(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】容量制御弁
(51)【国際特許分類】
F04B 27/18 20060101AFI20240617BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
F04B27/18 B
F04B27/18 A
F16K31/06 305L
(21)【出願番号】P 2022517008
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 JP2021015598
(87)【国際公開番号】W WO2021215345
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2020076940
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】栗原 大千
(72)【発明者】
【氏名】橋口 明広
(72)【発明者】
【氏名】福留 康平
(72)【発明者】
【氏名】白藤 啓吾
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/043186(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/167912(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/131482(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 27/18
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出圧力の吐出流体が通過する吐出ポート、吸入圧力の吸入流体が通過する吸入ポートおよび制御圧力の制御流体が通過する制御ポートが形成されたバルブハウジングと、
ソレノイドにより駆動される弁体、および前記吐出ポートと前記制御ポートとの間に設けられ前記弁体が接触可能な主弁座により構成される主弁と、
感圧室に配置される感圧体と、
前記弁体から前記感圧室に延び前記感圧体と共に感圧弁を構成する感圧弁部材とを備え、
前記弁体と前記感圧弁部材とに中間連通路が形成されており、前記感圧弁の開閉により前記制御ポートと前記吸入ポートとを前記中間連通路により連通させることが可能な容量制御弁であって、
前記感圧弁部材には、前記中間連通路に連通する貫通孔が形成されているとともに、前記感圧弁部材に対して相対的にスライドし前記貫通孔を開閉するスライド弁体が設けられ、
前記スライド弁体の外径側には、前記スライド弁体を開方向に付勢する付勢手段が設けられている容量制御弁。
【請求項2】
前記付勢手段は、前記スライド弁体と、前記感圧弁部材の前記貫通孔よりも先端側に形成される支持部との間に配置されている請求項1に記載の容量制御弁。
【請求項3】
前記付勢手段は、前記感圧室に露出した状態で配置されている請求項1または2に記載の容量制御弁。
【請求項4】
前記スライド弁体は、内周面が面一に形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の容量制御弁。
【請求項5】
前記スライド弁体には、前記主弁側に向く受け面が形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の容量制御弁。
【請求項6】
前記受け面は、前記弁体の往復移動方向に対して傾斜している請求項5に記載の容量制御弁。
【請求項7】
前記スライド弁体は、前記貫通孔を閉塞した状態でストローク可能に配置されている請求項1ないし6のいずれかに記載の容量制御弁。
【請求項8】
前記弁体と前記感圧弁部材とは別体であって、前記弁体には、前記スライド弁体の前記主弁側への移動を規制するストッパ部が形成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の容量制御弁。
【請求項9】
前記貫通孔は、前記感圧弁部材に複数形成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の容量制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動流体の容量を可変制御する容量制御弁に関し、例えば、自動車の空調システムに用いられる容量可変型圧縮機の吐出量を圧力に応じて制御する容量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の空調システムに用いられる容量可変型圧縮機は、エンジンにより回転駆動される回転軸、回転軸に対して傾斜角度を可変に連結された斜板、斜板に連結された圧縮用のピストン等を備え、斜板の傾斜角度を変化させることにより、ピストンのストローク量を変化させて流体の吐出量を制御するものである。この斜板の傾斜角度は、電磁力により開閉駆動される容量制御弁を用いて、流体を吸入する吸入室の吸入圧力Ps、ピストンにより加圧された流体を吐出する吐出室の吐出圧力Pd、斜板を収容した制御室の制御圧力Pcを利用しつつ、制御室内の圧力を適宜制御することで連続的に変化させ得るようになっている。
