(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】重積載車両
(51)【国際特許分類】
B60D 1/48 20060101AFI20240617BHJP
B62D 21/04 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B60D1/48
B62D21/04
(21)【出願番号】P 2022544187
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2020055881
(87)【国際公開番号】W WO2021175429
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】515090422
【氏名又は名称】ゴルトホーファー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Goldhofer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Donaustrasse 95, D-87700 Memmingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ホルスト ヘーフェレ
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0148362(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00107746(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0257361(US,A1)
【文献】特開2010-149722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60D 1/48
B62D 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重積載車両(100)であって、少なくとも2つの部分車両、すなわち
・最前部の部分車両(102)であって、前記重積載車両の部分ではない牽引車両に、前記重積載車両(100)を接続するための牽引接続装置(106)を含
み、前記最前部の部分車両(102)の前記牽引接続装置(106)は、グースネックまたはドローバーを含む、最前部の部分車両(102)と、
・最後部の部分車両(104)と
、
を有していて、
前記最前部の部分車両(102)は接続手段(118)を有しており、前記最後部の部分車両(104)は対応接続手段(128)を有しており、前記対応接続手段は、前記最前部の部分車両(102)と前記最後部の部分車両(104)とを相互に作動的に接続するために、前記接続手段(118)と協働するように適合されかつ構成されており、前記接続手段(118)および前記対応接続手段のうちの一方が、中空の外側テレスコピック部材(118d)内に入れ子式にガイドされる内側テレスコピック部材(118c)を有している、重積載車両(100)において、
前記中空の外側テレスコピック部材(118d)は、前記部分車両のうちの一方の部分車両(102)の部分車両フレーム(112)の管状または箱形の中央部分によって一体に形成されていて、前記中空の外側テレスコピック部材(118d)と、これと協働する前記内
側テレスコピック部材(118c)とは、同じ部分車両(102)の部分であ
り、
直接連続している2つの部分車両のうちの第1の部分車両(102)の内側テレスコピック部材(118c)の自由端部には、ボルト・プレートカップリングの第1のプレート部分(118a)が取り付けられており、前記直接連続している2つの部分車両のうちの第2の部分車両(104)の対向する端部には、前記ボルト・プレートカップリングのボルトを介して前記第1のプレート部分(118a)と協働するように設計された第2のプレート部分(128a)が取り付けられている、
重積載車両(100)。
【請求項2】
前記内側テレスコピック部材(118c)は、前記外側テレスコピック部材(118d)の長さ以下の長さを有している、請求項1記載の重積載車両。
【請求項3】
