IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グラスヒュッテ・ウーレンベトリーブ・ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7504962腕時計ブレスレットのためのクイック・リリース・システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】腕時計ブレスレットのためのクイック・リリース・システム
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/14 20060101AFI20240617BHJP
   A44C 5/18 20060101ALI20240617BHJP
   G04B 37/16 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
A44C5/14 J
A44C5/18 B
A44C5/14 B
G04B37/16 Z
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022168130
(22)【出願日】2022-10-20
(65)【公開番号】P2023098607
(43)【公開日】2023-07-10
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】21218008.7
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501475413
【氏名又は名称】グラスヒュッテ・ウーレンベトリーブ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・アインホルン
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-132411(JP,U)
【文献】特表2020-512891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/14
A44C 5/18
G04B 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラスプの交換可能腕時計ストラップのためのクイック・リリース・システムであって、
前記クラスプ(1000)の上に前記腕時計ストラップ(100)を固定するためのエンド・リンク(1)であって、ボディ(10)と、前記ボディ(10)の両側に置かれた2つの横方向のエンド・ピース、すなわち前記ボディ(10)とワン・ピースである第1の横方向のエンド・ピース(11)と、移動エンド・ピース(12)と呼ばれる、前記ボディ(10)から離れる方向に摺動することができる第2の横方向のエンド・ピースとを備える、エンド・リンクと、
前記第1のエンド・ピース(11)から延び、また、前記第1の横方向のエンド・ピース(11)に固定されている、第1のバー(2)の第1の端部(20)、および前記移動エンド・ピース(12)の穴(13)と協働する、第1のバー(2)の第2の自由端(21)を備える、前記第1のバー(2)と、
前記第1のエンド・ピース(11)から延び、前記第1のエンド・ピース(11)の内側を摺動することができる、第2のバー(3)の第1の端部(30)、および前記移動エンド・ピース(12)に連節された、前記第2のバー(3)の第2の端部を備え、前記第1のエンド・ピース(11)を、前記クラスプ(1000)に半径方向に接続す、前記第2のバー(3)と、
前記移動エンド・ピース(12)が保持ステム(4)の縦方向の軸に対して平行に移動することができるように、また、前記移動エンド・ピース(12)が前記ボディ(10)に対して保持されるロック位置から、前記移動エンド・ピース(12)が自由であるロック解除位置へ前記移動エンド・ピース(12)が移動することができるように、前記第2のバー(3)と同軸で配置され、かつ、前記第2のバー(3)に固定された、保持ステム(4)と、
前記ボディ(10)の上に前記移動エンド・ピース(12)をロックするためのロック手段であって、前記移動エンド・リンク(12)の内側を摺動する押しボタン(6)、および前記ボディ(10)に固定され、また、前記押しボタン(6)と協働して前記移動エンド・ピース(12)を前記エンド・リンク(1)の前記ボディ(10)にロックすることができ、または前記移動エンド・ピース(12)を前記エンド・リンク(1)の前記ボディ(10)からロック解除することができるロック・ピン(7)を備える、ロック手段と
を備えるクイック・リリース・システム。
