(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】経路区間評価方法及び車両操作方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20240617BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20240617BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240617BHJP
【FI】
G01C21/26 C
B60W40/02
B60W60/00
(21)【出願番号】P 2022558477
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(86)【国際出願番号】 EP2021054201
(87)【国際公開番号】W WO2021190840
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】102020108508.7
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【氏名又は名称】真田 有
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイル アンドレーアス
(72)【発明者】
【氏名】マファート マクシミリアン
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-038359(JP,A)
【文献】特開2020-038200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
B60W 40/02
B60W 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランドマークベースの車両位置特定のためのランドマークが保存されているデジタルマップ(2)の経路区間(FS1からFS3)を車両(8)の自動運転操作への適合性に関して評価するための方法であって、
前記デジタルマップ(2)の各経路区間(FS1からFS3)は、
-ランドマークの
前記各経路区間に存在するランドマークの数を表す空間的密度が決定され、
-前記ランドマークの予想される認識性が、所定の環境条件において、車両センサーシステム(3)によって決定され、
-前記ランドマークの前記決定された
空間的密度および
前記ランドマークの前記決定された予想される認識性
をそれぞれ用いて、所定の操作モードまたは所定の運転操作に必要な最低限の精度で経路区間(FS1からFS3)上に車両(8)を位置特定できるかどうかの分類が行われ、
-分類結果は前記経路区間(FS1からFS3)に割り当てられた経路属性にデータセットとして保存され、前記経路属性は、所定の操作モードまたは運転操作のうちのいずれについて、並びに、所定の環境条件のうちのいずれにおいて、前記ランドマークベースの車両位置特定の最低限の精度のための要件が満たされるかを示す
ことを特徴とする、経路区間評価方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記経路区間(FS1からFS3)に存在する各車線について、または、車線内の前記車両(8)の異なる横方向偏差について、前記予想される認識性が決定される
ことを特徴とする、経路区間評価方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記分類結果および前記対応する経路属性によって、どの車線または前記車両(8)のどの横方向偏差において、前記それぞれの操作モードまたは前記それぞれの運転操作に必要な前記車両位置特定の最低限の精度を維持することができるかが示される
ことを特徴とする、経路区間評価方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の方法であって、
前記分類結果および前記対応する経路属性によって、どの車線または前記車両(8)のどの横方向偏差が前記それぞれの操作モードまたは前記それぞれの運転操作に最も適しているかが示される
ことを特徴とする、経路区間評価方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法であって、
前記分類が車外の中央演算装置(9)において実行される
ことを特徴とする、経路区間評価方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ランドマークの
認識性または現在の
