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特許7505051物体を把持するための装置、システム、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】物体を把持するための装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20240617BHJP
   B25J 15/04 20060101ALI20240617BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B25J15/06 M
B25J15/04 Z
H01L21/68 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022580927
(86)(22)【出願日】2021-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 US2021017542
(87)【国際公開番号】W WO2022005536
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】16/915,113
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505411125
【氏名又は名称】オムニセル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー ウィリアム エイ
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-027093(JP,U)
【文献】特開2004-158658(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0217471(US,A1)
【文献】米国特許第10335820(US,B2)
【文献】カナダ国特許出願公開第03084685(CA,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセサリツールであって、
アクセサリツール本体であって、前記アクセサリツール本体が、第1の側面上にレシーバを画定し、かつ前記アクセサリツール本体内にマニホールドを画定し、前記マニホールドへの第1の開口部が、前記レシーバ内に画定されており、前記マニホールドへの1つ以上の第2の開口部が、前記第1の側面と反対側の前記アクセサリツール本体の第2の側面内に画定されている、アクセサリツール本体と、
前記アクセサリツール本体の前記第2の側面に取り付けられた1つ以上の第2の真空カップであって、前記1つ以上の第2の真空カップの各々が、それぞれの第2の開口部と流体連通している、1つ以上の第2の真空カップと、
前記レシーバ内の固設機構であって、一次ツールが前記レシーバ内に受容されたこと、及び前記一次ツールの第1の真空カップが前記第1の開口部と係合することに応答して、前記固設機構が、固設力によって前記一次ツールを前記レシーバ内に固設する、固設機構と、を備え、前記アクセサリツールは、前記一次ツールが前記レシーバ内に受容されたこと、及び、前記一次ツールから引かれる真空に応答して表面を前記1つ以上の真空カップと係合させるように構成されており、前記固設機構は、前記アクセサリツールが前記表面と係合されている間に、前記固設力よりも大きい分離力によって前記一次ツールが前記レシーバから引き出されることに応答して前記一次ツールを解放するように構成されている、アクセサリツール。
【請求項2】
前記固設機構が、前記固設力を超える前記レシーバからの前記一次ツールの前記分離力に応答して、前記一次ツールから前記アクセサリツールを分離することを可能にし、前記固設力が、前記アクセサリツールの重量よりも大きい、請求項1に記載のアクセサリツール。
【請求項3】
前記一次ツールの前記第1の真空カップが前記第1の開口部に取り付くこと、及び真空引きすることに応答して、前記アクセサリツールの前記1つ以上の第2の真空カップの各々を通して真空引きされる、請求項1に記載のアクセサリツール。
【請求項4】
前記一次ツールの前記第1の真空カップが、第1の接触面積を画定し、前記アクセサリツール本体に取り付けられた前記1つ以上の第2の真空カップが、第2の接触面積を画定し、前記第2の接触面積が、前記アクセサリツールに取り付けられた前記1つ以上の第2の真空カップの各々の接触面積の合計であり、前記第2の接触面積が、前記第1の接触面積よりも大きい、請求項3に記載のアクセサリツール。
【請求項5】
前記アクセサリツールの前記1つ以上の第2の真空カップが、前記アクセサリツールの前記1つ以上の第2の真空カップが物体と接触している間に、前記一次ツールの前記第1の真空カップが前記第1の開口部と係合すること、及び前記一次ツールの前記第1の真空カップを通して第1の圧力の真空引きすることに応答して、アクセサリツール係合力によって前記物体に取り付くように構成されている、請求項4に記載のアクセサリツール。
【請求項6】
前記アクセサリツール係合力が、前記一次ツールの前記真空カップが前記第1の圧力の真空引きしながら物体と係合することができる力よりも大きい、請求項5に記載のアクセサリツール。
【請求項7】
前記固設機構が、前記レシーバ内に配設されたカント付きばねを備え、前記固設機構が、前記アクセサリツールの前記レシーバに設けられた補完的溝内に受け入れられ、前記カント付きばねが、前記一次ツールが前記レシーバ内に受容されていることに応答して前記一次ツールに設けられた溝と係合する、請求項1に記載のアクセサリツール。
【請求項8】
前記固設機構が、少なくとも1つの磁石を備え、前記少なくとも1つの磁石が、前記一次ツールが前記レシーバ内に受容されていることに応答して、前記ツールと前記レシーバとの間の係合を提供する、請求項1に記載のアクセサリツール。
【請求項9】
前記固設機構が、少なくとも1つのばね付勢シリンダ及び対応する戻り止め機構を備える、請求項1に記載のアクセサリツール。
【請求項10】
前記固設力が、前記アクセサリツールの前記1つ以上の第2の真空カップと前記表面との間の係合力よりも低い、請求項1に記載のアクセサリツール。
【請求項11】
ツールの容量を増加させるためのシステムであって、
ツール本体、及び前記ツール本体の先端から延在する第1の真空カップを有するツールと、
アクセサリツール本体を有するアクセサリツールであって、前記アクセサリツール本体が、第1の側面上にレシーバを画定し、かつ前記アクセサリツール本体内にマニホールドを画定し、前記マニホールドへの第1の開口部が、前記レシーバ内に画定されており、前記マニホールドへの1つ以上の第2の開口部が、前記第1の側面と反対側の前記アクセサリツール本体の第2の側面内に画定されている、アクセサリツールと、
前記アクセサリツール本体の前記第2の側面に取り付けられた1つ以上の第2の真空カップであって、前記1つ以上の第2の真空カップの各々が、それぞれの第2の開口部と流体連通している、1つ以上の第2の真空カップと、
