法であって、
前記制御装置が前記放射線検出器を介して前記第1中継器と通信することにより前記第1中継器のメンテナンスを行う第1メンテナンス工程と、
前記制御装置が前記放射線検出器を介して前記第2中継器と通信することにより前記第2中継器のメンテナンスを行う第2メンテナンス工程と、を行うこと
を特徴とする制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影システム、放射線検出器、および放射線撮影システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線などの放射線を検出する放射線検出器を用いた放射線撮影システムが、産業用や医療用などの分野で広く用いられている。放射線撮影システムは、撮影室に放射線検出器の他に放射線発生装置や放射線検出器の操作を補助するスイッチを持つ制御端末、操作室から放射線検出器を制御し画像を取り込むためのPCなど制御装置に加え、それらの接続を中継する中継装置がある場合がある。また撮影室には立位用、臥位用という据え置き型の撮影台が複数あり放射線検出器や中継器が複数設置される場合がある。
【0003】
中継器は各装置の通信を仲介するスイッチングハブの機能や撮影装置と制御端末の制御の中継、撮影装置と放射線発生装置との制御を中継する機能を持っている。中継器は各装置のタイミング制御を行うなど近年高機能化が進み、多くの中継器は制御プログラムを持つようになり、メンテナンスを必要とする。特許文献1には放射線照射開始時刻と制御端末のスイッチの押下時刻の差分を算出する機能を持った中継器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-185127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように撮影システムに設けられる中継器が1台である構成以外の場合、すなわち撮影システムに複数の中継器が配置される場合のメンテナンス方法はこれまであまり考慮されてこなかった。
【0006】
これまで、複数の中継器に対しては、例えばサービスマンがPCから中継器のIPアドレスを1台ずつ直接指定して接続及び通信を行い、順次メンテナンスを行うなどしている。このメンテナンス方法は、サービスマンの保守工数が増加することや、さらに中継器との通信のセキュリティなどに改善の余地がある。
【0007】
本発明は、システム内の複数の中継器のメンテナンスにおいて、通信をセキュアに行い、かつ保守工数が削減できるメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、第1放射線源または第2放射線源より照射された放射線に応じた放射線画像を撮影する放射線検出器と、前記放射線検出器を制御する制御装置と、前記放射線検出器、前記制御装置、および前記第1放射線源に通信可能に接続された第1中継器と、前記放射線検出器、前記制御装置、および前記第2放射線源に通信可能に接続された第2中継器と、を含む複数の中継器と、を有する放射線撮影システムであって、前記制御装置は、前記第1中継器のメンテナンスを行う際に前記放射線検出器を介して前記第1中継器と通信し、前記第2中継器のメンテナンスを行う際に前記放射線検出器を介して前記第2中継器と通信することを特徴とする放射線撮影システムにより解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、システム内の複数の中継器のメンテナンスにおいて、通信がセキュアに行え、かつ保守工数が削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る放射線撮影システムを示す図である。
図2】第1の実施形態に係る放射線検出器及び中継器及び制御装置を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る装置間の通信を説明するための図である。
図4】第1の実施形態に係る中継器のメンテナンスフローを示す図である。
図5】第2の実施形態に係る中継器のメンテナンスフローを示す図である。
図6】第3の実施形態に係る装置間の通信を説明するための図である。
図7】第3の実施形態に係る中継器のメンテナンスフローを示す図である。
図8】集線装置を有する放射線撮影システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する構成要素の位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、図面において、同一であるか又は機能的に類似している要素を示すために図面間で同じ参照符号を用いる。
