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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】電子装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/80 20160101AFI20240617BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20240617BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/20
H02J7/00 301D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022173480
(22)【出願日】2022-10-28
(62)【分割の表示】P 2019155775の分割
【原出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2023001218
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2022-10-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 集会名:ブロードバンドワイヤレスフォーラムTG6とARIB無線LAN作業班主任との意見交換会 開催日:2019年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 健太郎
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-184381(JP,A)
【文献】特開2018-050134(JP,A)
【文献】特開2009-253649(JP,A)
【文献】特開2013-212003(JP,A)
【文献】特開2013-172472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 - 50/90
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムの無線信号を検知する検知手段と、
電磁波により受電器に対して給電を行う給電手段と、
前記無線通信システムに与える干渉度合いを判別する判別手段と
を具備し、
前記給電手段は、前記検知手段によって前記無線信号が第1期間中に検知されない場合、第2期間中に給電を行い、
前記第2期間は、前記第1期間及び当該第1期間に対する第1比率に基づいて設定され、
前記第1比率は、前記判別手段によって判別された干渉度合いに基づいて決定される
電子装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記電子装置の仕様、前記無線通信システムの仕様、前記検知手段によって検知される無線信号のうちの少なくとも1つに基づいて、前記干渉度合いを判別する請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記判別手段によって干渉度合いが大きいと判別された場合は、前記判別手段によって干渉度合いが小さいと判別された場合よりも小さい第1比率が決定される請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記第1期間が第3期間に変更された場合、前記第2期間は、前記第3期間及び前記第1比率に基づいて第4期間に変更される請求項1~3のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項5】
前記第1期間が第3期間に変更された後、予め定められた時間が経過する場合、前記第3期間は第1期間に再度変更され、前記第4期間は前記第2期間に再度変更される請求項4記載の電子装置。
【請求項6】
前記検知手段によって検知される無線信号に基づいて、前記電子装置が前記無線通信システムと共存しているか否かを判定する判定手段を更に具備し、
前記第1比率の大きさは、前記判定結果に基づいて設定される
請求項1~5のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項7】
前記電子装置が前記無線通信システムと共存している場合、前記第1比率は、第2比率に変更され、
前記電子装置が前記無線通信システムと共存していない場合、前記第1比率は、第3比率に変更され、
前記第3比率の大きさは、前記第2比率よりも大きい
請求項6記載の電子装置。
【請求項8】
前記第1比率が前記第2比率に変更された後、予め定められた期間が経過する場合、前記第2比率は前記第1比率に再度変更され、
前記第1比率が前記第3比率に変更された後、予め定められた期間が経過する場合、前記第3比率は前記第1比率に再度変更される
請求項7記載の電子装置。
【請求項9】
前記第1比率が前記第2比率に変更された後に、前記電子装置が前記無線通信システムと共存していない場合、前記第2比率は前記第3比率に更に変更される請求項7記載の電子装置。
【請求項10】
前記第1比率が前記第3比率に変更された後に、前記電子装置が前記無線通信システムと共存している場合、前記第3比率は前記第2比率に更に変更される請求項7記載の電子装置。
【請求項11】
前記電子装置が前記無線通信システムと共存しているか否かは、前記無線信号の検知結果、前記無線信号のヘッダ部を復調した結果及び前記無線信号のデータ部を復調した結果のうちの少なくとも1つに基づいて判定される請求項6~10のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項12】
前記無線通信システムは、IEEE802.11規格に従う無線通信システムである請求項1~11のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項13】
無線通信システムの無線信号を検知するステップと、
電磁波により受電器に対して給電を行うステップと、
前記無線通信システムに与える干渉度合いを判別するステップと
を具備し、
前記給電を行うステップは、前記無線信号が第1期間中に検知されない場合、第2期間中に給電を行うステップを含み、
前記第2期間は、前記第1期間及び当該第1期間に対する第1比率に基づいて設定され、
前記第1比率は、前記判別された干渉度合いに基づいて決定される
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、無線給電装置と称される電子装置から給電用の電磁波(例えば、マイクロ波)を送信することによって受電器に電力を伝送する(受電器に対する給電を行う)ことが可能な技術が注目されている。
【0003】
このような技術によれば、従前のように電子機器に有線で給電する際の物理的制約から解放されるため、利便性を飛躍的に向上させることが期待されている。
【0004】
ところで、受電器に対する給電を効率よく行うためには、無線給電装置は電力レベルの高い電磁波を送信する必要がある。
【0005】
しかしながら、無線給電装置から電力レベルの高い電磁波が送信された場合には、既存の無線通信システムに対して干渉を与える可能性がある。
【0006】
