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特許7504861電気自動車またはハイブリッド自動車のためのバッテリ充電器
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  • 特許-電気自動車またはハイブリッド自動車のためのバッテリ充電器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】電気自動車またはハイブリッド自動車のためのバッテリ充電器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240617BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20240617BHJP
   H02G 3/14 20060101ALI20240617BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20240617BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240617BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240617BHJP
   B60L 53/22 20190101ALI20240617BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02G3/08 080
H02G3/14
H02G3/08 010
H05K5/03 B
H05K5/02 L
B60L50/60
B60L53/22
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021501015
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 IB2019055884
(87)【国際公開番号】W WO2020016707
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】102018000007394
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】505005038
【氏名又は名称】メタ システム エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】META SYSTEM S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】シモナッツィ,ジュゼッペ
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/162712(WO,A1)
【文献】特開2001-242792(JP,A)
【文献】国際公開第2013/046261(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0014418(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0334874(US,A1)
【文献】特開2010-052701(JP,A)
【文献】特開2015-032584(JP,A)
【文献】特開2016-159640(JP,A)
【文献】特開2019-41560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02G 3/08
H02G 3/14
H05K 5/03
H05K 5/02
B60L 50/60
B60L 53/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車またはハイブリッド自動車のためのバッテリ充電器(1)であって、
自動車に設定可能で、少なくとも1つのハウジング室を画定する、少なくとも1つの容器体(2)と、
前記ハウジング室の内側に収容され、前記自動車の少なくとも1つの電気バッテリに接続可能で、バッテリを再充電するよう構成された、少なくとも1つの電子装置と、
前記容器体(2)に取り外し可能に関連付けられ、前記ハウジング室を閉鎖し、前記ハウジング室の内側に収容された前記電子装置を防護するよう適合された、前記容器体(2)の少なくとも1つの閉鎖体(4)と
を備え、
ここで、前記閉鎖体(4)は補強手段を備え、前記補強手段は、前記閉鎖体自体が変形するのを防止するよう、形状が決められ配置され
前記補強手段は、前記閉鎖体(4)の少なくとも一部の上に作られた、少なくとも1つの補強要素(5)を備え、
前記補強要素(5)は直線形状であり、
前記補強手段は、前記閉鎖体(4)の少なくとも一部の上に作られた、複数の補強要素(5)を備え、
