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特許7504965手動命令を適応選択する表示器を備える計時器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】手動命令を適応選択する表示器を備える計時器
(51)【国際特許分類】
   G04G 21/00 20100101AFI20240617BHJP
   G06F 3/0482 20130101ALI20240617BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20240617BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240617BHJP
   G04G 21/06 20100101ALI20240617BHJP
   G04G 21/02 20100101ALI20240617BHJP
【FI】
G04G21/00 D
G06F3/0482
G06F3/0488
G06F3/01 510
G04G21/06
G04G21/02 H
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022176049
(22)【出願日】2022-11-02
(65)【公開番号】P2023093328
(43)【公開日】2023-07-04
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】21216716.7
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・ラゴルゲット
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-120584(JP,A)
【文献】特開2021-192178(JP,A)
【文献】特開2017-215858(JP,A)
【文献】特表2016-535349(JP,A)
【文献】特開2001-190696(JP,A)
【文献】特開2015-99007(JP,A)
【文献】特開2017-135650(JP,A)
【文献】特開2018-26141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00-99/00
G06F 3/048-3/04895
H04W 4/00-99/00
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部デバイス(70、71、72、73)に命令を送信することを意図する計時器(1)であって、前記計時器(1)は、
-デジタル表示器(6)と、
-外部デバイスとのワイヤレス通信回路(82)と、
-手動選択インターフェース(5、6)と、
-マイクロフォン(87)と、
-前記計時器の着用者の生理学的データを測定するインターフェース(84)と、
-処理ユニット(81)と、
を備え、前記処理ユニット(81)は、
〇前記マイクロフォン(87)上で受信した可聴信号に応じて、前記ワイヤレス通信回路を通じて外部デバイス(70、71、72、73)に命令を送信し、
〇前記計時器の着用者の理学的基準応じて、表示すべき命令の提案リストを規定し、
〇前記デジタル表示器(6)上に、前記規定したリストの命令提案(cmd1、cmd2、cmd3、cmd4、cmd5、cmd6、cmd7)を含む命令インターフェースを表示し、
〇前記手動選択インターフェースを通じて前記デジタル表示器上に表示される命令の選択を識別し、
〇前記選択が識別された命令に応じて、前記ワイヤレス通信回路(82)を通じて外部デバイス(70、71、72、73)に命令を送信する
ように構成する、計時器(1)。
【請求項2】
外部デバイス(70、71、72、73)に命令を送信することを意図する計時器(1)であって、前記計時器(1)は、
-デジタル表示器(6)と、
-外部デバイスとのワイヤレス通信回路(82)と、
-手動選択インターフェース(5、6)と、
-マイクロフォン(87)と、
-位置情報デバイス(83)と、
-処理ユニット(81)と、
を備え、前記処理ユニット(81)は、
〇前記マイクロフォン(87)上で受信した可聴信号に応じて、前記ワイヤレス通信回路を通じて外部デバイス(70、71、72、73)に命令を送信し、
前記位置情報デバイス(83)が決定した前記計時器の位置に応じて、表示すべき命令の提案リストを規定し、
〇前記デジタル表示器(6)上に、前記規定したリストの命令提案(cmd1、cmd2、cmd3、cmd4、cmd5、cmd6、cmd7)を含む命令インターフェースを表示し、
〇前記手動選択インターフェースを通じて前記デジタル表示器上に表示される命令の選択を識別し、
