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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】創外固定のための多軸支柱
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/60 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
A61B17/60
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021576618
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-30
(86)【国際出願番号】 IB2020054471
(87)【国際公開番号】W WO2020260968
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】16/450,527
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ラボリタノ・スコット
(72)【発明者】
【氏名】コスタンゾ・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウォール・マイケル
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0270822(US,A1)
【文献】特表2007-526007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-18/00
A61F 2/01
A61N 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸創外固定支柱であって、
支柱部材と、
前記支柱部材の端部分に連結された第1のボールジョイントであって、前記第1のボールジョイントは、
第1のボールジョイント本体と、
第1のボール部材であって、前記第1のボール部材は、前記第1のボールジョイント本体に回転可能に連結されている、第1のボール部材と、を含む、第1のボールジョイントと、を備え、
前記第1のボールジョイントは、摩擦部材を含み、前記摩擦部材は、前記第1のボール部材と前記第1のボールジョイント本体との間に摩擦を生じさせて、前記第1のボールジョイント本体に対する前記第1のボール部材の調節可能な位置を維持するように構成されており、
前記第1のボールジョイントは、
前記第1のボール部材に取り付けられた第1のリング接触部分と、
前記第1のボールジョイント本体と前記第1のリング接触部分に取り外し可能に取り付けられた固定器クリップと、を更に含み、
前記固定器クリップは、前記第1のボールジョイント本体と前記第1のリング接触部分を線形構成で固定するように構成されている、多軸創外固定支柱。
【請求項2】
前記支柱部材は、前記第1のボールジョイントの反対側の前記支柱部材の前記端部分に連結された第2のボールジョイントを更に含む、請求項1に記載の多軸創外固定支柱。
【請求項3】
前記摩擦部材は、ばね部材を含む、請求項1に記載の多軸創外固定支柱。
【請求項4】
前記ばね部材は、円錐のばねワッシャを含む、請求項3に記載の多軸創外固定支柱。
【請求項5】
前記ばね部材は、前記支柱部材の端部と前記第1のボール部材との間に位置付けられている、請求項3に記載の多軸創外固定支柱。
【請求項6】
前記摩擦部材は、ばねクリップ部材を含む、請求項1に記載の多軸創外固定支柱。
【請求項7】
前記ばねクリップ部材は、C字形状である、請求項6に記載の多軸創外固定支柱。
【請求項8】
前記ばねクリップ部材は、前記第1のボール部材を少なくとも部分的に取り囲むように構成されている、請求項6に記載の多軸創外固定支柱。
【請求項9】
前記ばねクリップ部材は、前記第1のボールジョイント本体の内側表面の少なくとも外周の一部に沿って延びるチャネル内に着座するように構成されている、請求項6に記載の多軸創外固定支柱。
【請求項10】
前記ばねクリップ部材は、前記第1のボール部材の外側表面の少なくとも外周の一部に沿って延びるチャネル内に着座するように構成されている、請求項6に記載の多軸創外固定支柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的には創外骨固定のための多軸支柱に関する。より具体的には、本開示は、多軸支柱の端部を調節可能な位置に維持する構造を含む多軸支柱に概ね関する。
【背景技術】