【請求項2】
前記ロック・ピン(7)はヘッド(70)および円筒ボディ(71)を備え、前記ヘッド(70)は前記ボディ(71)より大きく、また、前記押しボタン中に形成された孔と協働することを特徴とする、請求項1に記載のクイック・リリース・システム。
【請求項3】
前記押しボタン(6)は前記ボディの平面に対して直角に前記移動エンド・ピースの内側を摺動することを特徴とする、請求項1に記載のクイック・リリース・システム。
【請求項4】
前記移動エンド・ピースは、前記押しボタン(6)と協働して前記移動エンド・ピースをそのロック位置に維持する少なくとも1つのばねを備えることを特徴とする、請求項1に記載のクイック・リリース・システム。
【請求項5】
移動エンド・ピースは前記押しボタン(6)のための案内手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載のクイック・リリース・システム。
【請求項6】
前記第2のバーの前記第1の端部はヘッドおよびボディを備え、前記ヘッドは前記ボディの直径(D2)より大きい直径(D1)を有することを特徴とする、請求項1に記載のクイック・リリース・システム。
【請求項7】
前記第2のバーの前記第1の端部の前記ヘッドは前記第1の横方向のエンド・ピース(11)の階段状の穴(34)の中へ摺動し、前記階段状の穴(34)は直径(D3)の第1の部分および直径(D4)の第2の部分を備え、直径D3は直径(D4)より大きく、直径(D1)は前記第1の部分の前記直径(D3)より小さく、前記第2の部分の直径(D4)より大きいことを特徴とする、請求項6に記載のクイック・リリース・システム。
【請求項8】
前記ロック・ピンは前記第1のバーの前記第2の自由端と前記第2のバーの前記第2の端部の間で前記ボディ(10)の上に固定されることを特徴とする、請求項1に記載のクイック・リリース・システム。
【請求項9】
前記ロック・ピンおよび前記第1のバーの前記第2の自由端は1つの要素を形成することを特徴とする、請求項1に記載のクイック・リリース・システム。
【請求項10】
保持ステムは前記第2のバーの前記第2の端部の上にねじ止めされ、前記保持ステムおよび前記第2のバーならびに暗黙的に前記移動エンド・ピースは前記ボディに対して回転することができることを特徴とする、請求項1に記載のクイック・リリース・システム。
【請求項11】
請求項1に記載のデバイスの少なくとも1つのエンド・リンク(1)を備える腕時計ストラップ(100)。
【請求項12】
請求項1に記載のデバイスの少なくとも1つのエンド・リンク(1)を備えることを特徴とする腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計ケースの腕時計ストラップのためのクイック・リリース・システムに関し、詳細には、例えば金属または革もしくはゴム製の腕時計ストラップに関する。
【背景技術】
【0002】
腕時計ストラップのためのクイック・リリース・システムは、近年、ますます人気が高まっている。
【0003】
腕時計ストラップのためのクイック・リリース・システムによれば、腕時計の着用者は、工具を必要とすることなく腕時計のストラップを容易に交換することができる。腕時計ヘッドのストラップの交換に加えて、クラスプのストラップの、工具を必要としない交換も望ましい。このクイック・チェンジ・システムによれば、顧客は、同じクラスプを使用して、例えば革、ゴムまたは織物でできた異なるストラップを使用することができる。これは、それには限定されないが、とりわけ「高級時計」の領域で重要である。「高級時計」には、複雑で、かつ、高価なフォールディング・クラスプが広く使用されており、それらのうちのいくつかは貴金属でできている。したがってクラスプのストラップの交換性は、この領域ではとりわけ重要である。
【0004】
フォールディング・クラスプのストラップを交換するための一般的なシステムは、突出ピンを有するスプリング・バーを備える。指の爪でこのピンを引っ張ることにより、ピンは、スプリング・バーがその相手側から引っ張り出されるとバンドを解放する。しかしながらこのシステムは、「高級時計」の要件を満たすことはほとんど不可能である。その上、スプリング・バーの使用は、ロック・システムの実施態様を制限する。
【0005】
それとは対照的に、本発明は、機能性および使用の容易さの点で、高い要求を満たすシステムを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、使用が容易で、かつ、ロック要素に対する応力がほとんどなく、また、高水準の安全保護を提供するクイック・リリース・システムを提案することによってこれらの欠点を克服することである。組み立てられた状態では目には見えない締付け、および低い高さ要件をも可能にすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって本発明は、
