(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】LCO電極及びLCOから作られた電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/525 20100101AFI20240617BHJP
H01M 4/131 20100101ALI20240617BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240617BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20240617BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20240617BHJP
H01M 4/1391 20100101ALI20240617BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/131
H01M10/052
H01M10/0562
H01M4/66 A
H01M4/1391
(21)【出願番号】P 2022545061
(86)(22)【出願日】2021-01-16
(86)【国際出願番号】 US2021013767
(87)【国際公開番号】W WO2021158351
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-08-25
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522194005
【氏名又は名称】ゼリオン アドバンスド バッテリー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】キギンズ,チャド
(72)【発明者】
【氏名】アテス,メメット
(72)【発明者】
【氏名】クック,ジョン
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0117471(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105385996(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/525
H01M 4/131
H01M 10/052
H01M 10/0562
H01M 4/66
H01M 4/1391
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択される結晶方位を有するLiCoO
2(LCO)電極層
を含み、
前記電極層が、
(i)
99%~100%の密度、
(ii)
1μm未満~
200μm以上の厚さ、
(iii)少なくとも1つの
10μm未満の平均粗さ深さ(Rz)を有する表面、及び
(iv)表面間に導電経路を生成する前記表面間に連続的な粒子を有する前記表面、のうちの1つ以上の特性を有する材料を含む、
電池用電極。
【請求項2】
前記電極が、電池の構成要素である、請求項
1に記載の電極。
【請求項3】
電極層を有する電池において、
(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有するLiCoO
2(LCO)電極層
を含み、
前記電極層が、
(i)
99%~100%の密度、
(ii)
1μm未満~
200μm以上の厚さ、
(iii)少なくとも1つの
10μm未満の平均粗さ深さ(Rz)を有する表面、及び
(iv)表面間に導電経路を生成する前記表面間に連続的な粒子を有する前記表面、のうちの1つ以上の特性を有する材料を含む、
電池。
【請求項4】
99%~100%の密度のLiCoO
2(LCO)電極層
を含み、
前記電極層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、
電池用電極。
【請求項5】
前記電極が、電池の構成要素である、請求項
4に記載の電極。
【請求項6】
電極層を有する電池において、
99%~100%の密度のLiCoO
2(LCO)電極層
を含み、
前記電極層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、
電池。
【請求項7】
99%~100%の密度のLiCoO
2(LCO)材料の層
を含み、
前記LiCoO
2(LCO)材料の層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、
電池用電極。
【請求項8】
前記電極が、電池の構成要素である、請求項
7に記載の電極。
【請求項9】
電極層を有する電池において、
99%~100%の密度のLiCoO
2(LCO)材料の層
を含み、
前記LiCoO
2(LCO)材料の層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、
電池。
【請求項10】
99%~100%の密度のLiCoO
2(LCO)電極層
を含み、
前記電極層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、
前記電極層が、
1μm未満~
200μm以上の厚さを有し、
前記電極層が、少なくとも1つの
10μm未満の平均粗さ深さ(Rz)を有する表面を有し、
前記電極層が、表面間に導電経路を生成する前記表面間に連続的な粒子を有する前記表面を有する、
電池用電極。
【請求項11】
前記電極が、電池の構成要素である、請求項
10に記載の電極。
【請求項12】
電極層を有する電池において、
99%~100%の密度のLiCoO
2(LCO)電極層
を含み、
前記電極層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、
前記電極層が、
1μm未満~
200μm以上の厚さを有し、
前記電極層が、少なくとも1つの
10μm未満の平均粗さ深さ(Rz)を有する表面を有し、
前記電極層が、表面間に導電経路を生成する前記表面間に連続的な粒子を有する前記表面を有する、
電池。
【請求項13】
99%~100%の密度のLiCoO
2(LCO)材料の電極層
を含み、
前記LiCoO
2(LCO)材料の電極層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、
前記電極層が、
1μm未満~
200μm以上の厚さを有し、
前記電極層が、少なくとも1つの
10μm未満の平均粗さ深さ(Rz)を有する表面を有し、
前記電極層が、表面間に導電経路を生成する前記表面間に連続的な粒子を有する前記表面を有する、
電池用電極。
【請求項14】
前記電極が、電池の構成要素である、請求項
13に記載の電極。
【請求項15】
電極層を有する電池において、
99%~100%の密度のLiCoO
2(LCO)材料の電極層
を含み、
前記電極層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、
前記電極層が、
1μm未満~
200μm以上の厚さを有し、
前記電極層が、少なくとも1つの
10μm未満の平均粗さ深さ(Rz)を有する表面を有し、
前記電極層が、表面間に導電経路を生成する前記表面間に連続的な粒子を有する前記表面を有する、
電池。
【請求項16】
アノード層と、
カソード層と、
前記アノード層と前記カソード層との間の電解質層と、
を含み、
前記カソード層が、
99%~100%の密度のLiCoO
2(LCO)材料の層を含み、
前記LiCoO
2(LCO)材料が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、
電池用アクティブスタック。
【請求項17】
前記電解質層が、固体電解質層を含み、
前記LiCoO
2(LCO)材料の層が、前記電解質層に面する
10μm未満の平均粗さ深さ(Rz)を有する表面を有する、
請求項
16に記載のアクティブスタック。
【請求項18】
前記アノード層がリチウムイオン系活物質の層を含む、請求項
16に記載のアクティブスタック。
【請求項19】
アノード層と、
カソード層と、
前記アノード層と前記カソード層との間の電解質層と、
を含む電池用アクティブスタックであって、
前記カソード層が、
99%~100%の密度のLiCoO
2(LCO)材料の層を有し、
前記LiCoO
2(LCO)材料が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、
前記カソード層が、
1μm未満~
200μm以上の厚さを有し、
前記カソード層が、少なくとも1つの
10μm未満の平均粗さ深さ(Rz)を有する表面を有し、
前記カソード層が、表面間に導電経路を生成する前記表面間に連続的な粒子を有する前記表面を有する、
電池用アクティブスタック。
【請求項20】
前記電解質層が、固体電解質層を含み、
前記LiCoO
2(LCO)材料の層が、前記電解質層に面する
10μm未満の平均粗さ深さ(Rz)を有する表面を有する、
請求項
19に記載のアクティブスタック。
【請求項21】
前記アノード層が、リチウムイオン系活物質の層を含む、請求項
19に記載のアクティブスタック。
【請求項22】
第1の集電体と、
前記第1の集電体に隣接するアノード層と、
前記アノード層に隣接する電解質層と、
前記電解質層に隣接するカソード層と、
前記カソード層に隣接する第2の集電体と、
を含み、
前記カソード層が、
99%~100%の密度のLiCoO
2(LCO)材料の層を含み、
前記LiCoO
2(LCO)材料が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、
電池。
【請求項23】
