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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】スピーカ装置のための膜ユニット
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/00 20060101AFI20240617BHJP
   H04R 7/04 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
H04R9/00 C
H04R7/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021544771
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2019068433
(87)【国際公開番号】W WO2020182321
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】19162460.0
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519100170
【氏名又は名称】ソノス・マイティ・ホールディングス・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Sonos Mighty Holdings BV
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】ステーンホイス, オノ ヘイン
(72)【発明者】
【氏名】シーク, ティモシー ルーベン
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1305164(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1222416(KR,B1)
【文献】特開2001-054192(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0073201(US,A1)
【文献】特開2000-299897(JP,A)
【文献】特開2011-015249(JP,A)
【文献】特開2000-236595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 7/00-9/18,31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜(2)及び少なくとも2つのコイル(3)を備える、スピーカ装置のための膜ユニット(1)であって、
前記少なくとも2つのコイル(3)のそれぞれの長手方向軸線が平行に配置され、主面が前記それぞれの長手方向軸線に対して垂直に形成され、
前記少なくとも2つのコイル(3)が、互いに隣り合って配置されるとともに、前記膜(2)に機械的に接続され、前記膜(2)が、実質的に平坦であり、前記主面に平行な主要面を有すると共に振動ダイヤフラムとして機能し、
前記少なくとも2つのコイル(3)に対する配線(4、5、6)が、前記膜(2)に少なくとも部分的に埋め込まれている、膜ユニット。
【請求項2】
配線(4、5、6)が配線支持要素(7)に埋め込まれている、請求項1に記載の膜ユニット。
【請求項3】
前記配線支持要素(7)がプリント回路基板であり、前記プリント回路基板が前記膜(2)を形成している、請求項2に記載の膜ユニット。
【請求項4】
前記少なくとも2つのコイル(3)がそれぞれのボビン(8)に取り付けられ、前記それぞれのボビン(8)が前記膜(2)に取り付けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の膜ユニット。
【請求項5】
前記少なくとも2つのコイル(3)に対する前記配線の部分(4’、5’、6’)が前記それぞれのボビン(8)の表面上に設けられている、請求項4に記載の膜ユニット。
【請求項6】
前記少なくとも2つのコイル(3)が並列に接続されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の膜ユニット。
【請求項7】
前記少なくとも2つのコイル(3)に対する前記配線が、前記膜(2)上に設けられた並列接続配線(6)を備える、請求項6に記載の膜ユニット。
【請求項8】
前記少なくとも2つのコイル(3)が直列に接続されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の膜ユニット。
【請求項9】
前記少なくとも2つのコイル(3)に対する前記配線が、前記膜(2)上に設けられた直列接続配線(6)を備える、請求項8に記載の膜ユニット。
