(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】プログラム、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/67 20140101AFI20240617BHJP
A63F 13/422 20140101ALI20240617BHJP
A63F 13/58 20140101ALI20240617BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240617BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20240617BHJP
【FI】
A63F13/67
A63F13/422
A63F13/58
G06N20/00
A63F13/55
(21)【出願番号】P 2023105118
(22)【出願日】2023-06-27
【審査請求日】2023-11-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509070463
【氏名又は名称】株式会社コロプラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】得地 賢吾
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-110860(JP,A)
【文献】特開2018-000623(JP,A)
【文献】特開2023-003248(JP,A)
【文献】特開2023-042775(JP,A)
【文献】[ゼルダ ティアキン]データ引き継ぎ要素。前作『ブレワイ』での登録馬は利用可能[ティアーズ オブ ザ キングダム],ファミ通.com [online],2023年05月12日,URL: <https://www.famitsu.com/news/202305/12302434.html>,[令和5年12月20日検索日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98、9/24
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザが第1ゲームをプレイしている際の第1状況における
複数の第1オブジェクトの行動を
前記複数の第1オブジェクト毎に学習した人工知
能を、前記第1ゲームをプレイするためのゲームプレイ環境を提供する第1サーバ装置から前記第1ゲームとは異なる第2ゲーム
をプレイするためのゲームプレイ環境を提供する第2サーバ装置に送信することによって
前記第1ゲームから前記第2ゲームに引き継ぎ、前記第2ゲームの第2状況における第2オブジェクトの行動を制御する制御手段
として機能させ
、
前記複数の第1オブジェクトの各々の行動を学習した前記複数の第1オブジェクト毎の人工知能のうちの一部の第1オブジェクトの人工知能が前記第1サーバ装置から前記第2サーバ装置に送信され、
前記第2オブジェクトの行動は、前記第2ゲームを自動でプレイするための自動応答モードが設定されているときに前記一部の第1オブジェクトの人工知能を利用して制御され、前記第2ゲームを手動でプレイするための手動応答モードが設定されているときに前記ユーザの操作に基づいて制御され、
前記一部の第1オブジェクトの人工知能は、前記手動応答モードが設定されているときの前記ユーザの操作を示す学習データに基づいて更新される
プログラム。
【請求項2】
前記人工知
能は、前記第1状況を示す状況データ及び前記第1状況において前記第1オブジェクトを行動させるために前記ユーザによって行われた操作を示す操作データを学習データとして学習することによって更新され、前記第2ゲームにおいて第2状況が発生した際に前記第2状況を示す状況データが入力されることによって前記第2状況において前記第2オブジェクトを行動させるための操作を示す操作データを出力する、請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記複数の第1オブジェクト
毎の人工知
能のうち、前記第2ゲームに登場する第2オブジェクトと同種のまたは関連する第1オブジェクト
の人工知
能が引き継がれる、請求項
1記載のプログラム。
【請求項4】
前記
一部の第1オブジェクトの人工知
能が前記第1ゲームから前記第2ゲームに引き継がれる場合、前記第1オブジェクトのパラメータ値は、前記第2オブジェクトのパラメータ値として前記第1ゲームから前記第2ゲームに引き継がれる、請求項
1記載のプログラム。
【請求項5】
前記第2ゲームは、前記第1ゲームに関連するゲームである、請求項1記載のプログラム。
【請求項6】
前記第2オブジェクトは、前記第1オブジェクトと同種のまたは関連するオブジェクトである、請求項1記載のプログラム。
【請求項7】
ユーザが第1ゲームをプレイしている際の第1状況における
複数の第1オブジェクトの行動を
前記複数の第1オブジェクト毎に学習した人工知
能を、前記第1ゲームをプレイするためのプレイ環境を提供する第1サーバ装置から前記第1ゲームとは異なる第2ゲーム
をプレイするためのゲームプレイ環境を提供する第2サーバ装置に送信することによって
前記第1ゲームから前記第2ゲームに引き継ぎ、前記第2ゲームの第2状況における第2オブジェクトの行動を制御する制御手段を具備
し、
前記複数の第1オブジェクトの各々の行動を学習した前記複数の第1オブジェクト毎の人工知能のうちの一部の第1オブジェクトの人工知能が前記第1サーバ装置から前記第2サーバ装置に送信され、
前記第2オブジェクトの行動は、前記第2ゲームを自動でプレイするための自動応答モードが設定されているときに前記一部の第1オブジェクトの人工知能を利用して制御され、前記第2ゲームを手動でプレイするための手動応答モードが設定されているときに前記ユーザの操作に基づいて制御され、
前記一部の第1オブジェクトの人工知能は、前記手動応答モードが設定されているときの前記ユーザの操作を示す学習データに基づいて更新される
システム。
【請求項8】
ユーザが第1ゲームをプレイしている際の第1状況における
複数の第1オブジェクトの行動を
前記複数の第1オブジェクト毎に学習した人工知
能を、前記第1ゲームをプレイするためのゲームプレイ環境を提供する第1サーバ装置から前記第1ゲームとは異なる第2ゲーム
をプレイするためのゲームプレイ環境を提供する第2サーバ装置に送信することによって
前記第1ゲームから前記第2ゲームに引き継ぎ、前記第2ゲームの第2状況における第2オブジェクトの行動を制御することを具備
し、
前記複数の第1オブジェクトの各々の行動を学習した前記複数の第1オブジェクト毎の人工知能のうちの一部の第1オブジェクトの人工知能が前記第1サーバ装置から前記第2サーバ装置に送信され、
前記第2オブジェクトの行動は、前記第2ゲームを自動でプレイするための自動応答モードが設定されているときに前記一部の第1オブジェクトの人工知能を利用して制御され、前記第2ゲームを手動でプレイするための手動応答モードが設定されているときに前記ユーザの操作に基づいて制御され、
前記一部の第1オブジェクトの人工知能は、前記手動応答モードが設定されているときの前記ユーザの操作を示す学習データに基づいて更新される
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オンラインでユーザがプレイすることが可能なゲームにおいては、例えば当該ユーザがゲームをプレイする手間や時間を低減する(つまり、ゲームをプレイするユーザの利便性を向上させる)ための自動応答モードが用意されている場合がある。
【0003】
自動応答モードによれば、例えば予め定められているルール等に従った操作が行われることにより、ゲーム内のオブジェクト(例えば、ユーザのキャラクタ等)を自動で行動させることができる。
【0004】
