(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】物品収容容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/22 20060101AFI20240617BHJP
B65D 43/22 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B65D1/22
B65D43/22
(21)【出願番号】P 2022089972
(22)【出願日】2022-06-01
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(73)【特許権者】
【識別番号】500241952
【氏名又は名称】三光ライト工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592239534
【氏名又は名称】吉比化成株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村上 厳洋
(72)【発明者】
【氏名】小野 翔平
(72)【発明者】
【氏名】国本 崇志
(72)【発明者】
【氏名】太田 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】浅井 宏文
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-333947(JP,A)
【文献】特開2002-248277(JP,A)
【文献】特開2022-191579(JP,A)
【文献】特開2013-227064(JP,A)
【文献】特開2009-143578(JP,A)
【文献】特開平07-148358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/22
B65D 43/22
B65D 1/30
B65D 6/02
B65D 43/04
A63F 9/00
A63H 33/00
G07F 9/00
G07F 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収容容器であって、
球型形状を成している本体部、を備え、
前記本体部は、第1外殻部と、前記第1外殻部に連結可能な第2外殻部を含み、
前記第1外殻部、及び前記第2外殻部は、同一の型として構成され
、
前記第1外殻部、及び前記第2外殻部は各々、その開口端部において、第1凸部と第1凹部が互いに隣接せず、第2凸部と第2凹部が互いに隣接して設けられている、
物品収容容器。
【請求項2】
請求項1に記載の物品収容容器であって、
前記第1凸部と前記第2凸部は、互いに異なる形状及び構造を成し、前記第1凹部と前記第2凹部は、互いに異なる形状及び構造を成している、
物品収容容器。
【請求項3】
請求項2に記載の物品収容容器であって、
前記第1外殻部、及び前記第2外殻部は各々、前記開口端部において、前記第1凸部と前記第1凹部が1ペア設けられ、前記第2凸部と前記第2凹部が2ペア設けられている、
物品収容容器。
【請求項4】
請求項3に記載の物品収容容器であって、
前記第1凸部と前記第1凹部は、前記開口端部において、対向位置に設けられている、
物品収容容器。
【請求項5】
請求項3に記載の物品収容容器であって、
一方のペアの前記第2凸部と前記第2凹部、及び他方のペアの前記第2凸部と前記第2凹部は、前記開口端部において、対向位置に設けられている、
物品収容容器。
【請求項6】
請求項3~5の何れか1項に記載の物品収容容器であって、
前記第1凸部、及び前記第1凹部は、前記開口端部において、一方のペアの前記第2凸部と前記第2凹部、及び他方のペアの前記第2凸部と前記第2凹部の間に設けられている、
物品収容容器。
【請求項7】
請求項1に記載の物品収容容器であって、
前記第1外殻部、及び前記第2外殻部は、互いに分離可能に構成されている、
物品収容容器。
【請求項8】
請求項
1に記載の物品収容容器であって、
前記第1外殻部、及び前記第2外殻部は、所定の向きにおいてのみ、互いの前記開口端部を対向させた状態で、互いに連結可能に構成されている、
物品収容容器。
【請求項9】
請求項
1に記載の物品収容容器であって、
前記第1外殻部、及び前記第2外殻部は、少なくとも何れか一方の変形を条件として、互いに分離可能に構成されている、
物品収容容器。
【請求項10】
請求項
1に記載の物品収容容器であって、