前記最後部の部分車両(204)の後端に取り付け可能な車両端部ユニット(230)をさらに有している、請求項1または2記載の重積載車両。
【請求項4】
少なくとも3種の部分車両、すなわち前記最前部の部分車両(202)、前記最後部の部分車両(204)、および少なくとも1つの中間部分車両(232)を含んでおり、
前記少なくとも1つの中間部分車両(232)は、中空の外側テレスコピック部材と、前記外側テレスコピック部材内に入れ子式にガイドされる内側テレスコピック部材とを有しており、前記中空の外側テレスコピック部材は、前記中間部分車両(232)のうちの少なくとも1つの部分車両の部分車両フレームの管状または箱形の中央部分によって一体に形成されていて、前記中空の外側テレスコピック部材と、これと協働する前記内側のテレスコピック部材とは、同じ中間部分車両(232)の部分である、
請求項1から3までのいずれか1項記載の重積載車両。
【請求項5】
前記内側テレスコピック部材(118c)は、協働する前記中空の外側テレスコピック部材(118d)から外へ、各部分車両(102)の後側に向かって延在するように適合されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の重積載車両。
【請求項6】
前記内側テレスコピック部材は、協働する前記中空の外側テレスコピック部材から外へ、各部分車両の前側に向かって延在するように適合されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の重積載車両。
【請求項7】
中間テレスコピック部材(118e)が、前記内側テレスコピック部材(118c)と前記中空の外側テレスコピック部材(118d)との間に入れ子式に挟まれている、請求項1から5までのいずれか1項記載の重積載車両。
【請求項8】
前記外側テレスコピック部材(118d)および前記内側テレスコピック部材(118c)、および任意選択的に
、少なくとも1つの
前記中間テレスコピック部材(118e)は、矩形の断面を有する、請求
項7記載の重積載車両。
【請求項9】
前記直接連続している2つの部分車両のうち前記第1の部分車両(102)の前記内側テレスコピック部材(118c)の前記自由端部には、前記第1のプレート部分(118a)が溶接されており、前記直接連続している2つの部分車両のうち前記第2の部分車両(104)の前記部分車両フレーム(122)の対向する端部には、前記第2のプレート部分(128a)が溶接されている、請求項
1から8までのいずれか1項記載の重積載車両。
【請求項10】
前記部分車両(102,104)のうちの少なくとも2つは
、少なくとも1つの車軸(114a,114b,114c,124a,124b,124c)
を含む、請求項1から
9までのいずれか1項記載の重積載車両。
【請求項11】
少なくとも1つの車軸(114a,114b,114c,124a,124b,124c)は、2つの車軸ユニット(116L,116R)
を含む、請求項
10記載の重積載車両。
【請求項12】
少なくとも1つの長積載物保持ユニット(564,565)またはドロップデッキ(668)をさらに含む、請求項1から
11までのいずれか1項記載の重積載車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重積載車両であって、少なくとも2つの部分車両、すなわち最前部の部分車両であって、重積載車両の部分ではない牽引車両に、前記重積載車両を接続するための牽引接続装置を含む、または牽引接続装置に接続される最前部の部分車両と、最後部の部分車両とを有しており、前記最前部の部分車両は接続手段を有していて、前記最後部の部分車両は、対応接続手段を有しており、この対応接続手段は、前記最前部の部分車両と前記最後部の部分車両とを相互に作動的に接続するために、前記接続手段と協働するように適合されかつ構成されており、前記接続手段および前記対応接続手段のうちの一方が、中空の外側テレスコピック部材内に入れ子式にガイドされる内側テレスコピック部材を有している、重積載車両に関する。
【0002】
本発明の文脈において、重積載車両とは、許容総重量が少なくとも30tである車両を意味することに留意されたい。
【0003】
