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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】電池パックケース、電池パック及び車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/242 20210101AFI20240617BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240617BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240617BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240617BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240617BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20240617BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240617BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M50/271 B
H01M50/271 S
H01M50/249
H01M50/291
H01M50/293
H01M50/298
B60K1/04 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022573302
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 CN2021093197
(87)【国際公開番号】W WO2021238647
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】202010470527.6
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】宋娜
(72)【発明者】
【氏名】▲譚▼亮▲穏▼
(72)【発明者】
【氏名】▲譚▼晶
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼文会
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/044792(WO,A1)
【文献】中国実用新案第209747594(CN,U)
【文献】特開2013-157242(JP,A)
【文献】特開2014-044884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ユニットを収容し、車体横断ビームを含む車体に取り付ける電池パックケースであって、
底板と、複数のサイドビームとを含む、トレイであって、前記複数のサイドビームは、端と端とが順に接続され、前記底板に係合されて、一側が開放された収容空間を形成して前記電池ユニットを収容し、前記複数のサイドビームは、対向して設置された2つの第1サイドビームを含む、トレイと、
前記収容空間に位置する中間ビームであって、前記中間ビームの長手方向に沿った両端が、それぞれ前記2つの第1サイドビームと所定の間隔をあけるか又は接触し、前記中間ビームの長さが、前記中間ビームの長手方向に沿った前記電池ユニットの投影寸法よりも長い、中間ビームと、
前記収容空間の開放側を閉じる蓋板と、
前記底板、前記中間ビーム及び前記蓋板を順に貫通して固定し、さらに前記車体横断ビームに接続固定される取付部材と、を含み、
前記蓋板の前記収容空間から離れる側に設置された固定ビームをさらに含み、
前記取付部材は、前記底板、前記中間ビーム、前記蓋板及び前記固定ビームを順に貫通して固定した後に、前記固定ビームから突出し、前記取付部材の突出部分は、前記車体横断ビームに接続し固定されることを特徴とする、電池パックケース。
【請求項2】
前記取付部材は、ボルトであり、前記ボルトは、ボルトヘッド及びネジロッドを含み、
前記ネジロッドは、前記底板、前記中間ビーム及び前記蓋板を順に貫通した後に突出し、前記ネジロッドの突出部分は、前記車体横断ビームに接続し固定され、前記ボルトヘッドは、前記底板、前記中間ビーム及び前記蓋板を固定するように前記底板の外側に当接していることを特徴とする、請求項1に記載の電池パックケース。
【請求項3】
前記取付部材は、ボルトであり、前記ボルトは、ボルトヘッド及びネジロッドを含み、
前記ネジロッドは、前記底板、前記中間ビーム、前記蓋板及び前記固定ビームを順に貫通した後に突出し、突出部分は、前記車体横断ビームに接続し固定され、前記ボルトヘッドは、前記底板、前記中間ビーム、前記蓋板及び前記固定ビームを固定するように前記底板の外側に当接することを特徴とする、請求項に記載の電池パックケース。