前記補強要素(5)のうちの少なくとも1本は、別の前記補強要素(5)と平行に配置され、
前記補強要素(5)のうちの少なくとも1本は、別の前記補強要素(5)を横断して配置され、
前記補強要素(5)のうちの少なくとも1本は、凹形状断面を備え、排水チャネル(9)を画定することを特徴とする、バッテリ充電器(1)。
【請求項2】
前記閉鎖体(4)はプレート形状であることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリ充電器(1)。
【請求項3】
前記補強手段は、少なくとも1種類の流体の排水手段を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のバッテリ充電器(1)。
【請求項4】
前記閉鎖体(4)は、前記ハウジング室に対して外面(7)の範囲を定める複数の外周辺(6)を備えること、及び排水手段は、前記外面(7)上に作られ、かつ前記外周辺(6)のうちの1つに配置された少なくとも1つの排出口(8)が設けられた、少なくとも1つの排水チャネル(9)を備えること、を特徴とする、請求項1~3のうちいずれか一項に記載のバッテリ充電器(1)。
【請求項5】
排水手段は、外周辺(6)の各々に配置された少なくとも1つの排出口(8)を伴う、複数の排水チャネル(9)を備えることを特徴とする、請求項1~4のうちいずれか一項に記載のバッテリ充電器(1)。
【請求項6】
排水チャネル(9)のうちの少なくとも1本は、流体が流れる方法で、少なくとも別の前記排水チャネル(9)に接続され、別の前記排水チャネル(9)に対して横断して配置されることを特徴とする、請求項1~5のうちいずれか一項に記載のバッテリ充電器(1)。
【請求項7】
補強要素(5)は排水チャネル(9)と一致することを特徴とする、請求項1~6のうちいずれか一項に記載のバッテリ充電器(1)。
【請求項8】
補強要素(5)及び排水チャネル(9)の少なくとも1本は、前記閉鎖体(4)の成形プロセスによって外面(7)上に作られることを特徴とする、請求項1~7のうちいずれか一項に記載のバッテリ充電器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車またはハイブリッド自動車のためのバッテリ充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車またはバイブリッド自動車のための、多くのバッテリ充電器が知られており、例えばエンジン、制御ユニット、ライトなどの様々な電子デバイスに電力を供給するよう、このような自動車に一般的に適応された電気バッテリを充電するために使用される。
【0003】
詳細には、このタイプのバッテリ充電器には、バッテリを再充電するための電子装置が設けられ、電子装置自体の格納手段を用いて、自動車の内側における電子装置の設定を防護し、かつ容易にすることを目的とする。
【0004】
一般的に、格納手段は、電子装置のハウジング室を画定し、電子装置をバッテリ及び/または制御カード、センサなど他の電子構成要素に動作可能に接続するよう、このハウジング室にアクセスするための複数のコネクタが設けられる。
【0005】
詳細には、公知のタイプの格納手段には、一般的に2つのハーフシェルが設けられ、それらは互いに連結することができ、2つのハーフチャンバをそれぞれ確定する。それらは、2つのハーフシェルが共に連結されたとき、電子装置のハウジング室を画定する。
【0006】
有利には、2つのハーフシェルは一般に金属で作られ、それらは、2つのハーフシェルの形状を画定させ、特に耐久性及び抵抗力のある格納手段を作り出すダイカスト処理手段によって、処理されなければならない。
【0007】
しかし、このタイプの格納手段を作るために使用されるダイカスト処理は、一般的に高価であり、非常に重くかさばるハーフシェルを生成するため、自動車のコスト及び性能に悪影響を及ぼす。
【0008】
上述の課題を克服するために、電子装置のハウジング室を画定する容器体と、ハウジング室を閉鎖して電子装置を防護するために、容器体に取り外し可能な方法で関連付けられた、対応した閉鎖体と、が設けられた格納手段を備えるバッテリ充電器を生成することが、一般的になってきている。
【0009】
詳細には、この閉鎖体は実質的に平坦に作られ、その製造のために高価なダイカスト処理を必要とせず、格納手段を、上述の格納手段よりも大幅に安価かつ軽量にする。
【0010】
しかし、このタイプの格納手段でさえ、それらの強度及び耐久性に関して改善の対象となる。
【0011】
実際、バッテリ充電器は一般的に、例えば機械的及び/または熱など、継続的な応力を受ける。これは主に、自動車の動作によって発生し、特に閉鎖体に影響を及ぼす。それがプレート形状である場合、閉鎖体は、特に経時的な顕著な変形を頻繁に受ける。
【0012】