【0002】
創外固定は、従来、骨折した肢の支持を提供するように、外側足場デバイスに固定された、経皮的に配置されたピン及び/又はワイヤの使用を伴う。この機構を使用して、骨又は関節は、肢の再建中に安定化され得る。この手法は、内部プレート及び髄内釘と比較して多くの利益を提示する。創外固定具は、軟組織、骨血液供給部及び骨膜の破壊が少なく、皮膚の質が損なわれる急性又は慢性外傷の場合に軟組織管理に特に理想的である。加えて、ピン及びワイヤの一過性の特性は、内部インプラントの存在により、感染症の治療をより困難にすると考えらえる骨の感染症の場合に骨安定性を提供するための理想的なフレームとなる。更に、内部プレートとは異なり、創外固定具は、術後調節機能を提供する。創外固定はまた、肢部伸長処置及び変形矯正処置において使用されてもよい。
【0003】
様々な種類の創外固定具が臨床用途に使用されている。1つのタイプの創外固定具は、円形フレーム固定具である。古典的な円形フレームは、Taylor Spatial Frame(TSF)などの他の円形フレームと一体化され得るIlizarov創外固定具である。フレームの基本構成要素は、リング、接続ロッド、及び支柱である。Ilizarovリングは、完全(閉じた)リング、部分(開いた)リング、又はアーチとして構成されてもよい。
【0004】
別のタイプの円形フレームは、Taylor Spatial Frame(TSF)である。TSFは、Stewartプラットフォームに基づくヘキサポッド・デバイスである。このデバイスは、支柱によって接続された2つ以上のアルミニウム又は炭素繊維リングを含む。各支柱は、所望の結果、すなわち、骨折部位での圧縮、伸長などを達成するために、独立して伸長又は短縮することができる。TSFは、ワイヤ又は半割りピンによって骨に接続され、取り付けられた骨は、6つの軸(前側/後側、内反/外反、伸長/短縮)において操作され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多軸支柱は、支柱が互いに必ずしも平行ではなく、必ずしもリングに対して垂直ではない創外固定フレームを作製するために一般的に使用される。典型的な支柱端部は、非直交配向に適応するように旋回することができ、そのような旋回端部は、デフォルトでいかなる相対位置も重力によって統制されるように、フレーム構築中、通常は拘束されない。このようなフレームを構築するプロセスを容易にするために、これらの多軸支柱が、フレーム構築中に重力によって設定されるものではなく、外科医によって設定された配向を維持することが所望される。支柱をリングに固定する前に、支柱の角のある部分を固定することができることも所望される。
【0006】
加えて、支柱リング固定具のフレームのための市場には、2つの異なるタイプの支柱、すなわち、線形支柱及び多軸支柱が存在する。これにより、製造業者に付加的なコストが生み出され、外科医の柔軟性が低下した。したがって、線形として挙動するように構成された支柱及び多軸支柱もまた所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前述の利点は、様々な例示的実施形態によって達成することができ、実現可能な利点を網羅すること又は限定することを意図するものではない。したがって、様々な例示的実施形態のこれらの目的及び利点並びに他の目的及び利点は、本明細書の説明から明らかとなるか、あるいは本明細書で具体化されるような、又は当業者には明らかであり得る任意の変形例を考慮して修正されるような、様々な例示的実施形態を実施することから知ることができる。したがって、本発明は、様々な例示的実施形態において図示及び説明される、本明細書における新規な方法、配列、組み合わせ、及び改善の中に存在する。
【0008】
より拘束された旋回端部を有する多軸創外固定支柱システムの本必要性に鑑みて、様々な例示的実施形態の簡潔な概要が提示される。以下の概要では、いくつかの単純化及び省略が行われることがあり、これらは、各種の例示の実施形態のいくつかの態様を強調及び紹介するためであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。当業者による発明の概念の製造及び使用を可能ならしめるうえで適切な好ましい例示的実施形態の詳細な説明を以下の各項に示す。
【0009】