【0003】
容量可変型圧縮機の連続駆動時において、容量制御弁は、制御コンピュータにより通電制御され、ソレノイドで発生する電磁力により弁体を軸方向に移動させ、吐出圧力Pdの吐出流体が通過する吐出ポートと制御圧力Pcの制御流体が通過する制御ポートとの間に設けられる主弁を開閉して容量可変型圧縮機の制御室の制御圧力Pcを調整する通常制御を行っている。
【0004】
容量制御弁の通常制御時においては、容量可変型圧縮機における制御室の圧力が適宜制御されており、回転軸に対する斜板の傾斜角度を連続的に変化させることにより、ピストンのストローク量を変化させて吐出室に対する流体の吐出量を制御し、空調システムが目標の冷却能力となるように調整している。また、容量可変型圧縮機を最大容量で駆動する場合には、容量制御弁の主弁を閉塞して制御室の圧力を低くすることで、斜板の傾斜角度を最大とするようになっている。
【0005】
また、容量制御弁の制御ポートと吸入ポートとの間を連通させる補助連通路を形成し、起動時に容量可変型圧縮機の制御室の冷媒を制御ポート、補助連通路、吸入ポートを通して容量可変型圧縮機の吸入室へ排出するようにして、起動時に制御室の圧力を迅速に低下させることで、容量可変型圧縮機の応答性を向上させるものも知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5167121号公報(第7頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1にあっては、起動時に流体排出機能に優れるものの、容量可変型圧縮機の連続駆動時において、補助連通路が連通しており制御ポートから吸入ポートに冷媒が流れ込むことから、冷媒循環量が多く、容量可変型圧縮機の運転効率が下がってしまう虞があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、起動時の流体排出機能を有しつつ運転効率が良い容量制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の容量制御弁は、
吐出圧力の吐出流体が通過する吐出ポート、吸入圧力の吸入流体が通過する吸入ポートおよび制御圧力の制御流体が通過する制御ポートが形成されたバルブハウジングと、
ソレノイドにより駆動される弁体、および前記吐出ポートと前記制御ポートとの間に設けられ前記弁体が接触可能な主弁座により構成される主弁と、
感圧室に配置される感圧体と、
前記弁体から前記感圧室に延び前記感圧体と共に感圧弁を構成する感圧弁部材とを備え、
前記弁体と前記感圧弁部材とに中間連通路が形成されており、前記感圧弁の開閉により前記制御ポートと前記吸入ポートとを前記中間連通路により連通させることが可能な容量制御弁であって、
前記感圧弁部材には、前記中間連通路に連通する貫通孔が形成されているとともに、前記感圧弁部材に対して相対的にスライドし前記貫通孔を開閉するスライド弁体が設けられ、
前記スライド弁体の外径側には、前記スライド弁体を開方向に付勢する付勢手段が設けられている。
これによれば、起動時および最大通電状態で主弁が閉じた際においてスライド弁体を付勢手段の付勢力により確実にスライドさせて貫通孔を開放し制御ポートと吸入ポートを連通させることにより、制御圧力を素早く下げることができる。一方、通電状態で主弁を制御する際においてスライド弁体を主弁の開放により流れる流体によりスライドさせて貫通孔を閉塞し制御ポートと吸入ポートを遮断させることにより、制御ポートから吸入ポートへの流体の流れ込みを防ぐことができる。このようにして、容量可変型圧縮機の起動時の液冷媒の排出および運転効率を高めることができる。
【0010】
前記付勢手段は、前記スライド弁体と、前記感圧弁部材の前記貫通孔よりも先端側に形成される支持部との間に配置されていてもよい。
これによれば、付勢手段と感圧弁部材の貫通孔を径方向に重なる位置に配置できるため、スライド弁体と感圧弁部材の軸方向長さをそれぞれ短くすることができ、容量制御弁をコンパクトに構成することができる。
【0011】
前記付勢手段は、前記感圧室に露出した状態で配置されていてもよい。
これによれば、付勢手段に対してスライド弁体よる貫通孔の開閉に伴う流体の圧力による影響が作用し難いため、付勢手段の応答性が良い。
【0012】
前記スライド弁体は、内周面が面一に形成されていてもよい。
これによれば、感圧弁部材に対するスライド弁体の摺動性を高めることができるとともに、スライド弁体の内周面と感圧弁部材の外周面との間の微小隙間を通って中間連通路に漏れる流体の量を少なくすることができるため、容量可変型圧縮機の運転効率をより高めることができる。
【0013】
