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特許7504887ワクチンアジュバント効果を有するフィラメント状ナノ粒子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】ワクチンアジュバント効果を有するフィラメント状ナノ粒子
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/46 20060101AFI20240617BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240617BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240617BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20240617BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240617BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
A61K47/46
A61K9/14
A61K39/39
A61K47/28
A61P35/00
A61P35/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021534730
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2019085444
(87)【国際公開番号】W WO2020127115
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】18213540.0
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506352278
【氏名又は名称】クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100196977
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 路子
(72)【発明者】
【氏名】コーフェイ フー
(72)【発明者】
【氏名】ラウラン ドロクス
(72)【発明者】
【氏名】イーレク リンブラズ
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-530219(JP,A)
【文献】LENDEMANS, D.G., et al.,The Journal of pharmacy and pharmacology,2005年,Vol. 57,No. 6,p.729-733.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00-47/69
A61K 9/00- 9/72
A61K 39/00-39/44
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレステロール及びキラヤサポニンを含むナノ粒子であって、キラヤサポニンとコレステロールの比が12:1~18:1であり、
前記ナノ粒子が糸状(フィラメント状)であり、
前記糸状ナノ粒子が4~8nmのフィラメント径又は厚さを有し、
前記粒子が35~45nmの長さをもつ末端が閉じていないひも状のナノ粒子から構成される形態Bを含む、ナノ粒子。
【請求項2】
前記粒子が10~15nmの半径をもつ、閉じた、実質的に環状のナノ粒子から構成される形態Aを更に含み、かつ、前記キラヤサポニンとコレステロールの混合物中の形態Aの形態Bに対する比が、20:80~45:55である、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
キラヤサポニンとコレステロールの間の比が、14:1~17:1である、請求項1又は2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
抗原、アジュバント、標的分子、医薬化合物及び食品関連化合物から選択される少なくとも1つの両親媒性分子又は疎水性分子をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の1つ又は複数のナノ粒子を含む医薬組成物。
【請求項6】
抗がん剤、白金配位化合物、タキサン化合物、カンプトテシン化合物、抗腫瘍性ビンカアルカロイド、抗腫瘍性ヌクレオシド、ナイトロジェンマスタード又はニトロソウレアアルキル化剤、抗腫瘍性アントラサイクリン、トラスツズマブ及び抗腫瘍性ポドフィロトキシン、代謝拮抗剤、ステロイド、ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)の阻害剤、シタラビン、ダウノルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、トリセル及びトラベクチジンからなる群より選択される少なくとも1つの薬学的に活性な化合物をさらに含み、該活性化合物が前記ナノ粒子に組み込まれても、又は前記組成物と混合されていてもよい、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
がんの治療に使用するための、薬学的に許容される緩衝剤、希釈剤、賦形剤、アジュバント及び/又は担体をさらに含む医薬組成物として製剤化された請求項1~4のいずれか一項に記載のナノ粒子又は請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
次のステップ:
a.1つ又は複数のC1-C6アルコール、C2-C6ケトン、C1-C3カルボン酸のC1-C6アルキルエステル、及び直鎖又は環状C4-C8エーテルから選択される有機溶媒中のコレステロールの非水溶液から前記溶媒を除去することによって、反応容器の内面及び/又は前記反応容器内に位置する水不溶性の多孔質体の表面上にコレステロールの層を調製するステップ、
b.1つ又は複数の塩の溶液、緩衝溶液、又は無塩蒸留水でありうる、予め70℃±5℃に熱せられている水性反応媒体を加えること・ステップ、
c.キラヤサポニンの溶液を、1mg/ml~10mg/mLの最終濃度まで加えて、12:1~18:1の(重量/重量)キラヤサポニン:コレステロールの最終比を得るステップ、
d.反応混合物を70℃±5℃で約1時間熱するステップ、
e.反応混合物を4℃±2℃に一晩冷却し、形成された粒子を分離し、過剰キラヤサポニンを除去するステップ、
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のナノ粒子を製造する方法。
【請求項9】
前記有機溶媒がエタノール及び/又はアセトンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記有機溶媒が蒸発によって除去される、請求項8又は9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記水性反応媒体が酢酸緩衝液である、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記水性反応媒体がPBS緩衝液である、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
過剰キラヤサポニンの前記除去が、好適なゲルろ過媒体上でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって行われる、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステロール及びトリテルペノイドサポニン、例えばキラヤサポニンから選択されるキラヤ・サポナリア・モリーナ(Quillaja saponaria Molina)に由来する成分などを含むフィラメント状又は糸状のナノ粒子に関する。より具体的には、本発明は、ワクチン、がん治療及び薬物送達における前記(said)フィラメント状ナノ粒子の使用、それら粒子の製造方法、並びにその使用、例えばヒトへの使用と獣医学的使用の両方に向けたワクチンアジュバントとしての使用などに関する。
【背景技術】
【0002】
ワクチンには、動物及びヒトにおいて感染症からの長期保護を提供するために、免疫増強剤及び送達システムを含む最適なアジュバントが必要である。油乳濁液、リポ多糖類、ポリマー、サポニン、リポソーム、サイトカイン、免疫刺激複合体(ISCOM)、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、ミョウバン、細菌毒素などは、研究中のワクチン又は認可されたワクチンで既に実際に使われている一般的なアジュバントである。サポニンをベースとするアジュバントは、細胞を介した免疫系を刺激し、かつ抗体産生を増強する能力を有し、少量しかアジュバント活性に必要ないという利点を有する。
【0003】
ISCOM-マトリックスは、リン脂質も含む系におけるキラヤサポニンとコレステロールの間の相互作用の結果として生じる、一連の構造的に画定された楕円体状(spheroidal)で中空のかご状自己組織化ナノ粒子(動的光散乱法(DLS)で観察して40~60nm)である。それらは負の静電的帯電を示し、実測ゼータ電位が約-30mVである。ISCOM-マトリックスと抗原の組み合わせはISCOMと呼ばれる。キラヤサポニン(及びおそらくトリテルペノイドコアを有する全てのサポニン)は、ISCOM-マトリックスの構造化と安定化を誘導するコレステロールに対して高い親和性をもつと考えられている。
【0004】
ISCOMは、サイズ及び形状の点でウイルス粒子に似ているので、抗原送達のために広く調べられている(Barr, 1998)。ISCOMの高い免疫応答は、主にQS(キラヤ・サポナリア)サポニン、特に強い免疫刺激活性を呈するアシル化成分、例えばQS-21などの存在と関連する(Boyaka et al., 2001)。これがISCOMの特有の性質と相まって、全体的なアジュバント効果をもたらし、液性免疫応答と細胞性免疫応答の両方を誘導することが報告されている(Sun et al., 2009)。
【0005】
ISCOMの製造に伴う最大の課題は、この分子が本質的に水に不溶性であるので、水相におけるコレステロールの「可溶化」に関連する。ISCOMの形成の背後にある基本的な考えは、コレステロールを、混合ミセルの形態又は共界面活性剤(co-detergents)若しくはリン脂質によって形成され、小胞に組み込まれた形態で、バルク溶媒に供給することである。キラヤサポニンのミセル溶液を添加すると、サポニンミセルへのコレステロール分子の再分布及び特徴的なISCOM粒子への分子の再構成がもたらされる。しかし、実際には、このプロセスにおいて集団の均一性及び粒子数の点でさまざまな結果が生じる。したがって、凝集又は残留コレステロール及びリン脂質(例えばホスファチジルコリン)を除去するために、遠心分離、限外濾過、タンジェンシャルフロー又は透析を介した複数の下流精製工程が必要である。そのような技術は、製造プロセスの間に必然的に材料のロスが発生する。ISCOMの大規模製造にとってより不利益なのは、製造コストをさらに増加させる製薬グレードのリン脂質(及び時として共界面活性剤)の使用である。また、高価な(非動物由来の)半合成コレステロールが失われることも、製造コストの高騰を招く。まとめると、このような収率のばらつきとロスは、手頃なサポニンベースのアジュバントナノ粒子の大規模製造にとって重大な障害となる。
【0006】
ISCOM生産に関連する製剤化の問題のいくつかは、いわゆる「G3」サポニンをベースとするナノ粒子を生じる、リン脂質を含まない新しい調製方法の発見により、Morein et al.によって対処されている。それらの粒子はとりわけ国際特許出願の、国際公開第2013051994号パンフレット及び国際公開第2014163558号パンフレットに記載されている。しかし、前記調製方法は、残念ながら、得られた生成物が不均一かつばらつきのある粒子径分布を示すため、商業規模で実施することが困難であることもわかっており、今般、本発明の発明者によって、実際には2つの特許出願に記載のものとは異なる形態の粒子を製造することが実証された。
