(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】車両のブレーキアクチュエータを運転するためのコントロールユニットおよび方法
(51)【国際特許分類】
B60T 7/12 20060101AFI20240617BHJP
B60T 13/74 20060101ALI20240617BHJP
B60T 13/138 20060101ALI20240617BHJP
B60T 8/17 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B60T7/12 Z
B60T13/74 D
B60T13/74 G
B60T13/138 A
B60T8/17 A
(21)【出願番号】P 2021565020
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2020060010
(87)【国際公開番号】W WO2020224905
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】102019206669.0
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ベルンハルト
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-130396(JP,A)
【文献】特開2000-016263(JP,A)
【文献】特開2002-274348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12
B60T 13/74
B60T 13/138
B60T 8/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のブレーキアクチュエータ(50)のためのコントロールユニット(52)であって、前記コントロールユニット(52)が車両のネットワーク(62)に接続可能であり、前記ネットワーク(62)に接続された前記コントロールユニット(52)は、前記ネットワーク(62)に接続された、車両の外部のコントロール装置(54)と協働するために、前記外部のコントロール装置(54)から前記ネットワーク(62)を介してアウトプットされた制御信号(58)に対する応答として、前記制御信号(58)によって前記外部のコントロール装置(54)から要求されかつ前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行しようとする制動機能が、制御された前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行可能であるように、前記コントロールユニット(52)が前記ブレーキアクチュエータ(50)を制御するように設計されている形式のものにおいて、
前記ネットワーク(62)に接続された前記コントロールユニット(52)は、追加的に、前記ネットワーク(62)に接続された車両のセンサ装置(56)と協働するために、前記コントロールユニット(52)が前記センサ装置(56)から前記ネットワーク(62)を介してアウトプットされたセンサ信号(60)を前記外部のコントロール装置(54)にアウトプットされた制動要求として検知し、この際に前記コントロールユニット(52)が制動要求として検知された前記センサ信号(60)に対する応答として、制御された前記ブレーキアクチュエータ(50)によって前記コントロールユニット(52)に記憶されたブリッジ機能が実行可能であるように、前記ブレーキアクチュエータ(50)を少なくとも遷移時間間隔だけ制御するように、設計されていて、
前記ブリッジ機能は前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行されるブレーキ制御であり、前記遷移時間間隔は前記ブリッジ機能が実行されている期間であり、
前記センサ信号(60)を制動要求として検知する前記コントロールユニット(52)は、前記コントロールユニット(52)が前記制御信号(58)に対する応答として、前記ブレーキアクチュエータ(50)が前記ブリッジ機能を中断しかつ前記制御信号(58)によって前記外部のコントロール装置(54)から要求された制動機能を実行するように、前記ブレーキアクチュエータ(50)を制御することによって、前記外部のコントロール装置(54)から前記ネットワーク(62)を介して遅れてアウトプットされた前記制御信号(58)に対する応答として前記遷移時間間隔を終了させるために設計されていることを特徴とする、車両のブレーキアクチュエータ(50)のためのコントロールユニット(52)。
【請求項2】
前記センサ信号(60)を制動要求として検知する前記コントロールユニット(52)は、前記遷移時間間隔を遅くとも予め設定された最大待機時間後に終了させるために設計されている、請求項1記載のコントロールユニット(52)。
【請求項3】
車両のブレーキアクチュエータ(50)のためのコントロールユニット(52)であって、前記コントロールユニット(52)が車両のネットワーク(62)に接続可能であり、前記ネットワーク(62)に接続された前記コントロールユニット(52)は、前記ネットワーク(62)に接続された、車両の外部のコントロール装置(54)と協働するために、前記外部のコントロール装置(54)から前記ネットワーク(62)を介してアウトプットされた制御信号(58)に対する応答として、前記制御信号(58)によって前記外部のコントロール装置(54)から要求されかつ前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行しようとする制動機能が、制御された前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行可能であるように、前記コントロールユニット(52)が前記ブレーキアクチュエータ(50)を制御するように設計されている形式のものにおいて、
