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  • 特許-一体化された電力ユニットIPU 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】一体化された電力ユニットIPU
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
A61B17/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021535979
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2019086567
(87)【国際公開番号】W WO2020127901
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】102018133504.0
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローランド-アロイス ヒューゲル
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ マッテス
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0043146(US,A1)
【文献】特表2008-546503(JP,A)
【文献】国際公開第2017/189606(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0055591(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動操作式の外科手術用器具のための電源ユニットであって、
前記電源ユニットは、前記外科手術用器具から空間的に間隔を空けて配置された別個の構成部材として設計又は提供されており、
前記電源ユニットは、
-前記電源ユニットを前記外科手術用器具の操作者の身体の一部に、一時的に締結又は固定するために適合されている締結手段又はリテーナーと、
-少なくとも1つの電力ストレージユニットであって、少なくとも1つのモータシステムの電源用に設計されており、かつ、前記電源ユニットの受容ハウジング内に収容されている前記少なくとも1つの電力ストレージユニットと、
-前記受容ハウジング内の制御及び監視装置であって、以下の機能、即ち、
・前記少なくとも1つの電力ストレージユニットの充電状態を監視及び/又は表示することと、
・前記制御及び監視装置に接続されている前記外科手術用器具への電源のオン/オフを切り替えることと、
・前記外科手術用器具に挿入されているアプリケーション部品を動作させるための外部器具作動ユニットから前記外科手術用器具に関するデータを受信すること、及び/又は、前記外部器具作動ユニットに前記データを送信することと、
・前記制御及び監視装置に接続されている前記外科手術用器具に、前記外科手術用器具に関する動作パラメータ及び動作信号を出力すること、及び/又は、前記制御及び監視装置に接続されている前記外科手術用器具から、前記動作パラメータ及び前記動作信号を受信することと、
・前記データ及び/又は前記動作パラメータを格納することと、
のうちの少なくとも1つを実行及び/又は監視するように設計されている前記制御及び監視装置と、
-前記外科手術用器具のモータシステムを操作するため、及び/又は、前記データ及び/又は前記動作パラメータを送信するために、前記電源ユニットを前記外科手術用器具に電気的に結合するためのケーブル、及び/又は、前記ケーブルを接続するためのケーブル接続部と、
を備え、
前記電源ユニットにバッテリが装着されているか、又は、前記電源ユニットが蓄電池として装着されており、
前記バッテリ又は前記蓄電池が、前記受容ハウジングから取り外し可能であるために、前記電源ユニットの前記受容ハウジングを滅菌することができ、
前記外部器具作動ユニットが、手動式制御機構、及び/又は、無線足踏み式制御機構として設計されており、前記アプリケーション部品のそれぞれと無線通信を実行することを特徴とする、電源ユニット。
【請求項2】
前記電源ユニットが、前記電源ユニットを動作させるため、及び、情報を表示するために働くディスプレイを備えていることを特徴とする、請求項1に記載の電源ユニット。
【請求項3】
前記ディスプレイが、前記電力ストレージユニットの前記充電状態を示しており、電源のオン及びオフを切り替えるためのボタンを備えていることを特徴とする、請求項に記載の電源ユニット。
