(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】マッサージ器
(51)【国際特許分類】
A61H 23/02 20060101AFI20240617BHJP
A45D 44/22 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
A61H23/02 370
A45D44/22 Z
(21)【出願番号】P 2023018365
(22)【出願日】2023-02-09
(62)【分割の表示】P 2022160329の分割
【原出願日】2022-10-04
【審査請求日】2023-03-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年5月20日に株式会社イッティのウェブサイト(https://shop.ichiban-boshi.com/user_data/aml.php)で掲載。 令和4年5月20日に楽天市場のウェブサイト(https://item.rakuten.co.jp/itty-shop/anglift/)で掲載。 令和4年9月21日にRoppingのウェブサイト(https://ropping.tv-asahi.co.jp/tv/item/165-110657/)で掲載。
(73)【特許権者】
【識別番号】512238656
【氏名又は名称】株式会社イッティ
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100073483
【氏名又は名称】八鍬 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100164286
【氏名又は名称】中里 卓夫
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 洋
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-198429(JP,A)
【文献】特開2014-087478(JP,A)
【文献】特開2010-246831(JP,A)
【文献】特開2007-301335(JP,A)
【文献】特開平05-115525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施術者の操作に基づいて振動する振動部と、上下方向へ延びる収容空間を有し、前記振動部を前記収容空間に位置させて、前記振動部の振動に伴って振動するマッサージ器本体と、前記マッサージ器本体に対して取外し可能に形成されており、前記マッサージ器本体の上端を覆い、前記施術者が咥える
シリコン樹脂により形成された咥えキャップと、
前記施術者の操作を受け付け、前記振動部を振動させる操作入力部と、を備え、前記咥えキャップを前記施術者が咥えた状態で、前記振動部を振動させることで、前記施術者の口周りをマッサージするマッサージ器であって、
前記マッサージ器本体は、前記上端側に位置し、
上下方向に沿って外径がほぼ一定に形成された円筒形状の上端円筒部と、
前記操作入力部が取付けられ、前記上端円筒部から下方に向かって直径が大きくなるように膨出する下方膨出部と、を有し
、ほぼ洋梨形状を呈したものであり、
前記咥えキャップは、
外側に上側段部と前記上側段部から唇を挟み込むことができるほどの間隔で下側に離間した下側段部とが形成されており、前記上端円筒部に密着した状態で装着可能
となるように、内径を前記上端円筒部の外径とほぼ等しくし、前記上側段部の内側から前記下側段部の内側を超えて上下方向に沿って内径がほぼ一定に形成された上部円筒段部と、前記上部円筒段部の下側に形成され下方に向かって直径が大きくなるように広がって
おり、前記下方膨出部の上端部
の外周を覆うお椀形状に形成され、前記上端部に密着する下方スカート部と、を有
し、前記マッサージ器本体に取付けた際に、前記上部円筒部の上端から前記下方膨出部の上側までを、前記上部円筒段部と前記下方スカート部とで密着することを特徴とするマッサージ器。
【請求項2】
前記振動部は、
前記収容空間における前記マッサージ器本体の下端側に取付けられ、前記マッサージ器本体の上下方向に対して斜め方向に振動する第1の振動部
と、前記マッサージ器本体の左右方向における略中央であって、前記第1の振動部の上側の前記収容空間に取付けられ、前記マッサージ器本体の左右方向に振動する第2の振動部と、を有し、
前記第1の振動部は、上下方向に対して第1の回転軸を45度傾斜した状態で前記マッサージ器本体の収容空間における下部に固定される下側モーターと、重心が前記第1の回転軸の軸心から離間した位置となるように前記下側モーターに取付けられ、円盤形状をした下側偏心錘と、を有
し、
前記第2の振動部は、前記上下方向に対して第2の回転軸を平行とするとともに前記収容空間における下部を向き、前記上端円筒部の内部に取付けられた上側モーターと、重心が前記第2の回転軸の軸心から離間した位置となるように前記上側モーターに取付けられ、前記下側偏心錘の半径よりも大きい円盤形状をした上側偏心錘と、を有するものであって、前記上下方向と直交する水平方向に前記マッサージ器本体を振動させ、
前記咥えキャップを前記マッサージ器本体に取付けた際に、前記上側モーターの一部が前記下側段部の内側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ器。
【請求項3】
前記振動部は、さらに、
前記上端円筒部の内側であり、前記上側モーターの周囲に配置され、前記第2の振動部も振動させて、前記第2の振動部の振動を変化させる第3の振動部を有することを特徴とする請求項2に記載のマッサージ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔および身体をマッサージおよび身体を鍛練するマッサージ器に関する。
【背景技術】
【0002】
美容目的のために顔の表情筋を鍛えるということが一般になされている。表情筋とは、喜怒哀楽などの顔の表情を作り出す筋肉であり、この筋肉が衰えると顔全体が垂れ下がることにより顔が老けて見えるなど美容に影響する。そこで近年では、表情筋を鍛える手法について鋭意研究されている。
