(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】環境情報システム
(51)【国際特許分類】
G01H 3/00 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
G01H3/00 A
(21)【出願番号】P 2021531585
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2019084116
(87)【国際公開番号】W WO2020120350
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-10-04
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517323795
【氏名又は名称】エアバス ディフェンス アンド スペース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ミカ ゼマン
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-044577(JP,A)
【文献】特開2014-024456(JP,A)
【文献】国際公開第2018/178809(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0046818(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0140925(US,A1)
【文献】特表2018-534188(JP,A)
【文献】特開2000-235388(JP,A)
【文献】特開2006-058245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00 - 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算するための方法であって、前記方法が、
対象領域内にある1つ又は複数の移動放出体、例えば航走体に関するリアルタイム情報を放出拡散モデルに提供すること(S112)と、
前記1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの放出特性を前記放出拡散モデルに提供すること(S114)と、
前記対象領域内の環境における放出拡散に対する影響環境因子を含む情報を前記放出拡散モデルに提供すること(S116)と、
前記放出拡散モデルに基づいて、前記対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算すること(S120)と、
前記対象領域内の前記場所における計算された前記リアルタイムイミシオン値を主題図又はイミシオンラスタデータセットとして二次元又は三次元で視覚化すること(S140)と、
を含
み、
前記情報が第1のデータと第2のデータとを含み、前記第1のデータが動的データであり、前記第2のデータが静的データであり、前記動的データが経時的に変化すると仮定され、前記静的データが経時的に変化しないと仮定され、
前記方法が、特定のイミシオンレベル閾値を超えるイミシオンレベルを計算するステップ(S150)であって、前記イミシオンレベル閾値よりも高いイミシオンレベルによって影響を受ける市民の数が、前記特定のイミシオンレベル閾値よりも高いイミシオンレベルを有する領域と市民がいる領域との重複に基づいて推定され、土地被覆データが前記対象領域内の市民に関する情報を提供する、ことを更に含む、
方法。
【請求項2】
前記第1のデータが、気象データ、航空交通データ及び/又は異なる移動の段階における、例えば前記1つ
又は複数の移動放出体のそれぞれのタイプ/クラスの上昇段階における航走体位置データ、並びに/或いは人口データを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のデータが、前記気象データ、土地被覆データ、及び/又は地形データのうちの少なくとも一部を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のデータが、前記1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの動作状態、例えば、推力及びフラップの設定や着陸装置の格納又は展開状態に関する情報を含み、前記第1のデータが前
記1つ
又は複数の移動放出体
のそれぞれによって送信される、及び/又は前記1つ又は複数の移動放出体の前記それぞれの動作状態に関する前記情報が前記1つ
又は複数の移動放出体のそれぞれの軌道から計算される、請求項
1又は
2に記載の方法。
【請求項5】
前記リアルタイム情報が、前記1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの航走体軌道データを含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記対象領域が、少なくとも空港及び/又は空港の周辺を含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記リアルタイムイミシオン値を前記計算するステップの前に大気減衰モデルが構築され、前記大気減衰モデルが前記リアルタイムイミシオン値を計算するのに使用される、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象領域内の前記場所が拡散マップを構築し、前記拡散マップが前記対象領域内の前記場所における前記計算されたイミシオン値を含み、前記場所が計算されたイミシオン値によるメッシュを形成する、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記放出拡散モデルが、音響センサによって取得された訓練データによって、及び/又は1つ
又は複数の移動放出体の放出に関する情報を含む訓練データによって訓練されたニューロンネットワークモデルに基づく、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記視覚化するステップが、前記計算されたリアルタイムイミシオン値を表すビデオを連続的に視覚化することを含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品が1つ又は複数の処理ユニットで実行されたときに請求項1~