前記環境条件についての情報は、前記車両(8)が前記ランドマークを通過する間に記録される
ことを特徴とする、経路区間評価方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
光の条件、時間帯、降水または周辺の物体の特性が
前記環境条件として考慮される
ことを特徴とする、経路区間評価方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法であって、
-車両(8)の完全自動運転モード、車両(8)の高度な自動運転モードまたは特定の速度範囲における車両(8)の操作が操作モードとして指定されている、または
-車線キープ操作、車線変更操作、追い越し操作または旋回操作が運転操作として指定されている
ことを特徴とする、経路区間評価方法。
【請求項9】
前記請求項1~8のいずれか一項に記載の方法で決定された経路属性に基づいて車両(8)の操作するための方法であって、
-特定の操作モードまたは運転操作が許可あるいは阻止され、または
-自動運転操作中に守るべき経路、車線、横方向偏差または運転速度が決定される
ことを特徴とする、車両操作方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記経路属性は中央
演算装置(9)から前記車両(8)によって取得される
ことを特徴とする、車両操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1のプリアンブルに記載の経路区間を評価するための方法に関するものである。
【0002】
更に、本発明は車両を操作するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
WO 2018/197255 A1から、車両の完全自動運転操作の方法が知られており、その方法では、車両はデジタルマップの中に保存されているランドマークを用いて位置特定されている。ここでは、完全自動運転操作は、そのような運転操作のために承認された道路の区間のみで許可されている。この承認のための前提条件は、車両が先行の経路区間上で位置特定され得る位置特定の精度が、それぞれの経路に応じて予め定義された要件を満たしていることである。ここでは、前方の経路区間の位置特定の精度は、デジタルマップ内に保存されているランドマークの空間的密度をベースに予測される。
【0004】
更に、前方の経路区間上での車両の自律操作方法はDE 10 2014 014 120 A1から知られている。車両の自律操作は、前方の経路の所定の距離について、車両の位置が所定の制限値よりも良い位置的精度で車両内で決定され、道路のコース上のデジタルマップデータが所定の制限値よりも優れた位置的精度で利用可能である場合にのみ承認される。
【0005】
未公開のDE 10 2019 007 861.6には、車両の自動運転操作のための経路を承認する方法が記載されており、自動運転操作中にランドマークベースの車両の位置特定に用いられるデジタルマップによって、車両の縦方向および横方向の位置特定への適合性に関して、経路のコースの関数として予め定義された要件を満たすランドマークが経路に沿って存在すると判断された場合に、車両の前方の経路は車両の自動運転操作のために承認される。さらに、自動運転操作の車両の最大運転速度は、車両の位置特定精度をベースに、および経路区間の関数として特定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、最新技術と比較して改善された、車両の自動運転操作への適合性に関してデジタルマップの経路区間を評価するための方法、および車両を操作するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、前記目的は請求項1で特定されている特徴を有する経路区間を評価するための方法と、請求項9で特定されている特徴を有する車両を操作するための方法によって解決される。
【0008】
本発明の有利な設計は、従属請求項の主題である。
【0009】
車両の自動運転操作への適合性に関して、ランドマークベースの車両位置特定のためのランドマークがデジタルマップに保存されているデジタルマップの経路区間を評価するための方法において、本発明によれば、ランドマークの空間的密度がデジタルマップの各経路区間について決定される。更に、予め定義された周囲条件のもと、車両センサーシステムによるランドマークの予想される検知性が経路の各区間について決定され、決定されたランドマークの密度及び検知性に基づいて、予め定義された操作モードまたは予め定義された運転操作のために必要な最低限の精度で、車両が経路区間上で位置特定されることができるかどうかの分類が行われる。更に、デジタルマップの各経路区間について、分類結果が、経路区間に割り当てられた経路属性にデータセットとして保存され、経路属性は、予め定義された運転モードまたは運転操作のうちのいずれについて、予め定義された環境条件のうちのいずれのもとで、ランドマークベースの車両位置特定の最低限の精度に必要な要件が満たされているかを示す。