【0007】
本発明者らは、国際公開第2013051994号パンフレット及び国際公開第2014163558号パンフレットに記載の手順のスケールアップの試みに鋭意取り組んできたが、特許出願に記載され、電子顕微鏡写真上で~20nmの円形スポットとして現れる「G3」ナノ粒子は、該出願の指示に従うことによって再現できないことに気付いた。これは、得られた生成物を、その2つの特許出願で採用された透過型電子顕微鏡観察(TEM)だけでなく、動的光散乱法(DLS)と原子間力顕微鏡観察(AFM)でも分析したときに初めて分かった。問題は単に、クレームされている20nm粒子がTEM分析でしか見ることができず、DLSでもAFMでも見ることができないということであった。
【0008】
分析手法はその方法論と分析前の試料調製において著しく異なる。TEMでは、数マイクロリットルの(リン酸緩衝液、PBS中の)コロイド溶液を金属グリッド上に蒸着させ、真空下で乾燥させた後、造影剤でスパッタリングし、電子ビームで可視化する。高い電子密度(高い分子密度)の領域が、二次元平面に投影されて観察される。AFMでは、数マイクロリットルの試料を原子的に平坦な基板(新たにへき開したマイカシート)上に蒸着させし、乾燥させ、厚さが数ナノメートルの共振AFMチップで走査する。得られた画像は、基板の表面のトポロジー及び表面上の粒子が三次元で現れる場所を示す。特に、粒子の厚さを測定することができる。DLSでは、試料はそのまま(すなわち乾燥させずに)分析され、リン酸緩衝液に溶解され、粒子径分布の統計的な記述が与えられる。AFMイメージングでは、「G3」粒子は、異なるサイズ及び形状の不均一な集団として現れ、時には球状であり、時には長さが最大数100nmで、厚さが4nm~10nmしかないサイズの1つの軸に沿って伸びた形状(ひも状)であり、直径が20nm~30nmにそろった均一な球状ではなかった。DLSの平均サイズ分布は、国際公開第2013051994号パンフレット及び国際公開第2014163558号パンフレットでクレームされているような20nmではなく、一貫して50nm~60nmの範囲であった。したがって、本発明者らは、国際公開第2013051994号パンフレット及び国際公開第2014163558号パンフレットにおける~20nmの「G3」粒子としてTEMで観察されたものが、試料調製におけるアーチファクトのせいでありうるのではないかと推測した。これは、コレステロールもサポニンも含まず、リン酸緩衝液のみを含む試料をTEMで分析したところ、国際公開第2013051994号パンフレットに開示の「G3」粒子の図1Aとほとんど同一のTEM画像が得られたことによって裏付けられた。図1を参照。これより、2つの特許出願に記載されている約20nmの直径を有する「G3」ナノ粒子(例えば国際公開第2013051994号パンフレット)の図1Aを参照)は、実際には、試料の蒸発時に緩衝系から析出したリン酸塩結晶若しくは凝集体、又は金属基板グリッドとの相互作用(リン酸イオンは金属表面に親和性を有する)によって形成されたものであることが証明された。同一の緩衝系のみ、又は金属グリッドの代わりに炭素基板グリッド上に蒸着させた緩衝系中のサポニン-コレステロール粒子(本物の「G3」粒子)の対照観察は、特許出願で報告されている直径が~20nmのディスク形状構造を決して生じず、そのアーチファクトな性質を示した。DLSでは、リン酸塩は分析条件下で溶解しているので、そのような粒子は見えなかった。
【0009】
これらの調製物は結局、とりわけさまざまな異なる接種実験において生物学的効果を、示したので、本発明の発明者らは、国際公開第2013051994号パンフレット及び国際公開第2014163558号パンフレットに記載されている「G3粒子」の性質及び/又は形態を調べることにした。この目的のために、国際公開第2013051994号パンフレットに開示されているオリジナルの手順を5回実施し、得られた粒子をDLSで分析した。その結果は、もとの手順は、個々の実験で不均一な粒子径分布を有する粒子をもたらし(図2を参照)、さらに実験間のばらつきが大きかった。この均一性の欠如は市販アジュバントとしては許容されないと結論づけられた。
【0010】
したがって、医薬用の担体/送達粒子として、又はワクチンアジュバントとして使用できるサポニンベースのナノ粒子のための、信頼性が高く、スケールアップが可能な手順を開発する必要性が依然残っている。
【発明の概要】
【0011】
今般、本発明の発明者らは、国際公開第2013051994号パンフレットに開示されているオリジナルの製造方法で得られた粒子の形態とサイズ分布はともに、少数の重要な反応パラメーターを変えることによって、特に高温で粒子をインキュベートすること及び初期調製物におけるサポニンとコレステロールの比を調整することによって、大幅に改変できることを発見した。図2のDLSグラフに描かれたている、見かけの大きさが異なる2種類以上の粒子とは対照的に、本発明の方法に従って製造された粒子は、DLSで測定したとき、均一なサイズを有する(単分散、図4を参照)。
【0012】
したがって、本発明の第1の形態では、コレステロール並びにトリテルペノイドサポニン、例えば、Quil A(登録商標)などのキラヤ・サポナリア・モリーナ由来の成分、又はそれから単離される、画分QS-7、QS-8、QS-17、QS-18及びQS-21などの成分、又は画分QB-90などのキラヤ・ブラジリエンシス(Quillaja brasiliensis)由来の成分などを含み、糸状(フィラメント状)であることを特徴とするナノ粒子が提供される。これらのナノ粒子は、これ以降、本出願全体を通して「NanoQuil F70」粒子と呼ぶ。
【0013】
第2の態様では、本発明は、第1の態様のNanoQuil F70ナノ粒子を製造する方法を提供し、この方法は以下のステップを含む。
a)1つ又は複数のC1-C6アルコール、C2-C6ケトン、C1-C3カルボン酸のC1-C6アルキルエステル、及び直鎖又は環状C4-C8エーテルから選択される有機溶媒中のコレステロールの非水溶液から溶媒を除去することによって、反応容器の内面及び/又は前記反応容器内に位置する水不溶性の多孔質体の表面上にコレステロールの層を調製するステップ、
b)1つ又は複数の塩の溶液、緩衝溶液、又は無塩蒸留水でありうる、好ましくは予め70℃±5℃に熱せられている水性反応媒体を加えるステップ、
c)トリテルペノイドサポニン、例えばキラヤサポニンなどの溶液を、1mg/ml~10mg/mLの最終濃度まで加えて、10:1~20:1、好ましくは16:1の(重量/重量)サポニン:コレステロールの最終比を得るステップ、
d)反応混合物を70℃±5℃で約1時間熱するステップ、
e)反応混合物を4℃±2℃に一晩冷却し、例えばサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、形成された粒子を分離し、過剰サポニンを除去するステップ。
【0014】
本発明の第2の態様による方法で調製された「NanoQuil F70」ナノ粒子は、国際公開第2013051994号パンフレット及び国際公開第2014163558号パンフレットに記載の「G3」ナノ粒子を含む先行技術と、とりわけDLS分析で測定したときの形態(糸状(フィラメント状)対円形/球状)と粒子分散(均一対不均一)のユニークな組み合わせによって実質的に異なる。
【0015】
国際公開第2013051994号パンフレットに開示の手順の方法ステップと本発明の方法ステップを比較すると、第2の態様のNanoQuil F70ナノ粒子を画定する構造的特徴が、国際公開第2013051994号パンフレット及び国際公開第2014163558号パンフレットに記載の手順に対する製造手順の改変に起因するのは明らかである。
【0016】
本発明によるナノ粒子は、1つ又は幾つかの化合物、例えば、がんの治療に使用されるものを含む医薬品並びに追加の物質が追加の機能及び補完的な作用様式を提供する栄養関連化合物の送達システムとして使用することができる。
【0017】
第3の態様では、NanoQuil F70ナノ粒子及びそれを含む組成物はそれ自体で、医薬として、任意選択で、薬学的に許容される緩衝剤、希釈剤、賦形剤、添加剤、アジュバント及び/又は担体をさらに含む医薬組成物に使用することができる。
【0018】
両親媒性分子及び疎水性分子は、抗原、アジュバント、標的分子、医薬化合物、及び栄養物(nutriment)から選択でき、本発明によるナノ粒子に組み込まれてもよく、又は組成物中でそのナノ粒子と混合されてもよい。代替として、化合物が別々のナノ粒子に組み込まれる。
【0019】
本発明の医薬組成物は、ワクチンと組み合わせて使用するために、季節性インフルエンザウイルスワクチンと組み合わせて使用するために、パンデミックインフルエンザワクチンと組み合わせて使用するために、又は緊急用ワクチン、例えば生物兵器に対するワクチンなどと組み合わせて使用するためにアジュバントとして使用することができる。
【0020】
したがって、本発明はまた、本発明によるNanoQuil F70粒子を、とりわけ上記のようにアジュバントとして含む医薬ワクチン製剤にも関わる。
【0021】
本発明はまた、生物によって引き起こされる又は悪化する疾患を治療又は予防するための方法であって、対象者に、本発明による医薬ワクチン製剤を、それを必要とする人に投与することを含む方法にも関する。
【0022】
さらに、本発明は、固形腫瘍を含むがんの治療方法であって、それを必要とする患者に、薬学的に有効な量の本発明によるNanoQuil F70ナノ粒子又はそれを含有する組成物を投与することを含む方法に関わる。
【0023】
さらに、本発明は、それを必要とする患者に、薬学的に有効な量のNanoQuil F70ナノ粒子又はそれを含む組成物を投与することを含むがんの治療に使用するためのNanoQuil F70ナノ粒子又はそれを含有する組成物に関わる。
【0024】
さまざまな種類のがん細胞に対する上記のG3粒子と本発明のNanoQuil F70ナノ粒子の治療効果はともに、ナノ粒子が分裂周期を終了させることによってがん細胞をアポトーシス細胞に転換させる能力によって生じると考えられている。
【0025】
NanoQuil F70ナノ粒子又はそれを含有する組成物は、非経口的に投与することができる。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下注射、注入技術の静脈内注射、筋肉内注射、皮内注入法、エレクトロポレーション(EP)、針なし注射については、ジェットインジェクション、ジーンガン、ビルジェクター(biljector)並びに、経口、エアロゾル投与を含む。
【0026】
本発明はまた、本発明によるがんの治療法の個々の患者への適用性を評価するための方法であって、
・前記患者由来のがん細胞を、本発明によるNanoQuil F70ナノ粒子又はそのようなナノ粒子を含有する医薬組成物とインビトロで接触させること、
・前記ナノ粒子又は医薬組成物の、前記がん細胞に対する治療効果を示す少なくとも1つの効果を測定すること
を含む方法にも関し、この方法は、ナノ粒子又は医薬組成物が、前記がん細胞に対する治療効果を示す有意な効果を示した場合に、前記個々の患者に適用可能であると評価される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1A:「電子顕微鏡観察(EM)は、コレステロールと、QHC、ジテルペノイドを1:1:0.5のモル比で含むナノ粒子を示す。本発明によれば、粒子は約17~20nmの平均直径を有する」と記載されている国際公開第2013051994号パンフレットの図1Aの写し。 図1Bコレステロール又はサポニンを含有せず、リン酸緩衝液だけを含有する試料の電子顕微鏡像。このTEM写真で捉えられた20nmの「ナノ粒子」は、図1Aと同様の試料調製を行った後、リン酸緩衝液の所要の蒸発中に析出した単なるリン酸塩である。
図2図2:国際公開第201305199号パンフレットに記載の手順に従って製造された3つのバッチのDLS粒子径分析。見てわかるように、これらの粒子は少なくとも2つの主要な画分を含有する。