前記第1外殻部、及び前記第2外殻部には、収容している物品を視認可能とすべく、複数の長孔が形成されている、
物品収容容器。
【請求項11】
請求項
10に記載の物品収容容器であって、
前記長孔は、前記第1外殻部、及び前記第2外殻部の頂部から放射状に形成されている、
物品収容容器。
【請求項12】
請求項
1に記載の物品収容容器であって、
前記本体部は、内部に物品を収容している状態において、物品供給装置からの供給を可能とすべく転動可能な形状を成している、
物品収容容器。
【請求項13】
請求項1~
5の何れか一項に記載の物品収容容器であって、
前記本体部は、紙の粉末を51%以上含んで構成されている、
物品収容容器。
【請求項14】
請求項1~
5の何れか一項に記載の物品収容容器であって、
前記第1外殻部、及び前記第2外殻部は、白色系統の色を成している、
物品収容容器。
【請求項15】
請求項1~
5の何れか一項に記載の物品収容容器であって、
前記第1外殻部は、白色系統の色を成し、前記第2外殻部は、光透過性のある透明色又は半透明色を成している、
物品収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品(商品)を収容して搬送、展示、販売などに供する物品収容容器がある。例えば、特許文献1には、第一収容部と、第二収容部と、第一ヒンジ部と、ヒンジ式の留め具と、留め具を係止可能な第一係止部と、を備えるカプセル(物品収容容器)が開示されている。このカプセルにおいては、ヒンジ式の留め具は、留め具が第一係止部に係止された状態で、第一収容部と第二収容部との何れか他方の外面に沿う外側に向かって突出する突起部を備える。第一収容部と第二収容部との何れか他方は、留め具が第一係止部に係止された状態で、突起部を収容して留め具が第一係止部から外れる方向への変位を弾性的に規制する第二係止部を備える構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の物品収容容器(カプセル)は、開閉するためのヒンジ構造、二つの収容部を閉じておくための留め具が必要で構造が複雑であり、更には、二つの収容部を分離することもできない。
また、特許文献1には特に記載はされていないが、弾性機能やヒンジ構造等を考慮すると合成樹脂にて構成されることが想定される。したがって、廃棄処理においては、一般ゴミとは区別しなければならない場合があるなど、取扱い性に課題がある。
【0005】
本発明は、取り扱い性の良い新規な物品収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の物品収容容器は、球型形状を成している本体部、を備え、本体部は、第1外殻部と、第1外殻部に連結可能な第2外殻部を含み、第1外殻部、及び第2外殻部は、同一の型として構成されている、ものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、取り扱い性の良い新規な物品収容容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1に示す物品収容容器の分解斜視図である。
【
図4】物品収容容器の組立て方を示す説明図であって、(a)は、組立て可能な合わせ向きを示す斜視図であり、(b)は、組立て不能な合わせ向きを示す斜視図である。
【
図5】
図4において本体部が組立てられた状態のXI-XI線に沿った部分の断面図である。
【
図6】
図4において本体部が組立てられた状態のXII-XII線に沿った部分の断面図である。
【
図7】
図4において本体部が組立てられた状態のXIII-XIII線に沿った部分の断面図である。
【
図8】本体部の分離するときの操作の一例を示す拡大斜視図である。
【
図9】
図8に示す操作をしたときの本体部の分離動作を説明するための側面図である。
【
図10】
図1に示した物品収容容器の変形例を示す本体部の分解斜視図である。
【
図11】
図10に示す変形例の本体部の組み立て状態を示す側面図であって、(a)は、
図10に示す扁平な外殻部と
図2に示したものと同じ形状の外殻部を連結した状態の側面図であり、(b)は、
図10に示す扁平な外殻部同士を連結した状態を示す側面図である。
【
図12】本体部に光透過性の素材を用いたときの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一態様について、
図1~
図12を参照して説明する。
図1は、物品収容容器の一例を示す斜視図である。
【0010】
物品収容容器1は、