一方、無線給電装置による給電の時間を短くすれば、既存の無線通信システムに対して干渉を与えることを抑制することが可能であるが、給電効率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2012/280574号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、既存の無線通信システムに対する干渉の抑制と給電効率とを両立することが可能な電子装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る電子装置は、無線通信システムの無線信号を検知する検知手段と、電磁波により受電器に対して給電を行う給電手段と、前記無線通信システムに与える干渉度合いを判別する判別手段とを具備する。前記給電手段は、前記検知手段によって前記無線信号が第1期間中に検知されない場合、第2期間中に給電を行う。前記第2期間は、前記第1期間及び当該第1期間に対する第1比率に基づいて設定される。前記第1比率は、前記判別手段によって判別された干渉度合いに基づいて決定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る無線給電装置と既存の無線通信システムとの関係性について説明するための図。
図2】無線給電装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図3】無線給電装置の機能構成の一例を示すブロック図。
図4】受電装置の機能構成の一例を示すブロック図。
図5】無線給電装置の動作の概要について説明するための図。
図6】無線給電装置の処理手順の一例を示すフローチャート。
図7】比較的小さい比率を用いた場合のキャリアセンス期間及び給電期間の一例を示す図。
図8】比較的大きい比率を用いた場合のキャリアセンス期間及び給電期間の一例を示す図。
図9】キャリアセンス期間及び給電期間を一定時間毎に初期値に戻す場合の無線給電装置の状態遷移について説明するための図。
図10】第2実施形態に係る無線給電装置の機能構成の一例を示すブロック図。
図11】無線給電装置の処理手順の一例を示すフローチャート。
図12】比率を一定時間毎に初期値に戻す場合の無線給電装置の状態遷移について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、各実施形態について説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。本実施形態における無線給電システムは、電磁波により受電器に電力を伝送する(給電する)機能を有する電子装置(以下、無線給電装置と表記)と、当該無線給電装置によって電磁波により伝送される電力を受電する電子装置(以下、受電器と表記)とを含む。
【0012】
ここで、上記した無線給電装置は特定の周波数帯域の電磁波により受電器に電力を伝送するが、この場合、当該周波数帯域と同一または近傍の周波数帯域を用いる既存の無線通信システムに対して干渉を与える可能性がある。このため、本実施形態に係る無線給電装置は、既存の無線通信システムに対する干渉を抑制するための構成を有する。
【0013】
なお、無線通信システムは、例えば無線通信を実行する基地局及び端末装置等を含む無線通信装置から構成される。
【0014】
ここで、図1を参照して、本実施形態に係る無線給電装置と既存の無線通信システムとの関係性について説明する。上記したように無線給電装置は電磁波により受電器に電力を伝送することが可能であるが、当該無線給電装置は、例えば周波数帯域F1を用いて電力を伝送するものとする。一方、無線通信システムは、例えば周波数帯域F2を用いて無線通信を実行するものとする。
【0015】
図1において縦軸は送信電力を示しているが、電力を伝送する際に無線給電装置から送信される電磁波の電力レベルは、例えば無線通信システムにおいて送信される無線信号の電力レベルと比較して非常に高い。
【0016】
また、図1において横軸は周波数帯域を示しているが、無線給電装置が用いる周波数帯域F1と無線通信システムが用いる周波数帯域F2との周波数差が小さい(つまり、無線給電装置が用いる周波数帯域F1の近傍の周波数帯域F2を無線通信システムが用いる)場合には、無線給電装置による給電(電力の伝送)が当該無線通信システムに対して干渉を与える可能性がある。
【0017】
更に、無線通信システムを構成する無線通信装置は、当該無線通信システムが用いる周波数帯域F2に対し、より広い周波数帯域F3の無線信号を受信可能なアンテナを備えている場合が多いため、無線通信システムはより無線給電装置の影響を受ける可能性がある。
【0018】
よって、無線給電装置による給電は、当該無線給電装置が用いる周波数帯域F1だけではなく、その近傍の周波数帯域の利用状況も考慮して実施される必要がある。
【0019】
そこで、本実施形態に係る無線給電装置は、給電を行う前に少なくとも当該無線給電装置が用いる周波数帯域または当該周波数帯域の近傍の周波数帯域をスキャンし、当該周波数帯域でキャリアセンスすることによって、当該周波数帯域を用いる無線通信システムが存在するか否かを検査するものとする。
【0020】
なお、本実施形態において「キャリアセンス」とは例えば無線通信システムにおいて送信される無線信号の有無を検知する(つまり、無線信号が検知されるか否かを検査する)ことをいうが、当該「無線信号が検知される」とは、無線信号が一時的に検知されることであってもよいし、無線信号が所定の期間中継続して検知されることであってもよい。更に、上記した「キャリアセンス」には、無線信号の一部または全てを解析(復調または復号)する概念が含まれていてもよい。
【0021】
以下、本実施形態に係る無線給電装置及び受電器の構成について説明する。図2は、無線給電装置のハードウェア構成の一例を示す。図2に示すように、無線給電装置10は、CPU11、不揮発性メモリ12、主メモリ13、アンテナ14及び通信デバイス15等を備える。
【0022】
CPU11は、無線給電装置10内の各コンポーネントの動作を制御するハードウェアプロセッサである。CPU11は、ストレージデバイスである不揮発性メモリ12から主メモリ13にロードされるプログラムを実行する。
【0023】
アンテナ14は、電力を伝送するための電磁波(給電信号)を所定の周波数帯域を用いて送信するように構成されている。また、アンテナ14は、上記したキャリアセンスの対象となる周波数帯域の無線信号(無線通信システムにおいて送信される無線信号)を受信するように構成されている。なお、アンテナ14は、上記した電力を伝送するための電磁波を送信するためのアンテナと無線通信システムにおいて送信される無線信号を受信するためのアンテナとを別個に備える構成であってもよいし、当該電磁波を送信し、かつ、無線信号を受信するように構成された1つのアンテナのみを備える構成であってもよい。また、アンテナ14は、複数のアレー素子からなるアレーアンテナであってもよい。更に、アンテナ14は、無線信号を受信するアンテナとは別に、外部装置と無線通信を実行するためのアンテナを更に備えていてもよい。
【0024】
通信デバイス15は、例えば外部装置と無線通信を実行するように構成されたデバイスである。
【0025】
図3は、無線給電装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、無線給電装置10は、信号検知部101、給電部102及び制御部103を含む。
【0026】
本実施形態において、信号検知部101、給電部102及び制御部103の一部または全ては、上記したCPU11にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアによって実行されてもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせ構成として実現されてもよい。
【0027】