- 腕時計ケースまたはクラスプの上に腕時計ストラップを固定するためのエンド・リンクであって、ボディと、ボディの両側に置かれた2つの横方向のエンド・ピース、すなわちボディとワン・ピースである第1の横方向のエンド・ピースと、移動エンド・ピースと呼ばれる、ボディから離れる方向に摺動することができる第2の横方向のエンド・ピースとを備える、エンド・リンクと、
- 第1のエンド・ピースから延び、また、第1の横方向のエンド・ピースに固定されている第1の端部、および移動エンド・ピースの穴と協働する第2の自由端を備える第1のバーと、
- 第1のエンド・ピースから延び、第1のエンド・ピースの内側を摺動することができる第1の端部、および移動エンド・ピースにリンクされた第2の端部を備える第2のバーと、
- 移動エンド・ピースが保持ステムの縦方向の軸に対して平行に移動することができるように、また、移動エンド・ピースがボディに対して保持されるロック位置から、移動エンド・ピースが自由であるロック解除位置へ移動エンド・ピースが移動することができるように、第2のバーと同軸で配置され、かつ、該第2のバーに固定された、保持ステムと、
- ボディの上に移動エンド・ピースをロックするためのロック手段であって、移動エンド・リンクの内側を摺動する押しボタン、およびボディに固定され、また、押しボタンと協働して前記移動エンド・ピースをエンド・リンクのボディにロックすることができ、または前記移動エンド・ピースをエンド・リンクのボディからロック解除することができるロック・ピンを備える、ロック手段と
を備える、交換可能腕時計ストラップのためのクイック・リリース・システムに関する。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、
- ロック・ピンはヘッドおよび円筒ボディを備え、ヘッドはボディより大きく、また、押しボタン中に形成された孔と協働し、
- 押しボタンはボディの平面に対して直角に移動エンド・ピースの内側を摺動し、
- 移動エンド・ピースは、押しボタンと協働して移動エンド・ピースをロック位置に維持する少なくとも1つのばねを備え、
- 移動エンド・ピースは押しボタンのための案内手段を備え、
- 第2のバーの第1の端部はヘッドおよびボディを備え、ヘッドはボディの直径より大きい直径を有し、
- 第2のバーの第1の端部のヘッドは第1の横方向のエンド・ピースの貫通孔の中へ摺動し、貫通孔は、直径(D3)の第1の部分および直径(D4)の第2の部分を備え、直径(D3)は直径(D4)より大きく、また、直径(D1)は第1の部分の直径より小さく、また、第2の部分の直径より大きく、
- ロック・ピンは、第1のバーの第2の自由端と第2のバーの第2の端部の間でボディの上に固定され、
- ロック・ピンおよび第1のバーの第2の自由端は1つの要素を形成し、
- 保持ステムは第2のバーの第2の端部の上にねじ止めされ、保持ステムおよび第2のバーならびに暗黙的に移動エンド・ピースはボディに対して回転することができる。
【0009】
したがって本発明は高水準の操作快適性を提供し、また、顧客が要求する要件を満たすことができる。提示されるシステムは、異なるフォールディング・クラスプと共に使用することができ、既存のフォールディング・クラスプにおけるストラップのための接続要素を本発明に置き換えることを想定することが可能である。既存のフォールディング・クラスプは、ほとんど努力を必要とすることなく、クイック・チェンジ・システムを有するフォールディング・クラスプに変換することができる。
【0010】
本発明の別の利点は、ストラップ自体に機構が不要であることである。とりわけ革でできたストラップは、衛生上および美的上の理由により、一定の間隔で交換すべき着用部品であるため、それらを可能な限り単純にすることが望ましい。そうすることにより、製造努力が軽減され、したがってストラップの価格も低減され、また、柔軟性が増す。
【0011】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的なものとして与えられた添付の図面を参照してなされる以下の詳細な説明を読めばより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1a】本発明によるクイック・リリース・システムの上面図である。
図1b】本発明によるクイック・リリース・システムの底面図である。