前記スライド弁体には、前記主弁側に向く受け面が形成されていてもよい。
これによれば、スライド弁体が主弁の開放により流れる流体により作動しやすい。
【0014】
前記受け面は、前記弁体の往復移動方向に対して傾斜していてもよい。
これによれば、主弁の開放により吐出ポートから制御ポートに向かって流体が流れやすい。
【0015】
前記スライド弁体は、前記貫通孔を閉塞した状態でストローク可能に配置されていてもよい。
これによれば、スライド弁体が所定距離以上スライドするまで貫通孔は閉塞した状態であるから、振動等の外乱によってスライド弁体が僅かにスライドしても貫通孔は閉塞した状態を維持することができる。このように容量制御弁は外乱に強く制御精度に優れる。
【0016】
前記弁体と前記感圧弁部材とは別体であって、前記弁体には、前記スライド弁体の前記主弁側への移動を規制するストッパ部が形成されていてもよい。
これによれば、簡素な構造でスライド弁体のスライドを規制できる。
【0017】
前記貫通孔は、前記感圧弁部材に複数形成されていてもよい。
これによれば、広い流路断面積を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る実施例の容量制御弁が組み込まれる斜板式容量可変型圧縮機を示す概略構成図である。
【
図2】実施例の容量制御弁の非通電状態において主弁が開放され、スライド弁体により感圧弁部材の貫通孔が閉塞された様子を示す断面図である。
【
図3】実施例の容量制御弁の非通電状態において主弁が開放され、スライド弁体により感圧弁部材の貫通孔が閉塞された様子を示す
図2の拡大断面図である。
【
図4】実施例の容量制御弁の通電状態において主弁が閉塞され、スライド弁体が移動して感圧弁部材の貫通孔が開放された様子を示す拡大断面図である。
【
図5】実施例の容量制御弁の変形例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る容量制御弁を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0020】
実施例に係る容量制御弁につき、
図1から
図4を参照して説明する。以下、
図2の正面側から見て左右側を容量制御弁の左右側として説明する。詳しくは、感圧体60が配置される紙面左側を容量制御弁の左側、ソレノイド80が配置される紙面右側を容量制御弁の右側として説明する。
【0021】
本発明の容量制御弁Vは、自動車等の空調システムに用いられる容量可変型圧縮機Mに組み込まれ、冷媒である作動流体(以下、単に「流体」と表記する。)の圧力を可変制御することにより、容量可変型圧縮機Mの吐出量を制御し空調システムを目標の冷却能力となるように調整している。
【0022】
先ず、容量可変型圧縮機Mについて説明する。
図1に示されるように、容量可変型圧縮機Mは、吐出室2と、吸入室3と、制御室4と、複数のシリンダ4aと、を備えるケーシング1を有している。尚、容量可変型圧縮機Mには、制御室4と吸入室3とを直接連通する図示しない連通路が設けられており、この連通路には吸入室3と制御室4との圧力を平衡調整させるための固定オリフィスが設けられている。
【0023】
また、容量可変型圧縮機Mは、ケーシング1の外部に設置される図示しないエンジンにより回転駆動される回転軸5と、制御室4内において回転軸5に対してヒンジ機構8により傾斜可能に連結される斜板6と、斜板6に連結され各々のシリンダ4a内において往復動自在に嵌合された複数のピストン7と、を備え、電磁力により開閉駆動される容量制御弁Vを用いて、流体を吸入する吸入室3の吸入圧力Ps、ピストン7により加圧された流体を吐出する吐出室2の吐出圧力Pd、斜板6を収容した制御室4の制御圧力Pcを利用しつつ、制御室4内の圧力を適宜制御することで斜板6の傾斜角度を連続的に変化させることにより、ピストン7のストローク量を変化させて流体の吐出量を制御している。尚、説明の便宜上、
図1においては、容量可変型圧縮機Mに組み込まれる容量制御弁Vの図示を省略している。
【0024】
具体的には、制御室4内の制御圧力Pcが高圧であるほど、回転軸5に対する斜板6の傾斜角度は小さくなりピストン7のストローク量が減少するが、一定以上の圧力となると、回転軸5に対して斜板6が略垂直状態、すなわち垂直よりわずかに傾斜した状態となる。このとき、ピストン7のストローク量は最小となり、ピストン7によるシリンダ4a内の流体に対する加圧が最小となることで、吐出室2への流体の吐出量が減少し、空調システムの冷却能力は最小となる。一方で、制御室4内の制御圧力Pcが低圧であるほど、回転軸5に対する斜板6の傾斜角度は大きくなりピストン7のストローク量が増加するが、一定以下の圧力となると、回転軸5に対して斜板6が最大傾斜角度となる。このとき、ピストン7のストローク量は最大となり、ピストン7によるシリンダ4a内の流体に対する加圧が最大となることで、吐出室2への流体の吐出量が増加し、空調システムの冷却能力は最大となる。