【0010】
車両、例えば、自動、特に高度の自動あるいは自律運転車両のマップベースの位置特定の精度は、ローカルの検知可能な環境におけるデータ割り当てのための、利用可能なランドマークの数および特徴に少なくとも部分的に依存している。しかし、利用可能なランドマークの数が少ない場合、これらのランドマークに基づいた初期(primaren)位置特定機能の精度は、判定された車両の姿勢がもはや十分に正確ではなくなり、オドメーターデータに基づいた推測航法などの代替方法が、車両の姿勢を一時的に判定するために使用されなくてはならない。但し、これらの代替方法は、一般的にマップ特徴ベースの位置特定よりも精度が低く、特に中速から高速における自動運転車両等の車両の姿勢における高い不確実性にすぐにつながる。
【0011】
更に、特定の状況において、車両の性能に著しく影響を及ぼす故障または制限の発生後、自動運転車両は、安全な場所、例えば、数百メートル離れているかもしれない路肩などに到達するまで最大2分間という長い距離を自動的にカバーしなければならない。
【0012】
更に、ランドマークの突然の不足は、位置特定またはマップベースで決定される車両姿勢の急激な性能低下あるいは喪失にさえつながる可能性があり、その結果、より遠くの安全な場所へ到達できなかったり、または、例えば、非常ブレーキを実行することで安全な状態への安全軌道を辿る機会が制限されるという虞がある。
【0013】
ランドマークベースの車両の位置特定が基本的に十分な精度で依然として可能である場合であっても、例えば、ISO 26262に従った結果の完全性は低くなり得る。これは、特徴のひとつのタイプ、例えば、いわゆるポールのみが、あるいは、センサーモダリティのひとつのタイプ、例えば、ライダーのみがいわゆる自動車安全水準B、略してASIL Bを満たすが、ASIL Dを満たさない場合、自動運転車両もそのような完全性の低下に反応し、その性能を軽減させなければならないことを意味する。
【0014】
但し、本方法によって、自動運転車両の姿勢の高い不確実性または低い完全性につながる可能性がある、ランドマークの密度が低い経路区間は、例えば、a-prioriマップまたは動的マップデータなどのマップデータ、および環境認知の評価に基づいて、車両の将来的な運転経路のために予測されることができる。ランドマークの密度が低いこのような経路区間が車両の経路上に位置する場合、自動運転車両の挙動または軌道は、少数のランドマークに基づく安全な自動操作のための車両の十分に正確で、安全で、冗長な姿勢が、位置特定機能によって依然として提供され得るように適合され得る。代替的にあるいは付加的に、当該方法によって、車両の十分に正確で、安全で、冗長な姿勢を提供するための安全要件が低く、より少ないランドマークで実行することができる適合された、例えばダウングレードされたモードで車両を操作することができる。
【0015】
これは、車両の自動運転操作のためのデジタルマップの経路区間の適合性を予測することで、自動化された車両は積極的に前もってランドマークの密度の減少または検知性の低下に反応することができ、危険な事象または困難な状況につながり得る位置特定の重大な徐々のあるいは突然の喪失を回避することができることを意味する。
【0016】
本方法の可能な設計では、予想される検知性は、経路区間に存在する各車線、あるいは車線内の車両の異なる横方向偏差について決定される。これは、各車線または横方向偏差についてランドマークの検知性の正確な予測を可能にし、したがって、自動運転車両の操作に使用されるとき、安全性に関する最適化された運転経路の決定を可能にする。
【0017】
本方法の更なる可能な設計では、分類結果および関連する経路属性は、どの車線あるいは車両のどの横方向偏差において、それぞれの操作モードまたはそれぞれの運転操作に必要な車両の位置特定の最低限の精度が維持され得るのかを示すために使用される。自動運転車両の操作に使用されるとき、これは安全性に関して、最適化された経路が決定されることも可能にする。
【0018】
本方法の更なる可能な設計では、分類結果および関連する経路属性は、どの車線または車両のどの横方向偏差が、それぞれの操作モードまたはそれぞれの運転操作に最適であるかを示すために使用される。これは、車両が安全に目標に到達する確率が最も高い操作モードを事前に選択することを可能にする。