【請求項10】
当該膜ユニット(1)が、前記膜(2)又はその周縁部に取り付けられたサスペンション要素(9)をさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の膜ユニット。
【請求項11】
前記膜(2)が、柔軟性/可撓性を有するブリッジ部(2c)を通して接続された2つの離間した膜部(2a、2b)を備え、前記膜部(2a、2b)の各々が、前記少なくとも2つのコイル(3)のうちの1つのコイル(3)を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の膜ユニット。
【請求項12】
前記ブリッジ部(2c)の幅(W1)が、前記膜部(2a、2b)の各々の幅(W2)の最大50%である、請求項11に記載の膜ユニット。
【請求項13】
膜(2)及び少なくとも2つのコイル(3)を備える、スピーカ装置のための膜ユニット(1)の製造方法であって、
前記少なくとも2つのコイル(3)のそれぞれの長手方向軸線が平行に配置され、主面が前記それぞれの長手方向軸線に対して垂直に形成されるステップと、
前記少なくとも2つのコイル(3)が、互いに隣り合って配置されるとともに、前記膜(2)に機械的に接続されるステップと、なお、ここで、前記膜(2)が、実質的に平坦であり、前記主面に平行な主要面を有すると共に振動ダイヤフラムとして機能し、
前記少なくとも2つのコイル(3)に対する配線(4、5、6)が、前記膜(2)に少なくとも部分的に埋め込まれるステップと、
を含む方法。
【請求項14】
前記膜(2)が、柔軟性/可撓性を有するブリッジ部(2c)を通して接続された2つの離間した膜部(2a、2b)を備え、前記膜部(2a、2b)の各々が、前記少なくとも2つのコイル(3)のうちの1つのコイル(3)を備え、
前記方法は、更に、
前記少なくとも2つのコイル(3)に対する前記配線(4、5、6)を備える単一片の平坦なプリント回路基板(PCB)を用意するステップと、
前記単一片の平坦なプリント回路基板をダイカットして、前記2つの離間した膜部(2a、2b)と、その間に前記ブリッジ部(2c)とを形成するステップと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
更に、
前記膜(2)を前記ブリッジ部(2c)に沿って折り畳み、前記少なくとも2つのコイル(3)が前記2つの膜部(2a、2b)の間に配置された状態で、前記2つの膜部(2a、2b)を互いに平行に配置するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜と少なくとも2つのコイルとを備える、スピーカ装置のための膜ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,570,994号明細書は、触覚膜及び/又はPCBなどのボタン又はキーボード構成要素とスピーカを一体化するための装置を開示している。ボタンが押下されるとユーザに触覚フィードバックを提供するためにボタンとスイッチ機構との間で従来使用される触覚膜は、スピーカの振動部分を形成するように拡張される。振動部分は、磁場によって物理的に影響を受ける、銅などの活性化材料でドープされるか、そうでなければそれを含む。活性化材料は、振動部分の上側及び/又は下側に接着されてもよく、又はその中にドープされてもよい。スピーカ用のコイルは、PCBの1つ又は複数の層に形成されたコイル追跡パターンで形成される。触覚膜の振動部分に垂直な方向に変動磁場を引き起こすために、1つ又は複数の増幅回路が含まれて、1つ又は複数のコイルパターンを駆動してもよい。触覚膜の振動部分は、磁場の変動に応答し、可聴音を出力させる。
【0003】
米国特許第2013/0089232号明細書は、誘導起電力の強度を高めるために、スタック型PCBを用いてコイルの巻数又はコイルの磁束密度を増加させることにより、高容量スピーカに用いることができるフラットパネルスピーカのための多層構造の音声フィルムを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、コスト効率が良く、製造及び組み立てが容易でありながら、良質なスピーカ装置を実現することができるスピーカ装置のための膜ユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、前文で言及されたタイプの膜ユニットが提供され、膜ユニットは、膜及び少なくとも2つの(音声)コイルを含み、少なくとも2つのコイルのそれぞれの長手方向軸線は平行に配置される。主面は、それぞれの長手方向軸線に対して垂直に形成され、少なくとも2つのコイルは、互いに隣り合って配置され、膜に機械的に接続される。膜は、実質的に平坦であり、主面に平行な主要面を有し、少なくとも2つのコイルに対する配線(又はトレース、又は同等の導電性接続)は、膜の平坦な部分に少なくとも部分的に設けられる。