前記電解質層が、固体電解質層を含み、
前記LiCoO
2(LCO)材料の層が、前記電解質層に面する
10μm未満の平均粗さ深さ(Rz)を有する表面を有する、
請求項
22に記載の電池。
【請求項24】
前記アノード層がリチウムイオン系活物質の層を含む、請求項
22に記載の電池。
【請求項25】
前記第1の集電体が銅系材料を含む、請求項
22に記載の電池。
【請求項26】
前記第2の集電体がアルミニウム系材料を含む、請求項
22に記載の電池。
【請求項27】
第1の集電体と、
前記第1の集電体に隣接するアノード層と、
前記アノード層に隣接する電解質層と、
前記電解質層に隣接するカソード層と、
前記カソード層に隣接する第2の集電体と、
を含む電池であって、
前記カソード層が、
99%~100%の密度のLiCoO
2(LCO)材料の層を含み、
前記LiCoO
2(LCO)材料が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、
前記カソード層が、
1μm未満~
200μm以上の厚さを有し、
前記カソード層が、少なくとも1つの
10μm未満の平均粗さ深さ(Rz)を有する表面を有し、
前記カソード層が、表面間に導電経路を生成する前記表面間に連続的な粒子を有する前記表面を有する、
電池。
【請求項28】
前記電解質層が、固体電解質層を含み、
前記LiCoO
2(LCO)材料の層が、前記電解質層に面する
10μm未満の平均粗さ深さ(Rz)を有する表面を有する、
請求項
27に記載の電池。
【請求項29】
前記アノード層がリチウムイオン系活物質の層を含む、請求項
27に記載の電池。
【請求項30】
前記第1の集電体が銅系材料を含む、請求項
27に記載の電池。
【請求項31】
前記第2の集電体がアルミニウム系材料を含む、請求項
27に記載の電池。
【請求項32】
LiOHとKOHとの混合物を形成することと、
LiOHとKOHとの前記混合物を加熱することによって溶融物を形成することと、
CoOを添加し、CoOを前記溶融物内で溶解することと、
アルミニウム基板を前記溶融物に挿入し、LiCoO
2を、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶学的方位を有する前記アルミニウム基板上に電気めっきすることと、
を含み、
前記結晶学的方位が前記電気めっきの関数である、
電極材料を形成する方法。
【請求項33】
LiOHとKOHとの前記混合物が、
8gのKOHと
0.75gのLiOHとを含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項34】
LiOHとKOHとの前記混合物を
350℃に加熱することと、
0.5gのCoOを前記混合物に添加することと、
をさらに含む、請求項
33に記載の方法。
【請求項35】
作用電極と対極との間に
1mA/cm
2の低い定電流密度を印加することによって(003)配向のLiCoO
2を形成することをさらに含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項36】
作用電極と対極との間に
30mA/cm
2のパルスを
2秒間印加し、パルス間に
5秒間休止することによって(001)配向のLiCoO
2を形成することをさらに含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項37】
作用電極と対極との間に
20mA/cm
2のパルスを
5秒間印加し、パルス間に
5秒間休止することによって、多結晶(110)、(001)配向のLiCoO
2を形成することをさらに含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項38】
作用電極と対極との間に
20mA/cm
2のパルスを
2秒間印加し、パルス間に
5秒間休止することによって(110)配向のLiCoO
2を形成することをさらに含む、請求項
32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年2月3日に出願された米国仮特許出願第62/969,429号の優先権及び利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究機関の記載
該当なし
著作権保護対象資料の通知
【0003】
本特許文書の資料の一部は、米国及びその他の国の著作権法に基づく著作権保護の対象となり得る。著作権の所有者は、米国特許商標庁の公的に入手可能なファイル又は記録に見られるように、特許文書又は特許開示のいずれかによるファクシミリ複製に異議を唱えないが、それ以外のすべての著作権を留保する。著作権者は、37C.F.R.§1.14に準拠する権利を含むがこれに限定されない、本特許文書を秘密に保つためのその権利のいずれも放棄しない。
【背景技術】
【0004】
1.技術分野
【0005】
本開示の技術は、一般に電池に関し、より詳細には、電池のための改善された電極技術に関する。
【0006】
2.背景の考察
【0007】
LiCoO
2(LCO)は、空間群
【数1】
を使用して記述することができる結晶性材料である。LCOは、エネルギー貯蔵用途に使用されるリチウムイオン伝導体である。リチウムイオン及び電子伝導経路は異方性であり、A.Jain,S.P.Ong,G.Hautier,W.Chen,W.D.Richards,S.Dacek,S.Cholia,D.Gunter,D.Skinner,G.Ceder,and K.A.Persson,The Materials Project:A materials genome approach to accelerating materials innovation,APL Materials,2013,1(1)、011002からのものである
図1A及び
図1Bに示されているような単位格子のc軸に沿ったイオン、又は高電子伝導を可能にしない。
【発明の概要】
【0008】
一実施形態では、提示された技術は、十分に高密度のLiCoO2(LCO)電極層、(110)、(101)、(104)、又は(003)方向の結晶方位、及び滑らかな表面を有する固体電池を含む。
【0009】
別の実施形態では、提示された技術は、固体電池用の電極層を含み、電極層は、(110)、(101)、(104)、又は(003)方向の結晶方位及び滑らかな表面を有する十分に高密度のLiCoO2(LCO)電極層を含む。
【0010】
さらなる実施形態では、提示された技術は、上述の電池及び上述の電極層を製造するための方法を含む。
【0011】
本明細書に記載の技術のさらなる態様は、本明細書の以下の部分で明らかにされ、詳細な説明は、限定を課すことなく、技術の好ましい実施形態を完全に開示することを目的とする。
【0012】
本明細書に記載の技術は、例示のみを目的とする以下の図面を参照することによってより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】点線のパターン形成はCoを表し、線の付いたパターン形成はLiを表し、パターン形成がないことはOを表す、平面内にc軸を有するLiCoO
2(LCO)の球棒モデルである。
【
図1B】点線のパターン形成はCoを表し、線の付いたパターン形成はLiを表し、パターン形成がないことはOを表す、平面外のa軸及びb軸を有するLiCoO
2(LCO)の球棒モデルである。
【
図2A】様々な結晶学的方位におけるLCOの走査型電子顕微鏡画像である。
【
図2B】記載された技術を可能にする異なる結晶学的方位を示す概略図である。
【
図2C】様々な結晶学的方位におけるLCOのXRDである。
【
図2D】2つの異なるカットオフ電位(4.3V上側トレース及び4.5V下側トレース、両方ともvs Li/Li+)での(110)配向におけるLCOのサイクル寿命である。
【
図2E】2つの異なるカットオフ電位(4.3V上側トレース及び4.5V下側トレース、両方ともvs Li/Li+)での(003)配向でのLCOのサイクル寿命である。
【
図3】定電流断続滴定技術(三電極構成)によって様々な充電状態で測定した(110)配向で成長したXABC LCOの拡散率を示すグラフである。
【
図4A】(110)方向に向いている60μmのXABC LCO電極のSEMである。
【
図4B】(110)方向に向いている60μmのXABC LCO電極のXRDである。
【
図4C】様々な放電速度で(110)方向に向いている60μmのXABC LCO電極の定電流トレースである。
【
図4D】様々な放電速度での市販のLCO電極の定電流トレースである。
【
図4E】体積で正規化され、様々な放電速度で実行されたXABC LCO電極の定電流トレースである。
【
図4F】体積で正規化され、様々な放電速度で実行された市販のLCO電極の定電流トレースである。
【
図5A】(110)方向に向いている120μmのXABC LCO電極の上面SEM図である。
【
図5B】(110)方向に向いている120μmのXABC LCO電極の断面SEM図である。
【
図5C】(110)方向に向いている120μmのXABC LCO電極の定電流トレースである。
【
図5D】(110)方向に向いている120μm XABC電極のレート性能である。
【
図5E】(110)方向に向いている120μmのXABC LCO電極のXRDである。
【
図6A】(110)方向に向いている240μmのXABC LCO電極の断面SEM図である。
【
図6B】(110)方向に向いている240μmのXABC LCO電極の上面SEM図である。
【
図6C】(110)方向に向いている240μmのXABC LCO電極の定電流トレースである。
【
図6D】(110)方向に向いている240μmのXABC LCO電極のXRDである。