信号検知部101は、上記したキャリアセンスを行う機能部である。具体的には、無線通信システムにおいて送信される無線信号(当該無線通信システムの無線信号)はアンテナ14を介して受信可能であり、信号検知部101は、当該受信された無線信号の電力レベル(信号エネルギー)を検出する。これにより、信号検知部101は、無線信号の有無を検知する。
【0028】
給電部102は、信号検知部101による検知結果(つまり、キャリアセンスの結果)に基づいて、受電器に対して給電を行う(電磁波により電力を伝送する)機能部である。なお、信号検知部101によって無線信号が検知された場合、給電部102は、無線通信システムに干渉を与えることを回避するために給電を行わない。一方、信号検知部101によって無線信号が検知されない場合、給電部102は給電を行う。
【0029】
制御部103は、上記したキャリアセンス及び給電を行う期間を管理する機能部である。なお、制御部103は、キャリアセンス及び給電を行う期間を制御する(変更する)機能を有していてもよい。
【0030】
図4は、受電器の機能構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、受電器20は、受電部201及び供給部202を含む。
【0031】
受電器20は無線給電装置10から送信される電磁波を受信可能なアンテナを備えており、受電部201は、当該アンテナを介して受信された電磁波により伝送された電力を受電する。
【0032】
供給部202は、受電部201によって受電された電力を受電器20の各コンポーネントに供給する。具体的には、受電器20は電力を蓄えることが可能なバッテリあるいはキャパシタ(蓄電部)を備えており、供給部202は、受電部201によって受電された電力を蓄電部に供給することによって、当該蓄電部を充電する。
【0033】
なお、図4においては省略されているが、受電器20は、例えば当該受電器20において必要な電力量(つまり、要求受電量)またはバッテリ残量等のバッテリ情報を無線給電装置10に対して送信することができるように構成されていてもよい。
【0034】
また、受電器20のハードウェア構成については詳しい説明を省略するが、受電器20は例えばCPU、不揮発性メモリ、主メモリ、センサー、カメラ、アンテナ及び通信デバイス等を備えていればよい。
【0035】
次に、図5を参照して、本実施形態に係る無線給電装置10の動作の概要について説明する。
【0036】
まず、信号検知部101は、例えば時刻t1からキャリアセンスを開始する。この場合、無線信号が検知されていない期間(以下、信号未検知期間と表記)が制御部103によってカウントされ、信号検知部101は、制御部103によってカウントされた信号未検知期間T1が所定の期間(以下、キャリアセンス期間と表記)に到達した時刻t2においてキャリアセンスを終了する。なお、キャリアセンス期間とは、給電を行うために無線信号が検知されないことを確認すべき期間に相当する。
【0037】
時刻t2においてキャリアセンスが終了した場合、給電部102は、当該時刻t2から給電(つまり、電力の伝送)を開始する。この場合、電力が伝送されることによって給電が行われている期間(以下、電力伝送期間と表記)が制御部103によってカウントされ、給電部102は、制御部103によってカウントされた電力伝送期間T2が所定の期間(以下、給電期間と表記)に到達した時刻t3において給電を終了する。
【0038】
なお、時刻t3において給電が終了した場合、信号検知部101は、当該時刻t3から再度キャリアセンスを行う。
【0039】
ここで、図5に示すように、時刻t3~t4までの期間T3においては無線信号が検知されないが、時刻t4~t5までの期間T4において無線信号が検知された場合を想定する。この場合、制御部103は、時刻t3から開始していた信号未検知期間のカウントを時刻t4において一旦停止する。
【0040】
無線信号が検知された状態で時刻t4~t5までの期間T4が経過し、当該時刻t5から再び無線信号が検知されなくなると、一旦停止されていた信号未検知期間のカウントを当該時刻t5において再開する。この場合、信号未検知期間T3と信号未検知期間T5との合計がキャリアセンス期間に到達した時刻t6においてキャリアセンスを終了する。
【0041】
時刻t6においてキャリアセンスが終了した場合、給電部102は、時刻t6~t7までの期間T6(給電期間)において給電を行う。
【0042】
上記したように無線給電装置10においては、無線信号がキャリアセンス期間中に検知されない場合に給電を行うことによって、当該給電(つまり、電磁波による電力の伝送)による既存の無線通信システムに対する干渉を抑制する。
【0043】
なお、キャリアセンスを行っている間に無線信号が検出されたとしても、上記した信号未検知期間の合計がキャリアセンス期間に到達した場合には給電が行われる。一方、図5においては示されていないが、継続的に無線信号が検知され、信号未検知期間がキャリアセンス期間に到達しない場合には、給電は行われない。なお、給電が行われている期間中に無線信号が無線通信システムにおいて送信されたとしても当該給電は継続される。
【0044】
ところで、本実施形態に係る無線給電装置10は上記した図5において説明したように動作することで、当該無線給電装置10と既存の無線通信システムとの共存を図ることが可能であるが、無線給電装置10が無線通信システムに対して与える干渉を確実に回避できるわけではない。なお、無線通信システムに対する干渉の度合いは、信号検知部101における無線信号の検知精度に依存する。
【0045】
具体的には、例えばキャリアセンスが行われている期間(キャリアセンス期間)中に既存の無線通信システムが偶々無線信号を送信していないような場合には、当該キャリアセンスにおいて無線信号は検知されないため、当該無線通信システムが存在していたとしても給電が行われる。すなわち、予め設定されているキャリアセンス期間が短い場合には、本来検知すべき無線通信システムの無線信号を検知することができない事態が生じ得る。
【0046】
これに対して、キャリアセンス期間が長い場合には、無線通信システムの無線信号を検知する機会が増え、更に、当該無線信号(受信信号)に含まれるノイズ(雑音)の影響を長時間の積分処理等によって抑圧することも可能であるため、無線信号に対する検知精度を向上させることができる。これによれば、無線給電装置10による無線通信システムへの干渉を回避する可能性が高くなる。
【0047】
一方、無線給電装置10は受電器20に対して給電を行うことを目的とするため、給電効率を向上させることが好ましい。しかしながら、上記したようにキャリアセンス期間を長くすると、給電期間が短くなるため、給電効率が低下(劣化)する。
【0048】
給電効率を向上させるためには給電期間を長くすればよいが、給電期間を長くすると、無線通信システムの無線信号を検知する機会が減り、検知精度が低下する。結果として、無線通信システムに対する干渉の回避が困難となる。換言すれば、給電期間が長い場合には、無線通信システムが無線チャネルを利用しにくくなり、当該無線通信システムに対する干渉の影響が大きくなる。
【0049】
すなわち、無線給電装置10と既存の無線通信システムとの適切な共存を実現するためには、キャリアセンス期間と給電期間とのバランスが重要である。
【0050】
そこで、本実施形態においては、キャリアセンス期間と給電期間との適切なバランスを実現し、キャリアセンス期間が長い場合には給電期間も長く設定し、キャリアセンス期間が短い場合には給電期間も短く設定するようにキャリアセンス期間及び給電期間を管理する。