〇前記選択が識別された命令に応じて、前記ワイヤレス通信回路(82)を通じて外部デバイス(70、71、72、73)に命令を送信する
ように構成する、計時器(1)。
【請求項3】
外部デバイス(70、71、72、73)に命令を送信することを意図する計時器(1)であって、前記計時器(1)は、
-デジタル表示器(6)と、
-外部デバイスとのワイヤレス通信回路(82)と、
-手動選択インターフェース(5、6)と、
-マイクロフォン(87)と、
-最後に送信した命令の1つ又は複数を記憶するメモリと、
-処理ユニット(81)と、
を備え、前記処理ユニット(81)は、
〇前記マイクロフォン(87)上で受信した可聴信号に応じて、前記ワイヤレス通信回路を通じて外部デバイス(70、71、72、73)に命令を送信し、
最後に記憶した命令の1つ若しくは複数、又は前記最後の命令とは反対の1つ若しくは複数の命令を含めることによって、表示すべき命令の提案リストを規定し、
〇前記デジタル表示器(6)上に、前記規定したリストの命令提案(cmd1、cmd2、cmd3、cmd4、cmd5、cmd6、cmd7)を含む命令インターフェースを表示し、
〇前記手動選択インターフェースを通じて前記デジタル表示器上に表示される命令の選択を識別し、
〇前記選択が識別された命令に応じて、前記ワイヤレス通信回路(82)を通じて外部デバイス(70、71、72、73)に命令を送信する
ように構成する、計時器(1)。
【請求項4】
前記手動選択インターフェースは、前記デジタル表示器(6)に関連するタッチ・スクリーンであることを特徴とする、請求項1-3のいずれか一項に記載の計時器(1)。
【請求項5】
前記処理ユニット(81)は、学習アルゴリズムを実装し、前記学習アルゴリズムは、前記デジタル表示器(6)上に前記命令提案を含む前記命令インターフェースを動的に生成することに寄与し得ることを特徴とする、請求項1-3のいずれか一項に記載の計時器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの、別のデバイスに対する制御を支援することを意図する計時器に関する。
【0002】
計時器は、ユーザが即時に利用可能であり、永続的に着用することが多いため、遠隔制御器の役割を果たすために理想的な位置付けにある。したがって、新たな種類の計時器は、ユーザから他のデバイスへの命令を収集するための選択ツールを構成する。そのようなデバイスは、例えば、テレビ、オーディオ・システム、ホーム・オートメーション設備、又は可搬イヤフォンを含み得る。
【0003】
新たな計時器が出現しており、音声命令を収集することを意図するマイクロフォン、及び関係するデバイス又はゲートウェイに音声命令を送信する無線インターフェースを提案している。計時器内又は遠隔の処理デバイスは、マイクロフォン上で受信した可聴信号を、関係するデバイスのためにデジタル命令に変換する。音声命令が利用可能であることは、自動車の運転中、スポーツ活動中、自転車による移動中、又は更にはユーザの手を離せなくする家事の間、特に有用である。
【0004】
一定数の状況において、音声命令は適さないことがある。したがって、騒がしすぎる環境下では、マイクロフォン上で受信した可聴信号は、関係するデバイスのために音声命令をデジタル命令に変換できるようにするには不十分な質であることがある。一方、環境によっては、例えば公共の場所又は公共輸送機関では沈黙が求められることがある。
【0005】
ユーザが命令を入力可能にする計時器は、従来技術で公知である。そのような計時器は、従来、デジタル表示画面と、例えばデジタル表示画面の表面上で接触を検出する形態の選択インターフェースとを有する。そのような画面は、制御されるデバイスに対する複数の命令提案を含む命令インターフェースを表示する可能性がある。表示された命令の1つが選択インターフェースを通じて選択された場合、次に、制御されるデバイスに命令が送信される。
【0006】
しかし、そのような計時器は、いくつかの欠点を有する。実際、デジタル表示画面上では利用可能な表面が狭いため、複数の命令提案の表示には、かなり適さないことがあり、この画面上にはほんの少数の命令しか同時に提案し得ない。更に、これらの命令のうち一定の数が利用可能ではない又は不適当である場合、手動命令選択モードの使用はわずらわしい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの欠点の1つ又は複数を解決することを目的とする。
【0008】
本発明の目的の1つは、制御されるデバイス又は外部デバイスに対する命令インターフェースを表示可能である計時器を有することであり、この命令インターフェースは、明確で、正確で、直観的で、効果的であり、及び/又はこの外部デバイスを制御する枠内において、計時噐のユーザ支援のニーズに可能な限り近くなるよう適合される。
