(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の空間構造体
(51)【国際特許分類】
H02S 40/22 20140101AFI20240617BHJP
H01L 31/054 20140101ALI20240617BHJP
G02B 7/182 20210101ALI20240617BHJP
G02B 5/00 20060101ALN20240617BHJP
【FI】
H02S40/22
H01L31/04 620
G02B7/182 100
G02B5/00 Z
(21)【出願番号】P 2023530632
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 CZ2021050135
(87)【国際公開番号】W WO2022105951
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-06-22
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
(73)【特許権者】
【識別番号】523185235
【氏名又は名称】マープ インベンション エス.アール.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コート、ミラン
(72)【発明者】
【氏名】スプンダ、ラドバン
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108767021(CN,A)
【文献】特開2012-189966(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0251413(US,A1)
【文献】国際公開第2011/098212(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 40/22
H01L 31/054
G02B 7/182
G02B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互の上に配置された少なくとも2つの角錐台または円錐台(20)および(21)から構成される基体(2)を備え、
上部角錐台または円錐台(21)の下部底面(210)の面積は、下部角錐台または円錐台(20)の上部底面(201)の面積より小さく、
前記下部角錐台または円錐台(20)の傾斜角(α
20)および前記上部角錐台または円錐台(21)の傾斜角(α
21)は、60~85°の範囲にあり、
少なくとも1つの角錐状または円錐状の集光突起(3)が、少なくとも1つの角錐台または円錐台の上部底面上に配置され、前記集光突起(3)の傾斜角(α
3)は、20~55°の範囲にあることを特徴とする、太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の空間構造体(1)。
【請求項2】
前記下部角錐台または円錐台(20)の前記傾斜角(α
20)と、前記上部角錐台または円錐台(21)の前記傾斜角(α
21)は、65~75°の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の空間構造体(1)。
【請求項3】
前記上部角錐台(21)の底面(210、211)、および前記下部角錐台(20)の底面(200、201)は、正n角形の形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の空間構造体(1)。
【請求項4】
前記上部角錐台または円錐台(21)の底面(210、211)、および前記下部角錐台または円錐台(20)の底面(200、201)は、正n角形の形状を有し、ここでnは、3、4、6、8、12、16、または無限大に等しいことを特徴とする、請求項1に記載の空間構造体(1)。
【請求項5】
前記上部円錐台(21)の底面(210、211)および前記下部円錐台(20)の底面(200、201)は、円、楕円、または円錐断面であることを特徴とする、請求項1に記載の空間構造体(1)。
【請求項6】
前記集光突起(3)の底面(30)は、正n角形の形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の空間構造体(1)。
【請求項7】
前記集光突起(3)の底面(30)は、正n角形の形状を有し、ここでnは、3、4、6、8、12、16、または無限大に等しいことを特徴とする、請求項1に記載の空間構造体(1)。
【請求項8】
前記集光突起(3)の底面(30)は、円、楕円、または円錐断面であることを特徴とする、請求項1に記載の空間構造体(1)。
【請求項9】
前記基体(2)には、前記下部角錐台または円錐台(20)の下部底面(200)から前記上部角錐台または円錐台(21)の上部底面(211)の中心まで前記基体(2)の全高に沿って20~80°の角度(α
5)で導かれる少なくとも1つの面取り部(5)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の空間構造体(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの角錐台または円錐台(20、21)の上部底面(201または211)には、傾斜角が20~55°の角錐形状または円錐形状の少なくとも1つの凹部(4)が形成されていることを特徴とする、請求項1、3、4、5、6のいずれか一項に記載の空間構造体(1)。
【請求項11】
少なくとも2つの傾斜面(2110、2111)が、前記上部角錐台または円錐台(21)の上部底面(211)上に形成され、
少なくとも1つの集光突起(3)が、これらの傾斜面(2110、2111)の各々の上に配置され、
これらの集光突起(3)の頂点(32)と底面(30)の中心を通る軸(300)は、40~90°の角度(α
33)を形成することを特徴とする、請求項1に記載の空間構造体(1)。
【請求項12】
光透過性材料から作られることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の空間構造体(1)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の空間構造体(1)の外形に対応する空洞(60)を含む光透過性材料のブロック(6)。
【請求項14】
表面上に少なくとも1つの太陽光発電セル(7)が設けられていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の空間構
造体(1)。
【請求項15】
前記上部角錐台または円錐台(21)の少なくとも1つの側壁部(2100)および/または前記下部角錐台または円錐台(20)の少なくとも1つの側壁部(2000)は、中断したものとして形成され、隣接する部分の間に移行面(20001または21001)が形成されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の空間構
造体(1)。