【0006】
本発明の膜ユニットは、複数の(音声)コイルと、磁気アセンブリなどのコイルの各々を駆動するためのドライバシステムとの相互作用を大幅に単純化する。膜2は、その中に埋め込まれた、又はその上に配線が配置された配線支持要素又はプリント回路基板(PCB)として作用することができ、配線支持要素又はプリント回路基板は、機械的振動を音に、又はその逆に変換するためのダイヤフラムとして作用する。
【0007】
一実施形態では、膜の平坦な部分は配線支持要素であり、少なくとも2つのコイルに対する配線の効率的なルーティングを可能にする。配線は、配線支持要素に埋め込まれてもよく、又は配線支持要素上に配置されてもよい。配線支持要素は、振動に起因するいずれかの摩耗又は裂けが最小限に抑えられるように、配線の分散された、均一な支持を提供する。
【0008】
一実施形態では、配線支持要素はプリント回路基板であり、プリント回路基板は膜の一部である。ここで、プリント回路基板は、少なくとも2つのコイルに対する配線の効果的かつ確実なルーティングを提供する。
【0009】
一実施形態では、配線支持要素はプリント回路基板であり、プリント回路基板は膜に取り付けられる。この実施形態では、プリント回路基板は、別個の構成要素として提供され、膜に取り付けられ、例えば接着され、単純化された製造プロセスを可能にし、膜が最適な音響生成のために任意の形状をとることを可能にする。
【0010】
代替的な実施形態では、配線支持要素はプリント回路基板であり、プリント回路基板は膜を形成する。すなわち、この実施形態では、プリント回路基板は、単一部品構成要素として膜と一体的に形成され、その結果、プリント回路基板は少なくとも2つの機能を果たし、(1)少なくとも2つのコイルに対する配線を確実かつ均一に支持/ルーティングし、(2)プリント回路基板の機械的振動を音に、又はその逆に変換するためのダイヤフラムとして作用する。配線支持要素、すなわちプリント回路基板のこの特定の二重の目的は、スピーカ装置で使用するための膜ユニットの非常に単純化された堅牢な設計を実現する。
【0011】
本発明は、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本発明の第1の実施形態による膜ユニットの上面図である。
図1B】本発明の第1の実施形態による膜ユニットの側面図である。
図1C】本発明の第1の実施形態による膜ユニットの斜視図である。
図2A】本発明の第2の実施形態による膜ユニットの上面図である。
図2B】本発明の第2の実施形態による膜ユニットの側面図である。
図2C】本発明の第2の実施形態による膜ユニットの斜視図である。
図3A】本発明の第3の実施形態による膜ユニットの上面図である。
図3B】本発明の第3の実施形態による膜ユニットの側面図である。
図3C】本発明の第3の実施形態による膜ユニットの斜視図である。
図4A】本発明の第4の実施形態による膜ユニットの上面図である。
図4B】本発明の第4の実施形態による膜ユニットの側面図である。
図4C】本発明の第4の実施形態による膜ユニットの斜視図である。
図5】本発明の第5の実施形態による膜ユニットの斜視図である。
図6】本発明の第6の実施形態による膜ユニットを伴うスピーカ装置の部分断面図である。
図7】本発明の一実施形態によるブリッジ部を備える膜を示す図である。
図8】本発明の一実施形態による折り畳まれた構成の膜の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の膜ユニット1の例示的な実施形態は、共通の参照番号によって識別される共通の構成要素を示す図1から図6に図示されている。特に、図1A図1Cに示すように、これらの共通の構成要素は、スピーカ装置のための膜ユニット1を含み、膜ユニット1は、膜2及び少なくとも2つのコイル3を含み、少なくとも2つのコイル3の長手方向軸線A1、A2は平行に配置される。主面は、それぞれの長手方向軸線A1、A2に対して垂直に形成され、少なくとも2つのコイル3は、互いに隣り合って配置され、離間され、膜2に機械的に接続される。膜2は、平坦、例えば実質的に平坦であり、上述の主面に平行な主要面Sを有する。したがって、主要面Sは、長手方向軸線A1、A2に対して実質的に垂直である。少なくとも2つのコイル3に対する配線(又はワイヤ、トレース、又は他の同等の導電性接続)4、5、6は、膜2の(実質的に)平坦な部分に少なくとも部分的に設けられる。
【0014】
膜2は、少なくとも2つのコイル3による膜/ダイヤフラム2の機械的振動を音に、又はその逆に変換するためのトランスデューサとして作用する、ダイヤフラムとして見ることができることが理解される。
【0015】