米国特許出願公開第2016/0137238号明細書には、3つの部分車両を含むセミトレーラーとして設計された重積載車両が開示されている。最前部の部分車両は、牽引接続装置としての第五輪を含むグースネックを有している。さらに、最前部の部分車両の部分車両フレームの中央部分は、この部分車両の後側に向かって開いた管または箱として形成されている。部分車両フレームの管状または箱形の中央部分は、中空の外側テレスコピック部材として機能し、中央の部分車両の部分車両フレームの前側に一体的に形成されかつそこから堅固に突出する内側テレスコピック部材を入れ子式に収容することが意図されている。最後に、中央の部分車両の部分車両フレームの内側テレスコピック部材と中央部分とが、中央の部分車両の後側に向かって開放された管または箱として形成される。このようにして、これらは、最後部の部分車両の部分車両フレームの前側に一体的に形成されかつそこから堅固に突出する別の内側テレスコピック部材のための別の中空の外側テレスコピック部材として機能する。
【0004】
このような構造に基づき、米国特許出願公開第2016/0137238号明細書により公知の重積載車両は、3つの部分車両がすべて互いに直ぐ近くに配置されていて、内側のテレスコピック部材が、先行する部分車両のそれぞれの中空の外側テレスコピック部材内に完全に挿入されている最短の構成と、内側テレスコピック部材が、それぞれ中空の外側テレスコピック部材から最大限まで引き出される最長の構成との間で延在することができる。このようにして、重積載車両を、輸送開始位置から輸送終了位置まで搬送すべき様々な長さの積載物に適合させることができる。しかしながら、特に中央の部分車両および後方の部分車両およびこれらの部分車両から突出する内側テレスコピック部材の各長さにより、重積載車両を駐車場から輸送開始位置へと搬送し、輸送終了位置から駐車場へと戻すことは極めて複雑かつコストがかかる。このような関係で、米国特許出願公開第2016/0137238号明細書により公知の重積載車両の各部分車両は、通常、個別に輸送開始位置へと搬送され、輸送終了位置から従来のトラックの積載区域にある駐車場に戻される。
【0005】
重積載車両を様々な長さの積載物に適合させることができる代替的なコンセプトは、相互に直接に、または別個に設けられた部分車両接続装置を、直接連続する部分車両間に配置することによって、相互に連結することができる複数の非テレスコピック部分車両を含む。特に、このコンセプトは、様々な種類の部分車両接続装置、すなわち伸縮可能な部分車両接続装置を提供する。所望の重積載車両を組み立てるために必要とされる部分車両と、部分車両接続装置とを、駐車場から輸送開始位置へと搬送すること、および輸送終了位置から駐車場へと戻すことは、その長さが限られているためにかなり容易であるが、各積載物を搬送するために必要な重積載車両を組み立てることができるようにするために、実際にすべての構成要素を、特にすべての伸縮可能な部分車両接続装置を輸送開始位置へと搬送することを保証するためには、多大な注意および物流の労力が必要とされる。
【0006】
上記に鑑みて、本発明の課題は、上述の問題を回避する重積載車両を提供することである。
【0007】
本発明によれば、この課題は、前記中空の外側テレスコピック部材が、部分車両のうちの一方の部分車両の部分車両フレームの管状または箱形の中央部分によって一体に形成されていて、前記中空の外側テレスコピック部材と、これと協働する前記内側のテレスコピック部材とは、同じ部分車両の部分である、上述した形式の重積載車両によって解決される。
【0008】
本発明によれば、協働する内側テレスコピック部材と外側テレスコピック部材とは、1つの同じ部分車両に組み込まれている。したがって、前述の代替的なコンセプトとは対照的に、テレスコピック部材は、輸送開始位置に別個に搬送されなければならない別個の構成要素を構成しない。したがって、必要数の部分車両が輸送開始位置に搬送されるときはいつでも、十分な数のテレスコピック部材も輸送開始位置に搬送されることが保証されている。
【0009】
さらに、部分車両の内側テレスコピック部材は、同じ部分車両の協働する中空の外側テレスコピック部材内へ引き込むことができるので、部分車両の全長は、特に米国特許出願公開第2016/0137238号明細書により公知の重積載車両と比較して減じられる。前記内側テレスコピック部材が、外側テレスコピック部材の長さ以下の長さを有しているならば、部分車両の全長は、部分車両の長さ自体まで減じることができる。
