(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】三進数論理回路
(51)【国際特許分類】
H03K 19/20 20060101AFI20240617BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20240617BHJP
H01L 27/092 20060101ALI20240617BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240617BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20240617BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20240617BHJP
H01L 29/866 20060101ALI20240617BHJP
H01L 29/88 20060101ALI20240617BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20240617BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20240617BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240617BHJP
H01L 29/161 20060101ALI20240617BHJP
H01L 29/66 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
H03K19/20 210
H01L27/092 C
H01L27/092 K
H01L27/06 102A
H01L29/90 D
H01L29/88 Z
H01L29/91 F
H01L29/06 601N
H01L29/161
H01L29/66 T
(21)【出願番号】P 2022022870
(22)【出願日】2022-02-17
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】10-2021-0081048
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517153929
【氏名又は名称】蔚山科學技術院
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲キュン▼祿
(72)【発明者】
【氏名】鄭 在源
(72)【発明者】
【氏名】崔 瑛恩
(72)【発明者】
【氏名】金 友石
(72)【発明者】
【氏名】全 宰鉉
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107731254(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0290941(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0341100(US,A1)
【文献】特開平07-038420(JP,A)
【文献】特開平06-276087(JP,A)
【文献】特開昭62-002650(JP,A)
【文献】特開2013-080906(JP,A)
【文献】Farzad Razi et al.,"A Variation-Aware Ternary Spin-Hall Assisted STT-RAM Based on Hybrid MTJ/GAA-CNTFET Logic",IEEE Transactions on Nanotechnology,米国,IEEE,2019年05月29日,Volume 18,p.598 - 605
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/20
H01L 21/8238
H01L 21/8234
H10K 85/20
H10K 10/40
H01L 21/329
H01L 29/861
H01L 29/06
H01L 29/161
H01L 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子及び出力端子と電気的に連結される、第1インバータ部と、
前記入力端子及び前記出力端子と電気的に連結され、前記第1インバータ部と並列に配される、第2インバータ部と、
前記第1インバータ部と前記出力端子との間に配され、
炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションダイオードを含む、第1ジャンクション部と、
前記第2インバータ部と前記出力端子との間に配され、
炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションダイオードを含む第2ジャンクション部と、を含み、
前記入力端子に印加される入力電圧の絶対値が第1入力電圧より小さいとき、前記出力端子は、第1出力電圧を出力し、前記入力電圧の絶対値が前記第1入力電圧より大きく、第2入力電圧より小さいとき、前記出力端子は、第2出力電圧を出力し、前記入力電圧の絶対値が前記第2入力電圧より大きいとき、前記出力端子は、第3出力電圧を出力する、
前記炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションダイオードは、少なくとも3×10