【請求項4】
前記電源ユニットの前記締結手段が、腕帯として設計されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の電源ユニット。
【請求項5】
前記受容ハウジングが、流体密封されているために、水はねに対して防護されるように設計されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の電源ユニット。
【請求項6】
前記電源ユニットと前記外科手術用器具との間の前記ケーブルが、前記外科手術用器具のハンドピース内の前記モータシステムを前記操作者の手首又は前腕の前記電源ユニットに接続するのにちょうど十分な長さで形成されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の電源ユニット。
【請求項7】
外科手術治療システムであって、
電動操作式の外科手術用器具であって、電力ストレージユニットによって動作されるように構成されている前記外科手術用器具のモータシステムが、ハンドピース内に収容されており、前記ハンドピースの近端又は近位端領域において、少なくとも前記モータシステムの電源のため、及び/又は、前記外科手術用器具に関するデータ及び/又は前記外科手術用器具に関する動作パラメータを送信するためのケーブル接続部が形成又は配置されている、前記外科手術用器具と、
請求項1からのいずれか一項に記載の電源ユニットと、
を備えている、外科手術治療システム。
【請求項8】
前記モータシステムが、直流で操作されるように構成されていることを特徴とする、請求項に記載の外科手術治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、好ましくは低侵襲タイプであり、電動操作式の外科手術用器具のため、又は、当該外科手術用器具の電源ユニットと、外科手術治療システムと、に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ外科手術のシステムは、マクロ外科手術と同様に、ワイヤレスでの操作が可能であるべきである。これにより、術野といった無菌エリアから非無菌エリアへの接続が解消される。現時点では、このような接続はケーブル/線によって行われている。ケーブル/線は、無菌エリアと非無菌エリアとの間に橋梁を形成し、最悪のケースにおいては、手術室を通って横方向に延び、病院職員が転倒するリスクを生じる。これは、搬送用台車、及び/又は、病床等にケーブルが踏みつけられることによって生じる欠陥等の相当なリスクをもたらす。同様に、このような線を使用すると、手術中に結合解除/接続解除を招く恐れがある。これらのケーブルの別の欠点は、それぞれのケーブルに必要な長さがあるという点である。
【0003】
現時点において、全ての既知のバッテリの解決策がマイクロ外科手術の要件を満たしている訳ではない。ドライブ一体型ハンドピースを形成するために、外科手術用器具に接続されているか、又は、外科手術用器具内に設置されているモータシステムを含む外科手術用器具と、当該ハンドピース内に一体化された付加的なバッテリと、の組み合わせでも、ハンドピースの所望の/必要とされる製造サイズ、及び、重量要件を満たさないためである。ハンドピース内に一体化された電力ストレージユニットでは、エルゴノミクス及び良好な操縦性を、適切に達成することができない。電源ユニット、必要なモータ電子機器、操作要素、及び、特定のモータ、及び/又は、操作パラメータを表示するためのディスプレイが、ハンドピースに恒久的に接続、又は、一体化されると、必然的に、あまりにも重く、大きく、扱いにくいものとなってしまう。このため、既に市販されている製品/システムの主な欠点とは、難しいマイクロ外科手術の作業を通常通り実施することができないという点である。
【0004】
(先行技術)
先行技術においては、WO 2016/161322 A1より、単一セル電源ハウジングを備えるモータ駆動式の外科手術用器具(又はシステム)のための単一セル電源ユニットが既に知られている。単一セル電源ハウジングの中央には、高温バッテリセルが機械的に保持され、配置されている。複数のコネクタピンを有している電気コネクタが、モータを有するツール部品の嵌合電気コネクタに結合されるように構成されている。
【0005】
