(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】生産機器および表面上のナノ粒子の検出
(51)【国際特許分類】
G01N 1/02 20060101AFI20240617BHJP
G01N 15/00 20240101ALI20240617BHJP
G01N 15/06 20240101ALI20240617BHJP
G01N 15/075 20240101ALI20240617BHJP
G01N 15/13 20240101ALI20240617BHJP
G01N 15/1409 20240101ALI20240617BHJP
G01N 21/53 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
G01N1/02 A
G01N15/00 C
G01N15/06 D
G01N15/075
G01N15/13 B
G01N15/1409 100
G01N21/53 Z
(21)【出願番号】P 2021505906
(86)(22)【出願日】2019-09-03
(86)【国際出願番号】 US2019049328
(87)【国際公開番号】W WO2020051131
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-06-07
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506061299
【氏名又は名称】パーティクル・メージャーリング・システムズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100094318
【氏名又は名称】山田 行一
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【氏名又は名称】和田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ノレンバーグ, ブライアン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ロディエ, ダニエル ロバート
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/236584(WO,A2)
【文献】特表2002-525567(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0132108(US,A1)
【文献】国際公開第2013/080209(WO,A1)
【文献】特開2014-125494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/075
G01N 15/1409
G01N 15/13
G01N 15/06
G01N 15/00
G01N 1/02
G01N 21/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上の粒子の除去および検出のための装置において、
入口を有する粒子分析器と、
サンプリングポートを有する試料プローブであって、前記サンプリングポートが流路によって前記入口に流体的に接続されている試料プローブと、
前記試料プローブに動作可能に接続された排出システムであって、前記排出システムが、前記表面から前記粒子を取り除くために、前記表面上にエネルギが与えられた物質、エネルギ、またはエネルギが与えられた物質とエネルギの組合せを導くように構成され、前記取り除かれた粒子の少なくとも一部分が100nm以下の有効径を有
し、
前記エネルギが与えられた物質が、イオン化ガス、超音波ガス、メガソニックガス、極低温ガス、二酸化炭素スノー、大気圧プラズマ、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、排出システムと、
前記サンプリングポートに動作可能に接続された真空システムであって、前記真空システムは、前記試料プローブに近接する収集領域内の前記取り除かれた粒子を、前記サンプリングポートを通して、前記流路に沿って、前記入口で前記粒子分析器内に押し込むように構成される、真空システムと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記粒子分析器は、非光学的粒子計数器である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記粒子分析器は、光粒子計数器である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記光粒子計数器は、凝縮粒子計数器である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記凝縮粒子計数器の前記入口が、分析される前記取り除かれた粒子を含む試料流を導入し、前記凝縮粒子計数器は、
凝縮液リザーバと、
前記試料流に凝縮液を導入するための前記凝縮液リザーバと流体連通する飽和槽と、
前記試料流に含まれる前記取り除かれた粒子上に前記凝縮液を凝縮するための前記飽和槽と流体連通する凝縮器と、
を備え、
前記粒子計数器の前記入口は、前記試料流中の前記凝縮して取り除かれた粒子を検出または特徴付けるために、前記凝縮器と流体連通する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記凝縮液が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、またはそれらの組合せである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が、総質量が20kg未満で携帯可能である、請求項4~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記粒子分析器は、差分光検出器を有し、前記差分光検出器は、前記粒子分析器内の前記取り除かれた粒子と相互作用する光ビームの異なる部分に、それぞれ空間的にマッピングされた複数の光検出器を備える、請求項1,3-6,7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記光ビームの少なくとも一部が、前記取り除かれた粒子を含む流動セルを通過し、前記複数の光検出器に誘導される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記光検出器は、それぞれ、前記光ビームの重なり合わない部分に空間的にマッピングされる、請求項8~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記光検出器は、差分検出のために構成される、請求項8~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記光検出器は、スプリットビーム検出差分検出のために構成される、請求項8~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記光ビームは、ガウスビームである、請求項8~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記光ビームは、非ガウスビームである、請求項8~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記光ビームは、構造化ビームである、請求項8~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記光ビームは、干渉ビームである、請求項8~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記エネルギが与えられた物質は、空気、二酸化炭素、アルゴン、窒素、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項