前記ツールを前記アクセサリツールに固設する固設機構であって、前記ツール本体の前記先端が前記レシーバ内に受容されていることに応答して、前記固設機構が、前記アクセサリツールを固設力で前記ツール本体に固設する、固設機構と、を備え、前記アクセサリツールは、前記ツールが前記レシーバ内に受容されたこと、及び、前記ツールを通して引かれる真空に応答して表面を前記1つ以上の真空カップと係合させるように構成されており、前記固設機構は、前記アクセサリツールが前記表面と係合されている間に、前記固設力よりも大きい分離力によって前記ツールが前記レシーバから引き出されることに応答して前記ツールを解放するように構成されている、システム。
【請求項12】
前記ツール及び前記アクセサリツールが、前記ツールと前記アクセサリツールとの間の前記分離力が所定の値を上回ることに応答して分離可能であり、前記所定の値が、前記アクセサリツールの重量よりも大きい、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の真空カップが、第1の持ち上げ容量を有し、前記1つ以上の第2の真空カップが、第2の持ち上げ容量を有し、前記第2の持ち上げ容量が、前記固設力と前記第1の持ち上げ容量との合計である、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上の第2の真空カップが、係合容量を有し、それによって、前記1つ以上の第2の真空カップが、表面に係合し、前記係合容量が、前記第2の持ち上げ容量よりも大きい、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
ツールの容量を増加させる方法であって、
アクセサリツールをツールと係合させることであって、前記ツールが、第1の真空カップを備え、前記アクセサリツールが、1つ以上の第2の真空カップを備える、係合させることと、
前記ツールを前記アクセサリツールに固設機構によって固設することと、
前記第1の真空カップを通して真空引きすることであって、前記アクセサリツールが前記ツールと係合している間に、前記第1の真空カップを通して真空引きすることに応答して、前記1つ以上の第2の真空カップを通して真空引きされる、真空引きすることと、
前記1つ以上の第2の真空カップを通して引かれた真空、及び前記1つ以上の第2の真空カップが物体の表面に係合することに応答して、前記1つ以上の第2の真空カップによって前記物体を把持することと、を含み、
固設機構によって前記ツールを前記アクセサリツールに固設することが、固設力によって前記ツールを前記アクセサリツールに固設することを含み、前記ツールが前記固設力よりも大きい力で前記アクセサリツールに対して引っ張られていることに応答して、前記ツールが前記アクセサリツールから分離可能であり、
固定された表面を、真空が前記1つ以上の第2の真空カップを通して引かれ、前記1つ以上の第2の真空カップが前記固定された表面と接触するようにもたらすことに応答して係合力に係合させることと、
前記アクセサリツールの重量よりも大きく、かつ、前記係合力よりも小さい結合解除力によって前記固定された表面から離れるように前記ツールを移動させることと、
によって、前記ツールから前記アクセサリツールを取り除くこと、を更に含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、環境内の物体を把持及び前進させることに関し、具体的には、ドッキングステーション又は機械的ロックなしでツールに取り付け、かつそこから解放することができるアクセサリツールを使用して、物体を把持又は係合させる容量を増加させることに関する。
【背景技術】
【0002】
環境内の物体の取り出し及び移動は、特に手動で実行される場合、多くの場合、時間がかかり、かつエラーが発生しやすいのが一般的な慣例である。環境内の物体の取り出し及び移動の自動化により、動作の効率及び精度の両方を改善することができる。環境内の物体の取り出し及び移動は、コストがかかる場合があり、プロセスが十分なほど頻繁ではない場合、又はエラーに関連する低リスクが存在する場合、自動化のコストが理にかなわない場合がある。
【0003】
物体の把持及び輸送は、物体を把持する様々な方法を使用して、多数の方法で実行することができる。しかしながら、第1のサイズ又は重量の第1の製品を把持する方法は、第2のサイズ又は重量の第2の製品を把持するのにうまく適していない場合がある。異なる把持方法又は把持ツールの使用により、経費が増える場合があり、また取り出し及び輸送システムの複雑さが増加する場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、アクセサリツールであって、アクセサリツール本体であって、アクセサリツール本体が、第1の側面上にレシーバを画定し、かつアクセサリツール本体内にマニホールドを画定し、マニホールドへの第1の開口部が、レシーバ内に画定されており、マニホールドへの1つ以上の第2の開口部が、第1の側面と反対側のアクセサリツール本体の第2の側面内に画定されている、アクセサリツール本体と、アクセサリ本体の第2の側面に取り付けられた1つ以上の第2の真空カップであって、1つ以上の第2の真空カップの各々が、それぞれの第2の開口部と流体連通している、1つ以上の第2の真空カップと、レシーバ内の固設機構であって、ツールがレシーバ内に受容されたこと、及びツールの第1の真空カップが第1の開口部と係合することに応答して、固設機構が、ツールをレシーバ内に固設する、固設機構と、を含む、アクセサリツールを提供し得る。例示的な実施形態の固設機構は、所定の値を超えるレシーバからのツールの分離力に応答して、ツールからアクセサリツールを分離することを可能にし、所定の値は、ツールの重量よりも大きい、
【0005】
ツールの第1の真空カップが第1の開口部に取り付くこと、及び真空引きすることに応答して、アクセサリツールの1つ以上の第2の真空カップの各々を通して真空引きされる。ツールの第1の真空カップが、第1の接触面積を画定し得、アクセサリツール本体に取り付けられた1つ以上の第2の真空カップは、第2の接触面積を画定し、第2の接触面積は、アクセサリツールに取り付けられた1つ以上の第2の真空カップの各々の接触面積の合計であり、第2の接触面積は、第1の接触面積よりも大きい。アクセサリツールの1つ以上の第2の真空カップが、アクセサリツールの1つ以上の第2の真空カップが物体と接触している間に、ツールの第1の真空カップが第1の開口部と係合すること、及びツールの第1の真空カップを通して第1の圧力の真空引きすることに応答して、アクセサリツール係合力によって物体に取り付くように構成され得る。アクセサリツール係合力は、ツールの真空カップが第1の圧力の真空引きしながら物体と係合することができる力よりも大きくあり得る。
【0006】
例示的な実施形態によれば、固設機構は、レシーバ内に配設されたカント付きばねと、ツール内の補完的溝と、を含み得、カント付きばねは、ツールがレシーバ内に受容されていることに応答して溝と係合する。固設機構は、少なくとも1つの磁石を含み得、少なくとも1つの磁石は、ツールがレシーバ内に受容されていることに応答して、ツールとレシーバとの間の係合を提供する。固設機構は、ツールとアクセサリツール本体のレシーバとの間に固設力を提供する。ツールは、アクセサリツールの1つ以上の第2の真空カップが、表面と係合すること、ツールの第1の真空カップ上に引かれた第1の圧力の真空が、アクセサリツールの1つ以上の第2の真空カップ間の表面との吸引係合を引き起こすこと、ツールが、及び固設力よりも大きい力でレシーバから引き出されていること、に応答して、レシーバから取り除き可能である。固設力は、アクセサリツールの1つ以上の第2の真空カップと表面との間の係合力よりも低い。