【0010】
米国特許出願公開第2016/0137238号明細書により公知の重積載車両に対する本発明による重積載車両の別の利点は、本発明による重積載車両が、その構成原理が内側テレスコピック部材の直径によって制限されないので、任意の数の部分車両によって構成することができるという事実にある。これに対して、米国特許出願公開第2016/0137238号明細書によれば、すべての内側テレスコピック部材が互いに係合しているため、内側テレスコピック部材の直径は、部分車両から部分車両へと連続的に減少している。
【0011】
本発明との関連において、2つの隣接する部分車両を接続するように適合されかつ構成された接続手段に加えて、接続手段とは別個に形成されかつ内側テレスコピック部材と中空の外側テレスコピック部材との間の特定の伸縮状態を固定するように適合されかつ構成された伸縮状態固定手段が設けられていることに留意されたい。特に、内側テレスコピック部材および外側テレスコピック部材の完全に引き込まれた状態と完全に伸ばされた状態との間の伸縮状態およびこれらの状態を含む伸縮状態は、段階的にまたは連続的に選択することができる。
【0012】
本発明の代替的な構成により、重積載車両が、前記最後部の部分車両の後端に取り付け可能な車両端部ユニットをさらに有しているならば、2種の部分車両のみを、すなわち前記最前部の部分車両、および同一に設計された複数の別の部分車両のみを使用することによって、部分車両の数を増加させることができ、複数の別の部分車両のうちの1つは、車両端部ユニットを取り付けることによって最後部の部分車両を構成する。車両端部ユニットは、国内法令に従って必要とされ得る、例えば、ブレーキライト、方向指示器等の指示ライト要素を含んでいてよい。
【0013】
しかしながら、第2の代替的な構成によれば、重積載車両が、少なくとも3種の部分車両、すなわち前記最前部の部分車両、前記最後部の部分車両、および少なくとも1つの中間部分車両を含んでおり、前記少なくとも1つの中間部分車両は、中空の外側テレスコピック部材と、前記外側テレスコピック部材内に入れ子式にガイドされる内側テレスコピック部材とを有しており、前記中空の外側テレスコピック部材は、前記中間部分車両のうちの少なくとも1つの部分車両の部分車両フレームの管状または箱形の中央部分によって一体に形成されていて、前記中空の外側テレスコピック部材と、これと協働する前記内側のテレスコピック部材とは、同じ中間部分車両の部分であることも考えられる。この実施形態によれば、前記最前部の部分車両と前記最後部の部分車両との間に所望の数の中間部分車両を配置することにより、部分車両の数を増加させることができる。この場合、最後部の部分車両は、車両端部ユニットを、最後部の部分車両の一体的な部分として含むことができる。
【0014】
本発明のさらなる実施形態によれば、内側テレスコピック部材は、協働する中空の外側テレスコピック部材から外へ、各部分車両の後側に向かって延在するように適合されていてよい。この場合、最後部の部分車両は、いかなるテレスコピック部材も有していなくてよく、その一方で、前記最後部の部分車両の前方に配置されている少なくとも1つの部分車両、好ましくはすべての部分車両は、内側テレスコピック部材および外側テレスコピック部材を有していてよい。
【0015】
本発明のさらなる実施形態によれば、内側テレスコピック部材は、協働する中空の外側テレスコピック部材から外へ、各部分車両の前側に向かって延在するように適合されていてよい。この場合、最前部の部分車両は、いかなるテレスコピック部材も有していなくてよく、その一方で、前記最前部の部分車両の後方に配置されている少なくとも1つの部分車両、好ましくはすべての部分車両は、内側テレスコピック部材および外側テレスコピック部材を有していてよい。
【0016】
直接連続する部分車両の間の距離を、部分車両フレームの長さを超過する値に増大させることができるようにするために、前記内側テレスコピック部材は、中空の中間テレスコピックエレメント内で入れ子式にガイドされる内側テレスコピックエレメントを含んでもよく、この場合、この内側テレスコピックエレメントが、前記中空の外側テレスコピック部材内で入れ子式にガイドされる。勿論、上述の2段階の伸縮段階よりも多段階の構造も考えられる。