【0025】
図2に示されるように、容量可変型圧縮機Mに組み込まれる容量制御弁Vは、ソレノイド80を構成するコイル86に通電する電流を調整し、容量制御弁Vにおける主弁50、副弁54の開閉制御を行うとともに、吸入圧力Psにより感圧弁53の開閉制御を行い、制御室4内に流入する、または制御室4から流出する流体を制御することで制御室4内の制御圧力Pcを可変制御している。
【0026】
本実施例において、主弁50は、弁体としての主副弁体51とバルブハウジング10の内周面から内径側に突出する断面視等脚台形状の環状凸部10cに形成された主弁座10aとにより構成されており、主副弁体51の軸方向左端51aが主弁座10aに接離することで、主弁50が開閉するようになっている。副弁54は、主副弁体51と固定鉄心82の開口端面、すなわち固定鉄心82の軸方向左端面に形成される副弁座82aとにより構成されており、主副弁体51の軸方向右側の段部51bが副弁座82aに接離することで、副弁54が開閉するようになっている。感圧弁53は、感圧体60のアダプタ70と感圧弁部材52の軸方向左端に形成される感圧弁座52aと構成されており、アダプタ70の軸方向右端70aは感圧弁座52aに接離することで、感圧弁53が開閉するようになっている。
【0027】
次いで、容量制御弁Vの構造について説明する。
図2に示されるように、容量制御弁Vは、金属材料または樹脂材料により形成されたバルブハウジング10と、バルブハウジング10内に軸方向に往復動自在に配置された主副弁体51、感圧弁部材52と、吸入圧力Psに応じて主副弁体51、感圧弁部材52に軸方向右方への付勢力を付与する感圧体60と、バルブハウジング10に接続され主副弁体51、感圧弁部材52に駆動力を及ぼすソレノイド80と、主弁50の開放によって生じる流体の流れにより感圧弁部材52に対して相対的に軸方向に往復動自在に設けられるスライド弁体90と、から主に構成されている。スライド弁体90は、その往復移動により吸入圧力Psとなる副弁室30と制御圧力Pcとなる感圧室40との間の流路を開閉するので、感圧弁部材52と共に制御室4の制御圧力Pcを後述する感圧弁部材52の貫通孔52dおよび中間連通路55を通して吸入室3に迅速にリリースするCS弁を構成しているともいえる。
【0028】
図2に示されるように、ソレノイド80は、軸方向左方に開放する開口部81aを有するケーシング81と、ケーシング81の開口部81aに対して軸方向左方から挿入されケーシング81の内径側に固定される略円筒形状の固定鉄心82と、固定鉄心82の内径側において軸方向に往復動自在、かつその軸方向左端部が主副弁体51と接続固定される駆動ロッド83と、駆動ロッド83の軸方向右端部に固着される可動鉄心84と、固定鉄心82と可動鉄心84との間に設けられ可動鉄心84を軸方向右方に付勢するコイルスプリング85と、固定鉄心82の外側にボビンを介して巻き付けられた励磁用のコイル86と、から主に構成されている。
【0029】
ケーシング81には、軸方向左端の内径側が軸方向右方に凹む凹部81bが形成されており、この凹部81bに対してバルブハウジング10の軸方向右端部が略密封状に挿嵌・固定されている。
【0030】
固定鉄心82は、鉄やケイ素鋼等の磁性材料である剛体から形成され、軸方向に延び駆動ロッド83が挿通される挿通孔82cが形成される円筒部82bと、円筒部82bの軸方向左端部の外周面から外径方向に延びる環状のフランジ部82dとを備え、円筒部82bの軸方向左端の内径側が軸方向右方に凹む凹部82eが形成されている。
【0031】
図2に示されるように、バルブハウジング10には、容量可変型圧縮機Mの吐出室2と連通する吐出ポートとしてのPdポート12と、容量可変型圧縮機Mの吸入室3と連通する吸入ポートとしてのPsポート13と、容量可変型圧縮機Mの制御室4と連通する制御ポートとしてのPcポート14と、が形成されている。
【0032】
バルブハウジング10は、その軸方向左端部に仕切調整部材11が略密封状に圧入されることにより有底略円筒形状を成している。尚、仕切調整部材11は、バルブハウジング10の軸方向における設置位置を調整することで、感圧体60の付勢力を調整できるようになっている。
【0033】
バルブハウジング10の内部には、Pdポート12と連通され主副弁体51の軸方向左端51a側が配置される主弁室20と、Psポート13と連通され主副弁体51の背圧側、すなわち主副弁体51の軸方向右側の段部51bが配置される副弁室30と、Pcポート14と連通され感圧弁部材52、スライド弁体90および感圧体60が配置される感圧室40と、が形成されている。
【0034】
また、バルブハウジング10の内部には、主副弁体51およびこの主副弁体51に挿嵌・固定された感圧弁部材52が軸方向に往復動自在に配置され、バルブハウジング10の内周面には、軸方向右端部に主副弁体51の外周面が略密封状態で摺接可能な小径のガイド孔10bが形成されている。さらに、バルブハウジング10の内部において、主弁室20と副弁室30は、主副弁体51の外周面とガイド孔10bの内周面により仕切られている。尚、ガイド孔10bの内周面と主副弁体51の外周面との間は、径方向に僅かに離間することにより微小な隙間が形成されており、主副弁体51は、バルブハウジング10に対して軸方向に円滑に相対移動可能となっている。