1に記載の装置。
【請求項18】
前記排出システムは、超音波またはメガソニックエネルギを前記表面に誘導されるように構成される、請求項1~6,
7~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記排出システムは、前記表面上の粒子を熱励起するように構成される、請求項1~6,
7~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記排出システムは、前記エネルギ、物質、またはそれらの組み合わせのパルスを印加するように構成される、請求項1~6,
7~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記排出システムは、パルス液体を印加するように構成され、前記粒子分析器は、液体光粒子計数器である、請求項1~6,
7~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記パルス液体は、一つ又は複数の界面活性剤を含む、請求項
21に記載の装置。
【請求項23】
前記試料プローブは、ユーザの手によって保持され、移動されるように構成されるハウジングを備える、請求項1~6,
7~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記表面に対する前記試料プローブの自動位置決めおよび移動のために、前記試料プローブに接続された機械コントローラを更に備える、請求項1~6,
7~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記試料プローブを前記入口に流体接続する可撓性ホース又はチューブを更に備える、請求項1~6,
7~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
表面上の粒子を除去し、特徴付ける方法において、
前記表面から粒子を取り除くために、前記表面にエネルギが与えられた物質、エネルギ、またはそれらの組み合わせを誘導するステップであって、前記取り除かれた粒子の少なくとも一部分が100nm以下の有効径を有
し、
前記エネルギが与えられた物質が、イオン化ガス、超音波ガス、メガソニックガス、極低温ガス、二酸化炭素スノー、大気圧プラズマ、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、ステップと、
試料プローブを通して、取り除かれた粒子を粒子分析器の入口に真空引きするステップと、
前記粒子分析器を用いて前記粒子を特徴付けるステップと、
を含む、方法。
【請求項27】
前記粒子分析器は、光学凝縮粒子計数器である、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
前記粒子分析器は、光学分割差動干渉光粒子計数器である、請求項
26に記載の方法。
【請求項29】
表面上の粒子を除去し特徴付ける方法において、
装置を提供するステップであって、前記装置は、
入口を有する凝縮粒子計数器、
サンプリングポートを有する試料プローブであって、前記サンプリングポートは、流路によって前記凝縮粒子計数器の前記入口に流体接続される、試料プローブ、
前記試料プローブに動作可能に接続された排出システムであって、前記表面から前記粒子を取り除くために、前記表面上にエネルギが与えられた物質、エネルギ、またはそれらの組み合わせを誘導
し、
前記エネルギが与えられた物質が、イオン化ガス、超音波ガス、メガソニックガス、極低温ガス、二酸化炭素スノー、大気圧プラズマ、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、排出システム、
前記サンプリングポートに動作可能に接続された真空システムであって、前記試料プローブに近接する前記取り除かれた粒子を、前記サンプリングポートを通して、前記流路を介して前記凝縮粒子計数器に押し込む、真空システム、
を備える、ステップと、
前記排出システムから前記表面にエネルギが与えられた物質、エネルギ、またはそれらの組み合わせを誘導し、それによって前記表面から粒子を取り除くステップであって、前記取り除かれた粒子の少なくとも一部分が100nm以下の有効径を有する、ステップと、
取り除かれた粒子を、前記試料プローブ内の前記サンプリングポートを通して、前記流路を介して前記凝縮粒子計数器内に真空引きするステップと、
前記凝縮粒子計数器を使用して前記取り除かれた粒子を特徴付けるステップと、
を含む、方法。
【請求項30】
前記粒子を特徴付ける前記ステップが、前記粒子を検出または計数する工程を含む、請求項
26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記凝縮粒子計数器は、
分析される試料流を導入するための入口と、
凝縮液を前記試料流に導入するための飽和槽であって、凝縮液リザーバと流体連通する、飽和槽と、
前記飽和槽と流体連通し、前記凝縮液を前記試料流に含まれる粒子上に凝縮する凝縮器と、
前記試料流中の前記粒子を検出または特徴付けるための、前記凝縮器と流体連通する粒子計数器と、
を備える、請求項
29に記載の方法。
【請求項32】
前記誘導するステップは、
流体またはエネルギを前記表面に誘導する工程と、
前記表面に二酸化炭素スノーを誘導する工程と、
前記表面上の粒子を熱的に励起する工程と、
を含む、請求項
26~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記表面に流体またはエネルギを誘導する前記ステップは、前記表面に流体を向け、前記流体は、空気、二酸化炭素、アルゴン、窒素、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項34】
前記誘導するステップは、
前記流体をパルス化する工程と、
前記流体にエネルギを与える工程と、
前記流体をイオン化する工程と、
前記流体を極低温で提供する工程と、
を含む、請求項