図2a】本発明によるクイック・リリース・システムの横断面図である。
図2b】本発明によるクイック・リリース・システムの横断面図である。
図2c】本発明によるクイック・リリース・システムの別の横断面図である。
図2d】本発明によるクイック・リリース・システムの別の横断面図である。
図3a】本発明によるクイック・リリース・システムを開くためのステップの上面図である。
図3b】本発明によるクイック・リリース・システムを開くためのステップの横断面図である。
図4a】本発明によるクイック・リリース・システムを開くための異なるステップの上面図である。
図4b】本発明によるクイック・リリース・システムを開くための異なるステップの横断面図である。
図5a】本発明によるクイック・リリース・システムを開くための異なるステップの上面図である。
図5b】本発明によるクイック・リリース・システムを開くための異なるステップの横断面図である。
図6a】本発明によるクイック・リリース・システムを開くための異なるステップの上面図である。
図6b】本発明によるクイック・リリース・システムを開くための異なるステップの横断面図である。
図7】本発明によるクイック・リリース・システムを装着したストラップの上面図である。
図8】本発明によるクイック・リリース・システムを装着したクラスプの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について、一例として本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
本発明は、ユーザの腕時計に適合されたリストバンドを容易に、かつ、安全に交換し、その一方で、可能な最少の操作で同じクラスプを維持する可能性をユーザに与えることを提案し、また、最も安価な差別的製造コストのための交換可能なリストバンドを備えた腕時計をも提案する。
【0015】
何らかの工具を必要とすることなく、また、特殊な操作を必要とすることなくリストバンドを交換することが可能であり、その一方で、例えば革のリストバンドと、連結された金属リストバンドとの間で速やかに交換することができ、あるいはユーザが着用する衣服および/または宝石類の物品にリストバンドを合わせ、あるいは腕時計を使用する状況に応じてユーザの肌の色にリストバンドを合わせることも可能なはずである。また、交換可能なリストバンドによれば、長さが異なるリストバンドを即座に交換することができ、したがって小売商人および問屋は、ふさわしい完璧な腕時計をそれらの顧客に直ちに供給することがきる。
【0016】
したがって本発明は、好ましくは、クラスプ1000の交換可能腕時計ストラップ100のためのクイック・リリース・システムに関する。
【0017】
本発明によれば、クイック・リリース・システムは、
- クラスプ1000の上に腕時計ストラップ100を固定するためのエンド・リンク1であって、ボディ10と、ボディ10の両側に置かれた2つの横方向のエンド・ピース、すなわちボディ10とワン・ピースである第1の横方向のエンド・ピース11と、移動エンド・ピース12と呼ばれる、ボディ10から離れる方向に摺動することができる第2の横方向のエンド・ピースとを備える、エンド・リンクと、
- 第1のエンド・ピース11から延び、また、第1の横方向のエンド・ピース11に固定されている第1の端部20、および移動エンド・ピース12の穴13と協働する第2の自由端21を備える第1のバー2と、
- 第1のエンド・ピース11から延び、第1のエンド・ピース11の内側を摺動することができる第1の端部30、および移動エンド・ピース12に連節された第2の端部を備える第2のバー3と、
- 移動エンド・ピース12が保持ステム4の縦方向の軸に対して平行に移動することができるように、また、移動エンド・ピース12がボディ10に対して保持されるロック位置から、移動エンド・ピース12が自由であるロック解除位置へ移動エンド・ピース12が移動することができるように、第2のバー3と同軸で配置され、かつ、該第2のバー3に固定された、保持ステム4と、
- ボディ10の上に移動エンド・ピース12をロックするためのロック手段であって、移動エンド・リンク12の内側を摺動する押しボタン6、およびボディ10に固定され、また、押しボタン6と協働して前記移動エンド・ピース12をエンド・リンク1のボディ10にロックすることができ、または前記移動エンド・ピース12をエンド・リンク1のボディ10からロック解除することができるロック・ピン7を備える、ロック手段と
を備える。
【0018】