【0009】
本発明の別の目的は、この外部デバイスを制御するために、計時噐のユーザ支援のニーズに応じて、この命令インターフェースを動的に生成可能な計時器を有することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的において、本発明は、命令を外部デバイスに送信することを意図する計時器に関し、計時器は、
-デジタル表示器と、
-外部デバイスとのワイヤレス通信回路と、
-手動選択インターフェースと、
-マイクロフォンと、
-処理ユニットと
を備え、処理ユニットは、
〇マイクロフォン上で受信した可聴信号に応じて、ワイヤレス通信回路を通じて命令を外部デバイスに送信し、
〇計時器の着用者の以前に選択した命令の履歴、環境基準、行動基準、生理学的基準、又は外部デバイスの状態基準に応じて、表示すべき命令提案リストを規定し、
〇デジタル表示器上に、前記規定したリストの命令提案を含む命令インターフェースを表示し、
〇手動選択インターフェースを通じてデジタル表示器上に表示される命令の選択を識別し、
〇選択が識別された命令に応じて、ワイヤレス通信回路を通じて命令を外部デバイスに送信する
ように構成される。
【0011】
一変形形態によれば、計時器は、計時器の着用者の生理学的データを測定するインターフェースを更に備え、前記処理ユニットは、計時器の着用者の生理学的基準に応じて、表示すべき命令提案リストを規定するように構成される。
【0012】
別の変形形態によれば、計時器は、位置情報デバイスを更に備え、前記処理ユニットは、位置情報デバイスが決定した計時器の位置に応じて、表示すべき命令提案リストを規定するように構成される。
【0013】
別の変形形態によれば、計時器は、最後に送信した命令の1つ又は複数を記憶するメモリを更に備え、前記処理ユニットは、最後に記憶した命令の1つ若しくは複数、又は最後の命令とは反対の1つ若しくは複数の命令を含めることによって、表示すべき命令提案リストを規定するように構成される。
【0014】
別の変形形態によれば、計時器は、加速度計を更に備え、前記処理ユニットは、加速度計が測定した加速度に応じて、表示すべき命令提案リストを規定するように構成される。
【0015】
また別の変形形態によれば、前記処理ユニットは、計時器に近接して位置する外部デバイスに関して検出された状態基準に応じて、表示すべき命令提案リストを規定するように構成される。
【0016】
また別の変形形態によれば、手動選択インターフェースは、デジタル表示器に関連するタッチ・スクリーンである。
【0017】
有利には、別の変形形態では、処理ユニットは、学習アルゴリズムを実装し、学習アルゴリズムは、デジタル表示器上に命令提案を含む前記命令インターフェースを動的に生成することに寄与し得る。
【0018】
他の特徴及び利点は、以下で添付の図面を参照しながら、わかりやすく非限定的な例を挙げて行う以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を実装し得る腕時計の一例の上面図である。
図2】腕時計と複数の外部デバイスとの直接通信の一例の図である。
図3】スマートフォンを通じた、腕時計と複数の外部デバイスとの通信の一例の図である。
図4図1の腕時計の表示における様々な表示領域の拡大上面図である。
図5】命令表示の第1レベルの拡大上面図である。
図6】命令表示の第2レベルの拡大上面図である。
図7】命令の表示に関する木構造の一例の概略図である。
図8】サーバと通信する図1の腕時計の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明が実装される可能性が高い腕時計1の形態の計時器のイメージを示すための、概略上面図である。腕時計1は、中間部を備えるケース2を含む。腕時計1は、ここでは、ケース2に締結されるバンド3を含む。この目的で、腕時計1は、中間部の両側に、バンド3のそれぞれの要素を締結するように構成された、2つのホーン21を含む。腕時計1は、ここでは、ケース2の側部に配置された起動可能要素5を含み、この要素5は、例えば、プッシュボタン、りゅうず又は更には巻上げボタンとし得る。
【0021】
図3において、腕時計1のケース2は、中間部により画定され、デジタル手段を格納する、受入れ体積部4を含む。腕時計1の受入れ体積部4は、デジタル表示器6によって閉鎖される。表示器6は、中間部によってそれ自体公知の様式で支持され、適切な方法によって中間部に封止締結され得る。
【0022】