前記ネットワーク(62)に接続された前記コントロールユニット(52)は、追加的に、前記ネットワーク(62)に接続された車両のセンサ装置(56)と協働するために、前記コントロールユニット(52)が前記センサ装置(56)から前記ネットワーク(62)を介してアウトプットされたセンサ信号(60)を前記外部のコントロール装置(54)にアウトプットされた制動要求として検知し、この際に前記コントロールユニット(52)が制動要求として検知された前記センサ信号(60)に対する応答として、制御された前記ブレーキアクチュエータ(50)によって前記コントロールユニット(52)に記憶されたブリッジ機能が実行可能であるように、前記ブレーキアクチュエータ(50)を少なくとも遷移時間間隔だけ制御するように、設計されていて、
前記ブリッジ機能は前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行されるブレーキ制御であり、前記遷移時間間隔は前記ブリッジ機能が実行されている期間であり、
前記センサ信号(60)を制動要求として検知する前記コントロールユニット(52)は、前記遷移時間間隔を遅くとも予め設定された最大待機時間後に終了させるために設計されていることを特徴とする、車両のブレーキアクチュエータ(50)のためのコントロールユニット(52)。
【請求項4】
前記ネットワーク(62)に接続された前記コントロールユニット(52)は追加的に、前記センサ装置(56)から前記ネットワーク(62)を介してアウトプットされた非常ブレーキ要求を制動要求として検知し、かつ前記非常ブレーキ要求として検知した制動要求に対する応答として前記ブレーキアクチュエータ(50)を少なくとも遷移時間間隔だけ、前記コントロールユニット(52)に記憶されたブリッジ機能としての非常ブレーキ機能を制御された前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行可能であるように、制御するために設計されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のコントロールユニット(52)。
【請求項5】
車両のブレーキアクチュエータ(50)のためのコントロールユニット(52)であって、前記コントロールユニット(52)が車両のネットワーク(62)に接続可能であり、前記ネットワーク(62)に接続された前記コントロールユニット(52)は、前記ネットワーク(62)に接続された、車両の外部のコントロール装置(54)と協働するために、前記外部のコントロール装置(54)から前記ネットワーク(62)を介してアウトプットされた制御信号(58)に対する応答として、前記制御信号(58)によって前記外部のコントロール装置(54)から要求されかつ前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行しようとする制動機能が、制御された前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行可能であるように、前記コントロールユニット(52)が前記ブレーキアクチュエータ(50)を制御するように設計されている形式のものにおいて、
前記ネットワーク(62)に接続された前記コントロールユニット(52)は、追加的に、前記ネットワーク(62)に接続された車両のセンサ装置(56)と協働するために、前記コントロールユニット(52)が前記センサ装置(56)から前記ネットワーク(62)を介してアウトプットされたセンサ信号(60)を前記外部のコントロール装置(54)にアウトプットされた制動要求として検知し、この際に前記コントロールユニット(52)が制動要求として検知された前記センサ信号(60)に対する応答として、制御された前記ブレーキアクチュエータ(50)によって前記コントロールユニット(52)に記憶されたブリッジ機能が実行可能であるように、前記ブレーキアクチュエータ(50)を少なくとも遷移時間間隔だけ制御するように、設計されていて、
前記ブリッジ機能は前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行されるブレーキ制御であり、前記遷移時間間隔は前記ブリッジ機能が実行されている期間であり、
前記ネットワーク(62)に接続された前記コントロールユニット(52)は追加的に、前記センサ装置(56)から前記ネットワーク(62)を介してアウトプットされた非常ブレーキ要求を制動要求として検知し、かつ前記非常ブレーキ要求として検知した制動要求に対する応答として前記ブレーキアクチュエータ(50)を少なくとも遷移時間間隔だけ、前記コントロールユニット(52)に記憶されたブリッジ機能としての非常ブレーキ機能を制御された前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行可能であるように、制御するために設計されていることを特徴とする、車両のブレーキアクチュエータ(50)のためのコントロールユニット(52)。
【請求項6】
前記コントロールユニット(52)は、前記ブレーキアクチュエータ(50)として、車両のマスタブレーキシリンダに前置された電気機械式のブレーキ倍力装置、電動式のピストンシリンダ装置または電気式のホイールブレーキを制御するために設計されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のコントロールユニット(52)。