有利には、第1の横方向のエンド・ピース11は、クラスプ1000のコネクタと相補をなすフライス削り輪郭を有する。このようなアセンブリは、エンド・リンクの平面における第1の横方向のエンド・ピース11の移動を制限する。エンド・リンクの平面は、本出願人らは、エンド・リンク1に沿って縦方向に展開する平面と見なす。
【0019】
図1および図2に示されているように、第1の横方向のエンド・ピース11は、ストラップ100に接続されるように配置される第1のバー2を備える。
【0020】
移動エンド・ピース12は、第1のバー2の自由端21を受け取るための相補穴を備える。第1のバー2の長さは、移動エンド・ピース12がボディ10から遠ざかる方向にそのロック解除位置へ引っ張られると、自由端20が解放されるように寸法化されており、したがって移動エンド・ピース12は回転することができ、また、ユーザはストラップを取り外すことができる。ロック位置では、第1のバー2の自由端20は穴13の中に篏合して、移動エンド・ピース12が保持ステム4の周りを回転するのを防止する。
【0021】
第1の横方向のエンド・ピース11は、第2のバー3によってクラスプ1000に半径方向に接続されている。図に示されている変形形態ではねじとして設計されているこの第2のバー3は、第1の横方向のエンド・ピース11内を、前記第2のバー3の縦方向の軸に対して平行の軸方向に移動することができる。
【0022】
第2のバー3の第1の端部30はヘッド32およびボディ33を備えており、ヘッド32は、第2のバー3のボディ33の直径D2より大きい直径D1を有する。
【0023】
図2cから分かるように、第1の横方向のエンド・ピース11は、該第1の横方向のエンド・ピース11を貫通する階段状の穴34を備えており、第2のバー3の第1の端部30のためのストップを提供する。第2のバー3の第1の端部30のヘッド32は、第1の横方向のエンド・ピース11の階段状の穴34の中へ摺動しており、階段状の穴34は、直径D3の第1の部分および直径D4の第2の部分を備える。第1の部分の直径D3は直径D4より大きく、また、ヘッド32の直径D1は、階段状の穴34の第1の部分の直径D3よりもわずかに小さく、また、階段状の穴34の第2の部分の直径D4よりもわずかに大きく、したがって第2のバー3は階段状の穴34の内側を摺動することができ、また、階段状の穴34によって停止させることができる。
【0024】
有利には、階段状の穴34の長さは、階段状の穴34の内側の第2のバー3の第1の端部のストロークを決定する。
【0025】
本発明によれば、移動エンド・ピース12は、保持ステム4への第2のバー3の第2の端部31を介して第2のバー3に堅固に接続されている。示されている変形形態では、保持ステム4は、ねじ山によって第2のバー3の第2の端部31に固定されている。しかしながら他のタイプの接続、例えばプレス接続をも想定することができる。この構造のおかげで、保持ステム4および第2のバー3ならびに暗黙的に移動エンド・ピース12は、第2のバー3の軸の周りをボディ10に対して回転することができる。このような構造は、保全操作も必要である場合、その保全操作を単純にし、オペレータに必要なことは、ねじを緩めて第2のバー3から移動エンド・ピースを外すことだけである。
【0026】
この構造のおかげで、移動エンド・ピース12は、第1のエンド・ピース11によって、前記第2のバー3または保持ステム4(これらは同じである)の縦方向の軸に対して平行の軸方向に制限され、それと同時に第2のバー3のこの方向における軸方向変位を制限する。その結果、移動エンド・ピース12が動くことができるのは、前記第2のバー3の縦方向の軸に対して平行の軸方向のみである。また、移動エンド・ピース12は、第2のバー3の縦方向の軸の周りをも回転することができる。
【0027】
クイック・リリース・システムは、クイック・リリース・システムに堅固に接続されるロック・ピン7および押しボタン6によって形成されたロック手段をも備える。ロック・ピン7はヘッド70および円筒ボディ71を備えており、ヘッド70はボディ71より大きく、また、押しボタンの中に形成された孔60と協働する。図に示されているように、ロック・ピン7はマッシュルームの形を有しており、ヘッド70は傾斜72を備え、また、ボディは溝73を備える。
【0028】
本発明によれば、ロック・ピン7は、第1のバー2の第2の自由端21と第2のバー3の第2の端部31の間でボディ10の上に固定されている。
【0029】
ロック・ピン7および第1のバー2の第2の自由端21を併合して、1つの同じ要素を形成することも可能である。このような構造は当業者にとっては容易なタスクであり、図には示されていない。
【0030】
