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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】フルスペクトル白色発光デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20240617BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240617BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20240617BHJP
   F21V 3/08 20180101ALI20240617BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20240617BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240617BHJP
   F21Y 113/17 20160101ALN20240617BHJP
【FI】
H01L33/50
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V3/00 510
F21V3/08
F21V9/32
F21Y115:10 500
F21Y113:17
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022501061
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 US2020040801
(87)【国際公開番号】W WO2021007121
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】16/517,524
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/872,227
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510077369
【氏名又は名称】ブリッジラックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】リ イ-チュン
(72)【発明者】
【氏名】ユエン シャンロン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-ガン ツァオ
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-009126(JP,A)
【文献】特表2007-524726(JP,A)
【文献】特開2005-217386(JP,A)
【文献】国際公開第2017/044380(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/208683(WO,A1)
【文献】特開2016-219519(JP,A)
【文献】特開2015-056667(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0139943(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
F21V 3/08
F21V 9/30
F21Y 109/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
色発光デバイスであって、
490nm~570nm及び620nm~650nmのピーク発光波長を有する光を生成するためのフォトルミネセンス材料と、
少なくとも30nmのFWHM及び420nm~480nmの主波長を有する広帯域励起光を生成するための広帯域固体励起源と、を含み、
前記デバイスは、1800K~6800Kの相関色温度、少なくとも90のCRI Ra、及び10より大きく90より小さいCRI R9を有する白色光であって、65nm~695nmの波長で、スペクトルの橙色~赤色波長領域におけるその最大値から前記最大値の50%に強度が低下するスペクトルを有する白色光を生成し、
430nm~520nmの波長範囲にわたって、前記相関色温度と同じ色温度の黒体曲線又は前記相関色温度と同じ色温度のCIE標準光源Dの光強度からの前記白色光の最大強度偏差率は60%未満であり、
前記デバイスは、少なくとも102lm/Wの効率を有する、発光デバイス。
【請求項2】
前記デバイスは、645nm~665nmの波長で、スペクトルの橙色~赤色波長領域におけるその最大値から前記最大値の50%に強度が低下するスペクトルを有する白色光を生成する、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記白色光は、少なくとも95のCRI Raを有する、請求項1又は2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記白色光の概日作用因子は、前記黒体曲線又はCIE標準光源Dの概日作用因子の5%以内である偏差を有する、請求項1又は2に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記広帯域励起光は、30nm~70nm又は少なくとも50nmのFWHMを有する、請求項1~4のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記白色光は2700K~3000Kの相関色温度を有する、請求項1~5のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記白色光は4000K~6800Kの相関色温度を有し、前記デバイスは少なくとも110lm/Wの効率を有する、請求項1~5のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記広帯域固体励起源は、複数の狭帯域固体光源を含む、請求項1~7のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記広帯域固体励起源は、複数の異なる量子井戸を有する固体光源を含む、請求項1~8のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項10】
前記デバイスは、表面実装型デバイス、チップオンボード、及びフィラメントのうちの1つである、請求項1~9のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項11】
前記デバイスは、50より大きく90より小さいCRI R9を有する白色光を生成する、請求項1~10のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項12】
前記デバイスは、90より小さい又は72より小さいCRI R8を有する白色光を生成する、請求項1~11のいずれかに記載の発光デバイス。
【請求項13】
LEDフィラメントであって、
光透過性基板と、
前記光透過性基板の面に取り付けられる広帯域固体励起源のアレイと、
490nm~570nm及び620nm~650nmのピーク発光波長を有する光を生成するためのフォトルミネッセンス材料と、を備え、
前記広帯域固体励起源が、少なくとも30nmのFWHM及び420nm~480nmの主波長を有する広帯域励起光を生成し、
前記LEDフィラメントが、1800K~6800Kの相関色温度、少なくとも90のCRI Ra、及び10より大きく90より小さいCRI R9を有する白色光であって、65nm~695nmの波長で、スペクトルの橙色~赤色波長領域におけるその最大値から前記最大値の50%に強度が低下するスペクトルを有する白色光を生成し、
430nm~520nmの波長範囲にわたって、前記相関色温度と同じ色温度の黒体曲線又は前記相関色温度と同じ色温度のCIE標準光源Dの光強度からの前記白色光の最大強度偏差率は60%未満であり、
前記LEDフィラメントは、少なくとも102lm/Wの効率を有する、LEDフィラメント。
【請求項14】
前記LEDフィラメントは、645nm~665nmの波長で、スペクトルの橙色~赤色波長領域におけるその最大値から前記最大値の50%に強度が低下するスペクトルを有する白色光を生成する、請求項13に記載のLEDフィラメント。
【請求項15】
前記白色光の概日作用因子は、前記黒体曲線又はCIE標準光源Dの概日作用因子の5%以内である偏差を有する、請求項13又は14に記載のLEDフィラメント。
【請求項16】
前記白色光は、少なくとも95のCRI Raを有する、請求項13~15のいずれかに記載のLEDフィラメント。
【請求項17】
前記広帯域固体励起源は、複数の狭帯域固体光源を含む、請求項13~16のいずれかに記載のLEDフィラメント。
【請求項18】
前記広帯域固体励起源は、複数の異なる量子井戸を有する固体光源を含む、請求項13~16のいずれかに記載のLEDフィラメント。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年7月9日に出願された米国特許仮出願第62/872,277号、及び2019年7月19日に出願された米国実用特許出願第16/517,524号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明のいくつかの実施形態は、フォトルミネセンス波長変換材料を含むフルスペクトル固体白色発光デバイスを対象とする。より具体的には、ただし非限定的に、いくつかの実施形態は、自然の太陽光に酷似した青色光から赤色光までのスペクトルを有するフルスペクトル白色光を生成するためのフルスペクトル白色発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
白色発光LED(「白色LED」)は、LED(固体励起源)によって放出された青色光の一部を吸収し、異なる色(波長)の可視光を再放出する1つ以上のフォトルミネセンス材料(典型的には無機蛍光体材料)を含む。蛍光体物質によって吸収されないLEDによって生成された青色光の部分は、蛍光体によって放出された光と組み合わされることにより、色が白であるように目に見える光がもたらされる。それらの長い動作寿命(>50,000時間)及び高い効率(100ルーメン/W以上)により、白色LEDは、急速に従来の蛍光灯、コンパクト蛍光灯、及び白熱灯に取って代わっている。
【0004】
白色光源で生成される光の特性及び品質を定量化するために様々な測定基準が存在する。固体照明産業内で最も一般的に使用される2つの測定基準は、相関色温度(Correlated Color Temperature、CCT)及び国際照明委員会(International Commission on Illumination、CIE)一般演色評価数(General Color Rendering Index、CRI)Raである。
【0005】
照明源のCCTはケルビン(K)単位で測定され、照明源によって生成された光の色に対応する色の光を放射するプランキアン(黒体)放射体の色温度である。
【0006】
一般CRI Raは、照明源が物体の真の色をどの程度忠実にレンダリングするかを特徴付けるものであり、8つの色テストサンプル(R1~R8)の光源の照明が、基準光源による照明と比較してどの程度優れているかを示す測定値に基づいている。一般に、この値が高いほど、黒体放射体及び自然光に近いことを示す。一般CRI Raは負の値を取り得、最大値は100である。色サンプルR1~R8は全てパステルカラー(飽和度の低い色である「淡いグレーがかった赤色」~「赤みがかった紫色」)であるため、一般CRI Raは、太陽光に酷似するフルスペクトルを生成する白熱光源の光出力における微妙な違いを有益に測定した。しかしながら、スペクトルがピークで構成されている白色LEDの場合、一般CRI Raは、限定的な色範囲での演色の平均測定値であり、特定の色又は飽和度の高い色に対する照明源の性能に関する情報を与えないため、不十分であることが判明し得る。したがって、フルスペクトル固体白色発光デバイスを特徴付ける場合、フルスペクトル光の有意な特徴付けを行うために、CRI色サンプルR9~R12(飽和色である「飽和赤色」、「飽和黄色」、「飽和緑色」、「飽和青色」)及びR13~R15(「薄肌色」、「葉緑色」、「中肌色」)を考慮するべきである。