図1に示すように、球型形状を成している中空の本体部10にて構成されている。本体部10は、例えば、半球状の第1外殻部11と、この第1外殻部11に連結して連結状態を維持可能な第2外殻部12とを有している。また、第1外殻部11、及び第2外殻部12は、その組合わせラインBLから分離可能(
図2参照)な別体として構成されている。このように本体部10は、球型形状が維持されていることで、内部に物品を収容して当該物品を保護することができる。また、本体部10は、物品を収容している状態において転動可能な形状を成していることで、物品供給装置から物品を供給するのに適している。物品供給装置は、物品を収容した物品収容容器1をランダムな配置で複数収容可能な収容部と、収容部から一つずつ物品収容容器1を無作為に選択して供給可能な供給部と、供給部をロックするロック部と、代価の支払いを条件としてロック部のロックを解除し供給部を回転すべく操作可能な操作部と、収容部から供給口へと物品収容容器1を転動可能に通過させる通路部とを備えている。
【0011】
本体部10は、紙の粉末等を含んで構成されており、例えばその色彩としては、白色、又は白色系統の色を成している。また、本体部10に含有された紙成分の含有率は、第1外殻部11、及び第2外殻部12各々51%以上である。
【0012】
図2は、
図1に示す物品収容容器1の分解斜視図である。
第1外殻部11は、その内部が中空の半球型形状を成し、組合わせラインBLを構成する開口端部101には、後述する複数の凹凸構造を備える第1連結部110が形成されている。また、第2外殻部12についても、その内部が中空の半球型形状を成し、その開口端部101には、後述する複数の凹凸構造を備える第2連結部120が形成されている。
【0013】
第1外殻部11の第1連結部110には、矩形状の孔131を有する第1凸部130、フック状の先端係止部151を有する2つの第2凸部150、及び2つの平板状のガイド部107が形状の異なる凸構造として設けられている。また、第1連結部110の凹構造としては、孔131に対応可能な形状の突起141を有する第1凹部140、先端係止部151に対応可能な形状の係止端161を有する2つの第2凹部160、及びガイド部107に対応可能な形状の2つの内面窪み部108が設けられている。
【0014】
第2外殻部12の第2連結部120においても、凸構造として、第1凸部130、2つの第2凸部150、及び2つのガイド部107、凹構造として、第1凹部140、2つの第2凹部160、及び2つの内面窪み部108が設けられている。すなわち、第1連結部110と第2連結部120は全く同じ構成となっている。更に、第1外殻部11、及び第2外殻部12は、共に4個の長孔10hが外殻の頂部T付近において当該頂部Tから放射状(
図1及び
図3参照)に設けられ、その球形の膨らみ形状(半球形状)についても同じ大きさに構成された同一の型として構成されている。
【0015】
なお、ここで言う、「同一の型」とは、単に形状や構造が同一と言うことだけではなく、連結が可能な構成のことをいうものである。また、第1外殻部11と第2外殻部12は、全く同じ構成であるが便宜上区別するために異なる符号を付してある。
【0016】
図3は、開口端部101をその開口側から見た平面図である。
開口端部101においては、
図3に示すように、第1凸部130と第1凹部140は、開口端部101の第1対角線DL1上に位置し、第2対角線上DL2上には、ガイド部107と内面窪み部108が位置し、第3対角線DL3上には、第2凸部150と第2凹部160が位置し、第4対角線DL4上には、もう一つの第2凸部150と第2凹部160が位置し、第5対角線DL5上には、もう一つのガイド部107と内面窪み部108が位置している。すなわち、互いに対応して嵌合可能な凹凸構造が開口端部101の最も遠い位置に設けられている。このように構成されていることで、第1外殻部11と第2外殻部12は、連結可能な同一の型として構成されている。したがって、第1外殻部11は、例えば、他の物品収容容器1の第1外殻部11と連結可能であり、第2外殻部12についても、他の物品収容容器1の第2外殻部12と連結可能である。
【0017】
ここで、第2凸部150、及び第2凹部160は、第3対角線DL3上と第4対角線DL4上に二対設けられており、且つ両対角線が小さい角度で隣合う配置となっていることで、開口端部101の円周方向で隣接した第1ペアE1(図中下側)と第2ペア(図中上側)を構成している。このように、互いに嵌合する部分が接近して設けられていることで、本体部10を組み立てるときは分離するときの操作性が考慮されている。また、両ペアE1,E2の配置は、第1凸部130、及び第1凹部140の配置(第1対角線DL1)に対して90度の角度で配置されている。すなわち、凹凸構造による連結部分が開口端部101の円周方向に略均等に分散され、連結状態を維持するのに好適な位置となっている。