【0003】
例えば、特許文献1(従来例)では、
図18で示すように、中心軸101aに沿って延設された咥え部101と、咥え部101に接続された本体102と、本体102の内部に配置され、咥え部101を振動する第1錘110aが設けられた第1回転モーター110と、第1回転モーター110の回転軸に直行する方向に延設され、第2錘120aが設けられた第2回転モーター120と、を備える顔用美容器具100が開示されている。この顔用美容器具100は、第1回転モーター110および第2回転モーター120を駆動することにより、これらに取り付けられた第1錘110aおよび第2錘120aが偏心運動することによって、本体102及び咥え部101が振動し唇から顔の表情筋に対して、様々な方向の引張り力を付加でき、表情筋を鍛えることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来例の顔用美容器具100では、
図18で示すように、唇で咥えられる咥え部101の端面が平坦に形成されており、唇で咥えて使用することができるのみで、施術者の顔以外の部位を効果的に鍛えることはできなかった。このため、施術者が顔以外の部位を鍛えるためには、別途マッサージ器を購入する必要があり、コストがかかった。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、顔の表情筋を鍛えることができるとともに、顔以外の部位である身体も鍛えることができるマッサージ器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、施術者の操作に基づいて振動する振動部と、上下方向へ延びる収容空間を有し、前記振動部を前記収容空間に位置させて、前記振動部の振動に伴って振動するマッサージ器本体と、前記マッサージ器本体に対して取外し可能に形成されており、前記マッサージ器本体の上端を覆い、前記施術者が咥えるシリコン樹脂により形成された咥えキャップと、前記施術者の操作を受け付け、前記振動部を振動させる操作入力部と、を備え、前記咥えキャップを前記施術者が咥えた状態で、前記振動部を振動させることで、前記施術者の口周りをマッサージするマッサージ器であって、前記マッサージ器本体は、前記上端側に位置し、上下方向に沿って外径がほぼ一定に形成された円筒形状の上端円筒部と、前記上端円筒部から下方に向かって直径が大きくなるように膨出する下方膨出部と、を有し、ほぼ洋梨形状を呈したものであり、前記咥えキャップは、外側に上側段部と前記上側段部から唇を挟み込むことができるほどの間隔で下側に離間した下側段部とが形成されており、前記上端円筒部に密着した状態で装着可能となるように、内径を前記上端円筒部の外径とほぼ等しくし、前記上側段部の内側から前記下側段部の内側を超えて上下方向に沿って内径がほぼ一定に形成された上部円筒段部と、前記操作入力部が取付けられ、前記上部円筒段部の下側に形成され下方に向かって直径が大きくなるように広がっており、前記下方膨出部の上端部の外周を覆うお椀形状に形成され、前記上端部に密着する下方スカート部と、を有し、前記マッサージ器本体に取付けた際に、前記上部円筒部の上端から前記下方膨出部の上側までを、前記上部円筒段部と前記下方スカート部とで密着することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、下方スカート部は、マッサージ器本体の下方膨出部の上端部に密着した状態で、マッサージ器本体に装着されるので、咥えキャップとマッサージ器本体との接触面積を大きくし、振動機構の動作中に咥えキャップからマッサージ器本体が抜け落ちるのを抑制することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記振動部は、前記収容空間における前記マッサージ器本体の下端側に取付けられ、前記マッサージ器本体の上下方向に対して斜め方向に振動する第1の振動部と、前記マッサージ器本体の左右方向における略中央であって、前記第1の振動部の上側の前記収容空間に取付けられ、前記マッサージ器本体の左右方向に振動する第2の振動部と、を有し、前記第1の振動部は、上下方向に対して第1の回転軸を45度傾斜した状態で前記マッサージ器本体の収容空間における下部に固定される下側モーターと、重心が前記第1の回転軸の軸心から離間した位置となるように前記下側モーターに取付けられ、円盤形状をした下側偏心錘と、を有し、前記第2の振動部は、前記上下方向に対して第2の回転軸を平行とするとともに前記収容空間における下部を向き、前記上端円筒部の内部に取付けられた上側モーターと、重心が前記第2の回転軸の軸心から離間した位置となるように前記上側モーターに取付けられ、前記下側偏心錘の半径よりも大きい円盤形状をした上側偏心錘と、を有するものであって、前記上下方向と直交する水平方向に前記マッサージ器本体を振動させ、前記咥えキャップを前記マッサージ器本体に取付けた際に、前記上側モーターの一部が前記下側段部の内側に位置していることを特徴とすることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、第1振動部は、マッサージ器本体の上下方向に対して斜め方向に振動するので、振動により発生する力を、上下方向および上下方向に直交する方向に分散させることができる。このため、マッサージ器が上下方向に振動することによる唇への負担を小さくしつつ、マッサージ器が口からずれ落ちるリスクを低減することができる。また、請求項2に記載の発明によれば、第2の振動部は、左右方向にマッサージ器本体を振動するので、振動による上下方向への力を増減させることなく、左右方向に力を発生させ、表情筋をより効果的に鍛えることができる。また、第2振動部の遠心力を第1の振動部の遠心力よりも大きくすることで、施術者が咥えキャップを咥えた際に、口の外周方向の力(水平方向の振動の力)を口の前後方向の力(上下方向の振動の力)よりも大きくして振動することができ、咥えキャップを咥えた際の口の負担を抑えながら、口周りの筋肉を効果的にマッサージおよび鍛練することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記振動部は、さらに、前記上端円筒部の内側であり、前記上側モーターの周囲に配置され、前記第2の振動部も振動させて、前記第2の振動部の振動を変化させる第3の振動部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、咥えキャップの取付状態においては、咥えキャップを口に咥えて使用し、口周りをマッサージおよび鍛練することができるとともに、咥えキャップとマッサージ器本体との接触面積を大きくし、振動機構の動作中に咥えキャップからマッサージ器本体が抜け落ちるのを抑制することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態のマッサージ器の上方斜視図である。