【0007】
照明がヒトの睡眠サイクル、概日リズム、覚醒、及び他の非視覚的反応に影響を及ぼし得るため、良好な照明設計は、本質的にヒト中心である。ヒトの健康に関するLED(固体)照明の安全性は、最近の精査対象となっている。人工光が、ホルモン合成、睡眠-覚醒サイクル、及び覚醒レベルなどヒトの生理及び心理の正常な調節を妨害するという懸念が高まりつつある。具体的には、最近の証拠は、例えば、LEDで生成された光など高色温度(5000K)かつ高照度の光が、入眠前のメラトニン分泌を抑制し、また主観的覚醒を低減することを示している。青色光は、昼夜の自然サイクル(概日)に依存する生物学的プロセスの乱れを通じて生体に影響を与える傾向が他の色よりも強いことも報告されている。夕方及び夜間の青色光への曝露は、健康に有害であり得ると考えられている。
【0008】
メラトニン抑制効果を予測するために、様々な測定基準が提案されている。概日刺激を測定するためのより一般的な測定基準のうちの2つは、(i)概日作用因子(Carcadian Action Factor、CAF)及び(ii)メラノピック反応(Melanopic Response、MR)である。CAF及びMRは、放射線の概日発光効率(CER)対放射線の発光効率(LER)の比率であり、それぞれが、光に対する脳の感度の尺度、すなわち、光に対するヒトの非視覚的感度の尺度を提供する。CAFは、特定波長の光への曝露前後のヒトのメラトニン濃度を測定して、概日作用スペクトル(Circadian Action Spectrum、CAS)、すなわち概日感度スペクトルc(λ)を確立する研究に基づいている。CAFは、acvで示され、放射線の概日効率対発光効率の比率である。MRは、哺乳類のipRGC(内因性光感受性網膜神経節細胞)に見られるメラノプシン光色素の吸収スペクトルに基づいており、メラノピック反応(感度)スペクトルm(λ)を確立する。MRは、放射線の概日効率対発光効率の比率である。最近では、ipRGCのスペクトル反応に重み付けされた、新測定基準の等価メラノピックルクス(Melanopic Lux、EML)が提案されている。
【0009】
LED照明に対する更なる潜在的な懸念は、紫色~青色光への過剰な曝露から生じ得る光網膜炎(網膜に対する光化学的損傷)の可能性である。これは、ブルーライトハザード(BlueLightHazard、BLH)として知られており、CAF及びMRと同様に、対応する青色感度スペクトルb(λ)を有する。BLHのリスクは、白色光を放出するLEDが同一色温度で他のタイプの照明源よりも著しく多くの青色を含むわけではないにもかかわらず、LEDと関連付けられることがある。すなわち、LEDで生成された青色ピークはスペクトルのCAF及びMR波長領域内で非常に高いため、BLHは、高CCT(≧5000K)白色LEDに対する潜在的な眼の健康上の懸念事項である。現在の国際標準によると、白色光を放出し、一般的な照明用途で使用される光源は、健康な成人の網膜に対して有害であると見なされていない。つまり、特殊なランプ又は有色光源の光学的安全性は個別的に考慮されなければならず、乳児又は特定タイプの眼疾患を患う成人など影響を受けやすい集団の周囲で使用される光源は、更なる評価を必要とする。
【0010】
現在、LED照明産業では、フルスペクトルLEDデバイスが、白熱灯及び黒体放射で示されるように、100に等しい一般CRI Raを有する白色光の生成を目指している。しかしながら、そのようなLEDは、約80のCRI Raを有する光を生成する白色LED(CRI80)と比較して、15~30%の効率を犠牲にすることが見出されている。
【0011】
本発明は、既知の固体白色発光デバイスの欠点を少なくとも部分的に克服し、現在のCRI80デバイスの効率に少なくとも近づく、又はそれを超える効率を有する、ヒト中心のフルスペクトル白色発光デバイスを提供しようとして生まれた。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、自然光に限りなく近い、青色波長から赤色波長までのスペクトル成分を有するフルスペクトル白色光を生成するためのフルスペクトル白色発光デバイスに関する。
【0013】
具体的には、ただし非限定的に、本発明の少なくともいくつかの実施形態は、スペクトルの青色~シアン波長領域において自然光に酷似する白色光を生成するための白色発光デバイスを対象とする。本発明のいくつかの実施形態によると、そのような白色発光デバイスは、概日作用因子(CAF)及びメラノピック反応(MR)によって測定されるヒトの非視覚的認知が最大の影響を受ける青色~シアン波長領域(430nm~520nm)において自然光に酷似するフルスペクトル白色光を生成する。そのようなスペクトル特性を有する白色光は、波長スペクトルのこの部分が、概日サイクルに影響を及ぼし得るメラトニン分泌に影響を与えるため、ヒトの健康に対して有益であると考えられている。本発明によるフルスペクトル白色発光デバイスは、約420nm~約480nmの主波長を有する(すなわち、可視スペクトルの青色波長範囲内である)広帯域励起光を生成する広帯域青色励起源、例えば青色LEDを用いる。本特許明細書において、「広帯域」は、少なくとも25nmのFWHM(Full Width Half Maximum、半値全幅)を有する光を示す。例えば、FWHMは、少なくとも30nm又は少なくとも50nmであり得、約25nm~約70nmのFWHMを有し得、任意選択的に、約30nm~約70nmの範囲のFWHMを有し得る。広帯域はまた、約420nm~約480nmの波長範囲での、少なくとも2つの異なる波長の青色発光の組み合わせからなる青色光を示すために使用され得る。広帯域青色励起光を使用することにより、発光デバイスは、スペクトルの青色~シアン波長領域(430nm~520nm)内の自然光に酷似するフルスペクトル光を生成することができる。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態は、効率を改善するように最適化(縮小)されている、スペクトルの赤色波長領域に対応する波長における光強度を有する白色光を生成するフルスペクトル白色発光デバイスに更に関する。いくつかの実施形態では、デバイスは、ピーク発光波長/FWHMが、眼の明所視反応(すなわち明所視感度関数)が概して低い(約0.1)、スペクトルの赤色波長領域(範囲)に対応する波長において光強度(光子カウント)を低減するように、具体的には、CRI R9(「飽和赤色」)及びCRIR8(「赤みがかった紫色」)の値に影響を及ぼし得る、約650nmよりも長い波長の光強度を低減するように選択される。
【0015】
本発明の一態様によると、約490nm~約680nmのピーク発光波長を有する光を生成するためのフォトルミネセンス材料と、約420nm~約480nmの主波長を有する広帯域励起光を生成するための広帯域固体励起源と、を含むフルスペクトル白色発光デバイスであって、当該デバイスは、約645nm~約695nmの波長において、スペクトルの橙色~赤色波長領域でのその最大値から当該最大値の約50%に強度が低下するスペクトルを有する白色光を生成し、約430nm~約520nmの波長範囲にわたって、黒体曲線又は同一相関色温度のCIE標準光源Dの光強度からの当該白色光の最大強度偏差率が60%未満である、フルスペクトル白色発光デバイスが想定される。より具体的には、スペクトルの橙色~赤色領域での最大強度は、フォトルミネセンス変換(生成)光に対応し、最大強度は、約570nmよりも長い波長で生じる。例えば、最大強度は、約590nm~約620nmの範囲の波長で生じ得る。
【0016】
デバイスによって放出される光の最大強度偏差率は、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、及び10%未満のうちの少なくとも1つであり得る。
【0017】
白色光は、黒体曲線又はCIE標準光源Dの概日作用因子(CAF)の5%以内であるCAFを有し得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、デバイスによって生成された白色光は、90未満のCRI R9及び/又はCRI R8を有する。
【0019】
白色光は、約645nm~約665nmの波長において、橙色~赤色波長領域でのその最大値から当該最大値の約50%に強度が低下するスペクトルを有し得、少なくとも80のCRI Raを有し得る。
【0020】
白色光は、約665nm~約690nmの波長でデバイスによって放出される光のその最大値から当該最大値の約50%に強度が低下するスペクトルを有し得、少なくとも90のCRI Ra及び50超のCRI R9を有し得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、白色光は、約680nm~約695nmの波長でデバイスによって放出される光のその最大値から当該最大値の約50%に強度が低下するスペクトルを有し、少なくとも95のCRI Ra及び60超のCRI R9を有し得る。
【0022】
フォトルミネセンス材料は、約620nm~約655nmのピーク発光波長を有する光を生成する、少なくとも1種のフォトルミネセンス材料又はフォトルミネセンス材料の組み合わせを含み得る。
【0023】
白色光は、約2700K~約3000Kの相関色温度を有し得、デバイスは、少なくとも102lm/Wの効率を有し得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、白色光は、約4000K~約6800Kの相関色温度を有し得、デバイスは、少なくとも110lm/Wの効率を有し得る。
【0025】
広帯域固体励起源は、少なくとも25nmのFWHMを有する広帯域励起光を生成し得る。
【0026】
広帯域励起光は、2つ以上の異なる波長の青色発光の組み合わせを含み得る。異なる波長の青色発光は、2つの方法、すなわち、(i)異なる主波長の複数の個別の青色LED(狭帯域LED)を使用するか、又は(ii)活性領域内で、例えば特別に設計された、複数の異なる量子井戸を使用して、複数の青色波長発光を発生させる個別のLED(広帯域LED)を使用することにより生成することができる。したがって、広帯域青色固体励起源は、1個以上の狭帯域固体光源、例えば、LED又はレーザダイオードなどで構成することができ、1個以上の狭帯域固体光源のそれぞれが、420nm~480nmの異なる主波長の狭帯域青色光を「直接」生成する。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの青色発光の間に少なくとも5nmの波長差、又は少なくとも2つの青色発光の間に少なくとも10nmの波長差が存在する。
【0027】
いくつかの実施形態では、広帯域固体励起源は、420nm~480nmの第1の主波長を有する青色発光を生成するための第1の固体光源と、420nm~480nmの第2の主波長を有する、異なる青色発光を生成するための第2の固体光源と、を含み得る。第1の主波長は、420nm~450nmであり得、第2の主波長は、450nm~480nmであり得る。広帯域青色励起源は、第1の主波長及び第2の主波長とは異なる、420nm~480nmの第3の主波長を有する青色発光を生成するための第3の固体光源を更に含み得る。
【0028】