32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記誘導するステップは、前記表面にエネルギを誘導し、前記エネルギは、超音波またはメガソニック周波数で提供される、請求項
34に記載の方法。
【請求項36】
前記特徴付けるステップは、
粒子の数、
単位表面積当たりの粒子数または表面上の粒子濃度、
前記表面上の粒子の数、
粒子洗浄有効性、
粒径、
粒径のヒストグラム、
およびそれらの任意の組み合わせ、
を含む群から選択される粒子パラメータを決定する工程を含む、請求項
26~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
誘導するステップが、1つ以上の界面活性剤を含むパルス液体を前記表面に誘導する工程を含み、前記粒子分析器が液体光粒子計数器である、請求項
26に記載の方法。
【請求項38】
前記誘導するステップが、1つ以上の界面活性剤を含むパルス液体を前記表面に誘導する工程を含み、粒子分析器が液体光粒子計数器である、請求項
29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、2018年9月4日に出願された米国仮特許出願第62/725,777号の優先権の利益を主張するものであり、この仮特許出願の全体が、本書と矛盾しない範囲で、参照により本書に組み込まれる。
【0002】
【発明の背景】
【0003】
[0002]クリーンルーム製造を必要とする様々な技術の進歩により、ますます小さい粒子の検出が望まれている。マイクロエレクトロニクスファウンドリおよび製薬/生物学的クリーンルームの両方は、ますます敏感になる製造プロセスに影響を及ぼすので、20nm未満のサイズの粒子の検出を求め始めている。
【0004】
[0003]より小さい粒子、具体的には100nm未満の粒子は、粒子と表面との間の静電力、物理力、化学力、または磁力により、クリーンルーム環境内の表面と相互作用または付着する可能性がはるかに高いため、クリーンルーム環境を維持することに更なる困難をもたらす可能性がある。非常に小さい粒子サイズでは、粒子の質量が十分に低いので、静電、水素結合、ファンデルワールス力、化学吸着などの粒子-表面相互作用が粒子をクリーンルーム環境内の表面に付着させることができる。
【0005】
[0004]クリーンルーム環境において表面上の粒子を除去し、同時に捕捉および/または検出することがしばしば望ましい。例えば、ツールおよび他の装置は、保守または交換のために保護された環境から除去される必要があり、粒子がツールの表面から取り除かれ、製造プロセスを妨害する可能性があるため、使用前にナノスケール粒子についてチェックされる必要がある。一部の表面は、クリーンルーム内に恒久的に固定されたものであり、定期的に洗浄され、ナノスケール粒子について詳細に調べる必要がある。
【0006】
[0005] 凝縮粒子計数器および分割差分干渉粒子計数器は、散乱光粒子計数器よりも安価な、または、より正確な解決策を提供できる。従来の散乱光光粒子計数器は、分析される粒子の検出可能な直径を低減するために、指数関数的に、(通常は、レーザの形態で提供される)より多くのエネルギを必要とする。例えば、凝縮粒子計数器は、分析される粒子の知覚される直径を増加させ、分割差分干渉検出器は、レーザ源を2つのビームに操作し、干渉法を使用して、2つのビームの相互作用を分析し、所与の直径で粒子を検出するために必要とされるエネルギを低減する。これらの技術は、検出システムに必要な電力を劇的に減少させるので、粒子検出システムのコストならびに検出器のサイズを減少させる。
【0007】
[0006] 従来の(凝結核計数器とも呼ばれる)凝縮粒子計数器は、比較的低感度の粒子計数器システム、例えば光粒子計数器を使用して、粒子の表面上で蒸気を液体に凝縮させ、粒子の見かけの容積を増加させることによって粒子の検出可能性を増加させることによって、小さな粒子の検出を可能にする。通常、分析される試料は、流動制御装置(例えば、流動オリフィス)を通って凝縮粒子計数器システムに入り、飽和槽に入り、そこで、試料は、主に蒸気形態の凝縮液の濃縮物と混合される。飽和槽は、凝縮液を飽和槽に供給する凝縮液リザーバと流体連通しており、凝縮液は、十分に気相であることを確実にするために加熱される。凝縮蒸気と混合された試料流は、試料流を冷却する凝縮器に流入し、試料流に含まれる粒子の周囲に凝縮液を液体として凝縮させ、粒子の周囲に液体の層を形成することにより、粒子を拡大する。次いで、試料流は、光粒子計数器などの粒子検出システムに提供され、光粒子計数器は、液体層によって引き起こされる、より大きなシグネチャにより、粒子をより容易に検出する。凝縮粒子計数器システムの例は、米国特許第5,903,338号及び米国特許公報第2017/0350801号に記載され、両方は、その全体が参考の為に組み込まれる。
【0008】
[0007]分割差分干渉光粒子計数器は、電磁放射線を少なくとも2つのビームに分割する。1つのビームは、分析されるターゲット(例えば、流動チャンバ、表面など)に入り、任意の粒子と相互作用する。次いで、ビームは、第2ビームと交差し、相互作用するように誘導される。粒子は、2つのビーム間の干渉または相互作用を測定することによって検出可能である。この技術は、粒子計数器の感度を高める。増加した感度は、光学またはレーザ源の電力要件に対して小さい粒子の検出を可能にし、ナノメートルスケール粒子の検出を依然として可能にしながら、粒子計数器のサイズおよびコストを潜在的に減少させる。
【0009】
[0008]上記から、粒子を捕捉し分析しながら、表面からナノスケール粒子を除去することができる装置および方法が当技術分野において依然として必要とされていることが分かる。場合によっては、クリーンルーム又は無菌環境内の様々な表面上で使用できるように、手持ち操作が可能な軽量装置を有することが望ましい場合がある。
【0010】
【発明の簡単な概要】
【0011】
[0009]ナノスケールサイズの粒子(例えば、1μm未満、100nm未満、または20nm未満の有効直径または平均直径を有する粒子)を含む、表面から粒子を取り除く又は除去するために著しい力が必要とされる。静電力、化学力、物理力および磁力の組み合わせは、とりわけ、粒子および表面の両方の組成、粒子のサイズ、粒子の化学構造(例えば、-OH結合の存在、極性、電気陰性度など)および/または粒子および表面の両方の磁気特性に依存して、ナノスケール粒子を様々な表面に接着または粘着させる原因となり得る。本書に記載される装置および方法は、表面と粒子との間の引力に確実に打ち勝つのに十分な1つ以上の種々の型式のエネルギまたは質量のいずれかを提供し、それによって粒子を取り除き、粒子計数器を含む粒子分析器による正確かつ高感度な特徴付けのためにそれらを収集することによって、ナノ粒子を含む表面接着性粒子を測定するという、この基本的な問題に対処する。本書に記載される装置および方法は、そうでなければ検出されない可能性がある表面付着粒子の高感度かつ信頼性のある検出のための基本的な出発点を提供し、これは、そのような粒子がマイクロエレクトロニクスおよび医薬品製造などのクリーンルーム用途を含む基礎となる製造プロセスに悪影響を及ぼし得る産業の範囲において重要である。