【請求項16】
少なくとも1つの集光突起(3)および/または少なくとも1つの凹部(4)が、少なくとも1つの移行面(20001または21001)上に配置されることを特徴とする、請求項15に記載の空間構造体(1)。
【請求項17】
光透過性材料のプラットフォーム(9)が、前記下部角錐台または円錐台(20)の下部底面(200)の下に配置されることを特徴とする、請求項1または10に記載の空間構造体(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の空間構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するために、様々なタイプの太陽光発電セル(最も多くはシリコン)が使用されている。これらの太陽光発電セルは、平面の正方形のプレートの形状をしており、通常、寸法は約100×100mm~約150×150mmであり、その製造は世界中で大幅に標準化され、広く確立されている。これらの太陽光発電セルは、太陽光発電モジュール内に規則的な幾何学的構造体(ほとんどの場合は平面)で配置され、これによってこれらのモジュール内で互いに電気的に直列に(並列はあまり一般的ではない)接続されている(例えば、非特許文献1の
図3(http://www.lrc.rpi.edu/programs/nlpip/lightingAnswers/photovoltaic/04-photovoltaic-panels-work.aspから入手可能)または非特許文献2(http://www.alternative-energy-tutorials.com/solar-power/photovoltaics.htmlから利用可能)を参照)。モジュール内の個々の太陽光発電セルを電気的に接続する方法は、このモジュールの性能または効率に大きな影響を与えず、直列接続の方が必要な材料と占有スペースが少なくて済むため、現在、この方法の方が有利であると一般的に考えられている。
【0003】
太陽光発電モジュール内の太陽光発電セルの数と、その結果生じる太陽光発電モジュールのサイズは、通常、太陽光発電モジュールが設置される場所とその配置によって決定される。現在、太陽光発電モジュールは通常、建物の屋根に取り付けられるか、または広い開放した空間にある太陽光発電所用の自律型アセンブリとして取り付けられる。しかしながら、この方法で組み立てられた太陽光発電モジュールには多くの欠点がある。主な欠点は、太陽光発電モジュールの構造と空間配置により、晴れた空の場合は、太陽光発電モジュールに当たる直射日光しか実質的に利用できないため、太陽光発電モジュールを特定の角度で設置し、太陽光発電モジュールを特に南に向ける必要があるという事実である。欠点は、雲量がわずかであっても太陽放射の大部分を占める散乱および反射した太陽放射を捕捉して利用できないことである。もう1つの欠点は、現在の雲量レベルだけでなく、気温および季節によっても、太陽光発電モジュールによって供給される電力が大きく変動するため、配電網の安定性に問題が生じることである。
【0004】
上述のシリコン太陽光発電セルに加えて、アモルファスシリコンまたはカルコゲニド化合物(CuInSe、CuInSeGa、CdTeなど)を底面にした薄膜セルなど、他のタイプの太陽光発電セルもあり、その物理的性質のため、従来のシリコン底面の太陽光発電セルよりも効率が低くなる(したがって、生成されるエネルギー量も低くなる)。これらのタイプの太陽光発電セルも通常、寸法が約100mm×100mm~約150×150mmの正方形のプレートの形状をしている。
【0005】
太陽光発電セルまたはモジュールの単位面積に当たる太陽放射の光子の量を増やすために、実際には様々なタイプの太陽エネルギー集光器が使用されるが、ほとんどの場合、反射材(ミラー)(例えば、非特許文献3を参照)または光学レンズの形態で作られている。しかしながら、これらの集光器を使用したとしても、基本的には直接太陽放射の光子のみが利用されることは依然として事実であり、集光器によって光強度が増加したにもかかわらず、モジュール内で生成されるエネルギーは依然として不釣り合いに少ない。しかしながら、集光器が原因で太陽光発電モジュールが過熱し、潜在的なエネルギー収量がさらに低下する。さらに、例えばミラーの形態の集光器は、かなりのスペースを占有し、投資コストが増加するため、非常に限られた範囲でしか使用できない。
【0006】
現在、太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器には、非常に異なる方向および異なる角度から、すでに雲量が少ない状態で、太陽光発電モジュールまたは太陽放射の集光器に当たる直接的な太陽放射および散乱・反射された太陽放射を、効率的かつ定量的に捕捉して利用できる構造体は存在しない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】“How do PV panels or PV cells work?(PVパネルまたはPVセルはどのように機能するか?)”、 National Lighting Product Informational Program、 Lighting Answers、第9巻、第3号、2006年6月
【文献】Alternative Energy Tutorials(代替エネルギーのチュートリアル)、 Solar Photovoltaic Panel dated 19.11.2014(2014年11月19日の太陽光発電パネル)
【文献】Volker Quaschning:?Renewable energy sources(再生可能エネルギー源)“、96頁(ISBN:9788086726489、Profipress s.r.o.、2012年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、これを可能にする太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の空間構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の空間構造体によって達成され、その原理は、太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の空間構造体が相互に配置された少なくとも2つの角錐台または円錐台およびからなる基体を含み、それにより上部角錐台または円錐台の下部底面の面積は、下部角錐台または円錐台の上部底面の面積より小さく、下部角錐台の傾斜角および上部角錐台の傾斜角は、60~85°の範囲にあり、それにより角錐形状または円錐形状の少なくとも1つの集光突起が、基体の少なくとも1つの角錐台または円錐台の上部底面上に配置され、集光突起の傾斜角は、20~55°の範囲にあることにある。
【0010】
好ましくは、下部角錐台または円錐台の傾斜角と、上部角錐台または円錐台の傾斜角は、65~75°の範囲にある。
【0011】