【請求項7】
ブレーキアクチュエータ(50)において、請求項1から6までのいずれか1項記載のコントロールユニット(52)を備えた車両のためのブレーキアクチュエータ(50)。
【請求項8】
前記ブレーキアクチュエータ(50)が車両のマスタブレーキシリンダに前置可能または前置された電気機械式のブレーキ倍力装置、電動式のピストンシリンダ装置または電気式のホイールブレーキである、請求項7記載のブレーキアクチュエータ(50)。
【請求項9】
車両のためのブレーキシステムにおいて、
ネットワーク(62)と、
請求項1から6までのいずれか1項記載のコントロールユニット(52)によって制御されてい
て、かつ前記ネットワーク(62)に接続された少なくとも1つのブレーキアクチュエータ(50)と、
前記ネットワーク(62)に接続された、少なくとも1つの前記ブレーキアクチュエータ(50)と協働する外部のコントロール装置(54)と、
前記ネットワーク(62)に接続された、少なくとも1つの前記ブレーキアクチュエータ(50)と協働するセンサ装置(56)と、
を有している、車両のためのブレーキシステム。
【請求項10】
車両のためのブレーキシステムにおいて、
ネットワーク(62)と、
請求項7もしくは8に記載のブレーキアクチュエータ(50)であって、かつ前記ネットワーク(62)に接続された少なくとも1つのブレーキアクチュエータ(50)と、
前記ネットワーク(62)に接続された、少なくとも1つの前記ブレーキアクチュエータ(50)と協働する外部のコントロール装置(54)と、
前記ネットワーク(62)に接続された、少なくとも1つの前記ブレーキアクチュエータ(50)と協働するセンサ装置(56)と、
を有している、車両のためのブレーキシステム。
【請求項11】
車両のネットワーク(62)に接続された、車両のブレーキアクチュエータ(50)を運転するための方法であって、
前記ネットワーク(62)に接続された車両の外部のコントロール装置(54)から前記ネットワーク(62)を介してアウトプットされた制御信号(58)が前記ブレーキアクチュエータ(50)で受信されるかぎり、前記制御信号(58)によって前記外部のコントロール装置(54)から要求されかつ前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行しようとする制動機能が、制御された前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行されるように、前記ブレーキアクチュエータ(50)を制御するステップ(S1)を有する方法において、
前記ネットワーク(62)に接続された車両のセンサ装置(56)から前記ネットワーク(62)を介してアウトプットされたセンサ信号(60)が前記ブレーキアクチュエータ(50)で受信され、かつ前記センサ信号(60)が前記外部のコントロール装置(54)にアウトプットされた制動要求として検知されるかぎり、予め設定されたブリッジ機能が制御された前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行されるように、前記ブレーキアクチュエータ(50)を少なくとも遷移時間間隔だけ制御するステップ(S2)を有し、
前記制御信号(58)に対する応答として、前記ブレーキアクチュエータ(50)が前記ブリッジ機能を中断しかつ前記制御信号(58)によって前記外部のコントロール装置(54)から要求された制動機能を実行するように、前記ブレーキアクチュエータ(50)を制御することによって、前記外部のコントロール装置(54)から前記ネットワーク(62)を介して遅れてアウトプットされた前記制御信号(58)に対する応答として前記遷移時間間隔を終了させ、
前記ブリッジ機能は前記ブレーキアクチュエータ(50)によって実行されるブレーキ制御のことであり、前記遷移時間間隔は前記ブリッジ機能が実行されている期間であることを特徴とする、
車両のブレーキアクチュエータ(50)を運転するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のブレーキアクチュエータのためのコントロールユニット、および車両のためのブレーキアクチュエータに関する。また本発明は車両のためのブレーキシステムに関する。さらに本発明は、車両のブレーキアクチュエータを運転するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、出願人にとって内部先行技術として公知である、電気機械式のブレーキ倍力装置の従来の原動機コントロール装置の機能形式を説明するための、ネットワークに接続された車両構成部品の概略を示す。
【0003】
図1には、車両の車両構成部品として、原動機コントロール装置12を有する車両の電気機械式のブレーキ倍力装置10、(電気機械式のブレーキ倍力装置10に関連した)車両の外部のコントロール装置14、車両のセンサ装置16が概略的に示されている。電気機械式のブレーキ倍力装置10の原動機コントロール装置12、外部のコントロール装置14およびセンサ装置16は、車両の(図示されていない)ネットワークにそれぞれ接続されている。
【0004】