一実施形態では、膜2の平坦な部分は配線支持要素7であり、配線/トレース4、5、6の膜ユニット2への確実で信頼性の高い取り付けを提供する。さらなる実施形態では、配線支持要素7はプリント回路基板(PCB)であり、PCBは膜2の一部である。この実施形態では、PCBは、少なくとも2つのコイルに対する配線の堅牢なルーティングを提供する。
【0016】
代替的な実施形態では、配線支持要素7はPCBであるが、PCBは、例えば別個の構成要素として膜2に取り付けられる。例えば、PCBは、膜2にしっかりと取り付けられた、例えば接着された別個の構成要素として見ることができる。この実施形態では、膜2は、最適な音響生成を提供するために任意の望ましい形状を有することができ、PCBは膜2の実質的に平坦な部分に取り付けられる。
【0017】
好適な実施形態では、配線支持要素7はPCBであり、PCBは膜2を形成する。この実施形態では、PCB自体が音を生成するためのダイヤフラムとして作用する。特に、配線支持要素7及びPCBは、単一部品構成要素として一体的に形成され、それによって構成要素数を最小限に抑え、配線支持要素7、すなわちPCBがここで前述のようにダイヤフラムとして作用するので、膜ユニット1の複雑さを低減する。したがって、この実施形態では、PCBは膜2であり、その結果、PCBは2つの機能を果たし、(1)配線4、5、6を少なくとも2つのコイルに確実かつ均一に支持/ルーティングし、(2)PCBの機械的振動を音に変換し、又はその逆に変換するためのダイヤフラムとして作用する。配線支持要素7、すなわちPCBのこの二重の目的は、スピーカ装置で使用するための膜ユニット1の非常に単純化された堅牢な設計を実現する。
【0018】
一実施形態では、少なくとも2つのコイル3に対する配線4、5、6は、例えば配線4、5、6を保護するために、及び/又は膜2の厚さを最小限に抑えるために、膜2に埋め込まれる。また、配線4、5、6を膜2に埋め込むことで、振動によるその損傷を最小限に抑える。
【0019】
さらなる実施形態では、例えば、膜ユニット1の設計及び/又は製造プロセスを単純化するために、少なくとも2つのコイル3に対する配線4、5、6を膜2上に配置することができる。
【0020】
前述のように、膜2は、配線支持要素7として平坦な部分を備えることができ、配線4、5、6は、配線支持要素7に埋め込まれるか、又はその上に配置される。好適には、配線支持要素7はPCBであり、PCBは単一部品構成要素として膜2の一部であってもよく、又はPCBは別個の構成要素として膜2上に配置されてもよい。
【0021】
これらの実施形態に基づいて、少なくとも2つのコイル3に対する配線4、5、6は、主要面Sに埋め込まれてもよく、又は膜2の主要面S上に配置されてもよく、膜2自体はPCBであってもよいことは明らかである。別個のPCBが膜2の主要面S上に配置されて設けられる場合には、少なくとも2つのコイル3に対する配線4、5、6は、PCBに埋め込まれるか、又はPCB上に配置されてもよく、少なくとも2つのコイル3がPCB上に配置される。
【0022】
一実施形態では、少なくとも2つ(又は複数)の音声コイル3の各々は、膜2の中/上、又は配線支持要素7、例えばPCB7の中/上に直列に配線される。図示のように、配線4、5は、膜ユニット1の正端子及び負端子として見ることができる。
【0023】
図2A図2Cでは、図1A図1Cの実施形態と同様の実施形態が示されているが例外として、図2A図2Cの図示された実施形態では、少なくとも2つの音声コイル3が、膜2の中/上、又は配線支持要素7、例えばPCB7の中/上に並列に配線される。
【0024】
図1A図1C及び図2A図2Cの実施形態では、少なくとも2つのコイル3の各々は、膜2の主要面S上に配置され、例えば、少なくとも2つのコイル3は、主要面Sと接触係合し、長手方向軸線A1、A2に沿ってそこから離れるように延在する。少なくとも2つのコイル3を主要面S上に配置することにより、膜ユニット1の厚さ/高さを最小限に抑えることができ、サイズの制約を受けるスピーカ装置に膜ユニット1を組み込むことができる。
【0025】
図3A図3C及び図4A図4Cには、膜ユニット1のさらなる実施形態が図示されており、膜2は、主要面S上に配置された少なくとも2つのボビン部材8を備え、少なくとも2つのボビン部材8は、少なくとも2つのコイル3の長手方向軸線A1、A2に沿って延在する。少なくとも2つのコイル3の各々は、少なくとも2つのボビン部材8のうちの1つに配置され、例えば巻き付けられる。すなわち、一実施形態では、少なくとも2つのコイル3は、それぞれのボビン部材8に取り付けられ、それぞれのボビン部材8は、膜2に取り付けられ、例えば膜2の主要面Sに取り付けられる。
【0026】
一実施形態では、少なくとも2つのコイル3に対する配線4、5、6の部分/一部4’、5’、6’は、それぞれのボビン部材8の表面(内面又は外面)に設けられる。