本明細書における様々な実施形態は、支柱部材と、支柱部材の端部分に連結された第1のボールジョイントと、を備える、多軸創外固定支柱に関する。第1のボールジョイントは、第1のボールジョイント本体と、第1のボール部材と、を含む。第1のボール部材は、第1のボールジョイント本体に回転可能に連結されている。第1のボールジョイントは、第1のボール部材と第1のボールジョイント本体との間に摩擦を生じさせて、第1のボールジョイント本体に対する第1のボール部材の調節可能な位置を維持するように構成された、ばねクリップ部材又はばね部材などの摩擦部材を更に含む。
【0010】
本明細書に開示された様々な実施形態は、支柱部材と、支柱部材の端部分に連結された第1のボールジョイントと、を備える、多軸創外固定支柱に関する。第1のボールジョイントは、第1のボールジョイント本体と、第1のボール部材と、を含む。第1のボール部材は、第1のボールジョイント本体に回転可能に連結されている。第1のボールジョイントは、ばねクリップ又はばね部材などの摩擦部材を収容するように構成された、第1のボールジョイント本体の内側表面の少なくとも外周の一部に沿って延びるチャネル又は第1のボール部材の外側表面の少なくとも外周の一部に沿って延びるチャネルを更に含む。摩擦部材は、第1のボール部材と第1のボールジョイント本体との間に摩擦を生じさせて、第1のボールジョイント本体に対する第1のボール部材の調節可能な位置を維持するように構成されている。
【0011】
本明細書に開示された様々な実施形態は、多軸創外固定支柱に更に関し、支柱部材は、第1のボールジョイントの反対側の支柱部材の端部分に連結された第2のボールジョイントを更に含む。
【0012】
本明細書における様々な実施形態は、ばね部材を含む多軸創外固定支柱に更に関し、ばね部材は円錐のばねワッシャを含む。
【0013】
本明細書に開示された様々な実施形態は、ばねクリップ部材を含む多軸創外固定支柱に更に関し、ばねクリップ部材はC字形状である。
【0014】
本明細書に開示された様々な実施形態は、第1のボール部材に取り付けられた第1のリング接触部分を更に含む多軸創外固定支柱に更に関する。
【0015】
本明細書に開示された様々な実施形態は、第1のボールジョイント本体及び第1のリング接触部分に取り付けられ、線形構成で第1のボールジョイント本体及び第1のリング接触部分を固定するように構成された、固定器クリップを更に含む、多軸創外固定支柱に更に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
様々な例示的実施形態をよりよく理解するために、添付図面を参照する。
図1】多軸支柱の側面斜視図である。
図2】多軸支柱の分解図である。
図3】多軸支柱の断面側面図である。
図4】ばねクリップ部材の斜視図である。
図5】ボールジョイントスタッド部材の側面図である。
図6】ばねクリップ部材に対するボールジョイントスタッド部材の動きを示す図である。
図7】線形構成でボールジョイント本体内に位置付けられたボールジョイントスタッド部材及びばねクリップ部材の断面側面図である。
図8】所定の角度構成でボールジョイント本体及びボールジョイントリング接触部内に位置付けられたボールジョイントスタッド部材及びばねクリップ部材の断面側面図である。
図9A】支柱ロッドとボールジョイントスタッド部材との間に位置付けられたばね部材を有する多軸支柱の端部の断面側面図である。
図9B】ばね部材の斜視図である。
図10A】創外固定具足支持体と共に使用するために構成された多軸支柱の実施形態の側面図である。
図10B】創外固定具足支持体と共に使用するために構成された多軸支柱の実施形態の分解側面図である。
図10C】創外固定具足支持体と共に使用するために構成された多軸支柱の実施形態の断面側面図である。
図10D】創外固定具足支持体に嵌合された多軸支柱の実施形態の斜視図である。
図10E】創外固定具足支持体に嵌合された多軸支柱の実施形態の側面図である。
図11A】創外固定具フットプレートと共に使用するために構成された多軸支柱の実施形態の側面図である。
図11B】創外固定具フットプレートと共に使用するために構成された多軸支柱の実施形態の断面側面図である。
図11C】創外固定具フットプレートと嵌合された多軸支柱の実施形態の斜視図である。
図11D】創外固定具フットプレートと嵌合された多軸支柱の実施形態の分解斜視図である。
図12A】ボールジョイント本体及びリング接触部分に取り付けられた固定器クリップの断面斜視図である。
図12B】ボールジョイント本体及びリング接触部分に取り付けられた固定器クリップの実施形態の側面図である。
図12C】固定器クリップの斜視図である。
図12D】固定器クリップの上面図である。
図12E】固定器クリップの取り外し後のボールジョイントの斜視図である。
