(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】アドレス指定可能な深さ範囲および/または視野を有するセンサならびにそのようなセンサを有するコンピューティングデバイス
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240617BHJP
G01S 17/89 20200101ALI20240617BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/89
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023094512
(22)【出願日】2023-06-08
【審査請求日】2023-06-08
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519146787
【氏名又は名称】ツー-シックス デラウェア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】II-VI Delaware,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】アンナ・タタルチャック
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリー・イアズィコフ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ココット
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0041634(US,A1)
【文献】特開平06-249648(JP,A)
【文献】特表2015-525444(JP,A)
【文献】国際公開第2008/078543(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0097124(US,A1)
【文献】特開平02-000903(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113748366(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111448540(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
G01C 3/00 - 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信器と、
出力結合器と、
ビームを放出するように構成された伝送器と、
前記伝送器によって放出された前記ビームを受信し、前記ビームを前記出力結合器の方へ案内するように構成されたガイドと
を含むセンサであって、
各出力結合器は、制御信号に基づいて、それぞれの前記出力結合器から前記ビームを放出するアウトカップリング状態と、前記ビームを前記ガイドに制限する内部反射状態とに選択的にすることができ、
前記受信器は、前記出力結合器のうちの1つまたは複数から放出された前記ビームを受信するように構成された、
センサ。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサであって、前記出力結合器は、
前記受信器から第1の基線距離をあけた第1の出力結合器と、
前記受信器から第2の基線距離をあけた第2の出力結合器と
を含み、前記第2の基線距離は前記第1の基線距離より長い、センサ。
【請求項3】
請求項1に記載のセンサであって、前記出力結合器は、
第1の深さ範囲を提供する第1の出力結合器と、
前記第1の深さ範囲とは異なる第2の深さ範囲を提供する第2の出力結合器と
を含む、センサ。
【請求項4】
請求項3に記載のセンサであって、前記第1の深さ範囲は前記第2の深さ範囲の一部分と重複する、センサ。
【請求項5】
請求項1に記載のセンサであって、前記出力結合器は、
第1の視野を提供する第1の出力結合器と、
前記第1の視野とは異なる第2の視野を提供する第2の出力結合器と
を含む、センサ。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサであって、
前記第1の出力結合器は、第1の周期を有する第1の繰返し格子構造を含む第1の回折格子を含み、
前記第2の出力結合器は、前記第1の周期とは異なる第2の周期を有する格子構造を含む第2の回折格子を含む、
センサ。
【請求項7】
請求項1に記載のセンサであって、
前記伝送器と前記出力結合器のうちの第1の出力結合器との間の第1の光学構造と、
前記伝送器と前記出力結合器のうちの第2の出力結合器との間の第2の光学構造と
を含むセンサ。
【請求項8】
請求項7に記載のセンサであって、前記第1の光学構造および前記第2の光学構造は、各々、レンズ、回折光学素子、コリメータ、偏光フィルタ、波長フィルタ、または、拡散器を含む、センサ。
【請求項9】