あるいは、広帯域青色固体励起源はまた、広帯域固体光源、例えば、多重量子井戸(multiple-quantum-well、MQW)構造の異なる量子井戸を使用して、複数の異なる波長の青色発光を直接生成する活性領域を有するInGaN/GaN青色LEDなど広帯域青色LEDを包含する。いくつかの実施形態では、広帯域固体励起源は、それぞれ異なる主波長を有する青色発光をそれぞれ生成する、少なくとも2つの異なる量子井戸を有するLEDを含む。
【0029】
本発明の広帯域固体励起源は、15nm~20nmの範囲のFWHMを有する単一狭帯域波長の青色光を生成する狭帯域青色LEDを用いる既知の白色LEDと対比される。本発明の広帯域青色固体励起源は、青色発光(420nm~480nm)フォトルミネセンス材料(蛍光体)を使用して、紫外線のフォトルミネセンス変換プロセスを通して間接的に青色励起光を生成するUV固体光源(UV LED)を用いる既知の白色LEDと更に対比される。換言すると、本発明による広帯域固体励起源/白色発光デバイスは、420nm~480nmの範囲の励起光を発生させるためにフォトルミネセンス材料を用いない/含まない。
【0030】
いくつかの実施形態では、フォトルミネセンス材料は、490nm~550nmのピーク発光波長を有する第1のフォトルミネセンス材料と、600nm~680nmのピーク発光波長を有する第2のフォトルミネセンス材料と、を含み得る。
【0031】
一態様によると、本発明は、約490nm~約680nmのピーク発光波長を有する光を生成するためのフォトルミネセンス材料と、約420nm~約480nmの主波長を有する広帯域励起光を生成するための広帯域固体励起源と、を含むフルスペクトル白色発光デバイスを包含し、このデバイスは、約1800K~約6800Kの相関色温度を有する白色光を生成し、当該白色光は、黒体曲線又は同一相関色温度のCIE標準光源DのCAFの5%以内であるCAFを有するスペクトルを有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、約430nm~約520nmの波長範囲にわたって、黒体曲線又は同一相関色温度のCIE標準光源Dの光強度からの当該白色光の最大強度偏差率が存在し得る。
【0033】
当該光の当該最大強度偏差率は、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、及び10%未満のうちの少なくとも1つであり得る。
【0034】
白色光は、強度が、約645nm~約695nmの波長においてその最大強度の半分に低下するスペクトルを有し得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、白色光は、90未満のCRI R9を有し得る。
【0036】
白色光は、約2700K~約3000Kの相関色温度を有し得、デバイスは、少なくとも102lm/Wの効率を有し得る、又は白色光は、約4000K~約6800Kの相関色温度を有し得、デバイスは、少なくとも110lm/Wの効率を有し得る。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態は、フォトルミネセンス材料(例えば、黄色~緑色フォトルミネセンス材料及び橙色~赤色フォトルミネセンス材料)が、表面実装型デバイス、チップオンボード、及びフィラメントなど広帯域固体励起源と共にパッケージ化される、パッケージ化白色発光デバイスにおいて有用性を見出す。他の実施形態では、フォトルミネセンス材料は、広帯域固体励起源に遠隔に配置され得る。
【0038】
本発明のこれらの態様及び特徴、並びに他の態様及び特徴は、添付の図面と併せて本発明の特定の実施形態の以下の説明を考察することで、当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1a】いくつかの実施形態による、遠隔蛍光体フルスペクトル白色発光デバイスを示す。
図1b】いくつかの実施形態による、遠隔蛍光体フルスペクトル白色発光デバイスを示す。
図2a図1a及び図1bのフルスペクトル白色発光デバイスで使用するための、本発明の一実施形態による広帯域青色固体励起源の概略図である。
図2b図1a及び図1bのフルスペクトル白色発光デバイスで使用するための、本発明の別の実施形態による広帯域青色固体励起源の概略図である。
図3a】いくつかの実施形態による、フルスペクトル白色発光デバイスの概略断面図である。
図3b】いくつかの実施形態による、フルスペクトル白色発光デバイスの概略断面図である。
図4a】いくつかの実施形態による、フルスペクトル白色発光デバイスの概略図である。
図4b】いくつかの実施形態による、フルスペクトル白色発光デバイスの概略図である。
図5】(A)(i)狭帯域励起源を用いる、既知のフルスペクトル発光デバイス、Aと示されるスペクトル(点線)、(ii)広帯域励起源を用いる、本発明によるフルスペクトル発光デバイス、Bと示されるスペクトル(細い実線)、(iii)スペクトルA及びBのCCTと名目上同一であるCCTの黒体曲線(bbc)(破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度I対波長(nm)、並びに(B)概日作用スペクトル(CAS)(太い実線)、相対量子感度対波長(nm)を示す。
図6】(i)Dev.1(実線)、(ii)Dev.2(太い破線)、(iii)Com.1(点線)、並びに(iv)Dev.1、Dev.2、及びCom.1と名目上同一である2700KのCCTのプランキアンスペクトル(細い破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度(CIE 1931 XYZ相対輝度Y=100に正規化)対波長(nm)を示す。
図7a】(i)Dev.3(実線)、(ii)Dev.4(太い破線)、(iii)Dev.5(鎖線)、(iv)Com.2(点線)、並びに(v)Dev.3、Dev.4、Dev.5、及びCom.2と名目上同一である3000KのCCTのプランキアンスペクトル(細い破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度(CIE 1931 XYZ相対輝度Y=100に正規化)対波長(nm)を示す。
図7b】(i)Dev.4(実線)、(ii)Com.2(点線)、並びに(iii)Dev.4及びCom.2と名目上同一である3000KのCCTのプランキアンスペクトル(破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度(CIE 1931 XYZ相対輝度Y=100に正規化)対波長(nm)を示す。
図7c】(i)Dev.5(実線)、(ii)Com.3(点線)、並びに(iii)Dev.5及びCom.3と名目上同一である3000KのCCTのプランキアンスペクトル(破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度(CIE 1931 XYZ相対輝度Y=100に正規化)対波長(nm)を示す。
図8】(i)Dev.6(実線)、(ii)Com.4(点線)、並びに(iii)Dev.6及びCom.4と名目上同一である4000KのCCTのプランキアンスペクトル(破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度(CIE 1931 XYZ相対輝度Y=100に正規化)対波長(nm)を示す。
図9a】(i)Dev.7(実線)、(ii)Com.5(点線)、並びに(iii)Dev.7及びCom.5と名目上同一である5000KのCCTのプランキアンスペクトル(破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度(CIE 1931 XYZ相対輝度Y=100に正規化)対波長(nm)を示す。
図9b】(i)Dev.8(実線)、(ii)Com.6(点線)、並びに(iii)Dev.8及びCom.6と名目上同一である5000KのCCTのプランキアンスペクトル(破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度(CIE 1931 XYZ相対輝度Y=100に正規化)対波長(nm)を示す。
図10】いくつかの実施形態による、LEDフィラメントランプの側面図である。
図11a図10のランプで使用するための、いくつかの実施形態によるLEDフィラメント白色発光デバイスの概略断面のB-B側及び部分断面平面図である。
図11b図10のランプで使用するための、いくつかの実施形態によるLEDフィラメント白色発光デバイスの概略断面のB-B側及び部分断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
当業者が本発明を実施することを可能にするように、本発明の実施形態が、本発明の例解的な実施例として提供される図面を参照して、ここで詳細に説明される。特に、以下の図面及び実施例は、本発明の範囲を単一の実施形態に限定することを意図するものではなく、説明又は例解される要素の一部又は全ての交換によって他の実施形態が可能である。更に、本発明のある要素が、既知の構成要素を使用して部分的に又は完全に実装され得る場合、本発明の理解に必要であるこのような既知の構成要素のそれらの部分のみが説明され、このような既知の構成要素の他の部分の詳細な説明は、本発明を曖昧にしないように省略される。本明細書において、単数形の構成要素を示す実施形態は限定的であると見なされるべきではなく、むしろ、本発明は、複数の同じ構成要素を含む他の実施形態を包含することを意図しており、その逆もまた同様である。更に、出願人は、そのように明示的に記載されていない限り、本明細書又は特許請求の範囲のいずれの用語についても意図しない。更に、本発明は、例解によって本明細書において言及される既知の構成要素に対する、現在及び将来の既知の等価物を包含する。
【0041】
本明細書全体を通して、図面番号が前に付く同様の参照番号は、同様の特徴を示すために使用されている。
【0042】
本発明の実施形態は、420nm~480nmの主波長を有する広帯域青色励起光を生成するように動作可能な広帯域固体励起源、例えば1個以上のLEDを含む白色発光デバイスに関する。本特許明細書において、「広帯域」は、少なくとも25nmのFWHM(半値全幅)を有する光を示す。例えば、FWHMは、少なくとも30nm又は少なくとも50nmであり得、約25nm~約70nmの範囲のFWHMを有し得、任意選択的に、30nm~70nmの範囲のFWHMを有し得る。広帯域はまた、420nm~480nmの波長範囲の、少なくとも2つの異なる波長の青色発光の組み合わせからなる青色光を示すために使用され得る。より具体的には、ただし非限定的に、本発明のいくつかの実施形態は、可視スペクトルの青色~シアン波長領域(430nm~520nm)において自然光に酷似するフルスペクトル白色光を生成ための白色発光デバイスに関する。
【0043】
遠隔蛍光体フルスペクトル白色発光デバイス
【0044】
図1a及び図1bは、本発明の一実施形態による遠隔蛍光体固体フルスペクトル白色発光デバイスを示し、図1aは部分断面平面図であり、図1bはA-Aを通る断面図である。デバイス110は、1800K~6800KのCCT(相関色温度)を有するフルスペクトル白色光を生成するように構成されている。このデバイスは、単独で使用され得る、又はダウンライト若しくは他の照明装置の一部を含み得る。デバイス110は、円板形状の基部114、中空円筒形壁部分116、及び取り外し可能な環状頂部118からなる中空円筒形本体112を含む。熱の散逸を助けるために、基部114は、好ましくは、アルミニウム、アルミニウム合金又は高い熱伝導率を有する任意の材料から作製される。基部114は、ねじ若しくはボルトによって、又は他の締結具によって、又は接着剤によって、壁部分116に取り付けられ得る。
【0045】