【0007】
本明細書で提供される実施形態は、ツールの容量を増加させるためのシステムであって、ツール本体、及びツール本体の先端から延在する第1の真空カップを有するツールと、アクセサリツール本体を有するアクセサリツールであって、アクセサリツール本体が、第1の側面上にレシーバを画定し、かつアクセサリツール本体内にマニホールドを画定し、マニホールドへの第1の開口部が、レシーバ内に画定されており、マニホールドへの1つ以上の第2の開口部が、第1の側面と反対側のアクセサリツール本体の第2の側面内に画定されている、アクセサリツールと、アクセサリツール本体の第2の側面に取り付けられた1つ以上の第2の真空カップであって、1つ以上の第2の真空カップの各々が、それぞれの第2の開口部と流体連通している、1つ以上の第2の真空カップと、ツールをアクセサリツールに固設する固設機構であって、ツール本体の先端がレシーバ内に受容されていることに応答して、固設機構が、アクセサリツールを固設力でツール本体に固設する、固設機構と、を含む、システムを含む。
【0008】
ツール及びアクセサリツールは、ツールとアクセサリツールとの間の分離力が所定の値を上回ることに応答して分離可能であり、所定の値は、アクセサリツールの重量よりも大きい。実施形態は任意選択的に、真空源を含み、ツールがアクセサリツールと係合すること、第1の真空カップがマニホールドへの第1の開口部と係合すること、及び真空源が第1の真空カップを通して真空引きすることに応答して、1つ以上の第2の真空カップを通して真空引きされる。第1の真空カップは、第1の係合面積を画定し得、1つ以上の第2の真空カップは、第1の係合面積よりも大きい第2の係合面積を画定し、1つ以上の第2の真空カップの持ち上げ容量は、第1の真空カップの持ち上げ容量よりも大きい。第1の真空カップは、第1の持ち上げ容量を有し、1つ以上の第2の真空カップは、第2の持ち上げ容量を有し、第2の持ち上げ容量は、固設力と第1の持ち上げ容量との合計である。1つ以上の第2の真空カップは、係合容量を有し、それによって、1つ以上の第2の真空カップが、表面に係合し、係合容量は、第2の持ち上げ容量よりも大きい。
【0009】
本明細書で提供される実施形態は、ツールの容量を増加させる方法であって、アクセサリツールをツールと係合させることであって、ツールが、第1の真空カップを含み、アクセサリツールが、1つ以上の第2の真空カップを含む、係合させることと、ツールをアクセサリツールに固設機構によって固設することと、第1の真空カップを通して真空引きすることであって、アクセサリツールがツールと係合している間に、第1の真空カップを通して真空引きすることに応答して、1つ以上の第2の真空カップを通して真空引きされる、真空引きすることと、1つ以上の第2の真空カップを通して引かれた真空、及び1つ以上の第2の真空カップが物体の表面に係合することに応答して、1つ以上の第2の真空カップによって物体を把持することと、を含む、方法を含む。
【0010】
固設機構によってツールをアクセサリツールに固設することは、固設力によってツールをアクセサリツールに固設することを含み得、ツールが固設力よりも大きい力でアクセサリツールに対して引っ張られていることに応答して、ツールがアクセサリツールから分離可能である。方法は、ツールからアクセサリツールを、1つ以上の第2の真空カップを通して真空引きされていること、及び1つ以上の第2の真空カップが固定された表面と接触させられていることに応答して、係合力によって固定された表面を係合させることと、固設力よりも大きい力で固定された表面から離れるようにツールを移動させることであって、結合解除力が、アクセサリツールの重量よりも大きく、かつ係合力よりも小さい、移動させることと、によって取り除くことを含み得る。
【0011】
本明細書で提供される実施形態は、物体の把持に使用するための取り外し可能なアクセサリツールを含み、取り外し可能なアクセサリツールは、アクセサリツール本体であって、アクセサリツール本体を通る通路を画定する第1の端部及び第2の端部を画定し、かつ一時的に一次ツールの先端と結合するように適合された、アクセサリツール本体を含み、アクセサリツール本体の第1の端部は、一次ツールの先端とインターフェースするように適合されており、アクセサリツール本体の第2の端部は、物体を物体の元の場所から物体の目的地まで確実に保持及び転置するように適合された1つ以上の真空カップを含み、アクセサリツールは、任意の水平表面で一次ツールから結合解除するように適合されている。
【0012】
例示的な実施形態の一次ツールは、アクセサリツールが一次ツールの第1の端部に結合されていることに応答して、アクセサリツールの1つ以上の真空カップに流体接続される。一次ツールは、固設機構を用いてアクセサリツールの先端と一時的に結合するように適合され得、固設機構は、アクセサリツールと一次ツールとの間の摩擦係合を提供する。アクセサリツールは、任意の水平表面において、1つ以上の真空カップを通して真空引きされて、水平表面を1つ以上の真空カップと係合させること、及び一次ツールがアクセサリツールと一次ツールとの間の摩擦係合を克服するのに十分な力で水平表面から離れるように移動されていることに応答して、一次ツールから結合解除するように適合され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
ここで、必ずしもスケール通りに描画されているとは限らない添付の図面を参照する。
【0014】
図1】本開示の例示的な実施形態による、アームエンドツール及び取り外し可能なアクセサリツールを含むロボットを制御するためのコントローラを例解する。
図2】本開示の例示的な実施形態による、アームエンドツールを含む多軸ロボットを例解する。
図3】本開示の例示的な実施形態による、アクセサリツールを例解する。
図4】本開示の例示的な実施形態による、アクセサリツールと係合されているアームエンドツールを例解する。
図5】本開示の例示的な実施形態による、アクセサリツールと係合したアームエンドツールを例解する。
図6】本開示の例示的な実施形態による、アクセサリツール及びその構成のいくつかの例を例解する。
図7】本開示の例示的な実施形態による、アクセサリツールをアームエンドツールに結合及びそこから結合解除することに関与する力を例解する。
図8】本開示の例示的な実施形態による、アクセサリツールとアームエンドツールの結合及びそこからの結合解除を含む、アクセサリツールの動作の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の実施形態は、自動分配システム内などの環境内の物体の把持及び前進又は輸送の、効率及び容量を改善するための様々な装置、システム、及び方法を提供し得る。本開示のいくつかの実施形態及び構成要素は、添付の図面を参照して、以下により完全に説明され、その中で本発明のいくつかの実施形態が示されるが、全てではない。実際、本発明の様々な実施形態は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用される法的要件を満たすように提供される。