しかしながら、この先行技術の根本的な欠点とは、モータ駆動式の外科手術用器具(又はシステム)のための(一体的に形成された)単一セル電源ユニットを使用すると、モータ操作式の外科手術用器具(又はシステム)の製造サイズが容認できないものとなり、性能及び信頼性が不十分である、という点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、電動駆動式の外科手術用器具のため、又は、当該外科手術用器具の電源ユニットと、外科手術治療システムと、を提供する目的に基づいている。本発明は、先行技術の欠点を回避、又は、少なくとも改善する。
【0007】
本発明の核心は、電動駆動式の外科手術用器具の電源(ユニット)、又は、当該外科手術用器具のための電源(ユニット)であって、当該外科手術用器具とは別個にかつ当該外科手術用器具から空間的に間隔を空けて配置されているが、無菌エリア内に位置しており、好ましくは、当該外科手術用器具にできる限り接近している電源(ユニット)を提供することである。
換言すると、本発明は、原則的には、最新技術にしたがって、外科手術用器具のハンドピース内/ハンドピース上に配置/設置されている外科手術用器具の電気モータ/モータシステムであって、それの制御装置と、電源と、適用可能である場合には、(視覚)表示用、例えば、モータ特性及び/又は操作パラメータ用のディスプレイと、を構成部材内/上に一体化/配置している外科手術用器具の電気モータ/モータシステムを提供しており、構成部材は、外科手術用器具/外科用手術器具のハンドルとは別個であり、外科手術用器具/外科用手術器具のハンドルから空間的に間隔を空けて配置されており、好ましくは、器具操作者(器具を自身の手に保持している外科医)の身体の上において可動の様式で、好ましくは、器具の操作中に、その制御機構を手動式に発動することが可能であるような方式で、及び/又は、器具操作者によってディスプレイを視覚的に読み取ることが可能であるような方式で携行されるように設計されている。
【0008】
この場合、外科手術用器具の製造サイズだけではなく、(質量)重量をもローレベルに保つことが可能になり、マイクロ外科手術において外科手術用器具が特に有用になり、それと同時に、少なくとも1つのケーブル、特に、例えば外部電源に接続されなければならない電源ケーブル等によって無菌バリアが破られることがない。
【0009】
この発明の目的は、具体的には、(スタンドアロン式/電力網非依存型)電源ユニットが、外科手術用器具とは別個であって、外科手術用器具から空間的に間隔を空けて配置されており、かつ、-器具操作者の身体の一部に電源ユニットを一時的に締結又は保定するために適合されている-締結手段又はリテーナを有して設計又は提供されているバッテリ受容ハウジングを有して提供されている点において解決されている。さらに、電源ユニットには、少なくとも1つの電力ストレージユニットが装着されている。少なくとも1つの電力ストレージユニットは、少なくとも1つの電力ストレージユニットに接続されているか、又は、接続可能である外科手術用器具の少なくとも1つのモータシステム、特に電気モータの電源用に設計されている。また、電源ユニットは、好ましくは、(少なくとも部分的に)バッテリ受容ハウジングの外側に設けられている、又は、バッテリ受容ハウジングの外側において作動手段を有する(内部/自己)制御及び監視装置を有している。制御及び監視装置は、以下の機能、即ち、
-制御及び監視ユニットが、電力ストレージユニットの充電状態を監視/表示することが可能であること、及び/又は、
-そこに外科手術用器具が接続されている電源をオン/オフに切り替えること、及び/又は、
-電源ユニットから付加的な外部器具作動ユニット、好ましくは、無線足踏み式制御機構又は手動制御機構に、データを受信及び/又は送信すること、及び/又は、
-そこに接続されている外科手術用器具に/から、好ましくは、そのモータシステムに関して、操作パラメータ及び操作信号を出力及び/又は受信すること、及び/又は、
-データ及び/又は操作パラメータを保存すること、
のうちの少なくとも1個の機能を実施、及び/又は、監視するように設計されている。
【0010】
さらに、電源ユニットは、電気モータを操作するため、及び/又は、データ及び/又は操作パラメータを送信するために、好ましくは、電源ユニットを外科手術用器具と電気的に結合するための(単一の)ケーブル/ワイヤハーネス、及び/又は、ケーブル/ワイヤハーネスを接続するためのケーブル接続部を有するように設計/提供されている。
【0011】