18
cm
-3
でドーピングされた、三進数論理回路。
【請求項2】
前記第1インバータ部は、第1閾値電圧を有する第1トランジスタと、前記第1トランジスタと並列に配され、第2閾値電圧を有する第2トランジスタと、を含み、
前記第2インバータ部は、第3閾値電圧を有する第3トランジスタと、前記第3トランジスタと並列に配され、第4閾値電圧を有する第4トランジスタと、を含み、
前記第1トランジスタと前記第3トランジスタは、p型チャネルを有し、前記第2トランジスタと前記第4トランジスタは、n型チャネルを有する、請求項1に記載の三進数論理回路。
【請求項3】
前記第1閾値電圧の絶対値と、前記第4閾値電圧の絶対値とが同じであり、
前記第2閾値電圧の絶対値と、前記第3閾値電圧の絶対値とが同じである、請求項2に記載の三進数論理回路。
【請求項4】
前記第1トランジスタ、第2トランジスタ、第3トランジスタ及び第4トランジスタは、炭素ナノチューブトランジスタである、請求項2に記載の三進数論理回路。
【請求項5】
前記第1トランジスタと前記第4トランジスタは、第1直径を有する炭素ナノチューブを含み、
前記第2トランジスタと前記第3トランジスタは、第2直径を有する炭素ナノチューブを含み、
前記第1直径は、前記第2直径より小さい、請求項4に記載の三進数論理回路。
【請求項6】
前記炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションダイオードに印加される電場は、1MV/cm以上である、請求項
1に記載の三進数論理回路。
【請求項7】
前記炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションダイオードは、n型ドーパント
でドーピングされた第1領域と、p型ドーパント
でドーピングされた第2領域と、を有する、請求項
1に記載の三進数論理回路。
【請求項8】
前記炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションダイオードは、前記入力電圧の絶対値が前記第1入力電圧の絶対値より大きく、前記第2入力電圧の絶対値より小さいとき、トンネリング電流を利用して電圧を分配する、請求項
1に記載の三進数論理回路。
【請求項9】
前記第1出力電圧は、動作電圧V
DDと同一サイズを有し、
前記第2出力電圧は、前記動作電圧V
DDの半分の大きさを有し、
前記第3出力電圧は、接地電圧GNDと同一サイズを有する、請求項1に記載の三進数論理回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三進数論理回路に係り、さらに詳細には、炭素ナノチューブを利用し、集積度が向上された三進数論理回路に関する。
【背景技術】
【0002】
二進数論理基盤のデジタルシステムは、多量のデータを迅速に処理するために、素子小型化を介し、情報密度(bit density)を増大させた。しかしながら、30nm以下に素子が小型化されて高集積化され、電流漏れと消費電力増加とが問題になっている。従って、そのような限界を克服し、情報密度を増大させるために、多重値論理(multi-valued logic)のうち一つである三進数論理回路への関心が急速に高まっている。
【0003】
多重値論理回路を具現するための方法のうち代表的な方法として、多重閾値電圧基盤の回路を構成する方法がある。このとき、直径を調節して閾値電圧を決定することができる炭素ナノチューブは、多重閾値電圧基盤の回路具現に適する物質として知られている。
【0004】
特許文献1は、三進数論理回路に係わるものであり、一実施形態による三進数論理回としては、電源電圧VDD,GND間に直列に連結されたプルアップ素子及びプルダウン素子、並びに入力電圧VIN及び出力電圧VOUTを含むものの、前記入力電圧VINによっていずれもオフになった場合、前記プルアップ素子と前記プルダウン素子とが、いずれも出力電圧VOUTにだけ影響を受ける単純抵抗として動作し、電圧分配を介し、第3の進数(「1」状態)を形成し、前記プルアップ素子または前記プルダウン素子の一方だけオンになって電流を流せば、電源電圧VDD(「2」状態)または電源電圧GND(「0」状態)を出力電圧VOUTに出力させ、情報密度を確実に高めることができるという効果がある。
【0005】
しかしながら、前述の従来技術は、プルアップ素子及びプルダウン素子だけで構成され、各状態への遷移が遅いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国登録特許公報登録番号第10-1689159号(2016.12.23.公告)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、集積度が向上された三進数論理回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の技術的課題を解決するために、本発明の一実施形態は、入力端子及び出力端子と電気的に連結される第1インバータ部、前記入力端子及び前記出力端子と電気的に連結され、前記第1インバータ部と並列に配される第2インバータ部、前記第1インバータ部と前記出力端子との間に配され、トンネルPNジャンクションを含む第1ジャンクション部、及び前記第2インバータ部と前記出力端子との間に配され、トンネルPNジャンクションを含む第2ジャンクション部を含み、前記入力端子に印加される入力電圧の絶対値が第1入力電圧より小さいとき、前記出力端子は、第1出力電圧を出力し、前記入力電圧の絶対値が前記第1入力電圧より大きく、第2入力電圧より小さいとき、前記出力端子は、第2出力電圧を出力し、前記入力電圧の絶対値が前記第2入力電圧より大きいとき、前記出力端子は、第3出力電圧を出力する三進数論理回路を提供する。