10のいずれか一項に記載の方法を実行するためのプログラムコード部分を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
前記1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体に格納された、請求項
11に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算するためのシステム(200)であって、前記システムが、
対象領域内にある1つ又は複数の移動放出体、例えば航走体に関するリアルタイム情報と、
前記1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの放出特性と、
データベース(230)及び/又はデータストリーム(220)から取得された情報であって、前記情報が前記対象領域内の環境における放出拡散に対する影響環境因子を含む、情報と、
を放出拡散モデルに提供するように構成された処理ユニット(210)であって、
前記処理ユニット(210)が、前記放出拡散モデルに基づいて、前記対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算するように更に構成される、処理ユニット(210)、
を備
え、
前記システム(200)は、前記対象領域内の前記場所における計算された前記リアルタイムイミシオン値を主題図又はイミシオンラスタデータセットとして二次元又は三次元で視覚化するように適応されたユーザフロントエンド(240)をさらに備え、
前記情報が第1のデータと第2のデータとを含み、前記第1のデータが動的データであり、前記第2のデータが静的データであり、前記動的データが経時的に変化すると仮定され、前記静的データが経時的に変化しないと仮定され、
前記システムは、さらに、特定のイミシオンレベル閾値を超えるイミシオンレベルを計算し、前記イミシオンレベル閾値よりも高いイミシオンレベルによって影響を受ける市民の数が、前記特定のイミシオンレベル閾値よりも高いイミシオンレベルを有する領域と市民がいる領域との重複に基づいて推定され、土地被覆データが前記対象領域内の市民に関する情報を提供する、
システム(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
各例は、リアルタイムイミシオン(immission)値を計算するための概念及びその応用に関し、詳細には、対象領域内の場所における移動放出体によって引き起こされるリアルタイムイミシオン値を計算するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航走体などによって引き起こされるイミシオン、例えば空港の周辺で航空機によって引き起こされる騒音イミシオンをリアルタイムで監視するシステムは、騒音計、電源、データリンク、データストレージ、並びに対応するデータを処理及び視覚化するソフトウェアを含む1つ又は複数のセンサステーションの上位に構築される。このようなシステムの欠点は、センサステーションの設置及び運用に必要なコストが高いことであり、またイミシオン値がセンサステーションの場所に関してしか提供されないという事実である。それに加えて、騒音計は、航空機などの対象とする放出体によって引き起こされた騒音だけでなく他の発生源からの騒音も測定し、例えば強風の状況では、測定される騒音レベルはもはや信頼できなくなる。
【0003】
システムをコストに関して最適化しなければならないこともある。一方で、リアルタイム利用のためのシステムを構成することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低コストでリアルタイム利用のための方法及びシステムのための概念を提供することが要求される場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのような要求は、特許請求の範囲の発明の主題によって満たすことができる。
【0006】
第1の態様によれば、対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算するための方法が提供される。本方法は、1つ又は複数の移動放出体、例えば1つ又は複数の航走体に関するリアルタイム情報を放出拡散モデルに提供することを含む。1つ又は複数の移動放出体は、対象領域内にあり、例えば1つ又は複数の移動放出体の周辺にある対象領域内にある。本方法は、1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの放出特性を放出拡散モデルに提供することを更に含む。本方法は、対象領域内の環境における放出拡散に対する影響環境因子を含む情報を放出拡散モデルに提供することを更に含む。本方法は、放出拡散モデルに基づいて、対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算することを更に含む。
【0007】
結果として、センサインフラストラクチャは必要ではなくなり得る。よって、本方法はコストを節約することができる。更に、計算されたリアルタイムイミシオン値に対してリアルタイム分析を実行することができる。本明細書では、「放出体(emitter)」という用語は、「放出するもの(emittent)」として理解することができ、「放出するもの」は、撹乱環境因子の発生源であり、例えば、排ガスを放出するもの又は騒音を放出するものである。
【0008】
第2の態様によれば、対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算するためのシステムが提供される。本システムは処理ユニットを備える。処理ユニットは、1つ又は複数の移動放出体、例えば航空機に関するリアルタイム情報を放出拡散モデルに提供するように構成される。1つ又は複数の移動放出体は対象領域内にある。処理ユニットは、1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの放出特性を放出拡散モデルに提供するように更に構成される。処理ユニットは、データベースから取得された情報を放出拡散モデルに提供するように更に構成される。情報は、対象領域内の環境における放出拡散に対する影響環境因子を含む。処理ユニットは、放出拡散モデルに基づいて、対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算するように更に構成される。