図13】支柱ロッドとボールジョイントスタッド部材との間に位置付けられた展性インプラントの断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に記載された実施形態は、多軸創外固定支柱を開示する。本明細書における様々な実施形態は、創外固定支柱の拘束された多軸機能並びに線形機能を可能にする恒久的デバイス及び一時的デバイスを更に開示している。本明細書に開示された様々な実施形態は、外科医が、創外フレーム構築中に、多軸支柱の旋回端部の角度配向を維持することを可能にする。
【0018】
ここで図面を参照すると、同様の数字は同様の構成要素又は工程を指し、様々な例示的実施形態の広範な態様が開示されている。図1及び図2は、多軸支柱100の実施形態の側面斜視図及び分解図をそれぞれ示す。多軸支柱100は、近位側ボールジョイント101及び遠位側ボールジョイント102を含む。近位側ボールジョイント101及び遠位側ボールジョイント102は共に、ボールジョイント本体110と、ボールジョイント本体110に回転可能に連結されたボールジョイントスタッド部材120と、を含み得る。ボールジョイントスタッド部材120は、ボール部材121と、シャフト部分124と、を含む。図1に示すように、ボールジョイント本体110は、ボールジョイントスタッド部材120のシャフト部分124の近位端を収容するように構成された複数の溝113を含む。溝113は、外科医によって設定される際、特定の角度位置でボールジョイント本体110内にボールジョイントスタッド部材120を鋭角に角度付けすることを可能にする。遠位側ボールジョイント102は、リング接触部分130内でボールジョイントスタッド部材120の回転を阻止するように構成されたピン122を用いてボールジョイントスタッド部材120に取り付けられているリング接触部分130を更に含む。
【0019】
多軸支柱100は、支柱ロッド150をスライド可能に受容する支柱管141を含む支柱部材140を更に含む。支柱管141及び支柱ロッド150は、調節ノブ143を含む接続部分142を使用して接続されている。調節ノブ143は、創外固定のために使用されるリングフレーム(図示せず)に適合するように、多軸支柱100の所望の長さへの長さ調節を可能にするように構成されている。この実施形態では、調節ノブ143の押下により、支柱管141内の支柱ロッド150のスライド可能な移動が可能になる。しかしながら、調節ノブ143は、多軸支柱100の長さ調節を可能にすると考えられる、当該技術分野において既知の任意の構成を含んでもよい。図2に示すように、遠位側ボールジョイント102は、ボールジョイントスタッド部材120のボール部材121を少なくとも部分的に取り囲むように構成されているばねクリップ部材111を更に含んでもよい。
【0020】
更に、図1に示すように、ボールジョイント101、102を線形構成で固定するために、以下でより詳細に説明される固定器クリップ部材160を近位側ボールジョイント101及び/又は遠位側ボールジョイント102に取り付けてもよい。
【0021】
図3は、多軸支柱100の断面側面図を示す。図3に示すように、ボールジョイント本体110は、ボールジョイント本体110の内側表面113の外周に沿って延びるチャネル112を含んでもよい。チャネル112は、ばねクリップ部材111を収容するように構成されている。ボール部材121はまた、ばねクリップ部材111を収容するチャネル125を含んでもよい。図3に示すように、ばねクリップ部材111は、ボールジョイント本体110内で回転される際にボール部材121間に摩擦を生じさせて、ボールジョイント本体110内のボール部材121の調節可能な位置を維持するように構成されている。
【0022】
図4は、ばねクリップ部材111の実施形態のより詳細な図である。この実施形態では、ばねクリップ部材111は、開放側116及び中央開口部117を有するC字形縁部115を含む。図5は、ボールジョイントスタッド部材120の実施形態のより詳細な図を示す。ボールジョイントスタッド部材120は、近位端にボール部材121と、ボールジョイントスタッド部材120をリング接触部分130に取り付けるピン122を収容する開口123と、を含む。ボールジョイントスタッド部材120は、多軸支柱100を創外固定フレーム(図示せず)に固定するように構成されたねじ付きシャフト部分124を更に含んでもよい。
【0023】
図6は、ボールジョイントスタッド部材120のボール部材121を部分的に取り囲むばねクリップ部材111の実施形態のより詳細な図を示す。図示のように、ボール部材121は、ばねクリップ部材111の中央開口部117内にぴったりと適合するように構成されている。
【0024】
