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特許7505102ナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】ナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20240617BHJP
   B01F 23/232 20220101ALI20240617BHJP
   B01F 25/10 20220101ALI20240617BHJP
   B01F 25/434 20220101ALI20240617BHJP
   B01F 25/45 20220101ALI20240617BHJP
   B01F 23/2375 20220101ALI20240617BHJP
【FI】
D06F39/08 301B
B01F23/232
B01F25/10
B01F25/434
B01F25/45
B01F23/2375
D06F39/08 301Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023195136
(22)【出願日】2023-11-16
【審査請求日】2024-01-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505077611
【氏名又は名称】佐藤 宏彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏彦
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-114812(JP,A)
【文献】特開2023-163288(JP,A)
【文献】特開2022-063994(JP,A)
【文献】特開2022-111961(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1032102(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-2168103(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/08
B01F 21/00-25/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機用の給水ホースであって、
前記給水ホースの一方の端には、水道水の蛇口に取り付けられる給水ホース接続用のアダプタに着脱自在に接続される接手部と、前記接手部の前記アダプタへの接続を保持するカプラ保持器と、から成る接手カプラが取り付けられ、
前記給水ホースの他端には、洗濯機の受水口に接続される接続部が取り付けられ、
前記給水ホース内に配置され、水道水に含まれる水泡を微細化するナノバブル水生成手段を備え、
前記ナノバブル水生成手段は、
前記アダプタ側の前記給水ホースの内面に密接する円筒体と、
前記円筒体内に水道水を流入させる入水面体であって、その中心から所定距離だけ離れた異なる位置に形成された4つの円形の分岐孔を有する入水面体と、
前記円筒体から水道水を流出させる出水面体であって、その中心から所定距離だけ離れた異なる位置に形成された4つの円形の分岐孔を有する出水面体と、
により構成され、
前記円筒体は、その全体が前記給水ホースの内径に密接する円柱形を成し、前記給水ホースの内面に挿入された状態で、当該給水ホースの外装を覆う円形のカシメ材により前記接手カプラと共に当該給水ホースに固定され、
前記入水面体と前記出水面体間の前記円筒体において水道水が接触して通過する内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部が形成され、
前記入水面体の4つの分岐孔から流れ込む水が、前記螺旋状の凹凸部に接触及び衝突することにより前記円筒体内で乱流を生じさせ、水道水内の気泡が微細に粉砕されて前記出水面体からナノバブル水が流出するように形成される、
ことを特徴とするナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース。
【請求項2】
前記入水面体に設けられた4つの分岐孔は、その入水面側から出水面側に向けての中心軸が前記入水面体の中心軸に対し所定角度だけ傾斜している請求項1に記載のナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース。
【請求項3】
前記入水面体に設けられた4つの分岐孔は、相互に等間隔に設けられた、請求項1又は2に記載のナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース。
【請求項4】
前記入水面体の厚寸法は、円筒体の直径寸法の少なくとも1/4である、請求項2又は3に記載のナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース。
【請求項5】