デバイス110は、円形状のMCPCB(metal core printed circuit board、金属コアプリント回路基板)122と熱連通して取り付けられている複数(図1a及び図1bの例では5個)の広帯域青色固体励起源120を更に含む。広帯域青色固体励起源120の様々な実施形態を、図2a~図4bに示す。発光を最大限にするために、デバイス10は、MCPCB122の表面及び円筒壁116の内側曲面をそれぞれ覆う光反射面124及び126を更に含み得る。
【0046】
デバイス110は、励起源120に対して遠隔に配置され、励起源120によって生成された励起光の一部を吸収し、フォトルミネセンスのプロセスによって異なる波長の光に変換するように動作可能なフォトルミネセンス波長変換構成要素128を更に含む。デバイス110の発光生成物は、広帯域青色励起源120によって生成された複合光と、フォトルミネセンス波長変換構成要素128によって生成されたフォトルミネセンス光と、を含む。フォトルミネセンス波長変換構成要素は、黄色蛍光体、赤色蛍光体、及び/又は緑色蛍光体の混合物を含む光透過性材料(例えば、ポリカーボネート、アクリル材料、シリコーン材料など)から形成され得る。更に、いくつかの実施形態では、フォトルミネセンス波長変換構成要素は、蛍光体材料でコーティングされている光透過性基板から形成され得る。波長変換構成要素128は、励起源120に対して遠隔に位置付けられ、励起源から空間的に分離される。本特許明細書では、「遠隔に」及び「遠隔」とは、離間された、すなわち分離された関係を意味する。典型的には、波長変換構成要素及び励起源は空気によって分離されるが、他の実施形態では、これらは、例えば光透過性シリコーン又はエポキシ材料など好適な光透過性媒体によって分離され得る。波長変換構成要素128は、ランプによって放出される全ての光が波長構成要素128を通過するように、ハウジング開口部を完全に覆うように構成されている。図示するように、波長変換構成要素128は、頂部118を使用して壁部分116の頂部に取り外し可能に取り付けられ得、ランプの構成要素及び発光色を容易に変更することができる。
【0047】
図2aは、本発明の一実施形態による広帯域青色固体励起源220の概略図である。広帯域青色固体励起源220は、420nm~470nm、すなわち可視スペクトルの青色領域内の主波長を有する広帯域青色励起光を生成するように構成されている。この実施形態では、広帯域青色励起光はまた、25nm~50nmのFWHMを有する。本発明の一実施形態によると、広帯域青色固体励起源220は、第1の固体光源230及び第2の固体光源232を含み得、この実施例では、これらは狭帯域青色LEDチップ(例えば、青色発光GaN系LEDチップ)である。第1の固体光源230は、420nm~470nmの第1の主波長λd1を有する青色発光を生成し、第2の固体光源232は、420nm~470nmの第2の主波長λd2を有する青色発光を生成する。第1及び第2の固体光源は、光源で生成される光の主波長が異なる(すなわち、λd1はλd2とは異なる)ように選択される。第1及び第2の固体光源230/232からの光の組み合わせは、広帯域青色固体励起源220の広帯域青色励起光出力242を構成し、420nm~470nmの主波長を有し、25nm~50nmのFWHMを有する。他の実施形態では、固体励起源は、単一の固体光源を含み得ることが理解されるであろう。本明細書において、単一の固体光源は、1個以上の固体光源として定義され、これらの光源のそれぞれは、同一(すなわち単一/単独)の主波長及び少なくとも25nmのFWHMを有する光を生成する。
【0048】
図2aに示すように、広帯域青色固体励起源220は、第1及び第2の固体光源が、基板234の上面にフリップチップ結合されている表面実装型デバイス(surface mountable device、SMD)、例えばSMD 2835 LEDパッケージなどを含み得る。電気接点236、238は、励起源を動作させるために、基板234の底面に設けられ得る。第1及び第2の固体光源230、232は、例えばシリコーン又はエポキシ材料など光透過型光学封止材240で封止され得る。
【0049】
図2bは、本発明の一実施形態による広帯域青色固体励起源220の概略図である。固体励起源220は、420nm~470nm、すなわち可視スペクトルの青色領域内の主波長を有する励起光を生成するように構成されている。この実施形態では、励起光はまた、25nm~50nmのFWHMを有する。本発明の一実施形態によると、固体励起源220は広帯域固体光源241を含み、この広帯域固体光源は、この例では、例えば、Appl.Phys.lett.75,1494(1999)Tran C A et al.「Growth of InGaN multiple-quantum-well blue light-emitting diodes on silicone by metal organic vapor phase epitaxy」に開示されるように、多量子井戸(MQW)を備えた活性領域を有するInGaN/GaN青色LEDなど単一の広帯域LEDである。広帯域固体光源241は、420nm~470nmのピーク波長の複数の重複青色発光を含む広帯域青色光を生成する。したがって、単一の固体光源241は、単一/単独の主波長を有し、かつ少なくとも25nmのFWHMを有する光を生成する。
【0050】
図2bに示すように、固体励起源220は、固体光源が、基板234の上面にフリップチップ結合されている表面実装型デバイス(SMD)、例えばSMD 2835 LEDパッケージなどを含み得る。電気接点236、238は、励起源を動作させるために、基板234の底面に設けられ得る。固体光源241は、例えばシリコーン又はエポキシ材料など光透過型光学封止材240で封止され得る。
【0051】
パッケージ化フルスペクトル白色発光デバイス
【0052】
図3aは、本発明の一実施形態によるパッケージ化フルスペクトル白色発光デバイス310aの概略断面図である。デバイス310aは、1800K~6800KのCCT(相関色温度)を有するフルスペクトル白色光を生成するように構成されている。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によると、デバイス310aは、パッケージ344内に収容された、例えば、青色発光GaN(gallium nitride、窒化ガリウム)系LEDチップなど第1及び第2の固体光源330、332で構成される広帯域青色固体励起源を含む。上記と同様/同一に、第1の固体光源330は、420nm~470nmの第1の主波長λd1を有する青色発光を生成し得、第2の固体光源332は、420nm~470nmの範囲内に第2の主波長λd2を有する青色発光を生成し得る。第1の固体光源の主波長λd1は、第2の固体光源の主波長λd2とは異なる。パッケージは、例えば、上部346及び基部348を含む、表面実装型デバイス(SMD)2835 LEDパッケージなどSMDを含み得る。上本体部346は、固体光源330、332を受容するように構成されている凹部350を画定する。パッケージ344は、パッケージ344の基部の外面に電気コネクタ352及び354を更に含み得る。電気コネクタ352、354は、凹部350の床上の電極接触パッド356、358、及び360に電気的に接続することができる。接着剤又ははんだを使用して、固体光源(LEDチップ)330、332を、凹部350の床に配置された熱伝導パッド362に取り付けることができる。LEDチップの電極パッドは、ボンドワイヤ362を使用して、パッケージ344の床上の対応する電極接触パッド356、358、及び360に電気的に接続することができる。あるいは、LEDチップは、パッケージにフリップチップ取り付けされ、電気的に接続され得る。凹部350には、LEDチップ330、332の露出面がフォトルミネセンス/シリコーン材料の混合物によって覆われるように、フォトルミネセンス材料の混合物が含まれている光透過型光学封止材364、典型的には光学的に透明なシリコーンが充填されている。デバイスの発光輝度を高めるために、凹部350の壁を傾斜させ、光反射面を有することができる。当然ながら、他の実施形態では、1個以上の固体光源(LEDチップ330、332)は、同一の(すなわち単一/単独の)主波長を有し、かつ少なくとも25nmのFWHMを有する光をそれぞれ生成することが理解されるであろう。
【0054】
図3bは、本発明の別の実施形態である。これは、第1及び第2の狭帯域固体光源が、多重量子井戸を備えた活性領域を有する、2個の広帯域青色LED341a/341bに置き換えられていることを除いて、図3aと同様である。典型的には、第1及び第2の広帯域青色固体光源341a/341bは、同一主波長λを有する広帯域青色励起光をそれぞれ生成する。
【0055】
図4a及び図4bは、本発明の一実施形態による、チップオンボード(Chip On Board、COB)パッケージ化フルスペクトル白色発光デバイス410を示しており、図4aは平面図であり、図4bはB-Bを通る断面図である。デバイス410は、2500K~5000KのCCT(相関色温度)及び95超のCRI(演色評価数)を有する暖色系白色光を生成するように構成され得る。
【0056】
デバイス410は、正方形のMCPCB 468と熱連通するように取り付けられた、複数(図4aの例では12個)の広帯域青色固体励起源420、例えば広帯域青色発光GaN(窒化ガリウム)系LEDフリップチップダイを含む。
【0057】
図4aに示すように、励起源420は、一般に円形のアレイとして構成され得る。固体励起源(広帯域LEDダイ)420は、440nm~455nmの主波長λを有する励起光をそれぞれ生成し得る。この実施形態では、励起光は、25nm~50nmのFWHM(完全幅半値)を有する。電気接点472、474は、白色発光デバイス410を動作させるためにMCPCB468の上面に設けられ得る。示すように、広帯域LEDフリップチップダイ420は、LEDダイ420の露出面がフォトルミネセンス/シリコーン材料混合物によって覆われるように、フォトルミネセンス材料の混合物が含まれている光透過型光学封止材466、例えばシリコーン又はエポキシ材料などで封止されている。示すように、光透過型封止材/光ルミネセンス材料混合物466は、環状壁470内に収容され得る。当然のことながら、他の実施形態では、図4a及び図4bに示す装置が、多重量子井戸を備えた活性領域を有する単一の広帯域InGaN/GaN青色LEDではなく、2つ以上のLEDで構成される固体励起源420を含み得ることが理解されるであろう。
【0058】
緑色~黄色フォトルミネセンス材料
【0059】
本明細書では、広帯域緑色~黄色フォトルミネセンス材料とは、約490nm~約570nm、すなわち、可視スペクトルの黄色~緑色波長領域内のピーク発光波長(λpe)を有する光を生成する材料を指す。好ましくは、緑色~黄色フォトルミネセンス材料は、広い発光特性を有し、好ましくは、約100nm以上のFWHM(半値全幅)を有する。緑色~黄色フォトルミネセンス材料は、任意のフォトルミネセンス材料、例えば、ガーネット系無機蛍光体材料、ケイ酸塩蛍光体材料、及び酸窒化物蛍光体材料などを含み得る。好適な緑色~黄色蛍光体の例を、表1に示す。
【0060】