図3-1】図3A及びB:水性反応媒体としてPBS(図3A)又は蒸留水(図3B)を使用し、70℃で約1時間のインキュベーションした、本発明によるNanoQuil F70粒子の透過型電子顕微鏡観察。TEM写真は、反応媒体に関係なく、得られたF70粒子は、フィラメント状(糸状)の形状、すなわち国際公開第2013051994号パンフレットの円盤状とされているナノ粒子とは全く異なる形態を有することを明らかにする。
図3-2】図3C:上記のNanoQuil F70製造プロトコールに従って、4つの異なる水性反応媒体:蒸留水(D.W.)、生理食塩水(D.W.中の0.85%NaCl)、酢酸緩衝液(pH4.6)及びPBS(pH7.4)を使用して製造したNanoQuil F70ナノ粒子を示す棒グラフ。 これらの製剤において、粒子径(流体力学的直径)の違いがDLSで観察された。PBS中で製剤化したNanoQuil F70が最も大きなサイズ(約42nm)を示し、次いで生理食塩水中で製剤化したNanoQuil F70(約35nm)が続く。酢酸緩衝液(pH4.6)及び蒸留水中で製剤化したNanoQuil F70粒子は、それぞれ約25nm及び24nmの粒子径を示す。
図4図3AでTEM分析したのと同じ粒子を、ここではDLSで粒子径分布を分析したもの。これにより、本発明による粒子は、PBS中で調製した場合、平均流体力学的直径が42.2nm±1.0nmの単分散であることが明らかになる。PBS以外の媒体で作られた粒子については、図3Cを参照されたい。
図5】PBS中で調製したNanoQuil F70の3つのバッチの、SECで精製する前の動的光散乱(DLS)分析。
図6】Sephacryl S300-HR上でSECによって精製したNanoQuil F70のRP-HPLCクロマトグラム。13mL容のSephacryl S300-HRカートリッジから6mLで溶出し、精製したNanoQuil F70が入った画分をHPLCで分析した。20mLと32mLの間のシグナルの積分(灰色のバー)を用いて、画分中のサポニンを定量する。39mLのシグナルの積分を用いて、コレステロールを定量する。
図7】SEC画分に集められたQuilA(薄い灰色)及びコレステロール(濃い灰色)の相対量。QuilAが4.2mg/mLのNanoQuil F70の1mLの量を、Sephacryl S300-HRカラムに載せ、1mLの画分をHPLCによる定量分析のために集めた。検出可能な量のQuilAを含有する4mLから13mLまでのSEC画分が示されている。NanoQuil F70とQuilAは参照として示されている。
図8】NanoQuil F70のsephacryl S300-HRによるSEC画分の溶血作用。
図9】QuilA単独での溶血アッセイ。グラフは、赤血球(RBC)から放出されるヘモグロビンを、RBCの希釈度の関数として示す。 0.4mg/mLで、QuilAは、このアッセイにおいて完全な溶血能を示す。0.3mg/mL以下では、溶血作用の減少が見られる。 方法:20μLのQuilAを、PBS中に0.9倍から0.1倍に希釈した180μLの新鮮なヒツジの血液に加えた。混合物を37℃で45分間インキュベートし、細胞を500×gで5分間沈殿させる。上清中のヘモグロビンは、580nmでの吸光度を測ることによって測定する。
図10】nanoQuil F70粒子を用いた溶血アッセイ。グラフは、赤血球(RBC)から放出されるヘモグロビンを、RBCの希釈度の関数として示す。試験方法は図9と同じ。 図10A:QuilA単独(図9)と比較して、未精製(未加工)nanoQuil F70は、1mg/mLのQuilA相当濃度で溶血作用を示す。2mg/mLの未加工nanoQuil F70では、溶血作用は、0.2mg/mLの遊離QuilAで誘発された溶血作用と同程度であった。 図10B:S300-HRで精製したnanoQuil F70は、2mg/mLのQuilA相当濃度まで溶血作用を示さない。4mg/mLの精製nanoQuil F70では、溶血作用は、0.1mg/mLの遊離QuilA又は1mg/mLの未加工nanoQuil F70で誘起される溶血作用よりも低い、あるいは同程度である。
図11】G3粒子とnanoQuil F70粒子のアジュバント効果の比較。G3-VAX粒子とNanoquil粒子の間に有意な差は見られなかった。しかし、「nanoQuil F70」は「G3」よりも、わずかに強力な抗体応答が得られ、ばらつきが少ないようであった。
【0028】
定義
本明細書における用語及び単語はすべて、別段の具体的な指示がない限り、関連する技術分野において通常与えられる意味を有すると解釈されるものとする。明確にするために、いくつかの用語を以下に定義する。
【0029】
ワクチン製剤は、予防的に使用され、1つ又は複数の特定の疾患への/に対する(to/against)防御免疫を向上/増強する医薬製剤である。
【0030】
本発明による治療ワクチンは、疾患に関係がある構成要素に特異的な抗原が本発明の製剤に含まれる場合、又は抗原が、がん治療に特有であるようにがん/腫瘍中に存在する場合に、疾患を治癒させる又はそれを治療するために使用することができる。ワクチンは、処置された対象において免疫応答を誘発する「抗原」、及び任意選択で「アジュバント」又は「免疫増強剤」と呼ばれる免疫応答を向上させるためにワクチンに添加される物質を含む。
【0031】
したがって、「抗原」は、ワクチン中の活性のある特異的部分であり、ワクチンが免疫性を向上させることを狙う疾患を引き起こす完全な微生物、例えばウイルス又は細菌などである場合もある。抗原はまた、前記微生物の一部、サブユニット、例えばタンパク質(サブユニット)、タンパク質の一部、病原微生物から単離された、又は組換えDNA技術によって作製された、又は合成的に生成され、ペプチドと呼ばれるタンパク質などであってもよい。ペプチドはタンパク質よりも少ないアミノ酸を有し、一般に規則的な三次元構造の折り畳みを有しない。
【0032】
「アジュバント」は、予防又は治療ワクチンの抗原部分に対する免疫応答のレベル及び/又は質を高めるワクチン構成成分である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の発明者らは、国際公開第2013051994号パンフレットの手順に従って調製した粒子で(動的光散乱法、DLSで分析したときに)見られた不均一性は、驚くべきことに、高温で粒子をインキュベートし、初期調製物中のサポニンとコレステロールの比を調節することによって克服できることを発見した。また、他の方法パラメーター、例えばコレステロール膜の表面積及び厚さ並びに溶媒極性なども関与する可能性がある。本開示によるNanoQuil F70粒子は、(国際公開第2013051994号パンフレットにおける見かけ上の円盤状の形態とは対照的に、)フィラメント状、「糸状」であり、開いた形状(open-shaped)、すなわちひも状若しくはヌードル状(noodle-like)、又は閉じた形状(closed-shape)/環状のいずれかでありうるという点で、本開示による手順によって作られる「NanoQuil F70」粒子の形態は、国際公開第2013051994号パンフレットに開示の手順によって作られた見かけ上円盤状の「G-3」粒子の形態とは異なる。図3A及びBを参照。本開示によるNanoQuil F70ナノ粒子は、例えばISCOM及びISCOMマトリックスアジュバント製剤とは対照的に、リン脂質又は共界面活性剤(MEGA-10など)とともに製剤化されておらず、それらを含有していない。
【0034】
本発明の第1の態様では、したがって、コレステロール及びトリテルペノイドサポニン、例えばQuil A(登録商標)などのキラヤ・サポナリア・モリーナ由来の成分、又はそれから分離される、画分QS-7、QS-8、QS-17、QS-18、及びQS-21などの成分、又は画分QB-90などのキラヤ・ブラジリエンシス由来の成分などを含み、糸状(フィラメント状)であることを特徴とするナノ粒子(「NanoQuil F70」)が提供される。
【0035】
上記のように、第1の態様によるナノ粒子は、TEM分析によって、2つの別個の形態で存在することが見出され、両方とも特徴的な糸状(フィラメント状)の形状を有する。1つの形態は、末端が閉じていない(open-ended)、すなわちひも状又はヌードル状であり、もう1つの形態は、閉じており、実質的に環状である。これ以降に記載される方法に従って製造されるナノ粒子は、典型的には両方の形態を含有する。
【0036】
一実施形態では、したがって、NanoQuil F70ナノ粒子は2つの形態:
・閉じた、実質的に環状のナノ粒子からなる形態A、及び
・末端が閉じていない、ひも状(worm-like)ナノ粒子からなる形態B
を含みうる。
【0037】
形態A:形態Bの比は、他のパラメーターなかでも特に、使用される反応溶媒の性質及び/又は使用される反応溶媒のpHによって影響される。
【0038】
さらなる実施形態では、形態Aと形態Bの前記混合物は、20:80~45:55の比、例えば約35:65など、例えば30:70~40:60などを有する。
【0039】
別の実施形態では、形態AとBの前記混合物は5:95~10:90の比を有する。
【0040】
一実施形態では、第1の態様によるナノ粒子は、実質的に1つの形態のみで構成され、すなわち、そのナノ粒子は少なくとも約95%の形態A又は形態Bのいずれかを含有する。
【0041】
別の実施形態では、形態Aの実質的に環状のナノ粒子は10~15nmの半径を有し、形態Bの末端が閉じていないナノ粒子は35~45nmの長さを有しする。値はともにTEMで測定される。
【0042】
一実施形態では、フィラメントの直径又は厚さは、4~8nm、好ましくは5~7nm、例えば5.8±0.8nmなどである。
【0043】
別の実施形態では、形態Aの実質的に環状のナノ粒子は、65~120nmの周囲長、例えば70~80nmなど、例えば80~90nmなど又は例えば85~120nmなどを有する。
【0044】
別の実施形態では、形態Aの実質的に環状のナノ粒子は75±7nmの周囲長を有する。
【0045】
別の実施形態では、形態Aの実質的に環状のナノ粒子は103.5±17nmの周囲長を有する。
【0046】
別の実施形態では、キラヤサポニンとコレステロールの間の比は、12:1~18:1、例えば14:1~17:1など、好ましくは16:1である。
【0047】
本発明の第1の態様によるNanoQuil F70ナノ粒子は、国際公開第2013051994号パンフレット及び国際公開第2014163558号パンフレットに記載のいわゆる「G3」ナノ粒子を含む先行技術とは、とりわけ形態(フィラメント状/糸状対円盤状)及び粒子分散(均一対不均一)のユニークな組み合わせによって実質的に異なる。
【0048】
糸状ナノ粒子は薬物送達システムの分野でかなりの関心を集めている。B. Karagoz et al.によって論文報告された研究「Polymerization-Induced Self-Assembly (PISA)-control over the morphology of nanoparticles for drug delivery applications. 」, Polym. Chem., 2014では、円筒状でひも状のナノ粒子は、乳がん細胞に薬剤を送達した際に、従来の球状のものよりも7倍致死性が高いが、健康な細胞に対してはより高い毒性はないことが示されている。
【0049】
これらの結果は、「Pair correlation microscopy reveals the role of nanoparticle shape in intracellular transport and site of drug release」、Nature Nanotechnology 12巻、81~89頁(2017年)で、Elizabeth Hinde et al.によって報告された別の研究で裏付けられている。Hinde et al.は、形状は異なるが表面の化学的性質が同じであるポリマーナノ粒子が、異なる速度でさまざまな細胞障壁を移動し、最終的には薬物の放出部位を定めることを示した。このグループは、ミセル、小胞(vesicles)、桿体(rods)、ひも形(worms)がどのようにして細胞に入り、エンドソーム系から脱出して核膜孔複合体を介して核に到達するかを測定した。ミセルや小胞ではなく、桿体やひも形は受動的拡散によって核に入った。例えば核局在化シグナルを用いて核へのアクセスを良くすると、核内でより多くのドキソルビシン放出がもたらされ、より強い細胞毒性と相関した。したがって、そのグループの結果は、細胞の主要な障壁である核膜を横切る薬物送達が、ドキソルビシンの効率に重要であり、適切な形状のナノ粒子を用いて達成できることを示している。