図7は、遠位側ボールジョイント102のより詳細な断面側面図を示す。図7に示すように、ボールジョイント本体110は、ばねクリップ部材111を収容するようにサイズ決めされたチャネル112を含む。ボールジョイントスタッド部材120のボール部材121は、ばねクリップ部材111によって回転可能に収容されている。使用中、ボールジョイントスタッド部材120は、ばねクリップ部材111内で外科医によって移動されてもよい。図8により明確に図示されているように、ばねクリップ部材111は、ボール部材121がボールジョイント本体110内で回転される際にボール部材121とボールジョイント本体110との間に摩擦を生じさせて、ボールジョイント本体110内のボール部材121の調節可能な位置を維持するように構成されている。
【0025】
他の実施形態では、ばねクリップ部材111は、遠位側ボールジョイント102の任意の層内に、又は遠位側ボールジョイント102の複数の層に一体化されてもよい。いくつかの実施形態では、ばねクリップ部材111は、ボール部材121上の溝内に着座して、ボールジョイント本体110の内側表面と境界面で接触してもよい。様々な実施形態において、ばねクリップ部材111によって生成された摩擦量は、接触表面係数及びばねクリップ部材111によって生成された任意の垂直抗力の関数であり得る。ばねクリップ部材111の表面仕上げ及びばね定数は、当業者に既知のような所望の固定の量に従って最適化されてもよい。
【0026】
代替的な実施形態では、ばねクリップ部材111は、ボール部材とボールジョイント本体との間に効果的に摩擦を生じさせる任意のデバイスによって置き換えられてもよい。様々な実施形態において、摩擦生成部材は、図9A及び図9Bにおいてより詳細に示されるように、ばね部材114であってもよい。様々な実施形態において、ばね部材114は、支柱ロッド150の端部とボール部材121の近位端との間に位置付けられるように構成された円錐のばねワッシャ114a及び114bを含んでもよい。
【0027】
図10A図10Eは、多軸支柱1000の第2の実施形態を示す。多軸支柱1000は、近位側ヘッド部分1001及び遠位側ボールジョイント1002を含む。遠位側ボールジョイント1002は、ボールジョイント本体1010と、ボールジョイント本体1010に回転可能に連結されたボールジョイントスタッド部材1020と、を含んでもよい。ボールジョイントスタッド部材1020は、ボール部材1021と、シャフト部分1024と、を含む。図10A及び図10Bに示されるように、ボールジョイント本体1010は、ボールジョイントスタッド部材1020のシャフト部分1024の近位端を収容するように構成された複数の溝1013を含む。溝1013は、外科医によって設定される際、特定の角度位置でボールジョイント本体1010内にボールジョイントスタッド部材120を鋭角に角度付けすることを可能にする。遠位側ボールジョイント1002は、リング接触部分1030内でボールジョイントスタッド部材1020の回転を阻止するように構成されたピン1022を用いてボールジョイントスタッド部材1020に取り付けられているリング接触部分1030を更に含む。
【0028】
多軸支柱1000は、支柱ハウジング1044内にスライド可能に受容される支柱ボルト1050を含む支柱部材1040を更に含む。支柱ボルトは、ナット1045に固定され、次にボールジョイント本体1010に固定される。図10Cに示すように、遠位側ボールジョイント1002は、ボールジョイントスタッド部材1020のボール部材1021を少なくとも部分的に取り囲むように構成されているばねクリップ部材1011を更に含んでもよい。ボールジョイント本体1010は、ボールジョイント本体1010の内側表面1014の外周に沿って延びるチャネル1012を更に含んでもよい。チャネル1012は、ばねクリップ部材1011を収容するように構成されている。ばねクリップ部材1011は、ボールジョイント本体1010内で回転される際にボール部材1021間に摩擦を生じさせるように構成されている。代替的な実施形態では、ばねクリップ部材1011は、ボール部材とボールジョイント本体との間に効果的に摩擦を生じさせる、本明細書に記載されたばね部材114などの任意のデバイスによって置き換えられてもよい。
【0029】
図10D及び図10Eは、創外固定具足支持体フレーム1031,1032に嵌合された多軸支柱1000の実施形態の斜視図及び側面図である。
【0030】