【0027】
図示のように、ボビン部材8は、少なくとも2つのコイル3が、0よりも大きいコイルオフセット距離Lcで膜2の主要面Sから離れて/オフセットして配置されることを可能にする。次いで、配線4、5、6の各部分/一部4’、5’、6’は、少なくとも2つのコイル3と膜2との間のコイル長Lcに及ぶ。
【0028】
図1A図1C及び図3A図3Cは、少なくとも2つのコイル3が直列に接続される実施形態を示すことに留意されたい。次いで、一実施形態では、少なくとも2つのコイル3に対する配線4、5、6は、膜2、すなわち配線支持要素7、例えばPCB上に設けられた直列接続配線/トレース6を備えることができる。さらに、図2A図2B及び図4A図4Cに示す実施形態は、少なくとも2つのコイルが並列に接続される実施形態を示すことに留意されたい。少なくとも2つのコイル3に対する配線6は、膜2上に設けられた並列接続配線6を備える。一実施形態では、並列接続配線6は、膜2に埋め込まれてもよく、又は膜2上に配置されてもよい。さらなる実施形態では、並列接続配線/トレース6は、配線支持要素7の中/上、例えばPCB7の中/上に埋め込まれるか、又は配置されてもよい。
【0029】
図5には、膜ユニット1が、膜2に、例えばその周縁部に取り付けられたサスペンション要素9をさらに備え、サスペンション要素9が、通常、膜2の移動を可能にするための可撓性サスペンション要素9である実施形態が示されている。少なくとも2つのコイル(3)に対する配線4、5、6は、膜2の平坦な部分、例えば膜2の主要面S上に少なくとも部分的に設けられる。図示の実施形態では、膜2は、その上に少なくとも2つのコイル3が配置される膜2の平坦な部分としてのPCB7並びに配線4、5、6を備えることができる。すなわち、配線4、5、6は、PCB7に埋め込まれるか、又はPCB7上に配置されてもよい。図5から、PCB7を伴う膜2がダイヤフラムとして作用し、仕様により任意の所望の形状を有することができることが明確に示されている。これは、コンパクトで単純な設計を実現し、構成要素数を減らす。
【0030】
上述したように、膜2上に配置された別個のPCB7構成要素を使用することは厳密には必要ではなく、少なくとも2つのコイル3及び配線4、5、6はPCB上に配置される。代わりに、膜2及びPCB7は、単一部品構成要素として単体方式で形成されてもよく、したがって、PCB7は、PCB7が機械的振動を音に変換し、その逆も同様に変換するためのダイヤフラムとして作用するように、膜2であると考えられる。
【0031】
図6は、膜ユニット1及び磁気アセンブリ10、11を備える(電磁)スピーカ装置の実施形態を示し、少なくとも2つのコイル3は、磁気アセンブリ10、11と磁気係合するように構成される。実施形態では、少なくとも2つの(音声)コイル3の各々は、磁気アセンブリ10、11、又は少なくとも2つのコイル3のための任意の種類のドライバアセンブリと対になる。一実施形態では、スピーカ装置は、膜2上の、又は膜2に埋め込まれた配線4、5、6を通して/を介して少なくとも2つのコイル3にルーティングされた入力及び出力信号接続12、13を備える。
【0032】
図6では、膜2が、配線4、5、6を少なくともコイル3にルーティングするためのPCB7として作用する配線支持要素7としての実質的に平坦な部分を有することが明確に示されている。上述のボビン部材8は、ワイヤ支持要素7、すなわちPCB7に直接取り付けられてもよい。ボビン部材8はまた、配線支持要素7、すなわちPCB7と一体的に形成されてもよい。
【0033】
本発明によれば、音を生成するために膜2に別個の平面又はコナルダイヤフラム部分を設ける必要はない。実際、好適な実施形態では、膜2は、配線4、5、6をルーティングするためのPCB7であり、PCB7は、機械的振動の音への変換又はその逆の変換のみを担う。したがって、PCB7は、スピーカ装置のための膜/ダイヤフラム2を形成するための任意の形状で設けることができる。
【0034】
図6では、少なくとも2つのボビン部材8は、中空ボビン部材8、例えば円筒形ボビン部材8であってもよく、その各々は、磁気アセンブリ10、11の磁極(+)を受け入れるように配置され、それにより、膜2、例えばPCB7は、少なくとも2つのボビン部材8を通して磁気アセンブリ10、11によって駆動されることがさらに示されている。
【0035】
磁気アセンブリ10、11は、スピーカ装置のハウジングに接続又は配置されてもよい。各々がコイル3を有する、複数のボビン部材2は、音を生成するために磁気アセンブリ10、11によって駆動される膜2、例えばPCB7上に配置される。
【0036】