センサ装置16は、車両の少なくとも1つの部分的な周囲状況に場合によっては存在する未知の対象物に関するデータを検出して、これらの検出されたデータを考慮してセンサ信号18を制動要求としてネットワークを介して外部のコントロール装置14に送信するために設計されている。外部のコントロール装置14は、センサ信号18に対する応答として制御信号20を電気機械式のブレーキ倍力装置10の原動機コントロール装置12にネットワークを介してアウトプットするために設計されている。原動機コントロール装置12は、制御信号20に対する応答として、制御信号20によって外部のコントロール装置14から要求されかつ電気機械式のブレーキ倍力装置10によって実行しようとする制動機能が、制御された電気機械式のブレーキ倍力装置10によって実行されるように、電気機械式のブレーキ倍力装置10を制御するために設計されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、請求項1の特徴を有する車両のブレーキアクチュエータのためのコントロールユニット、請求項7の特徴を有する車両のためのブレーキアクチュエータ、請求項9の特徴を有する車両のためのブレーキシステム、および請求項10の特徴を有する車両のブレーキアクチュエータを運転するための方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、車両の少なくとも1つのブレーキアクチュエータが、同一車両のセンサ装置からセンサ信号によってアウトプットされた制動要求に対してより早期に応答する可能性を提供する。以下に詳しく説明されているように、本発明の使用時に、本発明を実行するために設けられた、それぞれの車両の少なくとも1つのブレーキアクチュエータが、制動要求に対してより早期に応答し、したがって各車両は、少なくとも1つのブレーキアクチュエータによってより迅速に制動される。したがって本発明は、本発明を利用した車両の走行快適性および安全基準を向上させるために役立つ。本発明は特に、自動式の/自律的な速度制御装置で走行する車両または自動的/自律的に走行する車両の走行快適性および安全基準を改善するために利用され得る。
【0007】
好適な実施例では、センサ信号を制動要求として検知するコントロールユニットは、このコントロールユニットが制御信号に対する応答として、ブレーキアクチュエータがブリッジ機能を中断しかつ制御信号によってブレーキアクチュエータから要求された制動機能を実行するように、ブレーキアクチュエータを制御することによって、外部のコントロール装置からネットワークを介して遅れてアウトプットされた制御信号に対する応答として遷移時間間隔を終了させるために設計されている。したがって、ここに記載されたコントロールユニットの実施例によって制御されたブレーキアクチュエータは、コントロールユニットによる制動要求の検知と、外部のコントロール装置からネットワークを介して遅れてアウトプットされた制御信号の、コントロールユニットによる受信との間の時間を、好適にはブリッジ機能を実行するために使用することができ、それにもかかわらず、コントロールユニットによって制御信号を受信してから、外部のコントロール装置によって要求された制動機能を確実に実行することができる。
【0008】
これに対して選択的にまたは補足的に、センサ信号を制動要求として検知するコントロールユニットは、遷移時間間隔を遅くとも予め設定された最大待機時間後に終了させるために設計されている。最大待機時間は好適な形式で、ここに記載された実施例によるコントロールユニットによって制御された、ブレーキアクチュエータによる全最大待機時間だけのブリッジ機能の実行によっても、車両の過剰制動を生ぜしめることがないように規定されている。
【0009】
コントロールユニットの別の好適な実施例によれば、ネットワークに接続されたコントロールユニットは追加的に、センサ装置からネットワークを介してアウトプットされた非常ブレーキ要求を制動要求として検知し、かつ非常ブレーキ要求として検知した制動要求に対する応答としてブレーキアクチュエータを少なくとも遷移時間間隔だけ、コントロールユニットに記憶されたブリッジ機能としての非常ブレーキ機能を制御されたブレーキアクチュエータによって実行可能であるように制御するために設計されている。選択的にまたは補足的に、ネットワークに接続されたコントロールユニットは追加的に、センサ装置からネットワークを介してアウトプットされたダイナミック制動要求を制動要求として検知し、かつダイナミック制動要求として検知された制動要求に対する応答としてブレーキアクチュエータを少なくとも遷移時間間隔だけ、コントロールユニットに記憶されたブリッジ機能としてのダイナミック制動機能を制御されたブレーキアクチュエータによって実行可能であるように制御するために設計されている。したがって、ここに記載されたコントロールユニットの実施例は、様々な種類の検知された制動要求に多様に応答することができる。
【0010】
好適な形式で、コントロールユニットは、ブレーキアクチュエータとして、車両のマスタブレーキシリンダに前置された電気機械式のブレーキ倍力装置、電動式のピストンシリンダ装置または電気式のホイールブレーキを制御するために設計されている、したがって、コントロールユニットは多面的に使用可能である。
【0011】
以上記載した利点は、このような形式のコントロールユニットを備えた車両のためのブレーキアクチュエータにおいても保証されている。ブレーキアクチュエータは、例えば車両のマスタブレーキシリンダに前置可能または前置された電気機械式のブレーキ倍力装置、電動式のピストンシリンダ装置または電気式のホイールブレーキであってよい。しかしながら、ここに挙げられたブレーキアクチュエータの型式は限定的に解釈されなくてよいと指摘しておく。
【0012】
ネットワークと、ネットワークに接続された少なくとも1つのブレーキアクチュエータと、ネットワークに接続された、少なくとも1つのブレーキアクチュエータと協働する外部のコントロール装置と、ネットワークに接続された、少なくとも1つのブレーキアクチュエータと協働するセンサ装置とを有する、車両のためのブレーキシステムも前記利点を提供する。
【0013】