【0009】
一実施形態において、前記第1インバータ部は、第1閾値電圧を有する第1トランジスタ、及び前記第1トランジスタと並列に配され、第2閾値電圧を有する第2トランジスタを含み、前記第2インバータ部は、第3閾値電圧を有する第3トランジスタ、及び前記第3トランジスタと並列に配され、第4閾値電圧を有する第4トランジスタを含み、前記第1トランジスタと前記第3トランジスタは、p型チャネルを有し、前記第2トランジスタと前記第4トランジスタは、n型チャネルを有することができる。
【0010】
一実施形態において、前記第1閾値電圧の絶対値と、前記第4閾値電圧の絶対値とが同じであり、前記第2閾値電圧の絶対値と、前記第3閾値電圧の絶対値とが同じでもある。
一実施形態において、前記第1トランジスタ、第2トランジスタ、第3トランジスタ及び第4トランジスタは、炭素ナノチューブトランジスタでもある。
【0011】
一実施形態において、前記第1トランジスタと前記第4トランジスタは、第1直径を有する炭素ナノチューブを含み、前記第2トランジスタと前記第3トランジスタは、第2直径を有する炭素ナノチューブを含み、前記第1直径は、前記第2直径よりも小さい。
【0012】
一実施形態において、前記第1ジャンクション部及び第2ジャンクション部は、炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションを含んでもよい。
【0013】
一実施形態において、前記炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションに印加される電場は、1MV/cm以上でもある。
【0014】
一実施形態において、前記炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションは、n型ドーパントで高濃度ドーピングされた第1領域と、p型ドーパントで高濃度ドーピングされた第2領域と、を有することができる。
【0015】
一実施形態において、前記炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションは、少なくとも3×1018cm-3にもドーピングされる。
【0016】
一実施形態において、前記炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションは、前記入力電圧の絶対値が前記第1入力電圧の絶対値より大きく、前記第2入力電圧の絶対値より小さいとき、トンネリング電流を利用して電圧を分配することができる。
【0017】
一実施形態において、前記第1出力電圧は、動作電圧VDDと同一サイズ(VDD)を有し、前記第2出力電圧は、前記動作電圧の半分の大きさ(VDD/2)を有し、前記第3出力電圧は、接地電圧と同一サイズ(GND)を有することができる。
【0018】
前述の技術的課題を解決するために、本発明の他の一実施形態は、第1動作電極、第1共通電極、及び前記第1動作電極と前記第1共通電極との間に介在される第1炭素ナノチューブチャネルを含む第1トランジスタ部;前記第1トランジスタ部と前記第1共通電極を共有し、第1接地電極、及び前記第1共通電極と前記第1接地電極との間に介在される第2炭素ナノチューブチャネルを含む第2トランジスタ部;第2動作電極、第2共通電極、及び前記第2動作電極と前記第2共通電極との間に介在される第3炭素ナノチューブチャネルを含む第3トランジスタ部;前記第3トランジスタ部と前記第2共通電極を共有し、第2接地電極、及び前記第2共通電極と前記第2接地電極との間に介在される第4炭素ナノチューブチャネルを含む第4トランジスタ部;入力端子と電気的に連結され、前記第1炭素ナノチューブチャネル、前記第2炭素ナノチューブチャネル、前記第3炭素ナノチューブチャネル及び前記第4炭素ナノチューブチャネルの一部領域上に配されるゲート電極;出力端子と電気的に連結される出力電極;前記第1共通電極及び前記出力電極と電気的に連結される第1炭素ナノチューブジャンクション;並びに前記第2共通電極及び前記出力電極と電気的に連結される第2炭素ナノチューブジャンクション;を含む三進数論理回路を提供する。
【0019】
一実施形態において、前記第1炭素ナノチューブチャネルと前記第4炭素ナノチューブチャネルは、第1直径を有する炭素ナノチューブを含み、前記第2炭素ナノチューブチャネルと前記第3炭素ナノチューブチャネルは、第2直径を有する炭素ナノチューブを含み、前記第1直径は、前記第2直径よりも小さい。
【0020】
一実施形態において、前記第1炭素ナノチューブチャネルと前記第3炭素ナノチューブチャネルは、p型炭素ナノチューブを含み、前記第2炭素ナノチューブチャネルと前記第4炭素ナノチューブチャネルは、n型炭素ナノチューブを含んでもよい。
【0021】
一実施形態において、前記第1炭素ナノチューブジャンクション及び第2炭素ナノチューブジャンクションは、p型ドーピングされたp型炭素ナノチューブと、n型ドーピングされたn型炭素ナノチューブと、を含んでもよい。
【0022】