請求項1に記載のセンサであって、
前記出力結合器の上の光学構造
を含み、
第1の出力結合器は、前記第1の出力結合器が前記アウトカップリング状態にあることに応答して、第1の光学構造を通って前記ビームを放出する、
センサ。
【請求項10】
請求項9に記載のセンサであって、各光学構造は、レンズ、回折光学素子、コリメータ、偏光フィルタ、波長フィルタ、または、拡散器を含む、センサ。
【請求項11】
受信器と、
出力結合器と、
ビームを放出するように構成された伝送器と、
前記伝送器によって放出された前記ビームを受信し、前記ビームを前記出力結合器の方へ案内するように構成されたガイドと、
命令を含む記憶デバイスと、
前記命令を実行し、前記命令の実行に基づいて制御信号を生成するように構成されたプロセッサと
を含むコンピューティングデバイスであって、
各出力結合器は、前記制御信号に基づいて、それぞれの前記出力結合器から前記ビームを放出するアウトカップリング状態と、前記ビームを前記ガイドに制限する内部反射状態とに選択的にすることができ、
前記受信器は、前記出力結合器のうちの1つまたは複数から放出された前記ビームを受信するように構成された、
コンピューティングデバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピューティングデバイスであって、前記出力結合器は、
前記受信器から第1の基線距離をあけた第1の出力結合器と、
前記受信器から第2の基線距離をあけた第2の出力結合器と
を含み、前記第2の基線距離は前記第1の基線距離より長い、コンピューティングデバイス。
【請求項13】
請求項11に記載のコンピューティングデバイスであって、前記出力結合器は、
第1の深さ範囲を提供する第1の出力結合器と、
前記第1の深さ範囲とは異なる第2の深さ範囲を提供する第2の出力結合器と
を含み、
前記第1の深さ範囲は前記第2の深さ範囲の一部分と重複する、
コンピューティングデバイス。
【請求項14】
請求項11に記載のコンピューティングデバイスであって、前記出力結合器は、
第1の視野を提供する第1の出力結合器と、
前記第1の視野とは異なる第2の視野を提供する第2の出力結合器と
を含む、コンピューティングデバイス。
【請求項15】
請求項11に記載のコンピューティングデバイスであって、
前記伝送器と前記出力結合器のうちの第1の出力結合器との間の第1の光学構造と、
前記伝送器と前記出力結合器のうちの第2の出力結合器との間の第2の光学構造と
を含むコンピューティングデバイス。
【請求項16】
請求項11に記載のコンピューティングデバイスであって、
前記出力結合器の上の光学構造
を含み、
第1の出力結合器は、前記第1の出力結合器が前記アウトカップリング状態にあることに応答して、第1の光学構造を通って前記ビームを放出する、
コンピューティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]スマートフォンなどの消費者電子デバイスは、そのような消費者電子デバイスが空間領域の3Dスキャンを生成または感知することを可能にするLidarモジュールおよび/または他のセンサモジュールを含むことができる。
【背景技術】
【0002】
消費者電子デバイスは、顔認識プロセス、生体認証プロセス、拡張現実プロセス、自動焦点プロセス、および/または別のプロセスの一部として、そのような3Dスキャンデータを使用することができる。そのようなプロセスの有効性は、Lidarモジュールおよび/または他のセンサモジュールの設計された走査または感知範囲に依存することがある。さらに、1つの走査範囲では、消費者電子デバイスが捕捉された3Dスキャンデータを利用しようとするすべてのプロセスに対して十分でないこともある。したがって、消費者電子デバイスは、様々なプロセスによって必要とされる走査範囲を提供するために、複数のLidarモジュールおよび/または他のセンサモジュールを含むことがある。
【発明の概要】
【0003】
[0002]アドレス指定可能な深さ範囲および/または視野を有するセンサ、ならびにそのようなセンサを有するコンピューティングデバイスについて、図の少なくとも1つに関連して図示および/もしくは説明し、特許請求の範囲において、より徹底的に記載する。
【0004】
[0003]上記の開示のこれらおよび他の利点、態様、および新規な特徴、ならびに本開示の例示的な実施形態の詳細は、以下の説明および図面からより徹底的に理解されよう。
[0004]本開示の様々な特徴および利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照するとより容易に理解されよう。添付の図面では、同じ参照番号が同様の構造要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】[0005]本開示の態様ごとにアドレス指定可能な深さ範囲および/または視野を有するセンサを備えるコンピューティングデバイスのブロック図である。
【
図2A】[0006]
図2Aは、