実際このような変形は、閉鎖体の構造を弱め、その結果ハウジング室を完全に封止せず、電子装置を重大な危険に晒し、自動車に重大な損傷を発生させる可能性がある。
【0013】
加えて、例えば閉鎖体に接触した空気の結露によって、またはさらには浸透及び/もしくは漏洩によって、液体が閉鎖体の上に蓄積することは、極めて一般的である。
【0014】
特に短時間に除去されない場合、このような液体の蓄積は、閉鎖体が作られる材料に影響を及ぼす場合があるので、その一体性を弱めて上述の変形プロセスを加速させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の主な目的は、公知のバッテリ充電器によってもたらされる防護よりも、電子装置に大きな防護をもたらすことが可能な、電気自動車またはハイブリッド自動車のためのバッテリ充電器を考案することである。
【0016】
本発明の別の目的は、電気自動車またはハイブリッド自動車のための、特に軽量なバッテリ充電器を考案することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、上に蓄積し得る全ての液体を除去できる、電気自動車またはハイブリッド自動車のためのバッテリ充電器を考案することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、使用が簡単、合理的、容易、効果的で、低コストの解決策で先行技術の上述の欠点を克服できる、電気自動車またはハイブリッド自動車のためのバッテリ充電器を考案することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述の目的は、請求項1の特徴を有する、電気自動車またはハイブリッド自動車のための、本バッテリ充電器によって実現される。
【0020】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図表における表示による非限定の例を例示した、好ましいが排他的ではない、電気自動車またはハイブリッド自動車のためのバッテリ充電器における実施形態の説明から、より明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるバッテリ充電器の不等角投影図である。
図2】本発明によるバッテリ充電器の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
これらの図面を詳細に参照すると、参照番号1は全体的に、電気自動車またはハイブリッド自動車のためのバッテリ充電器を示す。
【0023】
詳細には、電気自動車またはハイブリッド自動車のためのバッテリ充電器1は、
-自動車に設定可能で、少なくとも1つのハウジング室を画定する、少なくとも1つの容器体2と、
-ハウジング室の内側に収容され、自動車の少なくとも1つの電気バッテリに接続可能で、このバッテリを再充電するよう構成された、少なくとも1つの電子装置と、
-ハウジング室を閉鎖するために、容器体2と取り外し可能な方法で関連付けられた、容器体2の少なくとも1つの閉鎖体4と
を備える。
【0024】
適切には、閉鎖体4は、ハウジング室の内側に収容された電子装置を防護するよう適合される。
【0025】
好ましくは、容器体2は、互いに隣接した複数の側壁と、これら側壁と共にハウジング室の範囲を定める底壁と、を有する。
【0026】
図面に示される特定の実施形態において、容器体2は、実質的に平坦な4枚の側壁と、実質的に平坦な底壁とを備え、実質的に矩形の容器体2を画定する。
【0027】
しかし容器体2が、例えば正方形などの異なる形状の容器体2を形成するよう異なる数の側壁を備えた、バッテリ充電器1の代替の実施形態を除外することはできない。
【0028】
有利には、バッテリ充電器1は、容器体2に対して取り外し可能な、閉鎖体4の関連手段を備える。
【0029】
好ましくは、この関連手段は、例えばネジ及びナットの固定システムなど、公知のタイプである。
【0030】
詳細には、閉鎖体4は実質的にプレート形状である。
【0031】
このように、閉鎖体4は、ハウジング室を封止すること、及び装置を防護することを可能にし、それによってバッテリ充電器1のサイズ及び重量を最小にする。
【0032】
有利には、閉鎖体4は補強手段を備え、それらは閉鎖体自体が変形されるのを防止するよう、形状が決められ配置される。
【0033】
詳細には、補強手段は、閉鎖体4の少なくとも一部の上に作られた少なくとも1つの補強要素5を備える。
【0034】
図面に示された実施形態を参照すると、補強手段は、閉鎖体4の少なくとも一部の上に作られた複数の補強要素5を備える。
【0035】
加えて、補強要素5は直線形状である。
【0036】
しかし、補強要素5が例えば湾曲形状などの異なる形状を有する、補強手段の代替の実施形態を排除することはできない。
【0037】
有利には、少なくとも1つの補強要素5は、他の補強要素5に対して実質的に平行に配置される。