上部角錐台または円錐台の底面と、下部角錐台または円錐台の底面は、正n角形の形状であることが好ましく、nは、3、4、6、8、12、16、または無限大に等しいことが好ましい。
【0012】
集光突起の底面も、正n角形の形状を有することが好ましく、nは、3、4、6、8、12、16、または無限大に等しいことが好ましい。
【0013】
好ましい一変形例では、構造体の基体には、基体の全高に沿って20°~80°の範囲の角度で導かれる少なくとも1つの面取り部が設けられている。
【0014】
集光突起に加えて、基体の少なくとも1つの角錐台または円錐台の上部底面には、傾斜角が20~55°の少なくとも1つの角錐状または円錐状の凹部が配置され得る。
【0015】
実施形態の好ましい一変形例では、少なくとも2つの傾斜面が、上部角錐台または円錐台の上部底面上に配置され、少なくとも1つの集光突起が、傾斜面の各々の上に配置される。これらの集光突起の頂点と底面の中心を通る軸は、40°~90°の角度α33を形成する。
【0016】
本発明に係る空間構造体は、好ましくは光透過性材料で作られる。
【0017】
実施形態の別の一変形例では、本発明に係る構造体は、光透過性材料のブロック内の空洞として逆に形成される。
【0018】
実施形態の任意の変形例では、本発明に係る空間構造体は、その表面上に少なくとも1つの太陽光発電セルを備えることができる。
【0019】
上部の円錐台または角錐台の少なくとも1つの側壁部、および/または下部円錐台または角錐台の少なくとも1つの側壁部は、好ましくは、中断された/角度を付けたものとして形成され、その隣接部分の間に移行面が形成される。少なくとも1つの集光突起を少なくとも1つの移行面上に配置することができる、および/または少なくとも1つの凹部をその中に形成することができる。
【0020】
より良い空間配置と太陽光子経路が太陽光発電セルに当たる前にさらに集光するために、光透過性材料のプラットフォームが、下部円錐または円錐の下部底面の下に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1a】晴天から低雲までの空の状態の場合の太陽光子の典型的な経路を概略的に示す。
【
図1b】部分的に曇り空から曇り空の場合の太陽光子の典型的な経路を示す。
【
図1c】曇り空から空一面の曇り空の場合の太陽光子の典型的な経路を示す。
【
図1d】実際の条件下での太陽光子の様々な経路の組み合わせを示す。
【
図2】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の例示的な一実施形態を概略的に示す。
【
図3】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の第2の例示的な実施形態を示す。
【
図4】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の第3の例示的な実施形態を示す。
【
図5】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の2つの構造体を組み合わせた第4の例示的な実施形態を示す。
【
図6】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の第5の例示的な変形例を示す。
【
図7】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の第6の例示的な変形例を示す。
【
図8】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の第7の例示的な変形例を示す。
【
図9】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の第8の例示的な変形例を示す。
【
図10】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の第9の例示的な変形例を示す。
【
図11】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の第10の例示的な変形例を示す。
【
図12】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の第11の例示的な変形例を示す。
【
図13】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の第12の例示的な変形例を示す。
【
図14】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の第13の例示的な変形例を示す。
【
図15】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の第14の例示的な変形例を示す。
【
図16】
図15の変形例における本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽光集光器の2つの構造体の有利な組み合わせを示す。
【
図17】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の別の例示的な一変形例を示す。
【
図18】
図2および
図15の変形例における太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の空間的組み合わせを示す。
【
図19】
図2および
図15の変形例における太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の空間的組み合わせの別の例示的な一変形例を示す。
【
図19a】
図19に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の空間的組み合わせの別の変形例を示す。
【
図20】
図2の変形例における本発明に係る構造体を使用した太陽光発電モジュールの構造体の断面図を示す。
【
図21】
図15の変形例における本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の表面に入射する太陽放射の光子の軌跡を示す。
【
図22】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の別の例示的な一変形例の断面図を示す。
【
図23】本発明に係る太陽光発電モジュールの例示的な一変形例の断面図を示す。
【
図24】本発明に係る太陽光発電モジュールの別の例示的な一変形例の断面図を示す。
【
図24a】本発明に係る太陽光発電モジュールのさらに別の例示的な一変形例の断面図を示す。
【
図25】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の別の例示的な一変形例を示す。
【
図26】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の別の例示的な一変形例を示す。
【
図27】