基本の時間表示機能とは別に、制御されるデバイス又は外部デバイスへの命令提案を含む命令インターフェースを表示するため、デジタル手段8は表示器6を使用し得る。デジタル手段8は、同じ電子回路上に統合しても、様々な電子構成要素又は回路に分けてもよい。デジタル手段8は、ここでは、処理ユニット81又は制御器と、ワイヤレス通信回路82と、位置情報デバイス83と、生理学的データを測定又は受信するインターフェース84と、加速度計85とを含む。デジタル手段8は、(例えば不揮発性メモリ内に記憶された)データベース86と、マイクロフォン87とを更に含み得る。完全にする目的で、デジタル手段8は、ここでは、多数の機能の組合せを含み、当然、本発明は、これらの一部のみを実施可能である。
【0023】
既に述べたように、外部デバイスは、ワイヤレス・リンクを通じて、本発明の腕時計により遠隔制御し得る電子デバイスである。外部デバイスは、以下に限るものではないが特に、テレビ、オーディオ・システム及び/又はビデオ、ホーム・オートメーション設備、おもちゃ、又は更には可搬イヤフォン等に関係し得る。
【0024】
処理ユニット81は、特に、マイクロフォン87上で受信した可聴信号に応じて、少なくとも1つの外部デバイスに命令を送信するように構成される。そのような命令は、ワイヤレス通信回路82を通じて送信される。処理ユニット81は、特に、音声認識機能を備え、ユーザが発音した音素を識別し、外部デバイスのために可能な命令のリスト内で可能性のある命令を識別し得る。このように識別された命令は、ワイヤレス通信回路82を通じて送信される。
【0025】
図2は、ワイヤレス通信回路82を通じて、様々なデバイス71、72又は73を制御する命令を送信する、腕時計1の可能性を概略的に示す。腕時計1は、ここでは、自律的で、そのような命令をデバイス71、72、73に直接送信可能である。
【0026】
図3は、ワイヤレス通信回路を通じて、スマートフォン又はタブレット70を使用し中継することによって、様々なデバイス71、72、73を制御する命令を送信する、腕時計1の可能性を概略的に示す。スマートフォン又はタブレット70は、様々なアプリケーションを実行するように構成され、それぞれのアプリケーションは、それぞれのデバイス71、72、73を制御するように構成される。この場合、スマートフォン又はタブレット70のアプリケーションは、腕時計によってデバイス71、72、73に送信される命令を中継するものとして使用される。
【0027】
雑音の多い、又は沈黙が必要とされる環境では、ユーザは、外部デバイスに対する手動命令選択インターフェースも有する。
【0028】
図4は、腕時計1のデジタル表示器6における上面図である。デジタル表示器6は、ここでは、処理ユニット81が命令提案を表示するために使用し得る複数の表示領域61から67を含む。処理ユニット81は、特に提案する命令の数に応じて、この図とは数、分布が異なる表示領域を表示するように構成し得る。これらの表示領域は、手動選択インターフェースの、対応する様々な起動可能/選択可能部分を通じて見ることができることに留意されたい。
【0029】
命令を手動選択するこのインターフェースは、例えば、表示器6の接触面から構成され、表示領域61から67の1つに対応する起動可能/選択可能部分の1つを直接押圧することによって、命令の選択を可能にする。手動選択インターフェースは、起動可能要素5も含み、(例えば、短押しを介して)様々な表示領域を順次、事前選択し、次に、(例えば、長押しを介して)事前選択した表示領域に対応する命令を選択し得る。
【0030】
図5に示すように、表示器6は、様々な表示領域内に命令Cmd1、Cmd2、Cmd3、Cmd4、Cmd5、Cmd6及びCmd7を表示する。これらの命令は、提案された命令の第一レベル、例えば、最後に選択した命令若しくは最後に選択した命令とは反対のものに対する、外部デバイスの選択又はショートカットで有り得る。最後に選択された命令の表示は、そのような内容を発話すること(「最後の命令」、「最後から2番目の命令」)によって、又はこれらの命令の内容を明確に繰り返すことによって実行し得る。
【0031】
図7を参照すると、命令の1つを選択することによって、表示器6は、木構造に従って他の命令を表示し得る。したがって、命令Cmd1(例えば、外部デバイスの識別子)の1つを選択することによって、表示器6は、(例えば、選択した外部デバイスにさらに合致する命令を提案するために)図6に示す他の命令Cmd11、Cmd12、Cmd13、Cmd14、Cmd15、Cmd16及びCmd17を表示し得る。選択されたCmd11、Cmd12、Cmd13、Cmd14、Cmd15、Cmd16及びCmd17の一部又は全ては、例えば、命令Cmd11が命令Cmd111からCmd117を含むように、他の命令も含み得ることを理解されたい。
【0032】