【0019】
本方法の更なる可能な設計では、分類は、例えば、いわゆるバックエンドサーバーと呼ばれる車外の中央演算装置で行われる。一方では、これは、分類を行うために車両自体に追加の演算能力が必要ではないことを意味する。更に、分類は多数の車両に対して集中的に実行できるため、効率も良く、経済的である。
【0020】
本方法の更なる可能な設計では、ランドマークの認識性または現在の環境条件についての情報がランドマークを通過する間に車両によって記録される。このようにして収集された情報は、経路区間を分類するために車両自体の中で分散して処理されるか、あるいは分類を行う車外の適切な中央演算装置に送信することが可能である。多数の車両のために、ランドマークの認識性についての非常に信頼できる情報の収集が可能であり、これは分類の信頼性を大幅に向上させることができる。
【0021】
本方法の更なる可能な設計では、以下が周囲条件として考慮される。
-昼間、夜間あるいは太陽の眩しさ等の光の条件
-時間帯
-雨、雪および霧などの降水、または
-例えば反射性等の周辺の物体の特性
環境条件のこの考慮は、事前に実施することができる積極的な回避であって、例えば、検知に悪影響を及ぼす気象条件の変化によって突然発生する可能性がある、ランドマークの密度または検知性の低下による車両の位置特定の重大な徐々のあるいは突然の喪失の回避を可能にする。従って、これらの環境条件に適合した軌道区間の分類を実行することができる。結果的に、異なる分類が異なる環境条件について実行され得、それは、状況関連手法、つまり、経路を計画するときに、車両のその後の走行中に存在する環境条件に応じて使用され得る。
【0022】
本方法の更なる可能な設計では、車両の完全自動運転モード、車両の高度な自動運転モードまたは特定の速度範囲における車両の操作が操作モードとして指定され、車線キープ操作、車線変更操作、追い越し操作または旋回操作が運転操作として指定される。操作モードまたは運転操作のこの指定は、経路の属性を考慮して、車両のための安全な運転経路の個別に適合された決定を可能にする。
【0023】
車両を操作する方法では、本発明によれば、特定の操作モードまたは運転操作が承認または阻止され、自動運転操作中に守られるべき経路、車線、横方向偏差または運転速度が、前述の方法で決定された経路属性の関数として決定される。
【0024】
本方法によって、車両の操作の安全性および信頼性を向上させることができる、なぜならば、自動運転車両の姿勢の高い不確実性または低い完全性につながるランドマークの密度が低い経路区間は、例えばa-prioriマップまたは動的マップデータといったマップデータの評価、および環境認知に基づいて、車両の将来の運転経路を予測され得るからである。本方法を実行するとき、自動運転車両の挙動または軌道は、例えば位置特定機能によって、車両の十分に正確で、安全で、冗長な姿勢が依然として、少数のランドマークに基づいた安全な自動操作のために提供され得るように、既知の経路属性に簡単な方法で適合され得る。代替的にあるいは付加的に、本方法によって、車両の十分に正確で、安全で、冗長な姿勢を提供するための安全要件が低く、より少ないランドマークによって実行できる適合された、例えばダウングレードされたモードで車両を操作することができる。
【0025】
本方法の可能な設計では、経路属性は、例えばバックエンドサーバーと呼ばれる中央演算装置から車両によって検索される。一方では、これは、分類を行うために車両自体に追加の演算能力が必要ではないことを意味する。更に、分類は多数の車両のために集中的に実行することができるため、効率が良く、経済的である。分類のために必要な情報が多数の車両によって収集された場合、中央演算装置によって特に正確で信頼できる経路属性が生成され、各車両が利用することができる。
【0026】
本発明の例示的な実施形態が下記に図面を用いてさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】現行技術による車両を操作するためのデバイスの模式的なブロック図である。
【
図2】車両を操作するためのデバイスの模式的なブロック図である。
【
図3】は、複数の経路区間を有する車両の運転経路の模式的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
全ての図において、互いに対応する部分には同じ参照符号が付されている。
【0029】
図1は先行技術による自動、特に高度の自動あるいは自律運転車両を操作するためのデバイス1のブロック図を示す。