図11A図11Dは、多軸支柱1100の第3の実施形態を示す。多軸支柱1100は、近位側ヘッド部分1101及び遠位側ボールジョイント1102を含む。遠位側ボールジョイント1102は、ボールジョイント本体1110と、ボールジョイント本体1110に回転可能に連結されたボールジョイントスタッド部材1120と、を含んでもよい。ボールジョイントスタッド部材1120は、ボール部材1121と、シャフト部分1124と、を含む。遠位側ボールジョイント1102は、リング接触部分1130内でボールジョイントスタッド部材1120の回転を阻止するように構成された(図11に示すような)ピン1122を用いてボールジョイントスタッド部材1120に取り付けられているリング接触部分1130を更に含む。
【0031】
多軸支柱1100は、U字形の第1の突起1140a上のねじ山が付いていない開口部1146と、U字形の第2の突起1140b上のねじ山付き開口部1148と、を有するU字型開口部1147を含む支柱部材1140を更に含む。ねじ山が付いていない開口部1146及びねじ山付き開口部1148は、図11Cに示すように、支柱部材1140を創外固定具フットプレート1131、1133に固定するボルト1150を収容するように構成され、図11Bに示すように、遠位側ボールジョイント1102は、ボールジョイントスタッド部材1120のボール部材1121を少なくとも部分的に取り囲むように構成されているばねクリップ部材1111を更に含んでもよい。ボールジョイント本体1110は、ボールジョイント本体1110の内側表面1113の外周に沿って延びるチャネル1112を更に含んでもよい。チャネル1112は、ばねクリップ部材1111を収容するように構成されている。ばねクリップ部材1111は、ボールジョイント本体1110内で回転される際にボール部材1121間に摩擦を生じさせるように構成されている。代替的な実施形態では、ばねクリップ部材1111は、ボール部材とボールジョイント本体との間に効果的に摩擦を生じさせる、本明細書に記載されたばね部材114などの任意のデバイスによって置き換えられてもよい。
【0032】
図12A及び図12Bは、多軸支柱100の第4の実施形態を示す。この実施形態では、遠位側ボールジョイント102は、創外固定デバイスの構築中に、ボールジョイント本体110、ボールジョイントスタッド部材120及びリング接触部分130を軸方向の位置合わせに恒久的に又は一時的に維持するように構成されている取り外し可能に取り付けられた固定器クリップ160で更に固定されてもよい。図12C及び図12Dに示されるように、固定器クリップ160は、C字形の第1及び第2の先端部162a、162bにおいて、外方に突出する部分161a、161bを有する実質的にC字形状であってもよい。様々な実施形態において、固定器クリップ160の内側表面163は、ボールジョイント本体110、ボールジョイントスタッド部材120、及びリング接触部分130を線形構成で恒久的に又は一時的に固定するために、ボールジョイント本体110及びリング接触部分130の上にぴったりと適合するように構成された隆起部分164及び凹部分165を含んでもよい。使用中、固定器クリップ160は、図12Eに示されるように遠位側ボールジョイント102の角運動を可能にするように外科医の裁量で除去されてもよい。固定器クリップ160は、使い捨て又は再利用可能なプラスチック又は金属材料を含む任意の好適な材料から製造されてもよい。
【0033】
図13は、多軸支柱1300の第5の実施形態を示している。この実施形態では、遠位側ボールジョイント1302は、ボールジョイント本体1310を含み、ボールジョイント本体1310は、遠位端にボールジョイントスタッド部材1320を収容するようにサイズ決めされた第1の開口1311を含む。ボールジョイント本体1310は、近位端に支柱ロッド1350を収容するようにサイズ決めされた、第1の開口1311の反対側の第2の開口1312を更に含む。様々な実施形態において、展性インプラント1370は、支柱ロッド1350の固定端部1351とボールジョイントスタッド部材1320との間に位置付けられるように構成されてもよい。展性インプラント1370は、任意の生体適合性展性インプラント材料から製造されてもよい。この実施形態では、ボールジョイントスタッド部材1320の近位端に位置する第1の通路1321は、展性インプラント1370の遠位端を収容するようにサイズ決めされる。支柱ロッド1350はまた、展性インプラント1370の近位端を収容するようにサイズ決めされた第1の通路1321と反対側の第2の通路1351を更に含む。他の実施形態では、展性インプラント1370は、当業者に既知であるような他の構成を使用して、支柱ロッド1350の固定端部1351とボールジョイントスタッド部材1320との間に固定されてもよい。