一連の表示は、図7に例として示す木構造に対応し得る。木構造の第1レベルは、例えば、以下に列挙する特定の命令を提案し得る:開始、停止、オン、オフ、下げる。木構造の第2レベルは、例えば、以下に列挙する、パラメータに関連する命令を提案し得る:音量、輝度、速度。木構造の第3レベルは、例えば、以下に列挙する、命令の適用のために利用可能な様々な外部デバイスを提案し得る:テレビ、コネクテッド筐体、イヤフォン等。木構造の第4レベルは、特定の命令の様々な振幅、例えば、命令の増減に関して、例えば、30%、半分、80%を提案し得る。
【0033】
そのような木構造システムの場合、手動選択インターフェースを通じて複数の連続命令の組合せを選択した後、外部デバイスに命令を送信するように規定することが可能である。
【0034】
処理ユニット81は、以下の基準の1つを考慮に入れ、(例えば、命令Cmd1、Cmd2、Cmd3、Cmd4、Cmd5、Cmd6及びCmd7の全てに対して)表示すべき命令提案リストを規定するように更に構成される:ユーザが以前選択した命令の履歴、環境基準、腕時計1の着用者の生理学的基準、腕時計1の着用者の行動基準、又は外部デバイスの状態基準。処理ユニット81は、このリスト内で規定された命令提案を含む命令インターフェースをデジタル表示器6上に表示するように更に構成される。処理ユニット81は、次に、手動選択インターフェースを通じて表示器6上に表示された命令の1つの選択を識別するように更に構成される。次に、処理ユニット81は、選択が識別されている命令に応じて、例えば、外部デバイス71から73の1つ又はスマートフォン70に命令を送信するように構成される。この命令の送信は、ワイヤレス通信回路82を通じて実施される。
【0035】
したがって、腕時計1、特に選択インターフェースに接続された腕時計1の処理ユニット81は、マイクロフォンによる可聴命令の受信が利用可能ではない又は望ましくない場合、手動命令を回収する可能性を有する。更に、手動命令の回収は、表示器6上に表示される命令の少なくとも1つに対するインテリジェント管理のために、操作を冗長にしないように最適化された人間工学を有する。
【0036】
この背景において、腕時計の処理ユニット81は、デジタル表示器6上にユーザへの命令提案を含む命令インターフェースを動的に生成することが可能な、学習アルゴリズム等のコンピュータ・プログラムを実装可能である。代替又は追加として、このアルゴリズムを実行する処理ユニット81は、ユーザが選択インターフェースと対話することを避けるために、少なくとも1つの命令を先取りして生成し、少なくとも1つの外部デバイスに送信することが可能である。そのような腕時計は、特に、1つ又は複数の外部デバイスを同時に制御し得ることに留意されたい。
【0037】
そのような学習アルゴリズムは、「機械学習アルゴリズム」として公知である。より詳細には、ここでは、手動選択インターフェースによる過去の命令の選択に関連する学習アルゴリズムに関係する。このアルゴリズムは、好ましくは教師ありである機械学習とも呼ばれる自動訓練を受けることができる。データベース86内で回収したデータに基づき、少なくとも1つのニューラル・ネットワーク及び/又は解析機能及び/又は多項式回帰原理に基づいて処理ユニット81を訓練し得る。訓練の実行範囲において、アルゴリズムは、表示すべき命令提案を生成することができ、例えば、過去に選択された命令と、環境基準、腕時計1の着用者の生理学的基準、腕時計1の着用者の行動基準又は外部デバイスの状態基準等の他のデータとを組み合わせることによって、所与の背景において、特定の命令が選択される可能性がより大きいかどうかを学習し得る。
【0038】
本実施形態では、この処理ユニット81は、このアルゴリズムを実行することによって、ユーザが以前に選択した命令の履歴を生成可能である。このため、処理ユニット81は、選択インターフェースから、ユーザが選択した最後の命令に属する表示領域61から67のうち少なくとも1つに対応する、少なくとも1つの起動可能部分を検出でき、それが選択される可能性が一番高いか、又は反対に、この最後の命令とは反対の命令が選択される可能性がより高いかどうかという決定を可能にする。このため、学習アルゴリズムは、以前に選択した命令及び背景要素を考慮し得る。この目的で、データベース86は、最後に選択した命令の履歴を一定数記憶し得る。データベース86のコンテンツは、例えば、そのような学習アルゴリズムのための学習コンテンツとして使用し得る。
【0039】
この背景において、腕時計1の着用者の生理学的基準は、処理ユニット81によって実施されるこのアルゴリズムによって使用し得る。実際、処理ユニット81は、生理学的データ84を測定するインターフェースによって提供されたデータを使用するように構成し得る。これら生理学的データを考慮するために提供され得るパラメータの中でも、例えば、脈拍、血中酸素飽和度、皮膚インピーダンス、血圧、呼吸数、呼吸性不整脈、皮膚の温度、発汗率又は血流量等を想定することが可能である。例えば、ユーザの眠気を予想しそれに対処するため、特定の閾値を下回る心拍数の低下を考慮し、テレビをオフにする命令を提案することが可能である。生理学的データを測定又は受信するインターフェースは、当業者によってそれ自体公知である。