【請求項4】
前記中間ビームは、金属材料で製造され、前記中間ビームの表面に絶縁層が貼り付けられていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の電池パックケース。
【請求項5】
電池ユニットを収容し、車体横断ビームを含む車体に取り付ける電池パックケースであって、
底板と、複数のサイドビームとを含む、トレイであって、前記複数のサイドビームは、端と端とが順に接続され、前記底板に係合されて、一側が開放された収容空間を形成して前記電池ユニットを収容し、前記複数のサイドビームは、対向して設置された2つの第1サイドビームを含む、トレイと、
前記収容空間に位置する中間ビームであって、前記中間ビームの長手方向に沿った両端が、それぞれ前記2つの第1サイドビームと所定の間隔をあけるか又は接触し、前記中間ビームの長さが、前記中間ビームの長手方向に沿った前記電池ユニットの投影寸法よりも長い、中間ビームと、
前記収容空間の開放側を閉じる蓋板と、
前記底板、前記中間ビーム及び前記蓋板を順に貫通して固定し、さらに前記車体横断ビームに接続固定される取付部材と、を含み、
前記中間ビームは、前記中間ビームの長手方向の少なくとも一端に位置し、配線孔が設置されるリード部をさらに含むことを特徴とする電池パックケース。
【請求項6】
前記配線孔の孔壁に絶縁層が貼り付けられていることを特徴とする、請求項に記載の電池パックケース。
【請求項7】
前記中間ビームは、さらに支持部を含み、前記リード部は、前記支持部の一端に位置し、前記リード部と前記支持部との結合位置にストッパ部が形成され、
前記底板の内側に前記ストッパ部と係合する段差が設置されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の電池パックケース。
【請求項8】
前記リード部の幅は、前記支持部の幅よりも小さく、前記リード部の側面と前記支持部の端面が結合して前記ストッパ部が形成され、
前記段差は、隣接する2つのストッパ平面を含み、前記中間ビームが前記底板に固定される場合、前記リード部の側面と前記支持部の端面は、それぞれ前記2つのストッパ平面に当接していることを特徴とする、請求項に記載の電池パックケース。
【請求項9】
前記リード部の端面は、対応する前記第1サイドビームに当接していることを特徴とする、請求項7又は8に記載の電池パックケース。
【請求項10】
前記蓋板の前記収容空間から離れた側に設置された固定ビームをさらに含み、前記取付部材は、前記底板、前記中間ビーム、前記蓋板及び前記固定ビームを順に貫通して固定した後に前記固定ビームから突出し、前記取付部材の突出部分は、前記車体横断ビームに接続固定され、
前記中間ビームは、前記支持部の前記底板から離れた側に突出した固定部をさらに含み、
前記蓋板及び前記固定ビームに前記固定部と係合する溝が配置されていることを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載の電池パックケース。
【請求項11】
前記固定ビームは、前記蓋板と一体成形され、前記溝は、前記蓋板及び前記固定ビームと前記固定部との係合する位置に一体形成されることを特徴とする、請求項10に記載の電池パックケース。
【請求項12】
前記複数のサイドビームは、対向して設置された2つの第2サイドビームをさらに含み、前記第1サイドビーム及び前記第2サイドビームは、交互に設置されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の電池パックケース。
【請求項13】
前記第1サイドビームの長さは、前記第2サイドビームの長さよりも大きく、前記第1サイドビームに、車体に取り付けし、固定する取付部が設置されることを特徴とする、請求項12に記載の電池パックケース。
【請求項14】
電池ユニットを含む電池パックであって、請求項1~13のいずれか一項に記載の電池パックケースをさらに含み、前記電池ユニットが前記収容空間に収容されることを特徴とする、電池パック。
【請求項15】
車体を含む車両であって、請求項14に記載の電池パックをさらに含むことを特徴とする、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディーカンパニーリミテッドが2020年5月28日に提出した、名称が「電池パックケース、電池パック及び車両」の中国特許出願第「202010470527.6」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、電池の分野に関し、具体的には、電池パックケース、該電池パックケースを用いる電池パック及び該電池パックを有する車両に関する。
【背景技術】
【0003】