【0050】
本発明の第2の態様では、第1の態様のフィラメント状(糸状)のNanoQuil F70粒子の製造方法が提供され、その方法は以下のステップを含む。
a)1つ又は複数のC1-C6アルコール、C2-C6ケトン、C1-C3カルボン酸のC1-C6アルキルエステル、及び直鎖又は環状C4-C8エーテルから選択される有機溶媒中のコレステロールの非水溶液から溶媒を除去することによって、反応容器の内面及び/又は前記反応容器内に位置する水不溶性の多孔質体の表面上にコレステロールの層を調製するステップ、
b)1つ又は複数の塩の溶液、緩衝溶液、又は無塩蒸留水でありうる、好ましくは予め70℃±5℃に熱せられている水性反応媒体を加えるステップ、
c)トリテルペノイドサポニン、例えばキラヤサポニンなどの溶液を、1mg/ml~10mg/mLの最終濃度まで加えて、10:1~20:1、好ましくは16:1の(重量/重量)サポニン:コレステロールの最終比を得るステップ、
d)反応混合物を70℃±5℃で約1時間熱するステップ、
e)反応混合物を4℃±2℃に一晩冷却し、例えばサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、形成された粒子を分離し、過剰サポニンを除去するステップ。
【0051】
第2の態様のポイントa)に関して、当業者であれば、本発明のNanoQuil F70粒子を製造するために、水不溶性コレステロールと水溶性サポニンの密接な接触を達成することの重要性を理解するであろう。これには、溶媒が接触可能な大きなコレステロール表面を作る必要がある。本発明の一実施形態では、これは、サポニン溶液が後に添加できる反応容器の内面に、コレステロールの層をできる限り薄く調製する、かつ/又は蒸着させることによって実施される。
【0052】
あるいは、別の実施形態では、コレステロールの層は、サポニン溶液と接触できる水不溶性多孔質体の表面に調製する、かつ/又は蒸着させることができる。上記実施形態の両方において、実際には、コレステロールの層は、好適な有機溶媒中のコレステロールの溶液を蒸発させることによって調製する、かつ/又は蒸着させることができる。
【0053】
最後に、本発明の異なる実施形態では、非水溶性コレステロールと水溶性サポニンの密接な接触はまた、コレステロールとサポニンの別々の溶液が高速かつ高乱流で混合される連続流マイクロリアクターでも達成することができる。
【0054】
当業者であれば、「反応容器」という用語が、第1の態様による方法において概説された単位操作に適し、かつそれと適合性のある、いずれの種類及びサイズの容器、試験管、バレル、フラスコ、ジャグ(jug)、箱(bin)又は入れ物(receptacle)を指すことを理解するであろう。反応容器は、試験管、遠心チューブ、1つ又は複数の口をもつ(necked)丸底又は洋梨形フラスコなどの通常の研究室器具から都合よく選択することができ、それらは典型的にはガラス又は好適な耐溶剤性ポリマーから製造される。スケールアップ及び製造目的のための反応容器は、パイロットスケール及び製造スケールの反応器から選択することができ、それらの反応器は、ガラスライニングされうるか、又はステンレス鋼若しくは他の合金から製造されうる。
【0055】
当業者であれば、「水に不溶性の多孔質体」という用語が、中空繊維などの開放セル構造及び好適な形状を有し、多孔質ガラス、エアロゲル及び他の無機ゲル、多孔質アルミナ、ジルコニア又はシリカ粒子、金属発泡体並びに多孔性ポリマーなどの好適な水不溶性の多孔質材料から製造された好適なサイズの任意の物品を意味することをさらに理解するであろう。
【0056】
当業者であれば、コレステロール溶液からの溶媒の除去が、溶液の蒸発によって好都合に実施できることをさらに理解するであろう。これは、反応容器の内容物を撹拌しながら、任意選択で加熱して、中程度の真空を適用することを含む。前記撹拌は、反応容器を回転させることによって、又は撹拌子若しくはパドルスターラーなどの反応容器内の内部スターラーを適用することによって行うことができる。
【0057】
代替えとして、コレステロール溶液からの溶媒の除去は、任意選択で反応容器中の内容物を撹拌しながら、空気、アルゴン又は窒素の流れを反応容器内に通すことによって行うことができる。
【0058】
溶媒を除去する方法にかかわらず、前記除去は、反応容器の内側及び/又は多孔質体の表面に、さまざまな厚さ及び粗さを有するコレステロールの層の堆積をもたらす。
【0059】
第2の態様のポイントb)に関して、上記のNanoQuil F70製造プロトコールに従って、4つの異なる水性反応媒体:蒸留水(D.W.)、生理食塩水(D.W.中の0.85%NaCl)、酢酸緩衝液(pH4.6)及びPBS(pH7.4)のを用いて、NanoQuil F70ナノ粒子を製造した。
【0060】
これらの製剤において、粒子径(流体力学的直径)の違いがDLSで観察された。PBS中で製剤化したNanoQuil F70は最も大きなサイズ(約42nm)を示し、生理食塩水中で製剤化したNanoQuil F70(約35nm)が続く。酢酸緩衝液(pH4.6)及び蒸留水で製剤化したNanoQuil F70粒子は、それぞれおよそ25nm及び24nmの粒子径を示す(図3Cを参照)。
【0061】
DLS分析では、与えられる粒子の直径は流体力学的直径である。流体力学的直径又はストークス直径は、分析物と同じ速度で拡散する相当剛体球の直径、すなわち、粒子を取り囲む水和層を仮定して、測定される粒子と同じ並進拡散係数を有する球の直径である。したがって、測定されるのは溶液中の粒子の回転半径である。これは、「静的」条件下での粒子の形態に関する情報を与えないが、それはTEMで評価することができる。
【0062】
TEM分析を用いて、上記ポイントb)で異なる水性反応媒体を使用することは、他の粒子形態の違いにもつながることがわかった。下表からわかるように、異なる媒体中で製造された開放ナノ粒子対閉鎖ナノ粒子(形態A:形態B)の比は異なる。PBS緩衝液の場合、その比はA:Bが約8:92であるが、蒸留水及び酢酸緩衝液の場合、約40:60である。すべての値はTEM画像解析で測定される。
【0063】
【表1】
【0064】
したがって、NanoQuil F70粒子形態は、プロセスパラメーターを変えることによって微調整することができ、これは先行技術の手順と比べて大きな利点である。出願人は、さまざまなタイプの粒子及び組成比が、個々の用途を見つけることを想定している。
【0065】
したがって、1つの実施形態では、ポイントb)の下で添加される水性反応媒体は、酢酸緩衝液又はPBS緩衝液などの緩衝液である。別の実施形態では、ポイントb)の下で添加される水性反応媒体は、生理食塩水(蒸留水中の0.85%NaCl)などの1つ又は複数の塩の溶液である。さらに別の態様では、ポイントb)の下で添加される水性反応媒体は無塩蒸留水である。好ましいい実施形態では、ポイントb)の下で添加される水性反応媒体は、~4.6のpHを有する酢酸緩衝液である。
【0066】
別の実施形態では、NanoQuil F70粒子の製造過程は4~5のpHで行われる。別の実施形態では、NanoQuil F70粒子の製造過程は5~6のpHで行われる。別の実施形態では、NanoQuil F70粒子の製造過程は6~7のpHで行われる。別の実施形態では、NanoQuil F70粒子の製造過程は7~8のpHで行われる。
【0067】
第2の態様のポイントc)に関して、Quil A(又は別のキラヤ画分)の添加は、好ましくは1mg/ml前後の濃度の水溶液を用いて行われる。サポニン:コレステロール(重量/重量)の10:1~20:1の最終比、好ましくは16:1の最終比が得られるように、十分な量のそのような溶液が添加される。
【0068】
第2の態様による方法のポイントd)における得られた反応混合物の加熱は、本発明の本質的な特徴であり、上記のように、国際公開第2013051994号の粒子と対比して、製造された粒子の形態及び粒子径分布を劇的に変化させる。
【0069】
したがって、好ましい実施形態では、第1の態様による方法のポイントd)において、得られた反応混合物は70℃±5℃に約1時間加熱される。当業者であれば、加熱は本発明の本質的な特徴であるが、正確な反応温度、加熱の時間、加熱の速度並びに加熱中及びその後の冷却中の温度プロファイルはすべて、特に製造方法を新しい規模に拡大する際に、分析し最適化する必要があるパラメーターであることを理解するであろう。方法パラメーターを分析し最適化することは、当業者によって十分に理解されたタスクであり、進歩性を有する熟練(inventive skills)を必要としない、慣習的な実行タスクと考えられる。
【0070】
第2の態様のポイントe)に関して、本発明のNanoQuil F70粒子の最終の分離は精製ステップを含む。このステップが含まれるのは、本発明の第2の態様による、サポニンとコレステロールを製剤化する過程から生じる「未加工」NanoQuil F70粒子が、残留遊離サポニンのミセルを完全に含まないことがなく、したがって、NanoQuil F70粗生成物は、バッチごとに異なる量の遊離サポニンミセルを含みうるからである。最終精製ステップは、バッチ間のばらつきを許容レベルまで減らす。これについては以下で考察することになる。
【0071】
キラヤ・サポナリア・モリーナ由来の部分的に精製されたサポニンの商業的混合物であるキラヤ種由来のサポニン、例えばQuilAなどは、水性緩衝液中でミセルとして送達されると、他の多くのサポニンと同様に、生体膜に対して固有の溶解活性を有する(Kensil, C. R. et al. (1991). Separation and characterization of saponins with adjuvant activity from Quillaja saponaria Molina cortex. The Journal of Immunology, 146(2), 431-437; Oda, K., et al. (2000). Adjuvant and haemolytic activities of 47 saponins derived from medicinal and food plants. Biological Chemistry, 381(1), 67-74)。この形態では、キラヤサポニンは、ワクチンアジュバントとして注射された場合、その強力な細胞膜溶解作用(細胞の破壊又は溶解に至る反応)により、有害な急性炎症症候群を誘発する。
【0072】
親水性部分と親油性部分の両方をもつサポニン分子の構造は、これらの分子に顕著な界面活性剤効果を与える。
【0073】
注入されると、サポニン分子はそれ自体で、細胞膜上のコレステロール及びリン脂質と相互作用し、それにより界面活性剤として作用する。この作用は、下記の実験の項に記載のように、ヒツジ赤血球で行われる溶血アッセイにおいて定量される。
【0074】
サポニンの溶媒効果は接種物の周囲の組織との溶菌反応をもたらす。したがって、サポニンをワクチンアジュバントとして使用するための推奨投与量は、注射部位に臨床的に重大な有害反応を(潰瘍、壊死などの形で)引き起こさず、良好な免疫刺激効果を達成するというバランスを反映したものでなければならない。しかしこれは、それらのアジュバントを適用する際に投与量に関していくつかの制限を与える。
【0075】
NanoQuil F-70及び他のサポニン含有粒子アジュバントを調製するとき、コレステロールとともに、この場合はNanoQuil F70複合体への取り込みによって固定化されない遊離サポニンがある程度過剰に存在する可能性がある。
【0076】
この遊離サポニンは、上記のように周囲の組織で溶解反応を誘導する能力を依然として有することになる。ワクチン接種においてサポニンベースのアジュバントが受け入れられるためには、サポニンの免疫増強効果に影響を及ぼすことなく、膜を溶解するその潜在的な能力をできるだけ低くする必要がある。この目的のために、NanoQuil F70ナノ粒子の精製ステップは、許容可能な生成物を確保するために必要である。