しかしながら、自動応答モードではユーザが意図するようにオブジェクトが行動しない場合があり、必ずしもユーザの利便性を向上させることができない場合がある。このため、上記した自動応答モード等が用意されているゲーム分野において人工知能を適用することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、ゲーム分野における人工知能の利活用を促進させることが可能なプログラム、システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様によれば、コンピュータを、ユーザが第1ゲームをプレイしている際の第1状況における複数の第1オブジェクトの行動を前記複数の第1オブジェクト毎に学習した人工知能を、前記第1ゲームをプレイするためのゲームプレイ環境を提供する第1サーバ装置から前記第1ゲームとは異なる第2ゲームをプレイするためのゲームプレイ環境を提供する第2サーバ装置に送信することによって前記第1ゲームから前記第2ゲームに引き継ぎ、前記第2ゲームの第2状況における第2オブジェクトの行動を制御する制御手段として機能させるプログラムが提供される。前記複数の第1オブジェクトの各々の行動を学習した前記複数の第1オブジェクト毎の人工知能のうちの一部の第1オブジェクトの人工知能が前記第1サーバ装置から前記第2サーバ装置に送信される。前記第2オブジェクトの行動は、前記第2ゲームを自動でプレイするための自動応答モードが設定されているときに前記一部の第1オブジェクトの人工知能を利用して制御され、前記第2ゲームを手動でプレイするための手動応答モードが設定されているときに前記ユーザの操作に基づいて制御される。前記一部の第1オブジェクトの人工知能は、前記手動応答モードが設定されているときの前記ユーザの操作を示す学習データに基づいて更新される。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ゲーム分野における人工知能の利活用を促進させることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るゲームシステムの構成の一例を示す図。
【
図2】ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図3】サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図6】位置情報ゲームをプレイするユーザがイベントに参加する際のゲームシステムの処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図7】第1位置情報ゲームから第2位置情報ゲームに人工知能を引き継ぐ際のゲームシステムの処理順の一例を示すフローチャート。
【
図11】本実施形態における学習モデルの概要を説明するための図。
【
図12】本実施形態における学習モデルの概要を説明するための図。
【
図13】第2実施形態に係るゲームシステムの処理手順の一例を示す図。
【
図14】本実施形態におけるゲームシステムの動作の概要を示す図。
【
図15】本実施形態におけるキャラクタ及び人工知能について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るゲームシステムの構成の一例を示す。
図1に示すゲームシステム1は、例えばオンラインでユーザがゲームをプレイすることを実現するように構成されており、ユーザ端末10及びサーバ装置20を備える。
【0011】
ユーザ端末10は、例えばユーザによって使用される電子機器である。本実施形態においては、ユーザ端末10が例えばスマートフォンであるような場合を想定しているが、当該ユーザ端末10は、例えばタブレット端末のような他の電子機器であってもよい。
【0012】
サーバ装置20は、インターネットのようなネットワーク30を介して、ユーザ端末10と通信可能に接続されている。
【0013】
なお、
図1においては1つのユーザ端末10のみが示されているが、ゲームシステム1は、ゲームをプレイすることが可能な複数のユーザによって使用される複数のユーザ端末を備える。
【0014】
図2は、
図1に示すユーザ端末10のハードウェア構成の一例を示す。ここでは、
図2を参照して、ユーザ端末10がスマートフォンである場合のハードウェア構成について説明する。
【0015】
図2に示すように、ユーザ端末10は、不揮発性メモリ11、CPU12、メインメモリ13、無線通信デバイス14、ディスプレイ15及びタッチパネル16等を備える。
【0016】
不揮発性メモリ11は、各種プログラムを格納する。不揮発性メモリ11に格納されている各種プログラムには、例えばオペレーティングシステム(OS)及びユーザ端末10上で動作する各種アプリケーションプログラム等が含まれる。
【0017】
CPU12は、ユーザ端末10内の様々なコンポーネントの動作を制御するためのプロセッサであり、例えば不揮発性メモリ11に格納されている各種プログラムを実行する。CPU12は、単一のプロセッサであってもよいし、複数のプロセッサから構成されていてもよい。なお、不揮発性メモリ11に格納されている各種プログラムは当該不揮発性メモリ11からメインメモリ13にロードされてCPU12によって実行されるが、当該CPU12によって実行されるプログラム(アプリケーションプログラム)には、ゲームシステム1においてユーザ端末として動作するためのゲームプログラム13Aが含まれる。
【0018】
無線通信デバイス14は、外部装置(例えば、サーバ装置20等)との無線通信を実行するためのデバイスである。
【0019】
ディスプレイ15は、例えばユーザによってプレイされるゲームに関する各種画面を表示するための表示デバイスである。
【0020】
タッチパネル16は、ユーザの指先等が接触した位置を検出する入力デバイスであり、例えばディスプレイ15の前面に重畳して配置される。
【0021】
ディスプレイ15及びタッチパネル16はタッチスクリーンディスプレイを構成し、当該タッチスクリーンディスプレイにより、画面に対するユーザの各種操作を検知する(受け付ける)ことができる。
【0022】
図3は、
図1に示すサーバ装置20のハードウェア構成の一例を示す。
図3に示すようにサーバ装置20は、不揮発性メモリ21、CPU22、メインメモリ23及び無線通信デバイス24等を備える。
【0023】
不揮発性メモリ21は、各種プログラムを格納する。不揮発性メモリ21に格納されている各種プログラムには、例えばオペレーティングシステム(OS)及びサーバ装置20上で動作する各種アプリケーションプログラム等が含まれる。
【0024】
CPU22は、サーバ装置20内の様々なコンポーネントの動作を制御するためのプロセッサであり、例えば不揮発性メモリ21に格納されている各種プログラムを実行する。CPU22は、単一のプロセッサであってもよいし、複数のプロセッサから構成されてもよい。なお、不揮発性メモリ21に格納されている各種プログラムは当該不揮発性メモリ21からメインメモリ23にロードされてCPU22によって実行されるが、当該CPU22によって実行されるプログラム(アプリケーションプログラム)には、ゲームシステム1においてサーバ装置として動作するためのゲームプログラム23Aが含まれる。
【0025】
無線通信デバイス24は、外部装置(例えば、ユーザ端末10等)との無線通信を実行するためのデバイスである。
【0026】
以下、本実施形態に係るゲームシステム1の機能構成について説明する。本実施形態に係るゲームシステム1は、例えばユーザ端末10とサーバ装置20とが協働して動作することにより、ユーザがゲームをプレイすることを実現する機能を有する。
【0027】
ここで、本実施形態においてユーザがプレイすることができるゲームの概要について説明する。本実施形態に係るゲームシステム1(サーバ装置20)は、例えばユーザの位置を示す位置情報を利用した位置情報ゲームをプレイすることが可能なゲームプレイ環境を提供するものとする。位置情報ゲームにおいて、ユーザは、例えば現実空間を移動することによって、その現実空間の移動に関する情報に関連した仮想空間の移動により、様々な場所で発生するイベントに参加することができる。なお、本実施形態におけるイベントとしては、例えばユーザのキャラクタを操作することによって敵キャラクタとバトルを行うようなイベント(以下、バトルイベントと表記)を想定しているが、他の種別のイベント(クエスト、アイテム取得等を含む)であってもよい。
【0028】
図4は、ユーザ端末10の機能構成の一例を示す。
図4に示すように、ユーザ端末10は、表示処理部101、制御部102、操作受付部103及び格納部104を含む。
【0029】
なお、
図4に示す表示処理部101、制御部102及び操作受付部103は、例えばユーザ端末10が備えるCPU12(ユーザ端末10のコンピュータ)が上記したゲームプログラム13Aを実行すること(すなわち、ソフトウェア)によって実現される機能部である。このゲームプログラム13Aは、例えばネットワーク30を介してユーザ端末10にダウンロードされてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に予め格納して頒布されてもよい。
【0030】
また、
図4に示す格納部104は、
図2に示す不揮発性メモリ11またはその他の記憶装置(図示せず)等によって実現される。
【0031】