【0018】
図4は、物品収容容器1の組立て方を示す説明図であって、(a)は、組立て可能な合わせ向きを示す斜視図、(b)は、組立て不可能な合わせ向きを示す斜視図である。
第1外殻部11と第2外殻部12とを組合わせるときには、
図4(a)に示すように、例えば、第1外殻部11の第1凸部130と、第2外殻部12の第1凹部140と、を対面するようにする。このような向きにして両開口端部101を合わせるようにすることで、互いの開口端部101同士が合わさるように連結される。このとき、後述するごとく、第1凸部130と第1凹部140が
図5に示すように嵌合し、第2凸部150と第2凹部160が
図6に示すように嵌合し、更に、ガイド部107と内面窪み部108が
図7に示すように嵌合する。一方、例えば
図4(b)に示すように、(a)に示す位置とは異なる向きにおいては、凹凸構造が異なって嵌合ができず連結ができない。
【0019】
図5は、
図4において本体部10が組立てられた状態のXI-XI線に沿った部分の断面図である。
第1凸部130と第1凹部140の連結構造については、
図5に示すように、本体部10の外表面10us側に向かって突出する突起141に対して、孔131が外側から嵌るように連結される。第1凸部130においては、組合わせ操作に際して、突出先端面132が例えばその厚み方向において傾斜面や湾曲面形状となっていると、突起141と当接したときに第1凸部130が本体部10の外側に変形し易くなる。一方、第1凹部140においては、突起141は、開口端部101側から突出先端側に向かって開口端部101から後退する方向(図中下側)に向かった傾斜面142が設けられている。このように構成されていることで、第1外殻部11と第2外殻部12との組合わせに際し、突出先端面132が傾斜面142に当接しながら傾斜面142に沿って押し込まれ、これにより、第1凸部130が本体部10の外側に変形するようにして突起141に孔131が嵌まり込む。
【0020】
また、孔131の係止面133と、突起141の係止面143と、は略平行になるように構成されている。これにより、第1外殻部11と第2外殻部12との組合わされた状態(
図5に示す状態)においては、係止面143と係止面133との係合により第1凸部130と第1凹部140の連結が維持される。
なお、突起141と孔131の係合の解除は、第1凸部130を直接変形させるような操作ではなく、後述するように、例えば第1凸部130から離れた部位を変形させて行なう。
【0021】
図6は、
図4において本体部10が組立てられた状態のXII-XII線に沿った部分の断面図である。
第2凸部150と第2凹部160の連結構造については、
図6に示すように、第2凹部160は、外表面10usが内表面10isに向かって凹んだ平坦な底面164を有し、この底面164に対して所定間隔をあけて対面するよう開口端部101上に設けられている。そして、第2凹部160は、開口端部101に対して直交する方向に開口し、開口端部101の開口側から見たときに(
図3参照)、長孔状の開口構造である。一方、第2凸部150は、開口端部101から開口方向に向って突出し、その先端係止部151が外表面10us側(図中左側)に向かって屈曲したフック形状であり、この先端係止部151が第2凹部160の係止端161に引っ掛かるように構成されている。第2凸部150の先端係止部151は、開口端部101の開口方向の先端面152(図中上側の面)が傾斜面や湾曲面(図示では傾斜面)に構成されている。
【0022】
第2凸部150と第2凹部160が上記のように構成されていることで、第1外殻部11と第2外殻部12とを組合わせるときに、例えば、先端面152が係止端161に当接しながら底面164側へ曲がるように変形し、最終的に先端係止部151が係止端161の裏側(図中上側)に引っ掛かるように係合する(
図6に示す状態)。また、係止端161と底面164との間隔Wは、先端係止部151が係止端161から外れるときの移動ができる寸法に設定されている。
なお、先端係止部151と係止端161との係合の解除は、後述するように、第1凸部130と第1凹部140の係合解除操作に連動して行なうことができる。
【0023】
図7は、