図26の変形例における太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の空間的組み合わせの例示的な一変形例を示す。
【
図28】本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の別の例示的な一変形例を示す。
【
図29】
図28の変形例における太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の空間的組み合わせの一実施形態を示す。
【
図30】
図11の変形例における本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の例示的な一実施形態の修正された一変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明者らの研究に基づいて、実際の実験用太陽光発電セルおよびモジュールを使用し、現代の光学および電気装置の支援を受けて、様々な雲量の程度に対する全く新しい、これまで思いもよらなかった太陽放射の光子の経路が発見された。これは、光子経路を特定の錐体a、b、cにグループ化したもので、直線の光子経路の複雑なネットワークによって形成され、特定の寸法とエネルギー強度をもつ特定の焦点Vで終わる。雲量の程度に応じて、したがって結果として生じる太陽放射のタイプにも応じて、これらの錐体a、b、cの幅と頂角のサイズは互いに異なる。直接太陽放射の光子の経路によって形成される錐体aは、最小の頂角を有するが、散乱および反射した太陽放射の光子の経路は、最大の頂角を有する。光子の経路の錐体a、b、cの頂角が小さいほど、このネットワーク構造体はより緊密かつ高密度になり、その頂点Vでの光子のエネルギーはより集光する(典型的に20°の頂角を有する、晴れた空からほぼ晴れた空(つまり、雲で覆われた空の割合が約2/8以下)の場合の太陽放射の光子の経路の典型的な錐体aを概略的に示した
図1a、雲を通過するときの散乱により、通常は約40°の頂角を有する、少ない雲量(つまり、雲で覆われた空の割合が約3/8)から半曇りの空(つまり、雲で覆われた空の割合が約4/8)の場合の太陽放射の光子の経路の典型的な錐体bを概略的に示した
図1b、および雲を通過するときの散乱と反射の度合いが大きいため、典型的には約60°の頂角を有する、曇り空(つまり、雲で覆われた空の割合は約5/8)から一面曇り空(つまり、雲で覆われた空の割合は約8/8)の場合の太陽放射の光子の経路の典型的な錐体cを概略的に表す
図1cを参照)。これらすべてのタイプの雲量により、太陽放射は、リアルタイムに、日中および地球の大気中のどこでも、光子の錐体a、b、cによって形成される同じ形状の幾何学的に正確な全空間ネットワーク構造体を作り出し、光子は、これらの錐体a、b、cの頂点Vに集光し、光子の経路の長さが異なるため、異なるエネルギー強度を含む。条件が変化すると、地表に当たる太陽放射の方向特性も変化する。例えば、半曇りの空の場合、強度がより大きいまたはより小さい2つ以上のタイプの光子経路の組み合わせが発生する可能性があり、その場合、放射束の一部は直接放射の形態で入り、一部は散乱放射および/または反射放射の形態で入る(
図1dを参照)。これらの条件下では、これらのネットワークは混ざり合い、同じ基本形状のおかげで、錐体a、b、cとそれらの頂点Vからなるスペクトル、量子、全空間ネットワークを形成する。
【0023】
これらすべての光子経路は、錐体a、b、cの頂点Vで合流した後、それらを離れて大気圏下部内を起源とする錐体a、b、cの頂点Vで再び合流し、そこへより大きな、あるいはさらに小さな頂角をもつ光子の錐体a、b、cが地表に向かう途中で流入する可能性がある。
【0024】
添付の図面において異なる変形例で概略的に示されている、本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の空間構造体1は、この理論に対応しており、その形状によって、いかなる雲量の下でも太陽放射の光子の経路の可能な最大数を(太陽光発電モジュールの場合には)捕捉するように、または(太陽放射集光器の場合には)適切な方法で導くように適合されている。以下に説明するこの構造体1の変形例の各々は、単独で使用することも、個々の構造体1を平面底面上または任意の空間配置で配置できるより大きなユニットの一部として同じまたは類似の構造体と組み合わせて使用することもできる(例えば、
図16、
図18、
図19、
図19a、
図27、および
図29を参照)。実際の測定中に、本発明に係る空間構造体1に対応する形状の太陽光発電モジュール、または本発明に係る構造体1に対応する形状の太陽放射集光器を備えた太陽光発電モジュールの効率の数十パーセントの増加が観察された。添付の図面における空間構造体1の変形例は単なる例示であり、個々の構造体1はさらに実質的に任意に修正され、互いに組み合わせることができる。
【0025】
本発明に係る太陽光発電セルまたは太陽放射集光体の空間構造体1は、互いに配置された少なくとも2つの角錐台20および21からなる基体2を備える。上部角錐台21は、その下部底面210が下部角錐台20の上部底面201上に、好ましくはその中央に配置され、これにより、上部角錐台21の下部底面210の面積は、下部角錐台20の上部底面201の面積よりも小さくなる。下部角錐台20の傾斜角α
20、すなわち、その下部底面200とその側壁部2000との間の角度、および上部角錐台21の傾斜角α
21は、60~85°の範囲にあり、好ましくは65~75°の範囲にある。好ましい一変形例では、基体2を構成する全ての角錐台20、21の傾斜角α
20およびα
21は、同一である。基体2を構成する角錐台20、21の少なくとも1つは、異なる傾斜角α
20またはα
200を有する2つ以上の連続する部分角錐によってその高さに沿って配置されてもよい(例えば、下部角錐台20が、連続する2つの部分角錐20a、20bから構成されており、上部角錐台の傾斜角α
200は、下部角錐台の傾斜角α
20よりも小さい、
図7を参照)。
【0026】
基体2を構成する角錐台20、21の底面200、201、210、211は、一般的に、星型多角形を含むn角形の形状、好ましくは正多角形の形状を有することができ、nは、3から無限大に等しく、より好ましくは、3、4、6、8、12、16、最も好ましくは、4である。nが無限大に等しい場合、所与の集光突起3の底面30は、円、楕円、円錐断面、または他の連続形状によって形成され、したがって、集光突起3の所与の部分は、円錐または円錐台によって形成される。nが無限大に等しい場合、基体2の所与の部分の底辺200、201、210、211は、円、楕円、円錐断面、または他の連続した形状によって形成され、したがって、基体2の所与の部分は、円錐台によって形成される。実施形態の好ましい一変形例では、基体2を構成するすべての角錐台/円錐台20、21の両方の底面200、201、210、211が同じ形状を有する。
【0027】
要件および意図された用途によれば、下部角錐台/円錐台20の下部底面200は平面であるか、またはその表面の少なくとも一部が空間的に形作られており、好ましくは連続的に、例えば凸面または凹面として形成されている。下部角錐台20の底面200が全領域で凹面である好ましい一変形例が、