【0077】
本出願人は、ゲル濾過(以下ではサイズ排除クロマトグラフィー、SECと呼ばれる)が、粗生成物から過剰なサポニンを十分に除去することを見出した。さらに、SECの方法論は工業生産規模に容易に拡張可能である。
【0078】
ゲルろ過(サイズ排除クロマトグラフィー、SECとも呼ばれる)は、カラムに充填されたゲル濾過媒体を分子が通過する際に、大きさの違いに応じて分子を分離する。イオン交換クロマトグラフィーやアフィニティークロマトグラフィーとは違って、分子はクロマトグラフィー媒体に結合せず、その結果緩衝液の組成は分離度(ピーク間の分離の程度)に直接影響しない。したがって、ゲル濾過の大きな利点は、試料の種類又はさらなる精製、分析若しくは保存のための要件に適合するように、分離を変えることなく条件を変えることができることである。
【0079】
1つの実施形態では、残留サポニンの除去は、例えばSephacryl 300又は当業者が進歩性を有する熟練なしで選択できると思われる他のゲル濾過媒体を用いて実施される。SEC方法論は20~50nmの平均サイズ(反応媒体に依る流体力学的直径)をもつNanoQuil F70粒子を、~5nmの平均サイズを有する残留サポニンミセルから分離することができ、それによって溶解作用が大幅に減少した生成物を得ることができる。
【0080】
NanoQuil F70ナノ粒子の溶血活性に対する過剰サポニンの除去の効果は、下記の実験の項に満遍なく記載されており、「未加工」ナノ粒子の溶血作用をSEC精製粒子と比較することによって容易に示すことができる。(図9及び10を参照)。
【0081】
分析されたnanoQuil F70ナノ粒子(複合体化されたQuilAを含有)の溶血作用は、「QuilA相当量」として最も効率的に提示される。QuilA自体と比較して、未精製(未加工)nanoQuil F70は、1mg/mLのQuilA相当濃度で溶血作用を誘導する。2mg/mLの未精製nanoQuil F70では、溶血作用は0.2mg/mLの遊離QuilAの溶血作用と同程度である。したがって、この調製物の溶血作用は、QuilA自体に対して約10倍減少したと見なすことができる。
【0082】
Sephacryl 300-HR精製nanoQuil F70は、2mg/mLのQuilA相当濃度まで溶血作用を示さない。4mg/mLでは、精製nanoQuil F70は、0.1mg/mLの遊離QuilA又は1mg/mLの未精製nanoQuil F70によって誘導される溶血作用よりも低い又はそれと同程度の溶血作用を示す。したがって、精製nanoQuil F70ナノ粒子の溶血作用は、QuilA自体に対して少なくとも40倍減少した、又は未加工nanoQuil F70に対して約4倍減少したと見なすことができる。
【0083】
nanoQuil F70粒子のSEC精製のこの効果(溶解作用の減少)は驚くほど高く、そのうえ、局所反応源性を同時に増加させることなくサポニン含有アジュバントを安全に注入できる量の上限を上げるので、治療の観点から非常に重要である。その結果、アジュバントとしてnanoQuil F70粒子を使用することにより、所与の注射でより高い免疫応答を誘導することが可能になりうる。
【0084】
本発明の好ましい実施形態では、サポニン含有nanoQuil F70ナノ粒子によって誘導される溶血作用は、未加工又は粗製nanoQuil F70ナノ粒子に対して行われるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)などのゲル濾過技術を用いると、純粋な複合体を形成していない形態の同一のサポニン、例えばQuilAなどによって誘導される溶血作用と比較して少なくとも20倍、例えば20倍、30倍又は40倍など減少する。
【0085】
国際公開第2013051994号パンフレットに開示の手順の方法ステップを本発明の方法ステップと比較すると、第2の態様のnanoQuil F70ナノ粒子を画定する構造的特性は、製造手順の改変の直接的な結果であることは明らかである。
【0086】
したがって、特定の実施形態では、本発明の第1の態様によるナノ粒子は、第2の態様による方法によって得ることができる。
【0087】
ワクチンアジュバントとしてのそれらの使用のほかに、本発明によるnanoQuil F70ナノ粒子は、例えば、がんの治療に用いられるものを含む医薬品並びに追加の物質が追加の機能及び補完的な作用様式を提供する栄養関連化合物のための1個又は数個の化合物の送達システムとしても使用することができる。
【0088】
第3の態様では、NanoQuil F70ナノ粒子及びそれを含む組成物はそれ自体で、医薬として、任意選択で、薬学的に許容される緩衝剤、希釈剤賦形剤、添加剤、アジュバント及び/又は担体をさらに含む医薬組成物中で使用することができる。
【0089】
好適な薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤としては、任意の及びすべての従来の溶媒、分散媒体、充填剤、固体担体、水溶液、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当該分野で周知であり、例として、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Company、米国ペンシルベニア州に記載されている。いずれかの従来の媒体又は薬剤が有効成分と相容れない場合を除き、本発明の医薬組成物におけるその使用が企図される。補助的な有効成分を組成物に組み込むこともできる。
【0090】
本発明はまた、少なくとも1つの薬剤的に活性な化合物、例えば、抗がん剤、白金配位化合物、タキサン化合物、カンプトテシン化合物、抗腫瘍性ビンカアルカロイド、抗腫瘍性ヌクレオシド誘導体、ナイトロジェンマスタード又はニトロソウレアアルキル化剤、抗腫瘍性アントラサイクリン誘導体、トラスツズマブ及び抗腫瘍性ポドフィロトキシン誘導体、キラヤ・サポナリア・モリーナ及びそれらのサブ断片(sub fragments)、抗体又はモノクローナル抗体の受容体、例えばFc受容体又は黄色ブドウ球菌のプロテインAのDD(the DD of Protein A of Staphylococcus aureus)、がんを治療するための薬剤、例えばシタラビン、ダウノルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、トリセル及びトラベクチジンからなる群より選択される薬剤などをさらに含む医薬組成物を含み、その活性化合物はナノ粒子に組み込まれていてもよく、組成物と混合されていてもよい。
【0091】
さらなる抗がん剤は、好ましくは、白金配位化合物、タキサン化合物、カンプトテシン化合物、抗腫瘍性ビンカアルカロイド、抗腫瘍性ヌクレオシド誘導体、ナイトロジェンマスタード又はニトロソウレアアルキル化剤、抗腫瘍性アントラサイクリン誘導体、トラスツズマブ及び抗腫瘍性ポドフィロトキシン誘導体から選択される。
【0092】
「白金配位化合物」という用語は、本明細書において、イオンの形態で白金を供給する任意の腫瘍細胞増殖阻害白金配位化合物を意味するために使用される。好ましい白金配位化合物としては、シスプラチン、カルボプラチン、塩化クロロ(ジエチレントリアミン)白金(II)、ジクロロ(エチレンジアミン)白金(II)、ジアミン(1,1-シクロブタンジカルボキシラト)白金(II)(カルボプラチン)、スピロプラチン、イプロプラチン、ジアミン(2-エチルマロナト)白金(II)、(1,2-ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II)、(4-カルボキシフタロ-1,2-ジアミノシクロヘキサン)白金(II)、(1,2-ジアミノシクロヘキサン)-(イソシトラト)白金(II)、(1,2-ジアミノシクロヘキサン)-シス-(ピルバト)白金(II)、(1,2-ジアミノシクロヘキサン)-オキサラト-白金(II)、オルマプラチン及びテトラプラチンが挙げられる。
【0093】
シスプラチンは、例えば、商品名Platinolでブリストル・マイヤーズスクイブ社から、水、滅菌生理食塩水又は他の好適な溶媒で構成する(constitution)ための粉末として市販されている。他の白金配位化合物及びそれらの医薬組成物は市販され、かつ/又は従来の技術によって調製することができる。
【0094】
タキサン化合物としては、例えばブリストル・マイヤーズスクイブのTaxol、ローヌ・プーランク・ローラーのドセタキセル(Taxotere)、及びサノフィパスツールのCabazitaxelが挙げられる。他のタキサン化合物は、例えば欧州特許第253738号、欧州特許第253739号及び国際公開第92/09589号パンフレットに記載の従来の方法で、又はそれに類似する方法によって調製することができる。
【0095】
カンプトテシン化合物にはイリノテカンとトポテカンがある。イリノテカンは、例えばローヌ・プーランク・ローラーから商品名Camptoで市販されており、例えば欧州特許第137145号明細書に記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。トポテカンは、例えばスミスクライン・ビーチャムから商品名Hycamtinで市販されており、例えば欧州特許第321122号明細書に記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。他のカンプトテシン化合物は、従来の方法、例えば、イリノテカン及びトポテカンについて上記された方法に類似の方法によって調製することができる。
【0096】
抗腫瘍ビンカアルカロイドとしては、上記のビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビンが挙げられる。ビンブラスチンは、例えば注射用硫酸塩としてイーライリリー社から商品名Velbanで市販されており、例えば独国特許第2124023号明細書に記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。ビンクリスチンは、例えば注射用硫酸塩としてイーライリリー社から商品名Oncovinで市販されており、例えば上記の独国特許第2124023号明細書に記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。ビノレルビンは、例えば注射用酒石酸塩としてグラクソ・ウエルカムから商品名Navelbineで市販されており、例えば米国特許第4307100号明細書に記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。他の抗腫瘍ビンカアルカロイドは、従来の方法で、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビンについて上記された方法に類似の方法によって調製することができる。
【0097】
抗腫瘍ヌクレオシド誘導体としては、上記の5-フルオロウラシル、ゲムシタビン及びカペシタビンが挙げられる。5-フルオロウラシルは広く市販されており、例えば米国特許第2802005号に記載のように調製することができる。ゲムシタビンは、例えばイーライリリーから商品名Gemzarで市販されており、例えば欧州特許第122707号明細書に記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。
【0098】
カペシタビンは、例えばホフマン・ラ・ロシュから商品名Xelodaで市販されており、例えば欧州特許第698611号明細書に記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。他の抗腫瘍ヌクレオシド誘導体は、従来の方法、例えばカペシタビン及びゲムシタビンについて上記された方法に類似の方法によって調製することができる。
【0099】