前記アダプタの内周壁には複数の球体が設けられ、前記接手部はその外周壁に前記複数の球体に夫々嵌合する孔が形成されており、
前記アダプタを前記接手部に被せて前記球体と前記孔が嵌合することにより前記接手部が前記給水ホース接続用のアダプタに密に連結する請求項1又は2に記載のナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース。
【請求項6】
前記入水面側から前記出水面側への流水方向から見て、前記入水面体と前記出水面体におけるそれぞれの分岐孔の中心位置は、一致しないよう所定の角度ズレて配置されている、ことを特徴とする請求項に記載のナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース。
【請求項7】
前記入水面体と前記出水面体は、少なくとも5ミリメートル以上の厚さを有する黄銅素材、樹脂素材又はステンレス素材により形成される、ことを特徴とする請求項4に記載のナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース。
【請求項8】
前記円筒体は、黄銅素材、ステンレス素材又は樹脂素材により形成される、ことを特徴とする請求項7に記載のナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭の洗濯機に用いられる洗濯機用給水ホースに関し、特に、現在使用中の洗濯機を、給水ホースを交換するだけでナノバブル水生成機能を持たせることを可能にするものである。
【背景技術】
【0002】
ナノバブル水とは、一般的に気泡の直径サイズが概ね100μm以下のマイクロバブルや、同サイズが50~500nm程度のナノバブルサイズの気泡を多く含むナノバブル水(本願では、「ナノバブル」又は「ナノバブル水」という)を意味し、毛穴よりも微小な小さな気泡を含むきめ細かな水が毛穴や汗腺の汚れ、繊維組織の隙間等に入り込んでいる汚れを効果的に除去することができ、近年急速に、特に、健康や美容の分野において知られるに至っている。
【0003】
また、ナノバブル水の電気的作用による洗浄効果も注目されてきている。ナノバブルの表面には通常、マイナスの電荷が帯電しており、気泡同士が合体することなく、ナノバブル水中に拡散・浮遊している。これに対し、油や皮脂、細かい異物等による汚れは通常プラスに帯電して、マイナスの電荷を帯びた被洗浄物と電気的に結合している。よって、マイナスの電荷を帯びているナノバブルがプラス電荷の汚れに吸着すると電気的に中和されて、汚れを被洗浄物から分離しやすい状態となる。
【0004】
そして、電気的に中和されて被洗浄物から分離した汚れは、ナノバブルの気液界面に吸着したまま気泡の浮力によって水面に浮上することで、被洗浄物から除去された汚れがナノバブル水中で再び被洗浄物に付着されることなく、洗浄されることになる。
【0005】
このようなナノバブル水を発生するには、従来から、高速せん断方式、加圧圧壊方式、キャビテーション方式などが知られているが、その多くが、アスピレータ方式などで、外部から空気を吸引している。或いは、強制注入している。その一つとして、加速手段にて加速される液体、及び気液混合手段によりケーシングに導入される気体(直径が数ミリ程度の気泡)から成る混合流体をケーシング内でキャビテーションを起こさせて、マイクロバブルを発生するマイクロバブル発生装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
また、外部から空気(外気)を取り入れることなしに、水の中に溶融しているいわゆる溶存空気からキャビテーション方式によってマイクロバブルを発生させる方式としては、入口から出口に向かいその中心軸に直交する断面積を漸減する通水用入口側の第1ノズルと、第1ノズルの出口から連通して設けられた連通路を介して連続して配設され、入口から出口に向かってその中心軸に直交する断面積を漸増する通水用出口側の第2ノズルと、前記連通路にのみ開口した隙間又は側室とを有するマイクロバブル発生装置が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0007】
そして、水の中の溶存空気からキャビテーション方式によってマイクロバブルを発生させる方式のマイクロバブル発生器を美容や健康面での効果に応用したものとしては、シャワーヘッドが知られている(例えば、特許文献3を参照)。
【0008】
また、同様に、水中の気泡からキャビテーション方式によってマイクロバブルを発生させる方式のマイクロバブル発生器を洗濯機に応用したものとしては、回転槽内の洗濯物に対してマイクロバブルを噴射する流体噴射装置を備えた洗濯機が知られている(例えば、特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2007-021343号公報
【文献】特開2009-136864号公報
【文献】特開2016-002196号公報
【文献】特開2016-209331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1によるマイクロバブル発生装置は、タンクに貯留した水を加速して行う気液混合は装置が大型化し、水道直結型の簡易なタイプが望まれる家庭用には不向きである。