図7及び図8はそれぞれ、膜ユニット1の上面図及び側面図を示し、製造の複雑さを低減し、膜ユニット1を利用するスピーカ装置の組み立てを容易にすることを可能にする。特に、図7は、膜ユニット1の上面図を示し、膜2は、柔軟な(又は可撓性の)ブリッジ部2cを通して接続された2つの離間した膜部2a、2bを備え、膜部2a、2bの各々は、少なくとも2つのコイル3のコイルを備える。図示の実施形態では、膜部2a、2bの各々は、2つのコイル3を備えることができる。ブリッジ部2cは、膜部2a、2bの各々の幅Wよりも小さい幅Wを有し、2つの膜部2a、2cは、ブリッジ部2cよりもかなり広いと考えられてもよく、図8に図示するように、各膜部2a、2bの主要面Sを対向するように互いに向かうようにするため、ブリッジ部2cが容易に屈曲又は折り畳まれることを可能にする。図示のように、各膜部2a、2bのコイル3は、対向する膜部の主要面Sに向かって延在する。
【0037】
一実施形態では、ブリッジ部2cの幅Wは、膜部2a、2bの各々の幅Wの最大50%であり、それによってブリッジ部2cの可折性を高める。例示的な実施形態では、ブリッジ部2cは、ブリッジ部2cの可撓性をさらに高めるために、膜部2a、2bの各々の幅Wの最大25%、10%、又はさらに最大5%の幅Wを有する。なおさらなる実施形態では、ブリッジ部2cは、複数の(平行な)ブリッジ部要素を備えることができ、ブリッジ部要素の全幅は幅Wに等しい。
【0038】
他の任意の実施形態と同様に、膜2、特に膜部2a、2bは、膜部2a、2bの機械的振動を音に、又はその逆に変換するためのトランスデューサとして作用するダイヤフラムとして見ることができる。好適な実施形態では、膜2は、膜部2a、2bの各コイル3の配線4、5、6の堅牢なルーティングを提供するプリント回路基板(PCB)であってもよい。そのため、この実施形態では、2つの膜部2a、2c及びブリッジ部2cは、単一の折り畳み可能なPCBを形成すると考えられ得る。
【0039】
図7に示すように、一実施形態では、配線4、5は、コイル3の各々を接続するためにブリッジ部2cに沿ってルーティングされてもよい。配線4、5は、ブリッジ部2c上に配置されてもよく、又はその中に埋め込まれてもよく、配線4、5は、膜ユニット1の正端子及び負端子として見ることができる。
【0040】
好適な実施形態では、膜2は単一のPCBであってもよく、2つの膜部2a、2b並びに配線4、5、6を含むブリッジ部2cは、単一部品構成要素を形成し、その結果、異なる構成要素の数が減少し、したがって膜ユニット1が単純化される。
【0041】
製造の観点から、2つの膜部2a、2b及びブリッジ部2cは、図7に示すように、単一片の平坦な材料をダイカットして膜2を取得することによって得ることができる。例えば、配線4、5、6を備える単一片の平坦なPCBなどの単一片の平坦な材料を少なくとも2つのコイル3に提供することができ、ダイカットステップにより、その間にある2つの離間した膜部2a、2b及びブリッジ部2cが形成される。製造プロセスの後続のステップでは、膜2は、図8に図示するようにブリッジ部2cに沿って折り畳むことができ、すなわち、少なくとも2つのコイル3が2つの膜部2a、2bの間に配置された状態で、2つの膜部2a、2bを互いに平行に配置することができる。当業者であれば、図7の膜2を得るためのダイカットステップが、2つの膜部2a、2bを別々に製造し、次いで膜部2a、2bを別個のブリッジ部2c構成要素によって接続する必要性を回避することを理解するであろう。
【0042】
2つの膜部2a、2bを接続する柔軟性/可撓性を有するブリッジ部2cの重要な利点は、図8に示すような膜部2a、2bが自由に振動することができ、コンパクトな膜ユニット1を提供することができることである。ブリッジ部2cは、各コイル3が効率的に電気的に接続されることを可能にする一方で、膜部2a、2bに最大の運動自由度を実現する。
【0043】
図8では、少なくとも2つのコイル3をそれぞれのボビン8に取り付けることができ、その各々は膜部2a、2cのうちの1つに取り付けられることがさらに示されている。具体的には、図8において、各膜部2a、2cは、それぞれのボビン8に取り付けられた2つのコイル3を備えることができ、ボビン8は、膜2が折り畳まれたときに2つの膜部2a、2bの間に配置される。膜2がブリッジ部2cに沿って折り畳まれるときに、少なくとも2つのコイル3の両方は、膜2の折り畳まれた構成において少なくとも2つのコイル3が接触又は干渉しないように、膜部2a、2bの左側又は右側に配置されてもよいことに留意されたい。少なくとも2つのコイル3がボビン8上に配置されている場合も同様である。
【0044】
本発明を、図面に示されるいくつかの例示的な実施形態を参照して上述した。いくつかの部分又は要素の変更及び代替の実装が可能であり、添付の特許請求の範囲に定義される保護の範囲に含まれる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8