電池パックを動力源又は動力源の1つとして用いる車両において、電池パックに一般的にトレイが設置され、電池パックの車両全体における固定は、一般的にトレイのサイドビームと車両全体のボルト接続により実現される。トレイは、一般的に周囲に設置された2つの長サイドビーム及び2つの短サイドビームを含み、電池パックの固定点は、車体の前後方向、即ち車両の進行方向に沿って、トレイの2つの短サイドビームに分布し、車体の2つの側面方向、即ち車両の進行方向とほぼ垂直な方向に沿って、トレイの2つの長サイドビームに分布する。トレイの中間には、セルが積み重ねて配列される。電池パックの側面が衝突に遭遇するか又は力を受ける場合、トレイの長サイドビームが力を受けて内向きに窪み、力の増加に伴い、力が徐々に内部セルに伝達され、セルが力を受けて変形、液漏れ等の現象が発生し、変形が深刻であれば、さらに発火して爆発し、一定の安全上の問題が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本願の実施例の第1態様は、電池ユニットを収容し、車体横断ビームを含む車体に取り付ける電池パックケースを開示し、上記電池パックケースは、
底板と、端と端とが順に接続され、上記底板と係合して一側が開放された収容空間を形成して上記電池ユニットを収容し、対向して設置された2つの第1サイドビームを含む複数のサイドビームとを含む、トレイと、
上記収容空間に位置し、長手方向に沿った両端がそれぞれ上記2つの第1サイドビームと所定の間隔をあけるか又は接触する中間ビームであって、上記中間ビームの長さが上記中間ビームの長手方向に沿った上記電池ユニットの投影寸法よりも大きい中間ビームと、
上記収容空間の開放側を閉じる蓋板と、
上記底板、中間ビーム及び上記蓋板を順に貫通して固定し、さらに上記車体横断ビームに接続固定される取付部材とを含む。
【0005】
本願に係る電池パックケース、電池パック及び車両において、取付部材は、トレイの底板、中間ビーム及び蓋板を貫通した後、車体横断ビームに接続固定することができ、それにより電池パックケースの中間ビームと車体横断ビームは、互いに補強する作用を果たすことができ、即ち車体横断ビームは、電池パックケースの中間ビーム方向の耐衝撃能力を補強することに役立ち、中間ビーム自体も電池パックケースの強度を増加させることにより、電池パックケースの側面衝突に対する抵抗能力を向上させる。上記中間ビームは、取付部材により車体横断ビームに固定し接続した後、車体横断ビームを補強してもよいため、車体横断ビームの設計強度を低下させ、車体横断ビームの構造をシンプルにすることに役立つ。
【0006】
上記取付部材は、ボルトであり、上記ボルトは、ボルトヘッド及びネジロッドを含み、
上記ネジロッドは、上記底板、中間ビーム及び上記蓋板を順に貫通した後に突出し、突出部分は、上記車体横断ビームに接続固定され、上記ボルトヘッドは、上記底板、中間ビーム及び上記蓋板を固定するように上記底板の外側に当接する。
【0007】
上記電池パックケースは、上記蓋板の上記収容空間から離れた側に設置された固定ビームをさらに含み、
上記取付部材は、上記底板、中間ビーム、蓋板及び上記固定ビームを順に貫通して固定した後に上記固定ビームから突出し、上記取付部材の突出部分は、上記車体横断ビームに接続固定される。
【0008】
上記取付部材は、ボルトであり、上記ボルトは、ボルトヘッド及びネジロッドを含み、
上記ネジロッドは、上記底板、中間ビーム、蓋板及び上記固定ビームを順に貫通した後に突出し、突出部分は、上記車体横断ビームに接続固定され、上記ボルトヘッドは、上記底板、中間ビーム、蓋板及び上記固定ビームを固定するように上記底板の外側に当接する。
【0009】
上記中間ビームは、金属材料で製造され、上記中間ビームの表面に絶縁層が付着される。
【0010】
上記中間ビームは、上記中間ビームの長手方向の少なくとも一端に位置し、配線孔が設置されるリード部をさらに含む。
【0011】
上記配線孔の孔壁に絶縁層が付着される。
【0012】
上記中間ビームは、さらに支持部を含み、上記リード部は、上記支持部の一端に位置し、上記リード部と上記支持部との結合位置にストッパ部が形成され、
上記底板の内側に上記ストッパ部と係合する段差が設置される。
【0013】
上記リード部の幅は、上記支持部の幅よりも小さく、上記リード部の側面と上記支持部の端面が結合して上記ストッパ部が形成され、
上記段差は、隣接する2つのストッパ平面を含み、上記中間ビームが上記底板に固定される場合、上記リード部の側面と上記支持部の端面は、それぞれ上記2つのストッパ平面に当接する。
【0014】
上記リード部の端面は、対応する上記第1サイドビームに当接する。
【0015】
上記電池パックケースは、上記蓋板の上記収容空間から離れた側に設置された固定ビームをさらに含み、上記取付部材は、上記底板、中間ビーム、蓋板及び上記固定ビームを順に貫通して固定した後に上記固定ビームから突出し、上記取付部材の突出部分は、上記車体横断ビームに接続固定され、
上記中間ビームは、上記支持部の上記底板から離れた側に突出した固定部をさらに含み、