【0011】
また、特許文献2によるマイクロバブル発生装置は、側室を備える連通路で急膨張した水流を第2ノズルで絞りによる減圧するために、使用するのに十分な量の水が供給できなくなることがある。そのため、そのときの水道圧の状況に応じて側室の軸流方向での幅サイズを調整しなければならず、家庭用の水道管に容易に取り付けることはできない。
【0012】
特許文献3や特許文献4は、家庭でシャワーや洗濯の際にナノバブル水を使用できるようにしたものではあが、これらは予めマイクロバブル生成器がシャワーヘッドや洗濯機に組み込まれた器具として提案されており、既存のこのような器具にマイクロバブル発生器を取り付けることが可能ではない。
【0013】
上記点より本発明は、水道水を使用する家庭用の洗濯機への給水ホースにナノバブル水生成機能を持たせることで、既存の通常の洗濯機に容易にナノバブル水による洗濯機能を持たせることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、洗濯機用の給水ホースであって、前記給水ホースの一方の端には、水道水の蛇口に取り付けられる給水ホース接続用のアダプタに着脱自在に接続される接手部と、前記接手部の前記アダプタへの接続を保持するカプラ保持器と、から成る接手カプラが取り付けられ、前記給水ホースの他端には、洗濯機の受水口に接続される接続部が取り付けられ、前記給水ホース内に配置され、水道水に含まれる水泡を微細化するナノバブル水生成手段を備え、前記ナノバブル水生成手段は、前記アダプタ側の前記給水ホースの内面に密接する円筒体と、前記円筒体内に水道水を流入させる入水面体であって、その中心から所定距離だけ離れた異なる位置に形成された4つの円形の分岐孔を有する入水面体と、前記円筒体から水道水を流出させる出水面体であって、その中心から所定距離だけ離れた異なる位置に形成された4つの円形の分岐孔を有する出水面体と、により構成され、前記円筒体は、その全体が前記給水ホースの内径に密接する円柱形を成し、前記給水ホースの内面に挿入された状態で、当該給水ホースの外装を覆う円形のカシメ材により前記接手カプラと共に当該給水ホースに固定され、前記入水面体と前記出水面体間の前記円筒体において水道水が接触して通過する内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部が形成され、前記入水面体の4つの分岐孔から流れ込む水が、前記螺旋状の凹凸部に接触及び衝突することにより前記円筒体内で乱流を生じさせ、水道水内の気泡が微細に粉砕されて前記出水面体からナノバブル水が流出するように形成される、ことを特徴とするナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホースを提供するものである。
【0015】
このように、本洗濯機用給水ホースは、内蔵されるナノバブル水生成器が本給水ホースの内面に密接する円筒体に形成され、この円筒体は、給水ホースの内面に挿入された状態で、給水ホースの外装を覆う円形のカシメ材により水道蛇口に嵌め込まれる接手カプラと共に給水ホースに容易に固定できるので、コストを安く製造できる。
【0016】
さらに、入水面体と出水面体間の円筒体の内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部が形成され、入水面体の4つの分岐孔から流れ込む水が、螺旋状の凹凸部に接触及び衝突することにより円筒体内で水の乱流を生じさせ、水道水内の気泡が微細に粉砕されて高性能のナノバブル水を生成することを可能にしたのである。
【0017】
さらに、前記入水面体に設けられた4つの分岐孔は、その入水側から出水側に向けての中心軸が前記入水面体の中心軸に対し所定角度だけ傾斜させることにより、入水面体を通過した水が、円筒体内面に対して所定の角度を有して衝突することになり、ナノバブル水を高効率に発生させている。
【0018】
ここで、前記入水面体に設けられた4つの分岐孔は、相互に等間隔設けられる。また、前記入水面体の厚寸法は、円筒体の直径寸法の少なくとも1/4である。
【0019】
ところで、前記アダプタの内周壁には複数の球体が設けられ、前記接手はその外周壁に前記複数の球体に夫々嵌合する孔が形成されており、前記アダプタを前記接手部に被せて前記球体前記孔が嵌合することにより前記接手部が前記給水ホース接続用のアダプタに密に連結するのである。
【0020】
ところで、本発明に係るナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホースを構成するナノバブル水生成器においては、前記入水面側から前記出水面側への流水方向から見て、前記入水面体と前記出水面体におけるそれぞれの分岐孔の中心位置は、一致しないよう所定の角度ズレて配置されている。これにより、入水面体の4つ孔から入水して円筒体内を通る水は乱流が生じ、且つ出水体面に衝突する量が増えることから、より効率的にナノバブル水を生成することができるのである。