図4において本体部10が組立てられた状態のXIII-XIII線に沿った部分の断面斜視図である。
ガイド部107と内面窪み部108の組み合わせは、第1凸部130と第1凹部140の連結部を、組合わせラインBL上において挟む込む位置に設けられている(
図3及び
図5参照)。また、内面窪み部108は、内表面10is側において一端側(図中上側)が開口端部101に開放された略矩形状の平坦な窪みとして形成されている。そして、ガイド部107は、そのガイド側面107aが内面窪み部108の窪み面108aに面接触するよう構成されている。
【0024】
このガイド部107、及び内面窪み部108は、開口端部101において本体部10の内表面10is側に設けられた唯一の凹凸嵌合構造である。そして、ガイド部107、及び内面窪み部108は、第1外殻部11と第2外殻部12とを組合わせるときに、ガイド機能を有する。更に、このガイド部107、及び内面窪み部108は、両外殻部11,12を分離する際には、その詳細については後述するが、分離操作時のガイド機能も有する。
【0025】
以下、第1外殻部11と第2外殻部12の分離操作の一例を説明する。
図8は、本体部10の分離するときの操作の一例を示すための拡大斜視図である。
図9は、
図8に示す操作をしたときの本体部10の分離動作を説明するための側面図である。
【0026】
第1外殻部11と第2外殻部12との組み合わせを解除(外す)するときには、例えば、第1凸部130の孔131を突起141から本体部10の外側に移動するように変形させるが、このときの操作は、第1凸部130を摘まむなどして直接変形させる操作ではない。この操作は、例えば、
図8に示すように、組み合わせラインBLの近くで第1凸部130、及びガイド部107が設けられた第1凸部130の周辺領域Aを外した部位を押圧する。これは、第2外殻部12において、第1凸部130の周辺領域Aは、組み合わせラインBLに沿って第1外殻部11側の一対のガイド部107によって内表面10is(内面窪み部108)が保持されているために変形し難い(外側からの押圧に対して対抗力がある)。このため、周辺領域Aから外れたガイド部107の外側領域B(ガイド部107が無い領域)を押す(図示の押圧ポイントP1を押圧する)。
【0027】
この押圧ポイントP1は、図示とは反対の裏側にもある。すなわち、例えば、親指と人差し指、中指等によって握るように操作するので、押圧ポイントP1は、一対のガイド部107の両近傍となる。このように、押圧ポイントP1を押すことで、押圧ポイントP1の部分が本体部10の内方に凹むように変形する。この変形により第2外殻部12は、ガイド部107に接した部分も内方に押されるが、ガイド部107に接した部位は、当該ガイド部107にて支持されているために押圧ポイントP1ほど大きく変形せず、押圧ポイントP1とはガイド部107を挟んで反対側が第1外殻部11から離れる方向(矢印C方向)に移動させるような力を生じさせる部分となる。
【0028】
第1凸部130の外側への移動についてより詳細に説明する。
前掲のように、押圧ポイントP1を押して本体部10が内方に変形すると、
図8及び
図9に示すように、第2外殻部12の内表面10is(窪み面108a)とガイド部107(ガイド側面107a)とが接している面において、ガイド部107の押圧ポイントP1寄りの部分が強く押される強接触ポイントP2が生じる。この強接触ポイントP2が押圧による内方変形を外方変形に変える大きな役割を担っているものと推察される。すなわち、この強接触ポイントP2を支点にするようにして第1凸部130は、その周囲の変形と共に先端部130tが第1外殻部11から離れる方向(矢印C方向)に反り返るように移動する。
【0029】
また、指により表裏二箇所の押圧ポイントP1を押圧することで、組合わせラインBLにおいて押圧ポイントP1を結ぶ径方向とは90度異なる方向に、本体部10が外側に膨らむ方向に変形する力が働く。このとき、押圧ポイントP1の図示では左側には、第2凸部150と第2凹部160との嵌合による連結部が位置しているので、押圧による変形力が図中左側へ伝達し難い。この結果、
図9に示すように、一方側(図示の右側)の連結が先に解除されるように動作する。
【0030】
また、押圧ポイントP1を押したときの変形においては、ガイド部107は、例えば、