【0009】
リアルタイムイミシオン値は、対象領域内の任意の場所における空間的又は時空間的に分散されたイミシオンの値であり得る。対象領域は、空港の周辺、又は道路若しくは線路などの任意の他の放出するインフラストラクチャの周辺であり得る。
【0010】
放出拡散モデルは、放出体によって引き起こされる放出(放出モデル)、放出体の動的位置、空気による減衰に関わる気象パラメータ並びに地面による減衰に関わる地形又は/及び地被植物の種類などの放出の伝達又は拡散に影響を与える環境パラメータの少なくとも定性的及び定量的記述を考慮した、1つ又は複数の移動放出体と対象領域内の場所との間の放出の吸収に関する物理モデルを記述し得る。対象領域内のすべての場所のメッシュは、リアルタイム放出拡散マップを形成し得る。例えば、上記のパラメータの少なくともいくつかを考慮に入れて、航空機の騒音放出によって引き起こされる地上の個々の騒音イミシオン値を点と点との関係(point to point relationship)で計算することは、当業者には明らかである。
【0011】
ハードウェア回路、ソフトウェア手段、又はそれらの組み合わせを使用して本明細書の記載を実施し得ることは、当業者には明らかである。ソフトウェア手段は、プログラムされたマイクロプロセッサ若しくは一般的なコンピュータ、ASIC(特定用途向け集積回路)、及び/又はDSP(デジタルシグナルプロセッサ)と連携し得る。例えば、システム、データベース、及び処理ユニットは、コンピュータ、論理回路、FPGA(フィードプログラマブルゲートアレイ)、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ(μC)、又はアレイプロセッサ)/コア/CPU(中央処理ユニット)、FPU(浮動小数点ユニット)、NPU(数値処理ユニット)、ALU(算術論理ユニット)、コプロセッサ(メインプロセッサ(CPU)をサポートするための更なるマイクロプロセッサ)、GPGPU(General Purpose Computation on Graphics Processing Unit)、マルチコアプロセッサ(複数のメインプロセッサ及び/又はグラフィカルプロセッサ上で同時に算術演算を実行するなどの並列コンピューティング用)、又はDSPとして部分的に実装され得る。本明細書に記載の詳細が方法の観点から説明されているとしても、これらの詳細は、適切な装置、コンピュータプロセッサ、又はプロセッサに接続され、プロセッサによって実行されると方法を実行する1つ又は複数のプログラムが提供され得るメモリで実装又は実現され得ることは、当業者には更に明らかである。したがって、スワッピング及びページングなどの方法が配備され得る。
【0012】
上記の態様のいくつかが方法に関連して説明されているとしても、これらの態様はシステムにも適用され得る。同様に、システムに関連して上述した態様は、対応するように本方法に適用可能であり得る。
【0013】
本明細書で使用される用語は、個々の実施形態を説明することを目的としており、限定することを意図するものではないことも理解されたい。別段の規定のない限り、本明細書で使用されているすべての専門用語及び科学用語は、本開示の関連技術分野の当業者の一般的な理解に対応する意味を有するものであり、それらは、遠すぎたり狭すぎたりしないように理解されるべきである。本開示で専門用語が誤って使用され、そのために本開示の技術的概念を反映していない場合は、本開示の関連技術分野の当業者に正しい理解を伝える専門用語に置き換えるべきである。本明細書で使用される一般的な用語は、辞書における定義又は文脈に基づいて解釈されるものとする。狭すぎる解釈は避けるべきである。
【0014】
例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、又は「有する(having)」などの用語は、記載された特徴、数、動作、作用、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせの存在を意味し、且つ1つ又は複数の更なる特徴、数、動作、作用、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせの存在又は追加の可能性を排除しないことを理解されたい。
【0015】
「第1」又は「第2」などの用語は様々な構成要素又は特徴を説明するために使用され得るが、これらの構成要素又は特徴はこれらの用語に限定されない。上記の用語では、1つの構成要素のみが他の構成要素と区別される。例えば、第1の構成要素は、本開示の範囲から逸脱することなく第2の構成要素と呼ばれてもよく、また第2の構成要素が第1の構成要素と呼ばれてもよい。「及び/又は」という用語は、複数の関連する特徴の組み合わせ、並びに記載された複数の特徴のうちのその複数の関連する特徴のうちのいずれかの特徴の両方を含む。
【0016】
本明細書では、構成要素が別の構成要素に「接続される」、「通信する」、又は「アクセスする」場合、これは、その構成要素が他方の構成要素に直接接続される、又は直接アクセスすることを意味するが、別の構成要素が間にあってもよいことに留意されたい。一方、ある構成要素が別の構成要素に「直接接続される」、又は他の構成要素に「直接アクセスする」場合、更なる構成要素はそれらの間に存在しないことを理解されたい。
【0017】
以下、添付の図面を参照しながら本開示の好ましい実施形態を説明する。同じ構成要素には、常に同じ参照記号が付けられている。
【0018】
本開示の説明では、既知の関連する機能又は構造の詳細な説明は、本開示から不必要に気を散らすものである限り省略されているが、このような機能及び構造は、本開示の技術分野の当業者には理解できるものである。添付の図面は本開示を説明するためのものであり、限定として解釈されないものとする。本開示の技術的アイデアは、添付の図面に加えて、そのようなすべての修正形態、変形形態、及び改良形態を含むと解釈されるものとする。
【0019】