さらに、車両のネットワークに接続された、車両のブレーキアクチュエータを運転するための対応する方法を実行することによっても、前記利点が得られる。車両のブレーキアクチュエータを運転するためのこの方法は、コントロールユニットおよび/またはブレーキアクチュエータの前記実施例に従ってさらに改良される得ることを明確に指摘しておく。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】電気機械式のブレーキ倍力装置の従来の原動機コントロール装置の機能形式を説明するための、ネットワークに接続された車両構成部品の概略図である。
【
図2】ブレーキアクチュエータのためのコントロールユニットの1実施例を説明するための、ネットワークに接続された車両構成部品の概略図である。
【
図3】車両のためのブレーキシステムの1実施例の概略図である。
【
図4】車両のブレーキアクチュエータを運転するための方法の1実施例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のその他の特徴および利点を以下に図面を用いて説明する。
【0016】
図2は、ブレーキアクチュエータのためのコントロールユニットの1実施例を説明するための、ネットワークに接続された車両構成部品の概略図を示す。
【0017】
車両の車両構成部品として、
図2に、車両のブレーキアクチュエータ50、そのコントロールユニット52、(ブレーキアクチュエータ50に関連した)車両の外部のコントロール装置54、および車両のセンサ装置56が概略的に示されている。ブレーキアクチュエータ50のコントロールユニット52は、(図示していない)車両のネットワークに接続可能/接続されている。外部のコントロール装置54およびセンサ装置56もそれぞれ、車両のネットワークに接続可能/接続されている。車両のネットワークは、例えば車両の車両バス、特にCAN(Controller Area Network「管理区域ネットワーク」)等であってよい。
【0018】
ネットワークに接続されたコントロールユニット52は、ネットワークに同様に接続された外部のコントロール装置54と協働するために、コントロールユニット52が外部のコントロール装置54からネットワークを介してアウトプットされた制御信号58に対する応答として、制御信号58によって外部のコントロール装置54から要求されかつブレーキアクチュエータ50により実行しようとする制動機能が制御されたブレーキアクチュエータ50によって実行可能/実行されるように、ブレーキアクチュエータ50を制御するように、設計されている。これによりコントロールユニット52は、ブレーキアクチュエータ50が外部のコントロール装置54からネットワークを介してアウトプットされた制御信号58に応答して、車両が、(少なくとも)制御されたブレーキアクチュエータ50により実行された制動機能によって制動されることを保証する。制動機能を実行するために制御された(少なくとも)ブレーキアクチュエータ50を用いた車両の制動とは、車両の遅延であるとも解釈され、また車両を停止状態にもたらす遅延であるとも解釈されてよい。
【0019】
ブレーキアクチュエータ50は、例えば(図示していない)車両のマスタブレーキシリンダに前置可能な/前置された電気機械式のブレーキ倍力装置(Active Brake Booster「アクティブブレーキブースター」)であってよい。したがって、コントロールユニット52によって制御されたブレーキアクチュエータ50は、実行された制動機能によって例えば車両のマスタブレーキシリンダ内のマスタブレーキシリンダ内圧の上昇(および少なくとも1つの接続されたホイールブレーキシリンダ内の少なくとも1つのブレーキ圧の相応の上昇)を生ぜしめる。同様に、ブレーキアクチュエータ50は、電動式のピストンシリンダ装置(プランジャ装置)であってよく、このピストンシリンダ装置は、ピストンシリンダ装置の少なくとも1つのピストンの位置調節を用いて、ピストンシリンダ装置の少なくとも1つのピストンによって画成されたそれぞれ1つの蓄圧容積部と少なくとも1つのブレーキ回路との間にブレーキ液が移動可能であるように、車両の液圧式のブレーキシステムの少なくとも1つの(図示していない)ブレーキ回路に接続されている。それゆえ、ブレーキアクチュエータ50は、制動機能として、蓄圧容積部から少なくとも1つのブレーキ回路内へのブレーキ液の移動によっても、少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つのホイールブレーキシリンダ内のそれぞれのブレーキ圧の上昇を生ぜしめることができる。しかしながら、ブレーキアクチュエータ50とは、電気式のホイールブレーキと解釈されてもよい。したがって、制御されたブレーキアクチュエータ50によって実行された制動機能は、電気式のホイールブレーキのブレーキライニングと対応するブレーキディスクとを接触させることであってもよい。さらに、ブレーキアクチュエータ50のためのここに挙げられた例は、最終的なものではないと解釈されるべきである。
【0020】
コントロールユニット52は特に原動機コントロールユニットとして、ブレーキアクチュエータ50がその制御された電動機に基づいて外部のコントロール装置54によって要求された制動機能を実行するように、ブレーキアクチュエータ50の(図示していない)電動機を制御するために設計されていてよい。選択的にまたは補足的に、コントロールユニット52は、少なくとも制御信号58を受信するためのネットワーク接続ユニットとして設計されていてもよい。
図2に図面で示されているように、コントロールユニット52は、サブユニットとしてブレーキアクチュエータ50内に組み込まれていてよい。しかしながら選択的に、コントロールユニット52はブレーキアクチュエータ50とは構造的に別個に設けられていてもよい。
【0021】