【
図6】
図3のA-A線で切断した概略断面図である。
【
図7】
図1のマッサージ器本体の上方斜視図である。
【
図10】
図7のマッサージ器本体における蓋部(電池カバー)を外した底面図である。
【
図13】
図1のマッサージ器の使用状態を表す概略図である。
【
図14】
図7のマッサージ器本体の上部突起で肩を指圧した際の概略図である。
【
図15】
図7のマッサージ器本体の下部突起で肩を指圧した際の概略図である。
【
図16】
図1のマッサージ器1の組立手順を表すフローチャートである。
【
図17】
図1のマッサージ器1の動作を表すフローチャートである。
【
図18】従来例のマッサージ器の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るマッサージ器1について説明する。
【0016】
図1は、第1実施形態のマッサージ器1の上方斜視図であり、
図2は、マッサージ器1の展開図であり、
図3は、マッサージ器1の正面図であり、
図4は、マッサージ器1の平面図であり、
図5は、マッサージ器1の底面図である。
【0017】
また、
図6は、
図1のA-A線で切断した概略断面図であり、
図7は、マッサージ器本体10の上方斜視図であり、
図8は、マッサージ器本体10の正面図であり、
図9は、マッサージ器本体10の平面図であり、
図10は、マッサージ器本体10における蓋部13(電池カバー)を外した底面図であり、
図11は、咥えキャップ70の上方斜視図であり、
図12は、咥えキャップ70の下方斜視図である。
【0018】
なお、マッサージ器1の幅方向をX軸、マッサージ器1の厚さ方向をY軸、マッサージ器1の高さ方向をZ軸とする。
【0019】
図1乃至
図6で示すように、引用符号1は、本実施形態のマッサージ器である。マッサージ器1は、施術者Hの持ち手となり上下方向(Z軸)へ延びる収容空間Sを有するマッサージ器本体10と、マッサージ器本体10の収容空間Sに収容されマッサージ器本体10を振動させる振動機構20(振動部)と、を備える。
【0020】
また、このマッサージ器1は、施術者Hによる操作を受け付け、当該操作に基づいて振動機構20を振動させる操作入力部30と、振動機構20の動作状態を施術者Hに表示する表示部40と、操作入力部30の押圧に応じて振動機構20を振動させ、または振動を停止させるとともに表示部40の表示動作を制御する制御部50と、振動機構20の振動時間を計測する計測部(不図示)と、振動機構20と表示部40と制御部50に電力を供給する電力供給部60と、マッサージ器本体10に対して取り外し可能に形成されており、マッサージ器本体10の上端(上下方向(Z軸方向)の一端)を覆い施術者Hが咥える咥えキャップ70と、を備える。
【0021】
マッサージ器1は、咥えキャップ70を施術者Hが咥えた状態で振動機構20を振動させることで施術者Hの口周りをマッサージおよび鍛練することができる。
【0022】
マッサージ器本体10は、
図7および
図8で示すように、例えば上方側が細く、下方側が太くなるように膨出したほぼ洋梨形状を呈する。具体的に、マッサージ器本体10は、
図1、
図2、
図6、
図7、
図8、
図9で示すように、咥えキャップ70が取り付け可能な円筒形状の上端円筒部11と、上端円筒部11から下方に向かって直径が大きくなるように膨出する下方膨出部12と、下方膨出部12を下側から塞ぐ蓋部13(電池カバー)と、を有する。マッサージ器本体10は、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS等の合成樹脂素材により形成されている。
【0023】
図6で示すように、マッサージ器本体10の内部には、上下方向へ延び、振動機構20が収容される収容空間Sが、これら上端円筒部11と、下方膨出部12の内部に亘って形成されており、また、上端円筒部11の内周面に基端部を位置させ、収容空間S内には下方に向かって開口する開口保持部14が形成されている。
【0024】
上端円筒部11には、
図7で示すように、上方に向かって突出する上部突起11aが形成されている。咥えキャップ70をマッサージ器本体10から取り外した状態では、この上部突起11aを身体の任意の部位(肩や背中など)に押し当てた状態で振動機構20を駆動することで、口周り以外の身体の任意の部位もマッサージおよび鍛練することができる。
【0025】
下方膨出部12は、上端円筒部11と一体に形成されており、上端円筒部11から下方に向かって直径が大きくなるように膨出する形状を呈する。下方膨出部12の下方側の端部には、蓋部13と係合可能な係合部12cが形成されている。また、下方膨出部12の表面には、操作入力部30を表面に露出させるための穴部12aと、表示部40を表面に露出させるための小穴12bと、が形成されている。
【0026】
収容空間Sには、
図6で示すように、振動機構20と、操作入力部30と、が収容されている。この収容空間Sを下方側から塞ぐようにして電力供給部60が取り付けられている。
【0027】
開口保持部14は後述する上側振動体23を固定するための部位であり、マッサージ器本体10に一体的に形成されている。
【0028】
蓋部13は、
図2で示すように、下方膨出部12に対して取り外し可能に形成されている。この蓋部13は、例えばお椀形状の部材であり、周縁部の直径は、下方膨出部12の下方側の周縁部の直径とほぼ同じに形成されている。蓋部13の周縁部の内側には下方膨出部12の係合部12cと係合可能な被係合部13aが形成されている。係合部12cと被係合部13aとが係合することにより蓋部13が下方膨出部12に固定される。