【0017】
前記外側テレスコピック部材および前記内側テレスコピック部材、ならびにオプションとして前記少なくとも1つの中間テレスコピック部材が、矩形の横断面を有するならば、重積載車両の長手方向軸線を中心とする反りは、排除されないまでも減じることができる。
【0018】
さらなる実施形態によれば、直接連続している2つの部分車両のうちの第1の部分車両の内側テレスコピック部材の自由端部には、ボルト・プレートカップリングの第1のプレート部分が取り付けられていてよく、前記直接連続している2つの部分車両のうちの第2の部分車両の対向する端部には、前記ボルト・プレートカップリングのボルトを介して前記第1のプレート部分と協働するように設計された第2のプレート部分が取り付けられていてよい。特に、前記内側テレスコピック部材の自由端部には、第1のプレート部分が溶接されていてよく、前記直接連続している2つの部分車両のうちの第2の部分車両の部分車両フレームの対向する端部には、第2のプレート部分が溶接されていてよい。代替的な実施形態によれば、接続手段は、フックカップリング、細長いボルトカップリング、および例えば水平方向に延在する接続プレートを共に使用するねじ込みカップリング部分によるカップリングのうちの少なくとも1つの部分として設計されてもよい。
【0019】
米国特許出願公開第2016/0137238号明細書により開示された重積載車両と同様に、本発明の重積載車両の最前部の部分車両の牽引接続装置も、グースネックを含んでいてよい。しかしながら、本発明の重積載車両の最前部の部分車両の牽引接続装置がドローバーを含んでいることも考えられる。
【0020】
さらなる実施形態によれば、部分車両のうちの少なくとも2つは、好ましくはすべての部分車両は、少なくとも1つの車軸を、好ましくは少なくとも2つの車軸を、さらに好ましくは少なくとも3つの車軸を含んでいてよい。これに関連して、1つの車軸は、一般的な構造的コンセプトによれば、少なくとも2つの車軸ユニットを、すなわち好ましくは、各部分車両の左側に位置する左車軸ユニットと、各部分車両の右側に位置する右車軸ユニットとを含んでいてよいことに留意されたい。さらにまた、1つの車軸ユニットは、リムに装着されるタイヤを含む1つの車輪、各社林がリムに取り付けられたタイヤを含む2つの車輪、すなわち車軸ユニットのホイールキャリアの左側に配置される左車輪と、前記ホイールキャリアの右側に配置される右車輪、各車輪がリムに取り付けられたタイヤを含み、対を成す2つの車輪が同じハブに取り付けられている、対を成して配置される4つの車輪、すなわち車軸ユニットのホイールキャリアの左側に配置される一対の左車輪と、ホイールキャリアの右側に配置される一対の右車輪とを有していてよい。
【0021】
特定の実施形態によれば、部分車両のうちの少なくとも2つは、好ましくはすべての部分車両は、3つの車軸を含んでいてよく、この場合、各車軸は、2つの車軸ユニットを含んでいてよい。さらに、少なくとも1つの車軸ユニットは、好ましくはすべての車軸ユニットは、好ましくは、能動的に操舵可能な揺動車軸ユニットまたは全浮動式車軸ユニットとして設計されている。さらに、各車軸ユニットは、その両側に1つのタイヤ(シングルタイヤ)または2つのタイヤ(ダブルタイヤ)を有してよく、各タイヤは、それぞれのリムに取り付けられている。
【0022】
これに関連して、車軸ユニットあたり少なくとも4トン、好ましくは車軸ユニットあたり少なくとも5トン、より好ましくは車軸ユニットあたり少なくとも6トン、さらにより好ましくは車軸ユニットあたり少なくとも10トンの荷重を支持するように適合された車軸ユニットを有する車両だけが、本発明によれば重積載車両であるとみなされることが強調されるべきである。
【0023】
以下では、添付の図面を参照して、特定の実施形態に関して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態による重積載車両を伸張状態で示す平面図である。
【
図3】コンパクト状態で示す
図1の重積載車両の
図2と同様の側面図である。
【
図4】2つの連続する、ただし分離された部分車両の一部を示す側面図である。
【
図5】2つの連続する、ただし分離された部分車両の一部を示す平面図である。
【
図6】本発明による重積載車両のさらなる実施形態を示す図である。
【