換言すると、モータシステムの全供給、及び、電源ユニットとモータ操作式の外科手術用器具との間の通信が、厳密に1個のケーブル/ワイヤハーネスを介して行われている。このため、本目的の発明に従った解決策は、ケーブルが非無菌エリアから無菌エリアへの橋梁を形成しないことを実現している。さらに、(電源及び制御ユニットの可動性を確保しつつ)外科手術用器具のハンドルから電源及び制御を外部調達することによって、一体化されたモータシステムを有する外科手術用器具は、先行技術において既に知られているものよりも小さく、かつ、管理し易いものにすることができ、好ましくは、電源ユニットの荷重容量を増大させることができる。外科手術用器具及び電源ユニットの両方が無菌エリアに位置しているため、別途準備が不要となり、全セットアップを、無菌エリア内、特に、患者の上にも、配置することが可能である。
【0012】
電源ユニットが、バッテリ又は蓄電池を有して設計されていることが好ましい。より好ましいのは、再充電可能であるために、バッテリよりも低コスト及び高環境調和性の両方を有する蓄電池の使用である。蓄電池又はバッテリの更なる利点とは、(制御及び監視装置のように)蓄電池又はバッテリを、電源ユニットから、又は、その受容ハウジングから取り外し可能であるように設計することができ、例えば、ストレージユニット及び制御システムへの損傷のリスクなしで、電源ユニットのハウジングを滅菌することができる、という点であり得る。このような一実施形態により、電力ストレージユニットは、患者の不在時、即ち、オフライン操作モード時に、交換又は再充電を行うことも可能となる。
【0013】
より具体的には、電力ストレージを有しているスタンドアロン式電源ユニットを提供することが意図されている。電源ユニットは、好ましくは、操作者、特に外科医の手首又は前腕に取り付けられるバッテリ受容ハウジングを有しており、そのために、比較的に短いケーブルで外科手術用器具に接続されている。
【0014】
外部器具作動ユニットが、手動制御機構、及び/又は、器具のハンドピース内にそれぞれ挿入されているアプリケーション部品を操作するために、電源ユニット、又は、電源ユニットに組み込まれた制御及び監視装置と、好ましくはワイヤレスに通信する無線足踏み式制御機構として設計されていると、さらに好ましい。アプリケーション部品は、モータシステムがその中に一体化されている外科手術用器具のハンドルに挿入されているツールを意味するものと理解される。換言すると、アプリケーション部品/ハンドピース(挿入されるツール)は、手動制御機構、又は、代替的に、足踏み式制御機構のいずれかによって、(制御及び監視装置を介して)操作されることが可能である。理想的には、これまでに知られているケーブルにより操作されるシステムか、又は、本線電力に接続されたシステムの技術的な利点の全てを利用することができる。このような技術的な利点とは、例えば、(自動)アプリケーション部品/ツール認識、データ取得システム、及び/又は、使用されるツールへの総操作時間の割り当てである。
【0015】
電源ユニットが、電源ユニットを操作するために、及び/又は、情報を表示するために働くディスプレイを有していると、さらに好ましい。電源ユニットが、好ましくは、操作者の手首又は前腕に締結/固定されるように適合されているため、電源ユニットの上側(前腕から外方を向く側)におけるバッテリ受容ハウジングにディスプレイを形成/配置することは有利である。ディスプレイを、特に、外科手術用器具の操作者の手首又は前腕上に固定することにより、操作者にとっては、器具を(同じ)手で保持しているときに、好ましくは「コントロールウォッチ」に従い、ディスプレイを見えるところに保つことが容易になる。さらに、このようなコントロールウォッチの操作は、コントロールウォッチが、操作者自身のすぐ近傍において、かつ、無菌エリア内に配置されることにより、操作者にとって容易になり、それにより、別個の/付加的な制御装置といった、付加的な別個の(可能性として非無菌の)構成部材が不要となる。このことにより、手術室内の空間を節約することができ、躓きの危険及び負傷のリスクを減らすために、手術室を横断して延びるケーブルの全てを無くすことができる、という利点が生じる。
【0016】
さらに、ディスプレイが、電力ストレージの充電状態を示しており、電源をオン、オフに切り替えるためのボタンを有していると好ましい。これにより、操作者は、電源ユニットの制御及び監視ユニットを操作することに加えて監視を容易にすることができる。
【0017】
電源ユニットの締結手段が、好ましくはベルクロ(登録商標)ファスナを有している腕帯として設計されていると、さらに好ましい。電源ユニットの締結手段の設計が、ユーザ/操作者、即ち、当該ユーザ/操作者の手首又は前腕に、迅速にかつ容易に取り付けることが可能であり、ユーザ/操作者により迅速にかつ容易に再度取り外すことも可能であるような方式で行われていると、有利である。