【0012】
[0010]本書では、表面上の粒子、好ましくはナノサイズ粒子または「ナノ粒子」の除去および検出のための装置および方法が提供される。対象となる用途に応じて、装置および方法は、1μm未満、好ましくは100nm未満、または、より好ましくは20nm未満の特徴的なサイズまたは有効径を有する粒子を検出するように構成される。同様に、装置および方法は、生産機器に関連する表面および/または設備表面を含む、対象となる用途に応じて、一定範囲の表面型式および組成物のいずれとも互換性がある。
【0013】
[0011]本書では、表面から粒子を取り除くことと、粒子が表面から取り除かれた後に粒子をサンプリングすることとの両方が可能なプローブユニットに動作可能に接続された、粒子計数器などの粒子分析器を備える装置が提供される。本書に記載される装置および方法は、好ましくは、例えば、ユーザがプローブを所望の表面に容易に移動させることができる移動方式で永久表面およびツールを洗浄およびサンプリングするためにクリーンルーム環境内で使用できるように、軽量および/または手持ち式である。記載された装置は、非光学式及び光学式粒子計数器と互換性がある。代表的な非光学式粒子計数器としては、超音波、電気化学、単粒子誘導結合プラズマ質量分析(ICP/MS)、電気(コールターカウンタなどの、通電されたオリフィスを通過する粒子によって発生される抵抗および/または容量性信号)などの非光学手段による粒子検出が挙げられる。
【0014】
[0012]光粒子計数器は、粒子を検出するために、散乱光、不明瞭光、または放射光を使用する。光粒子計数器は、濃縮粒子計数システムまたは分割検出光粒子計数器を利用して、ナノスケール粒子、例えば、有効直径が100nm未満の粒子の検出に典型的に必要とされる複雑性の増加を回避しながら、装置の感度を増加させることができる(それによって、より小さい粒子の検出を可能にする)。
【0015】
[0013]表面除去および検出の用途のための凝縮粒子計数器の使用は、凝縮粒子計数器によって提供される低い電力要件に起因して、他の型式の粒子計数器または分析器(例えば、散乱または不明瞭光検出器)よりも有利である。凝縮粒子計数器は、同様の形態の光検出(例えば、散乱、不明瞭)を使用できるが、粒子の表面上に液体を凝縮することによって粒子の有効サイズ(すなわち、有効直径、体積)を増加させる粒子計数器の凝縮態様の能力は、検出システムが、拡大された粒子を検出することが可能であることのみを必要とすることを意味する。例えば、散乱光光粒子計数器は、10nm粒子の有効直径を約300nmから500nmに拡大することができる凝縮粒子計数器よりも、10nm粒子を検出するために光出力源(例えば、レーザ)の桁数の増加を必要とする。光学(典型的にはレーザ)検出器のための、この増加した電力要件は、システム全体のコスト、サイズ、および脆弱性を劇的に増加させ、手持ち式の軽量高感度の従来の粒子計数器の設計を問題のあるものにする。これは、粒子分析器が凝縮粒子計数器、好ましくは光学凝縮粒子計数器であることが好ましい1つの理由である。
【0016】
[0014]また、分割検出器粒子計数器は、ナノメートル範囲、例えば、5nmから100nmの粒子を検出するために必要とされるレーザエネルギの量を減少させる際に有用である。レーザ光源の分割ビームの差を測定することによって、従来の粒子計数器の放射光または散乱光を直接測定することに比べて、光粒子計数器の有効性および感度を高めることができる。
【0017】
[0015]表面上の粒子の除去および検出のための装置において、i)入口を有する粒子計数器などの粒子分析器と、ii)サンプリングポートを有する試料プローブであって、流路によって凝縮粒子計数器の入口に流体接続される、試料プローブと、iii)試料プローブに動作可能に接続された排出システムであって、表面から粒子を取り除くために、物質、エネルギ、またはそれらの組み合わせを表面上に誘導するように構成される、排出システムと、iv)サンプリングポートに動作可能に接続された真空システムであって、試料プローブに近接する取り除かれた粒子を、サンプリングポートを通して、流路に沿って、流路を介して粒子計数器に押し込むように構成される、真空システムと、を備える、装置が提供される。
【0018】
[0016]「近接」とは、試料プローブのすぐ下にあり、表面と試料プローブとの間に位置し、本書では「収集領域」とも呼ばれる、除去された粒子などの、試料プローブの近傍(例えば、隣接)にある粒子を指す。もちろん、取り除かれた粒子を収集するように作用する力の大きさに依存して、近接は、試料プローブ、ポート、および排出システムを含み、対応する表面に面するハウジング表面のすぐ下にあるハウジング表面の接触領域に対応する領域、ならびに1cm未満、1mm未満、または1μm未満などの小さな外周領域など、試料プローブの周囲および隣接する幾分の領域を含み得る。近接領域の、この周囲面積は、収集領域の外側の望ましくない粒子の収集を最小限にする(例えば、周囲空気中の粒子の計数を最小限にし、代わりに、表面から取り除かれた粒子を収集する)ために小さくてもよいが、試料プローブが表面上を比較的迅速に移動される用途では、比較的大きくてもよい。試料プローブに近接する収集領域は、真空力を調節することによって試料プローブに近接する収集領域を増加させること、または真空力を減少させることによって収集領域のサイズを減少させること等、ユーザ調節可能である。同様に、プローブが位置する表面からの速度および距離も、収集領域のサイズおよび形状に影響を及ぼす。表面上の、ゆっくりとした安定したプローブ運動は、時間および表面位置にわたって比較的一定のままである試料プローブに近接する比較的均一な収集領域を提供する。
【0019】
[0017]粒子分析器は、光粒子計数器、好ましくは凝縮粒子計数器を含む粒子計数器であってもよい。凝縮粒子計数器の入口は、分析される取り除かれた粒子を含む試料流を導入することができ、例えば、凝縮液リザーバと、凝縮液を試料流に導入するために凝縮液リザーバと流体連通する飽和槽と、飽和槽と流体連通し、試料流に包含される取り除かれた粒子上に凝縮物を凝縮する凝縮器と、を備え、粒子計数器の入口は、試料流中の凝縮されて取り除かれた粒子を検出または特徴付けるために、凝縮器と流体連通している。
【0020】
[0018]本書に記載される粒子計数器システムは、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせの凝縮物を使用できる。装置は、250nm以下、100nm以下、または任意選択で50nm以下の有効径を有する粒子を検出することができる。装置は、5nm~100nmから選択される粒子を取り除き、更に、検出することができる。装置は、例えば、動作可能な状態にある間、30kg未満、20kg未満、又は任意選択的に10kg未満の重さの携帯型であってもよく、それによって、ユーザはが、追加の補助を必要とせずに、装置を自由に動かすことができる。
【0021】