図7】本発明による重積載車両のさらなる実施形態を示す図である。
【
図8】本発明による重積載車両のさらなる実施形態を示す図である。
【
図9】本発明による重積載車両のさらなる実施形態を示す図である。
【
図10】本発明による重積載車両のさらなる実施形態を示す図である。
【0025】
図1~
図5には、本発明による重積載車両全体が、参照番号100で示されている。重積載車両100は、最前部の部分車両102と最後部の部分車両104とを含む。最前部の部分車両102は、グースネック106を有しており、グースネックは、図示されていないトラクタまたは牽引車両に対する牽引接続部としての第五輪108(
図3参照)を含んでいる。
【0026】
最前部の部分車両102のシャーシ110は、フレーム112と、3つの車軸114a,114bおよび114cとを含み、これらの車軸はそれぞれ、2つの車軸ユニット、すなわち左軸ユニット116Lと、右軸ユニット116Rとを有しており、これらの軸ユニットは第1の車軸114aについてのみ符号で示されている。
【0027】
同様に、最後部の部分車両104のシャーシ120は、フレーム122と、3つの車軸124a,124bおよび124cとを含み、これらの車軸はそれぞれ、2つの車軸ユニット、すなわち左軸ユニット126Lと、右軸ユニット126Rとを有している。
【0028】
図4および
図5からわかるように、最前部の部分車両102は、接続手段118を有しており、一方、最後部の部分車両104は対応接続手段128を有しており、この対応接続手段は、最前部の部分車両102および最後部の部分車両104を相互に作動的に接続するために、前述の接続手段118と協働するように適合されておりかつ構成されている。両接続手段は、ボルト・プレートカップリングの要素を含んでいる。特に、最前部の部分車両102の接続手段118は、ボルト・プレートカップリングのプレート部分118aを含んでおり、最後部の部分車両104の対応接続手段128は、ボルト・プレートカップリングの対応プレート部分128aを含む。両プレート部分118a,128aは、ボルト129によって互いに接続されていてもよい。
【0029】
プレート部分118aおよび128aは、クロスビーム118b,128bにそれぞれ取り付けられている。クロスビーム128bは、最後部の部分車両104のフレーム122に堅固に取り付けられているのに対し、クロスビーム118bは、最前部の部分車両102のフレーム112の一体的な部分である中空の外側テレスコピック部材118d(
図5参照)内で伸縮可能にガイドされる内側テレスコピック部材118cに堅固に取り付けられている。
【0030】
内側テレスコピック部材118cおよび外側テレスコピック部材118dは、1つの同じ部分車両の一部である、すなわち、
図1~
図5の実施形態においては、最前部の部分車両102の一部であることに留意することが重要である。したがって、内側テレスコピック部材118cは、外側テレスコピック部材118d内に引き込まれてもよく、これにより、最前部の部分車両102の長さは短縮される。例えば、
図3から見て取れるように、内側テレスコピック部材118cは好ましくは完全に、外側テレスコピック部材118d内に引き込まれてもよく、これにより、コンパクトな状態で最前部の部分車両102の最短の長さが生じる。
【0031】
図1~
図5の実施形態によれば、内側テレスコピック部材118cおよび外側テレスコピック部材118dは、単に1段階の伸縮性を提供するのみであるが、
図5に破線118eによって概略的に示された中間テレスコピックエレメントを外側テレスコピック部材118dと内側テレスコピック部材118cとの間に入れ子式に挟み込むことができ、これにより2段階の伸縮性を提供することができる。また、原理的には、さらに中間のテレスコピックエレメントを設けることによって、より多段階の伸縮機能も考えられる。
【0032】
図1に破線で概略的に示されているように、最後部の部分車両104は、その後端部104aにおいて、最後部の部分車両104の一体的な部分を形成する車両端部ユニット130を備えていてよい。この車両端部ユニット130は、国内法令に従って必要とされ得る、例えばブレーキライト、方向指示器等の指示部材を含んでいてよい。
【0033】