【0018】
バッテリ受容ハウジングが、流体密封であるように、好ましくは、水はねに対して防護されるように、設計されていると、さらに好ましい。これにより、電源ユニット内に一体化された電力ストレージユニット、及び、既存の制御構成部材について、より長い耐用寿命が保証される。さらに、電源ユニットの個々の構成部材をより容易に交換することができ、その結果、コスト及び廃棄材料が減少する。
【0019】
さらに、電源ユニットと外科手術用器具との間のケーブルが、外科手術用器具のハンドル又はハンドピース内のモータシステムを、当該器具を保持している外科医の手首/前腕において電源ユニットに接続するのにちょうどいい長さであれば好ましい。この短いケーブルにより、EMC及び/又は信号送信の分野の技術的な問題/干渉といった、技術的な問題/干渉を減らすことができる。
【0020】
電源ユニットと、モータシステム、及び、アプリケーション部品(ツール)又は外科手術用器具と、の両方を無菌エリア内に置くことができれば、好ましい。このことは、例えば、全システムを患者の上にも配置することが可能であることを意味する。
【0021】
さらに、本発明は、外科手術治療システムであって、
-電気モータにより操作される外科手術用器具であって、外科手術用器具の(一体化された)モータシステム、特に、(直流)電力ストレージユニットを介した操作用に設計されている電気モータが、外科手術用器具のハンドピース/ハンドル内に収容されており、ハンドピース/ハンドルの近端又は近位端領域において、少なくともモータシステムの電源のための、及び/又は、データ及び/又は動作パラメータを送信するためのケーブル接続部又はケーブルが、形成又は配置されている、外科手術用器具と、
-先行する態様の1つに記載の特徴を有している電源ユニットと、
を有している、外科手術治療システムに関する。
【0022】
従って、本発明の解決策は、外科手術用器具の最小製造サイズ、最小重量、良好なエルゴノミクス、及び、良好な操縦性といった、外科手術、特にマイクロ外科手術の要件を満たす。電源と、モータ電子機器と、制御要素と、適用部品にしっかりと接続されたディスプレイと、に関して冒頭で述べた問題は、本発明により解消されるか、又は、少なくとも低減される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示による外科手術治療システムを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下において、本開示の好ましい一実施形態について、添付の図に基づき、より詳しく説明する。図は、本質的に模式であるにすぎず、この発明を理解する目的のために提供されている。同一の要素は、同じ参照符号により指し示されている。
【0025】
図1は、本開示による外科手術治療システムを例示する図である。図1は、電動操作式の外科手術用器具2のための電源ユニット1を示す。外科手術用器具2は、電源ユニット1とは別個に形成されており、電源ユニット1から空間的に間隔を空けて配置されている。外科手術用器具2は、好ましくはスリーブ形状のハンドル/ハンドピース2aを有している。ハンドル/ハンドピース2a内には、ハンドル上の作動要素(図示省略)を介して作動されることが可能なモータシステム(電気モータ)5が収容されている。ハンドル2aの遠端/端部には、通常、例えばモータシステム5により回転する態様で駆動されるツール(アプリケーション部品)9のための受容装置が設けられている。ハンドル2aの近端/端部には、ケーブル7(ワイヤハーネス)のための接続部8が配置/形成されているか、又は、ケーブル7(ワイヤハーネス)がハンドル2a上にしっかりと取付けられている。この点について、本外科手術用器具2は、先行技術から既に知られている本出願人の器具に対応している。このため、この点について、それらの器具を参照することができる。
【0026】
別個の電源ユニット1は、電力ストレージユニット1aのための受容ハウジング3(以下においては、単にバッテリ受容ハウジングと称する)であって、締結手段/リテーナ4を有しているか、又は、受容ハウジング3に締結手段/リテーナ4が搭載されている、受容ハウジング3を有している。締結手段/リテーナ4は、外科手術用器具2の操作者、特に操作者の身体の一部(手首/前腕)に、電源ユニット1を一時的に締結/保持するために適合されている。さらに、電源ユニット1は、電力ストレージユニット1a(ハウジング3の内部に配置されているために、さらに図示せず)を有している。電力ストレージユニット1aは、好ましくは蓄電池又はバッテリであり、少なくとも、電力ストレージユニット1aに直接的に接続された外科手術用器具2のモータシステム5の電源用に適合されている。さらに、電源ユニット1は、制御及び監視装置6を有している。制御及び監視装置6は、好ましくは、バッテリ受容ハウジング3の外側に少なくとも部分的に配置されている(又は、制御及び監視装置6のボタンなどの作動手段が、バッテリ受容ハウジング3の外側に配置されている)。