図1に示すセンサおよび/またはセンサのさらなる特徴の一実施形態を示す図である。
【
図2B】
図2Bは、
図1に示すセンサおよび/またはセンサのさらなる特徴の一実施形態を示す図である。
【
図2C】
図2Cは、
図1に示すセンサおよび/またはセンサのさらなる特徴の一実施形態を示す図である。
【
図3】[0007]
図2A~
図2Cの出力結合器に関連付けられた深さ範囲を示す図である。
【
図4】[0008]
図2A~
図2Cのセンサを使用して3Dスキャンデータを生成するプロセスの流れ図である。
【
図5】[0009]
図1に示すセンサおよび/またはセンサのさらなる特徴の別の実施形態を示す図である。
【
図6】[0010]
図1に示すセンサおよび/またはセンサのさらなる特徴のさらなる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0011]以下の議論は、センサおよびコンピューティングデバイスの様々な例を提供する。そのような例は非限定的であり、添付の特許請求の範囲の範囲は、開示する特定の例に限定されるべきではない。以下の議論において、「例」および「たとえば」という用語は非限定的である。
【0007】
[0012]これらの図は一般的な構造様式を示しており、本開示を不要に曖昧にすることを回避するために、よく知られている特徴および技法の説明および詳細は省略することができる。加えて、図面内の要素は、必ずしも原寸通りに描かれていない。たとえば、本開示で論じる例の理解の改善の助けとなるために、これらの図における要素のいくつかの寸法が他の要素に対して強調されることがある。異なる図における同じ参照番号は、同じ要素を示す。
【0008】
[0013]「または」という用語は、「または」によって接続されるリスト内の項目のいずれか1つまたは複数を意味する。一例として、「xまたはy」は、3つの要素からなる集合{(x),(y),(x,y)}のいずれかの要素を意味する。別の例として、「x、y、またはz」は、7つの要素からなる集合{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のいずれかの要素を意味する。
【0009】
[0014]「備える、含む(comprises)」、「備える、含む(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含む(including)」という用語は、「オープンエンド」の用語であり、記載の特徴の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴の存在または追加を除外しない。
【0010】
[0015]「第1」、「第2」などの用語は、本明細書において様々な要素について説明するために使用することができ、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。したがって、
たとえば、本開示の教示から逸脱することなく、本開示で論じる第1の要素を第2の要素と呼ぶこともできる。
【0011】
[0016]別途指定されない限り、「結合される」という用語は、2つの要素が互いに直接接触する状態、または2つの要素が1つもしくは複数の他の要素によって間接的に接続される状態について説明するために使用することができる。たとえば、要素Aが要素Bに結合されるという場合、要素Aは要素Bに直接接触することができ、または介在する要素Cによって要素Bに間接的に接続することがある。同様に、「上(over)」または「上(on)」という用語は、2つの要素が互いに直接接触する状態、または2つの要素が1つもしくは複数の他の要素によって間接的に接続される状態について説明するために使用することができる。
【0012】
[0017]概して、本開示の態様は、アドレス指定可能な深さ範囲および/または視野を有するセンサを対象とする。本開示のさらなる態様は、そのようなセンサを有するコンピューティングデバイスを対象とする。このため、センサは、受信器から異なる距離をあけて位置決めされた複数の出力結合器を含むことができる。出力結合器を選択的に有効にすることによって、伝送器によって生成された光または他の放射を出力結合器の方へ誘導し、伝送器から異なる距離にセンサから選択的に放出することができる。そのような選択的な放出により、センサの深さ範囲および/または視野を調整することができる。このようにして、コンピューティングデバイスは、深さ範囲および/または視野に関して異なる必要性を有する用途および/またはプロセスにわたって利用することができる単一のセンサを含むことができる。
【0013】
[0018]