いくつかの実施形態では、緑色~黄色フォトルミネセンス材料は、一般組成Y(Al,Ga)12:Ce(YAG)のセリウム活性イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体を含み、例えば、527nm~543nmのピーク発光波長及び約120nmのFWHMを有する、Intematix Corporation(Fremont California,USA)製のYAGシリーズ蛍光体が挙げられる。本明細書において、YAG#の表記は、蛍光体タイプ「YAG」系蛍光体に、ナノメートル(#)でのピーク発光波長がその後に続くものを表している。例えば、YAG535は、535nmのピーク発光波長を有するYAG蛍光体を示す。緑色~黄色フォトルミネセンス材料は、一般組成(Y,Ba)(Al,Ga)12:Ce(YAG)のセリウム活性イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体を含み得、例えば、Intematix Corporation(Fremont California,USA)製のGNYAGシリーズ蛍光体が挙げられる。いくつかの実施形態では、緑色フォトルミネセンス材料は、一般組成LuAl12:Ce(GAL)のアルミン酸塩(LuAG)蛍光体を含み得る。そのような蛍光体の例としては、例えば、ピーク発光波長が516nm~560nm、かつFWHMが約120nmのIntematix Corporation(Fremont California,USA)から入手可能なGalシリーズ蛍光体が挙げられる。本明細書において、表記GAL#は、蛍光体のタイプ(GAL)「LuAG」系蛍光体及びその後に続くナノメートル(#)でのピーク発光波長を表す。例えば、GAL520は、520nmのピーク発光波長を有するGAL蛍光体を示す。
【0061】
緑色~黄色ケイ酸塩蛍光体の例としては、507nm~570nmのピーク発光波長と、約70nm~約80nmのFWHMとを有する、一般組成(Ba,Sr)SiO:Euのユーロピウム活性化オルソケイ酸塩蛍光体、例えば、Intematix Corporation(Fremont California,USA)製のG、EG、Y、及びEYシリーズ蛍光体が挙げられる。
【0062】
いくつかの実施形態では、緑色~黄色蛍光体は、その全体が本明細書に組み込まれている「Green-Emitting(Oxy)Nitride-Based Phosphors And Light Emitting Devices Using The Same」と題する米国特許第8,679,367号に教示されている緑色発光窒化物蛍光体を含み得る。そのような緑色発光酸窒化物(ON)蛍光体は、一般組成Eu2+:M2+SiAlO(7-2x/3)(式中、0.1≦×≦1.0であり、M2+は、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選択される1つ以上の二価金属である)を有し得る。本明細書において、ON#の表記は、蛍光体タイプ「酸窒化物」に、ナノメートル(#)でのピーク発光波長(λpe)がその後に続くものを表している。例えば、ON495は、495nmのピーク発光波長を有する緑色酸窒化物蛍光体を示す。
【表1】
【0063】
橙色~赤色フォトルミネセンス材料
【0064】
橙色~赤色フォトルミネセンス材料は、青色光によって励起可能であり、約600nm~約670nmのピーク発光波長λpeを有する光を放出するように動作可能である、任意の橙色~赤色フォトルミネセンス材料、典型的には蛍光体を含み得、例えば、ユーロピウム活性化シリコン窒化物系蛍光体、α-SiAlON、IIA/IIB族硫セレン化物系蛍光体、又はケイ酸塩系蛍光体を含み得る。橙色~赤色蛍光体の例を表2に示す。
【0065】
いくつかの実施形態では、ユーロピウム活性化シリコン窒化物系蛍光体は、一般式CaAlSiN:Eu2+などの他の元素でドープすることができる。CASN蛍光体は、ストロンチウム(Sr)、一般式(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+などの他の元素でドープすることができる。本明細書において、CASN#の表記は、蛍光体タイプ「CASN」に、ナノメートル(#)でのピーク発光波長(λpe)がその後に続くものを表している。例えば、CASN615は、615nmのピーク発光波長を有する橙色~赤色CASN蛍光体を示す。
【0066】
一実施形態では、橙色~赤色蛍光体は、その全体が本明細書に組み込まれる「Red-Emitting Nitride-Based Calcium-Stabilized Phosphors」と題する米国特許第8,597,545号に教示されているように、橙色~赤色発光蛍光体を含み得る。このような赤色発光蛍光体は、化学式MSrbSiAlEu(式中、MはCaであり、0.1≦a≦0.4であり、1.5≦b≦2.5であり、4.0≦c≦5.0であり、0.1≦d≦0.15であり、7.5<e<8.5及び0<f<0.1であり、a+b+f>2+d/vであり、vは、Mの価数である)で表される窒化物系組成物を含む。
【0067】
あるいは、橙色~赤色蛍光体は、その全体が本明細書に組み込まれる「Red-Emitting Nitride-Based Phosphors」と題する米国特許第8,663,502号に教示されているように、橙色~赤色発光窒化物系蛍光体を含むことができる。そのような赤色発光蛍光体は、化学式M(x/v)M’Si5-xAl:RE(式中、Mは、原子価vを有する少なくとも1つの一価、二価又は三価の金属であり、M’は、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnのうちの少なくとも1つであり、REは、Eu、Ce、Tb、Pr、及びMnのうちの少なくとも1つであり、xは0.1≦×≦0.4を満たし、当該赤色発光蛍光体は、M’Si:REの一般結晶構造を有し、Alは、当該一般結晶構造内のSiの代わりとなり、Mは、実質的に格子間部位にある当該一般結晶構造内に位置する)で表される窒化物系組成物を含む。そのような蛍光体の一例は、約610nmのピーク発光波長を有するIntematix Corporation,Fremont California,USAから入手可能なXR610赤色窒化物蛍光体である。
【0068】
橙色~赤色蛍光体はまた、IIA/IIB族硫セレン化物系蛍光体も含み得る。グループIIA/IIBのセレン化物硫化物系蛍光体材料の第1の例は、組成式MSe1-x:Eu(式中、Mは、Mg、Ca、Sr、Ba及びZnのうちの少なくとも1つであり、0<×<1.0である)を有する。この蛍光体材料の具体例は、CSS蛍光体(CaSe1-x:Eu)である。CSS蛍光体の詳細は、2016年9月30日に出願された同時係属中の米国特許出願公開第2017/0145309号に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。米国特許出願公開第2017/0145309号に記載されているCSS橙色~赤色蛍光体を、本発明で使用することができる。CSS蛍光体の発光ピーク波長は、組成中のS/Se比を変更することにより、600nm~650nmに調整することができ、約48nm~約60nm(より長いピーク発光波長は、典型的により大きいFWHM値を有する)のFWHMを有する狭帯域赤色発光スペクトルを示す。本明細書において、CSS#の表記は、蛍光体タイプ「CSS」に、ナノメートルでのピーク発光波長(#)がその後に続くものを表している。例えば、CSS615は、615nmのピーク発光波長を有するCSS蛍光体を示す。信頼性を改善するために、CSS蛍光体粒子は、1つ以上の酸化物、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ホウ素(B)、又は酸化クロム(CrO)でコーティングされ得る。あるいは、及び/又は加えて、狭帯域赤色蛍光体粒子は、1つ以上のフッ化物、例えば、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化亜鉛(ZnF)、フッ化アルミニウム(AlF)、又はフッ化チタン(TiF)でコーティングされ得る。コーティングは、単層、又は前述のコーティングの組み合わせを有する多層であり得る。組み合わせコーティングは、第1の材料と第2の材料との間の急激な遷移を有するコーティングであり得る、又は第1の材料から第2の材料への漸進的/平滑な遷移が存在するコーティングであリ得、このため、コーティングの厚さを通して変化する混合組成を有するゾーンを形成する。
【0069】
いつかの実施形態では、橙色~赤色蛍光体は、その全体が本明細書に組み込まれる「Silicate-Based Orange Phosphors」と題する米国特許第7,655,156号に教示されているような橙色発光ケイ酸塩系蛍光体を含むことができる。このような橙色発光ケイ酸塩系蛍光体は、一般組成式(Sr1-xEuSiO(式中、0<x≦0.5、2.6≦y≦3.3、0.001≦z≦0.5であり、Mは、Ba、Mg、Ca、及びZnからなる群から選択される1つ以上の二価金属である)を有することができる。本明細書において、O#の表記は、蛍光体タイプ「橙色ケイ酸塩」に、ナノメートル(#)でのピーク発光波長(λpe)がその後に続くものを表している。例えば、O600は、600nmのピーク発光波長を有する橙色ケイ酸塩系蛍光体を示す。
【表2】
【0070】
1800K~6800Kフルスペクトル白色発光デバイス
【0071】
上記のように、本発明のいくつかの実施形態は、具体的には、ただし非限定的に、例えばCAF(概日作用因子)によって測定されるように、ヒトの非視覚的認知が最大の影響を受ける、可視スペクトルの青色~シアン波長領域(430nm~520nm)において自然光に酷似するフルスペクトル白色光を生成するフルスペクトル白色発光デバイスに関する。他の態様によると、本発明は、約430nm~約520nmの範囲の波長の自然光に近いスペクトルを維持しつつ、フルスペクトル白色発光デバイスの効率を改善することに関する。本発明者らは、スペクトルの赤色領域に対応する波長で光強度(光子カウント)を最適化(低減)することによって、具体的には、CRI R9(「飽和赤色」)及びCRIR8(「赤みがかった紫色」)の値に影響を与える波長で光強度を低減することによってフルスペクトル白色発光デバイスの効率を改善することができることを発見した。そのような効率の改善は、約645nm~約695nmの波長において最大強度の半分に減少する(低下する)強度ロールオフ(テール)を、可視スペクトルの橙色~赤色波長領域において有するフルスペクトル白色光をデバイスが生成するように、ピーク発光波長/FWHMが選択された、橙色~赤色フォトルミネセンス材料を含めることによって達成され得る。
【0072】
図5は、(A)(i)狭帯域励起源を用いる、既知のフルスペクトル発光デバイス、Aと示されるスペクトル(点線)、(ii)広帯域励起源を用いる、本発明によるフルスペクトル発光デバイス、Bと示されるスペクトル(細い実線)、(iii)スペクトルA及びBのCCTと名目上同一であるCCTについての黒体曲線(bbc)(破線)、に対する強度スペクトル、正規化強度I対波長(nm)、並びに(B)概日作用スペクトル(CAS)(太い実線)、相対量子感度対波長(nm)を示す。この図は、本特許明細書で使用される様々なパラメータを定義し、本発明の原理を示す。
【0073】
図5を参照すると、スペクトル概日効率関数c(λ)とも呼ばれる概日作用スペクトル(CAS)は、光に対するヒトの非視覚的相対感度を表す。c(λ)の最大感度は、460nmの波長で生じる。CASは、メラトニン分泌を調節する概日入力を提供するためには、スペクトルの430nm~520nmの部分が最も重要な波長であることを示唆している。
【0074】