図9に示すように、最初に、第1凸部130が突起141から外れようとしている状態で、図示のように、第2凸部150側では嵌合状態が維持されていることで、前述のように、開口端部101同士が斜めに対面した状態が生じる。この状態において、ガイド部107のガイド側面107aは、押圧されている側の窪み面108aに押されて先端側が外殻内側に弾性変形した状態が生じる。この結果、ガイド側面107aは、窪み面108aに対して内側に傾斜した接触状態が生じることで、第1外殻部11と第2外殻部12の開口端部101同士を離れる方向(矢印D方向)に滑らせるように案内する。これにより、第1外殻部11と第2外殻部12の分離が促進される。
【0031】
このようにして、第1外殻部11と第2外殻部12の開口端部101同士の離間距離が大きくなるにつれて、第2凸部150の先端係止部151と第2凹部160の係止端161との係合が解除される。すなわち、ガイド部107と内面窪み部108との係合が外れることで、第2外殻部12の押圧による内方変形が大きくなる結果、先端係止部151が係止端161から離脱可能な底面164側に移動(
図6参照)して係合が解除される。
【0032】
以上説明したように、第1外殻部11、及び第2外殻部12は、その組合わせ状態を各凹凸構造によって確りと係止されているが、上述のように、本体部10の外表面10usを変形させることで、互いに分離可能に構成されている。
【0033】
図10は、本態様の変形例を示す本体部の分解斜視図である。
図11は、
図10に示す変形例の本体部の組み立て状態を示す側面図であって、(a)は、異なった大きさの外殻部を連結した状態の側面図であり、(b)は、
図10に示した外殻部において、扁平な外殻部同士を連結した状態を示す側面図である。
図10においては、第1外殻部11は、前掲の
図2に示したものと同じ構造であり同じ形状である。しかし、第2外殻部12においては、開口端部101の構造は、第1外殻部11と同じ構造であって、開口端部101同士を組合わせることができるが、第2外殻部12の半球形状が扁平な半球に構成されている。したがって、
図10に示した第1外殻部11と第2外殻部12とを連結した場合には、
図11(a)に示すように、側面視において一方の膨らみが小さい片側扁平な球形状の本体部10を得ることができる。また、
図10に示した第2外殻部12同士を連結した場合には、
図11(b)に示すように、側面視で楕円形の本体部10を得ることができる。
【0034】
図12は、本体部に光透過性の素材を用いたときの一例を示す斜視図である。
図12に示す物品収容容器1は、第1外殻部11については、前掲のものと同様に、例えば、白色系統の色を成した紙成分が51%以上含まれたものとして構成されている。一方、第2外殻部12は、光透過性のある透明色又は半透明色を成しており、内部に収容された物品Gを外側から目視できる。したがって、第2外殻部12には、長孔10hが形成されていない。
【0035】
本態様においては、本体部10を構成する第1外殻部11、及び第2外殻部12は、第1連結部110、及び第2連結部120が同一構造、及び同一形状を成した同一の型として構成されていることから、第1、第2両外殻部11,12を分けずに製造することができる。また、本体部10を形成する場合、両外殻部11,12を区別することなく組み立てることができ、取り扱い性が極めて良い。つまり、従来は、組み合わせ可能な外殻部である一方の外殻部と他方の外殻部とは異なる型として構成されていたので、意識して外殻部を選択のうえで組み立てる必要があったが、本態様においては、どの外殻部を組み合わせたとしても組み立てることができるので、幼児や子供でも容易に組み立てることを可能とする。また、本体部10は、球形状に構成されているので、転動し易く物品供給装置からの供給を可能とする。
【0036】
本態様においては、第1外殻部11、及び第2外殻部12は、互いに分離可能に組み立てることができるので、分離し再度組み立てるとき、複数の本体部10を同時に分離した場合において、二個の外殻部を選べば組立ができるので取り扱い性がよい。また、第1外殻部11と第2外殻部12が連結されおらず、ヒンジ部や留め具なども設けられていないので、成形金型のキャビティの複雑化が回避され成形性が良い。
【0037】
また、本態様においては、第1連結部110、及び第2連結部120は、共に第1凸部130とは別の第2凸部150、及び第1凹部140とは別の第2凹部160を有する2つの異なる連結構造が採用されていることで、連結向きの特定化を図ることが可能となると共に、連結力の強化を図ることができる。また、複数種類の凹凸嵌合構造となっていることで、連結をより確実な確りしたものとすることが可能になる。
【0038】