【
図7】提示された技術による固体電池の一実施形態の概略図である。
【
図8A】(110)形態を有する柱状形態で成長させたXABC LCOの断面SEMを示す図である。
【
図8C】(110)形態を有する高密度の樹状形態を有するXABC LCOの断面SEMである。
【
図8D】非柱状粒界を有するLCOの概略図である。
【
図9A】低い表面粗さで成長させたXABC LCOの断面SEMである。
【
図9B】低い表面粗さで成長させたXABC LCOの上面SEMである。
【
図9C】低い表面粗さで成長させたXABC LCOの光学プロフィロメトリ測定である。
【
図10A】固体電解質分離層の厚さに対する表面粗さの影響を示す模式図である。
【
図10B】固体電解質分離層の厚さに対する表面粗さの影響を示す模式図である。
【
図11】空隙分布が、カラム間の条痕として分割されることを示す柱状XABC LCOのSEMである。
【
図12A】様々な電位でのXRD分析のために異なる電位で停止した市販のLCOの電圧対容量である。
【
図12B】異なるカットオフ電位での市販のLCOのXRDである。
【
図13A】様々な電位でのXRD分析のために円で示される異なる電位で停止したXABC(110)LCOの電圧対容量である。
【
図13B】異なるカットオフ電位におけるXerion LCOのXRD展開である。
【
図14A】円で示される異なる電位で停止したXABC(003)LCOの電圧対容量である。
【
図14B】異なるカットオフ電位におけるXerion LCOのXRD展開である。
【
図15A】熱試験のため電極を予備循環させるために使用された市販のLCO電極の定電流トレースである。
【
図15B】4.3V Li/Li+で10分間215℃で熱処理した後の、液体電解質上の存在下での市販のLCO電極の定電流トレース。
【
図16A】熱試験のため電極を予備サイクルさせるために使用された、(003)方向に向いているXABC LCO電極の定電流トレースである。
【
図16B】4.3V Li/Li+で10分間215℃で熱処理した後の、液体電解質の存在下で(003)方向に向いているXABC LCO電極の定電流トレースである。
【
図17A】熱試験のため電極を予備サイクルさせるために使用された、(110)方向に向いているXABC LCO電極の定電流トレースである。
【
図17B】4.3V Li/Li+で10分間215℃で熱処理した後の、液体電解質の存在下で(110)方向に向いているXABC LCO電極の定電流トレースである。
【
図18】XABC電極及び商用電極の両方のDCSグラフである。
【
図19A】XABC LCO∥TEGDMEポリマー電解質∥リチウムの構成を有する固体電池の定電流トレースである。
【
図19B】XABC LCO∥TEGDMEポリマー電解質∥リチウムの構成を有する固体電池のサイクル寿命安定性グラフである。
【
図20】熱処理あり及び熱処理なしのXABC LCOの定電流トレースである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.定義
【0015】
本明細書で使用される場合、「高密度」又は「十分に高密度」という用語は、約99%~約100%の密度を意味し、含むものとする。
【0016】
表面の説明に関連して本明細書で使用される場合、「滑らか」という用語は、好ましくは約10μm未満、より好ましくは約5μm未満、さらにより好ましくは約2μm未満の平均粗さ深さ(Rz)を指す。Rzは、連続するサンプリング長の単一の粗さ深さの算術平均値であり、典型的には、5つのサンプリング長にわたって最も高い山頂から最も低い谷までの垂直距離を測定し、次いでこれらの距離を平均することによって計算されることが理解されよう。
【0017】
2.説明
【0018】
本開示に記載される技術は、一般にXerion Advanced Battery Corp.(XABC)によって開発されたDirectPlate(商標)LCO技術の電極の分野への、より詳細には液体及び固体電解質電池用の電極への拡張である。DirectPlate(商標)LCOは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるXABCの米国特許第9,780,356号に完全に記載されている。略記としてのみ、「XABC法」、「XABCプロセス」、「XABC LCO」、及び「XABC LCO電極」という用語は、本開示において、本開示に記載された技術をXABCのDirectPlate(商標)LCO技術と区別するために使用される。
【0019】
厚く高密度の電極を利用する電池の主な問題は、電極を通る高いイオン及び電子抵抗であり、厄介な発熱と共に充電及び放電速度の低下につながる。本明細書に記載のXABC法は、その問題を解決する電極構造体を作製するプロセスである。XABC LCO電極は、固体又は液体電解質電池のためにそれらの厚い形状で使用することができる。XABCプロセスによって形成された電極は、競合する技術(例えば、RFスパッタリング、PLD、及びCVD)よりもはるかに厚く(例えば、約10μm~約400μm超)成長させることができる。これを念頭に置くと、この印象的な厚さを可能にする特性は、電極が備える固有の構造である。結果として、この構造特性は、イオン及び電子伝導性を著しく増加させ、それによってこれらの厚い電極を可能にする。これらの特性は、
【0020】
1.制御された結晶方位(好ましい方位は(110)結晶方向である)、
【0021】
2.高密度(すなわち、材料は十分に高密度である)、
【0022】
3.電極は厚い(例えば、約10μm~約200μm以上)が、薄くも厚くもなることができる(例えば、約1μm未満~約200μm以上)、
【0023】
4.少なくとも1つの表面は滑らかな表面である、
【0024】
5.表面と集電体との間の連続的な粒子、それによる、材料全体の導電経路の形成、のうちの1つ以上を含む。
【0025】
第1の特性は、すべての好ましい実施形態に適用される。より好ましくは、最初の3つの特性が存在する。第4及び第5の特性は、液体電解質電池に存在する必要はないが、望ましい。固体電解質電池の場合、第4及び第5も存在することが好ましい。
【0026】
最も好ましい実施形態では、5つの特性すべてが存在する。これらの5つの特性の組み合わせは、測定された材料特性を使用して具体的かつ定量的な定義を有する新しい電極構造を作り出す。この組み合わせは、固体電解質系電池及び液体電解質系電池の両方の性能を改善する。その目的のために、これは既存の技術に対する漸進的な改善ではなく、現在の最先端技術からの変化的な飛躍であり、現在のリチウムイオン電池による制限のために存在しない製品を可能にする。これらの新しい用途のいくつかは、人間(新生児-成人)の外部/内部装着型医療機器、長距離電気自動車、飛行ベースのタクシー、独自の薄型家電製品などである。
【0027】
競合技術は、上記の5つの特性の組み合わせを作製することができない。したがって、競合する電極の有用な厚さは制限される。さらに、これらの特性のいくつかを作製するために必要な方法は、典型的には製造速度を犠牲にする(パルスレーザ堆積及びスパッタリングと比較してXABC法よりも1桁長い)。前述のように、本開示に記載のXABCプロセスは、XABCのDirectPlate(商標)LCO技術に記載の溶融塩プロセスの拡張である。
【0028】
XABC LCOの結晶学的方位は、高速リチウムイオン拡散を可能にするために特定の結晶軸に沿って制御され得る。配向されたLCOは、RFマグネトロンスパッタリング、パルスレーザ堆積、及び化学蒸着などの技術を使用して合成されているが(このリストは網羅的であることを意味するものではない)、それらの方法は、汎用リチウムイオン電池の大規模製造にとって費用効果が高いとは考えられていない。例えば、RFマグネトロンスパッタリング成長速度は約0.1um/分であり、これは、約1μm/分~約10μm/分の速度で動作する本明細書に記載のプロセスと比較して、その技術によって作製された電極の厚さを効果的に制限する。さらに、RFマグネトロンスパッタリングは、材料が高度に結晶性ではないため、通常、追加の後熱処理ステップを必要とする。この追加のステップは、本開示に記載された技術によって必要とされず、それによって、製造速度をさらに増加させ、コストを下げる。
【0029】
本明細書に記載のXABC法は、従来の方法とは異なりスケーラブルな方法で、具体的に知られている処理パラメータを制御することによって配向を達成する。
【0030】
XABC法の例
【0031】
0.75gのLiOHと8gのKOHとの混合物を粉砕し、ニッケルるつぼに入れた。350℃に加熱した後、約0.5gのCoOを溶融物に添加した。溶融色は、2価のコバルトイオンが水酸化物イオンによって配位されると白色から青色に変化した。添加したCoOを完全に溶解させた後、LiCoO2析出用浴にアルミニウム箔を挿入した。電気化学めっきは、異なる結晶学的方位を達成するように調整された。(003)配向のLiCoO2は、作用電極と対極との間に1mA/cm2の低い定電流密度を印加することによって調製された。8時間の定電流印加により、面積容量4mAh/cm2、厚さ60μmの電極を作製した。より高負荷の試料(120μm及び240μm)は、それぞれ16時間及び32時間にわたって定電流を保持することによって作製される。多結晶(110)、(101)、及び純粋な(110)試料をパルス電着によって調製した。パルス間に5秒間休止しながら30mA/cm2のパルスを2秒間印加することによって多結晶試料を調製した。休止ステップ中、電流を印加せず、開回路電圧(OCV)を監視した。460回のオン/オフサイクルを適用すると、4mAh/cm2の負荷及び60μmの厚さを有する電極が作製される。より高負荷の試料(120μm及び240μm)は、パルス数をそれぞれ920及び1840に増加させることによって作製される。(110)、(101)配向を作製するために、20mA/cm2のパルスを5秒間印加し、パルス間に5秒間休止した。280回のオン/オフサイクルを適用すると、4mAh/cm2の負荷及び60μmの厚さを有する電極が作製される。より高負荷の試料(120μm及び240μm)は、パルス数をそれぞれ560及び1120に増加させることによって作製される。純粋な(110)配向では、20mA/cm2のパルスを2秒間印加し、パルス間に5秒間休止した。700回のオン/オフサイクルを使用すると、4mAh/cm2の負荷及び60μmの厚さを有する電極が作製される。より高負荷の試料(120μm及び240μm)は、パルス数をそれぞれ1,400及び2,800に増加させることによって作製される。LiCoO2の所与の配向の堆積を終了した後、試料を浴から取り出し、冷却後に水ですすいで残留塩を除去した。ニッケル(1100合金)めっきをすべての堆積物の対極として使用した。