スペクトルAを黒体曲線(bbc)と比較すると、スペクトルAはピーク580を示し、このピークは、bbcの強度から大きく逸脱する(すなわち、ピーク強度は、同一波長のbbcの強度よりも著しく高い)強度を有する、狭帯域励起源によって生成された励起光に対応することに気付くであろう。比較すると、スペクトルBは2つのピーク582、584を示し、これらのピークは、スペクトルAと比較して、bbcの強度からごくわずかに逸脱する(すなわち、ピーク強度は、同一波長のbbcよりもわずかに高い)強度を有する、広帯域励起源によって生成された励起光に対応する。ピーク580は、460nmの波長でのCASの最大感度に近い455nmの波長で生じることに更に気付くであろう。更に、スペクトルAは、最小強度がbbcの最小強度から著しく逸脱する(すなわち、トラフ強度はbbcよりも著しく低い)トラフ(谷)586を示すことに気付くであろう。比較すると、スペクトルBは、最小強度が、スペクトルAと比較して、bbcの最小強度からごくわずかに逸脱する(すなわち、トラフ強度はbbcよりもわずかに低い)、トラフ(谷)588を示す。図から分かるように、(スペクトルAのピーク584と比較して)スペクトルBの発光ピーク582及び584の逸脱は小さく、(スペクトルAのトラフ586と比較して)bbcからのスペクトルBのトラフ588の逸脱が小さいほど、スペクトルBは、430nm~520nmの波長範囲(青色~シアン)にわたってbbc(プランキアンスペクトル)に酷似することを示す。スペクトルBは、CAF(概日作用因子)によって測定されるヒトの非視覚的認知が最大の影響を受ける、この波長領域にわたって自然光に酷似し、このことは、ヒトの健康に有益であることが更に理解されるであろう。
【0075】
スペクトルがbbcに酷似する程度を定量化するための測定基準は、同一相関色温度のbbcの色強度からの最大(最高)強度偏差率(Imaxdev)である。すなわち、約430nm~520nmの波長範囲にわたって、Imaxdevは、スペクトルの強度とbbcの強度との間の最大(最高)強度差率である。最大偏差は、正(スペクトル強度がbbcよりも大きいピークなど)又は負(スペクトル強度がbbc未満であるトラフなど)であり得る。スペクトルの有意な比較を行うために、各スペクトルは、同一のCIE 1931 XYZ相対輝度Yを有するように正規化される。スペクトルは、観察者の明所視(視覚)反応を考慮し、同一相関色温度のための標準的な観察者の明所視感度関数y(λ)(明所視又は視覚発光効率関数ν(λ)と呼ばれることもある)を使用して正規化される。したがって、Imaxdevは、約430nm~520nmの波長範囲にわたる、スペクトルの正規化強度と、bbcの正規化強度との間の最大(最高)強度差率である。Imaxdev は、以下のように定義される。
【数1】
【0076】
例えば、図5を参照すると、スペクトルAの場合、bbcからのスペクトルの最大偏差は、波長λmaxdev=455nmのピーク580に対応する。λmaxdevでのスペクトル強度は590と示され、λmaxdevでのbbcの強度は592と示される。したがって、上記の計算を使用すると、約430nm~約520nmの波長範囲にわたって、スペクトルAは、95%の最大強度偏差率Imaxdevを有する。すなわち、最大強度偏差率において、波長λmaxdevでのスペクトルAの正規化強度は、同一波長でのbbcの正規か強度の195%である。対照的に、スペクトルBは、わずか30%の(ピーク582に対応する)最大強度偏差率Imaxdevを有する。すなわち、波長λmaxdevでのスペクトルA の正規化強度は、この波長でのbbcの正規化強度の130%である。
【0077】
ロールオフ波長(λRO)は、正規化強度(I)が、スペクトルの橙色~領域の最大強度(ImaxImaxと示す)からその最大強度の半分(1/2Imaxと示す)に低下する波長として定義される。上記のように、スペクトルのこの波長領域内の最大強度Imaxは、フォトルミネセンス変換光に対応し、最大強度は、約570nmよりも長い波長で生じる。例えば、最大強度は、約590nm~約620nmの範囲の波長で生じ得る。
【0078】
パッケージ化白色発光デバイスの試験方法
【0079】
パッケージ化試験方法は、積分球におけるパッケージ化白色発光デバイス(図3a)の全発光を測定することを含む。
【0080】
本発明によるパッケージ化フルスペクトル白色発光デバイス(Dev.#)は、主波長λd1=443nm、λd2=451nm、及びλd3=457nmの3個の1133(11mil×33mil)LEDチップを含む、2835(2.8mm×3.5mm)SMDパッケージをそれぞれ含む。
【0081】
本明細書では、白色発光デバイスを示すために以下の命名法が使用される。すなわち、Com.#は、各励起源が単一主波長の1つ以上の固体光源を含む比較発光デバイスを示し、Dev.#は、各励起源が2つの異なる主波長の固体光源を含む、本発明の実施形態による発光デバイスを示す。
【0082】
2700Kフルスペクトル白色発光デバイスの試験データ
【0083】
表3、表4、及び表5は、2700K白色発光デバイスDev.1、Dev.2及び既知のCRI90比較デバイスCom.1について測定された光学試験データを表にしたものであり、青色及びシアンスペクトル成分を維持しつつ、赤色スペクトル成分を低減させる効率に対する影響を示す。
【0084】
発光デバイスDev.1及びDev.2は、主波長がλd1=443nm、λd2=451nm、及びλd3=457nmである3個のLEDチップを含む2835パッケージをそれぞれ含む。Dev.1は、GAL520蛍光体とCASN650蛍光体との組み合わせを含み、Dev.2は、GAL520蛍光体、GAL530蛍光体、CASN625蛍光体、及びCASN650蛍光体の組み合わせを含む。CASN625とCASN650との組み合わせは約628nmのピーク発光を生成し、波長は、CASN625対CASN650の相対的比率に応じて異なる。比較デバイスCom.1は、狭帯域励起源を用い、90の公称CRI Raを有する、既知の2835パッケージ化白色発光デバイスを含む。
【0085】
図6は、(i)Dev.1(実線)、(ii)Dev.2(太い破線)、(iii)Com.1(点線)、並びに(iv)Dev.1、Dev.2、及びCom.1と名目上同一である2700KのCCTのプランキアンスペクトル(細い破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度(CIE 1931 XYZ相対輝度Y=100に正規化)対波長(nm)を示す。スペクトルの意味の有意な比較を行うために、各スペクトルは、それぞれがCIE 1931 XYZ相対輝度Y=100を有するように正規化されている。データは、観察者の明所視反応を考慮する、標準的な観察者のCIE 1931明所視感度関数y(λ)を使用して正規化される。図6のプランキアンスペクトル(曲線)、つまり黒体曲線は、所与の色温度(CCT)について100に等しい一般CRI Raのスペクトルを表す。したがって、所与の色温度の白色発光デバイスが、可能な限り高い演色を有するためには、その発光スペクトルが、同一色温度の黒体スペクトルに可能な限り厳密に一致するべきである。
【0086】
図6を参照すると、本発明によるデバイスDev.1及びDev.2(広帯域幅励起源を含む)の発光スペクトルエネルギー含有量に対する効果は、比較デバイスCom.1(狭帯域励起源を含む)と比較して、それぞれ約430nm及び440nmでの青色発光ピーク682の強度で著しく低下することに気付くであろう。図から分かるように、デバイスDev.1及びDev.2の青色発光ピーク682の低下(Com.1のピーク680と比較して)は、波長範囲430nm~520nm(青色~シアン)にわたって、プランキアンスペクトルにより酷似する(つまり、太陽光により酷似する)発光スペクトルをもたらす。より具体的には、スペクトルの分析は、波長範囲430nm~520nm(青色~シアン)にわたって、デバイスDev.1及びDev.2により放出された正規化光強度と同一相対色温度(2700K)の黒体曲線(bbc)の正規化光強度との間には、約60%の最大正規化強度偏差率Imaxdevが存在することを示す。すなわち、Dev.1及びDev.2は、同一波長においてbbcの光強度の160%である強度を有する光をそれぞれ生成する。正規化強度の最大偏差は、それぞれ約430nm及び約440nmの波長λmaxdevで生じる。これは、約450nmの波長λmaxdevで、約80%の正規化強度における最大偏差率Imaxdevを示す白色光を生成する、既知の比較デバイスCom.1(狭帯域励起光源を用いる)と比較されるべきである。
【0087】
したがって、当然のことながら、デバイスDev.1及びDev.2は、CAF(概日作用因子)によって測定されるヒトの非視覚的認知が最大の影響を受ける、この波長領域にわたって自然光により酷似する白色光を生成し、このことは、ヒトの健康に有益であり得る。スペクトルのシアン領域内のトラフを少なくとも部分的に充填し、青色領域内のピークオーバーシュートを低減する広帯域青色励起源を用いることにより生じる、スペクトルエネルギー含有量のこの変化は、本発明のデバイスの優れた演色特性の主な原因であると考えられる。表3から分かるように、デバイスDev.1及びDev.2は、自然光のCAFのそれぞれ1.9%及び0.8%以内のCAFを有する白色光を生成する(CCT2700Kのbbc)。比較すると、比較デバイスCom.1は、自然光のCAFの3.8%以内のCAFを有する。
【0088】
ここで、スペクトルの橙色~赤色波長領域(すなわち、約570nmよりも長い波長)におけるスペクトルの強度ロールオフ(テール)について検討する。Dev.1では、最大ピーク強度(ImaxDev.1)は約8.2であり、これは約640nmの波長で生じる。強度(I)は、約690nmの波長(λRODev.1)で、この値の半分(1/2ImaxDev.1)に低下する。
【0089】
Dev.2では、最大ピーク強度(ImaxDev.2)は約7.6であり、これは約620nmの波長で生じる。強度(I)は、約675nmの波長(λRODev.2)で、この値の半分(1/2ImaxDev.2)に低下する。
【表3】
【表4】
【表5】
【0090】
表3、表4、及び表5を参照すると、デバイスDev.1は、104lm/Wの効率を有すること、また、95以上(96.9)のCRI Raを有する白色光を生成し、CRI R1~CRI R15のそれぞれは90以上(91.2~99.0)であることに気付くであろう。比較すると、デバイスDev.2は、119lm/Wの効率を有し、95以上(95.8)のCRI Raを有する白色光を生成し、CRI R1~CRI R7及びCRI R10~CRI R15は約90以上(89.5~99.3)であるが、CRI R 8(「赤みがかった紫色」に対応する)は72超かつ90未満(86.6)未満であり、また、CRI R 9(「飽和赤色」に対応する)は、50超かつ90未満(69.6)である。更に、Dev.2で生成される光の質は、Dev.1の光の質と概ね同一であるが、効率が大幅に(約15%、104lm/Wから119lm/Wへ)増加することに気付くであろう。
【0091】
図6及び表3から当然分かるように、Dev.1と比較してDev.2の効率が増加することは、スペクトルの赤色波長領域における光強度を低減する、Dev.1の波長(690nm)よりも短い波長(675nm)で生じるDev.2のスペクトルロールオフの直接的な結果である。
【0092】
3000Kフルスペクトル白色発光デバイスの試験データ
【0093】
表6、表7、及び表8は、3000K白色発光デバイスDev.3~Dev.5、並びに既知の3000K CRI90及びCRI80比較デバイスCom.2及びCom.3について測定された光学試験データを表にしたものであり、青色及びシアンスペクトル成分を維持しつつ、赤色スペクトル成分を低減させる効率に対する影響を示す。
【0094】
発光デバイスDev.3~Dev.5は、主波長がλd1=443nm、λ=451nm、及びλd1=457nmである3個のLEDチップを含む2835パッケージをそれぞれ含む。Dev.3は、GAL520蛍光体とCASN650蛍光体との組み合わせを含み、デバイスDev.4及びDev.5は、GAL520蛍光体、GAL530蛍光体、CASN625蛍光体、及びCASN650蛍光体の組み合わせを含み、Dev.5は、Dev.4よりも大きいCASN625対CASN650の相対部分を含む(Dev.4におけるCASN625とCASN650との組み合わせは約625nmのピーク発光を生成し、Dev.5における組み合わせは、約628nmのピーク発光を生成する)。比較デバイスCom.2は、狭帯域励起源を用い、90の公称CRI Raを有する、既知の2835パッケージ化白色発光デバイスを含む。Com.3は、狭帯域励起源を用い、80の公称CRI Raを有する、既知の2835パッケージ化白色発光デバイスを含む。