【0016】
本開示の例示的な実施形態は、物体の自動化された把持又は取り出し、及び自動分配システムなどの環境内におけるそれらの輸送を容易にする、方法、装置、及びコンピュータプログラム製品を提供し得る。実施形態は、ツールが物体と係合し得る力を乗算し、表面積接触を増加させ、かつ/又は物体を取り出して、保管若しくは編成のために物体を分配するか、若しくは移動させるかにかかわらず、環境を通る物体のより速く、より効率的な輸送を可能にする表面積接触の構成を変更する、アクセサリツールの追加を通じて、そのような把持及び輸送の効率及び容量を改善する。実施形態は、相対的に小さい物体を等効率的に把持及び輸送する能力を維持したまま、環境内の物体、特により大きい物体又はより重い物体を把持及び輸送する際の実質的なハードルとして出願人によって特定された問題を解決する。
【0017】
本開示の実施形態は、物品を把持及び輸送するための様々な環境で実装され得るが、例示的な実施形態は、自動分配システムに関連して本明細書において説明され、実施形態は、ロボットの動作範囲内にあり得る限定された環境内の在庫に、又はそこからアイテムを把持及び輸送するように構成され得る。本明細書において説明されるように、ロボットは、アームエンドツールを備えた6軸アームなどの多軸ロボットを含み得るか、又は、ガントリによって確立されたX-Y位置から上昇及び下降されるツールを備えた作業環境の上方に吊り下げられたガントリ型ロボットを含み得る。実施態様にかかわらず、本明細書において説明される実施形態は、ツールがより重いかつ/又はより大きな物品を輸送することも可能でありながら、より速く、より効率的に移動することを可能にし得るツールの把持及び保持容量を改善すると当業者によって理解されるであろう。
【0018】
本明細書において説明されるように、自動分配システムは、作業環境内の物品を取り出しかつ輸送する。自動分配システムは、分配ロボット及びそれに関連付けられたツール(例えば、アームエンドツール)の移動を制御することを含む、自動分配の機能を制御するように構成されたコントローラを必要とし得る。コントローラは、様々な様式で構成され得、その例が、図1に例解されている。例示的な実施形態のコントローラは、処理回路を含み得る。処理回路は、本明細書に開示される1つ以上の例示的な実施形態に従ってアクションを実行するように構成され得る。これに関して、処理回路は、様々な例示的な実施形態に従って、物品の取り扱い、保管、又は配布の1つ以上の機能の性能を実行及び/又は制御するように構成され得る。処理回路は、1つ以上の例示的な実施形態による、データ処理、アプリケーション実行、並びに/又は他の処理及び管理サービスを実行するように構成され得る。いくつかの実施形態では、処理回路などのコンピューティングデバイス又はその一部若しくは構成要素は、回路チップとして具現化され得るか、又はそれを備え得る。回路チップは、本明細書において説明される機能を提供するための1つ以上の動作を実行するための手段を構成し得る。
【0019】
自動分配システムのコントローラとして実装され得る装置の概略例解図が、図1に例解される。図示されるように、いくつかの例示的な実施形態では、処理回路は、プロセッサ100を含み得、いくつかの実施形態では、メモリ102を更に含み得る。処理回路は、ユーザインターフェース104及び/又は通信インターフェース106と通信し得るか、それを含み得るか、又は別様に制御し得る。したがって、処理回路は、(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで)構成された回路チップ(例えば、集積回路チップ)として具現化されて、本明細書において説明動作を実行し得る。
【0020】
プロセッサ100は、いくつかの異なる方法で具現化され得る。例えば、プロセッサは、例えば、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などの集積回路を含む、マイクロプロセッサ若しくは他の処理要素、コプロセッサ、コントローラ、又は様々な他のコンピューティング若しくは処理デバイスのうちの1つ以上などの様々な処理手段として具現化され得る。単一のプロセッサとして例解されるが、プロセッサは複数のプロセッサを含み得ることが理解されるであろう。複数のプロセッサは、互いに動作可能に通信し得、本明細書において説明されるように、薬物を取り扱う、保管する、輸送する、又は配布するためのシステムの1つ以上の機能を実行するように集合的に構成され得る。複数のプロセッサは、単一のコンピューティングデバイス上に具現化され得るか、又は複数のコンピューティングデバイスにわたって分散され得る。いくつかの例示的な実施形態では、プロセッサは、メモリに格納された命令を実行するか、又は別の方法でプロセッサにアクセス可能であるように構成され得る。したがって、ハードウェアによって構成されたとしても、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって構成されたとしても、プロセッサは、それに従って構成されながら、本発明の実施形態に従って動作を実行することができるエンティティ(例えば、処理回路の形態で、回路に物理的に具現化されている)を表し得る。したがって、例えば、プロセッサがASIC、FPGAなどとして具現化される場合、プロセッサは、本明細書において説明される動作を行うために特別に構成されたハードウェアであり得る。代替的に、別の例として、プロセッサがソフトウェアの命令の実行者として具現化される場合、命令は、本明細書において説明される1つ以上の動作を実行するようにプロセッサを特別に構成し得る。
【0021】
いくつかの例示的な実施形態では、メモリ102は、例えば、固定され得るか、又は取り除き可能であり得る、揮発性及び/又は不揮発性メモリなどの1つ以上の非一時的メモリデバイスを含み得る。これに関して、メモリ102は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備え得る。メモリ102は単一のメモリとして例解されているが、メモリは複数のメモリを含み得ることが理解されるであろう。複数のメモリは、単一のコンピューティングデバイス上に具現化され得るか、又は複数のコンピューティングにわたって分散され得る。メモリは、1つ以上の例示的な実施形態に従って、本発明の実施形態が様々な機能を実行することを可能にするための情報、データ、アプリケーション、命令などを格納するように構成され得る。例えば、メモリは、プロセッサによる処理のために入力データをバッファリングするように構成され得る。追加的に、又は代替的に、メモリは、プロセッサによる実行のための命令を格納するように構成され得る。更に別の代替として、メモリは、様々なファイル、コンテンツ、又はデータセットを格納し得る1つ以上のデータベースを含み得る。メモリのコンテンツのうち、アプリケーションは、各それぞれのアプリケーションに関連付けられた機能を実行するためのプロセッサによる実行のために格納され得る。メモリは、物体の取り出しを容易にするために、任意選択的に、分配システムの動作範囲又は動作環境内の物体の場所を格納し得る。メモリは、任意選択的に、コントローラによって制御されるロボットが、必要に応じて、アクセサリツールを容易に見つけてアクセサリツールと結合し得るように、動作範囲内の1つ以上のアクセサリツールの場所を格納し得る。