本態様においては、第1連結部110、及び第2連結部120には、隣接する第2凹部160と第2凸部150の複数のペア(第1ペアE1、第2ペアE2)が設けられていることで、凹凸の嵌め合う構造部分が接近した領域を作ることができ、組み合わせの嵌合操作及び分離操作をし易くできる。
【0039】
また、本態様においては、第1ペアE1、及び第2ペアE2は、複数の連結構造が他の部分よりも集中して形成されているので、連結力を強くすることが可能となる。この結果、例えば、本体部10を押圧して分離を行なうような分離操作において、組合わせラインBL上において変形や分離のしやすさの違いを作り出すことができ、連結部位による分離順序をずらして効果的な分離動作を可能とする。
【0040】
本態様においては、開口端部101には内表面10is側に突出するガイド部107が設けられているので、第1外殻部11と第2外殻部12とを連結するときの位置決めが容易にできる。
【0041】
また、ガイド部107は、組合わせラインBLにおいて外表面10us側位置された第1凸部130に対して、第1凸部130を左右方向で挟み込む位置の内表面10is(内面窪み部108)に接するように設けられているので、組合わせラインBL付近に沿ってガイド部107を挟んで第1凸部130とは反対側の部分を押圧(押圧ポイントP1を押圧)したときに、ガイド部107を支点(強接触ポイントP2)にして第1凸部130を第1凹部140から外す方向に移動させる力を生じさせて、両外殻部11,12を分離方向に開くようにガイドすることができる。この結果、本体部10を分離するときに、凹凸連結部分を指先で直接外すような操作を必要とせず、本体部10の外面を押圧するだけで本体部10を容易に分離することができる。
【0042】
本態様においては、第1外殻部11と第2外殻部12との分離操作において、外殻部の外表面10usを押すようにするだけで良い構成となっているので、分離のための特別な解除部材を設ける必要が無く構成の簡素化ができる。
【0043】
本態様においては、第1外殻部11、及び第2外殻部12の頂部Tから放射状に複数の長孔10hが形成されているので、長孔10hが小さい開口であっても、収容している物品の略全体を把握可能に効果的に視認することができる。
【0044】
本態様においては、本体部10は、紙の粉末を51%以上含んで構成されていることで、紙として分類でき廃棄し易い等取扱い性が良い。また、外殻部が紙の成分を有して白色系の色を成していることで、他の色に染色し易くカラフルなカプセル容器を楽しむことができる。
【0045】
本態様においては、第1外殻部11、第2外殻部12の何れか一方を紙の粉末を含む紙ベースの外殻部材として構成する一方、他方を、内部を可視可能な光透過性の素材にて構成した場合には、有色の部分と光透過性の部分とを有する物品収容容器1として楽しむことができる。また、紙ベースの外殻部材側にのぞき穴機能の長孔10hを形成する必要がなくなる。
【0046】
以上、本発明の一態様について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、本態様においては、第1凸部130、及び第1凹部140、並びに第2凸部150、及び第2凹部160の嵌合構造については図示のものに何ら制限されるものではなく、適宜変更できるものである。
【0047】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0048】
(1)
物品収容容器であって、
球型形状を成している本体部、を備え、
上記本体部は、第1外殻部と、上記第1外殻部に連結可能な第2外殻部を含み、
上記第1外殻部、及び上記第2外殻部は、同一の型として構成されている、
物品収容容器。
【0049】
(2)
(1)に記載の物品収容容器であって、
上記第1外殻部、及び上記第2外殻部は、互いに分離可能に構成されている、
物品収容容器。
【0050】
(3)
(1)または(2)に記載の物品収容容器であって、
上記第1外殻部は、その内部が中空の半球型形状を成し、その開口端部に第1連結部が形成され、
上記第2外殻部は、その内部が中空の半球型形状を成し、その開口端部に第2連結部が形成されている、
物品収容容器。
【0051】
(4)
(3)に記載の物品収容容器であって、
上記第1連結部、及び上記第2連結部は、同一構造、及び同一形状を成している、
物品収容容器。
【0052】
(5)
(3)又は(4)に記載の物品収容容器であって、
上記第1外殻部は、他の上記物品収容容器の上記第1外殻部と連結可能に構成され、
上記第2外殻部は、他の上記物品収容容器の上記第2外殻部と連結可能に構成されている、