【0032】
図2Aから
図2Eは、XABC LCOが、基板に対して(110)、(104)、(101)及び(003)面を向けてめっきされ得ることを示しており、これは従来の液体電解質ベースのリチウムイオン電池並びに固体電池にとって重要である。DirectPlate(商標)LCOの市販の液体電解質のサイクル寿命は、これらの図にも示されているように、配向によって劇的に影響を受ける。
【0033】
より詳細には、
図2Aは、(003)配向の10、(104)、(101)、(110)配向の12、(101)、(110)配向の14、及び(110)配向の16の結晶学的方位におけるLCOのSEM画像を示す。相対的なサイズを示すために、80μmの目盛りが提供されている。
図2Bは、(110)配向の18、(101)配向の20、(104)配向の22、及び(003)配向の24のように記載された技術を可能にする異なる結晶学的方位を示す概略図である。配向は、基板26の平面に対して示されている。
図2Cは、(003)配向の28、多結晶体30、(110)、(101)配向の32、及び(110)配向の34の結晶学的方位についてのLCOのX線粉末回折(XRD)を示す。
図2Dは、2つの異なるカットオフ電位(4.3V上側トレース36及び4.5V下側トレース38、両方ともvs Li/Li+)での(110)配向におけるLCOのサイクル寿命を示すグラフである。
図2Eは、2つの異なるカットオフ電位(4.3V上側トレース40及び4.5V下側トレース42、両方ともvs Li/Li+)における(003)配向でのLCOのサイクル寿命を示すグラフである。明らかに、(110)配向は、4.3V vs Li/Li
+及び4.5V vs Li/Li
+の両方の電圧カットオフ基準に対してより長いサイクル寿命を支持する。
【0034】
図3は、定電流断続滴定技術(三電極構成)によって測定された10
-7の(110)配向で成長した定電流プロファイルXABCを示し、これはスラリー複合電極よりも少なくとも二桁高い。イオン伝導率は、最大充放電速度を増加させ、安全でない熱暴走を開始し得る抵抗ベースの加熱を減少し、高価でかさばる冷却装置の必要性を排除するのに役立つ。
【0035】
配向はまた、電極の反応速度に大きく影響する。
図4A~
図4Fでは、(110)配向に向いている60μmのXABC LCO電極を、リチウムアノード及び液体電解質を使用した半電池の市販のLCO電極と比較している。
【0036】
図4Aは、(110)方向に向いている60μmのXABC LCO電極のSEMであり、断面44、拡大
図46、上面
図48、及びマクロ
図50を示す。
図4Aの形態は、(110)アラインメントに向いている電極について予想されるものと一致する。
図4Bは、(110)方向に向いている60μmのXABC LCO電極のXRDである。
図4Bは、約67°2θの強いピークを通して優先的な(110)配向を有するこの電気めっきLCO電極を識別する。約37°2θの小さなピークは、いくらか(101)が存在することを示し、これは同様に速い反応速度を有する。
【0037】
(110)方向に向いている60μmのXABC LCO電極及び市販の試料の様々な放電速度での定電流トレースをそれぞれ
図4C及び
図4Dに示し、これらは両方とも、遅い10時間の放電速度(全容量を抽出することができる)で同様の面積容量を有する。XABC LCO電極は、密度が市販の試料の約70%と比較して約99%であるため、市販の試料よりも約20μm薄い。これらの電極は、より速い速度で評価され、これは、表1と共に
図4C及び
図4Dの定電流プロファイルに示されており、XABC LCO電極が著しく密度が高いにもかかわらず、容量維持率が同等であることを示している。細かいことを言えば、同等の量の材料に対してより薄いため、より高密度の電極が好ましいが、DirectPlate(商標)LCOではより低いレベルで発生する、電池が充放電できる速度が低下する。市販の電極とDirectPlate(商標)LCOとの違いは、高密度にもかかわらず良好な輸送を可能にする(110)方向の向きである。
【0038】
図4E及び
図4Fは、それぞれ
図4C及び
図4Dからの同じデータを提示するが、ここでは(厚さを考慮して)体積容量に関してプロットされている。最も注目すべきことに、2CでのDirectPlate(商標)LCOの体積容量保持率は、より高い密度及び好ましい配向の結果として市販の電極よりもほぼ40%高い。配向が、電極内で生じるイオン及び電子輸送現象において重要かつ実用的な役割を果たすことは明らかである。
【0039】
図5A及び
図5Bは、この配向をより厚い電極に伝播することができることを示している、
図4Aに既に示されているより薄い電極のSEMと同様の形態を有する120μm XABC(110)配向の電極のSEMを示す。
図5Aは上面
図52を示し、
図5Bは断面
図54を示す。
【0040】
図5Cは、市販の液体電解質(リチウム金属対極を有する半電池)における最初の10時間の充放電サイクル中の120μm(110)配向のXABC電極の定電流プロファイルを示す。この試料の面積容量はほぼ8mAh/cm
2であり、これは最良の最先端の市販のLCO電極の約2倍であることに留意することが重要である。高負荷は、(比容量の)セル内の層の数を減らすことによってセル(固体又は液体電解質)のエネルギー密度を増加させ、体積及び質量を占める不活性物質を除去する。
図5Dは、120μm XABC(110)配向の電極のレート性能を示す。
図5Dから、この120μm XABC電極のレート性能は、容量の半分以上をわずか15分で取り出すことができるという点で印象的であることが分かる。
図5Eは、120μm XABC(110)配向の電極のXRDである。支配的な(110)配向は、この厚い電極と高密度な電極の両方が146mAh/g容量(LCOのほぼ完全な比容量)を利用することを可能にする。最初のサイクルのクーロン効率は92%超であり、商業的に許容可能なレベルであることが理解されよう。
【0041】
図6A及び
図6Bは、それぞれ
図4A及び
図5Aに既に示されている両方のより薄い電極のSEMと同様の形態を有する、240μm XABC(110)配向の電極のSEMを再び示す。
図6Aは、断面
図56を示す。
図6Bは、上面
図58、二つの上面拡大
図60、62、及び縮小
図64を示す。液体電解質(リチウム金属対極を有する半電池)における最初の10時間の充電サイクル66及び放電サイクル68の間の240μmのXABC電極の定電流トレースを
図6Cに示す。この試料の面積容量はほぼ15mAh/cm
2であり、これは最良の最先端の市販のLCO電極の4倍であることに留意することが重要である。
図6DのXRDは、支配的な(110)配向が、厚い電極と高密度な電極の両方が135mAh/g容量(LCOのほぼ完全な比容量)を利用することを可能にすることを示す。最初のサイクルのクーロン効率は90%超であり、商業的に許容可能なレベルであることが理解されよう。LCOのほぼ完全な比容量を依然として送達するそのような厚い電極は、液体電解質及び固体電池の両方についてほぼ十分に高密度で超厚の電極を可能にする配向及び粒子制御の能力をさらに実証する。
【0042】
図7は、本開示による固体電池構成70の非限定的な例を示す。
図7に示す電池は、第1の集電体72と、第1の集電体72に隣接するアノード層74と、アノード層74に隣接する固体電解質層76と、固体電解質層76に隣接するカソード層78と、カソード層78に隣接する第2の集電体80とを含む。一実施形態では、カソード層78は、十分に高密度のDirectPlate(商標)LiCoO
2(LCO)材料の層を含み得る。一実施形態では、LCO材料は、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し得る。一実施形態では、LCO材料の層は、電解質層に面する滑らかな表面を有し得る。一実施形態では、第1の集電体72は銅系材料を含み得る。一実施形態では、第2の集電体80はアルミニウム系材料を含み得る。一実施形態では、アノード層74は、リチウム、ケイ素、スズ、黒鉛、又は黒鉛ケイ素複合材などのリチウムイオン系活物質を含み得る。使用され得る固体電解質の例には、AlドープLLZO、アルジロダイト、GaドープLLZO、GeS
2、LAGP、LATP、LGPS、Li
2S、LISICON、リン酸リチウム(Li
3PO
4)、LiPON、LLZO、LPS、NbドープLLZO、ナトリウムベータアルミナ、硫化物固体電解質(Li
2S-P
2S
5、Li
2S-P
2S
5-GeS
2、Li
2S-P
2S