【0051】
具体的には、例えばキャリアセンス期間が長い場合には、上記したように無線信号に対する検知精度は高い。したがって、このようなキャリアセンス期間において無線信号が検知されない場合には、既存の無線通信システムに対して干渉を与える可能性は低いと推定することができるため、給電期間を長く設定する。
【0052】
一方、キャリアセンス期間が短い場合には無線信号に対する検知精度が低いため、このようなキャリアセンス期間において無線信号が検知されない場合であっても、無線通信システムに対して干渉を与える可能性を否定することはできない。この場合には、給電期間を短く設定する。
【0053】
すなわち、本実施形態においては、上記した観点に基づき、キャリアセンス期間に対する給電期間の比率N(=給電期間/キャリアセンス期間)が一定となるように当該キャリアセンス期間及び給電期間を管理(制御)する。例えば図5に示す例では、給電期間(例えば、期間T2)はキャリアセンス期間(例えば、期間T1)のN倍となるように制御される。なお、Nは実数である。
【0054】
以下、図6のフローチャートを参照して、本実施形態に係る無線給電装置10の処理手順の一例について説明する。
【0055】
まず、制御部103は、上記したキャリアセンス期間を設定する(ステップS1)。ステップS1において設定されるキャリアセンス期間は、無線給電装置10内で予め定められているものとする。なお、キャリアセンス期間は、例えば無線給電装置10の仕様、当該無線給電装置10が設置されている環境、既存の無線通信システムの仕様等に基づいて決定される。
【0056】
次に、制御部103は、ステップS1において設定されたキャリアセンス期間に基づいて、上記した給電期間を設定する(ステップS2)。この場合、制御部103は、キャリアセンス期間に比率Nを乗算することによって得られる期間を給電期間として設定する。
【0057】
これによれば、例えばステップS1において異なるキャリアセンス期間が設定されたとしても、ステップS2においては、当該キャリアセンス期間に対する比率がN(つまり、一定)となるような給電期間が設定される。
【0058】
ここで、本実施形態における比率(期間比率)Nについて説明する。本実施形態においては、無線給電装置10が無線通信システムに与える干渉が大きいと想定される場合には比較的小さい比率Nを用い、当該干渉が小さいと想定される場合には比較的大きい比率Nを用いる。
【0059】
図7は、比較的小さい比率N(以下、比率N1と表記)を用いた場合のキャリアセンス期間及び給電期間の一例を示す。図8は、比較的大きい比率N(以下、比率N2と表記)を用いた場合のキャリアセンス期間及び給電期間の一例を示す。
【0060】
上記したように無線給電装置10が無線通信システムに与える干渉が大きいと想定される場合には、図7に示すように比率N1を用いることによって給電期間を短くする。具体的には、キャリアセンス期間がT11である場合、給電期間T12は、T11×N1とする。この場合、給電を短期間で終了させることができるため、無線通信システムに干渉を与えることを抑制することができる。
【0061】
一方、無線給電装置10が無線通信システムに与える干渉が小さいと想定される場合には、図8に示すように比率N2を用いることによって給電期間を長くする。具体的には、キャリアセンス期間がT11である場合、給電期間T13は、T11×N2とする。この場合、給電を長期間実行することができるため、給電効率を向上させることができる。
【0062】
なお、無線給電装置10が無線通信システムに与える干渉が大きいか小さいかは、例えば無線給電装置10の仕様または当該無線通信システムの仕様等に基づいて判別可能である。
【0063】
無線給電装置10の仕様には、例えば当該無線給電装置10の設置場所、当該無線給電装置10から送信される電磁波の周波数帯域、当該電磁波の電力レベル(送信電力)及び当該無線給電装置10による給電可能エリア(当該電磁波の到達可能エリア)等が含まれる。これらの無線給電装置10の仕様に関する情報(仕様値)は、例えば無線給電装置10内部で予め管理されていればよい。
【0064】
また、無線通信システムの仕様には、例えば無線通信システムを構成する無線通信装置の設置場所、当該無線通信装置の数、当該無線通信システムにおいて送信される無線信号の周波数帯域(幅)、当該無線信号の電力レベル(信号エネルギー)、当該無線信号のフレーム長(信号長)、当該無線信号の信号送信頻度、当該無線信号の信号種別(フレームタイプ)及び当該無線通信システムにおける許容遅延時間等が含まれる。
【0065】
これらの無線通信システムの仕様に関する情報(仕様値)のうち、既知であるものについては、例えば無線給電装置10内部で予め管理されていればよい。例えば無線信号の周波数帯域は通信規格として予め定められているため既知である。
【0066】
一方、これらの無線通信システムの仕様に関する情報(仕様値)のうち、既知でないものについては、無線通信システムにおいて送信される無線信号(つまり、信号検知部101によって検知される無線信号)を解析することによって取得することができる。具体的には、無線通信システムにおいて送信される無線信号のフレーム長や送信頻度は環境によって変化することが考えられるため、信号検知部101によって検知される無線信号(観測データ)から推定するものとする。
【0067】
なお、無線通信システムの仕様に関する情報は、信号検知部101によって検知される無線信号の電力レベルの大きさや時間幅に基づいて推定されてもよいし、当該無線信号の一部または全て(例えば、ヘッダ部またはデータ部等)を復調した結果に基づいて推定されてもよい。
【0068】
更に、上記した無線通信システムの仕様に関する情報(仕様値)は、単一の無線信号から推定された値であってもよいし、複数の無線信号(つまり、検知結果)を統計的に解析することによって得られる解析値(例えば、最小値、最大値、中央値、平均値、分散値及び標準偏差等)であってもよい。
【0069】
ここでは、無線通信システムの仕様に関する情報を無線信号から推定するものとして説明したが、当該無線通信システムの仕様に関する情報は、当該無線通信システムを構成する無線通信装置から直接受信するようにしてもよい。
【0070】
上記したような無線給電装置10の仕様及び無線通信システムの仕様によれば、例えば無線通信システムを構成する無線通信装置が無線給電装置10の近辺に設置されている、当該無線通信装置の数が多い、または無線通信システムが用いる周波数帯域が無線給電装置10が用いる周波数帯域と同一であるまたは近いこと等を判別することができる。これらの場合には、無線給電装置10が無線通信システムに対して与える干渉が大きくなることが想定されるため、比較的小さい比率Nを採用すればよい。
【0071】
同様に、無線給電装置10の仕様及び無線通信システムの仕様によれば、例えば無線通信システムを構成する無線通信装置が無線給電装置10から離れて配置されていること、無線通信システムが用いる周波数帯域が無線給電装置10が用いる周波数帯域と離れていること等を判別することができる。これらの場合には、無線給電装置10が無線通信システムに対して与える干渉が小さくなることが想定されるため、比較的大きい比率Nを採用すればよい。
【0072】
ここでは、無線給電装置10において用いる比率Nを決定(設定)するために無線給電装置10の仕様及び無線通信システムの仕様を利用するものとして説明したが、比率Nを決定する際には、これらの仕様以外に、例えば上記した受電器20から送信される要求受電量及びバッテリ情報(バッテリ残量)等を利用してもよい。
【0073】