また、押しボタン6も、孔60の直前に位置する傾斜66をも有しており、孔60および傾斜66は、ロック・ピン7の傾斜72と協働して、ボディ10上への移動エンド・ピース12のロックを容易にするように配置されている。
【0031】
移動エンド・ピース12はフライス削り部分65を有しており、この中に押しボタン6が配置されている。押しボタン6は、このフライス削り部分65の中を、エンド・リンク1の平面に対して直角の方向に移動することができる。移動エンド・ピース12は、押しボタン6と協働して移動エンド・ピース12をそのロック位置に維持する少なくとも1つのばね61、好ましくは2つのばね61を備える。これらの2つのばね61は押しボタン6の両側に配置されている。
【0032】
図2aに示されているように、移動エンド・ピース12は押しボタンのための案内手段をも備える。案内手段は移動エンド・ピース12中の貫通孔64によって形成されており、この貫通孔64の中に2つのほぞ62が挿入されている。さらに、押しボタン6は、2つのほぞ62と共に押しボタン6のストロークを制限し、押しボタン6を移動エンド・ピース12のフライス削り部分の内側に維持する長方形の孔63を有する。
【0033】
ロック位置では、押しボタン6は、図2bまたは図3bから分かるように、ロック・ピン7の溝73の中にロックされ、これは、押しボタン6が第2のバー3の縦方向の軸の方向に移動するのを防止する。押しボタン6も移動エンド・ピース12中のフライス削り部分65によって、エンド・リンク1の平面に対して直角の方向にも制限されているため、したがってこの方向における移動エンド・ピース12の移動も防止される。
【0034】
移動エンド・ピース12をロック解除するために、押しボタンが、エンド・リンク1の平面に対して直角に、移動エンド・ピース12中のフライス削り部分65の底に押され、ロック・ピンが解放され(図4b)、移動エンド・ピース12を第2のバー3の縦方向の軸の方向に、その制約内で引っ張ることができる(図5a)。
【0035】
移動エンド・ピースが完全に展開すると、第2のバー3の縦方向の軸の周りに移動エンド・ピースを旋回させることができる。それにより第1のバー2が解放され、ストラップを交換することができる(図6a乃至図6b)。
【0036】
次に移動エンド・ピース12をロックするために、第1のバー2が移動エンド・ピース12中の孔13と再び整列するまで、移動エンド・ピースが逆方向に回転される。整列すると、着用者は、第2のバー3の縦方向の軸の方向に移動エンド・ピース12を押す。短い距離を移動した後、ロック・ピン7の傾斜72が押しボタン6の傾斜66と接触し、したがって押しボタン6の傾斜66がロック・ピン7の傾斜72の上を摺動し、フライス削り部分65の内側を、エンド・リンク1の平面に対して直角に押しボタンを移動させる。
【0037】
押しボタン6の縁が最終的にロック・ピン7の縁の上を摺動すると、ばね61の力によって押しボタン6が押し付けられ、したがってロック・ピン7の溝73の中に係合する。この時点で機構は再びそのロック位置にある。
【0038】
本発明は、本発明によるシステムの少なくとも1つのエンド・リンク1を備えたリストバンド1100にも関する。
【0039】
本発明は、本発明によるシステムのエンド・リンク1を装着した少なくとも1つのリストバンドを備えた腕時計にも関する。
【符号の説明】
【0040】
1 エンド・リンク
2 第1のバー
3 第2のバー
6 押しボタン
7 ロック・ピン
10 ボディ
11 第1の横方向のエンド・ピース
12 移動エンド・ピース(第2の横方向のエンド・ピース)
13 移動エンド・ピース12の穴
20 第1のバー2の第1の端部
21 第1のバー2の第2の自由端
30 第2のバー3の第1の端部
31 第2のバー3の第2の端部
32 第2のバー3の第1の端部のヘッド
33 第2のバー3の第1の端部のボディ
34 第1の横方向のエンド・ピース11の階段状の穴
60 押しボタン6の孔
61 ばね
62 ほぞ
63 押しボタン6の長方形の孔
64 移動エンド・ピース12中の貫通孔
65 移動エンド・ピース12のフライス削り部分
66 押しボタン6の傾斜
70 ロック・ピン7のヘッド
71 ロック・ピン7の円筒ボディ
72 ヘッド70(ロック・ピン7)の傾斜
73 ボディ(ロック・ピン7)の溝
100 交換可能腕時計ストラップ
1000 クラスプ
1100 リストバンド
D1 ヘッド32の直径
D2 ボディ33の直径
D3 階段状の穴34の直径(第1の部分)
D4 階段状の穴34の直径(第2の部分)
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8