【0021】
ところで、前記入水面体と前記出水面体は、少なくとも5ミリメートル以上の厚さを有する黄銅素材、樹脂素材又はステンレス素材により形成され、また、前記円筒体は、黄銅素材、ステンレス素材又は樹脂素材により形成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明のナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホースにおいては、ナノバブル水生成器3を内蔵し、水道水の蛇口にワンタッチ式に接続される接手カプラ4と、洗濯機の受水口に手動で接続される接続部を備えることで、洗濯機用給水ホースを交換するだけで、既存の洗濯機にナノバブル水による洗濯機能を持たせることができる。
【0023】
そして、本洗濯機用給水ホースは、内蔵されるナノバブル水生成器が本給水ホースの内面に密接する円筒体に形成され、この円筒体は、給水ホースの内面に挿入された状態で、給水ホースの外装を覆う円形のカシメ材により水道蛇口に嵌め込まれる接手カプラと共に給水ホースに容易に固定できるので、ナノバブル水生成器自体の製造コストと相俟って低コストで且つ短時間に製造可能である。
【0024】
さらに、入水面体と出水面体間の円筒体の内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部が形成され、入水面体の4つの分岐孔から流れ込む水が、螺旋状の凹凸部に接触及び衝突することにより円筒体内で水の乱流を生じさせ、水道水内の気泡が微細に粉砕されて高性能のナノバブル水を生成することを可能にしたのである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホースの全体を示す。
図2】本ナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース内に収容されるナノバブル水生成器の構成(その1)を示す。(a)部は、給水ホース内に収納された状態のナノバブル水生成器の内部構成を示す。(b)部は、入水面体の側面と出水面体の側面とを示す。入水面体の4つの孔と出水面体の4つの孔が流水方向において一致して設けられている。(c)部は、(b)に示すナノバブル水生成器のA-A′断面の遠近状態図を示す。円筒体の内面に螺旋状の切込みが施されている。
図3】本ナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース内に収容されるナノバブル水生成器の構成(その2)を示す。(a)部は、給水ホース内に収納された状態のナノバブル水生成器の内部構成を示す。(b)部は、入水面体の側面と出水面体の側面を示す。入水面体の4つの孔と出水面体の4つの孔が流水方向において約90度回転して設けられている。(c)部は、(b)に示すナノバブル水生成器のB-B′断面を示す。円筒体の内面に螺旋状の切込みが施されている。
図4】水道水の蛇口側のアダプタに着脱自在に接続される本給水ホースの接手部と、本給水ホース内の内面に密接状態に設けられるナノバブル水生成器の配置位置と取付ける作業工程を示す。
図5】本ナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホースが、水道水の蛇口と洗濯機の受水口間に接続されている状態を示す。
図6】現在に至って使用されている従来のナノバブル水生成器の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る「ナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース」(以下、単に「本給水ホース」という)の実施の形態の例を図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本給水ホース1の全体構成を示しており、給水ホース本体2と、給水ホース本体2の入水側(取水端)に取り付けられる接手カプラ(「接手部」と「カプラ保持器」とから成る)4、給水ホース本体2の出水側の排水端に取り付けられて洗濯機の受水口(図5を参照)に接続される接続部5と、から構成されている。そして、上述した接手カプラ4(下流側)には、給水ホース本体2の内面に密接状態に収納されるナノバブル水生成器3(図2及び図3を参照)が、カシメ材10により固定されている。
【0028】
図2は、本給水ホース内に収容されるナノバブル水生成器3の構成の第1の例を示す。ここで、(a)部は、給水ホース内に収納された状態のナノバブル水生成器3の内部構成を示し、(b)部は、入水面体3-2の側面と出水面体3-3の側面とを示す。この本給水ホースの第1の例では、入水面体3-2の4つの孔6と出水面体3-3の4つの孔7が流水方向において一致して設けられている。(c)部は、(b)に示すナノバブル水生成器のA-A′断面の遠近状態図を示す。ナノバブル水生成器3の円筒体3の内面には螺旋状の切込みが施されている。ここで、入水面体3-2の側面と出水面体3-3は、円筒体の入水端部及び出水端部に、圧入された後、素材に応じて溶接又は接着され、高水圧でも水漏れや離脱が生じないように設けられる。