【0022】
自動分配システムのユーザモジュールのユーザインターフェースなどの例示的な実施形態のユーザインターフェース104は、処理回路と通信して、ユーザインターフェースにおいてユーザ入力の指示を受信し得、かつ/又はユーザに可聴式、視覚的、機械的、又は他の出力を提供し得る。したがって、ユーザインターフェース104は、例えば、キーボード、マウス、ジョイスティック、ディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイ、マイク、スピーカ、及び/又は他の入力/出力機構などのユーザ入力インターフェースを含み得る。したがって、ユーザインターフェース104は、いくつかの例示的な実施形態では、本発明の実施形態のユーザ制御のための手段を提供し得る。本発明がサーバ、クラウドコンピューティングシステムなどとして具現化されるいくつかの例示的な実施形態では、ユーザインターフェースの態様は、限定され得るか、又はユーザインターフェースが存在しない場合がある。いくつかの例示的な実施形態では、ユーザインターフェースの1つ以上の態様は、ユーザ端末上に実装され得る。したがって、実施態様にかかわらず、ユーザインターフェースは、1つ以上の例示的な実施形態に従って、薬物の取り扱い、保管、輸送、又は配送を容易にするための入力及び出力手段を提供し得る。
【0023】
通信インターフェース106は、他のデバイス及び/又はネットワークとの通信を可能にするための1つ以上のインターフェース機構を含み得る。場合によっては、通信インターフェースは、処理回路と通信するネットワーク及び/又は任意の他のデバイス若しくはモジュールからデータを受信及び/又はそこに送信するように構成された、ハードウェア又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせのいずれかに具現化されたデバイス又は回路などの任意の手段であり得る。例として、通信インターフェース106は、本発明の実施形態がアプリケーションサーバ及び/又はネットワーク及び/又は情報データベースと通信することを可能にするように構成され得る。したがって、通信インターフェースは、例えば、ケーブル、デジタル加入者線(DSL)、ユニバーサルシリアルバス(USB)、イーサネット、又は他の方法を介した通信を可能にするためのハードウェア及び/又はソフトウェアをサポートすることを含み得る。
【0024】
図2は、図1に例解されるようなコントローラによって制御され得るロボット110の例示的な実施形態を例解する。図2の実施形態のロボット110は、アームエンドツール112を含む多軸アームロボットである。アームエンドツール112は、様々なツールが取り付けられ得る様々なツール又はコネクタのうちのいずれかであり得る。本実施形態では、アームエンドツールは、ツール本体114及び真空カップ116を含む。真空カップ116は、ロボット110を通過し得る導管を通して真空源(図示せず)と流体連通し得る。真空源、ロボット110、及びアームエンドツール112は、図1のようなコントローラによって制御され得る。
【0025】
図2のアームエンドツール112は、様々な種類の物品を把持及び取り出すために使用され得る。ロボット110は、取り出されるべき製品を有すると識別された場所にアームエンドツール112を移動させ得る。場所は、トレイのビン、引き出し内の凹部、又は物体が後で取り出すために保管され得る任意の他の場所などの所定の場所であり得る。ロボット110は、真空カップ116を物体の表面に向けて前進させることによって、アームエンドツール112を物体と接触させるように移動させ得る。真空源は、真空カップ116が物体と係合し、真空カップの接触面積及び真空の圧力に対応する力で物体を把持するように、真空引きし得る。真空源は、本明細書において真空引きすることとして説明されるが、真空引きすることは、ロボット110が動作している大気圧未満の任意の圧力である。言い換えると、真空源は、真空カップ116において負のゲージ圧を引き起こし、図1のコントローラなどによってその負圧が制御され得る。負圧は、物体と係合し、それを把持するために真空カップに必要な真空のみを引くように、かつ物体を損傷する、又は物体の係合した表面を実質的に変形させるほど強い負圧がないように、可変であり得る。したがって、本明細書で使用される場合、「真空引きすること」という句は、負のゲージ圧、又はロボットの動作する環境の大気圧よりも低い圧力にすることを指す。
【0026】
真空カップは、ゴム、シリコーンなどの可撓性材料で作製され得、一方で、真空カップ116の表面は、同じ可撓性材料であり得るか、又は把持される物体の不均一な表面を補完するために採用することができる発泡体若しくは他の材料を含み得る。例えば、容器の蓋は、表面が滑らかではないような、隆起した又はエンボス加工されたレタリングを含み得る。真空カップ116などの真空カップは、物体を把持するのに十分である不均一な表面と係合し得るが、不均一な表面は、真空漏れを引き起こす場合がある。したがって、真空カップの接触表面の周囲に配設された発泡体又は他の材料が、不均一な表面に対処するために採用され得る。
【0027】
本明細書において説明される実施形態によって物体が把持され得る力は、真空カップ112の周囲内の物体の表面積又は面積(例えば、接触面積)及び真空源によってもたらされ得る負圧によって制限され得る。この把持力は、把持可能な物体の重量を制限する。更に、真空源は、実質的な負圧をもたらすことが可能であり得るが、取り出す物体の種類が、特定の量を超える負圧につながらない場合がある。例えば、高い負圧は、取り出される物体又はその包装を変形又は損傷することがあるため、薄い紙/カードストック又はプラスチックフィルムの物体は高い負圧によって把持されるのに好適ではない場合がある。また更に、図2のアームエンド112ツールなどのツールは、特定の重量の物体を把持し、持ち上げることが可能であり得るが、取り出されたときの物体のロボット110による移動は、真空カップ112に対する物体の重量のシフトに起因する物体の落下につながり、かつ真空カップが物体から分離し、その結果、落下をもたらすことがある。物体のサイズもまた、物体を落とすことなく、ロボット110が利用可能な移動を制限する場合がある。
【0028】
本明細書において説明される実施形態は、物体が取り出されたときのアームエンドツール112の持ち上げ容量が増加し得、かつロボット110のハンドリング/移動の技能を改善し得る、機構を提供する。また更に、本明細書において説明される機構は、追加のハードウェア又は機構の機械的ラッチング/アンラッチングなしに、容易にアームエンドツール110に取り付けられ、かつそこから取り外され得る。
【0029】