【0038】
さらに、少なくとも1つの補強要素5は、他の補強要素5に対して実質的に横断して配置される。
【0039】
詳細には、図面に示される実施形態によると、バッテリ充電器1は8本の補強要素5を備え、図2に示されるように、そのうちの3本は、第1の延長方向に沿って互いに平行に延び、他の5本は、第1の延長方向に実質的に直交する第2の延長方向に沿って互いに平行に延びる。
【0040】
しかし補強手段が、閉鎖体4の形状に適合するよう、互いに対して平行、横断、及び/または直交する、補強要素5の異なる組み合わせに従って配置された異なる数の補強要素5を備える、代替の実施形態のバッテリ充電器1を排除することはできない。
【0041】
このように、補強要素5は、実質的に閉鎖体4の全ての範囲に延びる補強網を作り、それによって実質的に均一な方法で、各ポイントにおいて閉鎖体4の構造を補強する。
【0042】
詳細には、このように分配された補強要素5は、変形に対する特別な抵抗及び特別な耐久性を閉鎖体4に与え、それによって電子装置の防護を弱める危険を軽減させる。
【0043】
好都合には、補強手段は、少なくとも1種類の液体の排水手段を備える。
【0044】
詳細には、閉鎖体4は、ハウジング室に対して外面7の範囲を定める複数の外周辺6を備え、排水手段は、外面7上に作られ、かつ外周辺6のうちの1つに配置された少なくとも1つの排出口8が設けられた、少なくとも1つの排水チャネル9を備える。
【0045】
有利には、排水チャネル9は、閉鎖体4の外面7上に蓄積することがあるほとんどの液体、詳細には閉鎖体4に接触する空気の凝結からの液体など、または漏洩及び/もしくは浸透からの液体なども排水できる。
【0046】
有利には、排水チャネル9は、外面7上に蓄積した液体を集積し、閉鎖体4の外部へ送る。すなわち排水チャネル9は、集積した液体を排出口8へ送り、排出口8を通して液体自体は閉鎖体4から離れる。
【0047】
より詳細には、排水手段は、外周辺6の各々に配置された少なくとも1つの排出口8を伴う、複数の排水チャネル9を備える。
【0048】
好ましくは、各排水チャネル9は、互いに実質的に反対側に配置された2本の外周辺6の間に実質的に延びて、外面7を交差する。
【0049】
換言すると、各排水チャネル9には、排出口8が設置された外周辺6の、実質的に反対側の外周辺6に近接して配置された末端部が設けられる。
【0050】
さらに、少なくとも1つの排水チャネル9は、流体が流れる方法で、少なくとも別の排水チャネル9に接続され、別の排水チャネル9に対して実質的に横断して配置される。
【0051】
換言すると、各排水チャネル9は、交差する少なくとも別の排水チャネル9と連通し、それによって、集積した液体は、1つの排水チャネル9から別の排水チャネル9へ容易に通じることができる。
【0052】
詳細には、図面に示される実施形態によると、排水チャネル9は複数のポイントにおいて互いに交差する。
【0053】
このように、排水チャネル9は、相互接続された集積網を作る。これは実質的に外面7全体を網羅し、任意の排水チャネル9からアクセス可能な複数の排出口8が設けられる。
【0054】
実際、この集積網は、例えば自動車の動作によって生じる閉鎖体4の傾斜、したがって外面7の傾斜の変化など、バッテリ充電器1の位置が変わる際でも、液体を排出口8に到達させて排除するのを可能にする。
【0055】
有利には、図面に示される実施形態によると、補強要素5は排水チャネル9と一致する。
【0056】
詳細には、補強要素5は、少なくとも1つの凹形状の断面を備え、排水チャネル9を画定する。
【0057】
より詳細には、補強要素5及び排水チャネル9の少なくとも1本は、閉鎖体4の成形プロセスによって外面7上に作られる。
【0058】
有利には、補強要素5及び排水チャネル9は、補強要素の断面を作るのを可能にする単一の成形プロセスによって作られる。
【0059】
好ましくは、このプロセスは閉鎖体4を作るために実施される。
【0060】
実際、説明した本発明は、意図した目的を実現することが確認された。
【0061】
詳細には、補強要素の構造及び配置は、閉鎖要素全体にわたって均等に分配された補強網を作るのを可能にし、変形に対する特定の抵抗性、及びより大きい経時的な耐久性をもたらす。
【0062】
加えて、排水手段の存在は、外面上に蓄積し、もし除去されなければ閉鎖体が作られる材料の一体性を経時的に損ない得る液体を、効果的かつ効率的に除去するのを可能にする。
【0063】
加えて、成形プロセスを使用して補強要素を製造することは、閉鎖体の構造を強化し、同時にバッテリ充電器を重みで押し下げないことを可能にする。
【0064】
詳細には、補強要素の特定の構造は、補強要素及び排水チャネルを、閉鎖体の単一の成形プロセスで作るのを可能にする。
【0065】
実際、この特定の構造は、補強要素を実質的に排水チャネルと一致させる。
図1
図2