【0029】
図3,
図5,
図6で示すように、マッサージ器本体10の下端(長手方向(上下方向)の他端)には、上部突起11aよりも小さい複数の下部突起13bが形成されている。具体的に、本実施形態では、蓋部13の底面から下方に突出する複数の下部突起13bが形成されている。下部突起13bは、本実施形態では底面の円周上に5箇所に等間隔に並んで形成されている。なお、下部突起13bの個数は5個に限られず、適宜増減できる。
【0030】
これら複数の下部突起13bを身体の任意の場所(例えば肩や背中)に押し当てることで、当該部位をマッサージおよび鍛練することができる。また、これら複数の下部突起13bにより、マッサージ器1を安定的に立てて机上などに置くことができる。また、下部突起13bは、上部突起11aよりも小さいので、底面のスペースに多数密集させることができる。
【0031】
以上説明したマッサージ器本体10の収容空間Sに振動機構20が収容されている。
【0032】
図6で示すように、振動機構20は、収容空間Sにおけるマッサージ器本体10の下端側(長手方向(上下方向)の下方側)に取り付けられ、マッサージ器本体10の上下方向(Z軸)に対して斜め方向に振動する下側振動部21(第1の振動部)と、マッサージ器本体10の左右方向(X軸方向)における略中央であって、収容空間S内における下側振動部21の上側に取り付けられ、マッサージ器本体10の左右方向に振動する上側振動部22(第2の振動部)と、収容空間S内における上側振動部22よりも外側に取り付けられ、マッサージ器本体10の上端および上側振動部22を振動させる上側振動体23(第3の振動部)と、を有する。
【0033】
これら下側振動部21、上側振動部22および上側振動体23が駆動することにより、マッサージ器本体10が振動し、その振動が咥えキャップ70を介して施術者Hの口に伝達される。
【0034】
下側振動部21は、
図6で示すように、上下方向(Z軸)に対して回転軸が角度θ(本実施形態では約45度)に傾斜した状態でマッサージ器本体10の収容空間Sにおける下部に固定される下側モーター21aと、下側モーター21aに対して軸を介して接続される下側偏心錘21bと、を有する。
【0035】
下側モーター21aとしては、例えば通常の回転モーターが用いられる。この下側モーター21aの回転数は、本実施形態では制御部50からの信号により、例えば2000rpm~7500rpmの範囲内で制御可能に構成されている。
【0036】
下側偏心錘21bは、
図6で示すように、その重心が下側モーター21aの回転軸の軸心から離間した位置となるように下側モーター21aに取り付けられる。本実施形態では下側偏心錘21bとしては例えば金属製の円盤形状のものが用いられており、この下側偏心錘21bにおける中心部から離間した位置に下側モーター21aの回転軸が取り付けられている。
【0037】
下側モーター21aが回転することにより、この下側偏心錘21bが下側モーター21aの軸周りに回転し、当該軸周りに遠心力を伝える。また、下側モーター21aの回転軸が上下方向(Z軸)に対して約45度に傾斜して配置されていることにより、下側偏心錘21bによる遠心力は、上下方向(Z軸)および水平方向(X軸およびY軸)に分散することになる。
【0038】
上側振動部22は、
図6で示すように、Z軸に対して回転軸を平行とし上端円筒部11の内部に取り付けられる上側モーター22aと、上側モーター22aに対して軸を介して接続される上側偏心錘22bと、を有する。これにより上下方向(Z軸)と直交する水平方向(X軸およびY軸)にマッサージ器本体10を振動させることができる。
【0039】
上側モーター22aとしては、下側モーター21aと同様のものが用いられるので詳細な説明を省略する。
【0040】
上側偏心錘22bは、
図6で示すように、その重心が上側モーター22aの回転軸から離間した位置となるように上側モーター22aに取り付けられる。本実施形態では上側偏心錘22bとしては例えば金属製の円盤が用いられている。この上側偏心錘22bの中心部と周縁部との間に上側モーター22aの回転軸が取り付けられている。
【0041】
また、本実施形態では上側偏心錘22bの半径は、下側偏心錘21bの半径よりも大きくされている。これにより、上側振動部22の遠心力を下側振動部21の遠心力よりも大きくできる。このため、X軸およびY軸への水平方向の振動の力を大きくし、より効果的に口周りをマッサージおよび鍛練することができる。
【0042】
より具体的には、本実施形態のマッサージ器1は、施術者Hが咥えキャップ70を咥えた際に、口の外周方向の力(水平方向の振動の力)を口の前後方向の力(上下方向の振動の力)よりも大きくして振動することで、咥えキャップ70を咥えた際の口の負担を抑えながら、口周りの筋肉を効果的にマッサージおよび鍛練することができる。
【0043】
上側振動体23は、上側モーター22aに振動が伝わるように上側モーター22aの周囲に配置されている。具体的に上側振動体23は、
図6で示すようにマッサージ器本体10の収容空間S内において開口保持部14に固定されている。上側振動体23の振動はこの開口保持部14を介してマッサージ器本体10に伝達されるようになっている。
【0044】
上側振動体23が上側振動部22に隣接して配置されることにより、上側振動部22の振動モードを複雑にすることができ、表情筋を効率的に鍛えることができる。
【0045】
操作入力部30は、
図6、
図7などで示すように、穴部12aが露出するように取り付けられており、例えば押圧スイッチなどである。操作入力部30は、押圧時間および押圧回数などの操作入力に応じて、押圧情報を制御部50へ送信する。この操作入力部30は、1秒間より短い押圧時間である場合には、短い押圧情報を制御部50へ送信し、それよりも長い押圧時間である場合には、長い押圧情報を制御部50へ送信する。
【0046】