【0012】
(第1の実施形態)
以下に、図面を参照しながら、各実施形態の放射線撮影システムについて説明する。図1は、第1の実施形態に係る放射線撮影システムを示す図である。
【0013】
図1に示すように、放射線撮影システム10は、被写体500を撮影する撮影室に、放射線検出器100、中継器110、放射線発生装置130、放射線源131、臥位用撮影台140、立位用撮影台141を備える。撮影を操作する操作室に、制御装置120が配置される。
【0014】
放射線検出器100は、放射線画像を撮影するための機器であり、例えばFPD(フラットパネルディテクタ)を備えて構成され、二次元に分布した撮像素子を有している。この撮像素子は、放射線源131から照射され、入射した放射線を検出するものである。
【0015】
図1においては撮影台に対応して放射線源131が2つ設けられているが、放射線検出器100は、図1に図示されたいずれかの撮影台に組み込まれ、いずれかの放射線源131からの照射を受ける。放射線検出器100は、撮像素子に到達した放射線量の二次元分布の情報(線量情報)を検出し、放射線画像データを生成する。
【0016】
放射線検出器100は、中継器110を介して制御装置120と通信可能である。放射線検出器100は、生成した放射線画像データを、操作室に設けられた制御装置120に送信する。
【0017】
また、放射線検出器100は、撮影の際、臥位用撮影台140、立位用撮影台141に収納された状態で用いられる。撮影台は、放射線検出器100を撮影可能な位置で保持するための保持部として機能する。撮影台の一例として、腹部、下肢を撮影するための臥位用撮影台140、胸部を撮影するための立位用撮影台141がある。図1においては、放射線検出器100は、臥位用撮影台140に収納されているが、撮影目的によって立位用撮影台に付替えが可能である。
【0018】
中継器110は、スイッチングハブ機能を有しており、放射線検出器100と制御装置120、放射線発生装置130を接続可能な機器である。また、放射線発生装置130の操作情報を放射線検出器100に伝え、放射線曝射と検出のタイミングを制御するための情報の中継機能を持つ。さらに、中継器110には放射線検出器100の電源をオン・オフ制御するための非図示の制御端末を取り付けることもできる。
【0019】
制御装置120は、放射線検出器100の状態を示す情報を、所定のタイミングで取得し、ディスプレイ等に表示しユーザに伝える。また、制御装置120は放射線検出器100を操作するためのGUI(Graphical User Interface)を備え、操作室内においても放射線検出器100の状態を制御可能になる。
【0020】
放射線発生装置130は、あらかじめ設定された放射線照射条件において放射線源131から放射線を照射する制御を行う。放射線の照射には放射線照射スイッチ押下やディスプレイやタッチパネルを用いたGUIによる制御を用いる。被写体の撮影の一例として、スイッチの入力情報が中継器110を介して放射線検出器100に送信され、放射線検出器100から照射許可の情報を受け取ってから放射線を照射する、放射線検出器の曝射と放射線発生装置の検出を同期させた撮影方法がある。
【0021】
なお、図1には放射線発生装置130と放射線源131が1対1で対応するように図示されているが、その限りではなく、複数の放射線源131を1つの放射線発生装置130で制御するようにしてもよい。
【0022】
上述した各部の間で相互に行われる通信は、例えばRS232CやUSB、イーサネット(登録商標)などの通信規格に準拠した通信であってもよいし、専用信号線を用いた通信であってもよい。また、この通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0023】
次に、放射線撮影システム10を用いて撮影を行う際の各部の動作について説明する。ユーザは、放射線検出器100の電源を入力し、臥位用撮影台140へと収納する。放射線検出器100は、電源が入力されたことに応じて撮影可能な状態になる。放射線検出器100は、電源オフ状態、あるいはスリープ状態(休止状態)から撮影待機状態になるまでに所定の時間を要する。そのため、位置調整の前に放射線検出器100の電源を入力しておくことで、位置調整中に撮影待機状態になるため迅速に撮影することができる。
【0024】
ユーザは、被写体500と、臥位用撮影台140と、放射線源131から照射される放射線の照射領域との位置調整を行う。放射線発生装置130は、放射線照射スイッチが入力されることに応じて放射線検出器100へ向けて放射線を照射するように放射線源131を制御する。