[0019]本書で説明される装置は、分割差分干渉光粒子計数器を使用できる。粒子計数器は、5nm~100nmから選択される粒子を排出システムが取り除き、分割差分干渉光粒子計数器が検出するように構成されてもよい。分割差分干渉光粒子計数器は、光源としてガウスビームまたは非ガウスビームを使用することができる。
【0022】
[0020]光粒子計数器は、差分光学検出のために構成されてもよい。差分光学検出は、粒子と相互作用する光ビームの異なる部分にそれぞれ空間的にマッピングされた複数の光学検出器を利用することができる。光ビームの少なくとも一部は、粒子を包含する流動セルを通過し、複数の光検出器上に誘導されてもよい。光検出器は、それぞれ、重なり合わない光ビームの部分に空間的にマッピングすることができる。光検出器は、差分検出のために構成されてもよい。光検出器は、分割ビーム検出差分検出のために構成されてもよい。光ビームは、ガウスビーム、非ガウスビーム、構造化ビーム、または干渉ビームであってもよい。
【0023】
[0021]排出システムは、排出材料の範囲に互換性があり、エネルギが与えられた物質を表面に誘導することができる。本書に記載のエネルギが与えられた物質は、圧縮ガス、イオン化ガス、パルスガス、超音波ガス、メガソニックガス、極低温ガス、二酸化炭素スノー、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択されてもよい。エネルギが与えられた物質は、空気、二酸化炭素、アルゴン、窒素、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。排出システムは、超音波またはメガソニックエネルギを表面に提供してもよい。排出システムは、表面上の粒子を熱的に励起することができる。排出システムは、表面への粒子の電荷を((例えば、イオンを提供することによって)変化させることができる。排出システムは、表面からナノ粒子を除去するための装置および方法において、大気圧プラズマを排出することができ、大気圧プラズマは、空気プラズマまたはアルゴンプラズマ(より大きな原子、表面からナノ粒子を除去するためのより大きな運動量移動)でもよい。
【0024】
[0022]排出システムは、表面からの粒子の除去を促進するために、エネルギ、物質、またはそれらの組み合わせをパルス化してもよい。排出システムは、パルス液体を使用してもよく、光粒子計数器は、液体光粒子計数器であってもよい。パルス液体は、1つ以上の界面活性剤を含んでもよい。代表的な界面活性剤としては、イオン性、非イオン性および/またはアニオン性界面活性剤、例えば、ポリソルベート(例えば、ポリオキシエチレンソルビタン-20モノオレエート)および/またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
[0023]本書に記載のプローブは、手持ち式または機械制御式であってもよく、可撓性ホースまたはチューブによって入口に接続されてもよい。当技術分野で知られているように、可撓性ホースまたはチューブは、壁との粒子相互作用が最小であることを確実にするように構成される。例えば、ホースまたは管壁は、導電性材料から形成されるなど、静電フリーであるように構成されてもよく、それによって、取り除かれた粒子が壁と相互作用し、付随する潜在的な数え落としのリスクを最小限にする。携帯型手動ハンドヘルド装置の場合、粒子計数器の構成要素部分は、一方の手で持ち上げることができ、プローブ部分は、他方の手で制御し、手で表面上を移動させることができる。このように、排出システムは、プローブ部と一体化されていることが好ましい。
【0026】
[0024]本書に記載される装置のいずれかは、表面上のナノ粒子を除去し、特徴付けるための方法を含む、種々の方法において使用可能である。表面上の粒子を除去し、特徴付ける方法は、表面からナノ粒子を取り除くために、物質、エネルギ、またはそれらの組み合わせを表面に誘導するステップと、取り除かれた粒子を試料プローブを通して粒子分析器または計数器の入口に真空引きするステップと、粒子分析器または計数器を用いて粒子を特徴付けるステップと、を含んでもよい。
【0027】
[0025]表面上の粒子を除去し特徴付けるための別の方法は、装置を提供するステップを含んでもよく、当該装置は、入口を有する凝縮粒子計数器と、サンプリングポートを有する試料プローブであって、サンプリングポートは、流路によって凝縮粒子計数器の入口に流体接続される、試料プローブと、サンプリングプローブに動作可能に接続された排出システムであって、物質、エネルギ、またはそれらの組み合わせを表面上に誘導して、表面から粒子を取り除く、排出システムと、真空システムが、サンプルプローブに近接する粒子を、サンプリングポートを通して、流路を介して凝縮粒子計数器に押し込むように、サンプリングポートに動作可能に接続された真空システムと、を備える。この方法は、物質、エネルギ、またはそれらの組み合わせを排出システムから表面に誘導し、それによって、表面から粒子を取り除くステップと、取り除かれた粒子を、試料プローブ内の試料ポートを通して、流路を介して凝縮粒子計数器内に真空引きするステップと、凝縮粒子計数器を使用して粒子を特徴付けるステップと、を更に含んでもよい。
【0028】
[0026]粒子を特徴付けるステップは、粒子を検出または計数する工程を含んでもよい。検出または特徴付けるステップは、粒子存在または不在条件、単位表面積当たりの粒子数または表面上の粒子濃度(例えば、mm2、cm2などの粒子数/面積)、表面上の粒子の総数、ツール上の粒子の総数、粒径、粒径範囲、例えば、5nm未満、5nm~20nm、20~50nm、50nm~100nm、及び100nm超などの選択されたサイズビン内の粒子の数など、それらの任意の組合せ、低いパーセンテージが、比較的高いパーセンテージまたは任意の機能的に等価な尺度よりも良好な洗浄を反映するような、洗浄プロセスからの抽出パーセントの尺度(洗浄後の全粒子)/(洗浄前の全粒子)などの粒子洗浄有効性、粒径のヒストグラム、およびそれらの任意の組み合わせ、を提供する工程に対応させてもよい。
【0029】
[0027]凝縮粒子計数器は、i)分析される試料流を導入するための入口と、ii)凝縮物を試料流に導入するための飽和槽であって、凝縮液リザーバと流体連通している、飽和槽と、iii)飽和槽と流体連通し、試料流に包含される粒子上に凝縮液を凝縮させる凝縮器と、iv)試料流中の粒子を検出または特徴付けるための、凝縮器と流体連通する粒子計数器と、を備えてもよい。
【0030】
[0028]表面から粒子を排出または取り除くステップは、表面に流体を誘導する工程と、表面にエネルギを誘導する工程と、表面に二酸化炭素スノーを誘導する工程と、超音波またはメガソニックエネルギを表面に誘導、または表面上の粒子を熱励起する工程と、を含んでもよい。流体は、空気、二酸化炭素、アルゴン、窒素、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。表面に流体を誘導する工程は、流体をパルス化すること、流体にエネルギを与えること、流体をイオン化すること、流体を極低温で提供することを含んでもよい。表面にエネルギを与える場合、超音波またはメガソニック周波数で提供されるエネルギを使用してもよい。