ナイトロジェンマスタード化合物としては、シクロホスファミド及びクロラムブシルが挙げられる。シクロホスファミドは、例えばブリストル・マイヤーズスクイブから商品名Cytoxanで市販されており、例えば英国特許第1235022号明細書に記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。クロラムブシルは、例えばグラクソ・ウエルカムから商品名Leukeranで市販されており、例えば米国特許第3046301号明細書に記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。本発明における使用のための好ましいニトロソウレア化合物としては、上記のカルムスチン及びロムスチンが挙げられる。カルムスチンは、例えばブリストル・マイヤーズスクイブから商品名BiCNUで市販されており、例えば欧州特許第902015号明細書に記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。ロムスチンは、例えばブリストル・マイヤーズスクイブから商品名CeeNUで市販されており、例えば米国特許第4377687号明細書に記載されているように、又はそれに類似する方法によって調製することができる。
【0100】
抗腫瘍アントラサイクリン誘導体としては、上記のダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシンが挙げられる。ダウノサシンは、例えば塩酸塩としてBedford Laboratoriesから商品名Cerubidineで市販されており、例えば、米国特許第4020270号明細書に記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。
【0101】
ドキソルビシンは、例えば塩酸塩としてアストラから市販されており、例えば米国特許第3803124号明細書に記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。イダルビシンは、例えば塩酸塩として、ファルマシア&アップジョンから商品名Idamycinで市販されており、例えば米国特許第4046878号明細書に記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。他の抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は、従来の方法、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシンについて上記された方法に類似する方法によって調製することができる。
【0102】
トラスツズマブは、ジェネンテックから商品名Herceptinで市販されており、米国特許第5821337号明細書又はPCT特許明細書の国際公開第94/04679号パンフレット及び国際公開第92/22653号パンフレットに記載のように得ることができる。
【0103】
抗腫瘍抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体としては、エトポシド及びテニポシドが挙げられる。エトポシドは、例えばブリストル・マイヤーズスクイブから商品名VePesidで市販されており、例えば欧州特許第111058号明細書に記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。テニポシドは、例えばブリストル・マイヤーズスクイブから商品名Vumonで市販されており、例えばPCT特許明細書の国際公開第93/02094号パンフレットに記載のように、又はそれに類似の方法によって調製することができる。他の抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は、従来の方法、例えばエトポシド及びテニポシドについて上記された方法と類似の方法によって調製することができる。
【0104】
したがって、抗がん剤は、例えば以下から選ぶことができる。
1.多官能アルキル化剤:
ニトロソウレア、マスタード(ナイトロジェンマスタード)、メタンスルホン酸塩(ブスルファン)、エチレンイミン
2.他のアルキル化剤:
プロカルバジン(Matulane)、ダカルバジン(DTIC)、アルトレタミン(Hexalen)、シスプラチン(Platinol)
3.代謝拮抗剤
抗葉酸化合物(メトトレキサート)、アミノ酸拮抗薬(アザセリン)
4.プリン拮抗薬
メルカプトプリン(6-MP)、チオグアニン(6-TG)、リン酸フルダラビン、クラドリビン(Leustatin)、ペントスタチン(Nipent)
5.ピリミジン拮抗薬
フルオロウラシル(5-FU)、シタラビン(ARA-C)、アザシチジン
6.植物アルカロイド
ビンブラスチン(Velban)、ビンクリスチン(Oncovin)、エトポシド(VP-16、VePesid)、テニポシド(Vumon)、トポテカン(Hycamtin)、イリノテカン(Camptosar)、パクリタキセル(Taxol)、ドセタキセル(Taxotere
7.抗生物質
アントラサイクリン、ドキソルビシン(アドリアマイシン、Rubex、Doxil)、ダウノルビシン(DaunoXome)、ダクチノマイシン(Cosmegen)、イダルビンシン(Idamycin)、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシン(Mutamycin)、ブレオマイシン(Blenoxane)
8.モノクローナル抗体
9.ホルモン剤
タモキシフェンNolvadex)、フルタミド(Eulexin)、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(ロイプロリド及びゴセレリン(ゾラデックス))、アロマターゼ阻害剤、アミノグルテチミド、アナストロゾール(Arimidex
10.他の抗がん剤
アムサクリン、ヒドロキシウレア(Hydrea)、アスパラギナーゼ(Elspar)、ミトキサントロン(Novantrone)、ミトタン、レチノイン酸誘導体、骨髄増殖因子、アミフォスチン
【0105】
両親媒性分子及び疎水性分子は、抗原、アジュバント、標的分子、医薬化合物、及び栄養物から選択でき、本発明によるnanoQuil F70ナノ粒子に組み込まれてもよく、又は組成物中でそのナノ粒子と混合されてもよい。本発明による組成物はまた、別個のナノ粒子に組み込まれた異なる両親媒性分子及び疎水性分子を含んでもよい。
【0106】
本発明のNanoQuil F70ナノ粒子を含む医薬組成物は、上記のように、例えば開発中のワクチン若しくは認可されたワクチンで既に実際に使われているワクチンと組み合わせて使用するための、場合、季節性インフルエンザワクチンと組み合わせて使用するための、パンデミックインフルエンザワクチンと組み合わせて使用するための、又は緊急時ワクチン、例えば生物兵器に対するワクチンなどと組み合わせて使用するための、又は薬物送達システムの成分として使用するためのワクチンアジュバントとして使用することができる。したがって、本発明のNanoQuil F70ナノ粒子は、ヒトへの使用のためと獣医学的使用のため両方のワクチンのアジュバントとして有用である。
【0107】
したがって、本発明はまた、本発明によるNanoQuil F70粒子を、特に上記のアジュバントとして含む薬学的ワクチン製剤、例えばヒト又は獣医学ワクチンなどに関わる。
【0108】
好ましい実施形態では、QS-21サポニンを含むNanoQuil F70粒子は、ヒトワクチンのアジュバントとして使用するのに特に適している。別の実施形態では、QuilAサポニンを含むNanoQuil F70粒子は、獣医学ワクチンのアジュバントとして使用するのに特に適している。
【0109】
別の実施形態では、医薬組成物は、1つ又は複数のステビオールグリコシドなどのジテルペンをさらに含む。
【0110】
本発明はまた、生物によって引き起こされる又は悪化する疾患を治療又は予防する方法であって、本発明による医薬ワクチン製剤を、対象に、それを必要とする人に投与することを含む方法に関する。
【0111】
さらに、本発明は、薬学的に有効な量の本発明によるナノ粒子又は組成物を、それを必要とする患者に投与することを含むがんの治療方法に関する。1つの実施形態によれば、前記がんは、白血病、リンパ腫、骨髄腫、乳がん、前立腺がん、腎がん、膵臓がん、卵巣がん、卵巣がん、頸がん、肺がん、肝がん、腎臓がん、口腔がん、血液がんである。がんは以下に位置している可能性がある。副腎(副腎がん、副腎の腺癌、副腎皮質癌腫;肛門、肛門がん(肛門扁平上皮癌腫);膀胱がん(膀胱扁平上皮癌腫)、膀胱がん(膀胱の移行上皮癌腫);血液、播種性血管内凝固症候群、低ナトリウム血症、好中球減少性敗血症、腫瘍崩壊症候群;骨、内軟骨腫(軟骨腫、オリエ病)、ユーイング肉腫、骨肉腫、(骨原性肉腫)、骨転移、骨がん(軟骨の軟骨肉腫);骨髄、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、前骨髄球性白血病(PML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML);脳、脳腫瘍(脳の多形性膠芽腫)、脳腫瘍(脳の神経膠腫)、脳のリンパ腫、髄芽腫/原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)(髄芽腫/原始神経外胚葉性腫瘍(PNET))、脳の髄膜腫、神経芽腫、能の原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、脳への転移、聴神経腫瘍、脳腫瘍(脳星細胞腫);乳房、乳がん(乳房の癌腫)、乳がん(乳房の炎症性癌腫)、男性乳がん(男性乳癌腫)、乳がん(浸潤性乳癌腫)(浸潤性乳癌腫(乳がん))、乳がん(前浸潤性小葉状癌腫;非浸潤性小葉癌腫;LCIS)(前浸潤性小葉状癌腫(非浸潤性小葉癌腫;LCIS;乳がん))、乳がん(前浸潤性乳管癌;非浸潤性小葉癌;DCIS)(前浸潤性乳管癌(非浸潤性小葉癌;DCIS;乳がん));盲腸、腸がん(盲腸の腺癌);子宮頸部、子宮頸がん(子宮頸部の扁平上皮癌腫);結腸直腸、結腸がん(結腸の腺癌)、直腸がん(直腸の腺癌)、頭頸部、扁桃がん(扁桃のリンパ腫)、喉頭のがん(喉頭がん、喉頭の扁平上皮癌腫)、咽頭がん(咽頭の扁平上皮癌腫)、舌がん(舌の扁平上皮癌腫)、咽喉がん(扁桃の扁平上皮癌腫)、口腔がん(口底の扁平上皮癌腫);腎臓、腎がん(腎細胞癌腫;RCC);肝臓、肝がん(肝細胞癌腫)、肝臓への転移;肺、肺がん(肺の大細胞癌腫)、胸水、肺がん(肺の腺癌)、小細胞肺がん(肺の癌腫)、非小細胞肺がん(NSCLC)、胸膜の悪性中皮腫、肺がん(肺の扁平上皮癌腫);リンパ系;ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫;非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、脳リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL);筋肉、胆管のがん(胆管癌腫胆道がん)、筋肉の平滑筋肉腫、筋肉の横紋筋肉腫、軟部肉腫;食道、食道がん(食道の扁平上皮癌腫)、食道がん(食道の腺癌);卵巣、卵巣がん(卵巣の腺癌);膵臓、膵がん(膵臓の腺癌)、膵神経内分泌腫瘍(PNET);陰茎、陰茎のがん(陰茎の扁平上皮癌腫)、ペロニー病;下垂体、下垂体がん(下垂体の癌腫)、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(サイアド)(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(サイアド));前立腺、前立腺がん(前立腺の神経内分泌癌腫)、前立腺がん(前立腺の腺癌);皮、皮膚がん(皮膚の基底細胞癌腫)、皮膚がん(皮膚の扁平上皮癌腫)、メルケル細胞癌腫(MCC)、皮膚がん(悪性皮膚黒色腫)、ほくろ(良性色素性病変、良性メラノサイト系病変、メラノサイト性母斑、母斑細胞性母斑);小腸、小腸がん(小腸のリンパ腫)、小腸がん(小腸の腺癌);脊髄、脊髄神経膠腫、脊髄の髄膜腫、脊髄への転移、脊髄星細胞腫(腫瘍)、脊髄がん(脊髄のリンパ腫);胃、ゾリンジャー・エリソン症候群(ガストリノーマ)、胃のリンパ腫(胃リンパ腫)、胃がん(胃の腺癌);精巣、精巣がん(精巣のセミノーマ)、精巣がん(精巣の奇形腫);甲状腺、甲状腺がん(甲状腺の濾胞細胞)、甲状腺の髄質細胞、甲状腺の乳頭細胞、甲状腺がん(甲状腺の未分化);子宮、妊娠性絨毛性疾患(奇胎妊娠)(奇胎妊娠(妊娠性絨毛性疾患、GTD))、子宮がん(子宮内膜の腺癌);外陰部、外陰がん(外陰部の扁平上皮癌腫);他のがん、原発不明の腫瘍(TUP)、慢性疼痛症候群、カルチノイド腫瘍及びカルチノイド症候群、神経内分泌腫瘍;他のがん疾患、慢性疾患の貧血、がん疼痛、脊椎手術後痛症候群(FBSS)、HIVエイズ(ヒト免疫不全ウイルス及び後天性免疫不全症候群)、腎疾患-慢性腎不全、栄養失調、聴器毒性、点状出血性皮膚紫斑病、前立腺上皮内新生物(PIN)。
