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特許7504998セメント質ボードを製造するための方法、セメント質ボードを製造するための装置、およびセメント質ボード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】セメント質ボードを製造するための方法、セメント質ボードを製造するための装置、およびセメント質ボード
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20240617BHJP
   B32B 13/08 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B28B1/30 101
B32B13/08
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022529335
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2019000337
(87)【国際公開番号】W WO2021121533
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】519434400
【氏名又は名称】クナウフ ギプス コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】スタージオス カラコウシス
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ハルトマン
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルギ パラスコフ
(72)【発明者】
【氏名】カルロ クナウフ
(72)【発明者】
【氏名】アントン ペーター
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-074646(JP,A)
【文献】特開2002-138596(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0091811(US,A1)
【文献】特開2019-147387(JP,A)
【文献】特開2002-192682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 1/30-1/42
C04B 28/00-28/36
B32B 1/00-43/00
E04C 2/04-2/06
E04C 2/26-2/296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント質ボード(1)を製造するための方法であって、
-第1の重複区分(5)を有する第1のライナ(2)が、提供され、かつセメント質材料(3)を含む少なくとも1つのスラリーの少なくとも1つの層が備え付けられ、
-第2の重複区分(8)を有する第2のライナ(4)が、提供され、かつ前記第1のライナ(2)の前記第1の重複区分(5)と接触するように配置され、前記少なくとも1つのスラリー(3)の前記少なくとも1つの層が、前記第1のライナ(2)と前記第2のライナ(4)との間に配置され、
-接着剤発泡体(6)が、前記第1の重複区分(5)または第2の重複区分(8)のうちの少なくとも1つ上に少なくとも部分的に提供され、
-前記第1のライナ(2)および前記第2のライナ(4)が、前記重複区分(5、8)において前記接着剤発泡体(6)を介して結合される、方法。
【請求項2】
前記接着剤発泡体(6)が、前記重複区分(5、8)に、前記重複区分(5、8)の幅の50%超に対応する幅で提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接着剤発泡体(6)が、2つの別個の重複区分(51、52、81、82)上に提供される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
接着剤を発泡させることによって、接着剤の密度を2~15倍低減させることにより、前記接着剤発泡体(6)を生成する工程をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