表示処理部101は、例えばユーザ端末10を使用するユーザが移動する現実空間のマップ(地図)を含む画面(以下、マップ画面と表記)をディスプレイ15に表示する。なお、表示処理部101によって表示されるマップ画面においては、例えばユーザの位置に当該ユーザのキャラクタ(ユーザがゲームにおいて使用するキャラクタ)が配置され、当該ユーザが参加することができるイベントが発生する位置(以下、イベントの発生位置と表記)に当該イベント(の発生)を示すオブジェクトが配置される。なお、イベントの発生位置は、発生している時間に制限があったり、発生位置が移動して変位するものであってもよい。発生位置が変位する例としては、リアルタイムに移動して変位するものや、一定時間間隔で移動して変にするもののどちらでもよい。
【0032】
なお、本実施形態におけるユーザの位置(を示す位置情報)は例えばユーザ端末10に搭載されているGPS(Global Positioning System)を利用して取得されるが、表示処理部101は、ユーザの移動に応じて変化する当該ユーザの位置に基づいて、マップ画面に配置されるユーザのキャラクタの位置(場所)を更新する。
【0033】
ここで、本実施形態における位置情報ゲームにおいて、ユーザがイベントの発生位置に移動する(つまり、表示処理部101によって表示されるマップ画面上に配置されているユーザのキャラクタがオブジェクトの位置に移動する)と、当該ユーザは当該イベントに参加することができる。
【0034】
制御部102は、上記したユーザの位置及びイベントの発生位置に基づいて、当該ユーザを当該イベントに参加させ、当該ユーザが参加した当該イベントを進行させるような制御を実行する。
【0035】
操作受付部103は、位置情報ゲームをプレイするためのユーザの操作(指示)を受け付ける。上記したようにユーザ端末10がスマートフォンである場合、操作受付部103によって受け付けられる操作には、当該ユーザ端末10が備えるタッチパネル16(タッチスクリーンディスプレイ)に指先を接触させる操作(例えば、タップ操作、ドラッグ操作、フリック操作及びスワイプ操作等)が含まれる。
【0036】
格納部104は、例えばゲームデータ及びユーザデータを格納する。なお、ゲームシステム1においては位置情報ゲームをプレイすることが可能なユーザ毎にアカウントが発行されているが、ゲームデータは、当該アカウント間で共通のデータ(情報)であり、上記したゲームプログラム13Aを実行する際に参照される。具体的には、ゲームデータは、例えばゲームプレイ環境を定義するためのデータや位置情報ゲームに関する設定データ等を含む。一方、ユーザデータは、ユーザのアカウント毎に管理される当該ユーザに関するデータである。具体的には、ユーザ端末10に含まれる格納部104に格納されるユーザデータ(つまり、当該ユーザ端末10を使用するユーザに関するユーザデータ)は、例えば位置情報ゲームにおける当該ユーザのゲーム進行度や当該位置情報ゲームにおいて当該ユーザが獲得した各種ポイント及びアイテム等を示すデータを含む。
【0037】
図5は、サーバ装置20の機能構成の一例を示す。
図5に示すように、サーバ装置20は、格納部201、データ管理部202及び制御部203を含む。
【0038】
なお、
図5に示す格納部201は、
図3に示す不揮発性メモリ21またはその他の記憶装置(図示せず)等によって実現される。
【0039】
また、
図5に示すデータ管理部202及び制御部203は、例えばサーバ装置20が備えるCPU22(サーバ装置20のコンピュータ)が上記したゲームプログラム23Aを実行すること(すなわち、ソフトウェア)によって実現される機能部である。このゲームプログラム23Aは、例えばネットワーク30を介してサーバ装置20にダウンロードされてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に予め格納して頒布されてもよい。
【0040】
格納部201は、上記したユーザ端末10に含まれる格納部104に格納されているゲームデータと同様のゲームデータを格納する。また、格納部201は、ゲームシステム1(サーバ装置20)に予め登録しているユーザ(つまり、アカウントが発行されているユーザ)毎のユーザデータを格納する。
【0041】
データ管理部202は、格納部201に格納されているゲームデータ及びユーザデータを管理する。具体的には、データ管理部202は、ゲームデータ及びユーザデータの追加、更新及び削除等の処理を実行する。
【0042】
なお、データ管理部202によって管理されているゲームデータ及びユーザデータは、当該データ管理部202(サーバ装置20)からユーザ端末10に送信され、当該ユーザ端末10に含まれる格納部104に格納される。
【0043】
ここではデータ管理部202がゲームデータ及びユーザデータを管理するものとして説明したが、当該データ管理部202は、位置情報ゲームをプレイするユーザの位置(を示す位置情報)を更に管理しているものとする。また、データ管理部202は、上記したイベントの発生位置を更に管理する。
【0044】
制御部203は、位置情報ゲームをプレイするためのゲームプレイ環境を提供する(すなわち、ユーザによる位置情報ゲームのプレイを実現する)ための様々な処理を実行する。また、位置情報ゲームにおいて発生するイベントにおいてマルチプレイを行うことができる場合、制御部203は、当該マルチプレイを実現するための処理を実行する。マルチプレイとは、例えばマッチングされた複数のユーザが協力してゲームをプレイすることをいう。
【0045】
なお、本実施形態における「ゲームプレイ環境の提供」は、当該ゲームシステム1において動作するゲームプログラム(つまり、上記したユーザ端末10において実行されるゲームプログラム13A及びサーバ装置20において実行されるゲームプログラム23A)により実現されるものとする。ただし、本実施形態に係るゲームプログラムは、上記したゲームプログラム13A及び23Aの一部であっても構わない。
【0046】
また、本実施形態に係るゲームシステム1においては、例えばユーザ端末10が有する機能の少なくとも一部をサーバ装置20が有していてもよいし、サーバ装置20が有する機能の少なくとも一部をユーザ端末10が有していてもよい。更に、ゲームシステム1はユーザ端末10及びサーバ装置20以外の他の装置を備えていてもよい。すなわち、本実施形態に係るゲームプログラム(ゲームプログラム13A及び23A)は、ユーザ端末10、サーバ装置20または他の装置において実行され得る。
【0047】
以下、
図6のフローチャートを参照して、位置情報ゲームをプレイするユーザがイベントに参加する際のゲームシステム1の処理手順の一例について説明する。
【0048】
ユーザ端末10を使用するユーザが位置情報ゲームをプレイする場合、ユーザ端末10においてゲームプログラム13Aが起動され、当該ユーザ端末10(が備えるディスプレイ15)に現実空間のマップを含むマップ画面が表示される。このようにユーザ端末10に表示されるマップ画面には、上記したようにユーザの位置に当該ユーザのキャラクタが配置され、当該ユーザが参加することができるイベントの発生位置に当該イベントを示すオブジェクトが配置されている。
【0049】
このように位置情報ゲームをプレイするユーザがイベントに参加する場合、当該ユーザは、マップ画面上で当該ユーザのキャラクタが配置されている位置及びオブジェクトの位置を確認しながら現実空間を移動する。
【0050】
ゲームシステム1は、上記したように現実空間を移動するユーザの位置を取得する(ステップS1)。
【0051】
なお、ユーザの位置(を示す位置情報)は、例えばユーザ端末10に搭載されているGPSを利用して取得可能であるが、他の手法により取得されてもよい。
【0052】
ユーザ端末10に表示されるマップ画面に配置されているユーザのキャラクタの位置は、ステップS1において取得されたユーザの位置に基づいて更新される。
【0053】
ステップS1の処理が実行されると、ゲームシステム1は、例えばサーバ装置20(データ管理部202)において管理されているイベントの発生位置を取得する(ステップS2)。なお、位置情報ゲームにおいて複数のイベントが発生している場合、ステップS2においては、例えばステップS1において取得されたユーザの位置の近傍のイベントの発生位置が取得される。
【0054】
ここで、ゲームシステム1は、ステップS1において取得されたユーザの位置及びステップS2において取得されたイベントの発生位置に基づいて、当該ユーザがイベントの発生位置に到達したか否かを判定する(ステップS3)。なお、ステップS3においては、例えばユーザの位置とイベントの発生位置との差分が予め定められた値以下である場合に、当該ユーザが当該イベントの発生位置に到達したと判定される。
【0055】
ユーザがイベントの発生位置に到達していないと判定された場合(ステップS3のNO)、ステップS1に戻って処理が繰り返される。
【0056】