他の目的、特徴、利点、及び用途は、添付の図面に関する非限定的な実施形態の以下の説明から明らかになる。図面では、説明及び/又は図示されたすべての特徴は、特許請求の範囲におけるそれらのグループ分け又はそれらの関係/参照に関係なく、単独で又は任意の組み合わせで、本明細書に開示される発明の主題を形成する。図面に示される構成要素又は部品の寸法及び比率は必ずしも原寸に比例しておらず、これらの寸法及び比率は図面及び実施される実施形態における例示と異なり得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算するための方法を概略的に示す。
【
図2】対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算するためのシステムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に記載される機能的及び動作的態様の改良形態並びにそれらの機能的及び動作的態様は、その構造、その機能、及び特性をよりよく理解するためのものに過ぎず、それらは、本開示を実施形態に限定するものではない。これらの図面は部分的に概略図であり、機能、有効な原理、実施形態、及び技術的特性を明確にするために、上記の本質的な特性及び効果が部分的に拡大又は縮小されて明確に示されている。図面又は本文に開示されているすべての動作、すべての原理、すべての技術的態様、及びすべての特徴は、すべての特許請求項、本文及び他の図面の各特徴、他の動作モード、原理、本開示に含まれる、又はその結果として生じる技術的改良及び特徴と組み合わされる、又は組み合わせることができ、これにより、すべての可能な組み合わせが説明される装置及び方法に割り当てられる。それらはまた、本文中、すなわち説明の各セクション、特許請求の範囲のすべての個々のコメントの組み合わせ、並びに本文中、特許請求の範囲及び図面の異なる変形形態の間の組み合わせを含み、更なる特許請求項の発明の主題とすることができる。特許請求の範囲は本開示を限定するものではなく、したがって、すべての特定された特性のそれらの間における可能な組み合わせを制限するものではない。開示されるすべての特徴は、明示的且つ個別に、また本明細書に開示される他のすべての特徴と組み合わせて使用される。
【0022】
したがって、更なる例は様々な修正形態及び代替形態が可能であるが、そのいくつかの特定の例が図面に示され、その後詳細に説明される。しかしながら、この詳細な説明は、更なる例を説明されている特定の形態に限定するものではない。更なる例は、本開示の範囲内に含まれるすべての修正形態、均等物、及び代替物を包含し得る。類似の番号は、図面の説明全体を通して類似又は同様の要素を指し、要素は、同じ又は類似の機能を提供しながら、互いに比較した場合、同一又は修正された形態で実施され得る。
【0023】
ある要素が別の要素に「接続されて(connected)」又は「結合されて(coupled)」いると言われる場合、その要素は、直接接続又は結合されてもよいし、1つ又は複数の介在要素を介して接続又は結合されてもよいことを理解されたい。2つの要素A及びBが「又は」を使用して組み合わされる場合、これはすべての可能な組み合わせ、つまり、Aのみ、Bのみ、並びにA及びBを開示すると理解されたい。同じ組み合わせの代替的な表現は「A及びBの少なくとも一方」である。同じことが3つ以上の要素の組み合わせにも当てはまる。
【0024】
特定の例を説明する目的で本明細書において使用される用語は、更なる例を限定することを意図するものではない。「a」、「an」、及び「the」などの単数形が使用され、単一の要素のみを使用することが必須であるとして明示的又は黙示的に定義されていない場合はいつでも、更なる例はまた、複数の要素を使用して同じ機能を実施し得る。同様に、機能が複数の要素を使用して実施されると後で説明される場合、更なる例は、単一の要素又は処理エンティティを使用して同じ機能を実施し得る。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含む(including)」という用語は、使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、プロセス、作用、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、プロセス、作用、要素、構成要素、及び/又はそれらの任意のグループの存在又は追加を排除するものではないことを更に理解されたい。
【0025】
別段の規定のない限り、本明細書では、すべての用語(専門用語及び科学用語を含む)は、各例が属する技術の通常の意味で使用される。
【0026】
次に、実施形態に関連してシステム及び方法を説明する。
【0027】
以下、これに限定されることなく、本開示を完全に理解するために具体的な詳細を説明する。しかしながら、本開示が他の実施形態で使用されてもよいことは当業者には明らかであり、他の実施形態は以下に記載される詳細とは異なり得る。
【0028】
対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算するための方法は、1つ又は複数の移動放出体、例えば航空機に関するリアルタイム情報を放出拡散モデルに提供すること(S112)を含む。1つ又は複数の移動放出体は対象領域内にある。本方法は、1つ又は複数の航走体のそれぞれの放出特性を放出拡散モデルに提供すること(S114)を更に含む。本方法は、対象領域内の環境における放出拡散に対する影響環境因子を含む情報を放出拡散モデルに提供すること(S116)を更に含む。本方法は、放出拡散モデルに基づいて、対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算すること(S120)を更に含む。
【0029】
ステップS110は、放出拡散モデルがS112、S114、及びS116において提供されるものに基づくように、ステップS112、S114、及びS116を含み得る。
【0030】
イミシオンは、例えば、不要な音などの騒音イミシオンであり得る。その場合、放出拡散モデルは音の伝播モデルであり得る。
【0031】
情報は、第1のデータと第2のデータとを含み得る。第1のデータは動的データであり得る。第2のデータは静的データであり得る。動的データは経時的に変化すると仮定され得る。静的データは経時的に変化しないと仮定され得る。第1及び第2のデータは、放出拡散に対する影響環境因子を含み得る。
【0032】