図3は、アームエンドツール112の持ち上げ容量を増加させ、かつアームエンドツール112に対するアクセサリツール200と把持された物体との間の係合を改善するように構成された、アクセサリツール200の断面図を例解する。図示されるように、アクセサリツール200はツール本体202を含み、ツール本体202は、アクセサリツール本体202の第1の側面上にレシーバ204を画定する。アクセサリツール200は、ツール本体202によって画定されたマニホールド206を更に含み、マニホールドは、第1の開口部208を通してレシーバ204と流体連通している。ツール本体202は、各々が複数の第2の真空カップのそれぞれの第2の真空カップ216と連通している複数の第2の開口部210を更に画定する。複数の第2の真空カップ216の配列は、事実上無制限であり得る。例えば、図3の例解された実施形態が、断面図において2つの第2の真空カップ216を例解するように、実施形態は、2つの真空カップの2行、4つの真空カップの1行、2つの真空カップの5行、8つの真空カップの円形配列などの真空カップの配列を含み得る。
【0030】
当業者には理解されるように、第2の真空カップの数及びそれらの相対位置(例えば、行及び列の規則的な配列、不規則な配列、円形パターン、又は複数の同心円状パターンなど)は、任意の所望の構成であり得る。任意選択的に、アクセサリツールは、単一の真空カップのみを含み得、アクセサリツールの真空カップは、アームエンドツールの真空カップ116に強化をもたらすようにサイズ決定及び/又は形状決定され得る。したがって、本明細書において説明されるアクセサリツールは、その上に配置された1つ以上の真空カップを有することができる。第2の真空カップの構成は、真空カップが、取り出される物体の重量、サイズ、及び配向に従って配置され得るように、把持される物体の種類に対して特別に構成され得る。また更に、本明細書において説明される実施形態は、分配システムが、取り出される物体に対して適切なアクセサリツールを選択し、係合し得るように、各アクセサリツールが特定の種類又は部類の物体を把持するために使用される複数のアクセサリツールを採用し得る。
【0031】
アクセサリツール200は、図3の例解されたカント付きばね218などの固設機構を含み得る。以下で更に説明するように、固設機構は、いくつかの異なる種類の締結又は係合手段によって具現化され得、固設機構は、アクセサリツール、アームエンドツール、又はそれらの組み合わせ上に画定され得る。
【0032】
アクセサリツール200は、アームエンドツール112などのツールによって係合されるように構成されている。図4は、アクセサリツールとの係合を開始するアームエンドツール112とともに、表面220上に配設されたアクセサリツール200を示している。ロボット110はアームエンドツール112を、ロボットがアクセサリツールをその現在位置に設置しており、後で取り出すためにその位置を(例えば、メモリ102に)格納している場合があるものとしてロボットに知られている場合がある、アクセサリツール200の既知の位置に前進させ得る。図示されるように、アームエンドツール本体114及び真空カップ116は、アクセサリツール200のレシーバ204内に受容されている。例解された実施形態のレシーバ204の固設機構218は、以下で更に詳細に説明する固設力によって、アームエンドツール112をアクセサリツール200に固設するためのツール本体114の補完的溝118を含む。
【0033】
アームエンドツール112のツール本体114がレシーバ204内に受容されると、真空カップ116は、真空カップ116が第1の開口部208と流体連通するように、レシーバの底部表面を第1の開口部208と係合させる。第1の開口部208、マニホールド206、及び複数の第2の開口部210を通して、真空カップ116は、複数の第2の真空カップ216の各々に流体接続される。レシーバ204の固設機構218、この場合はカント付きばねは、補完的溝118と係合し、それによって、アクセサリツール200は、固設力によってアームエンドツール112に保持される。以下で更に説明するように、固設力は、アームエンドツールが表面220からアクセサリツール200を持ち上げるときに、アクセサリツールがアームエンドツールと係合したままであり、かつアームエンドツールと一緒に移動することができるように、アクセサリツール200の重量よりも大きい。
【0034】
アクセサリツール200が固設機構218の固設力でアームエンドツール112に固設されると、アクセサリツールは表面220から持ち上げられ、物体が把持されかつ持ち上げられる予定である場所に移動され得る。固設機構218は、ツール本体の対応する溝118と係合するアクセサリツール200のカント付きばねであると例解されているが、固設機構は、いくつかの異なる方法で具現化され得る。例えば、固設機構は、レシーバ204内の補完的溝に係合するツール本体114上のカント付きばねであり得る。固設機構は、任意選択的に、レシーバ204の磁石と係合するツール本体114上の磁石、又はツール本体若しくはレシーバ内のいずれかの磁石であって、ツール本体若しくはレシーバのうちの他方の磁気的に引き付ける材料と係合するように構成された磁石などの、1つ以上の磁石を含み得る。他の固設機構は、カント付きばねの代わりに使用されるOリングなどのガスケット(ばね懸架式とみなされ得る)、ばね付勢シリンダ及びラチェット上のソケットを維持するために使用されるものと同様の対応する戻り止め機構、ツール本体114とレシーバ204との間の摩擦係合、又は真空作動ラッチを含み得る。これらの固設機構のうちのいずれかを採用して、アクセサリツール200を、アクセサリツールの重量よりも大きい固設力で、アームエンドツール112のツール本体114に取り付け得る。固設力は、アクセサリツール200がツール本体114に保持される力であり、ツールの重量がアームエンドツール112が持ち上げられたときに固設力を克服しないように、アクセサリツールの重量よりも大きい固設力を必要とし、それにより、アクセサリツールを持ち上げる。
【0035】
固設機構の固設力は、アクセサリツール200をツール本体114に固設するのに十分であるように設計されているが、固設力はアクセサリツール本体の重量よりも実質的に大きくする必要はない。アクセサリツール200が物体を把持するために使用されるとき、アクセサリツールは、本明細書に詳述されるように、アクセサリツールの真空カップ116係合により、アームエンドツール112に更に固設される。
【0036】
アクセサリツール200は、アクセサリツールによって把持された物体を輸送するときに、アームエンドツール112の持ち上げ容量の両方を改善するように、かつアームエンドツールの移動性を増加させるように設計されている。上述されるように、アクセサリツールは、特定のサイズ及び/又は形状の物体を把持するのに好適な任意のパターン又は構成で配置された第2の真空カップ216の配列で構成され得る。複数のアクセサリツール200は、本明細書において説明されるようなアクセサリツールの実施態様に応じて、様々な形状の物体を把持するために採用され得る。
【0037】
図6は、アクセサリツール200及び複数の第2の真空カップ216のいくつかの例示的な実施形態を例解する。図示されるように、アクセサリツール200は、必要に応じて、真空カップと把持される物体との係合を最適化するために、アクセサリツールの真空カップが配置及び離間された様々な形態を採り得る。図6のアクセサリツール200の各々は、本明細書において説明されるように、容量及び把持された物体の安定性の改善を達成するために、図3図5のアクセサリツール200に関連して例解されるように、レシーバ204及びマニホールド206を採用し得る。いくつかの実施形態によれば、上述されるように、アクセサリツールは、アームエンドツール112の真空カップ116に対する持ち上げ容量及び/又は安定性を改善するようにサイズ決定又は形状決定され得る、単一の真空カップのみを含み得る。