【0029】
図2(a)に示すように、ナノバブル水生成器3は、給水ホース本体2の内面に密接するように配置される円筒体3-1と、水道水を円筒体3-1の中心軸から所定距離(円筒体3-1の直径サイズに応じたサイズ)だけ離れた同心円状に形成された4つの分岐孔6(6-1、6-2、6-3、6-4)を有する入水面体3-2と、円筒体3内の水道水を流出する4つの分岐孔7(7-1、7-2、7-3、7-4)を有する出水面体3-3と、により構成されている。
【0030】
ここで、円筒体3-1は、給水ホース本体2(図1)の内面に挿入された状態で、給水ホースの外装を覆う円形のカシメ材10により接手カプラ4と共に給水ホース本体2に固定され、入水面体3-2と出水面体3-3間の円筒体3-1の内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部3-4」が形成されている。
【0031】
そして、入水面体3-2の4つの分岐孔6から流れ込む水が、螺旋状の凹凸部3-4に接触及び衝突することにより円筒体3-1内で乱流を生じさせ、水道水内の気泡が効率的に微細に粉砕されて出水面体3-3からナノバブル水が流出するように形成されている。
【0032】
このように、本給水ホース1は、内蔵されるナノバブル水生成器3が給水ホース本体2の内面に密接する円筒体3-1(3-2及び3-3を内蔵)に形成され、この円筒体3-1は、給水ホース本体2の内面に挿入された状態で、給水ホースの外装を覆う円形のカシメ材10により、水道蛇口に嵌め込まれる接手カプラ4と共に給水ホース本体2内に容易に固定できるので、本給水ホース1を低コスト製造できるのである。
【0033】
一方、従来のナノバブル水生成器においては、例えば、図6に示すように、本給水ホース1を構成するナノバブル水生成器3とは異なり、その外形管が単純な円筒状ではなく、その内部でナノバブル水を発生させるための構造も複雑な構成であった。これに比して、本給水ホース1を構成するナノバブル水生成器3においては、ナノバブル水生成器3の円筒体3-1内に流れる水流に対して抵抗が飛躍的に小さくなるので、水道管から供給される水道の水圧が大きく減じられることなく、微細気泡水が出水面体3-3から流出するナノバブル水が給水ホース本体2の内壁に当たる作用と相俟って、効果的に従来のナノバブル水生成器と同等数のナノサイズの微細気泡を生成させることができるのである。
【0034】
図3は、本給水ホース内に収容されるナノバブル水生成器の第2の例を示す。
(a)部は、給水ホース内に収納された状態のナノバブル水生成器の内部構成を示し、(b)部は、入水面体の側面と出水面体の側面を示す。ここで、この第2の例では、図2に示した第1の例とは異なり、出水面体3-3の4つの孔7(7-1、7-2、7-3、7-4)は、入水面体3-2の4つの孔6(6-1、6-2、6-3、6-4)が流水方向において約90度回転して設けられている。また、(c)部は、図2に示した第1の例と同じであるが、(b)に示すナノバブル水生成器のB-B′断面を示す。円筒体3-1の内面に螺旋状の切込み3-4が施されている。
【0035】
このように、図3に示す第2の例では、入水面体3-2に設けられた4つの分岐孔6と、出水面体3-3に設けられた4つの分岐孔7は、相互にその中心軸が前記取水プレートの中心軸に対し90度傾斜しているので、入水面体3-2体の4つの孔6を通過した水が、円筒体3-1内においてその入水孔6と出水孔がストレートな水流とはならず渦を成す水流となるので、より多くの水流が円筒体3-1の螺旋状切込みに衝突することになり、ナノバブル水をより高効率に発生させることができるのである。
【0036】
ところで、前記入水面体と前記出水面体は、少なくとも5ミリメートル以上の厚さを有する黄銅素材、樹脂素材又はステンレス素材により形成され、また、前記円筒体は、黄銅素材、ステンレス素材又は樹脂素材により形成される。
【0037】
図4は、水道水の蛇口側のアダプタに着脱自在に接続される本給水ホースの接手部と、本給水ホース内の内面に密接状態に設けられるナノバブル水生成器の配置位置と取付ける作業工程を示す。
【0038】
ここで、(a)部は、ナノバブル水生成器3が、本給水ホース1を構成する給水ホース本体2内において、接手カプラ4の下流部に配置されている状態を示す。(b)部は、(a)部に示した給水ホース本体2内に配置されたナノバブル水生成器3をカシメ材10を用いて固定する前の状態を示し、(c)部は、給水ホース本体2内においてナノバブル水生成器3がカシメ材10により固定された後の外観を示す。
【0039】
ここで、本給水ホースにおいて使用するカシメ材10は、塑性変形を利用して給水ホース本体2内に配置されたナノバブル水生成器3を給水ホース内において固定させるものであり、塑性変形する材としては、アルミニウム管、青銅管、樹脂管等がある。これによって、本給水ホース1においては、ナノバブル水生成器3を極めて容易に給水ホース本体2内に固定することを可能とし、本給水ホース1の製造コストの低減化を可能にしたのである。