【0025】
放射線源131から照射された放射線は、被写体500を透過した後、放射線検出器100に入射する。放射線検出器100は、入射した放射線に応じた画像データを生成し、この画像データを操作室にある制御装置120へ送信する。制御装置120は、受信した画像データを表示する。放射線撮影システム10の操作者は、制御装置120に表示された画像を確認し、再撮影の要否等を判断することができる。
【0026】
ユーザは、表示された画像が正常であると判断した場合に、同様の手順で別の被写体500の撮影準備を行う。全ての被写体500の撮影が終了すると、ユーザは放射線検出器100の電源を切る。
【0027】
次に図2を用いて放射線検出器100、中継器110、制御装置120について説明する。
【0028】
放射線検出器100は、制御部200、通信部201、記憶部202、状態表示部203、操作部204、放射線検出部205、電源生成部206、二次電池207を備える。
【0029】
制御部200は、放射線検出部205の駆動制御、デジタルデータの補正処理、通信部201の制御など、放射線検出器100のシステム全体の統括制御を行う。制御部200は、例えば、CPU、GPU、FPGA、等を有する回路基板から構成される。
【0030】
通信部201は、放射線検出器100と他の装置との通信を行うための機能を有する。通信部201は、他の装置と有線または無線通信により各種情報の授受を行う。
【0031】
記憶部202は、放射線検出器100の制御プログラムや画像データ、制御パラメータ、動作ログを記憶することができ、不揮発性のメモリを備える。ここでは一例として不揮発性メモリを挙げたがこれに限定されるものではなく、揮発性のメモリを備えてもよい。
【0032】
状態表示部203は、制御部200からの制御に基づいて放射線検出器100の状態を表示する機能を有する。当該表示により、操作者あるいは被検者は、放射線検出器100の状態を識別することができる。一例として、状態表示部203は、放射線検出器100の電源の状態、駆動状態、あるいは無線通信の状態などを識別可能な態様で表示することができる。
【0033】
操作部204は、操作者からの操作を受け付ける。一例として、操作部204は、操作者が入力操作するための電源スイッチの押下情報や状態表示部203のGUIの操作情報を受け付ける。
【0034】
放射線検出部205は、放射線源131から照射された放射線を検出し、該検出した放射線に応じたデジタルデータ(画像データ)を生成する機能を備える。
【0035】
電源生成部206は、二次電池207から供給された電力から放射線検出器100の動作に必要な各種の電源電圧・電流を生成し、各部に給電する。
【0036】
二次電池207は、上述した各部を動作させるための電源としての機能を有する。二次電池は、着脱可能なものであってもよいし、放射線検出器内に内蔵されるものであってもよい。二次電池207は、例えば、リチウムイオン電池、電気二重層コンデンサを用いることができる。
【0037】
制御装置120は、制御部220、通信部221、記憶部222、表示部223、操作部224を備える。
【0038】
制御部220は、表示部223の表示を制御するための表示制御機能を有する。また、操作部224の操作情報を受け取り、表示部223に表示する機能や放射線検出器の制御を行うよう信号の送受信を行う通信部221の制御を行う。
【0039】
通信部221は、放射線検出器100と他の装置との通信を行うための機能を有する。通信部221は、他の装置と有線または無線通信により操作情報や撮影画像など各種情報の授受を行う。
【0040】
記憶部222は、制御装置の120の制御プログラムや撮影画像データ、制御パラメータ、動作ログを記憶することができ、不揮発性のメモリを備える。ここでは一例として不揮発性メモリを挙げたがこれに限定されるものではなく、揮発性のメモリを備えてもよい。
【0041】
表示部223は放射線検出器100を操作するためのGUIを備え、操作部224によりGUIを操作することができる。
【0042】
中継器110は制御部210、通信部211、記憶部212を備える。
【0043】
制御部210は通信部211が放射線検出器100や放射線発生装置130から受信したデータを解析し、解析結果に基づいてあらかじめプログラムによって指定された動作指示を放射線検出器100や放射線発生装置130に送信する機能を持つ。
【0044】