【0035】
図2に示されるように、感圧体60は、コイルスプリング62が内蔵されるベローズコア61と、ベローズコア61の軸方向右端部に設けられるアダプタ70と、から主に構成され、ベローズコア61の軸方向左端は、仕切調整部材11に固定されている。
【0036】
また、感圧体60は、感圧室40内に配置されており、コイルスプリング62とベローズコア61によりアダプタ70を軸方向右方に移動させる付勢力によりアダプタ70の軸方向右端70aを感圧弁部材52の感圧弁座52aに着座させるようになっている。また、アダプタ70は、中間連通路55における吸入圧力Psに応じて軸方向左方への力が付与されるようになっている。
【0037】
図2に示されるように、主副弁体51は、略円筒形状に構成され、その軸方向左端部には、フランジ付き円筒形状かつ側面視略砲台形状に構成される別体の感圧弁部材52が略密封状に挿嵌・固定されるとともに、その軸方向右端部には、駆動ロッド83が略密封状に挿嵌・固定されており、これらは共に軸方向に移動可能となっている。
【0038】
また、主副弁体51の外周面に形成される環状の溝のラビリンス効果により、主弁室20から副弁室30への流体の漏れを抑制することができるため、吐出室2からPdポート12を介して主弁室20に供給される吐出流体の吐出圧力Pdが維持されている。
【0039】
また、主副弁体51および感圧弁部材52の内部には、中空孔が接続されることにより軸方向に亘って貫通する中間連通路55が形成されている。尚、中間連通路55は、主副弁体51の軸方向右端部において径方向に貫通する複数の貫通孔51cを介して副弁室30と連通している。
【0040】
図2~
図4に示されるように、感圧弁部材52は、その軸方向右端部が主副弁体51と略密封状に挿嵌・固定されスライド弁体90が外嵌される円筒形状の基部52bと、基部52bの軸方向左端部の外周面から外径方向に延びアダプタ70の軸方向右端70aと接離する感圧弁座52aが形成される支持部としてのフランジ部52cと、を有するフランジ付き円筒形状かつ側面視略砲台形状に構成されている。尚、基部52bの軸方向左端部には、径方向に貫通し中間連通路55と連通する複数の貫通孔52dが設けられる。
【0041】
図2~
図4に示されるように、スライド弁体90は、感圧弁部材52の基部52bに外嵌される円筒形状の基部90aと、基部90aの軸方向略中央部の外周面から外径方向に延びるフランジ部90bと、を有するフランジ付き円筒形状に構成され、スライド弁体90の外径側に設けられる付勢手段としてのコイルスプリング91により軸方向右方へ向けて付勢されている。
【0042】
フランジ部90bの軸方向右側の側面は、主弁50が形成される軸方向右方を向き、主副弁体51およびスライド弁体90の往復移動方向に対して傾斜する受け面90cとなっている。尚、受け面90cは側面視直線状の傾斜を例に説明しているが、これに限らず、例えば側面視曲線状であってもよい。
【0043】
また、スライド弁体90は、その内側、すなわち基部90aの内周面が面一に形成されている。尚、基部90aの内周面と感圧弁部材52の基部52bの外周面との間は、径方向に僅かに離間することにより微小な隙間が形成されており、スライド弁体90は、感圧弁部材52に対して軸方向に円滑に相対移動可能となっている。
【0044】
また、スライド弁体90の軸方向右端、すなわち基部90aの軸方向右端には、スライド弁体90が軸方向右方に移動する感圧弁部材52の貫通孔52dの開放時(
図4参照)において、主副弁体51の軸方向左端の内径側に形成されるストッパ部51dと当接する端面部90dが形成されている。また、スライド弁体90の軸方向左端、すなわち基部90aの軸方向左端には、スライド弁体90が軸方向左方に移動する感圧弁部材52の貫通孔52dの閉塞時(
図2および
図3参照)において、感圧弁部材52のフランジ部52cの軸方向右側の側面52eに当接可能な端面部90eが形成されている。これにより、スライド弁体90の基部90aの軸方向左端部による感圧弁部材52の貫通孔52dの開放時および閉塞時におけるスライド弁体90の軸方向位置が決められている。
【0045】
尚、感圧弁部材52の貫通孔52dは、フランジ部52cの軸方向右側の側面52eよりも軸方向右側に形成されており、スライド弁体90の基部90aの軸方向左端に形成される端面部90eが感圧弁部材52のフランジ部52cの側面52eに当接した状態から貫通孔52dの軸方向左側の開口端の軸方向位置に移動するまでの間、スライド弁体90の基部90aの軸方向左端部が貫通孔52dに径方向に重畳し貫通孔52dが閉塞された状態が維持されるようになっている。