一実施形態において、前記第1炭素ナノチューブジャンクション及び第2炭素ナノチューブジャンクションは、少なくとも3×1018cm-3にもドーピングされる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態による三進数論理回路は、第1インバータ部、第2インバータ部、第1ジャンクション部及び第2ジャンクション部を利用して三進法情報を具現するように、3個の電圧値を出力することができる。
【0024】
このとき、第1ジャンクション部及び第2ジャンクション部は、トンネリング電流を利用し、入力電圧Vinの大きさと係わりなく、第1出力電圧VDDと第3出力電圧GNDとの中間値である第2出力電圧(VDD/2)を具現することができる。
【0025】
また、本発明の一実施形態は、炭素ナノチューブトランジスタを利用し、第1インバータ部及び第2インバータ部を構成し、各トランジスタの閾値電圧を容易に決定することができる。また、該第1ジャンクション部及び該第2ジャンクション部を、炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションとして形成することにより、三進数論理回路を小型化させ、回路の複雑度を低下させることができる。
【0026】
本発明の技術的効果は、以上で言及されたところに制限されるものではなく、言及されていない他の技術的効果は、以下の記載から当業者に明確に理解されうるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態による三進数論理回路を図示する図面である。
【
図2】
図1に図示された三進数論理回路の構成について説明するための回路図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、炭素ナノチューブを利用した三進数論理回路を図示する概念図である。
【
図4】印加されるゲート電圧により、各トランジスタを流れる電流の大きさを図示するグラフである。
【
図5A】第1インバータ部の動作について説明するグラフである。
【
図5B】第2インバータ部の動作について説明するグラフである。
【
図6】本発明の一実施形態による、炭素ナノチューブ基盤の三進数論理回路の入力電圧V
inと出力電圧V
outとの関係を図示するグラフである。
【
図7A】
図6に図示された状態(R1)において、第1ジャンクション部と第2ジャンクション部との動作について説明するための概念図である。
【
図7B】
図6に図示された各状態(R2)において、第1ジャンクション部と第2ジャンクション部との動作について説明するための概念図である。
【
図7C】
図6に図示された各状態(R3)において、第1ジャンクション部と第2ジャンクション部との動作について説明するための概念図である。
【
図8】本発明の一実施形態による、炭素ナノチューブ基盤の三進数論理回路の消費電力を図示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、さまざまな修正及び変形を許容しながらも、その特定実施形態は、図面に例示されて示され、以下において詳細に説明される。しかし、本発明は、開示された特別な形態に限定する意図ではなく、むしろ本発明は、請求項によって定義された本発明の思想と合致する全ての修正、均等及び代用を含む。
【0029】
層、領域または基板のような要素が、他構成要素「上(on)」に存在すると言及されるとき、それは、直接他要素上に存在するか、あるいはその間に中間要素が存在しうるということを理解することができるであろう。
【0030】
また、本発明は、電子的な環境設定、信号処理、及び/またはデータ処理などのために、従来技術を採用することができる。「部」、「要素」、「手段」、「構成」のような用語は、汎用され、本発明の構成要素は、機械的であって物理的な構成として限定されるものではない。
【0031】
たとえ第1、第2のような用語がさまざまな要素、成分、領域、層、段階及び/または地域についての説明に使用されるとしても、そのような要素、成分、領域、層、段階及び/または地域は、そのような用語によって限定されるものではないということが理解されるであろう。
【0032】
以下、添付図面を参照し、本発明の望ましい実施形態についてさらに詳細に説明する。以下において、図面上の同一構成要素については、同一参照符号を使用し、同一構成要素に係わる重複説明は、省略する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態による三進数論理回路を図示する図面である。
【0034】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による三進数論理回路10は、第1インバータ部110、第2インバータ部120、第1ジャンクション部130及び第2ジャンクション部140を含む。
【0035】
第1インバータ部110は、入力電圧Vinが印加される入力端子101、出力電圧Voutを出力する出力端子103、動作電圧VDDが印加される第1動作電極105、及び第1接地電極106と電気的に連結されうる。
【0036】
第1インバータ部110は、閾値電圧基盤の二進数論理回路と同一に動作することができる。すなわち、第1インバータ部110は、入力電圧Vinの絶対値が第1入力電圧より小さいとき、動作電圧VDDを出力し、入力電圧Vinの絶対値が第1入力電圧より大きいとき、接地電圧GNDを出力することができる。