上記した比率Nの具体例としては、例えば同一の室内で無線給電装置10と無線通信システムが共存する場合は大きな干渉が想定されるため、当該比率Nを1(つまり、N=1)とする。一方、同一の建物内であっても壁を隔てた異なる室内で無線給電装置10と無線通信システムが共存する場合は干渉が小さいと想定されるため、比率Nを2(つまり、N=2)とする。また、無線給電装置10と無線通信システムが隣接する(つまり、異なる)建物内で共存するような場合には比率Nを更に大きな値(例えば、N≧3)としてもよい。
【0074】
また、例えば無線給電装置10が用いる周波数帯域と無線通信システムが用いる周波数帯域が同一(つまり、同一チャネル)である場合は比率Nを1とし、当該周波数帯域が近い(つまり、隣接チャネルである)場合には比率Nを2とする。無線給電装置10が用いる周波数帯域と無線通信システムが用いる周波数帯域が離れている場合には比率Nを3以上としてもよい。
【0075】
更に、例えば無線通信システムが通話等の遅延が許容されない無線通信を実行するような場合には比率Nを1とし、メッセージを送信する等の遅延が比較的許容される無線通信を実行するような場合には比率Nを2以上とするようにしてもよい。
【0076】
なお、比率Nについては、例えば実験や計算機シミュレーション等の結果を考慮して決定することも可能である。
【0077】
再び図6に戻ると、信号検知部101は、キャリアセンスを開始する(ステップS3)。上記したように信号検知部101によってキャリアセンスが開始されると、制御部103は、信号未検知期間をカウントする。
【0078】
ここで、信号検知部101は、無線信号が検知されたか否かを判定する(ステップS4)。信号検知部101は、アンテナ14を介して無線信号のエネルギーあるいは特定の信号パターン等を検出した場合に、無線信号が検知されたと判定する。一方、信号検知部101は、無線信号のエネルギーあるいは特定の信号パターン等が検出されない場合、無線信号が検知されていないと判定する。
【0079】
無線信号が検知されたと判定された場合(ステップS4のYES)、上記した信号未検知期間のカウントは停止され、ステップS4の処理が繰り返される。なお、信号未検知期間のカウントが停止された後に実行されるステップS4において無線信号が検知されていないと判定された場合に、当該信号未検知期間のカウントは再開される。
【0080】
一方、無線信号が検知されていないと判定された場合(ステップS4のNO)、信号検知部101は、制御部103によってカウントされている信号未検知期間がステップS1において設定されたキャリアセンス期間に到達したか否かを判定する(ステップS5)。
【0081】
信号未検知期間がキャリアセンス期間に到達していないと判定された場合(ステップS5のNO)、ステップS4に戻って処理が繰り返される。
【0082】
一方、信号未検知期間がキャリアセンス期間に到達したと判定された場合(ステップS5のYES)、信号検知部101は、キャリアセンスを終了する。
【0083】
次に、給電部102は、給電を開始する(ステップS6)。この場合、給電部102は、所定の電力レベルに基づく電磁波を送信することによって、受電器20に対して電力を伝送(供給)する。このように給電部102によって伝送された電力は、受電器20に含まれる受電部201によって受電され、供給部202によってバッテリ等に充電される。なお、給電部102によって給電が開始されると、制御部103は、電力伝送期間をカウントする。
【0084】
ここで、給電部102は、制御部103によってカウントされている電力伝送期間がステップS2において設定された給電期間に到達したか否かを判定する(ステップS7)。
【0085】
電力伝送期間が給電期間に到達していないと判定された場合(ステップS7のNO)、ステップS7の処理が繰り返される。
【0086】
一方、電力伝送期間が給電期間に到達したと判定された場合(ステップS7のYES)、給電部102は、給電を終了する。
【0087】
なお、図6は上記した図5に示す例えば時刻t1~t3の間に実行される処理を示しており、当該図6に示す処理は、図5に示すように定期的に繰り返し実行される。
【0088】
上記したように本実施形態においては、無線信号が例えば第1キャリアセンス期間中(第1期間中)に検知されない場合には、第1給電期間中(第2期間中)に給電が行われ、無線信号が例えば第2キャリアセンス期間中(第3期間中)に検知されない場合には、第2給電期間中(第4期間中)に給電が行われる。この場合、第2キャリアセンス期間に対する第2給電期間の比率(第2比率)は、第1キャリアセンス期間に対する第1給電期間の比率(第1比率)と同一である。
【0089】
すなわち、本実施形態に係る無線給電装置10及び受電器20においては、キャリアセンス期間と給電期間との比率Nを一定にすることで、無線給電装置10が無線通信システムに与える干渉のレベルを一定に保った状態で受電器20に給電を行うことが可能となり、当該無線通信システムに与える干渉の抑制と給電効率の向上との両立を実現することができる。
【0090】
ここで、例えば比率Nを1とした場合であっても、キャリアセンス期間及び給電期間がそれぞれ1msである場合と、キャリアセンス期間及び給電期間がそれぞれ10msである場合とでは、無線給電装置10が当該無線通信システムに対して与える影響は異なる。具体的には、キャリアセンス期間及び給電期間がそれぞれ1msである場合は、通信遅延への影響は小さくなるが、長いフレーム長(時間長)のパケット信号の通信が失敗しやすくなる。一方、キャリアセンス期間及び給電期間がそれぞれ10msである場合は、通信遅延への影響は大きくなるが、長いフレーム長(時間長)のパケット信号は通信しやすくなる。
【0091】
このため、本実施形態においては、上記したように比率Nは一定に保ちつつ、キャリアセンス期間及び給電期間(の絶対値)を柔軟に変更する構成としてもよい。なお、キャリアセンス期間及び給電期間を変更する処理(以下、期間変更処理と表記)は、例えば制御部103によって実行されればよい。
【0092】
期間変更処理は、例えば無線通信システムの既知の仕様(値)または信号検知部101によって検知された無線信号の検知結果(観測結果)等に基づいて実行される。無線信号の検知結果には、当該無線信号の電力レベル、検知時間(無線信号が継続して検知された時間)、当該無線信号の復調結果及びこれらの統計的な解析結果等が含まれる。なお、無線信号の復調結果には、当該無線信号を復調することによって得られる無線通信データのトラフィック情報や無線通信装置の数等が含まれていてもよい。
【0093】
以下、期間変更処理の具体例について説明する。ここでは、例えば第1キャリアセンス期間及び第1給電期間(第1キャリアセンス期間に比率Nを乗算することによって得られる期間)が設定されているものとする。
【0094】
例えば信号検知部101によって検知された無線信号の検知時間が長い場合、当該無線信号のフレーム長が長いと推測することができる。このため、制御部103は、第1キャリアセンス期間を当該第1キャリアセンス期間よりも長い第2キャリアセンス期間に変更する。更に、制御部103は、第1給電期間を第2キャリアセンス期間に比率Nを乗算することによって得られる第2給電期間に変更する。この場合、無線信号のフレーム長と同程度の長さとなるように給電期間を設定することで、無線給電装置10と無線通信システムとの間で公平な共存を実現することができる。
【0095】