図1を参照すると、コンピューティングデバイス100のブロック図が示されており、コンピューティングデバイス100は、アドレス指定可能な深さ範囲および/または視野を有するセンサ140を含む。特に、コンピューティングデバイス100は、1つまたは複数のプロセッサ110、1つまたは複数の記憶デバイス120、表示デバイス130、センサ140、および様々な入出力(I/O)デバイス150を含むことができる。コンピューティングデバイス100は、プロセッサ110、記憶デバイス120、表示デバイス130、センサ140、およびI/Oデバイス150を互いに動作可能に結合するバスおよび/または他の相互接続をさらに含むことができる。プロセッサ110は、命令を実行し、データを操作し、そのような命令を実行した結果としてコンピューティングデバイス100の他の構成要素の動作を制御するように構成することができる。このため、プロセッサ110は、たとえば様々な販売業者から入手可能なx86プロセッサ、アーム(ARM)プロセッサなどの汎用プロセッサを含むことができる。しかし、プロセッサ110はまた、特定用途向けプロセッサならびに/または他のアナログおよび/もしくはデジタル論理回路を使用して実装することもできる。
【0014】
[0019]記憶デバイス120は、1つもしくは複数の揮発性記憶デバイスおよび/または1つもしくは複数の不揮発性記憶デバイスを含むことができる。概して、記憶デバイス120は、プロセッサ110によって実行することができるソフトウェアおよび/またはファームウェア命令を記憶することができる。記憶デバイス120は、プロセッサ110が命令を実行したことに応答してアクセス、修正、および/または他の形で操作することができる様々なタイプのデータをさらに記憶することができる。このため、記憶デバイス120は、ランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス、読出し専用メモリ(ROM)デバイス、ソリッドステートデバイス(SSD)ドライブ、フラッシュメモリデバイスなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、記憶デバイス120の1つまたは複数のデバイスを1つまたは複数のプロセッサ110と一体化することができる。
【0015】
[0020]表示デバイス130は、プロセッサ110の命令の実行から得られた視覚出力を提示することができる。このため、表示デバイス130は、1つまたは複数の液晶ディスプレイ(LCD)デバイス、液晶オンシリコン(LCoS)デバイス、発光ダイオード(LED)デバイス、有機発光ダイオード(OLED)デバイス、量子ドットデバイス、干渉変調器デバイス、または何らかの他の表示デバイスを含むことができる。
【0016】
[0021]以下でより詳細に説明するように、センサ140は、そのアドレス指定可能な深さ範囲および/または視野内の空間領域の3Dスキャンを生成するように協働する伝送器および受信器を含むことができる。コンピューティングデバイス100は、顔認識プロセス、生体認証プロセス、拡張現実プロセス、自動焦点プロセス、および/または別のプロセスの一部として、生成された3Dスキャンデータを使用することができる。特に、プロセッサ110は、オペレーティングシステム、デバイスドライバ、アプリケーション、ならびに/または何らかの他のソフトウェアおよび/もしくはファームウェアモジュールの命令を実行して、センサ140の深さ範囲および/または視野を調整する制御信号を生成することができる。
【0017】
[0022]他のI/Oデバイス150は、ユーザまたは別のデバイス(たとえば、別のコンピューティングデバイス、ネットワーキングデバイスなど)がコンピューティングデバイス100と相互作用することを有効にするデバイスを提供することができる。たとえば、I/Oデバイス150は、ボタン、タッチスクリーン、キーボード、マイクロフォン、音声スピーカなどを含むことができ、これらを介して、個人がコンピューティングデバイス100と対話することができる。I/Oデバイス150はまた、コンピューティングデバイス100が他のコンピューティングデバイスおよび/またはネットワーキングデバイスと通信することを可能にするネットワークインターフェースを含むこともできる。このため、ネットワーキングインターフェースは、イーサネット(IEEE802.3)インターフェースなどの有線ネットワーキングインターフェース、WiFi(IEEE802.11)インターフェース、BlueTooth(IEEE802.15.1)インターフェースなどの無線ネットワーキングインターフェース、セルラーインターフェース(GSM、CDMA、LTEなど)などの無線もしくは移動体インターフェース、ならびに/またはコンピューティングデバイス100と別のコンピューティングデバイスおよび/もしくはネットワーキングデバイスとの間に通信リンクを提供することが可能な何らかの他のタイプのネットワーキングインターフェースを含むことができる。
【0018】
[0023]上記は、コンピューティングデバイス100の態様について説明している。しかし、コンピューティングデバイス100の実際の実装には相当な変動が存在する可能性もある。たとえば、コンピューティングデバイス100のスマートフォンの実装では、コンピューティングデバイス100のラップトップの実装とは大幅に異なる構成要素を使用することがあり、大幅に異なるアーキテクチャを有することがある。そのような違いにかかわらず、コンピューティングデバイスはなお、概して、様々な機能を実装するためにソフトウェアおよび/またはファームウェア命令を実行するプロセッサを含む。したがって、コンピューティングデバイス100の前述の態様は、限定的な観点からではなく、概して例示的な観点から提示したものである。