ネットワークに接続された外部のコントロール装置54は、外部のコントロール装置54からアウトプットされた制御信号58によって、少なくともコントロールユニット52を制御するため設計されている。好適な形式で、外部のコントロール装置54は追加的に、車両の少なくとも1つの別の(図示していない)車両構成部品、例えば車両の少なくとも1つの液圧的なブレーキ構成部品等を制御するために設計されている。外部のコントロール装置54は、例えば少なくとも1つのポンプの少なくとも1つのポンプモータおよび/または少なくとも1つの弁を制御するために、液圧的なブレーキ構成部品として構成されていてよい。外部のコントロール装置54とは、特にESPコントロール装置(Electronic Stability Control)、つまりエレクトロニック・スタビリティ・プログラムのコントロール装置であると解釈されてよい。外部のコントロール装置54に少なくとも1つの(図示していない)センサ、例えば少なくとも1つの車輪速度センサ、少なくとも1つの圧力センサ、少なくとも1つの加速度センサおよび/または少なくとも1つの温度センサが接続されていてよい。外部のコントロール装置54は、この場合、好適には、コントロールユニット52への制御信号58のアウトプット時に少なくとも1つの接続されたセンサのセンサデータを考慮するために設計されている。
【0022】
さらに、ネットワークに接続された外部のコントロール装置54は、ネットワークに接続されたセンサ装置56と協働するために設計されている。センサ装置56は例えば、車両の少なくとも1つの部分的な周囲状況内に場合によっては存在する未知の対象物に関するデータを算出するために設計されている。センサ装置56は、例えば少なくとも1つのレーダセンサユニットおよび/または少なくとも1つの光学センサユニット、例えば特に少なくとも1つのカメラを含有していてよい。しかしながら選択的にまたは補足的に、センサ装置56は、少なくとも1つの車両外部の送信器、例えば少なくとも1つの別の道路使用者および/または少なくとも1つの(局所的なまたは中央の)道路監視箇所から送信された、車両の少なくとも部分的な周囲状況内に場合によっては存在する少なくとも1つの未知の対象物に関するデータを受信するために設計されていてもよい。したがって、センサ装置56は、遠隔測定のためにおよび/または車車間通信(Car-to-car Communication)のために設計されていてもよい。したがってデータとは、外部に保存されているデータであると解釈されてもよい。
【0023】
センサ装置は、算出されたおよび/または受信されたデータを考慮してセンサ信号60を制動要求としてネットワークを介して外部のコントロール装置54にアウトプットするために設計されてもいる。したがって、センサ装置56の制動要求とは、外部の制動要求(External Brake Request,EBR)であると解釈されてよい。
【0024】
車両の少なくとも部分的な周囲状況内に場合によって存在する少なくとも1つの未知の対象物に関するデータとして、例えば「未知の対象物の不存在」、少なくとも1つの未知の対象物の対象物タイプ、少なくとも1つの未知の対象物のそれぞれの位置、少なくとも1つの未知の対象物のそれぞれの速度、少なくとも1つの未知の対象物のそれぞれの加速度、少なくとも1つの未知の対象物のそれぞれの運動方向および/または少なくとも1つの未知の対象物のそれぞれの運動方向変化が算出可能および/または受信可能である。しかしながら、警告信号または非常ブレーキ信号もデータとしてセンサ装置56によって受信可能である。
【0025】
好適な形式で、センサ装置56は評価ユニットも有しており、この評価ユニットによって、算出されたおよび/または受信されたデータに基づいて車両の目標速度を定めることができ、定められた目標速度が車両の最新の実際速度下回っている限り、相応の制動要求も、センサ装置56からネットワークを介して外部のコントロール装置54にアウトプットされたセンサ信号60によって規定可能である。センサ装置56とは、車両の少なくとも部分的な周囲状況内に存在する最新の交通状況を算出することができる、特に交通調査センサ装置であると解釈されてよい。同様に、センサ装置56は、例えばACCシステム(Adaptive Cruise Control「アダプティブクルーズコントロール」)等の、車両の自律的な/自動式の速度制御装置の部分であってよい。センサ装置56は、特に車両(場合によっては運転者のいない車両)の全自動式/全自律的な走行のために設計されていてよい。しかしながら、センサ装置56は非常ブレーキ装置として、高い事故の危険性を検知した後で自律的に/自動的に車両を制動するために、特に自律的/自動的にその停止状態に移送させるために用いられてもよい。
【0026】
センサ装置56と協働する外部のコントロール装置54は、制動要求としてネットワークを介して外部のコントロール装置54にアウトプットされたセンサ信号60に対する応答として制御信号58を、ネットワークを介してコントロールユニット52にアウトプットするために設計されているので、コントロールユニット52は、制御信号58によって予め設定された制動機能を実行するためにブレーキアクチュエータ50を制御する。特に、外部のコントロール装置54は、制御信号58によって要求されたブレーキアクチュエータ50の制動機能が制動要求に相当し、場合によっては外部のコントロール装置54に提供されたセンサデータと一致しおよび/または外部のコントロール装置54によって同様に制御された、車両の少なくとも1つの車両構成部品と一致することを保証するために設計されていてよい。それゆえ、外部のコントロール装置54は、ネットワークを介して制御信号58をコントロールユニット52にアウトプットするために、通常は、30ミリ秒乃至50ミリ秒の時間を必要とする。多くの場合、外部のコントロール装置54によるセンサ信号60の受信と、外部のコントロール装置54による制御信号58のアウトプットとの間に、少なくとも100ミリ秒の時間間隔も存在する。