図3および
図29に示されている。下部底面200のこの形状は、太陽放射集光器が太陽放射を、基体2の下部底面200の下に位置する図示されない太陽光発電セルまたはモジュールにさらに最適に向けるのに役立つ。下部角錐台/円錐台20の下部底面200の類似の凹面形状は、本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の空間構造体1の記載された変形例のいずれにおいても形成することができる。この凹状の曲面の半径(下部角錐台/円錐台20の下部底面200の直径より大きいことが好ましい)およびこの曲面の位置は、空間構造体1の特定の寸法および特定の場所の条件によって決定される。下部角錐台/円錐台20の傾斜角α
20は、この変形例において、ならびに、下部角錐台/円錐台の下部底面200の異なる形状を有する変形例においても、下部角錐台/円錐台20の下部底面200周辺部上のすべての点が交差する平面から測定される。図示されない実施形態の一変形例では、角錐台/円錐台20、21のうちの少なくとも1つは、円錐台によって形成され、すなわち、その底面200、201、210、211の両方が、n角形によって形成され、ここで、nは、無限大に等しい。しかしながら、本発明の原理は、正方形の底面200、201、210、211を有する角錐台20、21を備えた一実施形態に関してさらに説明され、底面200、201、210、211の他の形状についても、以下のすべての情報が同様に当てはまる。
【0028】
図示されない別の一変形例では、基体2を構成する個々の円錐台20、21の高さおよび/または傾斜角α20、α21は異なっていてもよい。
【0029】
下部角錐台20の上部底面201上には、上部角錐台21の下部底面210の周囲に、上向きの角錐形状または円錐形状の集光突起3が均等に配置されている。この場合、これらの集光突起3の高さは、基体2の上部角錐台21の高さ以下である。
図2に示される実施形態の好ましい一変形例では、16個の同一の集光突起3が、上部角錐台/円錐台21の下部底面210の周囲に均等に配置されている。
【0030】
好ましくは、少なくとも1つの集光突起3が、上部角錐台21の上部底面211上に配置される。
図2、
図3、
図10、
図11、
図12、
図13、
図14、
図20、
図22、および
図23に示される実施形態では、上部角錐台21の上部底面211上に、互いに同一の上方を向いた角錐形状または円錐形状の4つの集光突起3が、2×2のマトリックスで互いに隣り合って配置されている。これらの集光突起3の底面31は、上部角錐台21の上部底面211の全領域を覆うことが好ましい。
【0031】
集光突起3の傾斜角α3、すなわち、これらの突起の底面30とそれらの側壁部31との間の角度は、20~55°(好ましくは、23~48°)の範囲にある。これらの集光突起3の底面30は、一般的に、星型多角形を含むn角形の多角形、好ましくは正多角形の形状を有することができ、nは、3~無限大に等しく、より好ましくは、3、4、6、8、12、16であり、最も好ましくは4または無限大である。nが無限大に等しい場合、所与の集光突起3の底面30は、円、楕円、円錐断面、または他の連続形状によって形成され、したがって、集光突起3の所与の部分は、円錐または円錐台によって形成される。実施形態の好ましい一変形例では、集光突起3は、基体2の下部角錐台/円錐台2および/または上部角錐台/円錐台21と同じ形状の底面30を有する。
【0032】
構造体の集光突起3のいずれも、尖った点または丸みを帯びた形で終端を迎えることができる。
【0033】
最も好ましい実施形態の変形例では、構造体1の集光突起3はすべて互いに同一であるが、これは必要条件ではない。
【0034】
図示されない実施形態の変形例では、集光突起3の少なくとも1つは、異なる傾斜角α3またはα31を有する2つ以上の連続するセクションによってその高さに沿って形成することができる。
【0035】
本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の空間構造体1が正しく機能するには、少なくとも1つの集光突起3が基体1の少なくとも一部の少なくとも1つの底面上に配置されていれば十分であるが、集光突起3の数が増えると、達成されるパワーは増加する。
【0036】
実施形態のいくつかの変形例では、基体2の上部角錐台/円錐台21の上部底面211は、集光突起3がなくてもよく、直線状であってもよく(例えば、
図4を参照)、または少なくともその表面の一部が傾斜、湾曲(凸面または凹面)であってもよく(例えば、
図5参照)、または中断しているか折り畳まれているか、または少なくとも1つの凹部4または少なくとも1列の隣接する凹部4がその中に形成されていてもよく、それにより、1つまたは複数の凹部の形状は、例えば、上記の変形例のいずれかの逆集光突起3の形状に対応し(例えば、
図6を参照)、または、上部角錐台21の上部底面211の領域の少なくとも一部に、少なくとも1つの集光突起3、好ましくは、例えば、長方形の底面を有する角錐または角錐台の形状、または頂点がエッジによって形成された(好ましくは傾斜面を有する)三角柱の形状の集光突起3(例えば、
図7などを参照)が配置される。
【0037】
図示されない実施形態の別の一変形例では、下部角錐台/円錐台20の上部底面201は集光突起3を有さず、1つまたは複数の集光突起3は、上部角錐台/円錐台21の上部底面211上に配置されている。
【0038】
図8は、本発明に係る構造体1の一変形例を示しており、上記の実施形態の変形例のいずれかにおける逆集光突起3の形状の凹部4が、上部角錐台/円錐台21の上部底面211内に形成されている。下部角錐台/円錐台20の上部底面201上には、集光突起3と、集光突起3を逆にした形状の凹部4とが、上部角錐台/円錐台21の下部底面210の周囲に交互に配置されている。好ましくは、集光突起3と凹部4とは、互いに滑らかに結合している。図示された実施形態の変形例では、上部角錐台/円錐台21の上部底面211内の凹部4は、下部角錐台/円錐台2の上部底面201内の凹部4よりも少なくとも1つの寸法が大きく、図示されない一変形例では、それはそれらと同一であってもよいし、または少なくとも1つのより小さい寸法を有していてもよい。下部角錐台/円錐台20の上部底面201内の凹部4の寸法は、下部角錐台/円錐台20の上部底面201上の集光突起3の寸法に対応する。図示されない実施形態の変形例では、すべての凹部4が同一であってもよい。1つの構造体1内に、より多くのタイプの集光突起3および/または凹部4を組み合わせることができる。
【0039】
本発明に係る構造体1の同様の一変形例が