通信部211は、中継器110と他の装置との通信を行うための機能を有する。通信部221は、他の装置と有線または無線通信により操作情報や撮影画像など各種情報の授受を行う。また、スイッチングハブ機能を有し放射線検出器100と制御装置120の通信を仲介する。
【0045】
記憶部212は、制御装置の120の制御プログラムや撮影画像データ、制御パラメータ、動作ログを記憶することができ、不揮発性のメモリを備える。ここでは一例として不揮発性メモリを挙げたがこれに限定されるものではなく、揮発性のメモリを備えてもよい。
【0046】
次に通信部201、211、221における通信について説明する。通信部201は通信部211と通信部221との通信を行う。通信部201と通信部221が通信を行う際、通信部211を介しているが、通信部211はスイッチングハブとして働いており中継しているのみで実際には通信部201と通信部221が直接の通信を行っている。また、通信部211は通信部221と接続されているが、通信部211と通信部221間では通信部201と通信部221の中継データ以外の送受信は行わない。
【0047】
図3は放射線撮影システム内の各装置で用いる2つの通信プロトコルについて説明するための図である。制御装置120は放射線検出器100と第1のプロトコルである制御-撮影装置間プロトコルP01で通信を行っている。制御-撮影装置間プロトコルP01では放射線検出器100から制御装置120への放射線画像の送信や、放射線検出器100および制御装置120の操作に関する情報の送受信を主に行う。
【0048】
また、放射線検出器100は中継器110と第2のプロトコルである撮影-中継装置間プロトコルP02で通信を行っている。撮影-中継装置間プロトコルP02は放射線発生装置130など中継器110に接続された機器への制御情報のデータ送受信を主に行う。
【0049】
放射線検出器100は放射線撮影システム内の複数の中継器110と並行して撮影-中継装置間プロトコルP02で通信を行っている。放射線検出器100と中継器110との通信は例えばTCP/IP通信が用いられる。
【0050】
例えば、放射線検出器100は中継器と通信を行うためのクライアントのタスクプログラムを複数持つ。放射線検出器100はクライアント機能を有し、中継器110が持つサーバ機能に対して接続要求を送り、中継器110のサーバ機能が許可することで通信を確立させる。このようにして、放射線検出器100の複数あるクライアントタスクの各々が各中継器110に順次接続要求を送ることで複数の中継器110との通信を確立させる。
【0051】
なお図3では、通信を行う中継器は撮影システムにある2つの中継器と通信を行う説明をしたが、これに限定されるものではない。
【0052】
例えば、撮影システム内に配置される中継器の数により通信数は増減されるものであり、撮影システム内全ての中継器と通信を行ってもよいし、放射線検出器100に通信を行う中継器110を設定して、設定された中継器のみ通信を行ってもよい。また、通信を行う中継器の設定は予め放射線検出器100に設定してもよいし、制御-撮影装置間プロトコルP01を用いて制御装置120から通信を行う中継器110を設定してもよい。
【0053】
中継器110は、放射線発生装置130や放射線検出器100と各種情報の授受を行い各々の装置の制御指示を出したりするため、制御プログラムを有している。中継器110の記憶部212には、制御プログラムや動作ログ、動作設定パラメータなどが保管されている。サービスマンは保守のときに制御プラグラムの書き込みや動作ログの取得、動作設定パラメータの書き込みなど機器のメンテナンスを行う。ただしメンテナンスはこれらに限るものではなく、中継器110の故障診断やキャリブレーションなどを行ってもよい。
【0054】
中継器110のメンテナンスは、制御装置120の表示部223のGUIを用いて行う。制御装置120から中継器110のメンテナンスは放射線検出器100を中継して行う。制御装置120から中継器110の通信は、図3で説明した制御-撮影装置間プロトコルP01と撮影-中継装置間プロトコルP02を用いる。つまり、例えば制御プログラムの書き込みの場合は、制御装置120で選択されたプログラムを放射線検出器100に送信し、データを受信した放射線検出器100が次に中継器110にデータを送信する。
【0055】
放射線撮影システムにおいて制御-撮影装置間プロトコルP01は被写体の撮影に使用される通信経路であるので、画像情報の流出や画像の改ざん防止のためによりセキュアな設計がされている。さらに、撮影-中継装置間プロトコルP02を用いた通信も放射線発生装置への制御指示を行うためセキュアな設計である。そのためメンテナンスにおいてもこの通信経路を利用することは、プログラムの改ざん対策などセキュリティにおいてメリットがある手法である。