【0037】
第2インバータ部120は、第1インバータ部110と並列に配され、入力電圧Vinが印加される入力端子101、出力電圧Voutを出力する出力端子103、動作電圧VDDが印加される第2動作電極107、及び第2接地電極108と電気的に連結されうる。
ここで、並列に配されるというのは、入力端子101と出力端子103とを基準に並列に配されるということを意味する。
【0038】
すなわち、第1地点P1において、入力端子101は、第1インバータ部110と第2インバータ部120とに分岐されて電気的に連結され、第2地点P2において、第1インバータ部110の出力端と連結される第1ジャンクション部130と、第2インバータ部120の出力端と連結される第2ジャンクション部140とが合流し、出力端子103と電気的に連結されうる。
【0039】
第2インバータ部120は、閾値電圧基盤の二進数論理回路と同一に動作することができる。このとき、第2インバータ部120は、入力電圧Vinの絶対値が第2入力電圧より小さいとき、動作電圧VDDを出力し、入力電圧Vinの絶対値が第2入力電圧より大きいとき、接地電圧GNDを出力することができる。
【0040】
第1ジャンクション部130は、第1インバータ部110の出力端と、出力端子103との間に介在され、第2ジャンクション部140は、第2インバータ部120の出力端と、出力端子103との間に介在されうる。
【0041】
第1ジャンクション部130と第2ジャンクション部140は、トンネルPNジャンクションを含むことにもなる。ここで、該トンネルPNジャンクションは、高濃度にドーピングされたPN接合ダイオードであり、順方向と逆方向との迅速なスイッチングが可能なPNジャンクションでもある。
【0042】
入力端子101に印加される入力電圧Vinの絶対値が第1入力電圧より小さいとき、第1インバータ部110及び第2インバータ部120は、動作電圧VDDを出力することができる。従って、第1出力電圧Voutは、動作電圧VDDと同じでもある。
【0043】
入力端子101に印加される入力電圧Vinの絶対値が第1入力電圧より大きく、第2入力電圧より小さいとき、第1インバータ部110は、接地電圧GNDを出力し、第2インバータ部120は、動作電圧VDDを出力することができる。このとき、第1ジャンクション部130と第2ジャンクション部140は、トンネリング電流を利用し、両端間に電圧を分配することができる。従って、第2出力電圧Voutは、動作電圧VDDの半分の大きさ(VDD/2)を有することができる。
【0044】
入力端子101に印加される入力電圧Vinが第2入力電圧より大きいとき、第1インバータ部110と第2インバータ部120は、接地電圧GNDを出力することができる。従って、第3出力電圧Voutは、接地電圧GNDと同じでもある。
【0045】
従って、本発明の一実施形態による三進数論理回路10は、三種類の出力状態を具現することができる。
【0046】
図2は、
図1に図示された三進数論理回路の構成について説明するための回路図である。
【0047】
図2を参照すれば、第1インバータ部110は、第1トランジスタ111及び第2トランジスタ113を含み、第2インバータ部120は、第3トランジスタ121及び第4トランジスタ123を含んでもよい。
【0048】
第1トランジスタ111は、第2トランジスタ113と並列に配される。前述のところと同様に、ここで、並列に配されるというのは、入力端子101と出力端子103とを基準に並列に配されるということを意味する。すなわち、第1トランジスタ111は、第2トランジスタ113と、第1地点P1で分岐されうる。従って、第1トランジスタ111と第2トランジスタ113は、ゲート電極に同一入力電圧Vinを印加されうる。
【0049】
第1トランジスタ111の一側電極は、第1動作電極105と連結され、他の一側電極は、第3地点P3にも連結される。第2トランジスタ113の一側電極は、第3地点P3に連結され、他の一側電極は、第1接地電極106にも連結される。第3地点P3において、第1トランジスタ111、第2トランジスタ113及び第1ジャンクション部130は、電気的に連結される。
【0050】
第1トランジスタ111は、p型チャネルを有するトランジスタであり、第2トランジスタ113は、n型チャネルを有するトランジスタでもある。第1トランジスタ111は、第1閾値電圧-VHを有し、第2トランジスタ113は、第2閾値電圧VLを有することができる。このとき、第1閾値電圧-VHは、負の値を有し、第2閾値電圧VLは、正の値を有することができる。また、第1閾値電圧の絶対値|VH|は、第2閾値電圧の絶対値|VL|よりも大きい。
【0051】
第3トランジスタ121は、第4トランジスタ123と並列に配される。前述のところと同様に、ここで、並列に配されるというのは、入力端子101と出力端子103とを基準に並列に配されるということを意味する。すなわち、第3トランジスタ121は、第4トランジスタ123と、第1地点P1で分岐され、入力端子101と電気的にも連結される。従って、第3トランジスタ121と第4トランジスタ123は、同一入力電圧Vinを印加されうる。
【0052】
第3トランジスタ121の一側電極は、第2動作電極107と連結され、他の一側電極は、第4地点P4にも連結される。第4トランジスタ123の一側電極は、第4地点P4に連結され、他の一側電極は、第2接地電極108にも連結される。第4地点P4において、第3トランジスタ121、第4トランジスタ123及び第2ジャンクション部140は、電気的に連結される。