一方、ユーザがイベントの発生位置に到達したと判定された場合(ステップS3のYES)、ゲームシステム1は、当該ユーザの当該イベントへの参加を許可し、当該イベントの進行を制御する(ステップS4)。
【0057】
ところで、ユーザが上記したバトルイベントに参加するものとすると、当該ユーザは、ユーザ端末10を操作することによって当該ユーザのキャラクタの行動を指示し、敵キャラクタとバトルを行うことができる。
【0058】
すなわち、上記したステップS4においては、ユーザ端末10に対するユーザの操作に基づいて当該ユーザのキャラクタの行動が制御されることにより、イベント(バトルイベント)の進行が制御される。
【0059】
しかしながら、位置情報ゲームにおいては現実空間の様々な場所に移動して複数のイベントに参加する場合があり、当該複数のイベントの各々においてユーザの操作が必要であるものとすると、当該位置情報ゲームを円滑にプレイすることができない場合がある。
【0060】
このため、位置情報ゲームにおいては、当該位置情報ゲームを自動でプレイする(イベントを自動で進行させる)ためのモード(以下、自動応答モードと表記)が用意されているものとする。この自動応答モードは例えばユーザの操作に従って設定され、当該自動応答モードが設定されている場合には、上記したイベントにおける操作が自動で行われ、ユーザが操作を行うことなく、当該ユーザのキャラクタの行動を制御する(つまり、当該イベントを進行させる)ことができる。ここでは自動応答モードにおいて説明したが、位置情報ゲームにおいては、当該位置情報ゲームを手動でプレイする(つまり、イベントをユーザの操作に基づいて進行させる)ためのモード(以下、手動応答モードと表記)も用意されている。
【0061】
しかしながら、一般的な自動応答モードにおいては予め定められた操作が行われるような場合が多く、実際にユーザが行う操作と同程度の操作を自動で行う(つまり、当該ユーザが意図するようにキャラクタの行動を制御する)ことは困難である。
【0062】
そこで、本実施形態においては、例えば上記した手動応答モードが設定されている場合においてユーザが位置情報ゲームをプレイしている際の所定の状況における当該ユーザのキャラクタの行動(振る舞い)を学習した人工知能(学習モデル)を利用して、自動応答モードが設定されている場合における当該ユーザのキャラクタの行動を制御することを考える。
【0063】
この場合、人工知能は、例えばバトルイベントにおいて行われるバトルの状況(例えば、ユーザのキャラクタのヒットポイントが50%以上であるまたは50%未満である等)を示す状況データ及び当該状況においてキャラクタを行動させるためにユーザによって行われた操作を示す操作データを学習データとして学習することによって更新(生成)される。このような人工知能によれば、例えば自動応答モードが設定されている場合において所定の状況が発生した場合に、当該状況を示す状況データが人工知能に入力されることによって当該状況においてユーザが行うと推定される操作(を示す操作データ)が当該人工知能から出力されるため、当該操作に基づいてユーザのキャラクタを自動で制御することができる。
【0064】
すなわち、上記した人工知能を利用することによって、自動応答モードでキャラクタの自動操作を行う場合であっても、ユーザの意図するキャラクタの行動を実現(再現)することが可能となる。
【0065】
ところで、一般に、上記した位置情報ゲームのようなオンラインでユーザがプレイすることが可能なゲームにおいては、当該ゲームに関連するゲームが新たに開発(リリース)される場合がある。具体的には、例えば第1キャラクタが登場する第1位置情報ゲームの場合、当該第1位置情報ゲームは、当該第1位置情報ゲームの後に開発された第2位置情報ゲームであって、当該第1キャラクタと同種のまたは関連する第2キャラクタが登場するような第2位置情報ゲームと関連するといえる。すなわち、第1位置情報ゲームが第2位置情報ゲームの過去作等である場合、第2位置情報ゲームは、第1位置情報ゲームに関連するゲームである。
【0066】
上記した第1位置情報ゲームをプレイしたユーザは当該第1位置情報ゲームと関連する第2位置情報ゲームをプレイする場合があるが、当該第2位置情報ゲームをプレイする際には上記した人工知能を利用することができないため、例えば当該第2位置情報ゲームにおいて自動応答モードを設定した際に人工知能を利用するためには、当該第2位置情報ゲームを手動応答モードで繰り返しプレイすることによって上記した学習データ(状況データ及び操作データ)を蓄積した上で、当該人工知能を再度作成する(つまり、キャラクタの他の行動を再度学習し直す)必要があり、手間が掛かる。
【0067】
そこで、本実施形態においては、上記したユーザが第1位置情報ゲームをプレイしている際の所定の状況における第1キャラクタの行動を学習した人工知能を、当該第1位置情報ゲームとは異なる(当該第1位置情報ゲームと関連する)第2位置情報ゲームに引き継ぐ(適用する)ことが可能なゲームシステム1を提案する。
【0068】
以下、
図7のフローチャートを参照して、第1位置情報ゲームから第2位置情報ゲームに人工知能を引き継ぐ際のゲームシステム1の処理手順の一例について説明する。
【0069】
なお、上記した
図1においては1つのサーバ装置20のみが示されているが、本実施形態に係るゲームシステム1は、例えば第1位置情報ゲームをプレイするためのゲームプレイ環境を提供するサーバ装置20(以下、第1サーバ装置20と表記)及び第2位置情報ゲームをプレイするためのゲームプレイ環境を提供するサーバ装置20(以下、第2サーバ装置20と表記)を備えるものとする。
【0070】
まず、ユーザ端末10を使用するユーザが手動応答モードで第1位置情報ゲームをプレイする場合、ゲームシステム1は、当該ユーザによる第1位置情報ゲームのプレイに応じて学習データを蓄積する(ステップS11)。なお、ステップS11において蓄積される学習データは、上記したように第1位置情報ゲームをプレイする際の所定の状況を示す状況データ及び当該状況において第1キャラクタを行動させるためにユーザによって行われた操作を示す操作データ(の組)を含む。
【0071】
次に、ゲームシステム1は、ステップS11において蓄積された学習データ(群)を学習することによって人工知能(以下、第1位置情報ゲームの人工知能と表記)を更新する(ステップS12)。
【0072】
なお、ステップS12において更新される第1位置情報ゲームの人工知能は所定の状況を示す状況データが入力された場合に当該状況おいてユーザが行うと推定される操作を示す操作データを出力することができるが、上記したステップS11において様々な状況を示す状況データ及び当該状況においてユーザによって行われた操作を示す操作データを学習データとして蓄積しておくことによって、当該ステップS12においては様々な状況において適切な操作を推定することが可能な人工知能を得ることができる。また、本実施形態における人工知能は、例えば任意の機械学習アルゴリズムに基づいて更新され得る。
【0073】
ステップS12において更新された第1位置情報ゲームの人工知能は、例えば当該第1位置情報ゲームのユーザデータの一部としてユーザ端末10または第1サーバ装置20において保持され、上記した自動応答モードが設定されている際にユーザの第1キャラクタの行動を制御するために利用することができる。
【0074】
ここで、ユーザが第2位置情報ゲームをプレイする場合を想定する。なお、第2位置情報ゲームは、上記したように第1位置情報ゲームと関連するゲームである。
【0075】
この場合、ゲームシステム1は、ユーザが第2位置情報ゲームのプレイを開始したか否かを判定する(ステップS13)。なお、ステップS13においては、例えば第2位置情報ゲームをプレイするためのゲームプログラム13Aが最初に起動された際に、ユーザが第2位置情報ゲームのプレイを開始したと判定される。
【0076】
ユーザが第2位置情報ゲームのプレイを開始したと判定された場合(ステップS13のYES)、ゲームシステム1は、上記した第1位置情報ゲームの人工知能を当該第1位置情報ゲームから第2位置情報ゲームに引き継ぐ処理を実行する(ステップS14)。なお、ステップS14においては、例えば第1位置情報ゲームの人工知能を第1サーバ装置20から第2サーバ装置20に送信する等により、上記したように第1位置情報ゲームのユーザデータの一部としてユーザ端末10または第2サーバ装置20に保持されている第1位置情報ゲームの人工知能を、第2位置情報ゲームのユーザデータの一部としてユーザ端末10または第2サーバ装置20に保持するような処理が実行される。
【0077】