図9にも示されているが、この場合、実施形態1の上記のいずれかの変形例において逆集光突起3の形状の(2×2マトリクスの)凹部4が上部角錐台21の上部底面21に形成されている点が異なる。上部角錐台/円錐台21の下部底面210の周囲の下部角錐台/円錐台20の上部底面201上には、集光突起3と、逆集光突起3の形状の凹部4とが交互に配置されており、上部角錐台/円錐台21の上部底面211の凹部4は、下部角錐台/円錐台20の上部底面201上の集光突起3と同じ寸法を有し、下部角錐台/円錐台20の上部底面201の凹部4は、少なくとも1つの寸法がより大きい。図示されない実施形態の変形例では、上部角錐台/円錐台21の上部底面211内の凹部4と下部角錐台/円錐台20の上部底面201内の凹部4は同一であってもよく、または適切な場合には、上部角錐台/円錐台21の上部底面211内の凹部4は、少なくとも1つの寸法が、上部角錐台/円錐台21の上部底面211内の凹部4よりも大きくてもよい。いくつかのタイプの集光突起3および/または凹部4を1つの構造体1内に組み合わせることができる。
【0040】
図10は、本発明に係る太陽光発電セルまたは太陽放射集光器の特別な構造体1の一変形例を示しており、これは
図2に示された変形例に対応するが、集光突起3が互いに配置された2つの角錐台/円錐台301、302により形成されている点が異なり、集光突起3を構成する上部角錐台/円錐台302は、その下部底面3020が好ましくは集光突起3を構成する下部角錐台/円錐台301の上部底面30101上の中央に位置するように配置され、上部角錐台/円錐台302の下部底面3020の面積は、下部角錐台/円錐台301の上部底面3010の面積よりも小さい。このタイプの集光突起3は、上記のタイプのいずれかの集光突起3と、または適切な場合には凹部4と任意に組み合わせられた太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の1つの空間構造体1内にあってもよい。
【0041】
図11に示される本発明に係る太陽光発電セルまたは太陽放射集光器の特定の一変形例1では、2つの傾斜面2110が上部角錐台/円錐台21、2111の上部底面211上に形成され、少なくとも1つの集光突起3がそれらの各々の上に配置され、これらの集光突起3は、それらの頂点32およびそれらの底面30の中心を通るそれらの軸300が、40~90°(好ましくは45~65°)の角度α
33を形成するように相互に配置される。集光突起3のより多くのそのような対を上部角錐台21の上部底面211上に配置することができ、つまり例えば、それらを少なくとも2つの平行な列に配置するか、または上部底面211の周囲に配置された2つ以上の対として配置することができる。同様に、少なくとも1つの傾斜面2110、2111に少なくとも1つの凹部4を形成することが可能である。
【0042】
上部角錐台/円錐台21の上部底面211上の傾斜面2110、2111上に配置された集光突起3は、上記の集光突起3の形状のうちの1つを有し、いくつかのパラメータにおいて、それらは下部角錐台/円錐台20の上部底面201上に配置された集光突起3とは異なっていてもよいし、またはそれらと同一であってもよい。上部角錐台/円錐台21の上部底面211上の傾斜面2110、2111上の集光突起3は、図示された実施形態の変形例では同一であるが、他の変形例では、それらはその形状および/または少なくとも1つの寸法によって互いに異なっていてもよい。
【0043】
図示された実施形態の変形例では、上部角錐台/円錐台21の上部底面211上の傾斜面2110、2111が互いに直接接続されている。しかしながら、図示されない一変形例では、実質的に任意の形状の移行面をそれらの間に形成することができる。任意選択で、上記の構造体のいずれかの少なくとも1つのさらなる集光突起3を移行面上に配置することができる。
【0044】
図12は、
図11に示される本発明に係る太陽光発電セルまたは太陽放射集光器の空間構造体1の修正された一変形例を示す。この変形例では、基体2の下部底面20の少なくとも2つの対向するエッジが面取りされており、これにより、空間構造体1が太陽放射集光器として機能する場合、図示されない太陽光発電セルまたはその下に配置されたモジュールへの太陽放射の集光が促進され、その面積は、集光器1の基体2の下部底面20の面積よりも小さい。同時に、構造体1を冷却するための可能な冷却剤ダクトが、基体2内に破線で示されている。
【0045】
図13は、
図11に示される本発明に係る太陽光発電セルまたは太陽放射集光器の空間構造体1の別の修正された一変形例を示す。この変形例では、上部角錐台21の上部底面211上の傾斜面2110、2111および集光突起3は、これらの集光突起3の側壁部31が、基体2の上部角錐台21の側壁部2100と共通平面上に位置するようにそれらの上に配置される。
【0046】
図示されない実施形態の一変形例では、上部角錐台21の上部底面211上の傾斜面2110、2111とその上の集光突起3は、隣接する集光突起3の隣接する側壁部31が共通平面内に位置するように配置される。これにより、例えば、機械的保護のために適切な平面材料でそれらを覆うことが可能になる。
【0047】
図13と同様の構造体1の変形例が、
図14にも示されている。この変形例では、上部角錐/円錐21の下部底面210の周囲の下部角錐台/円錐台20の上部底面201の一部が傾斜面として形成され、その上に配置された集光突起3が斜めに上部角錐台/円錐台21から離れる方向に方向づけられている。基体2の下部が角錐台によって形成されている場合には、相互接続された三角形の移行面の対PI、PIIが、それらの角に形成される。これらの移行面PIおよびPIIは、太陽光発電セルまたは太陽放射集光器の空間構造体1の面積を適切に増加させる。
【0048】
実施された実験に基づいて、実際の使用にとってより有利であると思われる、
図15に示される実施形態の変形例では、
図2に係る構造体1の基体2には、基体2の全高に沿って、つまり下部角錐台/円錐台2の下部底面200から上部角錐台/円錐台21の上部底面211の中心まで、下部角錐台/円錐台20の下部底面200の一エッジの長さの少なくとも一部に沿って、好ましくは全長に沿って、20~85°の範囲の角度α
5で導かれる面取り部5が設けられている。特に、下部角錐/円錐20の下部底面200が4つを超えるエッジを有する場合、太陽光発電セルまたは太陽放射集光器の構造体1の基体2には、より部分的な面取り部5が設けられてもよく、それらの各々は、下部角錐台20の下部底面200の一エッジの長さの少なくとも一部に沿って導かれる。実施形態の好ましい一変形例では、これらの面取り部5は、互いに直接隣接している。実施形態の別の一変形例では、面取り部5、または面取り部5の少なくとも1つは、下部角錐20の下部底面200の隣接しない2つの頂点の接続線の長さの少なくとも一部に沿って導かれる。この面取り部/これらの面取り部5により、より少ない数の集光突起3が、上部角錐台/円錐台21の上部底面211と下部角錐台/円錐台20の上部底面201上に配置され、つまり
図15に示される変形例では、上部角錐台21の上部底面211上には、2つの集光突起3(