【0019】
[0024]本開示の特定の態様は、移動消費者電子デバイス(たとえば、スマートフォン、タブレット、ラップトップなど)として実装されるコンピューティングデバイスに特に有用となりうる。しかし、本開示では、無数の異なるコンピューティングデバイスおよび/またはコンピューティングプラットホームにわたって態様に有用性があると想定しており、その意図は、添付の特許請求の範囲に見ることができるそのような限定を超えて、本開示の範囲を特有のコンピューティングデバイスおよび/またはコンピューティングプラットホームに限定することではない。
【0020】
[0025]
図2A~
図2Cを次に参照すると、
図1のセンサ140を実装することができるセンサ200のブロック図が示されている。特に、
図2Aは、第1の深さ範囲を提供するように構成されたセンサ200を示し、
図2Bは、第1の深さ範囲より大きい第2の深さ範囲を提供するように構成されたセンサ200を示し、
図2Cは、第2の深さ範囲より大きい第3の深さ範囲を提供するように構成されたセンサ200を示す。
【0021】
[0026]示されているように、センサ200は、ガイド210(たとえば、光ガイドまたは導波路)、集積回路デバイス220、伝送器230、受信器240、入力結合器250、第1の出力結合器260、第2の出力結合器270、および第3の出力結合器280を含むことができる。様々な実施形態では、センサ200は、消費者電子機器向けの赤外(IR)に基づく3D走査ハードウェアソリューション、Lidarモジュール、および/または他の3D走査環境を提供することができる。制御信号に応答して、センサ200は、所望のアドレス指定可能な深さ範囲および/または視野を提供するようにセンサ200を動的に構成する結合器260、270、280の個々の結合器を選択的に有効または活動状態にすることができる。
【0022】
[0027]特定の実施形態では、ガイド210は、コンピューティングデバイス100の表示デバイス130(たとえば、OLEDスクリーン)の上に配置することができる。示されているように、ガイド210は、集積回路デバイス220の頂面の上に位置決めまたは形成することができ、したがってガイド210の底面が集積回路デバイス220の頂面になる。ガイド210は、ガイド210の底面に沿って伝送器230の上に入力結合器250を含むことができる。ガイド210は、ガイド210の頂面に沿って出力結合器260、270、280をさらに含むことができる。入力結合器250は、伝送器230の出力をガイド210に結合することができ、したがってガイド210は、伝送器230の出力を出力結合器260、270、280の方へ案内または誘導することができる。
【0023】
[0028]集積回路デバイス220は、伝送器230を含むことができる。様々な実施形態では、集積回路デバイス220は、センサ200の動作および/または他の機能を対象とする追加の回路および/または構成要素を含むことができる。さらに、様々な実施形態では、伝送器230を集積回路デバイス220とは別個のデバイスとして実装することができる。
【0024】
[0029]伝送器230は、センサ200によって受信された制御信号に基づいて、光および/または他の放射のビーム231を生成することができる。様々な実施形態では、伝送器230は、選択された出力結合器260、270、280を介してセンサ200によって放出される赤外(IR)光のビーム231を生成して、選択されたアドレス指定可能な深さ範囲ごとに空間領域のIRスキャンを実行することができる。このため、伝送器230は、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)アレイ、発光ダイオード(LED)、および/または別の赤外源を含むことができる。様々な実施形態において、センサ200は、赤外光のビームを使用して空間領域の3Dスキャンを生成することができるのに対して、伝送器230は、他の形態の放射のビームを生成することができ、ガイド210は、そのようなビームを出力結合器260、270、280へ案内し、そのような誘導されたビームを使用して3Dスキャンデータを生成するように製造することができる。
【0025】
[0030]受信器240は、伝送器230のビーム231がセンサ200から放出され、センサ200の走査または深さ範囲内で対象によって反射された後、そのようなビーム231を受信、捕捉、および/または検出するように位置決めすることができる。このため、受信器240は、電荷結合デバイス(CCD)イメージセンサ、相補形金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサ、または伝送器230によって放出されたビーム231を受信するのに好適な何らかの他のイメージセンサもしくはカメラなどのイメージセンサを含むことができる。したがって、受信器240は、集積回路デバイス220とは別個のものとすることができる。しかし、様々な実施形態では、受信器240を集積回路デバイス220および伝送器230と一体化することもできる。