【0034】
使用時には、展性インプラント1370は、ボールジョイント本体1310内のボールジョイントスタッド部材1320を所望の位置に一時的に固定することができる。この実施形態では、展性インプラント1370は、外科医によって設定された角度の付いた位置を、無視できるほどの跳ね返りで保持するように屈曲するように構成されている。展性インプラント1370は、展性インプラント1370の性能を劣化させることなく反復操作を可能にするように構成されている。
【0035】
したがって、展性インプラント1370は、創外固定デバイスの構築中に、重力によって設定されるものではなく、外科医によって設定されるような一時的な配向で遠位側ボールジョイント1302を維持することを可能にする。展性インプラント1370は、一時的な固定構成における遠位側ボールジョイント1302の維持を支援するための外部ツールを必要とせずに、遠位側ボールジョイント1302を一時的に固定することを更に可能にする。
【0036】
様々な例示の実施形態が、特にそれらの特定の例示の態様を参照しながら詳細に説明されてきたが、本発明は、他の実施形態も可能であり、またその詳細については、種々の明白な点において修正が可能であることを理解されたい。当業者にはすでに明らかなように、本発明の趣旨及び範囲内に留めながら変形及び修正に影響を与えることが可能である。したがって、前述の開示、説明、及び図面は、単に例示的な目的のみのためであって、本発明を何ら限定するものではなく、本発明は、特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0037】
〔実施の態様〕
(1) 多軸創外固定支柱であって、
支柱部材と、
前記支柱部材の端部分に連結された第1のボールジョイントであって、前記第1のボールジョイントは、
第1のボールジョイント本体と、
第1のボール部材であって、前記第1のボール部材は、前記第1のボールジョイント本体に回転可能に連結されている、第1のボール部材と、を含む、第1のボールジョイントと、を備え、
前記第1のボールジョイントは、摩擦部材を含み、前記摩擦部材は、前記第1のボール部材と前記第1のボールジョイント本体との間に摩擦を生じさせて、前記第1のボールジョイント本体に対する前記第1のボール部材の調節可能な位置を維持するように構成されている、多軸創外固定支柱。
(2) 前記支柱部材は、前記第1のボールジョイントの反対側の前記支柱部材の端部分に連結された第2のボールジョイントを更に含む、実施態様1に記載の多軸創外固定支柱。
(3) 前記摩擦部材は、ばね部材を含む、実施態様1に記載の多軸創外固定支柱。
(4) 前記ばね部材は、円錐のばねワッシャを含む、実施態様3に記載の多軸創外固定支柱。
(5) 前記ばね部材は、前記支柱部材の端部と前記第1のボール部材との間に位置付けられている、実施態様3に記載の多軸創外固定支柱。
【0038】
(6) 前記摩擦部材は、ばねクリップ部材を含む、実施態様1に記載の多軸創外固定支柱。
(7) 前記ばねクリップ部材は、C字形状である、実施態様6に記載の多軸創外固定支柱。
(8) 前記ばねクリップ部材は、前記第1のボール部材を少なくとも部分的に取り囲むように構成されている、実施態様6に記載の多軸創外固定支柱。
(9) 前記ばねクリップ部材は、前記第1のボールジョイント本体の内側表面の少なくとも外周の一部に沿って延びるチャネル内に着座するように構成されている、実施態様6に記載の多軸創外固定支柱。
(10) 前記ばねクリップ部材は、前記ボール部材の外側表面の少なくとも外周の一部に沿って延びるチャネル内に着座するように構成されている、実施態様6に記載の多軸創外固定支柱。
【0039】
(11) 前記第1のボールジョイントは、前記第1のボール部材に取り付けられた第1のリング接触部分を更に含む、実施態様1に記載の多軸創外固定支柱。
(12) 前記第1のボールジョイントは、前記第1のボールジョイント本体と前記第1のリング接触部分に取り外し可能に取り付けられた固定器クリップを更に含み、前記固定器クリップは、前記第1のボールジョイント本体と前記第1のリング接触部分を線形構成で固定するように構成されている、実施態様11に記載の多軸創外固定支柱。
(13) 多軸創外固定支柱であって、
支柱部材と、
前記支柱部材の端部分に連結された第1のボールジョイントであって、前記第1のボールジョイントは、
第1のボールジョイント本体と、
第1のボール部材であって、前記第1のボール部材は、前記第1のボールジョイント本体に回転可能に連結されている、第1のボール部材と、を含む、第1のボールジョイントと、を備え、