また、期間変更処理においては、無線通信システムにおいて送信される無線信号のフレーム長だけでなく、当該無線通信システムにおける通信プロトコルの解析結果を利用してもよい。具体的には、無線通信システムとしてIEEE802.11規格に準拠した無線LANを想定した場合、1つの無線LAN端末(無線通信装置)はフレーム送信後にSIFSと称される時間間隔だけ待機し、通信の相手方の端末(無線通信装置)から応答フレーム(ACKフレーム)を受領することが知られている。この場合、1つの無線LAN端末が無線チャネルを占有する時間は、無線信号のフレーム長(データフレーム長)+SIFS時間+ACKフレーム長となる。このため、信号検知部101が無線LAN信号を検知した場合には、当該無線LAN信号のデータフレーム長+SIFS時間+ACKフレーム長と同程度の長さとなるように給電期間を設定してもよい。
【0096】
また、期間変更処理においては、共存する無線通信システムを長時間にわたって観測した結果を利用してもよい。例えばこのような観測結果に基づいて無線通信システムが無線チャネルを占有する占有率が得られる場合には、当該占有率と同程度の長さとなるように給電期間を設定してもよい。
【0097】
なお、期間変更処理においては、キャリアセンス期間を変更し、当該変更されたキャリアセンス期間及び比率Nに基づいて給電期間を変更してもよいし、給電期間を変更し、当該変更された給電期間及び比率Nに基づいてキャリアセンス期間を変更する構成としてもよい。
【0098】
上記したように期間変更処理が実行された場合にはキャリアセンス期間及び給電期間を動的に変更することが可能であるが、このように変更されたキャリアセンス期間及び給電期間を一定時間毎に初期値に戻すような制御が更に実行されてもよい。
【0099】
以下、図9を参照して、キャリアセンス期間及び給電期間を一定時間毎に初期値に戻す場合の無線給電装置10の状態遷移について説明する。無線給電装置の10の状態には、初期状態及び可変状態が含まれる。
【0100】
初期状態とは、初期値として設定されている第1キャリアセンス期間及び第1給電期間(当該第1キャリアセンス期間に比率Nを乗算することによって得られる期間)に基づいて動作する状態をいう。
【0101】
一方、可変状態とは、上記した期間変更処理によって変更された第2キャリアセンス期間及び第2給電期間(当該第2キャリアセンス期間に比率Nを乗算することによって得られる期間)に基づいて動作する状態をいう。
【0102】
まず、無線給電装置10の状態が初期状態である場合において、例えば信号検知部101によって検知された無線信号に基づいて上記した期間変更処理が実行された場合、無線給電装置10の状態は、初期状態から可変状態に遷移する。この場合、第1キャリアセンス期間が第2キャリアセンス期間に変更され、かつ、第1給電期間が第2給電期間に変更される。
【0103】
次に、上記したように初期状態から可変状態に遷移した(つまり、キャリアセンス期間及び給電期間が変更された)後、予め定められた時間(以下、初期化時間と表記)が経過した場合、無線給電装置10の状態は、可変状態から初期状態に遷移する。この場合、第2キャリアセンス期間は再度第1キャリアセンス期間に変更され、第2給電期間は再度第1給電期間に変更される。
【0104】
これによれば、無線給電装置10においてキャリアセンス期間及び給電期間が変更された場合であっても、初期化時間が経過した後に、当該キャリアセンス期間及び給電期間を初期値に戻すことができる。
【0105】
上記したキャリアセンス期間及び給電期間を一定時間毎に初期値に戻す制御が適用される例としては、例えばIEEE802.11に準拠した無線LANの場合、無線LAN端末が無線チャネルを占有する最大時間はTXOPというパラメータで制御され、最大8msであることが知られている。そのため、無線LANシステムと共存する可能性が高い環境では、初期化時間毎にキャリアセンス期間を8ms以上の値に戻すように制御することで、無線給電装置10の近傍にいる無線LAN端末からの信号を確実に検知することができるようになる。
【0106】
一方、無線LAN信号のフレーム長としては例えば1ms以下となる場合がある。このため、例えば無線給電装置10が初期状態であるときに、信号検知部101によって検知された無線LAN信号を解析することによって得られる当該無線LAN信号の平均フレーム長が1ms以下であるような場合には、キャリアセンス期間を短くする制御を実行する。これによれば、無線LAN信号のフレーム長に応じた適切な長さの期間でキャリアセンスを行うことができる。
【0107】
上記したような状態遷移によれば、無線給電装置10と無線通信システムとのより効率的な共存を実現することができる。
【0108】
上記したように本実施形態におけるキャリアセンス期間及び給電期間は、固定値であってもよいし、環境(共存する無線通信システム等)によって動的に変更されてもよいが、当該キャリアセンス期間及び給電期間の比率を一定とすることにより、共存する無線通信システムに与える干渉を抑制しつつ、給電効率の向上を図ることができる。
【0109】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、本実施形態においては、前述した第1実施形態の説明で用いた図面と同様の部分には同一参照符号を付して説明するものとする。また、以下の説明では、前述した第1実施形態と異なる部分について主に述べる。
【0110】
図10は、本実施形態に係る無線給電装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。図10に示すように、無線給電装置10は、前述した第1実施形態において説明した信号検知部101、給電部102及び制御部103に加えて、共存判定部104を含む。
【0111】
本実施形態において、共存判定部104の一部または全ては、例えばソフトウェアによって実現されてもよいし、ハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせ構成として実現されてもよい。
【0112】
共存判定部104は、無線給電装置10(給電可能エリア)の周辺に既存の無線通信システムが存在しているか否かを判定する。換言すれば、共存判定部104は、無線給電装置10が無線通信システムと共存している否かを判定する。
【0113】
本実施形態は、共存判定部104による判定結果に基づいてキャリアセンス期間に対する給電期間の比率Nを制御する点で、前述した第1実施形態とは異なる。
【0114】
以下、図11のフローチャートを参照して、本実施形態に係る無線給電装置10の処理手順の一例について説明する。
【0115】
まず、図6に示すステップS1~S5の処理に相当するステップS11~S15の処理が実行される。
【0116】
ステップS15において信号未検知期間がキャリアセンス期間に到達したと判定された場合(ステップS15のYES)、共存判定部104は、無線給電装置10が既存の無線通信システムと共存しているか否かを判定する共存判定処理を実行する(ステップS16)。なお、共存判定処理の結果には、無線給電装置10が無線通信システムと共存していることを示す「共存」及び無線給電装置10が無線通信システムと共存していないことを示す「非共存」が含まれる。
【0117】
以下、ステップS16において実行される共存判定処理について説明する。共存判定処理は、信号検知部101による検知結果に基づいて実行される。
【0118】
共存判定処理においては、例えば信号検知部101によって検知された無線信号の電力レベル(信号エネルギー)が閾値以上であれば「共存」と判定するものとする。また、共存判定処理においては、無線信号の検知頻度(回数)や検知時間が閾値以上であれば「共存」と判定してもよい。