上記蓋板及び上記固定ビームに上記固定部と係合する溝が設置される。
【0016】
上記固定ビームは、上記蓋板と一体成形され、上記溝は、上記蓋板及び上記固定ビームと上記固定部との係合位置に一体形成される。
【0017】
上記複数のサイドビームは、対向して設置された2つの第2サイドビームをさらに含み、上記第1サイドビーム及び上記第2サイドビームは、交互に設置される。
【0018】
上記第1サイドビームの長さは、上記第2サイドビームの長さよりも大きく、上記第1サイドビームに、車体と取り付け固定する取付部が設置される。
【0019】
本願の実施例の第2態様は、電池ユニットを含む電池パックをさらに開示し、上記電池パックは、前述のいずれか一項に記載の電池パックケースをさらに含み、上記電池ユニットが上記収容空間に収容される。
【0020】
本願の実施例の第3態様は、車体及び前述の電池パックを含む車両をさらに開示する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【0022】
図1】車両の好ましい一実施例における部分断面構造図である。
図2】電池パックの一好ましい実施例における概略構成図である。
図3図2に示される電池パックの分解図である。
図4図2に示される電池パックにおける中間ビームの概略構成図である。
図5図2に示される電池パックにおける電池ユニット、電気接続部材及び中間ビームの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を詳細に説明し、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0024】
図1に示すように、車両1000は、車体及び電池パック100を含む。車体は、車体横断ビーム200を含む。理解できるように、具体的な実施において、該車体は、さらに、サイドメンバ、ルーフメンバなどの他の部材を含んでもよく、該車体も車両1000のフレームとして理解することができる。本願は、車体自体の改善に重点を置かないため、全ての車体が図示されず、車体横断ビーム200のみが示される。
【0025】
該車両1000は、電池パック100を動力源又は動力源の1つとして用いる。例えば、該車両1000は、該電池パック100を用いて動力を提供する電動車両であってもよく、該車両1000は、該電池パック100及び燃料エンジンを用いて動力を提供するハイブリット車両であってもよい。
【0026】
図2図5を組み合わせて参照し、電池パック100は、電池パックケース10及び電池ユニット20を含んでもよく、電池ユニット20は、電池パックケース10に収容される。電池パック100は、一般的に複数の電池ユニット20を含み、直列接続又は並列接続の形式で所定の電圧又は電流を提供できる動力電池を形成する。
【0027】
電池パックケース10は、トレイ110、中間ビーム120、蓋板130及び取付部材を含んでもよい。
【0028】
上記トレイ110は、底板1101及び複数のサイドビームを含んでもよい。複数のサイドビームは、端と端とが順に接続され、底板1101と係合して一側が開放された収容空間を形成し、該収容空間は、電池ユニット20を収容する。例えば、一般的な実施形態において、トレイ110は、4つのサイドビームを含んでもよく、4つのサイドビームは、端と端とが順に接続されて四角形を形成する。底板1101が該四角形の一側に設置されることにより、該四角形は、一面が封止され、対向して設置された他面が開放され、内部に該収容空間を形成し、該電池ユニット20を収容する。蓋板130は、収容空間の開放側を閉じることにより、電池ユニット20を電池パックケース10に封止して、防水、防塵及び電気安全などの要求を満たす。
【0029】
当業者にとって容易に理解されるように、他の実施形態において、トレイ110におけるサイドビームの数は、必要に応じて設置されてもよい。例えば、トレイ110の形状を取付空間の要求に適応させるために、トレイ110におけるサイドビームの数は、必要に応じて3つ、5つ又は6つなどの他の整数に設定することができ、それに応じて、トレイ110の外形は、規則的な多角形であってもよく、全体的に規則的で、局所的に異形の形状であってもよく、又は不規則な形状であってもよく、このような変形は、いずれも本願の概念から逸脱しない。
【0030】
以下では、トレイ110が4つのサイドビームを含むことを例として詳細に説明する。
【0031】
トレイ110は、4つのサイドビームを含み、2つの第1サイドビーム1102を含み、具体的な実施において、さらに2つの第2サイドビーム1103を含んでもよい。2つの第1サイドビーム1102は、対向して設置され、2つの第2サイドビーム1103は、対向して設置され、第1サイドビーム1102及び第2サイドビーム1103は、交互に設置され、端と端とが順に接続されて、周側が封止された四角形フレームを形成する。底板1101は、該四角形フレームの一側に設置されることにより、該四角形フレームの一側が封止される。該四角形フレームの該底板から離れた側が開放される。このように、四角形フレームの内部に一側が開放された収容空間が形成され、該電池ユニット20を収容する。蓋板130は、上記収容空間の開放側を閉じることにより、電池ユニット20を電池パックケース10に封止する。