前記第1のボールジョイントは、摩擦部材を収容するように構成された、前記第1のボールジョイント本体の内側表面の少なくとも外周の一部に沿って延びるチャネル又は前記第1のボール部材の外側表面の少なくとも外周の一部に沿って延びるチャネルを含み、
前記摩擦部材は、前記第1のボール部材と前記第1のボールジョイント本体との間に摩擦を生じさせて、前記第1のボールジョイント本体に対する前記第1のボール部材の調節可能な位置を維持するように構成されている、多軸創外固定支柱。
(14) 前記支柱部材は、前記第1のボールジョイントの反対側の前記支柱部材の端部分に連結された第2のボールジョイントを更に含む、実施態様13に記載の多軸創外固定支柱。
(15) 前記摩擦部材は、ばねクリップ部材を含む、実施態様13に記載の多軸創外固定支柱。
【0040】
(16) 前記ばねクリップ部材は、C字形状である、実施態様15に記載の多軸創外固定支柱。
(17) 前記ばねクリップ部材は、前記第1のボールジョイント本体の内側表面の少なくとも外周の一部に沿って延びる前記チャネル内に着座するように構成されている、実施態様16に記載の多軸創外固定支柱。
(18) 前記ばねクリップ部材は、前記ボール部材の前記外側表面の少なくとも外周の一部に沿って延びる前記チャネル内に着座するように構成されている、実施態様16に記載の多軸創外固定支柱。
(19) 前記第1のボールジョイントは、前記第1のボール部材に取り付けられた第1のリング接触部分を更に含む、実施態様13に記載の多軸創外固定支柱。
(20) 前記第1のボールジョイントは、前記第1のボールジョイント本体と前記第1のリング接触部分に取り外し可能に取り付けられた固定器クリップを更に含み、前記固定器クリップは、前記第1のボールジョイント本体と前記第1のリング接触部分を線形構成で固定するように構成されている、実施態様19に記載の多軸創外固定支柱。
【0041】
(21) 多軸創外固定支柱であって、
支柱部材と、
前記支柱部材の端部分に連結された第1のボールジョイントであって、前記第1のボールジョイントは、
第1のボールジョイント本体と、
第1のボール部材であって、前記第1のボール部材は、前記第1のボールジョイント本体に回転可能に連結されている、第1のボール部材と、を含む、第1のボールジョイントと、を備え、
前記第1のボールジョイントは、前記第1のボールジョイント本体の内側表面の少なくとも外周の一部に沿って延び、ばねクリップ部材を収容するように構成された、チャネルを含み、
前記ばねクリップ部材は、前記第1のボール部材を少なくとも部分的に取り囲んで、前記第1のボールジョイント本体に対する前記第1のボール部材の調節可能な位置を維持する、多軸創外固定支柱。
(22) 支柱ハウジングは、前記第1のボールジョイントの反対側の前記支柱ハウジングの端部分に連結された第2のボールジョイントを含む、実施態様21に記載の多軸創外固定支柱。
(23) 前記ばねクリップ部材は、C字形状である、実施態様21に記載の多軸創外固定支柱。
(24) 前記第1のボールジョイントは、前記第1のボール部材に取り付けられた第1のリング接触部分を更に含む、実施態様21に記載の多軸創外固定支柱。
(25) 前記第1のボールジョイントは、前記第1のボールジョイント本体と前記第1のリング接触部分に取り外し可能に取り付けられた固定器クリップを更に含み、前記固定器クリップは、前記第1のボールジョイント本体と前記第1のリング接触部分を線形構成で固定するように構成されている、実施態様24に記載の多軸創外固定支柱。
【0042】
(26) 多軸創外固定支柱であって、
内部を通って画定された軸線方向ボアを有する支柱部材と、
前記軸線方向ボア内にスライド可能に配設された支柱ロッドであって、前記支柱ロッド及び支柱ハウジングは、コネクタ部材によって解放可能に連結されている、支柱ロッドと、
前記支柱ハウジングの端部分に連結された第1のボールジョイントであって、前記第1のボールジョイントは、
第1のボールジョイント本体と、
第1のボール部材であって、前記第1のボール部材は、前記第1のボールジョイント本体に回転可能に連結されている、第1のボール部材と、を含む、第1のボールジョイントと、を備え、
前記第1のボールジョイントは、前記支柱ロッドの端部と前記第1のボール部材との間に位置付けられた展性部材を含み、
前記展性部材は、前記第1のボールジョイント本体に対する前記第1のボール部材の調節可能な位置を維持するように構成されている、多軸創外固定支柱。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13