【0031】
[0029]いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、本書では、本書で開示される装置および方法に関する基礎となる原理の信念または理解についての解説があり得る。任意の機構的な説明または仮説の最終的な正確さにかかわらず、本発明の実施形態は、それにもかかわらず、有効かつ有用であることが認識される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、表面上の粒子の除去および検出のための装置の概略図である。
【
図4】
図4は、x-y並進フレーム上などの機械制御された試料プローブの概略図である。
【発明の詳細な説明】
【0033】
[0034]一般に、本書で使用される用語および語句は、それらの技術的に認識された意味を有し、当業者に知られている標準テキスト、ジャーナル参照、および文脈を参照することによって見出すことができる。以下の定義は、本発明の文脈におけるそれらの具体的な使用を明確にするために提供される。
【0034】
[0035]「粒子分析器」は、本書において、有用な粒子パラメータを提供する器具を指すために広く使用される。実施例としては、コールターカウンタ、質量分析計、顕微鏡検出、フローサイトメトリー、レーザ回折、動的光散乱、沈降、インパクタ、好ましくは粒子計数器、より好ましくは光粒子計数器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
[0036]本書で使用される「光粒子計数器」は、典型的には表面または流体流動チャンバを分析することによって、粒子を検出、計数または特徴付けるために光学検出を使用する任意の装置を指す。光粒子計数器は、(例えば、レーザによる)電磁放射線のビームを分析領域に提供し、そこでビームは任意の粒子と相互作用し、次いで、ビームに対する変化に基づいて粒子を検出する。検出は、粒子によって散乱され、不明瞭にされ、または放出される電磁放射線に焦点を合わせることができる。例えば、単一検出システム、検出器アレイ、カメラ、様々な検出器の向きなどを含む、光粒子計数器のための様々な検出器が当技術分野で知られている。光学式粒子計数器は、凝縮粒子計数器、凝結核計数器、スプリットビーム差動システム等を含む。凝縮粒子計数器の文脈で使用される場合、粒子計数器部分は、検出システム(例えば、電磁放射源、光学系、フィルタ、光学収集、検出器、プロセッサなど)を指す。「非光学的」粒子計数器は、電気的、電気化学的、質量分析などの非光学的手段を使用する装置を指す。
【0036】
[0037]「凝縮粒子計数器」は、凝結核計数器と同義的に使用され、検出システムによって検出されるよりも小さい粒子を検出するために、検出に先立って粒子の表面上に流体を堆積させ、それらの有効サイズを増加させる粒子検出器または分析器を指す。凝縮粒子計数器の実施例は、米国特許第5,903,338号および米国特許公報No. 2017/0350801に記載され、その各々は、その全体が参照により組み込まれている。凝縮粒子計数器は、散乱光検出システムを含む光学検出システムを使用することができる。様々な散乱光検出システムおよび改良が、当技術分野で知られている。
【0037】
[0038]「排出システム」とは、表面に強くまたは弱く付着したものを含め、表面上にある浮遊粒子またはナノ粒子を除去、取り除く又は強制するためのシステムを指す。排出システムは、小粒子を表面に付着させるかまたは付着させる(例えば、静電的、化学的、磁気的)力に打ち勝つ質量またはエネルギを提供することができる。排出システムは、試料プローブ、例えばハンドヘルドパックまたはワンドに動作可能に接続され得る。排出システムは、圧縮ガス、イオン化ガス、パルスガス、メガソニックガス、極低温ガス、二酸化炭素スノー、大気圧プラズマ(例えば、空気プラズマまたはアルゴンプラズマ)、および/または表面から粒子を取り除く他の材料などの、表面に付着した粒子を確実に排出するための任意の数の手段と互換性がある。排出システムは、超音波またはメガソニックエネルギを提供することができる。また、排出システムは、例えば、熱エネルギを提供することによって、または粒子の電荷状態を変化させることによって、個々の粒子と相互作用してもよい。「取り除く」とは、真空システムによるものを含めて、粒子が収集されるように、粘着性粒子-表面相互作用を十分に克服するための排出システムの適用を指す。従って、排出システムは、信頼できる方法で粒子を特別に取り除くように構成され、粒子は、真空システムによって収集されるが、真空システムによって発生される収集力に打ち勝つリスクを有するような大きな排出速度または取り除く位置では収集されない。
【0038】
[0039]「真空システム」とは、粒子が表面から排出または取り除かれた後に粒子を収集し、それらを検出または分析のために凝縮粒子計数器に提供するシステムを指す。真空システムは、(例えば、イオン化ガスのような同じプロセスを使用する)排出システムに類似していてもよいし、異なっていてもよい。真空システムは、圧縮空気吸引システムであってもよい。真空システムは、試料プローブ、例えば、排出システムと同じプローブ、または表面からの排出後に収集を促進するように位置された異なるプローブに動作可能に接続可能である。真空システムは、ハウスラインに接続されてもよく、または可搬式真空ポンプなどの可搬式であってもよい。
【0039】
[0040]「動作可能に接続された」とは、1つの要素の作用または反応が別の要素に影響するが、各要素の機能性を保存するような要素の構成を指す。例えば、試料プローブに動作可能に接続された排出システムとは、試料プローブによって収集され、粒子分析器入口に提供される表面から粒子を確実に排出システムが取り除くような取付けまたは統合を指す。同様に、「流体的に接続された」とは、要素が流体連通状態にあるような要素の構成を指す。例えば、入口に流体的に接続されたサンプリングポートは、サンプリングポートから入口へ流れることができる流体、具体的には、空気または液体などの流体中に懸濁された粒子を指す。
【0040】
[0041]「分割差動干渉粒子計数器」または「分割差動粒子計数器」とは、電磁放射線の複数ビームの差分測定を使用して、粒子によって散乱、不明瞭または放射された電磁放射線を直接検出する光粒子計数器システムを超える粒子計数器の感度を増加させる光粒子計数器を指す。一部かの実施形態において、干渉計は、2つのビームの相互作用を指す。これらの実施形態において、光源からのビームは、2以上の別個のビームに分割される。一方のビームは、粒子について分析される流動チャンバまたは表面と相互作用し、次いで、第2ビームに戻される。場合によっては、2つのビームが測定点(例えば、流動チャンバ、表面)で相互作用する。2つのビーム間の相互作用によって発生された差は、第1ビームと相互作用した粒子を検出または特徴付けるために干渉計によって分析することができる。一部の実施形態において、干渉計使用法とは、2以上の検出器を差分分析することを指す。たとえば、2以上の検出器を流体流路に沿って配置することができる。2つの検出器の差を比較することによって、レーザノイズのかなりの部分を相殺することができる。代表的な例としては、米国特許第7,746,469号、米国特許第2015/0260628号、第2017/0176312号、2019年4月25日に「改良された粒子検出システムおよび方法」という名称で出願された米国特許出願(Atty Ref.337422:62838835 82 - 19P US)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの参考文献の各々は、その全体が、具体的には、小粒子の検出に有用な粒子計数システムの構成要素および構成を例示するために本書に組み込まれる。