第1のデータは、気象データ及び/又は移動放出体の位置データを含むことができ、また移動放出体の動作状態及び1つ又は複数の移動放出体のタイプ/クラスの情報、例えば最大推力で離陸段階にある特定のタイプの航空機の位置を含む。第1のデータは、1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの動作状態に関する情報、例えば推力及びフラップの設定や着陸装置の格納又は展開状態を含み得る。第1のデータが1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの動作状態に関する情報を含まない場合、このそれぞれの情報は、1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの軌道に基づいて推定され得る。
【0033】
第1のデータ及び/又は1つ若しくは複数の移動放出体のそれぞれの動作状態に関する情報(のみ)は、それぞれの1つ又は複数の移動放出体によって送信/提供され得る。第1のデータ又は1つ若しくは複数の移動放出体のそれぞれの動作状態に関する情報(のみ)が提供されていない場合、1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの動作状態に関する情報は、1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの軌道から計算される。それぞれの軌道、又は複数の放出体の場合にはそれぞれの複数の軌道は、例えばデータベースによって別々に提供され得る。計算は、放出拡散に影響を与える特定のパラメータの推定であり得る。
【0034】
第1のデータは2つ以上のデータポイント間で補間されてもよく、これにより精度を高くすることができる、及び/又は異なるデータセットを相互に同期する、例えば気象データを放出体の位置データと同期することができる。
【0035】
第2のデータは、気象データ、土地被覆データ、及び/又は地形データのうちの少なくとも一部を含み得る。
【0036】
第2のデータは、特定の時間範囲での平均データであり得る。時間範囲は、日、晩、月、又は年とすることができる。平均データを使用することにより、計算をより高速に実行できる。
【0037】
地形データは、放出波の吸収、反射、及び/又は遮断に影響を与える地表に関するデータを含み得る。土地被覆データは3D建物データを含み得る。3D建物データは、対象領域内の建物に関する情報を与え得る。3D建物データは空港データも含み得る。3D建物データは、対象領域内の建物の幾何学的情報、及び例えばそれらの大きさに関する情報を含み得る。空港データは、対象領域内の空港施設に関する情報を与え得る。
【0038】
移動放出体の位置データは、対象領域内の全体的な航空交通に関する情報を含み得る。更に、航空交通データは、1つ又は複数の移動放出体、特に航空機に関する格納された情報を含み得る。例えば、航空交通データは、1つ又は複数の航走体に関するリアルタイム情報とは異なり得る。記録又は/及び事前分析された航空交通データなどの古い情報を、1つ又は複数の航走体に関するリアルタイム情報などの新しい情報と一緒に使用することによっても、リアルタイムイミシオン値の計算をより高速にすることができる。
【0039】
気象データは、風向、風速、空気の湿度、気温、及び/又は気圧を含み得る。気象データは静的又は動的データの一部であり得る。気象データは静的及び/又は動的データの一部を形成し得る。このように、気象データは、例えば部分的に静的であると示され得る。例えば、放出拡散モデルの適応においては、温度は静的であると仮定され得る。この例では、風向、風速、湿度、及び気圧が動的であり得る。しかしながら、計算の労力に応じて、放出拡散モデルを提供するために他の任意の組み合わせを仮定することができる。計算の労力を少なくするには、すべての気象データを静的と仮定し得ることが必要になり得る。気象データはまた大気減衰モデルも含み得る。大気減衰モデルは、リアルタイムイミシオン値を計算するステップの前に計算され得る。大気減衰モデルは、リアルタイムのイミシオン値の計算に使用され得る。これにより、計算の労力も最小化することができる。
【0040】
計算は、第1及び/又は第2のデータの特定の情報を補間することによって実行され得る。補間は、リアルタイムイミシオン値の実際の計算の前に実行され得る。
【0041】
土地被覆(land cover)データは、植生の型、水域、被覆地域(sealed area)、及び/又は市街地(built up area)を含み得る。
【0042】
リアルタイム情報は、1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの軌道データを含み得る。
【0043】
更に、1つ若しくは複数の移動放出体のリアルタイム情報及び/又は1つ若しくは複数の移動放出体のそれぞれの放出特性は、航跡データストリームの一部であり得る。情報のいずれか一方が航跡データストリームの一部ではない場合は、その情報を1つ又は複数の移動放出体(飛行する移動放出体の場合)の航空機軌道データに含まれ得るそれぞれの飛行経路を使用して分析することができる。それぞれの1つ又は複数の移動放出体の動作状態における動的な変化は、それぞれの1つ又は複数の移動放出体、特に航空機の速度プロファイル及び垂直飛行プロファイルの変化をもたらし得る。
【0044】
移動放出体の位置又は軌道データは、それぞれの1つ又は複数の航空機の飛行経路を含み得る。各飛行経路は、3D位置の観点から記述され得る。リアルタイム情報は、1つ又は複数の航走体のそれぞれの航走体タイプを更に含み得る。放出特性は航走体タイプごとに異なり得る。放出特性は、船体及び/又はエンジンの放出に関する情報を含み得る。リアルタイム情報は、1つ又は複数の航走体の動作状態に関する情報、例えば、推力及びフラップの設定や着陸装置の格納又は展開状態を更に含み得る。
【0045】
航走体位置データは航走体軌道データとは異なり得る。特に、航走体軌道データは、それぞれの1つ又は複数の移動放出体の位置を含み得る。位置は、それぞれの1つ又は複数の移動放出体の過去の位置であり得る。更に、位置は、それぞれの1つ又は複数の移動放出体の将来の位置であり得る。航走体位置データは、それぞれの1つ又は複数の移動放出体の現在の位置を含み得る。更に、静的航走体位置データは、それぞれの1つ又は複数の移動放出体の予測された位置を含み得る。航走体位置データは、リアルタイムイミシオン値を計算するときに対象領域内に存在すると予測される1つ又は複数の航走体に関する情報であり得る。よって、航走体位置データはデータベースから取得することができ、後で1つ又は複数の航走体に関するリアルタイム情報と一緒にリアルタイムイミシオン値の計算に使用することができる。