【0053】
第3トランジスタ121は、p型チャネルを有するトランジスタであり、第4トランジスタ123は、n型チャネルを有するトランジスタでもある。第3トランジスタ121は、第3閾値電圧-VLを有し、第4トランジスタ123は、第4閾値電圧VHを有することができる。このとき、第3閾値電圧の絶対値|VL|は、第4閾値電圧の絶対値|VH|よりも小さい。
【0054】
ここで、第1トランジスタ111、第2トランジスタ113、第3トランジスタ121及び第4トランジスタ123は、炭素ナノチューブトランジスタでもある。
【0055】
第1トランジスタ111と第3トランジスタ121は、p型にドーピングされた炭素ナノチューブをチャネルとして利用するp型炭素ナノチューブトランジスタでもある。第2トランジスタ113及び第4トランジスタ123は、n型にドーピングされた炭素ナノチューブをチャネルとして利用するn型炭素ナノチューブトランジスタでもある。第1トランジスタ111と第4トランジスタ123は、第1直径を有する炭素ナノチューブをチャネルとして利用することができる。第2トランジスタ113と第3トランジスタ121は、第2直径を有する炭素ナノチューブをチャネルとして利用することができる。このとき、第1直径は、第2直径よりも小さい。
【0056】
第1ジャンクション部130は、第1インバータ部110の出力端と、第2地点P2とを電気的に連結し、第2ジャンクション部140は、第2地点P2と、第2インバータ部120の出力端とを電気的に連結する。第2地点P2は、出力端子103と電気的に連結される。
【0057】
第1ジャンクション部130は、第1インバータ部110の出力端方向にp型領域を有し、第2地点P2方向にn型領域を有するようにも配される。第2ジャンクション部140は、第2地点P2方向にp型領域を有し、第2インバータ部120の出力端方向にn型領域を有するようにも配される。前記第1ジャンクション部130及び第2ジャンクション部140は、高濃度ドーピングされたトンネルジャンクションを含み、負性抵抗特性を有することができる。
【0058】
前記第1ジャンクション部130及び第2ジャンクション部140は、入力電圧Vinの絶対値が前記第1入力電圧より大きく、前記第2入力電圧より小さいとき、トンネリング電流を利用し、第1ジャンクション部130及び第2ジャンクション部140に印加される電圧を分配する。従って、出力端子103に出力される第2出力電圧の値は、動作電圧値の半分(VDD/2)でもある。
【0059】
前記第1ジャンクション部130及び第2ジャンクション部140は、炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションを含んでもよい。炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションは、n型ドーパントで高濃度ドーピングされた第1領域と、p型ドーパントで高濃度ドーピングされた第2領域と、を有することができる。該炭素ナノチューブトンネルPNジャンクションは、少なくとも3×1018cm-3にもドーピングされる。前記第1ジャンクション部130及び前記第2ジャンクション部140に印加される電場は、約1MV/cmを超えるか、あるいは1MV/cmでもある。
【0060】
図3は、本発明の一実施形態による、炭素ナノチューブを利用した三進数論理回路を図示する概念図である。
【0061】
図3を参照すれば、本発明の一実施形態による、炭素ナノチューブを利用した三進数論理回路20は、並列に配され、第1共通電極CE1を共有する第1トランジスタ部210及び第2トランジスタ部220、並列に配され、第2共通電極CE2を共有する第3トランジスタ部230及び第4トランジスタ部240、前記第1トランジスタ部210ないし第4トランジスタ部240にゲート電圧を印加するゲート電極G、出力端子と連結される出力電極OE、前記第1共通電極CE1と出力電極OEとを連結する第1ジャンクション部250、並びに前記第2共通電極CE2と出力電極OEとを連結する第2ジャンクション部260を含んでもよい。
【0062】
第1トランジスタ部210は、第1動作電極211、第1共通電極CE1、及び前記第1動作電極211と第1共通電極CE1との間に介在される第1炭素ナノチューブチャネル213を含んでもよい。
【0063】
第2トランジスタ部220は、第1トランジスタ部210と共有する第1共通電極CE1、第1接地電極221、及び前記第1共通電極CE1と前記第1接地電極211との間に介在される第2炭素ナノチューブチャネル223を含んでもよい。
【0064】
第3トランジスタ部230は、第2動作電極231、第2共通電極CE2、及び前記第2動作電極231と第2共通電極CE2との間に介在される第3炭素ナノチューブチャネル233を含んでもよい。
【0065】
第4トランジスタ部240は、第2共通電極CE2、第2接地電極241、及び第2共通電極CE2と第2接地電極241との間に介在される第4炭素ナノチューブチャネル243を含んでもよい。
【0066】
第1炭素ナノチューブチャネル213及び第3炭素ナノチューブチャネル233は、ドーピングされていないか、あるいはp型ドーパントによってドーピングされたp型炭素ナノチューブを含んでもよい。第2炭素ナノチューブチャネル223及び第4炭素ナノチューブチャネル243は、n型ドーパントによってドーピングされたn型炭素ナノチューブを含んでもよい。