5-X(式中、XはCl、Br、Iである)の非晶質、部分結晶、完全結晶形態)、TaドープLLZO、及びWドープLLZOが含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
最も一般的な(バルク)固体電池設計は、典型的には、高い電子的及びイオン的接続性並びに最大の電極材料利用を確実にするために、固体電解質セパレータ(アノードとカソードとの間の固体電解質セパレータ層のみとは対照的に)に加えて、多孔質電極全体にわたって完全に均一に混合された固体電解質を使用する。混合電極設計は、固体電解質領域が活物質と密接に接触することを可能にし、はるかに抵抗性の多孔質活物質複合体ではなく固体電解質を介してイオン伝導が優勢に起こることを確実にする。厚い市販の電極では不可能であるより好ましい固体電池設計は、アノードとカソードとの間の分離層として固体電解質を使用することである。この配置により、固体電解質が少なくて済み(より安価でより高いエネルギー)、製造が簡単になるため好ましい。特に、固体電解質が上面とのみ相互作用する場合、配向を制御する能力は、電力、発熱、安全性、サイクル寿命、及び他の多くの技術的に関連する性能測定基準に影響を及ぼす低抵抗電極/電解質界面を可能にするために極めて重要である。
【0044】
固体電解質を本発明者らのXABCカソードと一体化するための別の重要なパラメータは、
図8A及び
図8Bに示す好ましい柱状の形態などの特定の形態である。
図8Aは、柱状形態及び(110)結晶学的方位を有するLCO82のSEM断面図である。
図8Bは、LCO82内のカラム86の概略
図84である。これらの構造は、液体電解質及び固体電解質の両方に相溶する。また、柱状構造は、カラムが電極の成長方向に単結晶として形成することができ、粒界を効果的に無くすため好ましい。抵抗性粒界が存在しない場合、充放電速度はより高くなり、充放電速度がより高い場合の発熱はより低くなる。
【0045】
LCOを成長させることができるさらに別の形態を
図8C及び
図8Dに示す。
図8Cは、高密度の樹状(110)形態90を有するXABC LCO88のSEM断面図である。
図8Dは、非柱状粒界96を有するLCO94の概略
図92である。これらの非柱状構造体は両方とも液体電解質と相溶しており、固体電解質と相溶していてもよい。
【0046】
図9Aは、低い表面粗さ及び滑らかな柱状形態で成長したXABC LCO98の断面SEMを示す。
図9Bは、低い表面粗さ及び滑らかな柱状形態で成長したXABC LCO100(及び拡大
図102)の上面SEMを示す。
図9Cは、低い表面粗さで成長したXABC LCOの光学プロフィロメトリ測定を示す。ラインスキャンから計算されたここでのRzは1.831μmである。表面粗さは、約1.8μm~約5μm(測定値)に制御することができるが、粗さはこれらの限界を超えて変化し得る可能性が高い(100ナノメートル未満になる可能性がある)。表面粗さは、従来の液体電解質及び固体電解質の両方で使用するために重要である。液体では、粗さは、電荷転送抵抗及び静電容量の成分であり、これは、電池の重要な電気化学的及び性能測定基準、並びに電解質破壊のための追加の部位を決定することができる要因である。
【0047】
固体電池では、短絡を防ぐために電極の上に「在る」分離膜に電解質が置き換わるが、典型的には谷部に堆積又は流動するため、山谷間寸法が固体電解質分離層の最小厚さを決定することが理解されよう。電解質がアノードとカソードとを完全に分離するのに十分な厚さでない場合、セルを短くすることが可能である。さらに、カソード表面粗さは、固体リチウム金属電池におけるリチウムアノードの形態に影響を及ぼす。このアノード構造は、セルの性能に影響を及ぼす。例えば、セル膨潤特性、サイクル寿命、及びセルインピーダンス(網羅的であることを意味しない)は、アノードの表面構造によって影響を受ける。
図10A及び
図10Bは、それぞれカソード108、110を有する電池104、106の概略図である。電池104において、カソード108は、電池106のカソード110と比較して低い表面粗さを有する。有益なことに、電池104において、電解質層112は、電池110の電解質層114とは対照的に「薄く」することができる。
【0048】
市販の電極は、典型的には、最大密度が約70%~約80%である。一方、XABC LCOの密度は、約50%~ほぼ100%の密度で成長させることができ、後者が好ましい。
図7の固体電池の実施形態を使用する場合、密度は100%に近いことが望ましい。さらに、活物質フィルムの高密度は、低密度電極と比較してエネルギー密度を増加させる。1つの好ましい実施形態では、フィルムの唯一の多孔性は、柱状結晶子間の空間に由来する。
図11は、空隙分布がカラム間の条痕として分割されることを示す、柱状のXABC LCO116のSEMである。本明細書に記載の技術を実装するために使用される試料に対して理論的質量計算を実施する場合、フィルムの密度は約99%~約100%である。例えば、
図11に示す15μmの厚さのフィルムの場合、以下の計算を使用して密度を算出する。
【数2】
【数3】
高密度LCOフィルム
【0049】
図12A~
図14Bは、それぞれ(110)及び(003)配向の市販のLCO、XABC LCOのエクスサイチュ電気化学-XRD特性評価を示す。
図12Aは、それらの様々な電位でのXRD分析のために異なる電位で停止した市販のLCOの電圧対容量を示す。
図12Bは、異なるカットオフ電位における市販のLCOのXRDである。
図13Aは、それらの様々な電位でのXRD分析のために異なる電位(ドットで示す)で停止した(110)配向のXABC LCOの電圧対容量を示す。
図13Bは、異なるカットオフ電位での(110)配向のXABC LCOの対応するXRD展開を示す。
図14Aは、円で示される異なる電位で停止した(003)配向のXABC LCOの電圧対容量を示す。
図14Bは、異なるカットオフ電位での(003)配向のXerion LCOの対応するXRD展開を示す。
図12A、
図13A、
図14AのXRDにおける大きなドットは、XRDスペクトルが収集された点を示している。
【0050】
典型的には、LCOの可逆性は、上限電圧が約4.3V vs Li/Li+に制限されている場合に良好である。この電圧を超えると、2つの主要な劣化メカニズムが発生し、1)電解質は加速度的に崩壊し始める、及び2)4.5V vs Li/Li+を超えると、O3からO1スタッキングモチーフにほぼ不可逆的な相変化が起こり、これはサイクル寿命を急速に劣化させる(O3及びO1は結晶材料を構築する原子層の積層順序を示す)。Chenらによる「Staging Phase Transitions in LixCoO2」、Journal of The Electrochemical Society、149(12)A1604-A1609(2002)は、異なる電圧において市販のLCOで生じる結晶学的変化について報告している。報告によると、「充電中に、O3相からの003ピークが初期に徐々に消失し、X相からのピークが同時に成長する。この相転移が終了した後、O1相からの001ピークが成長する一方で、X相からのピークは減少する。4.75Vでは、相転移がまだ完了していないことを示す広い肩部がその左側にあるにもかかわらず、対応するXRDパターンのO1相からの001ピークを見ることができる」。
【0051】
同様の実験を行って、配向されたDirectPlate(商標)LCOがこのタイプの構造劣化に対してより耐性があるかどうかを確認した。
図12は、Chenらによって使用された同じタイプの材料に関する発明者らのデータを示し(固体合成LCO)、これは、本発明者らのDirectPlate(商標)電極への調査に対するベースラインとして機能する。予想通り、ベースライン物質はDunnらの刊行物と同様に挙動した。ただし、
図13A及び
図13Bに示すように、XABC LCOの(110)相の場合は異なる。LCOに最初に割り当てられたXRDピークは依然として4.7Vに存在し、重要なことに、O1相に関連する新しいピークは存在しない。
図14A及び
図14Bでは、(003)XABC試料について同様の傾向を示す。LCOに最初に割り当てられた元のXRDピークは依然として4.7Vに存在し、66°のダブレットピークは、層状構造が保存されていることをいまだ示している。20°に現れる追加のピークは、O3~O1からいくらかの転化があることを示すが、転化率ははるかに低いことが分かる(20°のピークと18°の元のピークとの比で示される)。これは、(110)及び(003)XABC材料の両方が市販の材料よりも相安定性が高いことを示している。この追加の安定性は、配向されたXABC LCOが固体電解質と液体電解質の両方でより高い電圧でより安定して動作することを可能にし、最終的にエネルギー密度を大幅に増加させる。
【0052】
市販の材料と(110)及び(003)配向のXABC LCO材料との間の構造変化の違いは、高温での安定性にも変わる。活物質(例えば、LCO)の熱暴走の開始温度は、臨界安全測定基準である。熱暴走は、電極がある値を超える温度上昇を経験したときに発生し、その時点で、温度は、火災及び爆発につながる自立熱プロセスを通じて上昇し続ける。
【0053】
市販の電極と(110)及び(003)配向のXABC LCO電極の熱安定性を試験し、比較した。試験は以下のように実行された。
【0054】
1.すべての電極を100%充電状態(SOC)までサイクルした。これは、3.0 V vs Li/Li+~4.3V vs Li/Li+で5時間にわたる定電流放電中に抽出できる充電として定義される。
【0055】
2.LCO電極を一晩乾燥させた後、有機電解質中でLCO/Liセルを組み立て、2025型コインセルに封入した。
【0056】