【0032】
中間ビーム120は、収容空間に位置する。中間ビーム120は、その長手方向に沿って対向する両端を含み、中間ビーム120の長手方向に沿った両端は、それぞれ2つの第1サイドビーム1102と所定の間隔をあけてもよく、中間ビーム120の長手方向に沿った両端は、それぞれ2つの第1サイドビーム1102と接触してもよい。中間ビーム120の長さは、上記中間ビーム120の長手方向に沿った電池ユニット20の投影寸法よりも大きい。
【0033】
なお、前述の「中間ビーム120の長手方向に沿った両端は、それぞれ2つの第1サイドビーム1102と所定の間隔をあけてもよい」ことについて、該所定の間隔は、電池パックケース10の衝突、衝撃などの実験に基づいて推定された距離であってもよく、理論モデルにより算出された電池パックケース10における底板1101、サイドビームが衝突、衝撃に耐える強度に基づいて推定された距離であってもよく、その目的は、電池パック100が中間ビーム120の長手方向に衝撃を受けるか、又は受けた衝撃が中間ビーム120の長手方向の成分を有することにより、電池パックケース10のサイドビーム、底板1101に所定の程度を超える変形が発生する場合、中間ビーム120が電池パックケース10に対する補強作用を果たすことができることである。簡単に言えば、中間ビーム120の長手方向に沿った両端は、対応する第1サイドビーム1102と所定の間隔を保持することができるが、該所定の間隔は、以下の条件を満たす必要がある。対応する該第1サイドビーム1102に所定の程度の変形が発生する場合、中間ビーム120の長手方向に沿った対応する一端は、上記第1サイドビーム1102に当接し、補助支持の作用を果たすことができる。
【0034】
それに応じて、中間ビーム120の長手方向に沿った両端が対応する第1サイドビーム1102と接触する場合、中間ビーム120は、電池パックケース10が衝撃を受けた時に直接的に補助補強の作用を果たす。
【0035】
理解できるように、いくつかの実施形態において、中間ビーム120の長手方向に沿った両端は、一端が対応する第1サイドビーム1102と接触し、他端が他の対応する第1サイドビーム1102と所定の間隔をあけてもよい。
【0036】
上記取付部材は、底板1101、中間ビーム120及び蓋板130を順に貫通して固定し、さらに車体横断ビーム200に接続固定される。
【0037】
電池パックケース10、電池パック100及び車両1000において、取付部材は、トレイの底板1101、中間ビーム120及び蓋板130を貫通した後、車体横断ビーム200に接続固定することができ、それにより電池パックケース10の中間ビーム120と車体横断ビーム200は、互いに補強する作用を果たすことができ、即ち車体横断ビーム200は、電池パックケース10の中間ビーム120方向の耐衝撃能力を補強することに役立ち、中間ビーム120自体も電池パックケース10の強度を増加させることにより、電池パックケース10の側面衝突に対する抵抗能力を向上させる。中間ビーム120は、取付部材により車体横断ビーム200に接続固定した後に、車体横断ビーム200を補強してもよいため、車体横断ビーム200の設計強度を低下させ、車体横断ビーム200の構造をシンプルにすることに役立つ。
【0038】
一実施形態において、4つのサイドビームにおける第1サイドビーム1102の長さは、第2サイドビーム1103の長さよりも大きい。電池ユニット20は、単電池又はセルであってもよい。電池ユニット20の長手方向は、第2サイドビーム1103の長手方向に沿って設置されてもよい。電池パック100は、一般的に複数の電池ユニット20を含み、複数の電池ユニット20は、第1サイドビーム1102の長手方向に沿って配列される。
【0039】
中間ビーム120の数は、電池パック100の大きさ、電池ユニット20の数、電池パック100全体の強度要求及び電池パック100と車体との固定点の位置などの要求に応じて、1つ又は複数に設定することができる。
【0040】
一実施形態において、中間ビーム120は、電池ユニット20と平行に設置されてもよい。中間ビーム120の長さは、電池ユニット20の長さよりも大きく設定される。中間ビーム120の長手方向に沿った両端は、それぞれトレイ110の2つの第1サイドビーム1102と接触する。電池パック100が中間ビーム120の長手方向に力を受けるか、又は電池パック100が受けた外力が中間ビーム120の長手方向の成分を有する場合、トレイ110の第1サイドビーム1102は、先に力を受けて変形し、構造部材として力を受ける。外力の増加に伴い、第1サイドビーム1102は、内向きに窪んで変形し、それと接触する中間ビーム120に力が伝達され、中間ビーム120は、受力構造部材として外力の電池パック100への影響に耐え、電池ユニット20に外力が作用することを減少させるか又は回避し、電池ユニット20に対して保護作用を果たす。