【0027】
電源ユニット1は、バッテリ受容ハウジング3内/上に形成/配置されたさらなるケーブル接続部8を介して、ケーブル7と結合されている/結合可能である。ケーブル7及びケーブル接続部8は、外科手術用器具2のモータシステム5を操作するため、及び/又は、データ及び/又は動作パラメータを、特に外科手術用器具2から電源ユニット1に送信するために、電源ユニット1を外科手術用器具2に電気的に結合するように機能する。
【0028】
さらに、図1から明らかなこととして、ツール/アプリケーション部9は、好ましくは、(手動式の)マイクロ外科手術の使用に好適なシャンクツールである。即ち、外科手術用器具2は、操作中に、ツールハンドル5上で、特に手動でガイドされるように提供されている。ケーブル7を介して器具2に結合されている電源ユニット1であって、制御及び監視装置6、電力ストレージユニット1a、及び、ディスプレイ10が設置されている電源ユニット1は、締結手段4、好ましくは腕帯又はストラップを介して、ガイドする手の手首又は前腕に固定される。このため、外科手術用器具2は、軽量であることが可能であり、操縦を容易に行うことができ、それと同時に、器具2の制御だけではなく電源も保証されており、最後に、ディスプレイ10を、容易に視認することができる。この目的のために、電源ユニット1は、その上側(バッテリ受容ハウジング3の上側)に、好ましくはデジタルディスプレイ(タッチスクリーン)の態様で、ディスプレイ10を有している。ディスプレイ10は、エネルギストレージの充電状態、電源用のオン/オフスイッチ、及び、供給されるべき電力を調整するために、プラス又はマイナスで表示される調節可能性を内部に一体化させている。
【0029】
さらに、図1は、締結手段4を介した、電源ユニット1の操作者の前腕への取付を示している。このケースにおいて、締結手段4は、好ましくは腕帯である。腕帯は、さらに好ましくは、時計のように、又は、ベルクロ(登録商標)ファスナという手段によって、前腕に取付けることができる。
【0030】
さらに、図1で視認できることとして、電源ユニット1から外科手術用器具2のモータシステム5に至るケーブル7は、モータ操作式の外科手術用器具2を操作者が使用する際に、操作者を妨害又は邪魔することなく、電源ユニット1を外科手術用器具2に電気的に接続するのにちょうどいい長さである。最後に、図1では、オプションの無線足踏み式制御機構11が表象的に示されている。(例えば、ハンドル2aにおける操作要素の代わりに、又は、ハンドル2aにおける操作要素に加えて)無線足踏み式制御機構11は、外科手術用器具2内のモータシステムの速度を調整するために、電源ユニット1と無線通信を行っている。
【0031】
最後に、示された実施形態が手動式の外科手術用器具に関しているが、ハンドピースは、例えば、ロボットアーム上に機械的に搭載されるように構成された(いわば、アダプタとしての)アセンブリインターフェイスと交換されること/により補完されることが可能であることに留意すべきである。このケースでは、電源ユニットを、ロボットアームに一時的に固定することができる。
以下の項目は、国際出願時の請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
電動操作式の外科手術用器具(2)のための電源ユニット(1)、又は、前記外科手術用器具(2)の前記電源ユニット(1)、好ましくは低侵襲タイプの前記電源ユニット(1)であって、
前記電源ユニット(1)は、前記外科手術用器具(2)から空間的に間隔を空けて配置された別個の構成部材として設計又は提供されており、
前記電源ユニット(1)は、
-前記電源ユニット(1)を前記外科手術用器具(2)の操作者の身体の一部に、一時的に締結又は固定するために適合されている締結手段又はリテーナー(4)と、
-少なくとも1つの電力ストレージユニット(1a)であって、少なくとも1つのモータシステム(5)、特に、前記少なくとも1つの電力ストレージユニット(1a)に接続されている前記外科手術用器具(2)の電気モータの電源用に設計されており、かつ、前記電源ユニット(1)の受容ハウジング(3)内に収容されている前記少なくとも1つの電力ストレージユニット(1a)と、