【0030】
デバイス1は、デジタルマップ2、車両センサーシステム3、位置特定装置4、車両環境のモデルを生成するためのモデリング装置5、および挙動計画装置6を備える。
【0031】
位置特定装置4によって、車両は、車両センサーシステム3によって検知された環境データ、例えば検知されたランドマーク、またはデジタルマップ2のマップデータ、例えばマップに保存されているランドマークに基づいて車両環境において位置特定される。
【0032】
この位置特定によって、車両姿勢がモデリング装置5に送信され、モデリング装置5は車両環境のモデルを生成する。このモデルに基づいて、挙動計画装置6は自動運転中の車両の将来の挙動を計画する。
【0033】
図2は、
図3で示されている自動、特に高度の自動あるいは自律運転車両8を操作するためのデバイス7の可能な例示的な実施形態のブロック図を示す。デバイス7の基本的な機能は
図1で示されているデバイス1の機能に対応する。
【0034】
車両8のマップベースの位置特定の精度は、ローカルの検知可能な車両環境におけるデータマッピングのためのいくつかの利用可能なランドマークおよび特徴に少なくとも部分的に依存する。しかし、少数のランドマークしか存在しない場合、これらのランドマークに基づいて位置特定装置4によって実行される初期位置特定機能の精度は、決定された車両姿勢がもはや十分な精度ではなくなり、オドメーターデータに基づいた推測航法等の代替方法が、車両の姿勢を一時的に決定するために使用されなくてはならない。但し、これらの代替方法は、一般的にマップ特徴ベースの位置特定よりも精度が低く、特に中速から高速において車両姿勢を決定する際に高い不確実性にすぐにつながる。
【0035】
ランドマークの不足は、例えば、認知可能なランドマークとして(推測的に、a priori)使用され得る、建物、電柱または車線マーキングの無い国道等の環境の特性から、静的な原因および結果を有し得る。但し、ランドマークの不足は、例えば、ランドマークを検知する車両センサーシステム3の性能を制限する条件から動的な原因や結果を有することもある。これらは、例えば、太陽の眩しさまたは雪等の好ましくない環境条件、あるいは、車両センサーシステム3の視野を遮る車両、トラックあるいはバス等の交通シナリオであり得る。
【0036】
この問題を解決するために、
図3でより詳しく示されている経路区間FS1からFS3が、ランドマークベースの車両位置特定のためにランドマークが保存されているデジタルマップ2において、車両8の自動運転操作のための適合性に関して評価されることが提供される。
【0037】
この目的のために、ランドマークの空間的密度およびランドマークの予想される認識性は、予め定義された周囲条件、特に予め定義された光の条件、時間帯、降水または周辺の物体の特性のもと、車両センサーシステム3によって決定される。予想される認識性は、特に経路区間FS1からFS3上に存在する各車線または車線内の車両8の異なる横方向偏差位置のために決定される。
【0038】
ランドマークの空間的密度の決定は、例えば、デジタルマップのオフライン分析によって実行される。代替的にあるいは付加的に、ランドマークの空間的密度の決定は、車両8、調査車両、その他の自動運転車両8のセンサーデータに基づいて、いわゆるクラウドソーシングあるいはいわゆるスウォームソースによって行われ、その場合、例えば、センサーデータの評価は、特定の経路あるいは車線に沿ったランドマークの認識の性能及び冗長性に関して評価される。この場合、性能は走行方向または走行した車線に依存する。例えば、ランドマークまたはランドマークを通過する間の現在の周囲条件の認識性についての情報は、複数の車両8、例えば、車両群の車両8によって記録され、
図3により詳しく示されている車外中央処理装置9に送信される。
【0039】
中央処理装置9によって、予め定義された操作モードまたは予め定義された運転操作に必要な最低限の精度で経路区間FS1からFS3上に車両8が位置特定され得るどうかについて、ランドマークの決定された密度と認識性に基づいて、分類が実行される。例えば、車両8の完全自動運転モード、車両8の高度な自動運転モードまたは特定の速度範囲における車両8の操作が操作モードとして指定される。例えば、車線キープ操作、車線変更操作、追い越し操作または旋回操作が運転操作として指定される。
【0040】