【0112】
nanoQuil F70ナノ粒子のがん細胞に対する効果の例は、下記の実施例の項に示されている。
【0113】
医薬組成物は、滅菌された注射可能な水性又は油性懸濁液の形態でありうる。この懸濁液は、上記の好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて、既知の技術に従って製剤化することができる。また、滅菌注射可能調製物は、非毒性非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射可能溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用できる許容可能なビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油が従来から溶媒又は懸濁媒体として使用されている。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の無刺激の固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射剤の調製に使用されている。
【0114】
溶液又は懸濁液はまた、次のアジュバントのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。注射用水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール又は他の合成溶媒などの滅菌希釈剤、ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩などの緩衝剤、塩化ナトリウム又はデキストロースなどの張性調整剤。非経口調製物は、アンプル、使い捨て注射器又はガラス若しくはプラスチック製の複数回投与量容器(multiple dosage vessels)に封入することができる。
【0115】
一般に、本発明のNanoQuil F70粒子は薬学的に有効な量で投与される。実際に投与される粒子の量は、典型的には、治療される状態、選択された投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、及び応答、患者の症状の重症度などを含む関連する状況に照らして、医師によって決定されることになる。
【0116】
本発明によるナノ粒子は、任意の微生物に対する任意のワクチンにおけるアジュバントとして使用することができる。鳥、ヒトなどの哺乳動物、ネコや、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマなどの家畜に使用することができる。1つの実施形態によれば、本発明は、動物のレンサ球菌に対するワクチン及びウマのインフルエンザに対するワクチンのアジュバントとして使用される。
【0117】
nanoQuil F70ナノ粒子のワクチンアジュバントとしての効果の例は、下記の実施例の項に示されている。
【0118】
ヒトへの使用と獣医学的使用のための投与量はともに、含まれる他の化合物に応じて変えることができる。治療の期間を考慮して、投与量は1日<50μgから1mg以上までの範囲とすることができる。
【実施例
【0119】
実施例1 - 反応媒体としてPBS又は酢酸緩衝液を用いた未加工NanoQuil F70ナノ粒子の製造
材料
・植物コレステロール ロットSCOL129-2 材料コード:C1231、シグマアルドリッチ
・Quil A原液100mg/mL、Brenntag Biosector株式会社(A/S)
・PBS緩衝液 pH7.4、又は酢酸2~10mM緩衝液 pH4.6
・蒸留水
・生理食塩水(蒸留水中0.85%NaCl)
・アセトン、欧州薬局方 ≧99.5%
・50mL容セルスターチューブ
・エアーポンプ Eheim200、型3702010
・サーモシェーカー及びスマートコントロール付きブロックサーモスタット オランダヘティヒラボテクノロジー(Hettich Lab Technology)製MKR13
・Sorvall ST16R遠心機、サーモサイエンティフィック
・クリーンベンチ、ホルトン サーモフィッシャーサイエンティフィック
・減圧濾過、1000mL、SFCA、0.22μM 滅菌済み、VWR 欧州商品コード514-1058
・ピペット及びチップ(滅菌済み)
【0120】
手順
1.植物由来コレステロールを、3.125mg/チューブ×5チューブ=15.625mg秤量する。
2.そのコレステロールに5mLのアセトンを加え、ボルテックスでよく溶かす。
3.そのコレステロール溶液を1mL/チューブで分注する。
4.コレステロールを試験管のV底に均一に堆積させるために、チューブを回転させながらチューブ内に空気をポンプ注入してアセトンを蒸発させる。
5.70℃の温かい水性反応媒体(50mL/):蒸留水、食塩水(0.85%NaCl)、酢酸緩衝液(pH4.6)又はPBS緩衝液(pH7.4)を加える。
6.100mg/mLのQuil A原液を500μL/チューブに加え、1mg/mLのQuil A溶液を得る。
7..MKR13(材料の項を参照)上で70℃にて60分間インキュベートする。
8.4℃に直ちに冷やす。
9.4℃で一晩保存する。
10.4696×Gで45分間遠心分離する。
11.プールした上清を0.22μMのフィルターを通して濾過する。
【0121】
実施例2 - 再現性試験
上記実施例1で概説した手順の再現性を評価するために、NanoQuil F70ナノ粒子を、2018年7月18日、19日及び20日の連続3日間に3回製造した。これらの3つのバッチ(試験-1、-2及び-3)のNanoQuil F70を、バッチ(250mL)毎に5~50mLのファルコンチューブ中で製剤化し、NanoQuil F70の名称が示唆するように70℃で1時間インキュベートした(70℃での製剤化)。非限定的な例として、製剤化プロトコールは次のように単純化することができる。
・植物コレステロールを15.625mg秤量する。
・そのコレステロールに5mLのアセトンを加え、よく溶かす。
・5~50mLのファルコンチューブにそのコレステロール溶液を1mL/チューブで分注する。
・コレステロールを各チューブのV底に均一に堆積させるために、チューブを回転させながらチューブ内に空気をポンプ注入してアセトンを蒸発させる。
・70℃のPBSを50mL/チューブ加える。
・500μL/チューブの100mg/mLのQuil A原液を加えて、1mg/mLのQuil A溶液を得る。
・70℃で60分間インキュベートする。
・4℃に直ちに冷やす。
・4℃で一晩保存する。
・4696×gで45分間遠心する。
・プールした上清を0.22μMフィルターに通して濾過する。
・4℃で保存する。
【0122】
結果と考察
1. 生成物のQuil A回収
製造したNanoQuil F70ナノ粒子のQuil A含有量を、オルシノール試験(ビアル試験としても知られる)を用いて測定した。結果を図12にグラフで示す。3つの試験バッチでは、Quil Aの回収率はそれぞれ91.5%、93.8%及び98.3%と高く、すなわちすべて90%超であった。
【0123】
2. 粒径
動的光散乱(DLS)分析で測定した3つの製剤の平均粒径は、それぞれ46.32±1.48nm、40.07±0.98nm及び42.20±0.74nmであった。図5を参照。図13にDLS測定のグラフによる概要を示す。
【0124】
3. 溶血作用の減少
3つのバッチの溶血減少率はかなり類似しており、試験-1で31%、試験-2で29%、試験-3で31%である(図14の棒グラフを参照)。これは、Quil AをF70に製剤化することによる副作用の同程度の減少レベル、すなわち副作用減少における高い程度の再現性が達成されたと見ることができる。しかし、試験バッチはすべて、ワクチンアジュバントとしては許容できないほど高い程度に溶血を誘発することが見られた。
【0125】
4. 他の反応媒体で製造したNanoQuil F70ナノ粒子
4つの異なる溶媒:蒸留水(D.W.)、生理食塩水(D.W.中0.85%NaCl)、酢酸緩衝液(pH4.6)及びPBS(pH7.4)を用いて、NanoQuil F70プロトコールに従ってNanoQuil F70ナノ粒子を製造した。粒径(流体力学的直径)の違いが、これらの製剤においてDLSによって観察された。PBSで製剤化したNanoQuil F70が最も大きいサイズ(約42nm)を示し、生理食塩水で製剤化したNanoQuil F70(約35nm)が続いた。酢酸緩衝液(pH4.6)及び蒸留水で製剤化したNanoQuil F70粒子は、それぞれ約25及び24nmの粒径を示す(図15の棒グラフを参照)。
【0126】
実施例3 - Sephacryl S300-HRクロマトグラフィーを用いた未加工NanoQuil F70粒子のサイズ分離
細胞溶解を増加させやすい遊離(取り込まれていない)サポニンをNanoQuil F70粒子から除去するために、粗製NanoQuil F70生成物をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で精製する。
【0127】
13mLの量のSephacryl S300-HR(GEヘルスケアライフサイエンス)をPD-10カートリッジに入れ、PBS緩衝液また酢酸緩衝液で平衡化した。上記の実施例1に従って製造した1mLの量の未加工NanoQuil F70粒子をカラムの上部に充填し、Sephacryl材料を通して重力により透過させた。1mLの画分を集めて、RP‐HPLCを用いてサポニンとコレステロール含量を分析し、かつ溶血活性を試験した。
【0128】
nanoQuil F70のSEC画分のRP-HPLC
HPLCをS300-HR画分中のサポニン及びコレステロールを検出及び定量する手段として用いた。全サポニンとコレステロール含量は、HPLC荷電化粒子検出器(CAD)からのシグナルの積分として表され、S300-HR溶出体積の関数としてプロットした。ナイルレッド蛍光検出法(下記参照)と同様に、S300-HRクロマトグラムでは、サポニンが6~7mLと9~10mLを中心とする2つのピークが示され、コレステロールは、NanoQuil粒子で予想されるように、主として6~7mLのピークと関連している。
【0129】
方法:
NanoQuil F70のSEC分画からの各S300HR画分100μLをKromasil C4カラムでショートクロマトグラムを用いて分析した。図16の棒グラフは、サポニンのピーク及びコレステロールのピークの合計に相当するS300HR画分の積分されたCADシグナルを示す。
【0130】
ナイルレッド蛍光分析
S300-HRによるSEC画分(45μLの画分+5μLの蛍光読み取り用10μMナイルレッド)の蛍光色素ナイルレッドによる分析は、サポニンの分布を示す。図17の棒グラフを参照。ナイルレッド(NR)の蛍光は、水などの極性分子によってクエンチされ、したがって水性環境では弱い蛍光しか示さない。しかし、ナイルレッドが、サポニンのトリテルペノイドコアなどの無極性分子と相互作用するか、又はミセル構造に取り込まれると、その蛍光は桁違いに増強される。ナイルレッドをトレーサーとして用いて、S300-HR画分中の遊離QuilAサポニン又はNanoQuil粒子の存在をモニターした。
【0131】
S300-HRクロマトグラムは、NanoQuil粒子に対応する(TEMで確認した)画分6mL及び、QuilAミセルに対応する画分9mLを中心とする2つのピークを示す。
【0132】
画分6mL及び7mL(図示せず)のNR蛍光スペクトルは、最大蛍光波長を570nmでnanoQuilに対して典型的なブルーシフト(コレステロールとの相互作用を示す)を示したが、画分9mL及び10mLは、最大蛍光波長を620nmでQuilAミセルに対して典型的なスペクトルを示した。
【0133】
NanoQuil F70のSEC画分の溶血アッセイ