【0119】
更に、信号検知部101によって検知された無線信号を解析(復調)し、当該解析結果または当該解析結果の統計量等に基づいて「共存」または「非共存」を判定してもよい。
【0120】
具体的には、無線信号のヘッダ部を復調することによって特定のIDが割り当てられた無線通信装置からの無線信号が連続していることが特定された場合には、当該無線通信装置が無線給電装置10の近傍に存在していると推定し、「共存」と判定してもよい。一方、全く異なるIDが割り当てられた無線通信装置からの連続しない(つまり、単発の)無線信号が検知された場合には、当該無線通信装置とは定常的な共存状態(環境)にないと推定して、「非共存」と判定することができる。
【0121】
更に、無線信号のデータ部を復調して統計的に解析することによって復調成功率(フレームを正しく復調することができた割合)を取得し、当該復調成功率が閾値以上であれば、無線給電装置10の近傍に無線通信装置が存在すると推定し、「共存」と判定することができる。一方、復調成功率が閾値未満であれば、例えばノイズに埋もれた遠方からの無線信号が検知されたと推定し、「非共存」と判定することができる。
【0122】
上記したように共存判定処理においては、信号検知部101による無線信号の検知結果、当該無線信号のヘッダ部を復調した結果及び当該無線信号のデータ部を復調した結果のうちの少なくとも1つに基づいて「共存」または「非共存」を判定するものとする。
【0123】
なお、信号検知部101が無線信号の有無(つまり、無線信号が存在したか否か)を検知するものであるのに対して、無線給電装置10の周辺に既存の無線通信システムが物理的に共存する環境であるか否かを判定する点で、共存判定部104は当該信号検知部101とは異なる。
【0124】
ステップS16の処理が実行されると、図6に示すステップS6及びS7の処理に相当するステップS17及びS18の処理が実行される。
【0125】
ステップS18において電力伝送期間が給電期間に到達したと判定された場合(ステップS18のYES)、制御部103は、上記したステップS16の処理の結果に基づいて、キャリアセンス期間に対する給電期間の比率を変更(制御)する(ステップS19)。
【0126】
具体的には、上記したようにステップS16の処理の結果(つまり、共存判定処理における判定結果)には「共存」または「非共存」が含まれるが、例えば現在の比率(初期値)を比率N11とすると、当該「共存」に対しては比率N12、当該「非共存」に対しては比率N13が予め設定されているものとする。
【0127】
これにより、ステップS16において「共存」と判定された場合には、制御部103は、キャリアセンス期間に対する給電期間の比率N11を比率N12に変更する。一方、ステップS16において「非共存」と判定された場合には、制御部103は、キャリアセンス期間に対する給電期間の比率N11を比率N13に変更する。
【0128】
なお、比率N13は、比率N12よりも大きい値に設定されている。これによれば、「共存」においては、無線給電装置10が干渉を与える可能性のある無線通信システム(無線通信装置)が周辺に存在するため、給電期間を短くし、当該干渉を抑制することができる。一方、「非共存」においては、無線給電装置10が干渉を与える可能性のある無線通信システム(無線通信装置)が周辺に存在しないため、給電時間を長くし、給電効率を向上させることができる。
【0129】
前述した図6に示す処理と同様に、図11に示す処理は定期的に繰り返し実行されるが、ステップS19において変更された比率N12または比率N13は、次に実行される図11に示す処理(つまり、給電期間の設定)において用いられる。
【0130】
なお、図11においては、給電が開始される前に共存判定処理が実行されているが、当該共存判定処理は、給電が開始された後に実行されてもよい。
【0131】
また、無線通信装置の有無(つまり、無線給電装置10が無線通信システムと共存しているか否か)は時間とともに変化することが考えられるため、上記した図11に示す処理が実行される度に共存判定処理も毎回実行される(つまり、信号検知部101において検知結果が得られる度に実行される)ことが好ましい。ただし、例えば信号検知部101による検知結果を蓄積しておくことにより、予め定められた時間帯にのみ共存判定処理が実行される構成としてもよいし、図11に示す処理が複数回繰り返された後に共存判定処理が実行される構成としてもよい。
【0132】
上記したように本実施形態においては、無線通信システムにおいて送信される無線信号に基づいて、無線給電装置10が無線通信システムと共存しているか否か(つまり、「共存」または「非共存」)を判定し、キャリアセンス期間に対する給電期間の比率N11(第1比率)を当該判定結果に基づいて変更する。
【0133】
具体的には、「共存」と判定された場合には比率N11は上記した比率N12(第3比率)に変更され、「非共存」と判定された場合には比率N11は上記した比率N13(第4比率)に変更される。この場合、比率N13は比率N12よりも大きい。
【0134】
また、共存状態判定処理は、無線信号の検知結果、無線信号のヘッダ部を復調した結果及び無線信号のデータ部を復調した結果のうちの少なくとも1つに基づいて実行される。
【0135】
本実施形態においては、このような構成により、無線通信システム(無線通信装置)が存在しているか否かに応じた適切な比率に基づいてキャリアセンス期間及び給電期間を設定することが可能となるため、無線通信システムに与える干渉の抑制と給電効率の向上との両立を実現することができる。
【0136】
なお、上記したように本実施形態においてはキャリアセンス期間に対する給電期間の比率を変更することが可能であるが、このように変更された比率を一定時間毎に初期値に戻すような制御が更に実行されてもよい。
【0137】
以下、図12を参照して、比率を一定時間毎に初期値に戻す場合の無線給電装置10の状態遷移について説明する。無線給電装置10の状態には、初期状態、共存状態及び非共存状態が含まれる。
【0138】
初期状態とは、初期値として設定されている比率N11に基づいて動作する状態をいう。また、共存状態とは、上記した比率N12に基づいて動作する状態をいう。また、非共存状態とは、上記した比率N13に基づいて動作する状態をいう。
【0139】
無線給電装置10の状態が初期状態である場合には、第1キャリアセンス期間及び当該第1キャリアセンス期間に比率N11を乗算することによって得られる第1給電期間が設定され、当該第1キャリアセンス期間及び第1給電期間に基づいてキャリアセンス及び給電が行われる。
【0140】
ここで、無線給電装置10の状態が初期状態である場合において、例えば共存判定部104によって「共存」と判定された場合を想定する。この場合、比率N11が比率N12に変更され、無線給電装置10の状態は初期状態から共存状態に遷移する。これによれば、第2キャリアセンス期間及び当該第2キャリアセンス期間に比率N12を乗算することによって得られる第2給電期間が設定され、当該第2キャリアセンス期間及び第2給電期間に基づいてキャリアセンス及び給電が行われる。
【0141】
また、上記したように初期状態から共存状態に遷移した(つまり、比率N11が比率N12に変更された)後、予め定められた時間(以下、初期化時間と表記)が経過した場合、無線給電装置10の状態は、共存状態から初期状態に遷移する(つまり、比率N12が比率N11に再度変更される)。
【0142】