-前記受容ハウジング(3)内の制御及び監視装置(6)であって、以下の機能、即ち、
・電力ストレージユニットの充電状態を監視及び/又は表示することと、
・制御及び監視装置(6)に接続されている前記外科手術用器具(2)への電源のオン/オフを切り替えることと、
・外部器具作動ユニット(11)、好ましくは、無線足踏み式制御機構、又は、手動制御機構の前記外部器具作動ユニット(11)にデータを受信及び/又は送信することと、
・好ましくは前記外科手術用器具(2)のモータシステム(5)に関して、制御及び監視装置(6)に接続されている前記外科手術用器具(2)に/から、動作パラメータ及び動作信号を出力及び受信することと、
・データ及び/又は動作パラメータを格納することと、
のうちの少なくとも1つを実行及び/又は監視するように設計されている前記制御及び監視装置(6)と、
-前記外科手術用器具(2)のモータシステム(5)、特に電気モータを操作するため、及び/又は、前記データ及び/又は前記動作パラメータを送信するために、前記電源ユニット(1)を前記外科手術用器具(2)に電気的に結合するためのケーブル(7)、及び/又は、前記ケーブル(7)を接続するためのケーブル接続部(8)と、
を備える、電源ユニット(1)。
(項目2)
前記電源ユニット(1)にバッテリが装着されているか、又は、前記電源ユニット(1)が蓄電池(1a)として装着されていることを特徴とする、請求項1に記載の電源ユニット(1)。
(項目3)
前記外部器具作動ユニット(11)が、手動式制御機構、及び/又は、無線足踏み式制御機構として設計されており、好ましくは、アプリケーション部品(9)のそれぞれと無線通信を実行することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電源ユニット(1)。
(項目4)
前記電源ユニット(1)が、前記電源ユニット(1)を動作させるため、及び、情報を表示するために働くディスプレイ(10)を備えていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の電源ユニット(1)。
(項目5)
前記ディスプレイ(10)が、前記電力ストレージの前記充電状態を示しており、電源のオン及びオフを切り替えるためのボタンを備えていることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の電源ユニット(1)。
(項目6)
前記電源ユニット(1)の前記締結手段(4)が、腕帯、好ましくはベルクロ(登録商標)ファスナを有する前記腕帯として設計されていることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の電源ユニット(1)。
(項目7)
前記受容ハウジング(3)が、流体密封、好ましくは、水はねに対して防護されるように設計されていることを特徴とする、請求項2から6のいずれか一項に記載の電源ユニット(1)。
(項目8)
前記電源ユニット(1)と前記外科手術用器具(2)との間の前記ケーブル(7)が、前記外科手術用器具(2)のハンドル内の前記モータシステム(6)を前記操作者の手首又は前腕の前記電源ユニット(1)に接続するのにちょうど十分な長さで形成されていることを特徴とする、請求項2から7のいずれか一項に記載の電源ユニット(1)。
(項目9)
外科手術治療システムであって、
電動操作式の外科手術用器具であって、電力ストレージユニットによって動作されるように構成されている前記外科手術用器具のモータシステム、特に電気モータが、ハンドピース内に収容されており、前記ハンドピースの近端又は近位端領域において、少なくとも前記モータシステムの電源のため、及び/又は、データ及び/又は動作パラメータを送信するためのケーブル接続部が形成又は配置されている、前記外科手術用器具と、
請求項1から8のいずれか一項に記載の電源ユニットと、
を備えている、外科手術治療システム。
(項目10)
前記モータシステムが、直流で操作されるように構成されていることを特徴とする、請求項9に記載の外科手術治療システム。
【符号の説明】
【0032】
1:電源ユニット(1a:電力ストレージ)
2:器具
3:バッテリ受容ハウジング
4:リテーナ/締結手段
5:モータシステム
6:制御及び監視装置
7:ケーブル
8:ケーブル接続部
9:アプリケーション部
10:ディスプレイ
11:無線足踏式制御機構
図1