ステップS14の処理が実行されることによって第1位置情報ゲームから第2位置情報ゲームに引き継がれた第1位置情報ゲームの人工知能は、当該第2位置情報ゲームに適用可能となる(ステップS15)。ステップS15の処理が実行された場合、第2位置情報ゲームにおいて自動応答モードが設定されることによって、第1位置情報ゲームから引き継がれた人工知能を利用して所定の状況におけるユーザの第2キャラクタ(第2位置情報ゲームに登場するキャラクタであって、第1位置情報ゲームに登場する第1キャラクタと同種のまたは関連するキャラクタ)の行動を自動的に制御するようなことが可能となる。
【0078】
なお、
図7に示すステップS11~S15の処理は少なくともゲームシステム1全体として実行されればよく、当該処理の少なくとも一部は、ユーザ端末10側で実行されてもよいし、サーバ装置20(第1及び第2サーバ装置20)側で実行されてもよい。
【0079】
上記したように本実施形態においては、ユーザが第1位置情報ゲーム(第1ゲーム)をプレイしている際の所定の状況(第1状況)における第1キャラクタの行動を学習した人工知能(人工知能によって実行される機能、人工知能が有する機能、人工知能に利用されている学習モデルなど含む)を第2位置情報ゲーム(第2ゲーム)に適用することによって、当該第2位置情報ゲームの所定の状況(第2状況)における第2キャラクタの行動を制御する構成により、第2位置情報ゲームに登場する第2キャラクタについて新たに人工知能を生成する(つまり、第2キャラクタの行動を再度学習し直す)必要がないため、ゲーム分野における人工知能の利活用を促進させ、第2位置情報ゲームをプレイするユーザの手間を軽減することが可能となる。
【0080】
なお、本実施形態における人工知能は、例えば所定の状況を示す状況データ及び当該状況においてキャラクタを行動させるためにユーザによって行われた操作を示す操作データを学習データとして学習することによって更新され、第2位置情報ゲームにおいて所定の状況が発生した際に当該状況を示す状況データが入力されることによって当該状況において第2キャラクタを行動させるための操作を示す操作データを出力する。本実施形態においては、このような構成により、人工知能から出力される状況に応じた操作データに基づいてユーザが意図する操作(つまり、例えば同様の状況において当該ユーザによって過去に行われた操作)を再現することが可能となるため、当該ユーザが意図する第2キャラクタの行動を実現することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態における人工知能を利用した第2キャラクタの行動の制御は自動応答モードが設定されているときに行われ、当該自動応答モードはユーザの操作に従って設定される。本実施形態においては、このような構成により、ユーザの所望のタイミング(時間帯等)において人工知能を利用した制御を行うことが可能となる。
【0082】
更に、本実施形態において人工知能は、例えば第2位置情報ゲームのプレイを開始する際に第1位置情報ゲームから第2位置情報ゲームに引き継がれる。このような構成によれば、ユーザは、第2位置情報ゲームのプレイを開始したタイミングから人工知能を利用することが可能となる。なお、ここでは第2位置情報ゲームのプレイを開始する際に人工知能が引き継がれるものとして説明したが、当該人工知能は、例えば第2位置情報ゲームのプレイを開始した後の任意のタイミング(例えば、ユーザによって指示されたタイミング等)で引き継がれても構わない。
【0083】
ところで、本実施形態においては第1位置情報ゲームをプレイすることによって生成された人工知能(つまり、
図7に示すステップS12において更新された人工知能)が自動的に第2位置情報ゲームに適用される場合について説明したが、当該人工知能を第2位置情報ゲームに適用する(つまり、第2位置情報ゲームに登場する第2キャラクタの行動を制御するために当該人工知能を利用する)か否かは、ユーザによって指定(指示)されてもよい。また、第1位置情報ゲームにおいてユーザが複数の第1キャラクタを操作することが可能である場合、上記した人工知能は当該第1キャラクタ毎に生成されるものとする。この場合、本実施形態は、第1キャラクタ毎に生成されている複数の人工知能のうちの一部のみを引き継ぐ構成であってもよい。
【0084】
ここで、上記した
図7に示すステップS13においてユーザが第2位置情報ゲームのプレイを開始したと判定された場合、ゲームシステム1は、例えば
図8に示す画面(以下、引き継ぎ設定画面と表記)10aをユーザ端末10に表示するものとする。
【0085】
この場合、ユーザは、ユーザ端末10に表示された引き継ぎ設定画面10aにおいて、第1位置情報ゲーム(つまり、第2位置情報ゲームの過去作)の人工知能(学習モデル)を利用するか否かを指定する(つまり、「利用する」及び「利用しない」の一方を選択する)ことができる。
【0086】
引き継ぎ設定画面10aにおいて「利用しない」が選択されて「決定」ボタンが押下された場合、
図7に示すステップS14及びS15の処理は実行されない。一方、引き継ぎ設定画面10aにおいて「利用する」が選択されて「決定」ボタンが押下された場合、当該引き継ぎ設定画面10aは引き継ぎ設定画面10bに遷移する。
【0087】
ユーザは、引き継ぎ設定画面10bにおいて第1キャラクタ毎に生成された複数の人工知能を全て利用するか、当該複数の人工知能のうちの一部を利用するかを指定する(つまり、「全部利用する」及び「一部利用する」の一方を選択する)ことができる。
【0088】
引き継ぎ設定画面10bにおいて「全部利用する」が選択されて「決定」ボタンが押下された場合、
図7に示すステップS14においては、第1位置情報ゲームから第2位置情報ゲームに第1キャラクタ毎に生成された複数の人工知能の全てを引き継ぐ処理が実行される。一方、引き継ぎ設定画面10bにおいて「一部利用する」が選択された場合、当該引き継ぎ設定画面10bは引き継ぎ設定画面10cに遷移する。
【0089】
ユーザは、引き継ぎ設定画面10cにおいて人工知能を引き継ぐ第1キャラクタを選択(指定)することができる。引き継ぎ設定画面10cにおいて所定の第1キャラクタが選択されて「決定」ボタンが押下された場合、
図7に示すステップS14においては、当該選択された第1キャラクタについて生成された人工知能(つまり、当該第1キャラクタの行動を学習した人工知能)を引き継ぐ処理が実行される。
【0090】
なお、例えば複数の第1キャラクタのうち所定の第1キャラクタについて生成された人工知能は、第2位置情報ゲームに登場する複数の第2キャラクタのうちの例えば当該第1キャラクタと同種のまたは関連する第2キャラクタの行動を制御するために利用される。この場合、第1キャラクタと同種の第2キャラクタとは、当該第1キャラクタと完全に一致するキャラクタであってもよいし、少なくとも名称等が一致するキャラクタであってもよい。また、第1キャラクタと関連する第2キャラクタとは、当該第1キャラクタが進化したようなキャラクタであってもよいし、当該第1キャラクタと親子関係にあるようなキャラクタであってもよい。
【0091】
また、上記した引き継ぎ設定画面10cにおいては、第1キャラクタを選択するものとして説明したが、当該第1キャラクタと同種のまたは関連する第2キャラクタ(つまり、人工知能が適用される第2位置情報ゲームに登場する第2キャラクタ)が選択されてもよい。
【0092】
上記したような構成によれば、例えば複数の第1キャラクタの各々の行動を学習した複数の人工知能のうち、ユーザによって指定された一部(つまり、ユーザが所望するキャラクタの人工知能)のみを引き継ぐことが可能となる。
【0093】
なお、ここでは第1キャラクタ毎に人工知能が生成される(つまり、1つのキャラクタについて1つの人工知能が生成される)場合について説明したが、例えば1つの第1キャラクタについて複数の人工知能が生成されても構わない。具体的には、1つの第1キャラクタに対して、当該第1キャラクタの機能(第1キャラクタが行動するシチュエーション)毎に人工知能が生成されてもよい。なお、第1キャラクタの機能としては、例えばバトル機能及び装備機能等が想定される。
【0094】
この場合、上記した引き継ぎ設定画面10cにおいて選択された第1キャラクタの機能毎に生成された複数の人工知能の全てが引き継がれてもよいし、当該複数の人工知能の一部のみが引き継がれてもよい。
【0095】
上記したように第1キャラクタの機能毎に生成された複数の人工知能の一部のみが引き継がれる場合には、例えば上記した引き継ぎ設定画面10cにおいて第1キャラクタが選択された後に当該引き継ぎ設定画面10cが