【0046】
図2~
図4に示されるように、コイルスプリング91の軸方向左端は、感圧弁部材52のフランジ部52cの軸方向右側の側面52eに当接し、コイルスプリング91の軸方向右端は、感圧弁部材52の基部52bに外嵌されるスライド弁体90のフランジ部90bの軸方向左側の側面90fに当接しており、スライド弁体90を主副弁体51のストッパ部51dへ向けて軸方向右方に付勢している。
【0047】
尚、コイルスプリング91は圧縮バネであり、その内周はスライド弁体90の基部90aの外周面とは径方向に僅かに離間している。尚、コイルスプリング91は、その内周がスライド弁体90の基部90aの外周面にガイドされてもよい。
【0048】
次いで、容量制御弁Vの動作、主にスライド弁体90による感圧弁部材52の貫通孔52dの開閉機構の動作について起動時、通常制御時の順に説明する。
【0049】
先ず、起動時について説明する。容量可変型圧縮機Mを使用せずに長時間放置した後には、吐出圧力Pd、制御圧力Pc、吸入圧力Psは略均衡している。尚、説明の便宜上、図示を省略するが、容量可変型圧縮機Mが停止状態で長時間放置されることにより制御室4で高圧となった流体が液化することがあるが、このとき、中間連通路55内における高い吸入圧力Psにより、感圧体60が収縮してアダプタ70の軸方向右端70aを感圧弁部材52の感圧弁座52aから離間させるように作動することにより、感圧弁53を開放させる。このように、例えば、起動時において吸入圧力Psが高い場合には、感圧弁53を開放させることにより、制御室4の液冷媒を中間連通路55を介して吸入室3に短時間で排出できるようになっている。
【0050】
容量制御弁Vは、非通電状態において、可動鉄心84がソレノイド80を構成するコイルスプリング85の付勢力や感圧体60を構成するコイルスプリング62とベローズコア61の付勢力により軸方向右方へと押圧されることで、駆動ロッド83、主副弁体51、感圧弁部材52が軸方向右方へ移動し、主副弁体51の軸方向右側の段部51bが固定鉄心82の副弁座82aに着座し副弁54が閉塞されるとともに、主副弁体51の軸方向左端51aがバルブハウジング10の内周面に形成された主弁座10aから離間し、主弁50が開放されている(
図2参照)。このとき、スライド弁体90は、軸方向左方に位置し、感圧弁部材52の貫通孔52dは閉塞されている。
【0051】
容量可変型圧縮機Mを起動するとともに容量制御弁Vを通電状態とすることで、ソレノイド80に電流が印加されることにより発生する電磁力により可動鉄心84が固定鉄心82へ向けて軸方向左側に引き寄せられ、可動鉄心84に固定された駆動ロッド83、主副弁体51、感圧弁部材52が軸方向左方へ共に移動し、感圧体60が軸方向左方に押圧されて収縮することにより、主副弁体51の軸方向右側の段部51bが副弁座82aから離間して副弁54が開放されるとともに、主副弁体51の軸方向左端51aが主弁座10aに着座し、主弁50が閉塞される(
図4参照)。このとき、スライド弁体90は、コイルスプリング91の付勢力によって確実に軸方向右方に移動し、感圧弁部材52の貫通孔52dは開放される。
【0052】
このように、起動時において、スライド弁体90が感圧弁部材52の貫通孔52dを開放しているときには、貫通孔52dを介して感圧室40は中間連通路55と連通して流体が流れるようになっている(
図4において実線矢印で図示)。すなわち、スライド弁体90が感圧弁部材52の貫通孔52dを開放させることにより、制御室4、Pcポート14、感圧室40、貫通孔52d、中間連通路55、副弁室30、Psポート13、吸入室3の順に流体を排出するための流路が形成されるため、制御室4の液化した流体を短時間で排出して起動時の応答性を高めることができる。また、スライド弁体90は、起動時において、例えば前述したように吸入圧力Psにより感圧弁53が開放しない場合であっても、感圧弁部材52の貫通孔52dを開放させることにより、制御室4から中間連通路55を介して吸入室3に流体を排出するための流路を形成することができる。
【0053】
次に、通常制御時について説明する。通常制御時においては、容量制御弁Vのデューティ制御により、主弁50の開度や開放時間を調整してPdポート12からPcポート14への流体の流量を制御している。このとき、スライド弁体90は、主弁50の開放によって生じるPdポート12からPcポート14への流体の流れ(
図3において実線矢印で図示)を受け面90cで受けることにより、スライド弁体90に軸方向左方へ移動させる力(
図3において白矢印で図示)が作用し、スライド弁体90はコイルスプリング91の付勢力に抗し軸方向左方へ移動し、基部90aの軸方向左端部により感圧弁部材52の貫通孔52dが閉塞される(
図3参照)。
【0054】
このように、通常制御時において、スライド弁体90が感圧弁部材52の貫通孔52dが閉塞しているときには、制御室4、Pcポート14、感圧室40、貫通孔52d、中間連通路55、副弁室30、Psポート13、吸入室3への流路が形成されないため、制御室4から吸入室3への冷媒流出量が減少することにより、容量可変型圧縮機Mの運転効率を高めることができる。