【0041】
[0042]分割差動干渉粒子計数器は、ガウスビームまたは非ガウスビームを使用することができる。干渉法は、例えば、米国特許第7,528,959号、米国特許公報第2007/0030492号および第2009/0323061号、Bouhelier、Phys. Review Letters, 90:1 & Goldberg, IEEE Jour. of SelectedTopics in Quantum Electronics, 8:5, 1051-1059; Bouhelierら、Applied PhysicsLetters,Vol.82, No.25,pp.4596 - 4598, 2003年6月23日 Ignatovich、PRL96、013901(2006)に記載されているように当該技術分野で公知であるが、それぞれ、その全体が参照により組み込まれる。
【0042】
[0043]「非ガウスビーム」は、ビームプロファイルが非ガウス分布を有するように修正された電磁放射線(例えば、レーザ)のビームを指す。非ガウスビームは、レーザキャビティの修正、単一ビームプロファイルへの複数ビームの組合せ、空間フィルタなどを含む当該技術分野で知られている技術によって発生される。
【0043】
[0044]以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、もちろん、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0044】
[0045]この実施例は、付属の排出およびサンプリング装置(例えば、サンプルパックまたはワンド)を備えた凝縮粒子計数器を示す。
【0045】
[0046]本書では、凝縮粒子計数器をサンプルパックに適合させることによって表面に付着した粒子を監視するためのシステムおよび方法について説明する。この装置は、濾過された清浄な空気の計量された流動を発生させ、それを試料パックに送り、表面から粒子を取り除く。次いで、粒子が取り除かれた結果の空気流を、真空システムを用いて、試料パックから凝縮粒子計数器に引き入れる。真空システムは、取り除かれた流量と一致する流量を利用することができる。粒子サイズが小さくなるにつれて、静電的特性および吸着特性により、粒子は、電位収集および計数のために表面から次第に排出されにくくなる。より積極的な粒子除去技術を用いて、それらを表面から効果的に除去することができる。除去技術の一部の実施例は以下を含む。計測空気流量;熱励起;大気イオン化;パルス空気流;超音波およびメガソニックの脈動;試料のプレコンディショニングを伴う計量流体スプレー;超音速CO2スノー;ArまたはN2の使用または低温エアロゾルジェット洗浄の混合の使用;界面活性剤の使用を含むパルス液体。
【0046】
[0047]さらに、試料プローブは、困難なツール表面位置または他の難題に及ぶように特別に設計された試料パックとして構成することができる。また、試料パックおよび噴射システムは、たとえば、システムに出入りする容積または質量の流量を測定するように構成されてもよい。
【0047】
[0048]
図1を参照すると、粒子分析器10は、表面5から取り除かれた粒子3を包含し得る流体試料を受け入れる入口20を有する。試料プローブ30はパック形状として図示されているが、対象とする用途に応じて、棒形状、凸状および/または凹状などの湾曲形状、またはこれらの組み合わせを含む任意の数の形状を有することができる。例えば、プローブハウジング80の表面の形状は、プローブが相互作用する表面5の形状を補完するか、またはプローブが手で快適に保持されるように構成することができる試料プローブ30は、流路50(例えば、チューブまたは導管)を介して粒子分析器の入口20に流体的に接続されたサンプリングポート40を有する。排出システム60は、試料プローブ30に動作可能に接続され、例えば、図示されるように、その中に組み込まれる。あるいは、排出システム60は、プローブ30の動きが排出システム60の対応する動きを提供し、排出システム60によって表面5から取り除かれた粒子が、
図1の破線領域35によって示されるように、試料プローブ30に近接する収集領域35内の真空システム70によって収集されるように、取り付けられるか、さもなければ接続されてもよい。例えば、プローブハウジング80の表面は、ハウジング内の容積に対応する収集領域を形成するために持ち上げられた外周を有する凹状であってもよく、この場合、真空70によって生成される真空作用は、領域35内の除去された粒子収集を確実にするために強化されてもよい。必要に応じて、ハウジング80内の様々なポートまたは開口部は、排出システムが表面5と相互作用することができ、真空70などの収集手段が、表面5から取り除かれた粒子を収集する一方で、周囲環境内の粒子が収集されるリスクを最小にし、かつ/またはハウジング80と表面5との間の望ましくない物理的接触を回避して、ハウジング80と表面5との間の望ましくない物理的接触を低減することを保証し得る。
【0048】
[0049]真空70は、内部に配置されたポンプであってもよく、または、ハウス真空に接続された真空ラインを介するような外部に位置するポンプであってもよい。所望により、プローブ30と表面5との間に一種のエアクッションを形成することを含む(粒子を除去するために濾過され、かつ粒子収集を容易にする別の手段を提供するためにプローブに送られるポンプ70からの空気のような)出力空気を再循環させることができる。
【0049】
[0050] プローブハウジング80は、手で保持されるように構成されてもよく、または機械制御される自動運動のために機械400を介して制御されてもよい(
図4)。試料プローブはパック構成であってもよい。好ましくは、試料プローブと表面との間に物理的接触がないか又はほとんどなく、それによって、不注意に収集され、汚染粒子として検出され得る望ましくない摩擦を発生する粒子のリスクを最小限にする。プローブが表面とプローブハウジングとの間のエアクッション上に機能的に乗り、それによって摩擦を回避するか、または少なくとも著しく減少させるように、外縁の周りに清浄な空気を供給することができる。空気は、真空70から出力される濾過された空気を再循環させることができる。
【0050】
[0051]