【0027】
ネットワークに接続されたコントロールユニット52も、ネットワークに接続されたセンサ装置56と協働するために設計されている。しかしながら、センサ信号60は一次的に外部のコントロール装置54に向けられているにもかかわらず、
図2に(破線の矢印で)概略的に示されているように、ブレーキアクチュエータ50のコントロールユニット52も、センサ装置56によってネットワークを介してアウトプットされたセンサ信号60を得る。コントロールユニット52が、センサ装置56からネットワークを介してアウトプットされたセンサ信号60を外部のコントロール装置54にアウトプットされた制動要求として検知するために設計されていることによって、コントロールユニット52が同様にネットワークに接続されたセンサ装置56とも好適な形式で協働することが保証されている。さらに、コントロールユニット52は追加的に、制動要求として検知されたセンサ信号60に対する応答としてブレーキアクチュエータ50を少なくとも遷移時間間隔だけ、コントロールユニット52に記憶された
ブリッジ機能が制御されたブレーキアクチュエータ50によって実行可能/実行されるように、制御するために設計されている。
【0028】
これによって、コントロールユニット52は、外部のコントロール装置54によってネットワークを介して制御信号58が(時間的に遅れて)コントロールユニット52にアウトプットされる前に既に、ブレーキアクチュエータ50が外部のコントロール装置54によるセンサ信号60の受信と外部のコントロール装置54による制御信号58のアウトプットとの間の時間間隔中に既に好適な
ブリッジ機能を開始するように、ブレーキアクチュエータ50を制御する。これによって、コントロールユニット52の好適な設計により、センサ信号60のアウトプットに対する、これと同時に制御されたブレーキアクチュエータ50の、従来技術(
図1参照)と比較して明らかに、より早期の応答が実現される。したがって、外部のコントロール装置54によるセンサ信号60の受信と外部のコントロール装置54による制御信号58のアウトプットとの間の少なくとも100ミリ秒の時間的な遅延さえも、ブレーキアクチュエータ50の開始された
ブリッジ機能によって調整され得る。
【0029】
ブリッジ機能として、ブレーキアクチュエータ50は例えば作動プログラム/ウォーミングアッププログラムを実行することができ、これによって、ブレーキアクチュエータ50は、作動されていないモードから作動されたモードへ移行可能である。この場合、外部のコントロール装置54によるセンサ信号60の受信と外部のコントロール装置54による制御信号58のアウトプットとの間の時間間隔中に既に開始されたブリッジ機能は、ブレーキアクチュエータ50がより早期にその作動されたモードにもたらされ、したがってより早期に車両を制動するために使用され得るように保証する。
【0030】
好適な形式で、ブリッジプログラムとは、ブレーキアクチュエータ50がその実行されたブリッジプログラムによって車両の(軽い)制動を生ぜしめる、ブレーキアクチュエータ50の機能であると解釈されてよい。この場合、車両は、外部のコントロール装置54により制御信号58がネットワークを介してコントロールユニット52にアウトプットされる前に既に(軽く)制動される。特に、ブレーキアクチュエータ50は、制動機能の上記挙げられた例のうちの1つをブリッジプログラムとして実行することができる。
【0031】
コントロールユニット52の好適な設計は、ここで挙げたすべてのケースにおいて、センサ装置56によるセンサ信号60のアウトプットと(少なくとも)ブレーキアクチュエータ50によって生ぜしめられた車両の制動との間の従来の遅延を最小にするために寄与する。ブレーキアクチュエータ50がブリッジ機能として作動プログラム/ウォーミングアップ機能を実行する場合も、またブレーキアクチュエータ50がその実行されたブリッジプログラムを用いて車両の(軽い)制動を生ぜしめる場合も、コントロールユニット52の好適な構成は、要求された制動要求を実行する車両の制動距離を(まだ制動されていない車両の最新の実際速度に応じて)著しく低下させるために寄与する。コントロールユニット52の好適な構成によって、制動距離をしばしば数メートル短縮することができる。
【0032】
好適な形式で、センサ信号60を制動要求として検知するコントロールユニット52は、コントロールユニット52が制御信号58に対する応答として、ブレーキアクチュエータ50がブリッジ機能を中断して、制御信号58によりブレーキアクチュエータ50から要求された制動機能を実行するように、ブレーキアクチュエータ50を制御することによって、遅れて外部のコントロール装置54からネットワークを介してアウトプットされた制御信号58に対する応答として遷移時間間隔を終了するために設計されている。これにより、コントロールユニット52は、ブリッジ機能を実行するために制御されたブレーキアクチュエータ50が、それにも拘わらず標準的な形式で制御信号58に応答しそれによってブレーキアクチュエータ50の運転を、外部のコントロール装置54によって要求された機能形式に適合させることを保証することができる。
【0033】