【0055】
また、容量可変型圧縮機Mを最大容量で駆動する場合には、容量制御弁Vを最大デューティの通電状態とすることにより、主弁50が閉塞され、スライド弁体90を軸方向右方へ移動させて感圧弁部材52の貫通孔52dを開放しPcポート14とPsポート13とを連通させることができるため、制御圧力Pcを素早く低下させることができる。そのため、制御室4のシリンダ4a内におけるピストン7を速やかに可変でき、最大容量の状態を維持して運転効率を高めることができる。
【0056】
このように、容量制御弁Vの通常制御時には、感圧弁部材52の貫通孔52dを閉塞し、起動時および最大容量運転時には、感圧弁部材52の貫通孔52dを開放するようにスライド弁体90を移動させることにより、容量可変型圧縮機Mの運転効率を高めることができる。
【0057】
また、コイルスプリング91は、スライド弁体90のフランジ部90bの軸方向左側の側面90fと、感圧弁部材52の貫通孔52dよりも先端側、すなわち軸方向左側に形成されるフランジ部52cの軸方向右側の側面52eとの間に配置されており、コイルスプリング91と感圧弁部材52の貫通孔52dを径方向に重なる位置に配置できるため、スライド弁体90と感圧弁部材52の軸方向長さをそれぞれ短くすることができ、容量制御弁Vをコンパクトに構成することができる。
【0058】
具体的には、例えば、
図5に示される容量制御弁Vの変形例のように、スライド弁体190のフランジ部190bにおける軸方向長さと、感圧弁部材152の貫通孔152dよりも軸方向右側の基部152bにおける軸方向長さをそれぞれ前記実施例よりも短くすることができ、これに伴いバルブハウジング110の軸方向長さを短くすることができるため、容量制御弁Vをコンパクトに構成することができる。
【0059】
また、コイルスプリング91は、感圧室40に露出した状態で配置されており、コイルスプリング91に対してスライド弁体90の往復移動による感圧弁部材52の貫通孔52dの開閉に伴う流体の圧力による影響が作用し難いため、コイルスプリング91の応答性が良い。
【0060】
また、スライド弁体90は、内周面が面一に形成されており、詳しくは、内径が軸方向に亘って一定の円筒状に形成されており、感圧弁部材52の基部52bの外周面に対して軸方向に長い範囲で摺動することにより、感圧弁部材52に対するスライド弁体90の摺動性を高めることができる。さらに、スライド弁体90の内周面と感圧弁部材52の基部52bの外周面との間の微小隙間の径方向寸法が略一定に形成されることにより、該微小隙間を通って中間連通路55に僅かに漏れる流体の量をより少なくすることができるため、容量可変型圧縮機Mの運転効率をより高めることができる。
【0061】
また、スライド弁体90は、内周面が面一に形成されることにより、スライド弁体90の内周面と感圧弁部材52の基部52bの外周面との間の微小隙間に進入した流体の圧力が軸方向に作用することがないため、微小隙間と感圧室40との間に差圧が生じる場合であっても、差圧の影響を抑制してスライド弁体90の動作をスムーズにすることができる。
【0062】
また、スライド弁体90の外周面が感圧弁部材52の基部52bの外周面と軸方向に亘って摺動可能であるため、軸方向に長い微小隙間を通って中間連通路55に僅かに漏れる流体の動きを安定させることができ、特にコイルスプリング91の付勢力によるスライド弁体90による貫通孔52dの開放動作に影響を与え難い。
【0063】
また、感圧弁部材52の貫通孔52dは、径方向の厚みが薄い基部52bを軸方向に貫通するように形成されることにより、貫通孔52dの径方向長さが短くなるため、感圧室40から貫通孔52dを通して中間連通路55に流体が流入しやすくなり、容量可変型圧縮機Mの応答性を高めることができる。
【0064】
また、スライド弁体90の受け面90cは、主弁50が形成される軸方向右方を向いているため、容量制御弁Vの非通電状態において、主弁50の開放により生じるPdポート12からPcポート14への流体の流れを受けてスライド弁体90に軸方向左方へ移動させる力が作用しやすくなっており、スライド弁体90が作動しやすい。
【0065】
また、スライド弁体90の受け面90cは、主副弁体51およびスライド弁体90の往復移動方向に対して傾斜しているため、容量制御弁Vの非通電状態において、主弁50の開放によりPdポート12からPcポート14への流体の流れを生じさせやすい。
【0066】
さらに、バルブハウジング10内において、スライド弁体90は、基部90aの軸方向右端部およびフランジ部90bの軸方向右側の受け面90cにより構成される外周面が、主弁50を構成する主弁座10aが形成される環状凸部10cの内周面に沿って近接するように配置されることにより、主弁室20と感圧室40との間に比較的幅狭の流路が形成されるため、主弁50の開放によりPdポート12からPcポート14への流体の流れをより生じさせやすい。