物品収容容器。
【0053】
(6)
(3)~(5)の何れかに記載の物品収容容器であって、
上記第1外殻部、及び上記第2外殻部は、所定の向きにおいてのみ、互いの上記開口端部を対向させた状態で、互いに連結可能に構成されている、
物品収容容器。
【0054】
(7)
(3)~(6)の何れかに記載の物品収容容器であって、
上記第1連結部は、第1凸部と、第1凹部とを含み、
上記第2連結部は、上記第1連結部の上記第1凸部に嵌合する第1凹部と、上記第1連結部の上記第1凹部に嵌合する第1凸部と、を含み
上記第1連結部と上記第2連結部の各々において、上記第1凸部は、上記第1凹部から最も遠い位置に設けられている、
物品収容容器。
【0055】
(8)
(7)に記載の物品収容容器であって、
上記第1凸部には、孔が形成され、上記第1凹部には、突起が形成され、
上記第1外殻部、及び上記第2外殻部は、上記孔に上記突起が嵌まり合うことで、互いに連結可能に構成されている、
物品収容容器。
【0056】
(9)
(7)又は(8)に記載の物品収容容器であって、
上記第1連結部は、第2凸部と、第2凹部とを含み、
上記第2連結部は、上記第1連結部の上記第2凸部に嵌合する第2凹部と、上記第1連結部の上記第2凹部に嵌合する第2凸部と、を含み、
上記第1外殻部、及び上記第2外殻部は、上記第1連結部と上記第2連結部の一方の上記第2凹部に、上記第1連結部と上記第2連結部の他方の上記第2凸部が嵌まり合うことで、互いに連結可能に構成されている、
物品収容容器。
【0057】
(10)
(9)に記載の物品収容容器であって、
上記第1凸部と上記第2凸部とは、異なる形状の凸部として構成され、
上記第1凹部と上記第2凹部とは、異なる形状の凹部として構成されている、
物品収容容器。
【0058】
(11)
(9)または(10)に記載の物品収容容器であって、
上記第1連結部、及び上記第2連結部は、各々、隣接して設けられた上記第2凹部と上記第2凸部の第1ペアと、隣接して設けられた上記第2凹部と上記第2凸部の第2ペアと、を含む、
物品収容容器。
【0059】
(12)
(11)に記載の物品収容容器であって、
上記第1ペアは、上記第2ペアから最も遠い位置に設けられている、
物品収容容器。
【0060】
(13)
(11)又は(12)に記載の物品収容容器であって、
上記第1ペアの上記第2凹部と上記第2ペアの上記第2凸部、及び上記第1ペアの上記第2凸部と上記第2ペアの上記第2凹部は、各々、対角線上の位置に設けられている、
物品収容容器。
【0061】
(14)
(3)~(13)の何れかに記載の物品収容容器であって、
上記第1外殻部、及び上記第2外殻部には、上記開口端部に互いに連結をガイドするガイド部が形成されている、
物品収容容器。
【0062】
(15)
(1)~(14)の何れかに記載の物品収容容器であって、
上記第1外殻部、及び上記第2外殻部は、少なくとも何れか一方の変形を条件として、互いに分離可能に構成されている、
物品収容容器。
【0063】
(16)
(1)~(15)の何れかに記載の物品収容容器であって、
上記第1外殻部、及び上記第2外殻部には、収容している物品を視認可能とすべく、複数の長孔が形成されている、
物品収容容器。
【0064】
(17)
(16)に記載の物品収容容器であって、
上記長孔は、上記第1外殻部、及び上記第2外殻部の頂部から放射状に形成されている、
物品収容容器。
【0065】
(18)
(1)~(17)の何れかに記載の物品収容容器であって、
上記本体部は、内部に物品を収容している状態において、物品供給装置からの供給を可能とすべく転動可能な形状を成している、
物品収容容器。
【0066】
(19)
(1)~(18)の何れかに記載の物品収容容器であって、
上記本体部は、紙の粉末を51%以上含んで構成されている、
物品収容容器。
【0067】
(20)
(1)~(19)の何れかに記載の物品収容容器であって、
上記第1外殻部、及び上記第2外殻部は、白色系統の色を成している、
物品収容容器。
【0068】
(21)
(1)~(19)の何れかに記載の物品収容容器であって、
上記第1外殻部は、白色系統の色を成し、上記第2外殻部は、光透過性のある透明色又は半透明色を成している、
物品収容容器。
【符号の説明】
【0069】
1 物品収容容器
10 本体部
10h 長孔
11 第1外殻部
12 第2外殻部
101 開口端部
107 ガイド部
110 第1連結部
120 第2連結部
130 第1凸部
131 孔
140 第1凹部
141 突起
150 第2凸部
160 第2凹部