【0038】
複数の第2の真空カップを使用した物体の把持及び輸送の安定性の改善に留まらず、本明細書において説明される実施形態は、アクセサリツール200の使用を通じて、アームエンドツール112の持ち上げ容量を改善する。ツール本体114がレシーバ204内に受容され、第1の真空カップ116がレシーバの底部と係合すると、真空カップは、第1の開口部208の周りに真空カップ自体を係合させる。真空源が第1の真空カップ116を通してアームエンドツール112上に真空引きすることに応答して、同じ真空圧力が、図7の矢印240によって示すように、第1の開口部208、マニホールド206、複数の第2の開口部210、及び複数の第2の真空カップ216を通して引かれる。それによって、単一の真空カップ116の吸引力は(大気に対する)負圧に真空カップの係合面積又は接触面積を乗じたものであるため、吸引力が増加する。アクセサリツール200は、より多くの真空カップ216の使用を通じて接触面積を増加させることによって、係合に利用可能な吸引力を増加させる。
【0039】
第1の真空カップ116は、真空を通して生じる係合力に制限されているが、固設機構218は、固設力を提供することによってツールの持ち上げ容量を増加させる。図7は、持ち上げ容量が単一の真空カップの力(F単一)と固設力(F固設)との合計となる、アクセサリツール200の使用によるアームエンドツールの容量の増加を例解する。持ち上げ容量に対して作用する力は、アクセサリツールの重量(すなわち、アクセサリツールの質量に重力による加速度を乗じたものである、Fツール)及び持ち上げられている物体(F物体)の重量を含む。このようにして、アクセサリツール200と連動したアームエンドツール112は、物体を持ち上げ、かつ移動させるための実質的に増加した持ち上げ容量を有する。
【0040】
例示的な実施形態は、例示的な力を用いて本明細書において説明される。以下の力は例示的な実施形態を表すが、例示的な実施形態の力が制限されることを意図しないように、本明細書で特定された利益を達成しながら、様々な組み合わせ及び力の大きさを用いることができることが理解される。
【0041】
例示的な実施形態によれば、単一の真空カップの係合力は、又は4.0ポンド(F単一=4lb)であり得る一方で、固設力は、3ポンド(F固設=3lb)であり得る。単一の真空カップの力は、真空カップの面積に真空圧力を乗じることで導出され得る。例えば、直径1.0インチの接触面積を有する単一の真空カップは、真空圧力が大気圧よりもおよそ5ポンド/平方インチ(5psi)低いとき、4.0lbの係合力を有する。固設力は、上記の手段のうちのいずれかによって達成され得る。ツールの重量は、ツールの構成及びサイズに応じて変化し得るが、例示的な実施形態では、重量が0.5lbであり得る。このような実施形態では、ツールの持ち上げ容量は次のようになり得る。
単一+F固設-Fツール=F物体
4.0lb+3.0lb-0.5lb=6.5lb
しかしながら、ツールF物体の持ち上げ容量が絶対最大持ち上げ容量を定義することを考えると、アクセサリツール200によって運搬されるべき最大物体重量を確立する際に、安全係数が考慮され得る。その安全係数は、ツールの具体的な実施態様に基づいて決定され得、例えば、運搬される最大物体重量が最大容量の半分である約2の安全係数から、運搬される最大物体重量が最大容量の10分の1である約10の安全係数までであり得る。しかしながら、この安全係数は、アームエンドツール112の単一の真空カップ、及びアクセサリツール200の両方に用いられ得る。
【0042】
アームエンドツールと比較してアクセサリツールによって運搬される物体の持ち上げ容量及び安定性を改善するというアクセサリツールの識別された利点に留まらず、本明細書において説明される実施形態は、アクセサリツールをアームエンドツールからツールなしの接続解除を提供し得る。ロボット110は、物体の取り出し及び輸送が作業エリアを横断して実行される環境で機能し得る。アクセサリツールが保管され得るドッキングステーション又は固定された場所を必要とせずに、ロボット110のアームエンドツール112をアクセサリツール200に接続し、かつそこから接続解除する能力は、ロボットが作業エリア内で動作する効率を改善する機会を提供する。本明細書において説明されるアクセサリツール200の実施形態により、ツール又は作業エリア内の特定のドッキングステーション/場所を必要とすることなく接続及び接続解除されることができる。
【0043】
上述されるように、アクセサリツールの持ち上げ容量は、固設力(F固設)と単一の真空カップ116の係合力(F単一)との合計によって制限される。この合計より大きい力により、アクセサリツール200がアームエンドツール112から接続解除される。このような力は、本明細書では「結合解除力」として説明される。アクセサリツールは、複数の第2の真空カップ216のおかげで、アクセサリツール200に固設されたときに、アームエンドツール112の持ち上げ容量よりも大きい係合力で表面に取り付くことができる。上述されるように、持ち上げ容量は、単一の真空カップ116の係合力(F単一)と固設力(F固設)との合計からツールの重量(Fツール)を引いたものに限定される。上記の例示的な実施形態を使用すると、この力は6.5lbである。その例によれば、1インチの接続エリアの各々に4つの真空カップ216を有するアクセサリツール200は、大気圧を5ポンド/平方インチ下回る同じ圧力による16ポンドの力で表面(例えば、表面220)と係合し得る。この係合力は、持ち上げ容量よりも実質的に高く、したがって、結合解除力を提供するのに十分である。
【0044】
アクセサリツール200からアームエンドツール112を接続解除する結合解除プロセスを達成するために、ロボット110は、アームエンドツール及び取り付けられたアクセサリツールを、十分な数の複数の第2の真空カップ216が表面と接触する場所(好ましくは、水平表面又は相対的水平表面)に前進させ得る。ロボットが、真空カップが表面に接触している表面上にアクセサリツール200を設置すると、真空源は、真空引きして(例えば、図1のコントローラによって制御され得るように)、アクセサリツール200の真空カップ216と、F表面として以下に示す表面220との間に係合力を生じさせ得る。
単一+F固設-Fツール<F表面
4つの真空カップ216を有する上述の実施形態では、真空源は、4つの真空カップの各々と表面220との間に係合力を生じさせるために真空引きし得る。次にロボット110は、まだ真空引きされている間、アクセサリツール200のレシーバ204からアームエンドツール112を引っ張り得る。アクセサリツール200と表面220との間の係合の力F表面は、固設力F固設及びF単体が克服され、かつ固設機構が、アームエンドツール112がレシーバ204から取り除かれるように係合解除されるのに十分に大きい。
【0045】