NanoQuil F70のSEC分画からの各画分の120μLの量を、抗凝血剤で処理し、480μLの希釈した新鮮なヒツジ血液に加える。NanoQuil F70のSEC画分の希釈係数は5倍であり、一方でヒツジ血液は2mM EDTAを含むPBS緩衝液中で12.5倍に希釈される。37℃で45分間インキュベートした後、細胞を遠心分離で沈降させ、上清中に放出されたヘモグロビン量を415nm及び540nmにおける吸光度によって測定する。溶血活性は、540nmでの吸光度値の関数として、0.4mg/mL~1.0mg/mLのQuilAサポニンを用いた較正範囲に対して表される。結果を図18に示す。
【0134】
最も溶血性の高いS300-HR画分、すなわち9mL及び10mLは、遊離QuilAを含有する画分である。nanoQuil F70を含有する画分6mL及び7mLは、アッセイの条件において溶血作用を示さない。
【0135】
これは、「QuilA相当量」で表すこともできる。図19の棒グラフを参照されたい。
【0136】
一方で、未加工のnanoQuil F70生成物は、確かに1mg/mL相当QuilA以上で溶血作用を示す。結果を図20に示す。
【0137】
結果
NanoQuil F70ナノ粒子の定量分析に用いられる典型的なRP-HPLCクロマトグラムを図6に示す。1mg/mLの固定量のQuilAサポニンに対して、0.1mg/mLから0.8mg/mLまでのコレステロールをスパイクすると、この濃度範囲にわたって線形応答が得られ、未知の画分(NanoQuil F70のSEC画分)におけるコレステロール含量の較正及び推定に使用することができた。
【0138】
13mL容のSephacryl S300-HRカートリッジから6mLで溶出し、精製NanoQuil F70を含有する画分をHPLCで分析した。20mLと32mLの間のシグナルの積分(図6の水平の灰色のバーで示される)を用いて、画分中のサポニンを定量した。39mLでのシグナルの積分を用いてコレステロールを定量した。
【0139】
NanoQuil F70のSEC分画及びRP-HPLCによる定量分析の後、図7は、NanoQuil F70粒子が最初に画分5mL~8mLに溶出され、QuilAサポニンとコレステロールの両方が検出され、一方で、コレステロールを含まない残存QuilAサポニンが後の画分9mL~12mLに溶出されることを明確に示している。この結果は、SEC分画が想定されている機能の仕方と一致しており、粒子が大きいほど、Sephacrylビーズのポリマーメッシュにより少なく浸透し、したがって、より早くカラムから溶出する。Nanoquil F70粒子は20~50nm(反応媒体に依る)の流体力学的直径を有し、一方で、QuilAサポニンミセルは約5nmの直径を有する。NanoQuil粒子及びQuilAサポニンミセルの分離も、Sephacryl S300-HRの分画範囲と一致した。SECカラムにQuilAサポニンのみを載せた対照実験は、同じ条件下でQuilAサポニンが画分8~11mLに溶出することを示した。これは、NanoQuil F70を注入したとき(図7)、画分5~8mLに見られるQuilAサポニンが実際にコレステロールと関連していることを裏付ける。画分5~8mLの材料のTEM写真は、NanoQuil F70粒子であることを確認した。SEC分画はまた、このバッチ中の遊離(検出可能なコレステロールを含まない)QuilAサポニンのミセルの量が、未加工NanoQuil F70生成物中のQuilAサポニンの総量の約50%に相当することを示す。最後に、未加工NanoQuil F70生成物中で測定したコレステロール/QuilAサポニンの初期比は3%であり、一方で、5mlから8mLまでを合わせたSEC画分では13%であることが分かった。
【0140】
4.2mg/mLのQuilAのNanoQuil F70の1mLの量をSephacryl S300-HRカラムに載せ、1mL画分をHPLC定量分析用に集めた。検出可能な量のQuilAを含有するSEC画分(4mL~13mL)を示す。参照としてNanoQuil F70及びQuilAを示す。
【0141】
各SEC画分の溶血活性を測定し、1mg/mLのQuilAサポニン参照、及び1mg/mLのQuilAのNanoQuil F70未加工生成物と比較した。さまざまな試料の溶血活性は、細胞外培地中に放出されるヘモグロビンの量に直接相関する540nmでの吸光度値として提示される。図8は、溶血活性がSEC画分9~11mLについてのみ観察され、その画分で遊離QuilAミセルが本質的に見られることを明確に示す。溶血活性は、画分5~8mLでは記録されず、その画分では精製NanoQuilが溶出された(参考には図7を参照されたい)。これにより、SEC画分中に溶出された材料が何であるかが確かめられる。図8の1mg/mLのQuilA参照によって例示されるように、遊離QuilAサポニンミセルは著しい溶血活性を有することが知られているからである。結果はまた、約12%のコレステロール/QuilA(重量/重量)を含有する画分6mL中の精製NanoQuil F70が有意な溶血活性を示さないことを示し(図8)、したがって、本開示によるプロトコールを用いて、コレステロールをQuilAサポニンミセルに直接取り込むことはNanoQuil F70をもたらし、さらにQuilAサポニンの溶血作用の強い阻害につながることを証明している。
【0142】
結論
Sephacryl S300-HRビーズを用いたサイズ排除クロマトグラフィーは、残存遊離QuilAサポニンミセルからNanoQuil F70粒子を成功裡に分離することがわかった。RP-HPLCによるSEC画分の定量分析及びUV吸光度検出は、コレステロール/QuilAサポニン比の決定を可能にし、各画分中の物質が何であるか(NanoQuil F70又は遊離QuilAサポニン)を確認した。遊離QuilAサポニンを含有する画分は、著しい溶血作用を示し、一方で、精製したNanoQuil F70を含有する画分は溶血作用を示さなかった。最後に、遊離残留サポニンミセルとして約50%のQuilAサポニンを含有する未加工のNanoQuil F70試料でさえも、同様の量で遊離QuilAと比較して、限られた溶血活性を呈することを示した。これは、QuilAサポニンの固有の細胞膜溶解活性を有意に下げるために、本発明のプロトコールを使用して、直接コレステロールとQuilAサポニンを製剤化することの妥当性を裏付ける。
【0143】
実施例4 - NanoQuil F70のアジュバント効果
本研究の目的は、Nanoquil F-70粒子のワクチンアジュバント効果を、国際公開第2013051994号パンフレット及び国際公開第2014163558号パンフレットに記載のG3粒子と比較することであった。
【0144】
試験概要
・抗原:抗原X、10ug/ワクチン接種
・アジュバント:G3-VAX(Adjuvaq-V100、#150609)又はNanoquil(#70、180326)、5ug/ワクチン接種
・動物:雌BALB/cマウス、8匹/群
・ワクチン接種:計3回皮下注、4週毎に1回
・試料:最終ワクチン接種から2週間語に採取した血清
・分析:ELISA(ヤギ抗マウスIgG/血清/ツイン(TWIN)抗原/ST-HRP/TM)
【0145】
結果を図11にグラフで示す。
【0146】
結論
・G3-VAXとNanoquilの間に有意差は見られなかった。
・しかし、Nanoquil F-70はG3よりもわずかにab応答が強力で、ばらつきが少ないようである。
【0147】
実施例5 - U937-1がん細胞に対するNanoQuil F70のアポトーシス効果
実験の目的
本実験の目的は、がん細胞株U937-1に対するNanoQuil F70のアポトーシス効果を調べることである。U937細胞はもともと男性患者の組織球性リンパ腫から単離されたモデル細胞株であり、ヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞株として特徴付けられる。
【0148】
機器設備
・滅菌クリーンベンチ、Biowizard Golden Line Ergosilence、Kojair
・ボルテックス、IKA MS3ベーシック
・インキュベーター、Forma Steri-Cycle CO2インキュベーター、サーモフィッシャーサイエンティフィック
・冷蔵庫
・遠心機、Allergra X-22R、ベックマン・コールター
・顕微鏡
・Burkerチャンバー
・分光光度計(Labsystems Multiskan RC、タイプ351)
【0149】
材料
・上記の方法で得たNanoQuil F70粒子
・U937-1細胞は、Prof. Kenneth Nilsson(Rudbeck研究室、ウプサラ大学、スウェーデンウプサラ)のご厚意により提供された。
・最終濃度10%のウシ胎児血清(シグマアルドリッチ)、PeSt(60μg/mlペニシリン;50μg/mlストレプトマイシン(カタログ番号992450、SVA、ウプサラ)及び2mM L-グルタミン(カタログ番号992005、SVA、ウプサラ)を含有するRPMI1640(製品コード:992605;バッチ16-8082;SVA、ウプサラ)
・細胞培養プレート、96ウェル 製品コード:83.3924.500、ロット:4025001、ザルスタット
・ウプサラ大学病院基材部門(substrate department)製リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH5.9~6.0
・AlamarBlue(登録商標)生細胞試薬 10×、調製済み溶液
・蒸留H2
・細胞培養フラスコ、Corning(登録商標)細胞培養フラスコ、表面積75cm2、カタログ番号:CLS430641-100EA、シグマアルドリッチ
・FINNTIP 300μl(VWR、613-2614)
・ピペットチップ 1000μl FINNTIP、カタログ番号:613-4485、VWR
・96ウェルV底プレート(ヌンク、デンマーク)
・トリパンブルー、カタログ番号:T8154、バッチ番号RNBD3142、シグマ
・100ml容試薬リザーバー、カタログ番号:89094-656、ロット:96817、VWR
【0150】
安全に関する注意事項
サポニンは、人によっては、眼や呼吸器系への刺激、皮膚接触による炎症を引き起こすことがある。
・サポニン等との皮膚接触を避けるため手袋を着用すること
・クロロホルムの吸入を避けるためフードで作業すること
【0151】
実験設定
PBS pH7.4で、1000μg/mlから0.32μg/mlまでの濃度のNanoQuil F70粒子の連続希釈(1:5希釈)を調製する。セル上の最終濃度は、セル上で100μg/ml~0.032μg/mlであることになる。ブランクセルの対照にはPBSを使用。
【0152】
方法
生存率試験
・培養培地中のU937-1細胞をファルコンチューブに注ぐ。
・細胞を200gで5~10分間スピンダウンする。
・細胞培養培地を注ぎ出す。
・予め温めておいた新しい培地に細胞を再懸濁する。
・細胞をカウントし、トリパンブルー染色で生存率を判定する(生存率は≧90%であるべきである)。
・細胞濃度を0.11×106個の細胞/mLに調整する。
・96ウェルマイクロタイタープレートに、細胞を~20 000個の細胞/ウェル(180μl)の細胞密度で播種する。
・NanoQuil F70製剤(20μl)をウェルに加える(対照未処理細胞にはPBSを使用)。
・培養時間中、プレートを37℃、5%CO2を含有する加湿雰囲気におく。
・66時間後に、20μlのAlamar blueを加え、1時間毎に6時間(計72時間)、570nmと620nmで蛍光(又は吸光度)シグナルを分光光度法で測定する。
【0153】
結果
ナノ粒子に製剤化されたキラヤサポニンのQS-21画分は、国際公開第2013051994号パンフレット及び国際公開第2014163558号パンフレットに記載のように、いくつかのがん細胞株にアポトーシスを誘導することが以前に示されている。単核球細胞株U937-1に対して明細書で試験したNanoQuil F70粒子のアポトーシス効果をAlamar blueアッセイで測定したところ、3日間のインキュベーション後、0.15~0.25mg/mlのEC50を示した。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図19
図20