【0026】
[0031]プロセッサ110は、出力結合器260、270、280の材料特性を動的に制御する制御信号を生成することができる。このようにして、プロセッサ110は、それぞれの結合器260、270、280がビーム231をガイド210に制限する全内部反射(TIR)状態と、それぞれの結合器260、270、280によりビーム231がそれぞれの結合器260、270、280を介してガイド210から逃げることが可能になるアウトカップリング状態との間で、各出力結合器260、270、280を選択的に構成することができる。特に、プロセッサ110は、システムレベルソフトウェアを実行した結果、それぞれの出力結合器260、270、280をTIR状態またはアウトカップリング状態にするように出力結合器260、270、280の特性を選択的に変える電圧、電流、差分、および/または他の制御信号を生成することができる。そのような制御信号を生成することによって、センサ200は、関心深さ範囲および/または視野を照射するように構成することができる。
【0027】
[0032]ガイド210内の制限は、ガイド210の頂面および底面に沿って反射コーティングによって実現することができる。反射コーティングは、見通し角で高い反射率を有し、法線角近くで低い反射率を有することができる。反射コーティングは、出力結合器260、270、280を介してビームがアウトカップリングされるべき区域から選択的に除去することができる。
【0028】
[0033]出力結合器260、270、280は、プリズム、回折、またはメタサーフェス特性に基づいて実装することができる。特に、出力結合器260、270、280は、ガイド210内に埋め込みもしくはエッチングすることによって、またはガイド210の頂面上に取り付けることによって、ガイド210内に配置することができる。特定の実施形態では、出力結合器260、270、280は、出力結合器260、270、280の溝における特有の材料屈折率のために設計された活動物質およびメタサーフェス光学素子(MOE)を備えることができる。他の実施形態では、出力結合器260、270、280は、ガイド210の頂面上に活動層を備えることができる。そのような実施形態では、ガイド210がシリコン層を構成することができ、出力結合器260、270、280の活動層が液晶オンシリコン(LCOS)層を構成することができる。さらに他の実施形態では、ガイド210自体が活動層を構成することができ、出力結合器260、270、280を活動層のバルク内に形成することができる。そのような実施形態では、出力結合器260、270、280は、ガイド210の活動層のうち、厳密な屈折率を維持する必要のない領域を使用することができる。
【0029】
[0034]記載されているように、センサ200は、所望の走査または深さ範囲を提供するように構成することができる。
図2A~
図2Cに示すように、各出力結合器260、270、280は、受信器240から異なる距離をあけて位置決めすることができる。プロセッサ110は、出力結合器260が受信器240から第1の基線距離b
1にビーム231を放出することを有効にすることができる。たとえば、
図2Aを参照されたい。同様に、プロセッサ110は、出力結合器270が受信器240から第2の基線距離b
2にビーム231を放出することを有効にすることができ、第2の基線距離b
2は第1の基線距離b
1より長い。たとえば、
図2Bを参照されたい。さらに、プロセッサ110は、出力結合器280が受信器240から第3の基線距離b
3にビーム231を放出することを有効にすることができ、第3の基線距離b
3は第2の基線距離b
2より長い。たとえば、
図2Cを参照されたい。
【0030】
[0035]センサ200の深さ範囲または走査範囲zは、放出されたビーム231と受信器240との間の基線距離bに比例しており、次式によって表すことができる。
【0031】
【0032】
ここで、zは深さまたは走査範囲に対応し、fは放出されたビーム231の焦点距離に対応し、bは基線距離に対応し、dは焦点距離fと走査対象の場所との間の差に対応する。基線距離(すなわち、受信器240と放出されたビーム231との間の距離)を変動させることによって、プロセッサ110は、異なる深さ範囲に対してセンサを構成することができ、したがってセンサ200から異なる距離zで対象の3Dスキャンを生成することができる。
【0033】
[0036]
図3および
図4を次に参照すると、3Dスキャンデータを生成する例示的なプロセス400が示されている。様々な実施形態では、センサ200は、出力結合器260、270、280に関連付けられた深さ範囲が重複するように設計することができる。たとえば、