図9に示す引き継ぎ設定画面10dに遷移し、ユーザは、当該引き継ぎ設定画面10dにおいて人工知能を引き継ぐ第1キャラクタの機能を選択(指定)することができる。引き継ぎ設定画面10dにおいて例えば「バトル機能」が選択されて「決定」ボタンが押下された場合には、引き継ぎ設定画面10cにおいて選択された第1キャラクタのバトル時の行動(つまり、バトル時に蓄積された学習データ)を学習した人工知能を引き継ぐことができる。また、引き継ぎ設定画面10dにおいて例えば「装備機能」が選択されて「決定」ボタンが押下された場合には、引き継ぎ設定画面10cにおいて選択された第1キャラクタの装備の設定(変更)時の行動(つまり、装備の設定時に蓄積された学習データ)を学習した人工知能を引き継ぐことができる。
【0096】
上記したような構成によれば、例えば第1キャラクタの機能毎に生成された複数の人工知能のうち、ユーザによって指定された一部(つまり、ユーザが所望する機能の人工知能)のみを引き継ぐことが可能となる。
【0097】
なお、ここではユーザによって指定された複数の人工知能(第1キャラクタ毎に生成された複数の人工知能または第1キャラクタの機能毎に生成された複数の人工知能)のうちの一部が第1位置情報ゲームから第2位置情報ゲームに引き継がれるものとして説明したが、当該引き継がれる人工知能は、自動的に決定されてもよい。
【0098】
具体的には、第1キャラクタ毎に生成された複数の人工知能(複数の第1キャラクタの各々の行動を学習した複数の人工知能)の一部が引き継がれる場合、例えば第2位置情報ゲームに登場する第2キャラクタと同種のまたは関連する第1キャラクタについて生成された人工知能が当該引き継がれる人工知能として決定されてもよい。
【0099】
また、第1キャラクタの機能毎に生成された複数の人工知能(第1キャラクタの複数の機能に関する行動を学習した複数の人工知能)の一部が引き継がれる場合、第1及び第2位置情報ゲームに共通または関連する機能について生成された人工知能が当該引き継がれる人工知能として決定されてもよい。
【0100】
なお、本実施形態においては人工知能が第1位置情報ゲームから第2位置情報ゲームに引き継がれるものとして説明したが、当該人工知能が第1位置情報ゲームから第2位置情報ゲームに引き継がれる(つまり、第1キャラクタの行動を学習した人工知能が第2キャラクタの行動を制御するために利用される)場合、当該第1キャラクタのパラメータ値(例えば、攻撃力及び魔力等)も同様に第1位置情報ゲームから第2位置情報ゲームに引き継がれ、当該パラメータ値が第2キャラクタのパラメータ値として利用されてもよい。
【0101】
また、本実施形態においては第1位置情報ゲームが第2位置情報ゲームの過去作であるような場合を想定しているが、当該第2位置情報ゲームは、当該第1位置情報ゲームに関連するゲームであればよい。
【0102】
また、本実施形態においては例えば第1キャラクタの行動を学習した人工知能が当該第1キャラクタと同種のまたは関連する第2キャラクタの行動を制御するために利用されるものとして説明したが、本実施形態におけるキャラクタは、位置情報ゲームにおいて登場するオブジェクト(ゲーム媒体)という概念に包含されるものであればよい。すなわち、本実施形態は、例えば第1オブジェクトの行動を学習した人工知能が当該第1オブジェクトと同種のまたは関連する第2オブジェクトの行動を制御するために利用される構成であればよい。この場合、オブジェクト(第1及び第2オブジェクト)が例えば武器であれば、人工知能を利用して当該武器を用いた攻撃を行うタイミング等を制御することができると考えられる。また、オブジェクトが例えばスキル(魔法等)であれば、人工知能を利用して当該スキルを使用するタイミング等を制御することができると考えられる。
【0103】
更に、本実施形態においては第1位置情報ゲームから引き継がれた人工知能を第2位置情報ゲームに適用して当該第2位置情報ゲームに登場する第2キャラクタ(第1キャラクタと同種のまたは関連する第2キャラクタ)の行動を自動で制御することが可能であるが、例えば当該人工知能が引き継がれた後に、再度第1位置情報ゲームを手動応答モードでプレイすることが考えられる。これによれば、例えば第1位置情報ゲームを手動応答モードでプレイすることによって学習データを再度蓄積することができる。
【0104】
この場合、ユーザ端末10には、例えば
図10に示す引き継ぎ設定画面10eが表示される。ユーザは、この引き継ぎ設定画面10eにおいて、上記したように再度蓄積された学習データまたは人工知能を共通化するか否かを指定する(つまり、「学習データを共通化する」及び「人工知能を共通化する」の一方を選択する)ことができる。
【0105】
引き継ぎ設定画面10eにおいて「学習データを共通化する」が選択されて「決定」ボタンが押下された場合、上記したように再度蓄積された学習データが第1位置情報ゲームから第2位置情報ゲームに引き継がれ(つまり、当該学習データが第1サーバ装置20から第2サーバ装置20に送信され)、第2位置情報ゲームのユーザデータの一部として保持されている人工知能が当該学習データを再度学習する。換言すれば、上記したように「学習データを共通化する」が選択された場合には、学習データが共通化され、第2位置情報ゲーム(つまり、第2サーバ装置20)側で人工知能が更新される。なお、人工知能の更新は第1位置情報ゲーム側でも行われる。
【0106】
一方、引き継ぎ設定画面10eにおいて「人工知能を共通化する」が選択されて「決定」ボタンが押下された場合、第1位置情報ゲームのユーザデータの一部として保持されている人工知能が上記したように再度蓄積された学習データを再学習し、当該再学習した人工知能が第1位置情報ゲームから第2位置情報ゲームに引き継がれる(つまり、当該人工知能が第1サーバ装置20から第2サーバ装置20に送信される)。換言すれば、上記したように「人工知能を共通化する」が選択された場合には、人工知能を共通化するために、第1位置情報ゲーム(つまり、第1サーバ装置20)側で更新された人工知能が第2位置情報ゲームに引き継がれる。
【0107】
このような構成によれば、例えばユーザが第1位置情報ゲームをプレイしている際に取得される学習データに基づいて人工知能を更新することが可能となるため、継続的にユーザの意図する第2キャラクタの行動を実現することが可能となる。
【0108】
ここでは第1位置情報ゲームを手動応答モードでプレイすることによって蓄積された学習データを人工知能(学習モデル)が再度学習するものとして説明したが、当該人工知能(学習モデル)は、第1位置情報ゲームから第2位置情報ゲームへ人工知能の機能を適用した後、第2位置情報ゲームを手動応答モードでプレイすることによって蓄積された学習データ(つまり、第2位置情報ゲームをプレイしている際に取得される学習データ)を再度学習してもよい。
【0109】
なお、本実施形態における学習モデルは、上記したように例えば人工知能全体に共通して利用する学習モデルのような形式(
図11)であってもよいし、人工知能が有する複数の機能(要素)毎にばらばらに学習モデルを備える形式(
図12)の何れであってもよい。複数の機能(要素)毎にばらばらに学習モデルを備える場合、それぞれの学習モデル毎に学習させるデータや学習の重みづけのパラメータを変更してもよい。例えば、人工知能が有する機能1は、ゲーム1(第1位置情報ゲーム)のゲームデータ1からなる学習モデルを生成し、機能2はゲーム1(第1位置情報ゲーム)のゲームデータ1とゲーム2(第2位置情報ゲーム)のゲームデータ2からなる学習モデルを生成するようにしてよい。
【0110】
なお、本実施形態においてはユーザが位置情報ゲーム(第1及び第2位置情報ゲーム)をプレイするものとして説明したが、本実施形態においてユーザがプレイするゲームは位置情報ゲームに限られず、本実施形態は、例えば所定のオブジェクト(の行動)を自動的に制御する機能が実装されている(つまり、自動応答モードに相当するモードが用意されている)ゲームであれば適用可能である。
【0111】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。ここで、上記したオンラインでユーザがプレイすることが可能なゲーム(例えば、位置情報ゲーム等)においては、当該ユーザが所有する第1オブジェクトと第2オブジェクトとを合成し、当該第1及び第2オブジェクトとは異なる第3オブジェクトを生成することが可能な機能が用意されている場合がある。
【0112】
本実施形態は、このようなゲームにおいて第1オブジェクトと第2オブジェクトとを合成して第3オブジェクトを生成する際に、当該第1オブジェクトの行動を制御するために利用される第1人工知能(人工知能によって実行される一部の機能、人工知能が有する機能の一部、人工知能に利用されている学習モデルの一部などを含む)と第2オブジェクトの行動を制御するために利用される第2人工知能(人工知能によって実行される一部の機能、人工知能が有する機能の一部、人工知能に利用されている学習モデルの一部などを含む)とから当該第3オブジェクトの行動を制御するための第3人工知能を生成する点で、前述した第1実施形態とは異なる。
【0113】