この設計の結果として、最後部の部分車両104はいかなるテレスコピックエレメントも含まない。しかしながら、テレスコピックエレメントが最後部の部分車両に設けられており、この最後部の部分車両の前端部から、最前部の部分車両に向かって延在していることも考えられる。
【0034】
図6は、実質的に
図1~
図5の重積載車両に相当する、本発明によるさらなる重積載車両の平面図を示している。ゆえに、類似の部分は、
図1~
図5よりも100ずつ大きい参照符号で示されている。さらに
図6の重積載車両200については、
図1~
図5の重積載車両100とは異なる点についてのみ説明し、その他のすべての点については
図1~
図5の説明が参照される。
【0035】
図6の重積載車両200と、
図1~
図5の重積載車両100との主な相違点は、
図6の重積載車両が、3つの部分車両、すなわち、重積載車両100の最前部の部分車両102と同じ設計を有する最前部の部分車両202、重積載車両100の最後部の部分車両104と同じ設計を有し、車両端部ユニット230を支持する最後部の部分車両204、および中間部分車両232を含むことである。
【0036】
中間部分車両232は、重積載車両100の最後部の部分車両104のフレーム120と同様のフレーム234を有する。特に、フレーム234はその前端部に、最後部の部分車両104の対応接続手段128と同一の対応接続手段236を含む。しかしながら、フレームはその後端部に、最前部の部分車両102の接続手段118と同一のテレスコピック接続手段238を含む。したがって中間部分車両232は、最前部の部分車両202と最後部の部分車両204との間に容易にはまり、これらに接続することができ、これにより重積載車両200の長さは延長されて3つの部分車両となる。
【0037】
言うまでもなく、すべて中間部分車両232と同じ設計を有している複数の中間部分車両を提供することによって、重積載車両の長さは、必要に応じてかつ/または所望に応じて増大させることができる。
【0038】
上述の車両端部ユニット230が、中間部分車両232の後端に取り付け可能な別個の部品として設計されている場合には、2種の部分車両、すなわち前述の最前部の部分車両、および同一に設計された複数の中間部分車両を使用することによって、任意の長さの重積載車両を形成することができ、これらの車両のうちの1つは、この車両に取り付けられた車両端部ユニットを有していることによって最後部の部分車両を構成する。3つの部分車両、すなわち、1つの最前部の部分車両302、および2つの中間部分車両332を有していて、2つの中間部分車両のうちの1つには車両端部ユニット330が取り付けられていて、最後部の部分車両304を構成している重積載車両300の例が
図7に、4つの部分車両、すなわち、1つの最前部の部分車両402、および3つの中間部分車両432を有していて、3つの中間部分車両のうちの1つには車両端部ユニット430が取り付けられていて、最後部の部分車両404を構成している重積載車両400の例が
図8に、それぞれ示されている。
【0039】
ここで述べておくと、本発明による重積載車両は、積載物搬送目的に応じて複数の異なる構成によって使用することができる。
図9を参照すると、例えば、破線の長方形として概略的に示された、長い積載物、例えばコンクリート梁または鋼管を搬送するために、本発明の概念を利用することが考えられる。この場合、4つの部分車両552,554,556,558が、対にされた配置で組み合わされてよく、重積載車両500の各対560,562には、それぞれ、長積載物保持ユニット564,566が装備されていてよい。
【0040】
さらなる用途は、例えば、最前部の部分車両と最後部の部分車両との間にドロップデッキを取り付けることであってよい。
図10の重積載車両600では、最前部の部分車両602と、一対の中間部分車両632との間にドロップデッキ668が取り付けられており、これらの中間部分車両のうちの1つが、最後部の部分車両604を構成している。本発明に関して、最前部の部分車両602は、実際には中間部分車両632に接続されていないが、最前部の部分車両602の接続手段618と、中間部分車両632の対応接続手段628とは、前述の最前部の部分車両602と前述の中間部分車両632とを互いに作動可能に接続するために互いに協働するように適合されておりかつ構成されていることに留意されたい。