【0067】
第1炭素ナノチューブチャネル213及び第4炭素ナノチューブチャネル243は、第1直径を有する炭素ナノチューブを含んでもよく、第2炭素ナノチューブチャネル223及び第3炭素ナノチューブチャネル233は、第2直径を有する炭素ナノチューブを含んでもよい。このとき、該第1直径は、該第2直径よりも小さい。
【0068】
ゲート電極Gは、第1炭素ナノチューブチャネル213、第2炭素ナノチューブチャネル223、第3炭素ナノチューブチャネル233及び第4炭素ナノチューブチャネル243の一部領域上に配されるブランチ電極G1,G2,G3及びG4を含んでもよい。従って、ゲート電極Gは、同一入力電圧Vinを、第1炭素ナノチューブチャネル213、第2炭素ナノチューブチャネル223、第3炭素ナノチューブチャネル233及び第4炭素ナノチューブチャネル243の一部領域上に同時に印加することができる。
【0069】
第1共通電極CE1の一側は、第1炭素ナノチューブチャネル213の一側端部と、第2炭素ナノチューブチャネル223の一側端部とが隣接した地点において、第1炭素ナノチューブチャネル213及び第2炭素ナノチューブチャネル223と電気的に連結される。第1共通電極CE1の他の一側は、第1炭素ナノチューブジャンクション251と電気的に連結される。
【0070】
第2共通電極CE2の一側は、第3炭素ナノチューブチャネル233の一側端部と、第4炭素ナノチューブチャネル243の一側端部とが隣接した地点において、第3炭素ナノチューブチャネル233及び第4炭素ナノチューブチャネル243と電気的に連結される。第2共通電極CE2の他の一側は、第2炭素ナノチューブジャンクション261と電気的に連結される。
【0071】
第1ジャンクション部250は、第1共通電極CE1、出力電極OE、及び第1共通電極CE1と出力電極OEとの間に配される第1炭素ナノチューブジャンクション251を含む。
【0072】
第1炭素ナノチューブジャンクション251は、p型ドーパントによってドーピングされる第1領域251aと、n型ドーパントによってドーピングされる第2領域251bと、を含んでもよい。このとき、第1領域251a及び第2領域251bは、高濃度にもドーピングされる。第1領域251a及び第2領域251bは、少なくとも3×1018cm-3の濃度にもドーピングされる。一実施形態において、第1領域251a及び第2領域251bの長さは、互いに異なってもよい。一例として、第1領域251aが第2領域251bよりも短く形成される。
【0073】
第2ジャンクション部260は、第2共通電極CE2、出力電極OE、及び第2共通電極CE2と出力電極OEとの間に配される第2炭素ナノチューブジャンクション261を含む。
【0074】
第2炭素ナノチューブジャンクション261は、p型ドーパントによってドーピングされる第3領域261aと、n型ドーパントによってドーピングされる第4領域261bと、を含んでもよい。同様に、第3領域261a及び第4領域261bは、高濃度にもドーピングされる。第3領域261a及び第4領域261bは、少なくとも3×1018cm-3の濃度にもドーピングされる。一実施形態において、第3領域261a及び第4領域261bの長さは、互いに異なってもよい。一例として、第3領域261aが第4領域261bよりも長く形成される。
【0075】
図4は、印加されるゲート電圧により、各トランジスタを流れる電流の大きさを図示するグラフである。
【0076】
図4を参照すれば、Aは、ゲート電極Gに印加される入力電圧により、第1トランジスタ部210に流れる電流を図示し、Bは、第3トランジスタ部230に流れる電流を図示し、Cは、第2トランジスタ部220に流れる電流を図示し、Dは、第4トランジスタ部240に流れる電流を図示する。
【0077】
第1直径を有する炭素ナノチューブを含む第1トランジスタ部210と第4トランジスタ部240との閾値電圧の絶対値|VH|は、同一であり、第2直径を有する炭素ナノチューブを含む第2トランジスタ部220と第3トランジスタ部230との閾値電圧の絶対値|VL|は、同一である。このとき、該第1直径は、該第2直径より小さく、|VL|<|VH|である。
【0078】
p型炭素ナノチューブチャネルを有する第1トランジスタ部210と第3トランジスタ部230は、閾値電圧値以下において、オン(ON)状態を維持していて、該閾値電圧値以上になるとき、電流が急激に低下し、オフ(OFF)状態になる。
【0079】
n型炭素ナノチューブチャネルを有する第2トランジスタ部220と第4トランジスタ部240は、閾値電圧値以下においてオフ状態を維持していて、閾値電圧値以上になるとき、電流が急激に増大してオン状態になる。
【0080】
図5Aは、第1インバータ部の動作について説明するグラフであり、
図5Bは、第2インバータ部の動作について説明するグラフである。
【0081】
図5Aを参照すれば、第1インバータ部110(
図1)に入力電圧V
inが印加されるとき、入力電圧V
inの絶対値が、動作電圧V
DDと、第1閾値電圧の絶対値|V
H|との差(V
DD-|V
H|)と同じであるとき、第1トランジスタ部210の電流値が急激に低下し、入力電圧V
inの絶対値が、第2閾値電圧の絶対値|V
L|と同じであるとき、第2トランジスタ部220の電流値が急激に上昇する。
【0082】