【0056】
次に図4を用いて中継器110のメンテナンス手順を説明する。
【0057】
S400において、サービスマンなどのメンテナンス実施者が制御装置120のGUIで中継器110のメンテナンスを中継する放射線検出器100を選択する。本実施形態の説明で用いた図1において放射線検出器100は1つだが複数ある場合もあり、その場合に必要なステップである。
【0058】
S401において、メンテナンス実施者は制御装置120のGUIでメンテナンス項目を選択する。メンテナンスの内容としては制御プログラムの書き込み、動作ログの取得、動作設定パラメータの設定/取得から選択できる。制御プログラムの書き込み又は動作設定パラメータの設定の場合はこのステップで送信するファイルを選択する。
【0059】
S402において、メンテナンス実施者は制御装置120のGUIでメンテナンス実行を指示する。
【0060】
以上の手順を実施すると、1度のメンテナンス実行指示で放射線検出器100と通信を行っている中継器110全てのメンテナンスを行うことができる。
【0061】
例えば、制御プログラムの書き込みの場合、S400で選択した放射線検出器100と通信を行う全ての中継器110の制御プログラムを書き込む。図1の場合は2つの中継器110の制御プログラムがS401で選択したプログラムに書き換えられる。
【0062】
例えば、動作ログの取得の場合、S400で選択した放射線検出器100と通信を行う全ての中継器110の動作ログを取得する。図1の場合は2つの中継器110の動作ログが取得される。動作ログの取得は、中継器の数だけファイルが取得できてもよいし、放射線検出器100又は制御装置120で1つのファイルに整えてファイル出力されてもよい。また、動作設定パラメータの取得の場合も同様となる。
【0063】
例えば、動作設定パラメータの設定の場合、S400で選択した放射線検出器100と通信を行う全ての中継器110の動作設定パラメータを書き込む。図1の場合は2つの中継器110の動作設定パラメータがS401で選択した動作設定パラメータに書き換えられる。
【0064】
以上、本実施形態によれば、中継器110のメンテナンスを制御装置120が放射線検出器100を中継して行うことでセキュアなメンテナンスとなる。また、放射線検出器100が複数の中継器110と並行して通信を行うことで、メンテナンス実施者は1度の手順で同時に複数台の中継器110のメンテナンスを行うことができるため、作業工数が削減できる。
【0065】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、放射線撮影システムの複数の中継器を放射線検出器と接続し通信を行い、さらに1度の手順で通信中の中継器全てのメンテナンスを行うことで、セキュアかつメンテナンス実施者が容易にメンテナンスを行う方法について説明した。本実施形態では、放射線撮影システムの複数ある中継器の中からメンテナンスする中継器を選択して、メンテナンスを行う方法について説明する。
【0066】
中継器を選択してのメンテナンスは、第1の実施形態の構成においてメンテナンス手順の中で制御装置120のGUIにて中継器を選択することで実現できる。図5を用いてそのメンテナンスの手順を説明する。
【0067】
S500において、メンテナンス実施者は制御装置120のGUIで中継器110のメンテナンスを中継する放射線検出器100を選択する。本実施形態の説明で用いた図1において放射線検出器100は1つだが複数ある場合もあり、その場合に必要なステップとなる。
【0068】
S501において、制御装置120は放射線検出器100から通信中の中継器の情報を取得する。制御装置120が放射線検出器100と通信する中継器110を設定する場合など、予め制御装置120がこの情報を持っている場合はS501のステップは省略できる。
【0069】
S502において、メンテナンス実施者はS501までに得た放射線検出器100と通信している中継器110の中からメンテナンスを行う中継器110を制御装置120のGUIを用いて選択する。
【0070】
S503において、メンテナンス実施者は制御装置120のGUIでメンテナンス項目を選択する。メンテナンスの内容は第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0071】
S504において、メンテナンス実施者は制御装置120のGUIでメンテナンス実行を指示する。