3.LCO/Liセルを2025型コインセルで組み立てた。セルを3時間静置し、次いで、定電流(C/5)を使用して4.3Vまで充電し、続いて電流がC/20に低下するまで定電圧保持した。放電は、C/5の定電流で3Vまで実行された。4回の充放電サイクルの後、セルをC/5で4.3Vまで充電し、停止させた。
【0057】
4.次いで、電極からの電解質を洗浄せずに、アルゴン環境のグローブボックス内で電池を分解した(実用的な熱暴走条件を模倣するために電解質を洗浄せず)。これらの電極をテフロン(登録商標)ジャー(グローブボックス内の)に密封した。
【0058】
5.テフロン(登録商標)ジャーをRTから215℃まで加熱し、その温度で10分間保持した。
【0059】
6.この熱処理後、分析のためにLCO試料を2025個のコインセルに組み立てた。
【0060】
7.これらのセルを上記と同じプロトコルで放電した。
【0061】
熱試験のために電極を予備サイクルするために使用された市販のLCO電極の定電流トレースである、市販のベースライン試料(2.3mAh/cm
2の負荷)に対するこの試験の結果を
図15Aに示す。予想通り、LCOは不可逆的劣化を受ける。約150mAh/gの初期容量は、
図15Bに示すように約80mAh/gに減少し、これは、4.3V Li/Li+で10分間215℃で熱処理した後、液体電解質の存在下での市販のLCO電極の定電流トレースを示す。しかしながら、ここで
図16A及び
図16Bを参照すると、同様の容量の(003)配向のXABC LCO電極試料の場合は著しく異なる。
図16Aは、熱試験のために電極を予備サイクルさせるために使用された、(003)方向に向いているXABC LCO電極の定電流トレースを示す。
図16Bは、4.3V Li/Li+で10分間215℃で熱処理した後の、液体電解質の存在下で(003)方向に向いているXABC LCO電極の定電流トレースを示す。
【0062】
約150mAh/gの初期容量は、熱処理プロセス後に120mAh/gまでわずかに減少し、これは市販のLCO電極よりも著しく良好である。この熱安定性試験後の容量維持率は、(110)配向のXABC LCO電極試料に対して最良である。
図17A及び
図17Bを参照すると、約140mAh/gの初期容量は、熱処理プロセス後にほとんど変化しないままである。
図17Aは、熱試験のために電極を予備サイクルさせるために使用された、(110)方向に向いているXABC LCO電極の定電流トレースを示す。
図17Bは、4.3V Li/Li+で10分間215Cで熱処理した後の、液体電解質の存在下で(110)方向に向いているXABC LCO電極の定電流トレースを示す。これらのデータは、(110)及び(003)配向のXABC LCO電極が、温度が熱暴走の開始温度近くまで上昇した場合、市販のLCOよりも安全であることを示唆している。
【0063】
DSC(示差走査熱量測定)も実施されて、熱安定性をさらに確認した。リチウムイオンバッテリにおける熱プロセスを特徴付けるために使用される一般的な技術であるDSCを利用して、温度の関数として熱流を定量化した。
図18は、XABC LCO及び市販のLCOの両方について収集されたDSCデータを示す。100% SOCでは、XABC LCO電極試料(破線)は、最大約260Cの市販のLCOと比較して、より少ない熱流を示した。さらに、XABC LCO電極試料は、その主要な発熱プロセスが、市販のLCOの約215Cと比較して、約260Cで始まることを示している。さらに、熱暴走に対する安全バッファを提供するため、より高い開始温度が望ましい。
【0064】
図19A及び
図19Bは、XABC LCO及びTEGDMEベースのポリマー電解質の特徴的な電圧対SOC曲線を示し、これは、低い表面粗さ、ほぼ100%の密度、及び(110)配向を有するXABC LCO電極を使用する機能性電池を示す。
図19Aは、
図7の図に従って構築されたXABC LCO∥TEGDMEポリマー電解質∥リチウムの定電流トレースを示す。[
図19B]
図7の図に従って構築されたXABC LCO∥TEGDMEポリマー電解質∥リチウムのサイクル寿命安定性グラフを示す。
【0065】
これらのデータは、密度、表面粗さ、及び固体電解質などの電極パラメータ間の相乗効果の重要性を裏付けている。予想されるように、配向は、表面エネルギー、表面反応性、拡散性及びイオン/電子伝導性の詳細な相互作用のために電池性能に大きな影響を及ぼすことが分かった。
【0066】
固体用途のためのLCOを作製するための一般的な方法はスパッタコーティングであるが、LCOをスパッタコーティングする大きな制限は、堆積後熱処理ステップの要件である。この追加のステップは、製造の複雑さ及びコストを増大させ、適合する基板の選択を制限する。
図20は、熱処理あり及び熱処理なしのXABC LCOの定電流トレースを示す。
図20から分かるように、本明細書に記載のXABC電極は、この追加の熱処理ステップを必要としない。
【0067】
本明細書の説明から、本開示は、以下を含むがこれらに限定されない複数の実施態様を包含することが理解されよう。
【0068】
電極、電池用のアクティブスタック内の電極又は電池内の電極であって、電極が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択される結晶方位を有するLiCoO2(LCO)電極層を含む。
【0069】
電極、電池用のアクティブスタック内の電極又は電池内の電極であって、電極が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択される結晶方位を有するLiCoO2(LCO)電極層を含み、
前記電極層が、(i)高密度、(ii)約1μm未満~約200μm以上の厚さ、(iii)少なくとも1つの滑らかな表面、及び(iv)表面間に導電経路を生成する前記表面間に連続的な粒子を有する表面、のうちの1つ以上の特性を有する材料を含む。
【0070】
改良された電極は、十分に高密度のLiCoO2(LCO)電極層を含み、前記電極層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する。
【0071】
十分に高密度のLiCoO2(LCO)材料の層を含み、前述のLiCoO2(LCO)材料の層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、電池用電極。
【0072】
アノード層と、カソード層と、アノード層とカソード層との間の電解質層とを含み、カソード層が、十分に高密度のLiCoO2(LCO)材料の層を含み、LiCoO2(LCO)材料が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、電池用アクティブスタック。
【0073】
電解質層が、固体電解質層を含み、LiCoO2(LCO)材料の層が、電解質層に面する滑らかな表面を有する、任意の前述又は後述の実施態様のアクティブスタック。
【0074】
アノード層がリチウムイオン系活物質(例えば、リチウム、ケイ素、スズ、黒鉛、及び黒鉛/ケイ素複合体)の層を含む、任意の前述又は後述の実施態様のアクティブスタック。
【0075】
第1の集電体と、第1の集電体に隣接するアノード層と、アノード層に隣接する電解質層と、電解質層に隣接するカソード層と、カソード層に隣接する第2の集電体と、を含み、カソード層が、十分に高密度のLiCoO2(LCO)材料の層を含み、LiCoO2(LCO)材料が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、電池。
【0076】
電解質層が固体電解質層を含み、LiCoO2(LCO)材料の層が、電解質層に面する滑らかな表面を有する、任意の前述又は後述の実施態様の電池。
【0077】
アノード層がリチウムイオン系活物質(例えば、リチウム、ケイ素、スズ、黒鉛、及び黒鉛/ケイ素複合体)の層を含む、任意の前述又は後述の実施態様の電池。
【0078】
第1の集電体が銅系材料を含む、任意の前述又は後述の実施態様の電池。
【0079】
第2の集電体がアルミニウム系材料を含む、任意の前述又は後述の実施態様の電池。
【0080】
十分に高密度のLiCoO2(LCO)電極層を含み、前述の電極層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、前述の電極層が、約1μm未満~約200μm以上の厚さを有し、前述の電極層が、少なくとも1つの滑らかな表面を有し、前述の電極層が、表面間に導電経路を生成する表面間に連続的な粒子を有する表面を有する、改良された電極。
【0081】
十分に高密度のLiCoO2(LCO)材料の層を含み、前述のLiCoO2(LCO)材料の層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、前述の電極層が、約1μm未満~約200μm以上の厚さを有し、前述の電極層が、少なくとも1つの滑らかな表面を有し、前述の電極層が、表面間に導電経路を生成する表面間に連続的な粒子を有する表面を有する、電池用電極。
【0082】
アノード層と、カソード層と、アノード層とカソード層との間の電解質層と、を含む電池用アクティブスタックであって、前述のカソード層が、十分に高密度のLiCoO2(LCO)材料の層を含み、前述のLiCoO2(LCO)材料が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、前述のカソード層が、約1μm未満~約200μm以上の厚さを有し、前述のカソード層が、少なくとも1つの滑らかな表面を有し、前述のカソード層が、表面間に導電経路を生成する表面間に連続的な粒子を有する表面を有する、電池用アクティブスタック。
【0083】