接着剤を発泡させることによって、接着剤の密度を5~10倍低減させることにより、前記接着剤発泡体(6)を生成する工程をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記接着剤発泡体(6)が、50g/l~800g/lの範囲内の密度において提供される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記接着剤発泡体(6)が、5g/m以下の量で、前記重複区分(5、8)に提供される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記接着剤発泡体(6)が、2g/m以下の量で、前記重複区分(5、8)に提供される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記接着剤発泡体が、個別の要素として、前記重複区分(5、8)内に提供される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記個別の要素が、スポット、ストライプの形態で、ジグザグパターン、グリッドパターン、および十字形状パターンのグループから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記接着剤発泡体(6)が、20mm~30mmの幅で前記重複区分(5、8)内に提供される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記重複区分(5、8)において前記接着剤発泡体(6)を分配する工程をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記接着剤発泡体(6)を分配する前記工程が、ローラ(63)によって実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
セメント質ボード(1)を製造するための装置(10)であって、
-輸送方向において第1の重複区分(5、8)を有する第1のライナ(2)を搬送するための搬送デバイス(11)と、
-セメント質材料(3)を含む少なくとも1つのスラリーの少なくとも1つの層を、前記第1のライナ(2)上に適用するための少なくとも1つのスラリー供給デバイス(7)と、
-前記第1のライナ(2)の前記第1の重複区分(5)と接触するように第2の重複区分(8)を有する第2のライナ(4)を提供および配置するためのライナ供給デバイス(41)であって、前記少なくとも1つのスラリー(3)の前記少なくとも1つの層が、前記第1のライナ(2)と前記第2のライナ(4)との間に配置されている、ライナ供給デバイス(41)と、
-前記第1の重複区分(5)または前記第2の重複区分(8)のうちの少なくとも1つの上に接着剤発泡体(6)を提供するための接着剤発泡体供給機(61、62)と、
-前記第1のライナおよび前記第2のライナを結合させるための手段と、を含む、装置(10)。
【請求項15】
前記接着剤発泡体供給機(61、62)が、接着剤の発泡体を生成することが可能な接着剤発泡ステーション(61)を備える、請求項14に記載の装置(10)。
【請求項16】
前記接着剤発泡体供給機(61、62)が、ポリマー接着剤の発泡体を生成することが可能な接着剤発泡ステーション(61)を備える、請求項14に記載の装置(10)。
【請求項17】
前記接着剤発泡体供給機(61、62)が、酢酸ビニルを含むポリマー接着剤の発泡体を生成することが可能な接着剤発泡ステーション(61)を備える、請求項14に記載の装置(10)。
【請求項18】
前記接着剤発泡ステーション(61)が、前記接着剤の密度を2~15倍低減させ、接着剤の発泡体を生成することが可能である、請求項15~17のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項19】
前記接着剤発泡ステーション(61)が、前記接着剤の密度を5~10倍低減させ、接着剤の発泡体を生成することが可能である、請求項15~17のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項20】
前記接着剤発泡体供給機(61、62)が、適用された前記接着剤発泡体(6)の分配のためのローラ(63)を備える、請求項1419のいずれか一項に記載の装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれの独立した特許請求の範囲に従って、セメント質ボードを製造するための方法、セメント質ボードを製造するための装置、およびセメント質ボードに関する。
【0002】
技術分野は、セメント質ボードの製造、例えば、石膏建築用ボードの製造に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の方法では、セメント質材料、水、および添加剤を含むスラリーは、2つのライナ、例えば、ボール紙または繊維マットライナの層の間に塗布され、形成バーによって適切な形状および厚さに成形される。典型的に、板紙ライナは、100g/m2~200g/m2の密度を有する。好ましくは、ライナは、セルロースを含み得る。製造ラインでは、典型的に、下部ライナが、完成したセメント質ボードの可視側を構成し、一方で上部ライナが、完成したセメント質ボードの裏側を構成する。まず、スラリーは、下部ライナに適用され、かつ分配される。
【0004】