図15の図では前後に配置されている)があり、下部円錐台20の上部底面201上には、11個の集光突起3がある。また、この変形例では、上部角錐台/円錐台21の上部底面211は、上記の変形例のうちの1つで形成することができ、つまり、例えば、集光突起3を備えずに、例えばその表面の少なくとも一部の上に直線、傾斜、丸みを帯びたもの(凸面または凹面)を形成することができる。あるいはまた、その中に、少なくとも1つの凹部4、または並んで配置された少なくとも1列の凹部4が形成されてもよく、その形状は、例えば、上記したタイプの集光突起3の1つの逆形状に対応するか、または適宜、上部角錐台21の上部底面211の領域の少なくとも一部に、例えば長方形の底面を有する角錐または角錐台の形状、または頂点が横座標によって形成される三角柱(好ましくは傾斜面を有する)の形状で、少なくとも1つの集光突起3を配置することができる。
【0049】
明確にするために、
図17は、
図15に係る太陽光発電セルまたは太陽放射集光器の空間構造体の修正された変形例を示す。下部角錐台/円錐台20の上部底面201には、上部の角錐台/円錐台21の下部底面210の周囲に、集光突起3と、集光突起3を逆にした形状の凹部4とが交互に配置されている。集光突起3と凹部4とは互いに滑らかに結合していることが好ましい。図示の変形例における凹部4の寸法は、下部角錐台/円錐台20の上部底面201上の集光突起3の寸法に対応する。いくつかのタイプの集光突起3および/または凹部4を1つの構造体1内に組み合わせることができる。
【0050】
同様に、
図8および
図9に示される実施形態では、少なくとも1つの凹部4を、上部角錐台/円錐台21の上部底面211に形成することができる。
【0051】
図15または
図17に示される変形例における本発明に係るいくつかの空間構造体1の組み合わせの場合、これらの構造体1は、好ましくは、面取り部5を備えて互いに向き合っており、これにより、それらが互いを遮蔽することが防止される(
図16、
図18、
図19、
図19aを参照)。
図18は、
図15の変形例における本発明に係る太陽放射集光器または太陽光発電セルの構造体1を組み合わせ、それ自体、その形状により
図2の太陽光発電セルまたは太陽放射集光器の構造体1に対応している、より複雑な空間構造体10を示している。構造体1には、反対側の構造体1の方へ向けられた面取り部5が設けられ、コーナー構造体1には、各々が隣接する構造体1の1つの方へ向けられた、2つの面取り部5が設けられている。図示されない実施形態の一変形例では、この空間構造体10全体に、
図15(破線による表示を参照)の構造体1の面取り部5に対応する面取り部を設けることもできる。また、これらの構造体10は、同様の方法で他のより複雑な空間構造体にさらに結合される。
【0052】
図19は、
図18に係る空間構造体10の別の一変形例を示すが、この変形例では、本発明に係るいくつかの空間構造体1が類似の反転凹部41に置き換えられている点が異なる。
図19aは、
図19と同様の空間構造体10の変形例を示すが、円錐台または角錐台の形状の凹部41のうちの1つが、異なる構造体を有する、すなわち、2つ(またはそれ以上)の相互接続する副凹部411および412によって形成される点が異なり、上記のいずれかの構造体の集光突起3が、上部副凹部411の上部底面4111の周囲、下部副凹部412の上部底面4121の周囲、および下部副凹部412の下部底面4122上に配置される。この構造体1は、
図24aにもさらに詳細に示されている。図示されない実施形態の変形例では、集光突起3は、副凹部411、412の基部4111、4121、4122の周囲に均等に配置される必要はない。同様に、凹部41は、いくつかの副凹部411、412によって形成することができる。単一の凹部41内で、上記の任意の構造体の集光突起と、上記の任意の構造体の副凹部4とを組み合わせることが可能である。
【0053】
本発明に係る太陽光発電セルまたは太陽放射集光器の構造体1は、好ましくはモノリシックである。
【0054】
本発明に係る太陽光発電セルまたは太陽放射集光器の構造体1は、その外面に取り付けら、1つまたは複数の太陽光発電セル7と組み合わせて空間的に形作られた太陽光発電モジュールを構成する、1つまたは複数の太陽光発電セル7のキャリアとして機能する(
図20を参照)か、または例えば、ガラス、透明プラスチックなどの光透過性材料で作られ、太陽放射をその下に取り付けられた太陽光発電セル/モジュールに向ける太陽放射集光器として機能する。それが1つまたは複数の太陽光発電セル7のキャリアとして機能する場合、その形状により、太陽放射が、直接、散乱、または反射のいずれであっても、最大限に利用するのに常に適切な角度で1つまたは複数の太陽光発電セルに当たることが保証される。それが太陽放射集光器として機能する場合、その形状により、直接、散乱、または反射のいずれがその表面の任意の部分に当たるかどうかに関係なく、入射角が非常に小さい場合でも、太陽放射が常に適切な角度で1つまたは複数の太陽光発電セル7の表面、または構造体1の下に配置されたモジュール(図示せず)の方へ向けられることが保証される(
図15に係る実施形態における本発明に係る太陽光発電セルまたは太陽放射集光器の構造体1の表面に入射する太陽放射の光子の経路を示す
図21を参照)。
【0055】
図22および
図23に示される実施形態の変形例では、太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体1は、逆に、すなわち、光透過性材料のブロック6内の空洞60として形成される。この光透過性材料は、空洞60内またはその下に位置する1つまたは複数の太陽光発電セル7に向かう、または空洞60の内壁部上に位置する1つまたは複数の太陽光発電セル7に向かう太陽放射集光器として機能する。
図22に示される実施形態の変形例では、太陽光発電セル7のカソードマトリックスが、空洞60の壁部に付けられ、
図23に示される実施形態の変形例では、それは空洞60を完全に満たす。
【0056】
図24に示される実施形態の変形例では、太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体1は、逆に(すなわち、材料のブロック6内の空洞60として)形成され、空間的配置は
図22および
図23のものとは反対である。
【0057】
図24aは、材料のブロック6内に空洞60として逆に形成された太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体1の別の一変形例を示す。この空洞60は、円錐台または角錐台の形状をした2つの(または他の変形例ではさらに多くの)相互接続された副凹部411および412によって形成され、上記の任意の構造体の集光突起3が、上部副凹部411の上部底面4111の周囲、下部副凹部412の上部底面4121の周囲、および下部副凹部412の下部底面4122上に配置される。図示されない実施形態の変形例では、集光突起3は、副凹部411、412の底面4111、4121、4122の周囲に均等に配置される必要はない。図示されない類似の変形例では、集光突起3のない副凹部411、412の任意の底面4111、4121、4122があり得る。実施形態の図示されない他の変形例では、副凹部411、412の任意の底面4111、4121、4122上に、上記の任意の構造体の集光突起と、上述の任意の構造体の凹部4とを組み合わせることが可能であるか、または適切な場合は、その上に凹部4のみを形成することが可能である。