【0046】
対象領域は、少なくとも空港及び/又は空港の周辺を含み得る。
【0047】
放出拡散モデルは、1つ又は複数の航走体によって引き起こされる放出に影響を与えるパラメータを調整することによって提供され得る。
【0048】
放出拡散に影響を与えるパラメータは、それぞれの1つ若しくは複数の航走体の航走体タイプ、それぞれの1つ若しくは複数の航走体のエンジンタイプ、飛行経路に沿ったそれぞれの1つ若しくは複数の航走体の飛行構成(重量、速度、フラップ位置、着陸装置の位置など)、それぞれの1つ若しくは複数の航走体の出力設定、それぞれの1つ若しくは複数の航走体の推力設定、それぞれの1つ若しくは複数の航走体の性能に影響を与える気象条件、それぞれの1つ若しくは複数の航走体間の距離、気象データ及び(対象領域内の)対象の場所、地面のタイプ(地表の音響特性)、並びに/又は対象領域内の他の反射面の存在であり得る。
【0049】
対象領域内の場所は、マップ又は騒音イミシオンラスタデータセットを構築し得る。拡散マップは、対象領域内の場所における計算されたイミシオン値を含み得る。場所は計算されたイミシオン値によるメッシュを形成し得る。
【0050】
放出拡散モデルはニューロンネットワークモデルに基づき得る。ニューロンネットワークモデルは、音響センサによって取得された訓練データによって、及び/又は1つ又は複数の航走体の位置及び放出に関する情報を含む訓練データによって訓練されていてもよい。
【0051】
機械学習は、システム/機械が独立して経験から知識を生成できるようにする数学的技法を記述する。
【0052】
本方法は、対象領域内の場所における計算されたリアルタイムイミシオン値を主題図として二次元又は三次元で視覚化すること(S140)を更に含み得る。
【0053】
視覚化するステップは、計算されたリアルタイムイミシオン値を表すビデオを連続的に視覚化することを含み得る。拡散マップはこの目的のために使用され得る。
【0054】
視覚化は、主題図における(連続的に変化する)色分けの形態であり得る。
【0055】
このようにして、イミシオンの地理的範囲をエンドユーザに表すことができる。
【0056】
本方法は、特定のイミシオンレベル閾値を超えるイミシオンレベルを計算するステップ(S150)を更に含み得る。イミシオンレベル閾値よりも高いイミシオンレベルによって影響を受ける市民の数が、特定のイミシオンレベル閾値よりも高いイミシオンレベルを有する領域と市民がいる領域との重複に基づいて推定され得る。それにより、土地被覆はこの推定の基礎を形成し得る。
【0057】
静的データは、人口データの第1の部分を更に含み得る。人口データの第1の部分は、時間に依存しない対象領域内の市民に関する情報を提供し得る。更に、動的データは、人口データの第2の部分を含み得る。人口データの第2の部分は、時間に依存する対象領域内の市民に関する情報を提供し得る。
【0058】
上記又は下記の実施形態に関連して、更なる詳細及び態様について述べる。
図1に示す実施形態は、提案される概念に関連して言及される1つ若しくは複数の態様、又は下記(例えば、
図2)の1つ若しくは複数の実施形態に対応する1つ若しくは複数の任意選択の追加的な特徴を含み得る。
【0059】
図2は、対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算するためのシステム(200)を概略的に示している。システム(200)は処理ユニット(210)を備える。処理ユニット(210)は、1つ又は複数の航走体、例えば航空機に関するリアルタイム情報に基づく放出拡散モデルを提供するように構成される。1つ又は複数の航走体は対象領域内にある。処理ユニット(210)は、1つ又は複数の航走体のそれぞれの放出特性に基づく放出拡散モデルを提供するように更に構成される。処理ユニット(210)は、データベース(230)から取得された情報に基づく放出拡散モデルに提供するように更に構成される。情報は、対象領域内の環境における放出拡散に対する影響環境因子を含む。処理ユニット(210)は、放出拡散モデルに基づいて、対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算するように更に構成される。
【0060】
処理ユニット(210)は、騒音イミシオン計算エンジン(210)として
図2に示されている。更に、1つ又は複数の航走体に関するリアルタイム情報は、動的データフィード(220)から取得され得る。更に、1つ又は複数の航走体のそれぞれの放出特性も動的データフィード(220)から取得され得る。
【0061】
動的データフィード(220)及びデータベース(230)は、入力パラメータ又は入力データの形態であり得る。
図1に関して説明した動的データは、データフィード(220)から取得され得る。
図1に関して説明した静的データは、データベース(230)から取得され得る。
【0062】
システムは別のデータベース(260)を更に備え得る。更なるデータベース(260)がメモリとして使用され得る。更なるデータベース(260)は、
図1に関して説明した計算されたリアルタイムイミシオン値又は放出拡散マップなどの結果を保存するために使用され得る。
【0063】
システムはユーザフロントエンド(240)を更に備え得る。ユーザフロントエンド(240)は、管理インターフェース(242)とディスプレイなどの視覚化ユーザインターフェース(244)とを備え得る。ユーザフロントエンド(240)は、
図1による計算されたリアルタイムイミシオン値又は放出拡散マップをエンドユーザに示すように適応され得る。管理インターフェース(242)は騒音イミシオン計算エンジン(210)とデータを交換し得る。データの交換は更に、データ管理サーバソフトウェアと静的データベース(230)との使用下で行われ得る。視覚化ユーザインターフェース(244)は視覚化エンジン(250)とデータを交換し得る。視覚化エンジン自体が静的データベース(230)のデータを受信してもよい。更に、視覚化エンジン(250)は、更なるデータベース(260)及び騒音イミシオン計算エンジン(210)から対応するデータを取得することもできる。
【0064】