ポリマーPVAC(ポリ酢酸ビニル)接着剤は、下部ライナを上部ライナに結合するために使用される。好ましくは、この接着剤は、接着剤のレーンが重複区分でのみ配置されるような方法で、上部ライナ上に分配される。2つのライナが所定の重複区分で接触するように互いの頂部上に配置され、形成ステーションを通過した後、ライナは、典型的に、5~30秒後に結合する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当技術分野では、接着剤は、投与ホースを介してライナに薄い痕跡として分注され、その後、塗布手段を用いて対応する幅にわたって塗布される。この従来の方法では、接着剤の消費量は、片側1リニアメートル当たり約2~5グラムである。ライナの接着性を改善し、ならびに使用される接着剤の量を低減させることは、常に懸念事項である。
【0006】
以下の問題:接着剤が、従来の適用方法で低減される場合、重複区分にわたって不規則に塗布されやすくなり、接着剤のない領域をもたらし、空気の混入が存在するか、または不適切な接着性が存在するように見えること、が発生し得る。さらに、接着剤の量が低減されると、接着剤効果が低減される。これにより、石膏ボードまたはセメント質ボードの縁部が、十分な品質で形成することができなくなるという悪影響をもたらし得る。最先端技術では、ライナ、特にボール紙ライナは、多くの場合、重複区分内のセメント質コアに適切に接着しない。乾燥プロセス中、重複区分内の2層のライナに加えて、相対的に大量の接着剤が、ライナを通る蒸気拡散速度を低下させる。このことが、重複区分において低減されたライナの接着性をもたらし、最終的に不完全な製品につながる。
【0007】
先行技術で知られている問題を克服するか、または少なくとも低減させるために、本発明は、それぞれの独立した特許請求の範囲に従って、セメント質ボードを製造するための方法、セメント質ボードを製造するための装置、およびセメント質ボードを提供する。有利な態様は、独立した特許請求の範囲の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、セメント質ボードを製造するための方法を含み、
-第1の重複区分を有する第1のライナが、提供され、かつセメント質材料を含む少なくとも1つのスラリーの少なくとも1つの層が備え付けられ、
-第2の重複区分を有する第2のライナが、提供され、かつ第1のライナの第1の重複区分と接触するように配置され、少なくとも1つのスラリーの少なくとも1つの層が、第1のライナと第2のライナとの間に配置され、
-接着剤発泡体が、第1または第2の重複区分のうちの少なくとも1つ上に少なくとも部分的に提供され、
-第1のライナおよび第2のライナが、重複区分において接着剤発泡体を介して結合される。
【0009】
接着剤発泡体の使用は、接着剤の総量を低減させることを可能にし、一方でセメント質ボードは、すなわち、空気の混入または不適切な接着性による欠陥に関して、十分な品質で形成することができる。セメント質材料は、例えば、セメントまたはスタッコなど、化学的に設定することができる。好ましくは、セメント質材料は、硫酸カルシウム材料である。セメント質ボードは、少なくとも50%w/wのセメント質材料を含む。特に、セメント質ボードは、石膏ボードまたはセメントボードであり得る。重複区分における蒸気拡散速度は、ライナが同じであるが非発泡接着剤で結合される、同じセメント質ボードと比較して、少なくとも10%高い。
【0010】
好ましい態様では、接着剤発泡体は、この重複区分の50%超の幅に対応する幅で、重複区分内に提供される。接着剤発泡体は、重複区分の幅の50%超に対応する幅の単一のストリップとして提供され得る。代替的に、接着剤発泡体は、各々が重複区分の幅の50%よりも小さい幅の複数のストリップの形態で提供され得、これらの幅の合計は、重複区分の幅の50%超に対応する。
【0011】
別の好ましい態様によれば、接着剤発泡体は、2つの別個の重複区分上に提供される。2つの別個の重複区分は、第1のライナおよび/または第2のライナの2つの両縁部区分上に配置することができる。
【0012】
有利な態様によれば、本方法は、接着剤を発泡させることによって、接着剤の密度を2~15倍、好ましくは5~10倍低減させることにより、接着剤発泡体を生成する工程をさらに含む。接着剤発泡体は、接着剤発泡ステーションにおいて物理的または化学的手段によって作成することができる。好ましくは、接着剤発泡体は、ガスが撹拌によって添加/組み込まれる機械的発泡によって製造される。好ましくは、ガス供給は、調節可能である。使用されるガスは、周囲空気、窒素、希ガス、二酸化炭素、炭化水素、またはこれらの組み合わせであり得る。好ましくは、ガス供給は、周囲空気を含む。さらに、ガス供給または撹拌強度を調整することにより、発泡の程度は、制御することができる。
【0013】
別の有利な開発によれば、接着剤発泡体を生成する工程は、35℃を下回る、好ましくは30℃を下回る温度で実施される。高温では、接着剤粒子が、凝集し、発泡体発生器の適切な機能を妨げる可能性がある。
【0014】
好ましくは、接着剤発泡体は、50g/l~800g/lの範囲内の密度において提供される。接着剤発泡体が、70g/l~600g/lの範囲内、さらにより好ましくは、70g/l~400g/lの範囲内、および最も好ましくは、70g/l~150g/lの範囲内の密度で提供されるときに特に好ましい。