図3を参照されたい。そのような実施形態の場合、プロセス400は、経時的に対象の複数のスキャンを実行することができ、各スキャンは異なる出力結合器260、270、280を使用し、したがって異なる深さ範囲zを使用する。プロセス400は、複数のスキャンから同じ領域に対して受信したデータを利用することができ、場合により、そのような冗長データを使用して、結果として得られる3Dスキャンデータの精度を改善することができる。
【0034】
[0037]このため、プロセッサ110は410で、第1の深さ範囲に対してセンサ200を構成する制御信号を生成することができる。たとえば、プロセッサ110は、ビーム231が出力結合器260から第1の基線距離b1で放出されるように、出力結合器260を有効にし、出力結合器270、280を無効にすることができる。時間T1で、受信器240は、ビーム231が走査対象によって反射されると、第1の基線距離b1で放出されたビーム231を受信することができる。プロセッサ110は420で、受信器240から、第1の基線距離b1で放出されたビーム231から生成されたスキャンデータを受信することができる。
【0035】
[0038]第1の基線距離b1に対するデータを受信した後、プロセッサ110は430で、第2の深さ範囲に対してセンサ200を構成する制御信号を生成することができる。たとえば、プロセッサ110は、ビーム231が出力結合器270から第2の基線距離b2で放出されるように、出力結合器270を有効にし、出力結合器260、280を無効にすることができる。時間T2で、受信器240は、ビーム231が走査対象によって反射されると、第2の基線距離b2で放出されたビーム231を受信することができる。プロセッサ110は440で、受信器240から、第2の基線距離b2で放出されたビーム231から生成されたスキャンデータを受信することができる。
【0036】
[0039]第2の基線距離b2に対するデータを受信した後、プロセッサ110は450で、第3の深さ範囲に対してセンサ200を構成する制御信号を生成することができる。たとえば、プロセッサ110は、ビーム231が出力結合器280から第3の基線距離b3で放出されるように、出力結合器280を有効にし、出力結合器260、270を無効にすることができる。時間T3で、受信器240は、ビーム231が走査対象によって反射されると、第3の基線距離b3で放出されたビーム231を受信することができる。プロセッサ110は460で、受信器240から、第3の基線距離b3で放出されたビーム231から生成されたスキャンデータを受信することができる。
【0037】
[0040]プロセッサ110は470で、基線距離の各々に対して受信したデータに基づいて、3Dスキャンデータを生成することができる。特に、プロセッサ110は、特に深さ範囲が重複するスキャン区間に対して、3Dスキャンデータの精度を改善するために、様々な補間技法を利用することができる。概して、深さ誤差は、走査される深さ範囲の中心で最低になる。重複区間の結果、プロセッサ110は、深さ範囲の境界にある部分に対して複数のデータ点を受信する。補間技法(たとえば、点別平均、窓平均など)によって、プロセッサ110は、これらの複数または冗長データ点を利用して、深さ感知の精度を改善し、生成される3Dスキャンデータ内の深さ誤差を減少させることができる。
【0038】
[0041]480で、プロセッサ110は、生成された3Dスキャンデータを利用することができる。特に、プロセッサ110は、顔認識プロセス、生体認証プロセス、拡張現実プロセス、自動焦点、および/または別のプロセスの一部として、生成された3Dスキャンデータを使用することができる。
【0039】
[0042]
図5を次に参照すると、アドレス指定可能な視野を有するセンサ200’が示されている。特に、出力結合器260、270、280は各々、異なる周期(たとえば、繰返し格子構造間の距離が異なる)を有する回折格子によって実装することができる。そのように回折格子の周期が異なるため、各出力結合器260、270、280は、異なる視野を有することができる。
図5では、放出されるビーム231の角度が出力結合器260、270、280の各々に対して異なり、出力結合器260、270、280の各々が異なる視野を提供することができることを示すために、出力結合器260、270、280はすべてアウトカップリングとして示されている。したがって、プロセッサ110は、所望の視野に対してセンサ200’を構成するために、単一の出力結合器260、270、280を有効にすることができる。たとえば、関心視野の一部分を照射するために、単一の出力結合器260、270、280を選択することができる。視野は、示されていない別のセンサなどのカメラによって走査対象が識別された場所に基づいて選択することができる。さらに、より高い出力パワーで単一の視野に照射しながら、それでもなお、目の安全限度範囲内のレベルで出力パワーを維持することができる。
【0040】
[0043]