電解質層が、固体電解質層を含み、LiCoO2(LCO)材料の層が、電解質層に面する滑らかな表面を有する、任意の前述又は後述の実施態様のアクティブスタック。
【0084】
アノード層がリチウムイオン系活物質(例えば、リチウム、ケイ素、スズ、黒鉛、及び黒鉛/ケイ素複合体)の層を含む、任意の前述又は後述の実施態様のアクティブスタック。
【0085】
第1の集電体と、第1の集電体に隣接するアノード層と、アノード層に隣接する電解質層と、電解質層に隣接するカソード層と、カソード層に隣接する第2の集電体と、を含む電池であって、前述のカソード層が、十分に高密度のLiCoO2(LCO)材料の層を含み、前述のLiCoO2(LCO)材料が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、前述のカソード層が、約1μm未満~約200μm以上の厚さを有し、前述のカソード層が、少なくとも1つの滑らかな表面を有し、前述のカソード層が、表面間に導電経路を生成する表面間に連続的な粒子を有する表面を有する、電池。
【0086】
電解質層が固体電解質層を含み、LiCoO2(LCO)材料の層が、電解質層に面する滑らかな表面を有する、任意の前述又は後述の実施態様の電池。
【0087】
アノード層がリチウムイオン系活物質の層を含む、任意の前述又は後述の実施態様の電池。
【0088】
第1の集電体が銅系材料を含む、任意の前述又は後述の実施態様の電池。
【0089】
第2の集電体がアルミニウム系材料を含む、任意の前述又は後述の実施態様の電池。
【0090】
電極を形成するXABC法。
【0091】
XABC LCO電極。
【0092】
XABC法に従って作られたXABC LCO電極。
【0093】
XABC LCO電極を使用する装置。
【0094】
LCOがXABC LCOを含む、任意の前述の実施態様の構造。
【0095】
任意の前述の実施態様の構造を作る方法。
【0096】
XABC LCOの固体の実施態様。
【0097】
電極が、液体電解質及び場合により固体電解質に対して約10%~約100%の密度を有する、任意の前述の実施態様の電極、アクティブスタック、電池、装置又は方法。
【0098】
(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有するLiCoO2(LCO)電極層を含む電池用電極。
【0099】
(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有するLiCoO2(LCO)電極層を含み、前述の電極層が、(i)高密度、(ii)約1μm未満~約200μm以上の厚さ、(iii)少なくとも1つの滑らかな表面、(iv)表面間に導電経路を生成する表面間に連続的な粒子を有する表面のうちの1つ以上の特性を有する材料を含む、電池用電極。
【0100】
十分に高密度のLiCoO2(LCO)電極層を含み、前述の電極層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、電池用電極。
【0101】
十分に高密度のLiCoO2(LCO)材料の層を含み、前述のLiCoO2(LCO)材料の層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、電池用電極。
【0102】
十分に高密度のLiCoO2(LCO)電極層を含み、前述の電極層が、(110)、(101)、(104)及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、前述の電極層が、約1μm未満~約200μm以上の厚さを有し、前述の電極層が、少なくとも1つの滑らかな表面を有し、前述の電極層が、表面間に導電経路を生成する表面間に連続的な粒子を有する表面を有する、電池用電極。
【0103】
十分に高密度のLiCoO2(LCO)材料の電極層を含み、前述のLiCoO2(LCO)材料の電極層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、前述の電極層が、約1μm未満~約200μm以上の厚さを有し、前述の電極層が、少なくとも1つの滑らかな表面を有し、前述の電極層が、表面間に導電経路を生成する表面間に連続的な粒子を有する表面を有する、電池用電極。
【0104】
電極が電池の構成要素である、任意の前述の実施態様の電極。
【0105】
電極層を有する電池において、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有するLiCoO2(LCO)電極層を含む改良。
【0106】
電極層を有する電池において、十分に高密度のLiCoO2(LCO)電極層を含み、前述の電極層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、改良。
【0107】
電極層を有する電池において、十分に高密度のLiCoO2(LCO)電極層を含み、前述の電極層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、前述の電極層が、約1μm未満~約200μm以上の厚さを有し、前述の電極層が、少なくとも1つの滑らかな表面を有し、前述の電極層が、表面間に導電経路を生成する表面間に連続的な粒子を有する表面を有する、改良。
【0108】
電極層を有する電池において、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有するLiCoO2(LCO)電極層を含み、前述の電極層が、(i)高密度、(ii)約1μm未満~約200μm以上の厚さ、(iii)少なくとも1つの滑らかな表面、(iv)表面間に導電経路を生成する表面間に連続的な粒子を有する表面のうちの1つ以上の特性を有する材料を含む、改良。
【0109】
電極層を有する電池において、十分に高密度のLiCoO2(LCO)材料の層を含み、前述のLiCoO2(LCO)材料の層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、改良。
【0110】
電極層を有する電池において、十分に高密度のLiCoO2(LCO)材料の電極層を含み、前述のLiCoO2(LCO)材料の電極層が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、前述の電極層が、約1μm未満~約200μm以上の厚さを有し、前述の電極層が、少なくとも1つの滑らかな表面を有し、前述の電極層が、表面間に導電経路を生成する表面間に連続的な粒子を有する表面を有する、改良。
【0111】
アノード層と、カソード層と、アノード層とカソード層との間の電解質層と、を含み、カソード層が、十分に高密度のLiCoO2(LCO)材料の層を含み、LiCoO2(LCO)材料が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、電池用アクティブスタック。
【0112】
アノード層と、カソード層と、アノード層とカソード層との間の電解質層と、を含む電池用アクティブスタックであって、前述のカソード層が、十分に高密度のLiCoO2(LCO)材料の層を含み、前述のLiCoO2(LCO)材料が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、前述のカソード層が、約1μm未満~約200μm以上の厚さを有し、前述のカソード層が、少なくとも1つの滑らかな表面を有し、前述のカソード層が、表面間に導電経路を生成する表面間に連続的な粒子を有する表面を有する、電池用アクティブスタック。
【0113】
電解質層が固体電解質層を含み、LiCoO2(LCO)材料の層が、電解質層に面する滑らかな表面を有する、任意の前述の実施態様のアクティブスタック。
【0114】
アノード層がリチウムイオン系活物質の層を含む、任意の前述の実施態様のアクティブスタック。
【0115】
第1の集電体と、前記第1の集電体に隣接するアノード層と、前記アノード層に隣接する電解質層と、前記電解質層に隣接するカソード層と、前記カソード層に隣接する第2の集電体と、を含み、前記カソード層が、十分に高密度のLiCoO2(LCO)材料の層を含み、前記LiCoO2(LCO)材料が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有する、電池。
【0116】
第1の集電体と、前記第1の集電体に隣接するアノード層と、前記アノード層に隣接する電解質層と、前記電解質層に隣接するカソード層と、前記カソード層に隣接する第2の集電体と、を含む電池であって、前記カソード層が、十分に高密度のLiCoO2(LCO)材料の層を含み、前記LiCoO2(LCO)材料が、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶方位を有し、前記カソード層が、約1μm未満~約200μm以上の厚さを有し、前記カソード層が、少なくとも1つの滑らかな表面を有し、前記カソード層が、表面間に導電経路を生成する前記表面間に連続的な粒子を有する前記表面を有する、電池。
【0117】
前記電解質層が、固体電解質層を含み、前記LiCoO2(LCO)材料の層が、前記電解質層に面する滑らかな表面を有する、前述したいずれかの実施態様の電池。
【0118】
前記アノード層がリチウムイオン系活物質の層を含む、前述したいずれかの実施態様の電池。
【0119】
前記第1の集電体が銅系材料を含む、前述したいずれかの実施態様の電池。
【0120】
前記第2の集電体がアルミニウム系材料を含む、前述したいずれかの実施態様の電池。
【0121】