表示部40は、マッサージ器本体10の下方膨出部12における側面であり、穴部12aの下方に形成された小穴12bから露出するように取り付けられている。表示部40としては、例えばLEDが用いられる。この表示部40は、制御部50と電気的に接続されており、マッサージ器1の動作中は青色に発光し、マッサージ器1の停止中には消灯するように、制御される。
【0047】
また、操作入力部30の下方に表示部40が配置されていることで、施術者Hが操作する際に表示部40の表示状態の確認を容易に行うことができる。
【0048】
制御部50は、
図6で示すように、例えばCPU(Central Processing Unit)等を搭載した制御基板などである。制御部50は、電力供給部60、振動機構20、表示部40および操作入力部30などと電気的に接続されており、操作入力部30からの押圧情報に応じて、電力供給部60から振動機構20および表示部40に通電し、振動機構20および表示部40を制御する。
【0049】
より具体的には、制御部50は、操作入力部30が長い押圧情報を取得すると、振動機構20の起動、停止および表示部40の点灯、消灯を制御する。また、操作入力部30から押圧情報を取得すると、振動機構20のモードを切り替える。
【0050】
計測部は、制御部50及び振動機構20と電気的に接続されており、振動機構20の振動時間を計測して制御部50に伝える。
【0051】
計測部から振動機構20の振動時間を受信した制御部50は、振動機構20が20秒間振動した場合に、振動機構20の振動ステップを切り換え、計測部をリセットするように動作する。制御部50及び計測部は、起動後、操作入力部30からの押圧情報又は長い押圧情報を受信しない場合は、この動作を繰り返す。
【0052】
以上説明したマッサージ器本体10の上端円筒部11には咥えキャップ70が着脱可能に取り付けられる。
【0053】
マッサージ器本体10から咥えキャップ70に伝わる振動は、マッサージ器本体10の収容空間Sに収容された振動機構20が操作入力部30からの制御信号を受信して振動することにより引き起こされる。
【0054】
電力供給部60は
図6、
図10で示すように、操作入力部30、振動機構20および表示部40と電気的に接続されており、操作入力部30の押圧に応じて、振動機構20および表示部40へ電力を供給するように形成されている。
【0055】
電力供給部60は、
図6で示すように、制御部50と振動機構20および表示部40と電気的に接続される電池ボックス61と、電池ボックス61に収容される電池62と、を有する。
【0056】
電池ボックス61は、
図6で示すように、平面視で円形に形成されており、収容空間Sの下端を封止するものであり、その周縁部から立ち上がる周壁61bを有している。この周壁61bは下方膨出部12の下端部の内周と嵌合可能となるように形成されている。
【0057】
また、電池ボックス61には、
図6で示すように、下側振動部21を固定するための固定部61aが形成されている。固定部61aは、下側振動部21の軸心が上下方向に対して約45度傾斜した状態で下側振動部21を固定可能なように、Z軸に対して約45度傾斜する略筒状に形成されている。この固定部61aに下側振動部21を固定することにより、この下側振動部21は、Z軸に対して約45度傾斜した状態で電池ボックス61に固定される。
【0058】
咥えキャップ70は、
図11および
図12で示すように、上側段部72と下側段部73が形成された略円筒形状の上部円筒段部71と、上部円筒段部71の下側に形成され下方に向かって直径が大きくなるように広がって形成された下方スカート部74と、を有する。
【0059】
咥えキャップ70は、可撓性を有しており、かつ人が咥えても人体に影響を与えないような素材、例えばシリコン樹脂により形成される。
【0060】
上部円筒段部71の内径は、マッサージ器本体10の上端円筒部11に密着した状態で装着可能なように、上端円筒部11の外径とほぼ等しくされている。上部円筒段部71にマッサージ器本体10の上端円筒部11が嵌まり込むことにより咥えキャップ70がマッサージ器本体10に取り付けられる。
【0061】
上側段部72と下側段部73は、唇を挟み込むことができるほどの間隔で離間して形成されている。咥えキャップ70をマッサージ器本体10に装着した状態で、上側段部72と下側段部73との間に唇を挟み込むことで、施術者Hはマッサージ器1を安定的に咥えることができる。
【0062】
咥えキャップ70が可撓性を有していることにより、マッサージ器本体10の振動が緩和され、口への怪我を抑制することができる。また、咥えキャップ70をマッサージ器本体10から取り外して洗浄することができ、衛生面を保つことができる。なお、使用により咥えキャップ70が劣化した場合は、別途咥えキャップ70を購入することで、容易に取り換えることもできる。
【0063】
下方スカート部74は、マッサージ器本体10に密着可能となるようにマッサージ器本体10の下方膨出部12の上端部の外周を覆うお椀形状に形成されている。この下方スカート部74は、マッサージ器本体10の下方膨出部12の上端部に密着した状態で、マッサージ器本体10に装着される。これにより咥えキャップ70とマッサージ器本体10との接触面積を大きくし、振動機構20の動作中に咥えキャップ70からマッサージ器本体10が抜け落ちるのを抑制することができる。
【0064】
本実施形態のマッサージ器1は、咥えキャップ70の装着状態においては、咥えキャップ70を口に咥えて使用し、顔の表情筋を鍛えることができるとともに、咥えキャップ70をマッサージ器本体10から取り外した状態では、マッサージ器本体10の上端円筒部11に形成された突出部11aを施術者Hの施術対象箇所に押し当て振動機構20を駆動することで当該箇所も鍛えることができる。このため、顔の表情筋だけでなくその他の身体の箇所の筋肉もマッサージ器本体10により鍛えることができる。
【0065】
また、下側振動部21は、Z軸に対して約45度傾斜して設けられているので、振動機構20の振動により発生する力を、X軸、Y軸およびZ軸、すなわち前後、左右、上下方向に分散させることができる。このため、マッサージ器1がZ軸に振動することによる唇への負担を小さくしつつ、マッサージ器1が口からZ軸に沿ってずれ落ちるリスクを低減し、また顔の表情筋を鍛えることができる。