図6を次に参照すると、伝送器230と出力結合器260、270、280のうちの1つまたは複数との間に追加の光学構造290、295を有するセンサ200”が示されている。様々な実施形態では、光学構造290、295は、ガイド210の反射面またはその付近のそれぞれの構造パターンを介して追加され、それぞれの出力結合器270、280の前に位置決めされる。示されていないが、センサ200”は、いくつかの実施形態では、伝送器230と出力結合器260との間に光学構造をさらに含むことができる。各光学構造290、295は、それぞれの出力結合器260、270、280の前に、ビーム231を集束させるレンズまたは回折光学素子(DOE)、ビーム231を視準するコリメータ、ビーム231を偏光させる偏光フィルタ、ビーム231の特定の波長を低減させる波長フィルタ、ビーム231を散乱させる拡散器などを備えることができる。光学構造290、295を追加することによって、特定の用途(たとえば、遠視野用途)向けにビーム231を集束/再成形することができる。
【0041】
[0044]ガイド210はまた、頂面上または各出力結合器260、270、280の上に光学構造を提供することができる。たとえば、ガイド210は、出力結合器260に回折光学素子(DOE)を提供することができ、出力結合器270に拡散器を提供することができ、出力結合器280に集束レンズを提供することができる。他の実施形態は、そのような光学構造を出力結合器260、270、280と異なる形で対にすることができ、かつ/または出力結合器260、270、280の単一の出力結合器に対して光学構造を組み合わせることができる。各出力結合器260、270、280に対して光学構造をうまく組み合わせるそのような柔軟性、および出力結合器260、270、280のどれをアウトカップリング状態に配置するかに関するそのような選択性により、構造化された光、照射、近接感知などの複数のIRに基づく用途に対応するために、単一の伝送器230(たとえば、単一のIR源、単一のVCSELアレイなど)を使用することを有効にすることができる。光学構造はまた、ガイド210内に形成することができる。
【0042】
[0045]様々な用途において、プロセッサ110が複数の結合器260、270、280を同時に有効にすることが所望されることがある。したがって、プロセッサ110および/またはセンサ200、200’、200”は、単一の出力結合器260、270、280のみを介したアウトカップリングに限定されるものではない。逆に、プロセッサ110および/またはセンサ200、200’、200”は、出力結合器260、270、280の様々な組合せを介したアウトカップリングを可能にすることができる。さらに、3つの出力結合器を有するセンサ200、200’、200”が示されているが、センサ200、200’、200”の他の実施形態は、より少数の出力結合器を含むことができ、センサ200、200’、200”のいくつかの実施形態は、より多数の出力結合器を含むことができる。
【0043】
[0046]本開示は、特定の例への参照を含むが、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、均等物に置き換えることができることが、当業者には理解されよう。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、開示する例に修正を加えることができる。したがって、本開示は、開示する例に限定されるのではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るすべての例を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0044】
100 コンピューティングデバイス
110 プロセッサ
120 記憶デバイス
130 表示デバイス
140 センサ
150 入出力(I/O)デバイス
200 センサ
200’ センサ
200” センサ
210 ガイド
220 集積回路デバイス
230 伝送器
231 ビーム
240 受信器
250 入力結合器
260 第1の出力結合器
270 第2の出力結合器
280 第3の出力結合器
290 光学構造
295 光学構造
【要約】
【課題】アドレス指定可能な深さ範囲および/または視野を有するセンサが開示される。そのようなセンサを有するコンピューティングデバイスも開示される。
【解決手段】センサは、受信器から異なる距離をあけて位置決めされた複数の出力結合器を含むことができる。出力結合器を選択的に有効にすることによって、伝送器によって生成された光または他の放射を出力結合器の方へ誘導し、伝送器から異なる距離にセンサから選択的に放出することができる。そのような選択的な放出により、センサの深さ範囲および/または視野を調整することができる。コンピューティングデバイスは、深さ範囲および/または視野に関して異なる必要性を有する用途および/またはプロセスにわたって使用される単一のセンサを含むことができる。
【選択図】
図1