【0015】
さらに、接着剤発泡体が、重複区分内に、5g/m重複区分以下の量で、特に2g/m重複区分以下の量で提供されるときに、好ましい。
【0016】
特に有利な態様によれば、接着剤発泡体は、個別の要素として、好ましくは、例えば、スポット、ストライプの形態で、ジグザグパターン、グリッドパターン、または十字形状パターンで、重複区分内に提供される。好ましくは、個別の要素は、重複区分の表面全体を覆わない。
【0017】
別の有利な態様によれば、接着剤発泡体は、20mm~30mmの幅で、重複区分内に提供される。
【0018】
本方法は、接着剤発泡体を重複区分内に分配させる工程をさらに含むことが好ましい。接着剤発泡体は、重複区分内に均一または不均一に分配することができる。
【0019】
別の有利な技術的態様によれば、接着剤発泡体を分配する工程は、ローラによって実施される。
【0020】
本発明の別の態様は、セメント質ボードを製造するための装置に関し、
-輸送方向において第1の重複区分を有する第1のライナを搬送するための搬送デバイスと、
-セメント質材料を含む少なくとも1つのスラリーの少なくとも1つの層を、第1のライナ上に適用するための少なくとも1つのスラリー供給デバイスと、
-第1のライナの第1の重複区分と接触するように第2の重複区分を備える第2のライナを提供および配置するためのライナ供給デバイスであって、少なくとも1つのスラリーの少なくとも1つの層が、第1のライナと第2のライナとの間に配置される、ライナ供給デバイスと、
-第1の重複区分または第2の重複区分のうちの少なくとも1つ上に接着剤発泡体を提供するための接着剤発泡体供給機と、
-第1のライナおよび第2のライナを結合させるための手段と、を含む。
【0021】
かかる装置を提供することにより、本発明は、接着剤の総量を低減させることを可能にし、一方で、セメント質ボードは、空気混入に関連する欠陥またはセメント質コアへのライナの不十分な接着性に関して、良好な品質で形成することができる。
【0022】
接着剤発泡体供給機はまた、接着剤、好ましくはポリマー接着剤、より好ましくは酢酸ビニル(例えば、PVAC=酢酸ビニルの(ホモ)ポリマー、またはEVAC=エチレンおよび酢酸ビニルのコポリマー)を含むポリマー接着剤の発泡体を生成することが可能な接着剤発泡ステーションを含み得る。接着剤発泡ステーションは、発泡体の温度を、好ましくは35℃を下回る温度に、より好ましくは30℃を下回る温度に調整するための冷却ユニットを備えることができる。概して、空気乾燥または硬化性接着剤もまた、使用することができる。
【0023】
接着剤発泡ステーションが、接着剤発泡体を生成するために、接着剤の密度を2~15倍、好ましくは5~10倍低減させることが好ましい。これは、50%~97%、好ましくは80%~90%の接着剤密度の低減に相当する。例えば、接着剤発泡ステーションは、調節可能なガス供給を含むことができる。使用されるガスは、周囲空気、窒素、希ガス、二酸化炭素、炭化水素、またはこれらの組み合わせであり得る。好ましくは、周囲空気が、使用される。さらに、発泡の程度は、ガス供給または撹拌強度を調整することによって、接着剤発泡ステーション内で制御することができる。
【0024】
別の好ましい開発では、接着剤発泡体供給機は、適用された接着剤発泡体の分配のためのローラを備える。本発明の別の態様は、セメント質材料から作製されたコアを含み、平面の第1の面および平面の第2の面を有し、第1の面上にライナおよび第2の面上にライナを含むセメント質ボードに関し、ライナが重複区分内の接着剤発泡体によって結合されており、重複区分における蒸気拡散速度は、ライナが同じであるが非発泡接着剤により結合される、同じセメント質ボードと比較して少なくとも10%高い。好ましくは、ライナは、セルロース材料、より好ましくは紙材料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下の図面では、本発明は、例示的な実施形態の文脈において例解される。
図1】セメント質ボードの第1の例示的な実施形態の断面を示す。
図2】セメント質ボードの第2の例示的な実施形態の断面を示す。
図3】セメント質ボードの上面図を示す。
図4】セメント質ボードを製造するための装置の概略例解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1および図2は、セメント質ボード1の第1および第2の例示的な実施形態の側面図を示しており、これらは両方とも、特定の必要性のために異なって形成された縁部区分を有する。
【0027】
本実施例では、セメント質ボード1は、第1の重複区分81、82を有する、第1の紙ライナ2を備える石膏ボードである。第2の重複区分51、52を有する第2の紙ライナ4は、第1のライナ2の第1の重複区分81、82に接触するように配置される。
【0028】
セメント質、この場合は硫酸カルシウム材料3を含むスラリーの1つの層が、第1のライナ2と第2のライナ4との間に配置される。別個の重複区分51、52、81、82は、それぞれ、第1のライナ2および第2のライナ4の2つの両縁部区分上に配置される。