【0066】
また、上側振動部22は、Z軸に対して回転軸が平行である状態でマッサージ器本体10の内部に配置されているので、振動によるZ軸への力を増減させることなく、Z軸に直行するY軸およびZ軸に力を発生させ、表情筋をより効果的に鍛えることができる。
【0067】
<マッサージ器1の組み立て方法>
次に、本実施形態のマッサージ器1を組み立てる組立作業について説明する。初期条件として、下側振動部21、上側振動部22および上側振動体23は、制御部50、計測部および電池ボックス61に電気的に接続されており、制御部50は電池ボックス61および計測部に電気的に接続されている。
【0068】
図16は、
図1のマッサージ器1を組み立てる組立フローチャートである。
【0069】
図16で示すように、作業者は上側モーター22aの軸に上側偏心錘22bを取り付け、上側モーター22aの軸が下側に向く状態で上側モーター22aを上端円筒部11に嵌合させるとともに、開口保持部14に上側振動体23を嵌合させる(STEP1、STEP2)。作業者は、マッサージ器本体10に上側振動部22および上側振動体23を取り付けたのち、下側モーター21aの軸に下側偏心錘21bを取り付け、下側モーター21aを固定部61aに固定する。その後、マッサージ器本体10の収容空間Sに制御部50と操作入力部30と、表示部40を収容する(STEP3)。
【0070】
この時、操作入力部30は、
図8で示すように、下方膨出部12の穴部12aに露出させておく。また、操作入力部30の押圧が制御部50に伝わるように、制御部50を操作入力部30に接触して設けておくことに留意する。また、表示部40も小穴部12bに露出して設置する。
【0071】
作業者は、
図6で示すように、収容空間Sに操作入力部30、制御部50、表示部40を収納した後、電池ボックス61の固定部61aに下側振動部21を固定した状態で、この電池ボックス61でマッサージ器本体の下方膨出部12を塞ぐ(STEP4)。このとき、電池ボックス61の電池設置面を底面に向け、下側振動部21が収容空間Sに収容された状態で、この電池ボックス61をネジ等により下方膨出部12に固定する。
【0072】
作業者は、
図10で示すように、電池ボックス61を下方膨出部12に固定した状態で、電池ボックス61に電池を装着する(STEP5)。さらに作業者は、
図5で示すように、この電池ボックス61を塞ぐように下方膨出部12に蓋部13を取り付ける(STEP6)。このとき、下方膨出部12の係合部12cと蓋部13の被係合部13aとを係合させる。
【0073】
そして作業者は、
図3で示すように、マッサージ器本体10の上端円筒部11に咥えキャップ70を装着して、マッサージ器1の組立作業を終了する(STEP7、STEP8)。
【0074】
以上説明した組立作業により、振動機構20、操作入力部30、表示部40、制御部50、電力供給部60を、マッサージ器本体10の収容空間Sにコンパクトに収納することができるとともに、振動機構20の振動を直接マッサージ器本体10に伝え、効果的に口周りや身体をマッサージおよび鍛練することができる。
【0075】
具体的には、下方膨出部12の底部を、下側振動部21が一体的に固定された電池ボックス61で塞ぐことで、上側振動部22および上側振動体23とともに下側振動部21の振動を効率良くマッサージ器本体10に伝達できる。
【0076】
<マッサージ器1の動作>
次に、本実施形態のマッサージ器1のマッサージ動作について
図17を用いて説明する。初期条件として、振動機構20の動作が停止している状態とする。
【0077】
図17は、
図1のマッサージ器1のマッサージ動作を示す制御フローチャートである。
【0078】
図17で示すように、施術者Hがスイッチ部24を押下すると、制御部50は、操作入力部30の押圧情報が長い押圧情報か否かを判定する(STEP1、STEP2)。制御部50が、操作入力部30の押圧情報が長い押圧情報と判定すると、電力供給部60から振動機構20、表示部40および計測部へ通電し、振動機構20をモード1で振動させて、表示部40を青色に点灯させる(STEP2YES、STEP3、STEP4)。
【0079】
振動機構20がモード1で振動すると、(振動ステップ1-1)下側モーター21aが約2000回/分の回転速度で約20秒間回転した後、(振動ステップ1-2)上側モーター22aが2000回/分の回転速度で約20秒間回転する、という動作をローテーションして行う。
【0080】
具体的には、計測部は、振動機構20が振動ステップ1-1で振動を開始してから20秒間計測し、20秒経過したと判断した場合には、制御部50は、振動機構20の振動を振動ステップ1-1から振動ステップ1-2に変更する(STEP5YES、STEP6)。この状態でさらに20秒経過した場合には、制御部50は、振動機構20の振動を振動ステップ1-2から振動ステップ1-1に変更する(STEP5YES、STEP6)。
【0081】
制御部50は、計測部が20秒経過したと判断するまでの間に、操作入力部30から押圧情報を取得したか否かを判断する(STEP5NO、STEP7)。制御部50は、操作入力部30から押圧情報を取得していないと判断すると、引き続き振動機構20および表示部40の動作を継続する(STEP7NO)。
【0082】
制御部50が操作入力部30から押圧情報を取得し、取得した押圧情報が長い押圧情報と判断すると、振動機構20をモード2で振動させる(STEP7YES、STEP8NO、STEP9)。
【0083】
振動機構20がモード2で振動すると、(振動ステップ2-1)下側モーター21aが約2500回/分の回転速度で20秒間回転した後、(振動ステップ2-2)上側モーター22aが約2500回/分、上側振動体23が約7500回/分の回転速度で20秒間回転し、その後、(振動ステップ2-3)下側モーター21aが約2500回/分、上側モーター22aが約2500回/分の回転速度で20秒間回転し、その後、(振動ステップ2-4)下側モーター21aが約2500回/分、上側モーター22aが約2500回/分、上側振動体23が7500回/分の回転速度で20秒間回転する、という動作をローテーションして行うように切り替わる。
【0084】