従って、第1トランジスタ部210の電流グラフであるAと、第2トランジスタ部220の電流グラフであるCとが交差する点である第1入力電圧以下において、第1インバータ部110は、VDDを出力し、入力電圧Vinの絶対値が第1入力電圧を超えるとき、GNDを出力する状態に変化する。
【0083】
図5Bを参照すれば、第2インバータ部120(
図1)に入力電圧V
inが印加されるとき、入力電圧V
inの絶対値が、動作電圧V
DDと、第3閾値電圧の絶対値|V
L|との差(V
DD-|V
L|)と同じであるとき、第3トランジスタ部230の電流値が急激に低下し、入力電圧V
inの絶対値が、第4閾値電圧の絶対値|V
H|と同じであるとき、第4トランジスタ部240の電流値が急激に上昇する。
【0084】
従って、第3トランジスタ部230の電流グラフであるBと、第4トランジスタ部240の電流グラフであるDとが交差する点である第2入力電圧以下において、第2インバータ部120は、VDDを出力し、入力電圧Vinの絶対値が第2入力電圧を超えるとき、GNDを出力する状態に変化する。
【0085】
図6は、本発明の一実施形態による、炭素ナノチューブ基盤の三進数論理回路の入力電圧V
inと出力電圧V
outとの関係を図示するグラフである。
【0086】
図6を参照すれば、本発明の一実施形態による、炭素ナノチューブ基盤の三進数論理回路は、入力電圧V
inの絶対値が、0ないし第1入力電圧である第1領域R1において、動作電圧と同一サイズの第1出力電圧V
DD(0.9V)を出力する。
【0087】
入力電圧Vinの絶対値が、第1入力電圧と第2入力電圧との間の値を有する第2領域R2において、該三進数論理回路は、動作電圧VDDの半分の大きさの第2出力電圧(0.45V)を出力する。
【0088】
入力電圧Vinの絶対値が、第2入力電圧より大きい第3領域R3において、該三進数論理回路は、接地電圧と同一サイズの第3出力電圧GND(0V)を出力する。
【0089】
図7は、
図6に図示された各状態(state)において、第1ジャンクション部130と第2ジャンクション部140との動作について説明するための概念図である。
【0090】
図7Aを参照すれば、第1領域R1(
図6)において、第1インバータ部110と第2インバータ部120は、同一電圧V
DDを出力し、第1ジャンクション部130は、出力端子103に第1出力電圧V
DDを出力する。
【0091】
図7Bを参照すれば、第2領域R2(
図6)において、第1インバータ部110は、接地電圧GNDを出力し、第2インバータ部120は、動作電圧V
DDを出力する。第1ジャンクション部130及び第2ジャンクション部140は、トンネル電流を利用し、両端間に同一に電圧を分配し、出力端子103に第2出力電圧(V
DD/2)を出力する。
【0092】
図7Cを参照すれば、第3領域R3(
図6)において、第1インバータ部110及び第2インバータ部120は、接地電圧GNDを出力する。従って、出力端子103は、接地電圧GNDと同一サイズである第3出力電圧GND(0V)を出力する。
【0093】
図8は、本発明の一実施形態による、炭素ナノチューブ基盤の三進数論理回路の消費電力を図示するグラフである。
【0094】
図8を参照すれば、本発明の一実施形態による、炭素ナノチューブ基盤の三進数論理回路は、出力状態が変化する第1入力電圧と、第2入力電圧に隣接した地点でのみ、数ナノワットないし数十ナノワットの電力消費が生じ、各状態を維持するための消費電力は、数ピコワットないし数ナノワットのレベルに過ぎないということを確認することができる。従って、本発明の一実施形態による、炭素ナノチューブ基盤の三進数論理回路は、非常に小電力を消費し、三進数基盤の演算が可能である。
【0095】
また、本発明の一実施形態による、炭素ナノチューブ基盤の三進数論理回路は、抵抗、インダクタ、キャパシタのようなさらなる構成要素なしにも、炭素ナノチューブ基盤のトランジスタ及びPNジャンクションのみを利用し、素子を小型化させることにより、高集積化が可能である。
【0096】
一方、本実施形態と係わる技術分野で当業者であるならば、前述の記載の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態に具現されうるということを理解することができるであろう。従って、開示された方法は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての差異は、本発明に含まれたものであると解釈されなければならないのである。
【0097】
以上のように、本実施形態が、たとえ限定された実施形態と図面とによって説明されたにしても、当該技術分野において当業者であるならば、前述の記載から、多様な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順序で遂行され、かつ/あるいは説明されたシステム、構造、装置、回路のような構成要素が、説明された方法と異なる形態で結合されたり組み合わされたりするか、他の構成要素または均等物によって代置されたり置き換えられたりしても、適切な結果が達成されうる。
【0098】
従って、他の具現、他の実施形態及び特許請求範囲と均等なものも、特許請求の範囲の範囲に属する。
【符号の説明】
【0099】
101 入力端子
103 出力端子
105 第1動作電極
106 第1接地電極
107 第2動作電極
108 第2接地電極
110 第1インバータ部
120 第2インバータ部
130 第1ジャンクション部
140 第2ジャンクション部