分類の結果、分類結果は経路区間FS1からFS3に関連付けられた経路属性にデータセットとして保存され、経路属性は、指定された操作モードまたは運転操作のうちのいずれについて、指定された環境条件のうちのいずれのもとで、ランドマークベースの車両位置特定の最低限の精度のための要件が満たされるかを示す。その上、分類結果および関連する経路属性によって、例えば、車両8のどの車線またはどの横方向偏差において、それぞれの操作モードまたはそれぞれの運転操作に必要な車両位置特定の最低限の精度を満たすことができるかを示す。更に、分類結果および関連する経路属性は、車両8のどの車線またはどの横方向偏差が、それぞれの操作モードまたはそれぞれの運転操作に最適であるかを示すために使用することができる。
【0041】
分類は、例えば以下の経路属性との間を区別することができる。
-存在するランドマークの数が十分である;
-存在するランドマークの数が十分でない;
-特定の運転操作のためのランドマークの密度が十分である;
-特定の運転操作のためのランドマークの密度が十分でない;
-特定のタイプのランドマークの質が十分である;
-特定のタイプのランドマークの質が十分でない;
-唯一の特定のタイプのランドマークのみが利用可能である;
-唯一の特定のセンサーモダリティのみが利用可能である。
【0042】
更に、経路属性は、特定の環境条件、例えば
-昼間、夜間、黄昏等の光の条件;
-日没に向かって運転するなど、眩しさを引き起こす可能性のある時間帯;
-雨、雪、霧等の降水;
-周囲の物体の、反射性等の特性
に応じて車両センサーシステム3の制限によるランドマークの低い密度の確率を含み、および分類するように拡張することができる。
【0043】
これらの特徴あるいは環境条件は、次いで、車両センサーシステム3あるいは複数のセンサーシステムの融合または中央処理装置9のいずれかによって提供される現在の環境条件を考慮して、車両8において評価することができ、または、車線区間FS1からFS3上のランドマークの数が不十分である可能性を決定するために、夜明けと日没に関する時刻をチェックすることによって検知することができる。
【0044】
可能な設計では、経路属性は、交通状況、例えば車高の高い車両による閉塞、または、特別な事象、例えば森林の火事による煙に応じて車両センサーシステム3の制限による不十分なランドマークの確率も分類するように拡張される。これらの経路属性は、例えば現在の交通状況や中央演算装置9によって提供された事象あるいは車両センサーシステム3によって事前に検知された事象を考慮して、車両内で評価される。
【0045】
モデリング装置5は、従って、経路属性の知識と、該当する場合は、デジタルマップ2、車両センサーシステム3、中央演算装置9または機械学習10からの更なる情報とに基づいて車両環境の適合モデルを生成することができ、該当する場合には、車両8の操作を適合させるおよび制限するための対応する情報を挙動計画装置6に送信する。中断された接続はモデルを予測するためにモデリング装置5によって使用されているインターフェースを表す。
【0046】
図3は、複数の経路区間FS1からFS3を有する車両8の経路FSの上面図を示す。
【0047】
ここで、車両8は、通常の自律運転モードで経路区間FS2、FS3の方向に経路区間FS1を移動する。説明に従って決定された経路属性の知識に基づいて、経路区間FS2、FS3に到達する前に、経路区間FS3において車両8の自動運転操作のための制限があることが既に知られている。この目的のために、経路属性は例えば、中央処理装置9から車両8によって検索される。
【0048】
この知識に基づいて、車両8は第二の経路区間FS2に到達すると既に特定の操作モードまたは運転操作を制限することができ、または、低い密度のランドマークにもかかわらず第三の経路区間FS3に入ると車両8の安全な操作が可能であるように、経路、車線、横方向偏差または自動運転操作中に維持されるべき運転速度を決定することができる。これは、オンラインあるいはオフラインで実行することができ、先行する経路区間FS1からFS3の経路属性をチェックし、ランドマークの密度が低い確率の高いエリアを決定する。経路区間FS3等のそのようなエリアが決定されると、この経路区間FS3に到達する前に、適用手段がトリガーされる。
【0049】
調整手段は例えば、以下を含む:
-運転速度の調整あるいは減少;
-車線内の位置の選択(左、中央、右);
-複数車線における特定の車線の選択;
-例えば車線変更といったより複雑な操作を禁止するなどの運転挙動の制限;
-異なる運転経路の選択;または
-中央処理装置からの追加情報の要求。
【0050】
これらの適合行動をトリガーすることは、戦略的に安全な応答をトリガーするために、挙動計画装置6に専用コマンドを送信することによって直接的に、または、例えば挙動計画装置6へのインターフェースにおいて品質あるいは完全性の情報データを人工的に変更することによって間接的に行われるかのいずれかによって実行できる。