LiOHとKOHとの混合物を形成することと、LiOHとKOHとの前記混合物を加熱することによって溶融物を形成することと、CoOを添加し、CoOを前記溶融物内で溶解することと、アルミニウム基板を前記溶融物に挿入し、LiCoO2を、(110)、(101)、(104)、及び(003)からなる群から選択された結晶学的方位を有する前記アルミニウム基板上に電気めっきすることと、を含み、前記結晶学的方位が前記電気めっきの関数である、電極材料を形成する方法。
【0122】
LiOHとKOHとの前記混合物が、約8gのKOHと約0.75gのLiOHとを含む、前述したいずれかの実施態様の方法。
【0123】
LiOHとKOHとの前記混合物を約350℃に加熱することと、約0.5gのCoOを前記混合物に添加することと、をさらに含む、前述したいずれかの実施態様の方法。
【0124】
作用電極と対極との間に約1mA/cm2の低い定電流密度を印加することによって(003)配向のLiCoO2を形成することをさらに含む、前述したいずれかの実施態様の方法。
【0125】
作用電極と対極との間に約30mA/cm2のパルスを約2秒間印加し、パルス間に約5秒間休止することによって(001)配向のLiCoO2を形成することをさらに含む、前述したいずれかの実施態様の方法。
【0126】
作用電極と対極との間に約20mA/cm2のパルスを約5秒間印加し、パルス間に約5秒間休止することによって、多結晶(110)、(001)配向のLiCoO2を形成することをさらに含む、前述したいずれかの実施態様の方法。
【0127】
作用電極と対極との間に約20mA/cm2のパルスを約2秒間印加し、パルス間に約5秒間休止することによって(110)配向のLiCoO2を形成することをさらに含む、前述したいずれかの実施態様の方法。
【0128】
本明細書で使用される場合、「実施態様」という用語は、本明細書に記載の技術を実施する実施形態、実施例、又は他の形態を含むが、これらに限定されないことを意図している。
【0129】
本明細書で使用されるとき、単数形の用語「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含むことができる。単数形の対象物への言及は、明示的に述べられていない限り、「1つだけ」を意味することを意図しておらず、むしろ「1つ又は複数」を意味する。
【0130】
本開示内の「A、B及び/又はC」などの表現構成体は、A、B、もしくはCのいずれかが存在し得る場合か、又は事項A、B及びCの任意の組み合わせを記述する。要素を列記する群が後に続く「のうちの少なくとも1つ(at least one of)」などの表現構成体は、これら群要素のうちの少なくとも1つが存在することを示し、これには、適用可能な場合、列記された要素の任意の可能な組み合わせが含まれる。
【0131】
「一実施形態(an embodiment)」、「少なくとも1つの実施形態(at least one embodiment)」、又は同様の実施形態の言い回しに言及する、本開示における言及は、記載された実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、これらの様々な実施形態の語句は、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及しているわけではないし、記載されている他のすべての実施形態と異なる特定の実施形態に言及しているわけでもない。実施形態語句は、所与の実施形態の特定の特徴、構造、又は特性が、開示された装置、系、又は方法の1つ以上の実施形態において任意の適切な仕方で組み合わされ得ることを意味すると解釈されるべきである。
【0132】
本明細書で使用されているように、「セット」という用語は、1つ又は複数の対象物の集合を指す。したがって、例えば、対象物のセットは単一の対象物又は複数の対象物を含むことができる。
【0133】
第1及び第2、頂部及び底部などの関係用語及び類似のものは、必ずしもそのようなエンティティ又は動作間の実際のそのような関係又は順序を必ずしも必要とせず、又は暗示せずに、1つのエンティティ又は動作を別のエンティティ又は動作から区別するためにのみ使用され得る。
【0134】
「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「含有する(contains)」、「含有している(containing)」という用語、又はそれらの任意の他の変形は、非排他的包含を網羅することを意図しており、その結果、要素のリストを含む、有する、含む、含有するプロセス、方法、物品、又は装置は、それらの要素を含まないだけでなく、明示的に列挙されていない、又はそのようなプロセス、方法、物品、若しくは装置に固有の他の要素を含んでもよい。「1つの~を含む」、「1つの~を有する」、「1つの~を含む」、「1つの~を含有する」の後に続く要素は、さらなる制約なしに、その要素を含む、有する、含む、含有するプロセス、方法、物品、又は装置における追加の同一の要素の存在を排除するものではない。
【0135】
本明細書で使用されているように、「概ね」、「概ねの」、「実質的に」及び「約」という用語又はそれらの他のバージョンは、小さな変動を記述し、説明するために使用されている。事象又は状況と併せて使用される場合、その用語は、その事象又は状況が厳密に発生する場合だけでなく、その事象又は状況が緊密な近似で発生する場合も指すことができる。数値と共に使用される場合、その用語は、その数値の±10%以下、例えば±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、又は±0.05%以下などの変動の範囲を指すことができる。例えば、「実質的に」整列されたとは、±10°以下、例えば±5°以下、±4°以下、±3°以下、±2°以下、±1°以下、±0.5°以下、±0.1°以下、又は±0.05°以下などの範囲の角度変動を指すことができる。
【0136】
さらに、量、比率、及び他の数値は、本明細書では時には範囲の形式で提示することができる。そのような範囲の形式は便宜上及び簡潔さのために使用され、範囲の限界として明示的に特定された数値を含むように柔軟に理解されるべきであるが、しかし、あたかも各数値及び部分範囲が明示的に特定されているかのように、その範囲内に包含されるすべての個々の数値又は部分範囲も含む。例えば、約1から約200の範囲の比は、明示的に列挙された約1から約200の範囲を含むが、約2、約3、及び約4などの個々の比、ならびに約10から約50、約20から約100などの部分範囲も含むと理解すべきである。
【0137】
本明細書で使用される「結合される」という用語は、接続されていると定義されるが、必ずしも直接的ではなく、必ずしも機械的ではない。特定の方法で「構成される」デバイス又は構造は、少なくともそのように構成されるが、列挙されていない方法で構成されてもよい。
【0138】
利益、利点、問題に対する解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策を発生させるか、又はより顕著にする可能性がある任意の要素(複数可)は、本明細書に記載の技術又は任意の若しくはすべての特許請求の範囲の重要な、必要な、又は本質的な特徴又は要素として解釈されるべきではない。
【0139】
追加で、前述の開示では、本開示を簡素化する目的で、様々な実施形態において様々な特徴を一緒にグループ化することができる。この開示方法は、特許請求される実施形態が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。本発明の主題は、単一の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴の中にあり得る。
【0140】
本開示の要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために提供される。それは、特許請求の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないことを理解して提出される。
【0141】
いくつかの司法権の実施は、その出願が提出された後に本開示の1つ以上の部分の削除を必要とし得ることが理解されよう。したがって、読者は、本開示の元の内容について出願時の出願を参照すべきである。本開示の内容のいかなる削除も、出願当初の出願のいかなる主題の放棄、喪失又は公開への貢献として解釈されるべきではない。
【0142】
以下の特許請求の範囲は、本明細書によって本開示に組み込まれ、各請求項は、別個に特許請求される主題として独立している。
【0143】
本明細書の記載には多くの詳細が含まれるが、これらは、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきものではなく、現時点で好ましい実施形態のいくつかの例を提供したものにすぎない。したがって、本開示の範囲は、当業者に明らかになりうる他の実施形態をすべて包含することを認識されたい。
【0144】
当業者に知られている開示された実施形態の要素と構造的及び機能的に等価のものはすべて、本明細書に参照により明確に援用されたものとされ、本特許請求の範囲に包含されるものとする。さらに、本開示にない要素、構成部品又は方法ステップは、その要素、構成部品又は方法ステップが特許請求の範囲に明確に記載されているか否かにかかわらず、公にされるためのものであることが意図される。本願の請求項の要素は、「~するための手段」という表現を用いて明確に要素を記載していない限り、「ミーンズ・プラス・ファンクション」として解釈されるべきではない。本願の請求項の要素は、「~するためのステップ」という表現を用いて明確に要素を記載していない限り、「ステップ・プラス・ファンクション」として解釈されるべきではない。
【表1】