一方、無線給電装置10の状態が初期状態である場合において、例えば共存判定部104によって「非共存」と判定された場合を想定する。この場合、比率N11が比率N13に変更され、無線給電装置10の状態は初期状態から非共存状態に遷移する。これによれば、第3キャリアセンス期間及び当該第3キャリアセンス期間に比率N13を乗算することによって得られる第3給電期間が設定され、当該第3キャリアセンス期間及び第3給電期間に基づいてキャリアセンス及び給電が行われる。
【0143】
また、上記したように初期状態から非共存状態に遷移した(つまり、比率N11が比率N13に変更された)後、初期化時間が経過した場合、無線給電装置10の状態は、非共存状態から初期状態に遷移する(つまり、比率N13が比率N11に再度変更される)。
【0144】
これによれば、無線給電装置10においてキャリアセンスに対する給電期間の比率が変更された場合であっても、初期化時間が経過した後に、当該比率を初期値に戻すことができる。
【0145】
なお、例えば無線給電装置10の状態が共存状態である場合において、無線通信システム(無線通信装置)における通信が終了する場合がある。この場合、無線給電装置10の状態が共存状態から初期状態に遷移する前に、定期的に実行される共存判定処理において「非共存」と判定される。このような場合には、無線給電装置10の状態は共存状態から非共存状態に遷移するものとする。これによれば、無線通信システムに干渉を与えない環境となった場合には、共存状態であったとしても非共存状態に遷移し、給電効率を向上させるようにキャリアセンス期間及び給電期間を制御することができる。なお、このように無線給電装置10の状態が共存状態から非共存状態に遷移した場合であっても、当該共存状態から非共存状態に遷移した後、初期化時間が経過した場合には、無線給電装置10の状態は非共存状態から初期状態に遷移する。また、無線給電装置10の状態が共存状態から初期状態に遷移する前に、共存判定処理において「共存」と判定された場合には、当該共存状態が維持される。
【0146】
同様に、例えば無線給電装置10の状態が非共存状態である場合において、無線通信システム(無線通信通信)における通信が開始する場合がある。この場合、無線給電装置10の状態が非共存状態から初期状態に遷移する前に、定期的に実行される共存判定処理において「共存」と判定される。このような場合には、無線給電装置10の状態は非共存状態から共存状態に遷移するものとする。これによれば、無線通信システムに干渉を与える可能性が生じた場合には、非共存状態であったとしても共存状態に遷移し、当該干渉を抑制するようにキャリアセンス期間及び給電期間を制御することができる。なお、このように無線給電装置10の状態が非共存状態から共存状態に遷移した場合であっても、当該非共存状態から共存状態に遷移した後、初期化時間が経過した場合には、無線給電装置10の状態は共存状態から初期状態に遷移する。また、無線給電装置10の状態が非共存状態から初期状態に遷移する前に、共存判定処理において「非共存」と判定された場合には、当該非共存状態が維持される。
【0147】
なお、上記した初期化時間は、例えば無線給電装置10と共存する可能性のある無線通信システムの仕様に基づいて定められていてもよいし、無線給電装置10の仕様に基づいて定められていてもよい。
【0148】
例えば無線給電装置10と共存する可能性のある無線通信システムが無線LANシステムである場合、新たな無線通信装置(無線LAN端末)が基地局に接続するために許容できる遅延時間は数秒程度と想定されるため、初期化時間も当該許容できる遅延時間と同程度のオーダとすることが望ましい。
【0149】
また、無線給電装置10が給電用の電磁波(電力を伝送するための電磁波)を最適化するために受電器20に対する伝搬路推定を定期的に行うように構成されている場合がある。この場合には、伝搬路推定と同程度の周期で初期状態に遷移するように初期化時間を定めてもよい。
【0150】
更に、例えば無線通信システムを構成する無線通信装置が周期的にビーコン信号を送信するような場合には、当該ビーコン信号と同程度の周期で初期状態に遷移するように初期化時間を定めてもよい。
【0151】
また、図12においては、共存状態から初期状態に遷移するための初期化時間と非共存状態から初期状態に遷移するための初期化時間とが同一の時間であるものとして説明したが、当該初期化時間は異なる時間であってもよい。
【0152】
なお、本実施形態においては非共存状態における比率N13は共存状態における比率N12よりも大きい値であるが、当該比率N13は、例えば無限大としてもよい。これによれば、共存判定処理において「非共存」と判定された場合には無線通信システムへの干渉の恐れがないため、無線給電装置10において常時給電を行うことができる。一方、給電が行われている間に新たな無線通信装置が通信を開始する可能性もあるが、この場合には、初期化時間が経過した際に非共存状態から初期状態に遷移することによって当該無線通信装置によって送信される無線信号を検知することができる。
【0153】
また、図12に示す比率N11は、少なくとも比率N13よりも小さい値であるものとする。具体的には、比率N11は、共存状態における比率N12と同一の値であってもよいし、比率N12と比率N13との間の値であってもよい。更に、比率N12は1つの値であるものとして説明したが、例えば無線信号の解析結果等に対応する複数の比率N12を用意しておいてもよい。これによれば、無線給電装置10の状態が共存状態に遷移した場合に、共存すると判定された無線通信システムに応じた適切な比率に基づいて無線給電装置10を動作させることが可能となる。
【0154】
また、図12においては、初期状態においては第1キャリアセンス期間が設定され、共存状態においては第2キャリアセンス期間が設定され、非共存状態においては第3キャリアセンス期間が設定されるものとして説明したが、当該第1~第3キャリアセンス期間は、同一の期間であってもよいし、異なる期間であってもよい。
【0155】
更に、本実施形態においては共存判定処理が定期的に実行されるものとして説明したが、例えば無線給電装置10の状態が初期状態である場合には、無線給電装置10が無線通信システムと共存しているか否かを確実に判定するために、当該初期状態におけるキャリアセンス及び給電(つまり、比率N11に基づく動作)が予め定められた回数繰り返された後に共存判定処理を実行するようにしてもよい。一方、初期状態におけるキャリアセンス及び給電が1回行われた後に共存判定処理を実行してもよい。
【0156】
なお、無線給電装置10の状態が共存状態及び非共存状態である場合も同様に、キャリアセンス及び給電が予め定められた回数繰り返された後に共存判定処理を実行してもよいし、キャリアセンス及び給電が1回行われた後に共存判定処理を実行してもよい。
【0157】
なお、共存判定処理は無線給電装置10が初期状態の場合にのみ実行し、共存状態及び非共存状態である場合は実行しないようにしてもよい。
【0158】
以上述べた少なくとも1つの実施形態においては、既存の無線通信システムに対する干渉の抑制と給電効率とを両立することが可能な電子装置及び方法を提供することができる。
【0159】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0160】
10…無線給電装置(電子装置)、11…CPU、12…不揮発性メモリ、13…主メモリ、14…アンテナ、15…通信デバイス、20…受電器(電子装置)、101…信号検知部、102…給電部、103…制御部、104…共存判定部、201…受電部、202…供給部。
図1
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図12