なお、本実施形態においては、前述した第1実施形態と同様の部分の詳しい説明を省略し、当該第1実施形態とは異なる部分について主に述べる。また、本実施形態に係るゲームシステムの構成は、前述した第1実施形態と同様であるため、適宜、
図1~
図5を用いて説明する。
【0114】
以下、
図13のフローチャートを参照して、本実施形態に係るゲームシステム1の処理手順の一例について説明する。ここではユーザがプレイするゲームが位置情報ゲームであるものとし、当該位置情報ゲームにおいてユーザは第1及び第2オブジェクトを所有しているものとする。ここでは、上記した第1オブジェクトと第2オブジェクトとを合成する際の処理について説明する。
【0115】
なお、この位置情報ゲームは、前述した第1実施形態において説明した第1位置情報ゲームであってもよいし、第2位置情報ゲームであってもよい。また、ここでは第1及び第2オブジェクトが第1及び第2キャラクタであるものとして説明する。なお、前述した第1実施形態においては、第1キャラクタが第1位置情報ゲームに登場するキャラクタであり、第2キャラクタが第2位置情報ゲームに登場するキャラクタであるものとして説明したが、本実施形態における第1及び第2キャラクタ(つまり、合成される複数のキャラクタ)は、例えば同種の位置情報ゲームに登場するキャラクタであるものとする。
【0116】
この場合、ユーザは、ユーザ端末10に対して当該ユーザが所有する第1及び第2キャラクタの合成を指示する操作(以下、合成操作と表記)を行うことができる。このような合成操作は、ユーザ端末10に含まれる操作受付部103によって受け付けられる(ステップS1)。なお、ステップS1において受け付けられる合成操作には、合成される第1及び第2キャラクタを指定する操作等が含まれる。
【0117】
ステップS1の処理が実行されると、ゲームシステム1は、当該ステップS1において受け付けられた合成操作に応じて、第1及び第2キャラクタを合成する処理(以下、第1合成処理と表記)を実行する(ステップS2)。
【0118】
なお、ステップS2において第1合成処理が実行された場合、第1及び第2キャラクタに基づく第3キャラクタが生成され、ユーザは、当該第3キャラクタを所有(使用)することができる。
【0119】
ここで、ゲームシステム1は、例えばユーザデータの一部として、第1キャラクタの行動を制御するために利用される第1人工知能(つまり、第1キャラクタについて生成された人工知能)及び第2キャラクタの行為を制御するために利用される第2人工知能(つまり、第2キャラクタについて生成された人工知能)を保持しているものとする。この場合、ゲームシステム1は、第1及び第2人工知能を合成する処理(以下、第2合成処理と表記)を実行する(ステップS3)。
【0120】
なお、ステップS3において第2合成処理が実行された場合、第1及び第2人工知能に基づく第3人工知能が生成される。このように生成された第3人工知能は、ユーザデータの一部として保持され、上記した第3キャラクタの行動を制御するために利用することができる。
【0121】
図14は、本実施形態におけるゲームシステム1の動作の概要を示している。ここでは、第1キャラクタに相当するキャラクタA及び第2キャラクタに相当するキャラクタBをユーザが所有している場合を想定している。また、人工知能AはキャラクタAの行動を制御するために利用される人工知能(第1人工知能)であり、人工知能BはキャラクタBの行動を制御するために利用される人工知能(第2人工知能)である。
【0122】
この場合、本実施形態においては、
図14に示すように、キャラクタA及びBを合成することによってキャラクタC(第3キャラクタ)が生成されるとともに、人工知能A及びBを合成することによって人工知能C(第3人工知能)生成することができる。
【0123】
なお、本実施形態において人工知能Cは、例えばキャラクタCが生成されるタイミングと同じタイミングで生成されるものとする。
【0124】
以下、
図15を参照して、上記したキャラクタA~C(第1~第3キャラクタ)及び人工知能A~C(第1~第3人工知能)の具体例について説明する。
【0125】
図15においては、例えばキャラクタA及びBが攻撃力及び魔力のパラメータを有し、キャラクタAの攻撃力及び魔力のパラメータ値がそれぞれ「1000」及び「200」であり、キャラクタBの攻撃力及び魔力のパラメータ値がそれぞれ「300」及び「800」であることが示されている。
【0126】
この場合、
図15に示す例では、キャラクタA及びBを合成することによって、攻撃力及び魔力のパラメータ値がそれぞれ「800」及び「450」であるキャラクタCが生成されることが示されている。このように例えばキャラクタA及びBが合成される場合には、例えば当該キャラクタA及びBのパラメータ値に基づいて決定されたパラメータ値を有するキャラクタCが生成されてもよい。ただし、本実施形態におけるキャラクタの合成(生成)は、他の手法により行われても構わない。
【0127】
また、
図15においては、例えばキャラクタAの行動を制御するために利用される人工知能Aが攻撃重視の人工知能であることが示されている。この人工知能Aによれば、キャラクタAは、例えば当該キャラクタAを回復させるような行動よりも、敵キャラクタに攻撃するような行動を優先的に行うように制御される。
【0128】
更に、
図15においては、例えばキャラクタBの行動を制御するために利用される人工知能Bが回復重視の人工知能であることが示されている。この人工知能Bによれば、キャラクタBは、例えば敵キャラクタに攻撃するような行動よりも、当該キャラクタBを回復させるような行動を優先的に行うように制御される。
【0129】
この場合、
図15に示す例では、人工知能A及びBを合成することによって、ヒットポイント(HP)が50%以上のときは攻撃重視で、かつ、ヒットポイントが50%未満のときは回復重視である人工知能Cが生成されることが示されている。
【0130】
ここで、上記した人工知能A及びBを合成することによって人工知能Cを生成する処理の一例について説明する。
【0131】
一般に、人工知能には、ルールベース型AI(Artificial Intelligence)及び機械学習型AIが含まれる。ルールベース型AIは、明確な対応関係があるシナリオ型に相当し、予め定められたルール(パターン)が登録されることによって生成される。一方、機械学習型AIは、教師なし学習、教師あり学習及び強化学習等の機械学習を実施することによって生成される。なお、機械学習としては、例えば深層学習(ディープラーニング)が適用されてもよい。ルールベース型AIは予め登録されたルールに基づいて動作するのに対して、機械学習型AIは学習データを分析して見つけ出された適切なルールに基づいて動作する点で異なる。
【0132】
本実施形態においては、人工知能A及びBがルールベース型AIである場合を想定する。この場合、人工知能Cは、例えば人工知能Aにおいて登録されているルール(キャラクタAの行動に関するルール)及び人工知能Bにおいて登録されているルール(キャラクタBの行動に関するルール)が登録されることによって生成される。
【0133】
具体的には、例えば人工知能Aに複数のルールが登録されており、人工知能Bに複数のルールが登録されている場合、人工知能Cは、当該人工知能Aにおいて登録されている複数のルール及び当該人工知能Bにおいて登録されている複数のルールに共通するルールが登録されることによって生成される。
【0134】
なお、例えば人工知能Aにおいて登録されているルールと人工知能Bに登録されているルールとが矛盾する場合は、当該ルールの一方を優先的に採用する(つまり、人工知能Cに登録する)ようにしてもよい。
【0135】
具体的には、例えば人工知能Aの運用期間が人工知能Bの運用期間よりも長い場合には、人工知能Aにおいて登録されているルールを人工知能Bにおいて登録されているルールよりも優先的に採用する(つまり、人工知能Bよりも人工知能Aを優先的に反映させるように人工知能Cを生成する)ようにしてもよい。
【0136】
更に、例えば人工知能Aを利用して行動が制御されるキャラクタAが位置情報ゲームにおいて達成した成果が人工知能Bを利用して行動が制御されるキャラクタBが位置情報ゲームにおいて達成した成果よりも高い場合には、人工知能Aにおいて登録されているルールを人工知能Bにおいて登録されているルールよりも優先的に採用する(つまり、人工知能Bよりも人工知能Aを優先的に反映させるように人工知能Cを生成する)ようにしてもよい。なお、キャラクタが位置情報ゲームにおいて達成した成果には例えば当該位置情報ゲームにおいて行われたバトルの回数やイベントクリア回数等が含まれるが、当該成果は、例えばユーザデータ等において管理されているものとする。
【0137】