図2は、飽和槽200を備えた凝縮粒子計数器を示し、飽和槽200は、試料流230に凝縮液215を導入するための凝縮液リザーバ210と流体連通する。凝縮器220は、凝縮体215を試料流230内の粒子上に凝縮させ、粒子上に凝縮体を有する試料流を粒子分析器または計数器10に導入する。真空システム70は、粒子分析器または計数器10を通る流体の流れを駆動することができる。
【0051】
[0052]
図3は、光学式粒子計数器の様々な構成要素を概略的に示す。レーザ300などの光源は、流動セル310内の流体流230に通過する前に、集束光学系305と光学的に相互作用する光ビーム301を生成する。次いで、流動セル310内の流体流230と光学的に相互作用した出力光ビーム302は、出力ビーム302が(D1およびD2として図示されるが、差分検出のための1-500対の間で変動し得る)複数の光検出器330に向けられることを保証する収集光学系320と光学的に相互作用する。分割ビーム検出のために得られる信号は、D2とD1との間の差分検出である。
【0052】
[0053]
図4は、ステッパモータによって制御されるx-y移動ステージとして示される、機械コントローラ400に接続された排出システムを備えた試料プローブ30を示す。このようにして、表面5の表面領域の被覆率を自動的かつ確実に制御することができ、流路50は、表面5の取り除かれた粒子を粒子計数器10に提供する。
【0053】
【参照による援用及び変形に関する陳述】
【0054】
[0054]刊行物、特許出願、および特許を含む、本書に引用される全ての参考文献は、参考文献の各々が参照により援用されることが個々にかつ具体的に示され、その全体が本書に記載されているかのように、参照により本書に援用される。
【0055】
[0055]本願を通しての全ての参照事項、例えば、発行された又は付与された特許又は均等物を含む特許文献、特許出願公開、及び非特許文献又は他のソース資料は、各参照事項が少なくとも部分的に本願の開示と矛盾しない限り(例えば、部分的に矛盾する参照事項は、参照事項の部分的に矛盾する部分を除いて参照により組み込まれる)、参照により個々に組み込まれるかのように、その全体が参照により本書に組み込まれる。
【0056】
[0056]本書で使用された用語及び表現は、説明の用語として使用され、限定の用語として使用されず、そのような用語及び表現の使用において、示され、説明された特徴又はその一部の均等物を排除する意図はないが、クレームされた発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、本発明は、好適な実施形態、例示的な実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本書に開示された概念の修正および変形は、当業者によって参照可能であり、そのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると考えられることを理解されたい。本書に提供される特定の実施形態は、本発明の有用な実施形態の実施例であり、本発明は、本書に記載されるデバイス、デバイス構成要素、方法ステップの多数の変形を使用して実施することができることが当業者には明らかであろう。当業者には明らかなように、当該方法に有用な方法およびデバイスは、多数の任意の組成物および処理要素および工程を含むことができる。
【0057】
[0057]置換のグループが本書に開示される場合、そのグループの全ての個々のメンバーおよび全てのサブグループが別々に開示されることが理解される。マーカッシュのグループまたは他のグループが本書で使用される場合、グループの全ての個々のメンバー、およびグループの全ての可能なコンビネーションおよびサブコンビネーションは、個々に本開示に含まれることが意図される。
【0058】
[0058]特に明記しない限り、本書に記載または例示した構成要素のあらゆる組織立てまたは組み合わせを用いて、本発明を実施することができる。
【0059】
[0059]明細書に範囲、例えば、温度範囲、時間範囲、又は組成若しくは濃度範囲が記載されている場合はいつでも、全ての中間範囲及び下位範囲、並びに記載されている範囲に含まれる全ての個々の値が開示に含まれることが意図されている。本書の説明に含まれる範囲または下位範囲内の任意の下位範囲または個々の値は、本書の請求項から除外することができることが理解されよう。
【0060】
[0060]明細書に記載された全ての特許及び刊行物は、本発明が関係する当業者の技術レベルを示す。本書に引用された参考文献は、その全体が、その刊行物又は出願日における技術水準を示すために、参照により本書に組み込まれ、この情報は、必要に応じて、先行技術にある特定の実施形態を除外するために、本書に使用されることが意図される。例えば、組成物がクレームされる場合、本書に引用された参考文献において実施可能な開示が提供されている化合物を含めて、出願人の発明の前に当該技術分野において公知でありかつ入手可能な化合物は、本書の組成物クレームに含まれることを意図していないことを理解されたい。
【0061】
[0061]本書で使用される場合、「備える」は、「含む」、「包含する」または「によって特徴付けられる」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の、列挙されていない要素または方法ステップを排除しない。本書中で使用される場合、「から成る」は、クレーム要素において特定されていない任意の要素、工程、または成分を除外する。本書で使用されているように、「から本質的になる」は、クレームの基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼさない材料又は工程を排除しない。本書の各実施例において、用語「備える」、「から本質的に成る」、および「から成る」のいずれかを、他の2つの用語のいずれかに置き換えることができる。本書に例示的に記載される本発明は、本書に具体的に開示されていない要素、限定または制限がない場合に、適切に実施することができる。
【0062】
[0062]当業者は、過度の実験に頼ることなく、出発物質、生物学的材料、試薬、合成方法、精製方法、分析方法、組立方法、および具体的に例示されたもの以外の生物学的方法を本発明の実施に用いることができることを理解するであろう。このような材料および方法の全ての公知の機能的等価物は、本発明に含まれることが意図される。使用された用語および表現は、説明の用語として使用され、限定の用語としては使用されず、そのような用語および表現の使用において、示され、記載された特徴またはその一部の任意の等価物を排除する意図はないが、クレームされた発明の範囲内で様々な修正が可能であると認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本書に開示された概念の修正および変形は、当業者によって参照可能であり、そのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると考えられることを理解されたい。