【0041】
第1サイドビーム1102に、車体と取り付け固定する取付部1102aがさらに設置されてもよく、電池パック100と車体との接続をより堅固にする。上記複数の電池ユニット20が第1サイドビーム1102の長手方向に沿って配列され、電池ユニット20の厚さ方向の変形が一般的に小さく、電池パック100の第2サイドビーム1103の位置が一般的に車体の頭部及び尾部に対応し、大きな保護空間を有し、一般的に直接的な衝撃を受けないため、第2サイドビーム1103に取付部を設置しなくてもよい。
【0042】
中間ビーム120の一端又は両端が第1サイドビーム1102と所定の間隔をあける場合、中間ビーム120の長さは、依然として電池ユニット20の長さよりも大きく設定されてもよく、その動作メカニズムは、前述の動作メカニズムと基本的に同じであり、説明を省略する。
【0043】
他のいくつかの実施形態において、中間ビーム120は、電池ユニット20と平行に設置されなくてもよく、すなわち中間ビーム120は、電池ユニット20と夾角を形成するように配置することができる。この場合、上記中間ビーム120の長さは、中間ビーム120の長手方向に沿った電池ユニット20の投影寸法よりも大きい。このように、電池パック100が中間ビーム120の長手方向に力を受けるか、又は電池パック100が受けた外力が中間ビーム120の長手方向の成分を有する場合、トレイ110の第1サイドビーム1102は、先に力を受けて変形し、構造部材として力を受けることを保証することができる。外力の増加に伴い、第1サイドビーム1102は、内向きに窪んで変形し、それと接触する中間ビーム120に力が先に伝達され、それにより電池ユニット20に対して保護作用を果たす。
【0044】
電池パック100が複数の中間ビーム120を含む場合、複数の中間ビーム120は、収容空間内に均一に分布することができ、電池パック100の各領域に対して均一な保護補強の作用を果たす。電池パック100の防水、防塵等の性能を保証するために、中間ビーム120と底板1101、蓋板130との間に封止部材160、例えば、弾性ガスケット又は封止リングが設置されてもよい。
【0045】
具体的な実施において、強度を保証するために、中間ビーム120は、金属材料で製造されてもよく、中間ビーム120の表面に絶縁層が付着される。例えば、中間ビーム120は、アルミニウム合金、高強度鋼などの強度が高い金属材料で製造されてもよく、中間ビーム120の表面は、絶縁材料(PETフィルムなど)を被覆するか又は絶縁材料をスプレーすることにより両側の電池ユニット20との絶縁保護を実現してもよい。
【0046】
一実施形態において、中間ビーム120は、さらにリード部1201を含んでもよい。リード部1201は、中間ビーム120の長手方向の少なくとも一端に位置し、リード部1201に配線孔1202が設置される。それに対応して、電池ユニット20は、電極端子210を有する。電池パック100において、複数の電池ユニット20の電極端子は、電気接続部材30により接続する必要があり、それにより複数の電池ユニット20の直列接続、並列接続又はサンプリングを実現する。電池ユニット20が電池パックケース10内に配列される場合、その電極端子210は、上記第1サイドビーム1102に近い電池ユニット20の側面に設置されてもよく、このように、電池ユニットを接続するための電気接続部材30は、対応する配線孔1202を貫通することができる。中間ビーム120に設置されたリード部1201及び配線孔1202は、電気接続部材30に対してガイド、整理の作用を果たし、整列して配線しやすいだけでなく、電池パック100が衝撃を受ける場合に電気接続部材30に対して保護の作用を果たすことができる。なお、ここでの電気接続部材30の形式は、高圧ワイヤハーネス、低圧サンプリングワイヤハーネスの形式に限定されず、電気接続シートなどの他の形式であってもよい。
【0047】
中間ビーム120が金属材料で製造される場合、配線孔1202の孔壁は、絶縁層を付着するなどの形式で絶縁保護処理を行うことができる。
【0048】
他の実施形態において、中間ビーム120は、さらに、支持部1203を含み、上記リード部1201は、支持部1203の一端に位置し、リード部1201と支持部1203との結合位置にストッパ部1204が形成される。リード部1201の幅を支持部1203の幅より小さく設定してもよく、このように、リード部1201の側面と支持部1203の端面との結合位置にストッパ部1204が形成されてもよい。それに対応して、底板1101の内側にストッパ部1204と係合する段差1104が設置される。段差1104は、隣接する2つのストッパ平面を含み、中間ビーム120が底板1101に固定される場合、リード部1201の側面と支持部1203の端面は、それぞれ2つのストッパ平面に当接する。リード部1201の端面は、対応する第1サイドビーム1102に当接することができ、それにより上記中間ビーム120が電池パック100及び車両全体におけるフレームとして存在し、電池パック100自体の耐衝突の強度、振動モード及び耐圧迫能力を向上させ、同時に電池ユニット20の電気的接続を容易にする。