更に、システムは機械の知識を含み得る。機械の知識は、データ管理サーバソフトウェアに統合され得る。機械の知識は、騒音イミシオン計算エンジン(210)によって使用されてもよいし、騒音イミシオン計算エンジン(210)に提供されてもよい。機械の知識は、訓練データによって供給され得る機械学習エンジンによって収集され得る。訓練データは、
図1に関して説明した動的データ及び静的データの一部であり得る。それだけではなく、訓練データは、対象領域内の特定の場所のセンサデータ又は記録されたイミシオン値を含み得る。このため、システム200の能力を評価するために、騒音の正確な値が存在し得る。
【0065】
上記又は下記の実施形態に関連して、更なる詳細及び態様について述べる。
図2に示す実施形態は、提案される概念に関連して言及される1つ若しくは複数の態様、又は上記(例えば、
図1)若しくは下記の1つ若しくは複数の実施形態に対応する1つ又は複数の任意選択の追加的な特徴を含み得る。
【0066】
放出拡散モデルは、特定のシナリオ、すなわち空港及びその航空交通を記述する入力データに対して動作して、指定されたイミシオンメトリックの離散的な点(通常は計算グリッド用)における騒音レベルなどの値の形態で出力を生成する「ブラックボックス」と考えることができる。これらの離散的な点はメッシュを形成することができ、エンドユーザのために視覚化する目的でマップ上に示され得る。
【0067】
入力データはシナリオ固有であり得る。入力データは、空港の幾何学的形状(すなわち、滑走路及び地上の航跡の記述)及び空港を使用する航空交通(すなわち、その時点での特定の地上の航跡における特定の航走体又は航走体カテゴリの移動の数)を規定し得る。処理ユニット(210)は、音の放出及び伝播の物理的プロセスをモデリングするコアプロセッサとすることができる。データベースは、航走体の音響特性、並びにその性能及び動作特性を記述し得る。
【0068】
イミシオンモデリングプロセスは、単一点のイミシオン値の適切なグリッドアレイに数学的に適合され得る。そのアレイは、すべての格子点に対して単一ポイントの計算を繰り返すだけで生成され得る。累積イミシオン記述子の場合、各単一ポイントの計算は、すべての放出の大きい航走体の移動に対する単一のイベント値の合計を含み得る。したがって、モデリングプロセスは、航走体イベントレベルの計算を含み得る。トラフィックは、データベース(230)に格納され得る放出及び性能特性が異なる航走体タイプ又はカテゴリに分類され得る。計算を最小化するために、極めて似た放出及び性能特性を有する個々の航走体タイプが代表的なカテゴリにグループ分けされ得る。モデリングプロセスは、約10~200のカテゴリを使用し得る。しかしながら、(例えば、動的データフィード(220)のリアルタイムレーダーデータからの)個々の飛行経路情報及び/又は適切な放出データが利用可能である場合は、グループ分けは必要なくなり得る。
【0069】
これまでに詳述した例及び図面のうちの1つ又は複数と共に言及及び説明された態様及び特徴もまた、他の例の同様の特徴を置き換えるため、又は他の例に特徴を追加で導入するために、他の例のうちの1つ又は複数と組み合わされてもよい。
【0070】
更に各例は、コンピュータプログラムがコンピュータ又はプロセッサ上で実行されたときに上記の方法のうちの1つ又は複数を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムであり得るか、又はそれに関連し得る。上記の様々な方法のステップ、動作、又はプロセスは、プログラムされたコンピュータ又はプロセッサによって実行され得る。各例はまた、機械、プロセッサ、又はコンピュータで読み取り可能であり、機械実行可能、プロセッサ実行可能、又はコンピュータ実行可能な命令プログラムを符号化するデジタルデータ記憶媒体などのプログラム記憶装置を包含し得る。命令は、上記の方法の作用の一部又はすべてを実行する、又は実行させる。プログラム記憶装置は、例えば、デジタルメモリ、磁気ディスク及び磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体を含み得る、又はそれらであり得る。更なる例はまた、上記の方法の作用を実行するようにプログラムされたコンピュータ、プロセッサ、若しくは制御ユニット、又は上記の方法の作用を実行するようにプログラムされた(フィールド)プログラマブルロジックアレイ((F)PLA)若しくは(フィールド)プログラマブルゲートアレイ((F)PGA)を包含し得る。
【0071】
説明及び図面は本開示の原理を示しているに過ぎない。更に、本明細書に記載されるすべての例は、本開示の原理及び発明者が技術の促進に寄与した概念を読み手が理解するのを支援するための教育目的のみを主に明示的に意図している。本開示の原理、態様、及び例、並びにそれらの特定の例を記載する本明細書のすべての記載は、それらの均等物を包含することを意図している。
【0072】
ブロック図は、例えば、本開示の原理を実装する高水準回路図を示し得る。同様に、フローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどは、様々なプロセス、動作、又はステップを表すことができ、それらは、例えば、コンピュータ可読媒体で実質的に表すことができ、そのようなコンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、コンピュータ又はプロセッサによってそのように実行される。本明細書又は特許請求の範囲に開示されている方法は、これらの方法のそれぞれの作用のそれぞれを実行するための手段を有する装置によって実施し得る。
【0073】
本明細書又は特許請求の範囲に開示されている複数の作用、プロセス、動作、ステップ、又は機能の開示は、技術的な理由などによる明示的又は黙示的な別段の記載のない限り、特定の順序内にあると解釈されてはならないと理解されたい。したがって、複数の作用又は機能の開示は、そのような作用又は機能が技術的な理由で相互交換不可能ではない限り、これらを特定の順序に限定するものではない。更に、いくつかの例では、単一の作用、機能、プロセス、動作、又はステップは、それぞれ、複数の副作用、副機能、副プロセス、副動作、又は副ステップを含み得る、又はそれらに分割し得る。明示的に除外されていない限り、そのような副作用が含まれ、この単一の作用の開示の一部となり得る。
【0074】