【0058】
本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の1つの空間構造体1内で、異なるサイズの集光突起3を任意の変形例で組み合わせることができる(例えば、異なるサイズの集光突起3が、基体2の個々の角錐台20、21の上部底面201、211上に組み合わされている、本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体1を示す
図25を参照)。また、図示された実施形態の変形例では、各々の角錐台20、21の側壁部2010、2100の少なくとも1つが中断したように形成されており、その相互接続された部分の間に形成された移行面20001または21001上に他の集光突起3が設けられている。図示された実施形態の変形例では、移行面20101、21001は、所与の円錐台20、21の上部底面211または201と平行であるが、これは必要条件ではなく、移行面20001、21001は、一般的に任意に方向づけられることができ、それらは集光突起3が存在しなくてもよい。図示されない変形例では、少なくともいくつかの移行面20001、21001には集光突起3もしくは凹部4が存在しないか、または集光突起3と凹部4の組み合わせが内部に形成され得る。
図26は、
図25に係る構造体が、平行四辺形の断面を有するプリズムからなる支持ブロック8上に取り付けられている、本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の構造体の一変形例を示しており、このプリズムは、下部角錐台20の下部底面200の幅にわたって延在し、同一または類似の構造体1をより複雑な空間構造体10に組み立てるのを容易にする(例えば、
図27を参照)。別個の太陽光発電セル7または太陽光発電モジュール(図示せず)を、この空間構造体10内の各々の構造体1に割り当てることができるか、または任意選択で、共通の太陽光発電モジュールを、いくつかの構造体1に割り当てることができる。
【0059】
上で説明し図示したすべての変形例において、基体2の各々の角錐台/円錐台20、21の上部底面210または211は、この角錐台/円錐台20、21の下部底面200、または201と常に平行である。しかしながら、これは、この構造体1の正しい機能の必要条件ではない。
図28は、下部角錐台20の下部底面200が傾斜している、太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の空間構造体1の一変形例を示している。図示されない一変形例では、さらに凹状にすることも、他の空間的形状を備えることもできる。この形状により、太陽放射のその表面上への適切な方向付けを維持しながら、例えば太陽放射集光器を構成する、これらの構造体1のより多くが、1つの太陽光発電モジュール7に割り当てられるより複雑な構造体10に、これらの構造体1を適切に組み立てることが可能になる。このような構造体10の一例が、例えば
図29に示されている。この場合、
図28に係る2つの構造体は、互いに斜めに隣り合って配置され、それらの下部底面200が最も低い高さの点で互いに当接する。これらの構造体1は、それらの下に配置された太陽光発電セル/モジュール7と共に、太陽放射を透過する材料で作られた支持および/または保護構造体9内に配置される。本発明に係る太陽光発電モジュールまたは太陽放射集光器の空間構造体1の任意の変形例では、異なるサイズおよび/または設計の集光突起3を実質的に任意に組み合わせることができる。
【0060】
太陽放射集光器の空間構造体1の場合、太陽放射を透過する材料のプラットフォーム9が、下部角錐台または円錐台20の下部底面200の下に配置されると有利である。このプラットフォーム9は、より良好な空間配置を可能にし、このプラットフォーム9の下に配置された太陽光発電セル7またはモジュールに入射する前に、太陽光子の経路をさらに集光させることができる。このプラットフォーム9は、その構造体中に、太陽放射の光子の経路をさらに集光させるための要素を備えていてもよい。このような要素は、例えば、溝91、または挿入された別の要素などである。溝91の壁部では、
図30に示されるように、太陽光子の経路が屈折する。溝91は、好ましくは、基体2の下部角錐台または円錐台20の側壁部2000の1つと同様に方向付けされ、角度α
91=α
20で導かれる。同時に、プラットフォーム9は、
図90において点で示される多数の空間構造体1の支持要素として機能することができる。実施形態の好ましい一変形例では、プラットフォーム9の厚さは、基体2の下部円錐台または角錐台20の高さに等しい。
【0061】
必要に応じて、任意の構造体1は、(適切な液体冷却剤を使用する(例えば、
図12を参照))能動冷却システムおよび/または((例えば、1つまたは複数の太陽光発電セル7の下に配置された金属元素の形態(ストリッププレートなど)の)熱伝導性材料を使用する)受動冷却システムによって補足することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 太陽光発電セルまたは太陽放射集光器の空間構造体
10 太陽光発電セルまたは太陽放射集光器の構造体を組み合わせた空間構造体
100 空間構造体の上部底面
1000 空間構造体の中央底面
2 構造体の基体
20 下部角錐台/円錐台
20a 下部角錐台/円錐台を構成する部分的な角錐/円錐体
20b 下部角錐台/円錐台を形成する部分的な角錐/円錐体
200 下部角錐台/円錐台の下部底面
201 下部角錐台/円錐台の上部底面
2000 下部角錐台/円錐台の側壁部
20001 移行面
21 上部角錐台/円錐台
210 上部角錐台/円錐台の下部底面
211 上部角錐台/円錐台の上部底面
2100 上部角錐台/円錐台の側壁部
21001 移行面
2110 傾斜面
2111 傾斜面
3 集光突起
30 集光突起の底面
300 集光突起の軸
31 集光突起の壁部
301 集光突起の下部角錐台/円錐台
3010 集光突起の下部角錐台/円錐台の上部底面
302 集光突起の上部角錐台/円錐台
3020 集光突起の上部角錐台/円錐台の下部底面
32 集光突起の頂点
4 凹部
41 凹部
411 副凹部
4111 副凹部の底面
412 副凹部
4121 副凹部の底面
4212 副凹部の底面
5 面取り部
6 光透過性材料のブロック
60 光透過性材料のブロック内の空洞
7 太陽光発電セル
8 支持ブロック
9 プラットフォーム
91 溝
N 支持および/または保護構造体
α20 下部角錐台/円錐台の傾斜角
α200 部分角錐台/円錐台の傾斜角
α21 上部角錐台/円錐台の傾斜角
α3 集光突起の傾斜角
α33 集光突起の軸間の角度
α5 面取り角
PI 表面
PII 表面