【0040】
処理ユニット81によって実行されるアルゴリズムは、環境基準も考慮に入れることができる。より詳細には、処理ユニット81は、デジタル手段8によって提供されたデータを使用するように構成し得る。例として、これらの環境基準は、処理ユニット81に接続されたマイクロフォン87によって提供される騒音レベル、感光センサ(図示せず)によって提供される周囲光レベル、加速度計85によって計算される腕時計1の位置、又は圧力センサ(図示せず)若しくは位置情報デバイス83によって決定される大気の状態を含み得る。
【0041】
本実施形態では、このアルゴリズムを実行する処理ユニット81は、例えば、デバイスのオン、待機、停止といった電源状態、腕時計1とこの外部デバイスとの間の距離、動作パラメータ(外部デバイスがテレビである場合、周囲の騒音に対するテレビの音量レベル、周囲の輝度に対するテレビの輝度レベル、動作時間等)等、この外部デバイスの状態基準も考慮し得る。ホーム・オートメーション・アプリケーションに対するスイッチオンの命令は、例えば、周囲の照明がオフと識別され、腕時計がこれらの照明から短い距離にあると確認された場合に提案され得る。
【0042】
このアルゴリズムを実行する処理ユニット81は、スポーツ活動か移動かを検出するため、例えば、加速度計85若しくは位置情報デバイス83によるユーザの活動レベルの測定値、又は更には加速度計85から、この腕時計のユーザ/着用者が実行した運動若しくは一連の運動の識別等、行動基準も考慮し得る。スポーツ活動が検出された場合、ユーザによる命令選択時に、ユーザのイヤフォン着用を想定した上で、提案命令リストを確立し得る。
【0043】
有利には、処理ユニット81は、外部デバイスに提案命令の1つを先取りして送信するように構成されることを想定し得る。例えば、心拍数の低下を検出する間、テレビをオフにする命令を提案した後、処理ユニット81は、デジタル表示器6上に一定時間表示した後にこのオフ命令を自律的に送信できる。
【0044】
学習アルゴリズムは、可能性として優れたリソースを有するために、例えば(図8に示すように)腕時計1と通信するスマートフォン70又はサーバ9上で遠隔で実施し得る。訓練データは、局所的に入手可能なデータに基づき得るため、学習は、腕時計1のユーザに最適で、このユーザ専用とし得る。
【0045】
表示器6は、腕時計1の様々な機能によって順次使用される汎用表示器とし得る。表示器6が、腕時計の様々な機能によって同時に使用される汎用表示器であることを想定することも可能である。
【0046】
処理ユニット81は、制御器のマイクロフォン又はデジタル・プロセッサの形態で実装し得る。処理ユニット81の機能は、部分的に、腕時計1から遠隔とし得る。例えば、命令選択のための予測モデルを規定する音声認識機能又は学習アルゴリズムは、遠隔サーバ、又はより多くのリソースを有し得るスマートフォン70上に実装し得る。音声認識の場合、腕時計1が受信した可聴信号は、ワイヤレス通信回路82を通じて遠隔デバイスに送信され、次に、この遠隔デバイスは、音声認識機能によって識別された可聴信号の書き起こしを、一連の文字又は単語の形態で腕時計1に送り返し得る。
【0047】
ワイヤレス通信回路82は、上述したような外部デバイスと、ワイヤレスに通信するように構成される。通信回路82は、それ自体公知の様式のあらゆる適切な無線プロトコルに従って通信し得る。
【0048】
位置情報デバイス83は、腕時計1の位置情報の生成を可能にする、それ自体公知の回路である。地理位置デバイス83は、例えば、グローバル・ポジショニング・システム又はガリレオ等の衛星ネットワークと通信することによって、腕時計1の瞬間的な位置を決定し得る。
【符号の説明】
【0049】
1 腕時計
2 ケース
3 バンド
4 受入れ体積部
5 起動可能要素
6 デジタル表示器
7 露出表示器
8 デジタル手段
9 サーバ
21 ホーン
61 表示領域
62 表示領域
63 表示領域
64 表示領域
65 表示領域
66 表示領域
67 表示領域
70 スマートフォン
71 外部デバイス
72 外部デバイス
73 外部デバイス
81 処理ユニット
82 ワイヤレス通信回路
83 位置情報デバイス
84 生理学的データ・インターフェース
85 加速度計
86 データベース
87 マイクロフォン
91 通信インターフェース
92 データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8