また、ユーザによって指定された人工知能において登録されているルールを優先的に採用するようにしてもよい。
【0138】
なお、ここでは本実施形態における人工知能がルールベース型AIであるものとして説明したが、当該人工知能は機械学習型AIであってもよい。この場合、人工知能A及びBが統合された人工知能Cが生成されればよいが、例えば人工知能A及びBが学習した学習データを保持しておき、当該人工知能Cは、当該保持されている人工知能A及びBが学習した学習データを再学習することによって生成されてもよい。なお、人工知能Cは、上記した運用期間(学習期間)、成果及びユーザの指定等に応じて、人工知能Aが学習した学習データ及び人工知能Bが学習した学習データの一方を優先的に学習してもよい。
【0139】
また、前述した第1実施形態において説明したように状況データが入力された人工知能が操作データを出力する場合、人工知能A及びBを人工知能Cとして保持しておき、当該人工知能Aから出力される操作データ及び当該人工知能Bから出力される操作データを人工知能Cから出力される操作データとして利用してもよい。この場合、人工知能Aから出力される操作データ及び人工知能Bから出力される操作データが矛盾しない(つまり、一致する)ときには、当該操作データを人工知能Cから出力される操作データとして利用することができる。一方、人工知能Aから出力される操作データ及び人工知能Bから出力される操作データが矛盾する(つまり、一致しない)ときには、当該操作データの一方を優先的に採用すればよい。優先的に採用する操作データは、上記した運用期間(学習期間)、成果及びユーザの指定等に応じて決定されればよい。
【0140】
上記したように本実施形態においては、第1オブジェクト(例えば、第1キャラクタ)と第1オブジェクトとは異なる第2オブジェクト(例えば、第2キャラクタ)とを合成することによって第3オブジェクトを生成する際に、当該第1オブジェクトの行動を制御するために利用される第1人工知能と、当該第2オブジェクトの行動を制御するために利用される第2人工知能とを合成することによって第3オブジェクトの行動を制御するために利用される第3人工知能を生成する。
【0141】
本実施形態においては、このような構成により、複数のオブジェクト(例えば、キャラクタ等)を合成する場合に、当該複数のオブジェクトの各々の行動を制御するための人工知能が反映された新たな人工知能を、当該合成によって生成される新たなオブジェクトの行動モデルとして生成して利用することが可能となる。
【0142】
なお、本願発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合せてもよい。
【0143】
以下、本開示の内容を付記する。
<1>
コンピュータを、
ユーザが第1ゲームをプレイしている際の第1状況における第1オブジェクトの行動を学習した人工知能の機能を前記第1ゲームとは異なる第2ゲームに適用することによって、前記第2ゲームの第2状況における第2オブジェクトの行動を制御する制御手段
として機能させるプログラム。
<2>
前記人工知能の機能は、前記第1状況を示す状況データ及び前記第1状況において前記第1オブジェクトを行動させるために前記ユーザによって行われた操作を示す操作データを学習データとして学習することによって更新され、前記第2ゲームにおいて第2状況が発生した際に前記第2状況を示す状況データが入力されることによって前記第2状況において前記第2オブジェクトを行動させるための操作を示す操作データを出力する、<1>記載のプログラム。
<3>
前記第2オブジェクトの行動は、前記第2ゲームを自動でプレイするための自動応答モードが設定されているときに前記人工知能の機能を利用して制御される、<1>記載のプログラム。
<4>
前記自動応答モードは、前記第2ゲームをプレイするユーザの操作に従って設定される、<3>記載のプログラム。
<5>
前記人工知能の機能は、前記第2ゲームのプレイを開始する際に、前記第1ゲームから前記第2ゲームに引き継がれる、<1>記載のプログラム。
<6>
複数の第1オブジェクトの各々の行動を学習した複数の人工知能の機能のうち、前記第2ゲームをプレイするユーザによって指定された人工知能の機能が引き継がれる、<5>記載のプログラム。
<7>
複数の第1オブジェクトの各々の行動を学習した複数の人工知能の機能のうち、前記第2ゲームに登場する第2オブジェクトと同種のまたは関連する第1オブジェクトの行動を学習した人工知能の機能が引き継がれる、<5>記載のプログラム。
<8>
前記第1オブジェクトの複数の機能に関する行動を学習した複数の人工知能の機能のうち、前記第1ゲーム及び前記第2ゲームに共通または関連する機能に関する行動を学習した人工知能の機能が引き継がれる、<5>記載のプログラム。
<9>
前記人工知能の機能が前記第1ゲームから前記第2ゲームに引き継がれる場合、前記第1オブジェクトのパラメータ値は、前記第2オブジェクトのパラメータ値として前記第1ゲームから前記第2ゲームに引き継がれる、<5>記載のプログラム。
<10>
前記第2ゲームは、前記第1ゲームに関連するゲームである、<1>記載のプログラム。
<11>
前記第2オブジェクトは、前記第1オブジェクトと同種のまたは関連するオブジェクトである、<1>記載のプログラム。
<12>
前記人工知能は、前記第1ゲームから前記第2ゲームへ前記人工知能の機能を適用したあと前記ユーザが前記第2ゲームをプレイしている際に取得される前記学習データに基づいて更新される、<2>記載のプログラム。
<13>
ユーザが第1ゲームをプレイしている際の第1状況における第1オブジェクトの行動を学習した人工知能の機能を前記第1ゲームとは異なる第2ゲームに適用することによって、前記第2ゲームの第2状況における第2オブジェクトの行動を制御する制御手段を具備するシステム。
<14>
ユーザが第1ゲームをプレイしている際の第1状況における第1オブジェクトの行動を学習した人工知能の機能を前記第1ゲームとは異なる第2ゲームに適用することによって、前記第2ゲームの第2状況における第2オブジェクトの行動を制御することを具備する方法。
<15>
コンピュータを、
第1オブジェクトと前記第1オブジェクトとは異なる第2オブジェクトとを合成することによって第3オブジェクトを生成する第1生成手段、
前記第1オブジェクトの行動を制御するために利用される第1人工知能と、前記第2オブジェクトの行動を制御するために利用される第2人工知能とを合成することによって前記第3オブジェクトの行動を制御するために利用される第3人工知能を生成する第2生成手段
として機能させるプログラム。
<16>
前記第3人工知能は、前記第3オブジェクトが生成されるタイミングで生成される、<15>記載のプログラム。
<17>
前記第1人工知能は、前記第1オブジェクトの行動に関する複数の第1ルールが登録されることによって生成され、
前記第2人工知能は、前記第2オブジェクトの行動に関する複数の第2ルールが登録されることによって生成され、
前記第2生成手段は、前記複数の第1ルール及び前記複数の第2ルールに共通するルールが登録された第3人工知能を生成する
<15>記載のプログラム。
<18>
前記第2生成手段は、前記第1人工知能の運用期間が前記第2人工知能の運用期間よりも長い場合、前記第2人工知能よりも前記第1人工知能を優先的に反映させるように前記第3人工知能を生成する、<15>記載のプログラム。
<19>
前記第2生成手段は、前記第1オブジェクトがゲームにおいて達成した成果が前記第2オブジェクトが前記ゲームにおいて達成した成果よりも高い場合、前記第2人工知能よりも前記第1人工知能を優先的に反映させるように前記第3人工知能を生成する、<15>記載のプログラム。
<20>
前記第2生成手段は、前記第2人工知能よりもゲームをプレイするユーザによって指定された第1人工知能を優先的に反映させるように前記第3人工知能を生成する、<15>記載のプログラム。
【符号の説明】
【0144】
1…ゲームシステム、10…ユーザ端末、11…不揮発性メモリ、12…CPU、13…メインメモリ、13A…ゲームプログラム、14…無線通信デバイス、15…ディスプレイ、16…タッチパネル、20…サーバ装置、21…不揮発性メモリ、22…CPU、23…メインメモリ、23A…ゲームプログラム、24…無線通信デバイス、101…表示処理部、102…制御部、103…操作受付部、104…格納部、201…格納部、202…データ管理部、203…制御部。
【要約】
【課題】ゲーム分野における人工知能の利活用を促進させること。
【解決手段】システムは、ユーザが第1ゲームをプレイしている際の第1状況における第1オブジェクトの行動を学習した人工知能の機能を第1ゲームとは異なる第2ゲームに適用することによって、第2ゲームの第2状況における第2オブジェクトの行動を制御する。
【選択図】
図7