好適な形式で、センサ信号60を制動要求として検知したコントロールユニット52は、遷移時間間隔を遅くともその予め設定された最大待機時間後に終了させるためにも設計されている。ブリッジ時間間隔が最大で継続する最大待機時間は、好適な形式で100ミリ秒と同じかこれより短く、特に80ミリ秒と同じかこれより短い。例えば、ブリッジ機能として構成されたブレーキアクチュエータ50の作動プログラム/ウォーミングアッププログラムは、コントロールユニット52が予め設定された最大待機時間中に外部のコントロール装置54から制御信号58を受信しないかぎり、ブレーキアクチュエータ50が再びその非作動モードに存在するように中断される。特に、ブレーキアクチュエータ50がその実行されたブリッジプログラムを用いて車両に(軽い)制動を作用させるかぎり、コントロールユニット52は最大待機時間の経過後にブレーキアクチュエータ50を、車両の制動が制御されたブレーキアクチュエータ50によって阻止/取り消されるように制御する。ここに記載されたコントロールユニット52の好適な設計により、センサ信号60に対するコントロールユニット52の早期の応答が、車両の過剰制動を招くことがないように、保証され得る。これは特に、センサ信号60が受信されているにも拘わらず、外部のコントロール装置54が制御信号58をコントロールユニット52にアウトプットしない状況において有利である。何故ならば、例えば外部のコントロール装置54が、外部のコントロール装置54に提供されたセンサデータに基づいておよび/または外部のコントロール装置54によって同様に制御された車両の少なくとも1つの車両構成部品の最新の運転に基づいて、ブレーキアクチュエータ50を用いた車両の(追加的な)制動が不都合であることを検知するからである。
【0034】
好適な実施態様として、ネットワークに接続されたコントロールユニット52が、様々な形式の制動要求をセンサ信号60によって検知し、ブレーキアクチュエータ50によって実行しようとするブリッジ機能を相応に選択/適合するために設計されていてもよい。例えば、コントロールユニット52は、非常ブレーキ要求および/またはダイナミック制動要求をセンサ信号60から読み取り、それに従ってブレーキアクチュエータ50を、コントロールユニット52に記憶されたブリッジ機能としての非常ブレーキ機能またはダイナミック制動機能が、制御されたブレーキアクチュエータ50によって実行可能/実行されるように、制御するために設計されていてよい。したがって、コントロールユニット52は、様々な形式の制動要求に対して特有の反応をすることができる。
【0035】
ここでもう一度、コントロールユニット52の好適な構成が、良好な走行快適性および高い安全水準を有する車両(場合によって運転者のいない車両)の全自動式/全自律的な走行を許容する、車両構成部品50乃至56の協働作業を可能にするということを指摘しておく。
【0036】
前記利点は、このような形式のコントロールユニット52を備えた車両のためのブレーキアクチュエータ50においても保証されている。
【0037】
図3は、車両のためのブレーキシステムの1実施例の概略図を示す。
【0038】
図3に概略的に示されたブレーキシステムはネットワーク62を有しており、このネットワーク62に、コントロールユニット52によって制御されている少なくとも1つのブレーキアクチュエータ50と、少なくとも1つのブレーキアクチュエータ50と協働する外部のコントロール装置54と、同様に少なくとも1つのブレーキアクチュエータ50と協働するセンサ装置56とが接続されている。ネットワーク62および図示されているネットワーク構成部品50乃至56の特性については前記説明が参照される。
【0039】
図4は、車両のブレーキアクチュエータを運転するための方法の1実施例を説明するためのフローチャートを示す。
【0040】
ここに記載された方法は、それぞれ車両のネットワークに接続された様々な型式の複数のブレーキアクチュエータを運転するために使用することができる。
【0041】
ネットワークに接続された車両の外部のコントロール装置からネットワークを介してアウトプットされた制御信号がブレーキアクチュエータで受信されるかぎり、方法ステップS1が実行される。方法ステップS1として、ブレーキアクチュエータは、制御信号によって外部のコントロール装置から要求され、かつブレーキアクチュエータによって実行しようとする制動機能が、制御されたブレーキアクチュエータによって実行されるように、制御される。
【0042】
もちろん、方法ステップS1の前で既に、ネットワークに接続された車両のセンサ装置からネットワークを介してアウトプットされたセンサ信号がブレーキアクチュエータで受信され、このセンサ信号が、外部のコントロール装置にアウトプットされた制動要求として検知されるかぎり、方法ステップS2が実行されてよい。この場合、方法ステップS2として、ブレーキアクチュエータは、少なくとも遷移時間間隔だけ、制御されたブレーキアクチュエータによって予め設定されたブリッジ機能が実行されるように、制御される。
【0043】
ここに記載された方法を用いても、センサ信号を用いた車両のセンサ装置による制動要求と、ブレーキアクチュエータによって生ぜしめられる車両の制動との間の時間は、著しく短縮される。しばしば、センサ信号を用いた車両のセンサ装置による制動要求と、ブレーキアクチュエータによって生ぜしめられた車両の制動との間に存在する時間は50%まで短縮される。これは、車両の外側周囲内のその他の道路使用者の改善された保護のために、特に車両の外側周囲内の歩行者の改善された保護のために寄与する。同時に、好適には遷移時間間隔をせいぜい予め設定された待機時間に制限することによってこの方法を実行する際にも、車両の過剰制動は避けられる。
【符号の説明】
【0044】
10 ブレーキ倍力装置
12 原動機コントロール装置
14 外部のコントロール装置
16 センサ装置
18 センサ信号
20 制御信号
50 ブレーキアクチュエータ
52 コントロールユニット
54 外部のコントロール装置
56 センサ装置
58 制御信号
60 センサ信号
62 ネットワーク
S1 ステップ
S2 ステップ