【0072】
以上の手順を実施すると、放射線検出器と通信を行っている中継器110からメンテナンスを実施するものを選択して実施することができる。
【0073】
以上、本実施形態によれば、放射線検出器100が通信している中継器110の中から選択した中継器のみのメンテナンスを行うことができる。メンテナンスする中継器110を選択できることは、例えばトラブルが起きた中継器のみメンテナンスを行えるなど、放射線撮影システム10の状態によっては、第1の実施形態よりも作業工数の削減が可能となる。
【0074】
(第3の実施形態)
第1の実施形態1および第2の実施形態では、放射線撮影システムの放射線検出器は複数の中継器と接続し通信を確立することで、メンテナンス実施者が容易にメンテナンスを行う方法について説明した。本実施形態では、放射線撮影システムの複数ある中継器の中から接続し通信を確立する中継器を1つ選択して、メンテナンスを行う方法について説明する。
【0075】
通信する中継器を選択してのメンテナンスは、第1の実施形態の構成において撮影-中継装置間の通信において、通信する中継器を選択することで実現できる。図6にその通信の概念図を示す。
【0076】
制御-撮影装置間プロトコルP01と撮影-中継装置間プロトコルP02は第1の実施形態と同様である。放射線検出器100は放射線撮影システム内の1つの中継器110と撮影-中継装置間プロトコルP02で通信を行い、図6の(a)と(b)で示すように通信を行う中継器110を変更することができる。通信を行う中継器は予め放射線検出器100に設定してもよいし、制御装置120から制御-撮影装置間プロトコルP01を用いて設定してもよい。
【0077】
次に図7を用いて中継器110のメンテナンスの手順を説明する。
【0078】
S700において、メンテナンス実施者は制御装置120のGUIで中継器110のメンテナンスを中継する放射線検出器100を選択する。本実施形態の説明で用いた図1において放射線検出器100は1つだが複数ある場合もあり、その場合には必ず必要なステップとなる。
【0079】
S701において、制御装置120は放射線検出器100から通信可能な中継器の情報を取得する。制御装置120が予めこの情報を持っている場合はS701のステップは省略できる。
【0080】
S702において、メンテナンス実施者はS701までに得た放射線検出器100と通信可能な中継器110の中から通信を行う中継器110を制御装置のGUIを用いて選択する。ここで選択された中継器110が制御装置120からメンテナンス可能な中継器となる。
【0081】
S703において、メンテナンス実施者は制御装置120のGUIでメンテナンス項目を選択する。メンテナンスの内容は第1の実施形態と同様である。
【0082】
S704において、メンテナンス実施者は制御装置120のGUIでメンテナンス実行を指示する。
【0083】
以上の手順を実施すると、放射線検出器と通信を行う中継器110を選択して、選択された中継器110に対してメンテナンスを行うことができる。
【0084】
以上、本実施形態によれば、メンテナンスをする中継器110を選択でき、トラブルが起きた中継器のみメンテナンスを行うなどで作業工数が削減できる。
【0085】
なお、上述の実施形態の放射線撮影システムの構成は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、図1では中継器110はスイッチングハブ機能を有し、中継器同士がカスケード接続する構成となっているが、スイッチングハブ機能を持った集線装置150を別途配置してもよい。さらに、制御装置120が中継器110を介さない放射線検出器100と直接接続する構成をとってもよい(図8)。
【0086】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0087】
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本発明に含まれる。
【0088】
なお、上述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、当業者の通常の知識に基づいて、上述した本発明の実施形態に対して適宜変更や改良等が加えられたものについても、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
100 放射線検出器
110 中継器
120 制御装置
131 放射線源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8