【0095】
図7aは、(i)Dev.3(実線)、(ii)Dev.4(太い破線)、(iii)Dev.5(鎖線)、(iv)Com.2(点線)、並びに(v)Dev.3、Dev.4、Dev.5、及びCom.2と名目上同一である3000KのCCTのプランキアンスペクトル、つまり黒体曲線(細い破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度(CIE 1931 XYZ相対輝度Y=100に正規化)対波長(nm)を示す。図7bは、(i)Dev.4(実線)、(ii)Com.2(点線)、並びに(iii)Dev.4及びCom.2と名目上同一である3000KのCCTのプランキアンスペクトル(破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度(CIE 1931 XYZ相対輝度Y=100に正規化)対波長(nm)を示す。図7cは、(i)Dev.5(実線)、(ii)Com.3(点線)、並びに(iii)Dev.5及びCom.3と名目上同一である3000KのCCTのプランキアンスペクトル(破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度(CIE 1931 XYZ相対輝度Y=100に正規化)対波長(nm)である。スペクトルの分析は、波長範囲430nm~520nm(青色~シアン)にわたって、デバイスDev.3、Dev.4、及びDev.5により放出された光の正規化強度と同一相対色温度(3000K)の黒体曲線の光の正規化強度との間には、約40%、約50%、及び約60%の最大正規化強度偏差率Imaxdevが存在することを示す。これは、(約450nmの波長で)正規化強度の約70%及び100%の最大偏差率Imaxdevをそれぞれ示す白色光を生成する、既知の比較デバイスCom.2及びCom.3(狭帯域励起光源を用いる)と比較されるべきである。更に、表6から分かるように、デバイスDev.3、Dev.4及びDev.5は、自然光のCAFのそれぞれ3.4%、4.1%、及び3.4%以内のCAFを有する白色光を生成する(CCT3000Kのbbc)。比較すると、比較デバイスCom.2及びCom.3は、自然光のCAFのそれぞれわずか11.5%及び9.5%以内のCAFを有する。
【0096】
したがって、当然のことながら、デバイスDev.3、Dev.4、及びDev.5は、CAF(概日作用因子)又はメラノピック比率(Melanopic Ratio、MR)によって測定されるヒトの非視覚的認知が最大の影響を受ける、この波長領域にわたって自然光により酷似する白色光を生成し、このことは、ヒトの健康に有益であり得る。
【0097】
ここで、スペクトルの橙色~赤色波長領域(すなわち、約570nmよりも長い波長)におけるスペクトルの強度ロールオフ(テール)について検討する。Dev.3では、最大ピーク強度(ImaxDev.3)は約7.3であり、これは約630nmの波長で生じる。強度(I)は、約690nmの波長(λRODev.3)で、この値の半分(1/2ImaxDev.3)に低下する。
【0098】
Dev.4では、最大ピーク強度(ImaxDev.4)は約6.8であり、これは約625nmの波長で生じる。強度(I)は、約680nmの波長(λRODev.4)で、この値の半分(1/2ImaxDev.4)に低下する。
【0099】
Dev.5では、最大ピーク強度(ImaxDev.5)は約7.0であり、これは約605nmの波長で生じる。強度(I)は、約650nmの波長(λRODev.5)で、この値の半分((1/2ImaxDev.5)に低下する。
【表6】
【表7】
【表8】
【0100】
表6、表7、及び表8を参照すると、デバイスDev.3は、109lm/Wの効率を有すること、及び95超(95.9)のCRI Raを有する白色光を生成し、CRI R1~CRI R15のそれぞれは90以上(91.8~99.3)であることに気付くであろう。比較すると、デバイスDev.4は、149lm/Wの効率を有し、95以上(95.6)のCRI Raを有する白色光を生成し、CRI R1~CRI R8及びCRI R10~CRI R15は90以上であるが、CRI R 9(「飽和赤色」に対応する)は、50超かつ90未満(77.8)である。比較すると、デバイスDev.5は、120lm/Wの効率を有し、85以上(85.0)のCRI Raを有する白色光を生成し、CRI R1~CRI R7及びCRI R10~CRI R15は90以上であるが、CRI R 8(「赤みがかった紫色」に対応する)は、72未満(60.0)未満であり、また、CRI R9(「飽和赤色」に対応する)は、10超かつ90未満(11.9)である。更に、Dev.4及びDev.5で生成される光の質は、Dev.3で生成される光の質と概ね同一であるが、効率は大幅に(それぞれ約20%及び約50%)増加することに気付くであろう。
【0101】
4000Kフルスペクトル白色発光デバイスの試験データ
【0102】
表9、表10、及び表11は、4000K白色発光デバイスDev.6及び既知の4000K CRI90比較デバイスCom.4について測定された光学試験データを表にしたものである。発光デバイスDev.6は、主波長がλd1=443nm、λ=451nm、及びλd1=457nmである3個のLEDチップを含む2835パッケージを含み、GAL520蛍光体とCASN650蛍光体との組み合わせを含む。比較デバイスCom.4は、狭帯域励起源を用い、90の公称CRI Raを有する、既知の2835パッケージ化白色発光デバイスを含む。
【0103】
図8は、(i)Dev.6(実線)、(ii)Com.4(点線)、並びに(v)Dev.6及びCom.3と名目上同一である4000KのCCTのプランキアンスペクトル(破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度(CIE 1931 XYZ相対輝度Y=100に正規化)対波長(nm)を示す。スペクトルの分析は、波長範囲430nm~520nm(青色~シアン)にわたって、デバイス、及びDev.6により放出された光の正規化強度と同一相対色温度(4000K)の黒体曲線の光の正規化強度との間の最大差である、約30%の最大正規化強度偏差率Imaxdevが存在することを示す。これは、(約450nmの波長で)正規化強度の約90%の最大偏差率Imaxdevを示す白色光を生成する、既知の比較デバイスCom.2(狭帯域励起光源を用いる)と比較されるべきである。更に、表6から分かるように、デバイスDev.6は、自然光のCAFの0.4%であるCAFを有する白色光を生成する(CCT4000Kのbbc)。比較すると、比較デバイスCom.3は、自然光のCAFのわずか7.0%以内のCAFを有する。
【0104】
当然のことながら、デバイスDev.6は、CAF(概日作用因子)又はメラノピック比率(MR)によって測定されるヒトの非視覚的認知が最大の影響を受ける、この波長領域にわたって自然光により酷似する白色光を生成し、このことは、ヒトの健康に有益であり得る。
【0105】
ここで、スペクトルの橙色~赤色波長領域(すなわち、約570nmよりも長い波長)におけるスペクトルの強度ロールオフ(テール)について検討する。Dev.6では、最大ピーク強度(ImaxDev.6)は約5.9であり、これは約630nmの波長で生じる。強度(I)は、約685nmの波長(λRODev.6)で、この値の半分((1/2ImaxDev.6)に低下する。
【表9】
【表10】

【表11】
【0106】
表9、表10、及び表11を参照すると、デバイスDev.6は、117lm/Wの効率を有すること、及び95超(95.9)のCRI Raを有する白色光を生成し、CRI R1~CRI R15のそれぞれは90以上(91.8~99.3)であることに気付くであろう。
【0107】
5000Kフルスペクトル白色発光デバイスの試験データ
【0108】
表12、表13、及び表14は、5000K白色発光デバイスDev.7及びDev.8、並びに既知の5000K CRI90及びCRI80比較デバイスCom.5及びCom.6について測定された光学試験データを表にしたものであり、青色及びシアンスペクトル成分を維持しつつ、赤色スペクトル成分を低減させる効率に対する影響を示す。
【0109】
発光デバイスDev.7及びDev.8は、主波長がλd1=443nm、λ=451nm、及びλd1=457nmである3個のLEDチップを含む2835パッケージをそれぞれ含む。Dev.7は、GAL520蛍光体とCASN650蛍光体との組み合わせを含み、Dev.8は、GAL520蛍光体、GAL530蛍光体、CASN625蛍光体、及びCASN650蛍光体の組み合わせを含む。比較デバイスCom.5は、狭帯域励起源を用い、90の公称CRI Raを有する、既知の2835パッケージ化白色発光デバイスを含む。Com.6は、狭帯域励起源を用い、80の公称CRI Raを有する、既知の2835パッケージ化白色発光デバイスを含む。
【0110】
図9aは、(i)Dev.7(実線)、(ii)Com.5(点線)、並びに(iii)Dev.7及びCom.5と名目上同一である5000KのCCTのプランキアンスペクトル(破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度(CIE 1931 XYZ相対輝度Y=100に正規化)対波長(nm)を示す。スペクトルの分析は、波長範囲430nm~520nm(青色~シアン)にわたって、デバイスDev.7により放出された光の正規化強度と同一相対色温度(5000K)のCIE標準光源Dの正規化強度との間には、約50%の最大正規化強度偏差率Imaxdevが存在することを示す。これは、(約450nmの波長λmaxdevで)正規化強度の約115%の最大偏差率Imaxdevを示す白色光を生成する、既知の比較デバイスCom.5(狭帯域励起光源を用いる)と比較されるべきである。更に、表12から分かるように、デバイスDev.7は、自然光のCAFの2.1%以内であるCAFを有する白色光を生成する(CCT5000KのCIED)。比較すると、比較デバイスCom.5は、自然光のCAFのわずか12.6%以内のCAFを有する。
【0111】
図9bは、(i)Dev.8(実線)、(ii)Com.6(点線)、並びに(iii)Dev.8及びCom.6と名目上同一である5000KのCCTのプランキアンスペクトル(破線)に対する、強度スペクトル、正規化強度(CIE 1931 XYZ相対輝度Y=100に正規化)対波長(nm)を示す。スペクトルの分析は、波長範囲430nm~520nm(青色~シアン)にわたって、デバイスDev.8により放出された光の正規化強度と同一相対色温度(5000K)のCIE標準光源Dの正規化強度との間には、約20%の最大正規化強度偏差率Imaxdevが存在することを示す。これは、(約450nmの波長λmaxdevで)正規化強度の約140%の最大正規化強度偏差率を示す白色光を生成する、既知の比較デバイスCom.6(狭帯域励起光源を用いる)と比較されるべきである。更に、表12から分かるように、デバイスDev.8は、自然光のCAFの2.0%以内であるCAFを有する白色光を生成する(CCT5000KのCIED)。比較すると、比較デバイスCom.6は、自然光のCAFのわずか13.1%以内のCAFを有する。
【0112】
当然のことながら、デバイスDev.7及びDev.8のそれぞれは、CAF(概日作用因子)又はメラノピック比率(MR)によって測定されるヒトの非視覚的認知が最大の影響を受ける、この波長領域にわたって自然光により酷似する白色光を生成し、このことは、ヒトの健康に有益であり得る。