【0029】
第1のライナ2および第2のライナ4は、重複区分51、52、81、82において接着剤発泡体6によって結合される。発泡接着剤の使用は、接着剤の総量を低減させ、一方でセメント質ボードは、不要な空気の混入またはライナのコアへの不十分な接着性に関して、良好な品質で形成することができる。発泡接着剤は、それが適用される表面全体を封止しないため、(水)蒸気拡散速度は、重複区分の表面全体にわたる接着剤適用と比較して向上する。これは、セメント質ボードの乾燥中に、水蒸気の形態で過剰な水が、ライナ材料を通ってボードから出なければならないため、特に有利である。
【0030】
図3は、図1または図2のセメント質ボード1の上面図を示す。
【0031】
第1のライナ2および第2のライナ4は、セメント質ボード1の両縁部に沿って配置された、重複区分51、52、81、82において接着剤発泡体(図1の参照番号6を参照)によって結合される。
【0032】
セメント質ボード1の例解された実施例の製造中に、接着剤発泡体は、重複区分の幅の50%超(例えば、70%~100%)に対応する幅において2つの平行な別個の重複区分51、52、81、82上に提供される。
【0033】
接着剤発泡体は、50g/l~800g/lの密度を有する。接着剤発泡体が、70g/l~600g/l、さらにより好ましくは70g/l~400g/l、および最も好ましくは70g/l~150g/lの密度を有するときに特に好ましい。
【0034】
接着剤発泡体は、各個々の重複区分のランニングメートル当たり2g/m以下の量で、重複区分51、52、81、82において提供され、これはこの重複区分51、52、81、82の幅の50%超に対応する。
【0035】
この例によれば、接着剤発泡体は、各々の幅が重複区分51、52、81、82の幅の50%よりも小さい、複数のストリップの形態で提供され、これらの幅の合計は、重複区分51、52、81、82の幅の50%超に対応する。
【0036】
示される例では、接着剤発泡体は、製造中に、20mm~30mmの幅で、重複区分51、52、81、82に提供される。
【0037】
図4は、例えば、図1図2、および図3に示されるようなセメント質ボード1を製造するための装置10の概略図を示す。
【0038】
装置10は、輸送方向に沿って第1の重複区分(例えば、図1の81、82を参照)を備えた第1のライナ2を搬送することが可能な搬送デバイス11を備える。
【0039】
セメント質材料3を有するスラリーは、スラリーを混合し、セメント質材料3を含むスラリーの層を第1のライナ上に適用することが可能な、スラリー供給デバイス7(この例では、ミキサおよびホースを備える)を介して、第1のライナ2上に配設/堆積される。
【0040】
装置10は、少なくとも1つのスラリー層の頂部上に第2のライナ4を提供することが可能なライナ供給デバイス41を有する。第2のライナ4は、第2の重複区分(例えば、図1の51、52を参照)が、第1のライナ2の第1の重複区分81、82と接触するように配置される。セメント質ボード1の製造プロセス中、スラリー3は、第1のライナ2と第2のライナ4との間に配置される。本発明の別の実施形態によれば、スラリーのいくつかの層は、例えば、2つまたは3つ以上のスラリー層をライナの間に適用することができる。
【0041】
装置10は、上記で挙げられた利点を実現するために、接着剤発泡体6を使用することによってセメント質ボード1を製造することが可能である。
【0042】
装置は、非発泡接着剤に剪断力を適用することが可能な発泡体生成手段61(例えば、毎分最大2150回転が可能な発泡体発生器)を備える接着剤発泡体供給機を有し、それにより、接着剤を発泡させる。発泡体供給機は、第2のライナ4の第1または第2の重複区分上に接着剤発泡体6を提供するための発泡体輸送管62をさらに備える。
【0043】
非発泡接着剤は、容器611から発泡体生成手段61に送達される。示される実施例では、接着剤6の密度は、2~15倍、好ましくは5~10倍であり、容器611内の接着剤の密度よりも低い。発泡体生成手段61は、接着剤発泡体6を生成する工程中、35℃を下回る、好ましくは30℃を下回る温度を提供するための加熱または冷却手段を備え得る。
【0044】
装置10は、接着剤発泡体6を分配するためのローラ63をさらに備える。好ましくは、接着剤発泡体6は、個別の要素として、好ましくは、スポット、ストライプの形態で、ジグザグパターン、グリッドパターン、または十字形状パターンで、重複区分内に提供される。
【0045】
装置10の使用により製造されたセメント質ボード1は、第1の面上に紙ライナ、第2の面上に紙ライナを備える、平面の第1の面および平面の第2の面を有するセメント質コアを有する。
【0046】
接着剤発泡体により結合された紙ライナの重複区分は、ライナが同じであるが非発泡接着剤で結合される、同じセメント質ボードの蒸気拡散速度よりも少なくとも10%高い蒸気拡散速度を有する。
図1
図2
図3
図4