【0040】
図5は、本給水ホース1が、水道水の蛇口に設けられたホース接続用のアダプタ9と洗濯機11の受水口12に接続された状態を示す。
【0041】
図5に示すように、本給水ホース1を構成する接手カプラ4が水道水の蛇口に設けられたホース接続用のアダプタ9に接合され、本給水ホース1を構成する接続部5が洗濯機11の受水口12にねじ込み式に接続される。ここで、本給水ホース1を構成する接手カプラ4が水道水の蛇口に設けられたホース接続用のアダプタ9にワンタッチ式に接合される機構は広く知られていることから、その説明は省略する。
【0042】
上述したように、本発明のナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース1においては、ナノバブル水生成器3を内蔵し、水道水の蛇口にワンタッチ式に接続される接手カプラ4と、洗濯機の受水口に手動で接続される接続部を備えることで、洗濯機用給水ホースを交換するだけで、既存の洗濯機にナノバブル水による洗濯機能を持たせることができる。
【0043】
そして、本給水ホース1は、内蔵されるナノバブル水生成器3が本給水ホースの内面に密接する円筒体3(3-1、3-2、3-3)に形成され、この円筒体3は、給水ホース本体2の内面に挿入された状態で、給水ホースの外装を覆う円形のカシメ材10により水道蛇口に嵌め込まれる接手カプラ4と共に給水ホースに容易に固定できる。
【0044】
さらに、入水面体3-2と出水面体3-3間の円筒体3の内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部3-4が形成され、入水面体3-2の4つの分岐孔6から流れ込む水が、螺旋状の凹凸部3-4に接触及び衝突することにより円筒体3-1内で水の乱流を生じさせ、水道水内の気泡が微細に粉砕されて高性能のナノバブル水を生成することを可能にしたのである。
【0045】
ナノバブル水が注入された洗濯機11の洗濯槽の中では、ナノバブルの表面はマイナスの電荷を帯びているため、気泡同士が合体することなく、ナノバブル水中に拡散・浮遊している。一方、洗濯のために洗濯槽内のナノバブル水中に漬けられている繊維に付着している皮脂や細かい異物等による汚れはプラスに帯電しており、ナノバブルは、汚れに吸着して電気的に中和する。そして、電気的に中和されて繊維から分離した汚れは、ナノバブルの気液界面に吸着したまま気泡の浮力によって水面に浮上することで、繊維から除去された汚れがナノバブル水中で再び繊維に付着されることがなく、これにより洗濯が行われる。
【0046】
よって、ナノバブル水で洗濯すれば洗剤を用いずとも効果的に洗濯でき、洗剤アレルギーのある人には最適である。より効果的には、ナノバブル水に洗剤を注入してもよいが、通常の水のときと比べて洗剤が少量で済む。
【0047】
本給水ホース1によれば、一般家庭に供給されている水道水の中に含まれている空気を利用して、キャビテーションによりナノバブルを効果的に発生させることができる。ところで、水道直結の場合に、一般的な水道水圧は1.5kgf/cm2から3kgf/cm2(0.15乃至0.3MPa)が下限とされており、ノズル部22では、一般家庭に供給されている水道水の中に含まれている空気をこの水道水圧だけで、キャビテーションにより微細化された気泡を含む水道水にすることができる。この場合の水道水圧は、2.0乃至4.0kgf/cm2(0.2乃至0.39MPa)で供給されるのが好ましい。
【符号の説明】
【0048】
1 本ナノバブル水生成機能を有する洗濯機用給水ホース
2 給水ホース本体
3 ナノバブル水生成器
3-1 ナノバブル水生成器を構成する円筒体
3-2 ナノバブル水生成器を構成する入水面体
3-3 ナノバブル水生成器を構成する出水面体
3-4 円筒体内面に形成される螺旋状凹凸部
4 接手カプラ
5 洗濯機受水口に接続される接続部
6 入水面体に設けられる分岐孔
7 出水面体に設けられる分岐孔
9 水道水の蛇口に取り付けられる給水ホース接続用のアダプタ
10 カシメ材
11 洗濯機
12 洗濯機の受水口
【要約】      (修正有)
【課題】ナノバブル水生成機能を持たせた洗濯機用給水ホースを提供する。
【解決手段】洗濯機用給水ホースは、給水ホース本体2内に配置され、水道水に含まれる水泡を微細化するナノバブル水生成器3を備え、ナノバブル水生成器3は、円筒体3-1と、円筒体3-1の中心軸から所定距離だけ離れた同心円状に形成された4つの分岐孔6を有する入水面体3-2と、円筒体3-1から水道水を流出する4つの分岐孔7を有する出水面体3-3とにより構成され、円筒体3-1は、給水ホース本体2の外装を覆う円形のカシメ材により給水ホース本体2に固定され、入水面体3-2と出水面体3-3間の円筒体の内面壁には、螺旋状の切込みによる凹凸部3-4が形成され、4つの分岐孔6から流れ込む水が、凹凸部3-4に接触及び衝突することにより円筒体3-1内で乱流を生じさせ、水道水内の気泡を微細粉砕して出水面体3-3から流出する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6