【0049】
いくつかの実施形態において、取付部材は、ボルト150であってもよく、ボルト150は、ボルトヘッド1501及びネジロッド1502を含む。上記ネジロッド1502は、底板1101、中間ビーム120及び蓋板130を順に貫通した後に突出し、突出部分は、車体横断ビーム200に接続固定され、ボルトヘッド1501は、底板1101、中間ビーム120及び蓋板130を固定するように底板1101の外側に当接する。
【0050】
具体的な実施において、車体横断ビーム200にネジロッド1502の突出部分と係合するネジ孔が設置されてもよく、底板1101、中間ビーム120及び蓋板130の対応する位置にネジロッド1502に対応する貫通孔又はネジ孔が設置されてもよい。ボルト150のネジロッド152が底板1101、中間ビーム120及び蓋板130を貫通して車体横断ビーム200に接続し固定した後、ボルトヘッド1501は、底板1101の外側、即ち底板1101の底面に当接する。
【0051】
具体的な実施において、上記取付部材は、さらに使用状況に応じてリベット、鋼帯のような結束部材などの形式を選択することができ、底板1101、中間ビーム120及び蓋板130を固定し、車体横断ビーム200に接続固定する要求を満たせばよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、電池パックケースは、さらに、固定ビーム140を含んでもよい。固定ビーム140は、蓋板130の収容空間から離れた側に設置され、蓋板130の固定を補助する作用を果たし、同時に、該固定ビーム140の設置も電池パック100の強度を増加させることに役立つ。
【0053】
それに対応して、取付部材は、底板1101、中間ビーム120、蓋板130及び固定ビーム140を順に貫通して固定した後に固定ビーム140から突出してもよく、さらに取付部材の突出部分は、車体横断ビーム200に接続固定される。取付部材がボルト150であることを例として、この場合、ネジロッド1502は、底板1101、中間ビーム120、蓋板130及び固定ビーム140を順に貫通して固定した後に突出してもよく、突出部分は、車体横断ビーム200に接続固定される。ボルトヘッド1501は、底板1101、中間ビーム120、蓋板130及び固定ビーム140を固定するように底板1101の外側に当接する。
【0054】
中間ビーム120は、支持部1203の底板1101から離れた側に突出した固定部1205をさらに含んでもよい。蓋板130及び固定ビーム140に固定部1205と係合する溝が設置される。例えば、固定ビーム140は、蓋板130と一体成形され、溝は、蓋板130及び固定ビーム140と固定部1205との係合位置に一体形成される。蓋板130及び固定ビーム140は、溝により、突出した上記固定部1205に係合され、蓋板130の位置決め及び取り付けを容易にする。
【0055】
理解できるように、具体的な実施において、上記電池パック100は、さらに、電池管理システム(Battery Management System、BMS)、電池コネクタ、電池サンプラー及び電池熱管理システムのうちの少なくとも1つを含んでもよく、給電管理及び安全管理能力を有する動力電池パックを構成し、それは、本願の改善の重点に属さず、関連技術において対応する開示があるため、詳細に説明しない。
【0056】
本明細書の説明では、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」等を参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。
【0057】
本発明の実施例を例示して説明したが、当業者であれば理解できるように、本発明の原理及び趣旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定される。
【符号の説明】
【0058】
10 電池パックケース
20 電池ユニット
30 電気接続部材
100 電池パック
110 トレイ
120 中間ビーム
130 蓋板
140 固定ビーム
150 ボルト
160 封止部材
200 車体横断ビーム
210 電極端子
1000 車両
1101 底板
1102 第1サイドビーム
1103 第2サイドビーム
1104 段差
1201 リード部
1202 配線孔
1203 支持部
1204 ストッパ部
1205 固定部
1501 ボルトヘッド
1502 ネジロッド
1102a 取付部
図1
図2
図3
図4
図5