具体的には、計測部は、振動機構20が振動ステップ2-1で振動を開始してから20秒間計測し、20秒経過したと判断した場合には、制御部50は、振動機構20の振動を振動ステップ2-1から振動ステップ2-2に変更する(STEP10YES、STEP11)。この状態でさらに20秒経過した場合には、制御部50は、振動機構20の振動を振動ステップ2-2から振動ステップ2-1に変更する(STEP10YES、STEP11)。同様に、制御部50は、20秒ごとに振動機構20の振動を振動ステップ2-3から振動ステップ2-4に、振動ステップ2-4から振動ステップ2-1に変更する(STEP10YES、STEP11)。
【0085】
制御部50は、計測部が20秒経過したと判断するまでの間に、操作入力部30から押圧情報を取得したか否かを判断する(STEP10NO、STEP12)。制御部50は、操作入力部30から押圧情報を取得していないと判断すると、引き続き振動機構20および表示部40の動作を継続する(STEP12NO)。
【0086】
制御部50は、操作入力部30から押圧情報を取得し、取得した押圧情報が長い押圧情報ではないと判定すると、振動機構20をモード3で振動させる(STEP12YES、STEP13NO、STEP14)。振動機構20がモード3で振動すると、(振動ステップ3-1)下側モーター21aが約3000回/分、上側モーター22aが約3000回/分の回転速度で20秒間回転した後、(振動ステップ3-2)下側モーター21aが約3000回/分、上側モーター22aが約3000回/分、上側モーター23aが約7500回/分の回転速度で20秒間回転し、その後、(振動ステップ3-3)下側モーター21aが約3500回/分、上側モーター22aが約3500回/分の回転速度で20秒間回転し、その後、(振動ステップ3-4)下側モーター21aが約3500回/分、上側モーター22aが約3500回/分、上側振動体23が7500回/分の回転速度で20秒間回転する、という動作をローテーションして行う動作に切り替わる。
【0087】
具体的には、計測部は、振動機構20が振動ステップ3-1で振動を開始してから20秒間計測し、20秒経過したと判断した場合には、制御部50は、振動機構20の振動を振動ステップ3-1から振動ステップ3-2に変更する(STEP15YES、STEP16)。同様に、制御部50は、20秒ごとに振動機構20の振動を振動ステップ3-2から振動ステップ3-3に、振動ステップ3-3から振動ステップ3-4に、振動ステップ3-4から振動ステップ3-1に変更する(STEP15YES、STEP16)。
【0088】
制御部50は、計測部が20秒経過したと判断するまでの間に、操作入力部30から押圧情報を取得したか否かを判断する(STEP15NO、STEP17)。制御部50は、操作入力部30から押圧情報を取得していないと判断すると、引き続き振動機構20および表示部40の動作を継続する(STEP17NO)。
【0089】
制御部50は、操作入力部30から押圧情報を取得し、取得した押圧情報が長い押圧情報ではないと判定すると、振動機構20をモード4で振動させる(STEP17YES、STEP18NO、STEP19)。振動機構20がモード4で振動すると、(振動ステップ4-1)下側モーター21aが約3500回/分、上側モーター22aが約3500回/分、上側振動体23が約7500回/分の回転速度で回転する、という動作に切り替わる。
【0090】
制御部50は、振動機構20の振動中に、操作入力部30から押圧情報を取得したか否かを判断する(STEP20)。制御部50は、操作入力部30から押圧情報を取得していないと判断すると、引き続き振動機構20および表示部40の動作を継続する(STEP20NO)。
【0091】
制御部50は、操作入力部30から押圧情報を取得し、取得した押圧情報が長い押圧情報ではないと判定すると、振動機構20をモード1で振動させる(STEP21NO、STEP3)。
【0092】
一方、制御部50は、取得した押圧情報が長い押圧情報であると判定した場合(操作入力部30から長い押圧情報を取得した場合)には、振動機構20および表示部40への通電を停止し、マッサージ器1のマッサージ動作を終了する(STEP2YES、STEP8YES、STEP13YES、STEP18YES、STEP21YES、STEP22、23)。
【0093】
本実施形態のマッサージ器1は、操作入力部30の押圧回数に応じて、振動機構20の振動モードが切り替わるため、施術者Hの好みに合わせた施術を簡単に設定することができる。
【0094】
また、本実施形態のマッサージ器1は、振動機構20の動作中は、表示部40を青色に点灯し、振動機構20を動作させていないときは、表示部40を消灯することで、振動機構20の動作の有無を簡単に施術者Hに伝えることができる。
【0095】
また、マッサージ器1の振動パターンがモード1ないしモード4に遷移することで、施術者Hの口周りや身体の任意の部位を、施術者Hの筋肉量に応じて適切な振動力で効果的に筋肉を鍛え、マッサージおよび鍛練する事ができる。
【0096】
また、それぞれのモード内でマッサージ器1の振動ステップが20秒ごとに遷移することにより、施術者Hがマッサージ器1を咥えた状態で特に操作することもなく多様な振動パターンによる振動力を口周りや身体の任意の部位の筋肉に与えることができ、効果的に筋肉を鍛え、マッサージおよび鍛練することができる。
【0097】
<マッサージ器1の使用方法>
次に、本実施形態のマッサージ器1の複数の使用方法について
図13、
図14、
図15を用いて説明する。
【0098】
図13は、マッサージ器1の使用状態を表す概略図である。
【0099】
施術者Hは、
図13で示すように、咥えキャップ70を咥えた状態で、マッサージ器本体10の操作入力部30を1秒よりも長く押下し、操作入力部30が長い押圧情報を制御部50へ送り、制御部50が電力供給部60からの通電を開始する。これにより、マッサージ器1が前述のモード1で振動を開始し、その振動が咥えキャップ70を介して施術者Hの表情筋に伝わり、表情筋を鍛えることができる。
【0100】