更に、以下の特許請求の範囲は、詳細な説明に組み込まれており、各請求項は、別々の例としてそれ自身で独立していてもよい。各請求項は別々の例として独立していてもよい一方、従属請求項は請求項において1つ又は複数の他の請求項との特定の組み合わせに言及することがあるが、他の例は、従属請求項と、各他の従属請求項又は独立請求項の発明の主題との組み合わせも含み得ることに留意されたい。このような組み合わせは、特定の組み合わせが意図されていないと述べられていない限り、本明細書において明示的に提案される。更に、この請求項が独立請求項に直接従属していないとしても、他の独立請求項に請求項の特徴も含むことを意図している。
【0075】
本開示は、いかなる仕方でも上記の実施形態に限定されるものではない。反対に、添付の特許請求の範囲で定義されている本開示の基本的なアイデアから逸脱することなく、その修正形態には多くの可能性があり、これは平均的な当業者には明らかである。
[構成1]
対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算するための方法であって、前記方法が、
対象領域内にある1つ又は複数の移動放出体、例えば航走体に関するリアルタイム情報を放出拡散モデルに提供すること(S112)と、
前記1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの放出特性を前記放出拡散モデルに提供すること(S114)と、
前記対象領域内の環境における放出拡散に対する影響環境因子を含む情報を前記放出拡散モデルに提供すること(S116)と、
前記放出拡散モデルに基づいて、前記対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算すること(S120)と、
を含む、方法。
[構成2]
前記情報が第1のデータと第2のデータとを含み、前記第1のデータが動的データであり、前記第2のデータが静的データであり、前記動的データが経時的に変化すると仮定され、前記静的データが経時的に変化しないと仮定される、構成1に記載の方法。
[構成3]
前記第1のデータが、気象データ、航空交通データ及び/又は異なる移動の段階における、例えば前記1つ若しくは複数の移動放出体のそれぞれのタイプ/クラスの上昇段階における航走体位置データ、並びに/或いは人口データを含む、構成2に記載の方法。
[構成4]
前記第2のデータが、前記気象データ、土地被覆データ、及び/又は地形データのうちの少なくとも一部を含む、構成3に記載の方法。
[構成5]
前記第1のデータが、前記1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの動作状態、例えば、推力及びフラップの設定や着陸装置の格納又は展開状態に関する情報を含み、前記第1のデータが前記それぞれの1つ若しくは複数の移動放出体によって送信される、及び/又は前記1つ又は複数の移動放出体の前記それぞれの動作状態に関する前記情報が前記1つ若しくは複数の移動放出体のそれぞれの軌道から計算される、構成2又は3に記載の方法。
[構成6]
前記リアルタイム情報が、前記1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの航走体軌道データを含む、構成1~5のいずれか一項に記載の方法。
[構成7]
前記対象領域が、少なくとも空港及び/又は空港の周辺を含む、構成1~6のいずれか一項に記載の方法。
[構成8]
前記リアルタイムイミシオン値を前記計算するステップの前に大気減衰モデルが構築され、前記大気減衰モデルが前記リアルタイムイミシオン値を計算するのに使用される、構成1~7のいずれか一項に記載の方法。
[構成9]
前記対象領域内の前記場所が拡散マップを構築し、前記拡散マップが前記対象領域内の前記場所における前記計算されたイミシオン値を含み、前記場所が計算されたイミシオン値によるメッシュを形成する、構成1~8のいずれか一項に記載の方法。
[構成10]
前記放出拡散モデルが、音響センサによって取得された訓練データによって、及び/又は1つ若しくは複数の移動放出体の放出に関する情報を含む訓練データによって訓練されたニューロンネットワークモデルに基づく、構成1~9のいずれか一項に記載の方法。
[構成11]
前記方法が、前記対象領域内の前記場所における前記計算されたリアルタイムイミシオン値を主題図又はイミシオンラスタデータセットとして二次元又は三次元で視覚化すること(S140)を更に含む、構成1~10のいずれか一項に記載の方法。
[構成12]
前記視覚化するステップが、前記計算されたリアルタイムイミシオン値を表すビデオを連続的に視覚化することを含む、構成1~11のいずれか一項に記載の方法。
[構成13]
前記方法が、特定のイミシオンレベル閾値を超えるイミシオンレベルを計算するステップ(S150)であって、前記イミシオンレベル閾値よりも高いイミシオンレベルによって影響を受ける市民の数が、前記特定のイミシオンレベル閾値よりも高いイミシオンレベルを有する領域と市民がいる領域との重複に基づいて推定され、前記土地被覆データが前記対象領域内の市民に関する情報を提供する、ことを更に含む、構成2~4のいずれか一項に記載の方法。
[構成14]
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品が1つ又は複数の処理ユニットで実行されたときに構成1~13のいずれか一項に記載の方法を実行するためのプログラムコード部分を含む、コンピュータプログラム製品。
[構成15]
前記1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体に格納された、構成14に記載のコンピュータプログラム製品。
[構成16]
対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算するためのシステム(200)であって、前記システムが、
対象領域内にある1つ又は複数の移動放出体、例えば航走体に関するリアルタイム情報と、
前記1つ又は複数の移動放出体のそれぞれの放出特性と、
データベース(230)及び/又はデータストリーム(220)から取得された情報であって、前記情報が前記対象領域内の環境における放出拡散に対する影響環境因子を含む、情報と、
を放出拡散モデルに提供するように構成された処理ユニット(210)であって、
前記処理ユニット(210)が、前記放出拡散モデルに基づいて、前記対象領域内の場所におけるリアルタイムイミシオン値を計算するように更に構成される、処理ユニット(210)、
を備える、システム(200)。