【0113】
ここで、スペクトルの橙色~赤色波長領域(すなわち、約570nmよりも長い波長)におけるスペクトルの強度ロールオフ(テール)について検討する。Dev.7では、最大ピーク強度(ImaxDev.7)は約4.9であり、これは約625nmの波長で生じる。強度(I)は、約685nmの波長(λRODev.7)で、この値の半分(1/2ImaxDev.7)に低下する。
【0114】
Dev.8では、最大ピーク強度(ImaxDev.8)は約5.6であり、これは約590nmの波長で生じる。強度(I)は、約650nmの波長(λRODev.8)で、この値の半分(1/2ImaxDev.8)に低下する。
【表12】

【表13】
【表14】
【0115】
表12、表13、及び表14を参照すると、デバイスDev.7は、117lm/Wの効率を有すること、及び95超(98.5)のCRI Raを有する白色光を生成し、CRI R1~CRI R15のそれぞれは90以上(93.5~99.0)であることに気付くであろう。比較すると、デバイスDev.8は、152lm/Wの効率を有し、80超(83.9)のCRI Raを有する白色光を生成し、CRI R 8(「赤みがかった紫色」に対応する)は72未満(62.6)未満であり、また、CRI R9(「飽和赤色」に対応する)は0超かつ90未満(1.3)である。更に、Dev.8で生成される光の質は、Dev.7で生成される光の質と概ね同一であり、効率は大幅に(約30%)増加し、Com.6と同程度であることに気付くであろう。
【0116】
LEDフィラメント白色発光デバイス
【0117】
本発明のいくつかの実施形態による白色発光デバイスについては、遠隔蛍光体及びパッケージ化白色発光デバイスを参照して説明してきたが、白色発光デバイスのカテゴリは、LEDフィラメント白色発光デバイスを包含することが理解されよう。試験により、本発明のいくつかの実施形態によるLEDフィラメントの形態の白色発光デバイスが、同様のスペクトル特性を有し、上記の白色発光デバイスの同じ利点及び利点を提供することを確認した。
【0118】
図10は、1800K~6800Kの範囲のCCT(相関色温度)を有するフルスペクトル白色光を生成するためのLEDフィラメントAシリーズランプ(電球)10100の側面図を示す。LEDフィラメントランプ10100は、コネクタベース10102と、光透過性ガラスエンベロープ10104と、ガラスLEDフィラメント支持体(ステム)10106と、本発明による4個のLEDフィラメント(白色発光デバイス)1010と、を含む。
【0119】
ここで、本発明の一実施形態によるLEDフィラメント1110を、C-Cの断面側面図及びLEDフィラメントの部分切欠き平面図を示す図11a及び図11bを参照して説明する。LEDフィラメント1110は、前面11110に取り付けられた固体広帯域励起源1120のアレイを有する光透過性回路基板(board)(基板(substrate))11108を含み得る。広帯域励起源は、420nm~470nm、すなわち可視スペクトルの青色領域内の主波長λを有し、25nm~50nmのFWHMを有する広帯域青色励起光を生成するように構成されている。図示の実施形態では、広帯域励起源1120は、非パッケージ化広帯域青色LEDダイ(例えば、本明細書に記載のMQW InGaN/GaN LEDダイ)で構成され、これらのダイは基板に直接取り付けられている。他の実施形態では、広帯域励起源1120のそれぞれは、それぞれの異なる主波長Xdi Xd2を有する、少なくとも2個の狭帯域青色LEDダイの組み合わせによって構成され得、これらのダイは、基板に直接取り付けられている。
【0120】
この実施形態では、図示される基板11108は平面状であり、広帯域励起源1120は、基板の前面11110の長さに沿って直線状アレイとして構成されている。
【0121】
典型的には、各LEDフィラメントは、25個の励起源(LEDダイ)を含み、約2Wの総公称電力を有し得る。
【0122】
好ましくは、少なくとも半透明である基板11108は、例えば、ガラス、又はポリプロピレン、シリコーン、若しくはアクリルなどプラスチック材料など可視光に対して10%以上の透過率を有する、任意の光透過性材料を含み得る。基板11108は、励起源1120を電気的に接続するための所望の回路構成で構成された導電性トラック11112を前面11110に更に備え得る。図示のように、励起源1120は、ストリングとして直列に電気的に接続することができる。示すように、励起源1120は、ボンドワイヤ11114を使用して導電性トラック11112に電気的に接続することができる。他の実施形態では、励起源1120は、ボンドワイヤによって互いに直接接続することができ、それによって導電性トラックの必要性を排除することができる。更に他の実施形態では、励起源1120は、導電性トラックに取り付けられた表面実装型LED又はフリップチップLEDを含むことができる。基板11108は、LEDフィラメント1110に電力を印加するための電極11116をそれぞれの端部に含むことができる。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態によると、LEDフィラメント1110は、少なくとも基板の前面11110及び励起源1120を覆うフォトルミネセンス波長変換材料1166を更に含む。本発明のいくつかの実施形態によると、フォトルミネセンス波長変換材料1166は、緑色~黄色フォトルミネセンス材料、任意選択的に橙色~赤色フォトルミネセンス材料を含む。LEDフィラメントの前面及び背面から放出された光が概して同一の色であるようにするために、LEDフィラメント1110は、図示するように、基板の背面11120を覆うフォトルミネセンス波長変換材料11118を更に含み得る。フォトルミネセンス波長変換材料11118は、フォトルミネセンス波長変換材料1166と同じフォトルミネセンス材料を含み得る。
【0124】
上記のように、本発明の特定の利点は、本発明のいくつかの実施形態によるフルスペクトル白色発光デバイスが、CAF(概日作用因子)又はメラノピック比率(MR)によって測定されたヒト非視覚的知覚が最も影響を受ける、スペクトルの青色~シアン波長領域(430nm~520nm)において自然光に酷似するフルスペクトル白色光を生成することができることである。照明産業では、青色光の刺激及びその概日リズムに対する影響に関して多大な議論がなされている。光源の青色~シアンの光量は、概日サイクルに影響し得るメラトニン分泌に影響を与える。高レベルの青色~シアン光は、メラトニン分泌を抑制し、人体を活性化させる。低レベルの青色光は、メラトニン分泌を抑制せず、人体をリラックスさせる。この非視覚的効果を評価するために使用される1つの測定基準は、CAF概日作用因子であり、典型的には、1日を通した青色成分によって調節される。日中の太陽は、高いCCT、及びより高い青色~シアン成分を有する。日の出及び日の入りは、より低いCCT、及びより低い青色~シアン成分を有する。異なるCCTにおける自然光のCAF値は、ヒトの感情、健康、又は健康な生活が影響を受ける、青色~シアン領域における自然光からの照明偏差の良好な尺度である。
【0125】
更に、本発明のフルスペクトル白色発光デバイスの更なる利点は、ピーク発光波長/橙色~赤色フォトルミネセンス材料のFWHMを適切に選択することにより、当該デバイスが、橙色~赤色領域においてロールオフ(テール)を有するスペクトルを有し、強度が、約645nm~約695nmの波長において、スペクトルの橙色~赤色領域でのその最大値から当該最大値の約50%に低下する白色光を生成することである。そのようなスペクトル特性(テール)は、眼の明所視反応が低い、スペクトルの赤色波長領域において光強度(光子カウント)を低減させ、それによってデバイス効率を増加させる。試験データは、本発明によるフルスペクトル白色発光デバイスが、少なくとも90のCRI Raと、CRI R9及びCRI R8のみを低減しつつ、既知のCRI80デバイスに等しいか、又はそれを超える効率と、を備える白色光を生成することができることを確認した。CRI R9及びCRI R8の値のこの低減にもかかわらず、当該デバイスによって生成される光の知覚品質は、スペクトルの赤色波長領域における眼の感度に起因する悪影響を受けない。
【0126】
要約すると、当然のことながら、広帯域固体励起源を含む本発明による発光デバイスは、1800K~6800Kの範囲の色温度を有し、(i)約430nm~約520nmの波長範囲にわたって、同一相関色温度の黒体曲線又はCIE標準光源Dの光強度からの当該白色光の最大強度偏差率が、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、及び10%未満のうちの少なくとも1つであるスペクトル、(ii)黒体曲線/CIE標準光源Dの5%、4%、2%、又は1%以内のCAFを有するスペクトル、(iii)90未満であるCRIR9及び/又はCRIR8、(iv)約645nm~約695nmの波長において、スペクトルの橙色~赤色波長領域におけるその最大値から当該最大値の約50%に強度が低下するスペクトル、(v)約645nm~約695nmの波長において、スペクトルの橙色~赤色波長領域におけるその最大値から当該最大値の約50%に強度が低下し、85以上のCRI Ra、90以上のCRI R1~CRI R7及びCRI R10~CRI R15、72未満のCRI R8、並びに10超かつ90未満のCRI R9を有するスペクトル、(vi)約645nm~約695nmの波長において、スペクトルの橙色~赤色波長領域におけるその最大値から当該最大値の約50%に強度が低下し、95以上のCRI Ra、90以上のCRI R1~CRI R8及びCRI R10~CRI R15、並びに50超かつ90未満のCRI R9を有するスペクトル、並びに(vii)約645nm~約695nmの波長において、スペクトルの橙色~赤色波長領域におけるその最大値から当該最大値の約50%に強度が低下し、95以上のCRI Ra、及び90以上のCRI R1~CRI R15を有するスペクトル、のうちのいずれか1つを有する白色光を生成することを特徴とするフルスペクトル白色発光デバイスの実現を可能にする。
【0127】
本発明を詳細に説明してきたが、本発明から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができ、同等物を使用することができることは、当業者には明らかであろう。本発明は、上記の説明に記載した、又は図面に示した構造の詳細、構成要素の配置、及び/又は方法に限定されないことを理解されたい。更に、図面は単なる例示であり、限定するものではない。項目見出し及び小見出しは、読者の便宜を測ったものに過ぎない。これらは、何らかの実質的な重要性、意味、又は解説を有すると解釈すべきではなく、またそうすることはできず、何らかの特定の主題に関する情報の全てが、いずれかの特定の見出し又は小見出しの下で見出されるか又はこれに限定されることを示すと見なすべきではなく、またそうすることはできない。したがって、本発明は、以下の「特許請求の範囲」及びそれらの法的等価物に従うことを除いて限定されるべきではない。本発明は、その特定の実施形態を参照して具体的に説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における変更及び修正を行うことができることは、当業者には容易に明らかであろう。
【0128】
本発明は、その特定の実施形態を参照して具体的に説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における変更及び修正を行うことができることは、当業者には容易に明らかであろう。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8
図9a
図9b
図10
図11a
図11b