また、施術者Hが咥えキャップ70を咥えた状態でマッサージ器本体10の操作入力部30を短時間(例えば1秒未満)押下することで、操作入力部30が押圧情報を制御部50へ送り、後述するようにモード1ないしモード4への遷移を行うことができる。
【0101】
これにより、個人の表情筋の筋力に応じてモードを遷移し、口周りの筋肉を効果的に鍛える事ができる。
【0102】
なお、本実施形態ではモード1からモード4にかけてマッサージ器本体の振動エネルギーが徐々に大きくなるように構成されている。このため、急激な振動により口の怪我を抑制するためにも、マッサージ器本体10の電源を切った状態で咥えキャップ70を咥え、この状態でマッサージ器本体10の電源を入れ、モード1からモード4に徐々に遷移させて使用するのが好ましい。
【0103】
マッサージ器1の使用を終了する際には、操作入力部30を1秒よりも長く押下することにより、操作入力部30が制御部50へ長い押圧情報を送信して電力供給部60から制御部50への通電を停止して、下側振動部21、上側振動部22および上側振動体23の動作を停止させることができる。
【0104】
なお、咥えキャップ70はシリコン樹脂により形成されているため、咥えたとしても人体に有害な物質が体内に取り込まれる心配は少なく、また、経年劣化した際には容易に取り換えることもでき、衛生的にも安全である。
【0105】
図14は、マッサージ器本体10の上部突起11aで肩を指圧した際の概略図である。
図15は、マッサージ器本体10の下部突起13bで肩を指圧した際の概略図である。
【0106】
図14で示すように、施術者Hは、咥えキャップ70をマッサージ器本体10から取り外し、露出した上部突起11aで肩や背中等に当て、前述のマッサージ器1の動作を開始し、肩や背中等の指圧をすることができる。
【0107】
同様に、
図15で示すように、施術者Hは、下部突起13bを肩や背中等に当てて前述のマッサージ器1の動作を開始することで肩や背中等を、複数の下部突起13bで指圧することができる。
【0108】
このように、施術者Hはこの上部突起11aや下部突起13aを肩や背中等の身体の鍛えたい場所に押し当てて操作入力部30により制御部50を動作させることで、口周り以外の身体の任意の部位もマッサージおよび鍛練することができる。
【0109】
すなわち、咥えキャップ70をマッサージ器本体10に着脱することで簡単に口周りの筋肉と身体の任意の部位の筋肉とを鍛えることができ、1つの製品を2つの用途で使用することができる。
【0110】
また、上部突起11aは、1つの突起で、下部突起13bは、上部突起11aよりも小さい複数の突起で指圧することで、複数の態様で肩や背中等を指圧することができる。
【0111】
(他の実施形態)
上記実施形態のマッサージ器1として、操作入力部30がマッサージ器本体10から露出しているものとして説明したが、操作入力部30は、必ずしもマッサージ器本体10から露出している必要はなく、例えば操作入力部30の代わりにマッサージ器本体10の内部に感圧センサーを設けてこの感圧センサーにより制御部50を動作させることができるようにしても良い。
【0112】
また、上記実施形態のマッサージ器1として、表示部40が下方膨出部12の小穴22cから露出しているものとして説明したが、表示部40は必ずしもマッサージ器本体10から露出している必要はなく、例えば、マッサージ器本体10の一部を透明にし、その透明な箇所により外部から視認できるようにして、マッサージ器本体10の内部に設けても良い。
【0113】
また、上記実施形態のマッサージ器1として、表示部40が青色に点灯するものとして説明したが、表示部40は必ずしも青色に点灯する必要はなく、動作状態が分かれば何色に点灯していても良い。
【0114】
また、電力供給部60として電池ボックス61に電池62を設けるものとして説明したが、必ずしも、電池62を用いる必要はなく、例えば、これらの代わりにリチウムイオンなどの充電式のバッテリーを用いても良い。
【0115】
また、上記実施形態のマッサージ器1として、口周りや肩などの筋肉をマッサージ及び鍛練するものとして説明したが、マッサージ器1の用途はこれに限られず、例えば身体の筋肉を鍛練する身体鍛練器も含むものとする。
【0116】
なお、上記実施形態のマッサージ器1として、下側モーター21aの回転軸のZ軸に対する傾斜角θが約45度傾斜のものを説明したが、当該傾斜角θは45度である必要はなく、適宜変更することができる。なお、この傾斜角θは、下側振動部21の遠心力をZ軸に直行する軸(X軸およびY軸)にほぼ均一に分配できるように40度~50度の間に設定されるのが好ましい。
【0117】
また、上記実施形態のマッサージ器1の振動機構20の動作としてモード1ないしモード4に切り替えられる構成として説明したが、振動機構20の動作はこれらのモード1ないしモード4に限られるものではなく、その回転数や回転時間等は適宜設定することができる。
【0118】
また、上記実施形態のマッサージ器1において、マッサージ器本体10の下方膨出部12と蓋部13とが別体に形成されているものについて説明したが、下方膨出部12と蓋部13とが別体に形成されている必要はなく、これらが一体に形成されていても良い。この場合は、電力供給部60としてワイヤレス充電器を用い、マッサージ器本体10を充電台の上に置くだけで充電できるように構成しても良い。
【0119】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0120】
1…マッサージ器
10…マッサージ器本体
11…上端円筒部(一端) 11a…上部突起 12…下方膨出部 12a…穴部 12b…小穴 12c…係合部 13…蓋部(電池カバー) 13a…被係合部 13b…下部突起 14…開口保持部
20…振動機構(振動部)
21…下側振動部(第1の振動部) 21a…下側モーター 21b…第1偏心錘 22…上側振動部(第2の振動部) 22a…上側モーター 22b…第2偏心錘 23…上側振動体(第3の振動部)
30…操作入力部
40…表示部
50…制御部
60…電力供給部
61…電池ボックス 61a…固定部 62…電池
70…咥えキャップ 71…円筒部 71a…上部突起 72…上側段部 73…下側段部 74…下方スカート部
H 施術者