ロボット110のコントローラは、アクセサリツールを任意の時点で取り出すことができるように、アクセサリツール200が接続された場所を格納し得る。更に、複数のアクセサリツールが様々な異なる物体に結合されるように採用され得、かつ作業エリア全体の様々な場所で同様にアームエンドツール112に取り付けられ/アームエンドツール112から取り外され得る。場所は、1つ以上のアクセサリツールの位置を最適化し、かつ取り出し、輸送、及び分配が生じ得る効率を本明細書において説明される例示的な実施形態から更に高めるために、使用頻度に基づいて確立され得る。
【0046】
上で説明されるように、様々なサイズ、形状、及び重量の物品は、本明細書において説明されるように、様々な実施形態を用いて取り出し、輸送、及び分配することができる。1つ以上のアクセサリツールの使用は、例示的な実施形態のシステムの持ち上げ容量及び輸送効率を改善するために採用され得る。例示的な実施形態のコントローラは、取り出しが最も適している適切なアクセサリツールを識別するために、取り出される物体の重量及び包装構成をメモリ102に格納するように構成され得る。
【0047】
本明細書で提供されるいくつかの例示的な実施形態は、未知の包装構成を有する物体の取り出しを含み得るか、又は包装構成は、類似の物品間で一貫していない場合がある。例えば、物品がオーバーパックに入っている場合、同一と識別される2つの物品が異なる形態因子を有し得る。したがって、本明細書で提供される例示的な実施形態は、形態因子の形状及びサイズを判定するように構成された視覚システムを有するアームエンドツール112を含み得る。物体を走査する視覚システムに基づいて、適切なアクセサリツール200が確立され得る。
【0048】
図8は、本開示の例示的な実施形態による方法及びプログラム製品のフローチャートである。フローチャートの各ブロック及びフローチャート内のブロックの組み合わせは、1つ以上のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアの実行に関連付けられたハードウェア、ファームウェア、プロセッサ、回路、及び/又は他のデバイスなどの様々な手段によって実装され得ることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読メモリに格納された命令がフローチャートブロックで指定された機能を実装する製造品を生成するように、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置を特定の様式で機能させ得る非一時的なコンピュータ可読メモリに格納され得る。コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置にロードされ、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置に一連の動作を実行させて、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行される命令がフローチャートブロックで指定された機能を実装するように、コンピュータ実装プロセスを生成し得る。
【0049】
したがって、フローチャートのブロックは、指定された機能を実行するための手段の組み合わせ、及び指定された機能を実行するための動作の組み合わせをサポートする。フローチャートの1つ以上のブロック、及びフローチャート内のブロックの組み合わせは、指定された機能を実行する専用のハードウェアベースのコンピュータシステム、又は専用のハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせによって実装され得ることもまた理解されるであろう。
【0050】
これに関して、図8に示すような本開示の1つの実施形態による方法は、310に示すようにアクセサリツールをツールと係合させることを含み得、ツールは、第1の真空カップを含み、アクセサリツールは、1つ以上の第2の真空カップを含む。ツールは、固設機構を用いて320でアクセサリツールに固設され得る。330において、第1の真空カップを通して真空引きされ、ここで真空は、ツールがアクセサリツールと係合している間に第1の真空カップを通して真空引きされていることに応答して、1つ以上の第2の真空カップを通して引かれる。物体は、1つ以上の第2の真空カップを通して引かれた真空に応答して、1つ以上の第2の真空カップを用いて340で把持され、1つ以上の第2の真空カップは、物体の表面に係合する。
【0051】
いくつかの実施形態では、動作のうちの特定のものは、以下において説明されるように修正又は更に増幅され得る。更に、いくつかの実施形態では、追加の動作も含み得る。以下の修正、任意選択的な追加、又は増幅の各々は、本明細書において説明される特徴のうち単独又は任意の他のものと組み合わせたいずれかにおいて、上記の動作に含まれ得ることを理解されたい。
【0052】
例示的な実施形態では、図8の方法を実行するための装置は、上で説明される動作(310~340)の一部又は全てを実行するように構成されたプロセッサ(例えば、図1のプロセッサ100)を含み得る。プロセッサは、例えば、格納された命令を実行するか、又は動作の各々を実行するためのアルゴリズムを実行する、ハードウェアに実装された論理関数を実行することによって動作(310~340)を実行するように構成され得る。代替的に、装置は、上で説明される動作の各々を実行する手段を含み得る。
【0053】
例示的な実施形態による装置の例は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリと、を含み得る。少なくとも1つのメモリ及びコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサを用いて、装置に動作310~340を実行させるように構成され得る。
【0054】
例示的な実施形態によるコンピュータプログラム製品の例は、その中に格納されたコンピュータ実行可能プログラムコード部分を有する少なくとも1つのコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。コンピュータ実行可能プログラムコード部分は、動作310~340を実行するためのプログラムコード命令を含み得る。
【0055】
本明細書に記載された本発明の多くの修正及び他の実施形態は、前述の説明及び関連する図面に提示される教示の利益を有するこれらの発明が関係する当業者に思い浮かぶであろう。したがって、本発明が開示された特定の実施形態に限定されず、修正及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。更に、前述の説明及び関連する図面は、要素及び/又は機能の特定の例の組み合わせの文脈で例示的な実施形態を説明するが、要素及び/又は機能の異なる組み合わせは、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、代替的なの実施形態によって提供され得ることを理解されたい。これに関して、例えば、添付の特許請求の範囲のいくつかに記載され得るように、これらの上記で明示的に説明されたものとは異なる要素及び/又は機能の組み合わせもまた企図される。特定の用語が本明細書で採用されているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用されており、限定の目的では使用されていない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8