【0067】
また、スライド弁体90の受け面90cの背面側、すなわちフランジ部90bの軸方向左側には、スライド弁体90を軸方向右方に向けて付勢するコイルスプリング91が配置されているため、簡素な構造でスライド弁体90を軸方向に往復移動させることができる。
【0068】
また、スライド弁体90は、感圧弁部材52のフランジ部52cの側面52eに軸方向左側の端面部90eを当接させた状態から軸方向右方に所定距離以上スライドするまで基部90aの軸方向左端部により感圧弁部材52の貫通孔52dが閉塞された状態を維持することができるため、振動等の外乱によってスライド弁体90が僅かにスライドしても感圧弁部材52の貫通孔52dが閉塞された状態に維持される。そのため、容量制御弁Vは、外乱に強く、制御精度に優れる。
【0069】
また、主副弁体51と感圧弁部材52とは別体であって、主副弁体51には、スライド弁体90の軸方向右側への移動を規制するストッパ部51dが形成されているため、簡素な構造でスライド弁体90の軸方向の移動を規制することができる。
【0070】
また、感圧弁部材52の貫通孔52dは、複数形成されているため、Pcポート14から吸入室3へ流体を排出するための流路断面積を広く確保することができる。また、複数の貫通孔52dは周方向に等配されているため、スライド弁体90のストロークを短くすることができる。
【0071】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0072】
例えば、前記実施例では、スライド弁体は、感圧弁部材に対して相対的に軸方向に往復動するものとして説明したが、これに限らず、例えば感圧弁部材に対して回転摺動しながら相対的に軸方向に往復動するものであってもよい。
【0073】
また、前記実施例では、主副弁体と感圧弁部材とを別体で構成する例について説明したが、両者は一体に形成されていてもよい。
【0074】
また、スライド弁体の受け面は、主副弁体およびスライド弁体の往復移動方向に対して直交するように形成されていてもよい。
【0075】
また、スライド弁体は、内周面が面一に形成されていなくてもよい。
【0076】
また、スライド弁体は、アダプタ70により往復移動をガイドされてもよい。
【0077】
また、スライド弁体は、基部とフランジ部とが別体に形成されていてもよい。
【0078】
また、感圧弁部材は、基部と支持部としてのフランジ部とが別体に形成されていてもよい。
【0079】
また、容量可変型圧縮機Mの制御室4と吸入室3とを直接連通する連通路および固定オリフィスは設けなくてもよい。
【0080】
また、副弁54は設けなくともよく、主副弁体51の軸方向右側の段部51bは、軸方向の荷重を受ける支持部材として機能すればよく、必ずしも密閉機能は必要ではない。
【0081】
また、感圧室40はソレノイド80が設けられる主弁室20の軸方向右側に設けられるとともに副弁室30は主弁室20の軸方向左側に設けられていてもよい。
【0082】
また、コイルスプリング91は、圧縮バネに限らず、引張バネでもよく、コイル形状以外のバネであってもよい。
【0083】
また、コイルスプリング91は、感圧室40に面していなくてもよい。
【0084】
また、感圧体60は、内部にコイルスプリングを使用しないものであってもよい。
【0085】
また、容量制御弁Vのデューティ制御により、主弁50の開度や開放時間を調整してPdポート12からPcポート14への流体の流量を制御してスライド弁体90の軸方向左方への移動量を調整し、スライド弁体90の基部90aの軸方向左端部によって感圧弁部材52の貫通孔52dの開度調整を行うようにしてもよい。これによれば、Pcポート14からPsポート13へ流れる流体の流量を調整することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 ケーシング
2 吐出室
3 吸入室
4 制御室
10 バルブハウジング
10a 主弁座
10c 環状凸部
11 仕切調整部材
12 Pdポート(吐出ポート)
13 Psポート(吸入ポート)
14 Pcポート(制御ポート)
20 主弁室
30 副弁室
40 感圧室
50 主弁
51 主副弁体(弁体)
51c 貫通孔
51d ストッパ部
52 感圧弁部材
52a 感圧弁座
52b 基部
52c フランジ部(支持部)
52d 貫通孔
52e 側面
53 感圧弁
54 副弁
55 中間連通路
60 感圧体
70 アダプタ
70a 軸方向右端
80 ソレノイド
90 スライド弁体
90a 基部
90b フランジ部
90c 受け面
90d 端面部
90e 端面部
90f 側面
91 コイルスプリング(付勢手段)
110 バルブハウジング
152 感圧弁部材
152b 基部
152d 貫通孔
190 スライド弁体
190b フランジ部
M 容量可変型圧縮機
V 容量制御弁