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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】容器の洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20240617BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B08B3/02 D
B08B5/02 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023536325
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 JP2022004599
(87)【国際公開番号】W WO2023002649
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2021119816
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武口 史郎
(72)【発明者】
【氏名】石原 謙一
(72)【発明者】
【氏名】田村 和久
(72)【発明者】
【氏名】前田 紗知
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-177074(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/00-3/14
B08B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と周壁部を備えた有底筒状の容器に対し、前記底部と前記周壁部の内面に付着した異物を除去する容器の洗浄装置であって、
前記容器が載置された際に前記底部と対向可能な開口が形成されるとともに、前記周壁部の開口縁が接触する載置面を備え、前記容器の載置方向に移動可能な載置台と、
前記載置台を前記載置方向へ移動可能に支持する筐体と、
前記筐体に搭載されて前記載置台を前記載置方向に沿って付勢する弾性部材と、
前記筐体に搭載されて、前記開口の内で少なくとも一部が突出して前記底部と前記周壁部の内面に対して洗浄液を噴射する洗浄機構と、
前記容器の開口縁が前記載置面に載置された状態での前記載置台における所定距離の移動に基づいて、前記洗浄機構を介して前記底部と前記周壁部の内面に対して洗浄液を噴射する制御手段と、
を備えたことを特徴とする容器の洗浄装置。
【請求項2】
前記筐体に搭載されて前記洗浄液を貯留可能な貯液タンクをさらに有し、
前記制御手段は、圧縮空気を貯留可能なエアタンクと、前記圧縮空気を生成するコンプレッサーと、前記圧縮空気を用いて前記洗浄液を吸い上げる吸水ポンプと、を含み、
前記圧縮空気を用いて前記吸水ポンプで前記貯液タンクから前記洗浄液を吸い上げることで、前記洗浄機構を介して前記底部と前記周壁部の内面に対して噴射される、
請求項1に記載の容器の洗浄装置。
【請求項3】
前記圧縮空気が前記洗浄液に混合された混合流体が、前記洗浄液として前記洗浄機構を介して前記底部と前記周壁部の内面に対して噴射される、
請求項2に記載の容器の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄機構は、
前記洗浄液を吐出する洗浄液吐出部と、
前記圧縮空気の一部が吐出される圧縮空気吐出部と、を含み、
前記底部と前記周壁部の内面の少なくとも一方に付着した前記洗浄液が、前記圧縮空気吐出部を介して吐出された前記圧縮空気によって除去される、
請求項2又は3に記載の容器の洗浄装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記洗浄液を吸い上げるために用いられる圧縮空気の供給を停止する第1タイマーと、前記圧縮空気吐出部を介して前記底部と前記周壁部の内面に向けて吐出される圧縮空気の供給を停止する第2タイマーと、をさらに備え、
前記第1タイマーを介して前記底部と前記周壁部の内面への前記洗浄液の供給が停止した後で、前記第2タイマーを介して前記底部と前記周壁部の内面に向けて吐出される圧縮空気の供給が停止される、
請求項4に記載の容器の洗浄装置。
【請求項6】
前記圧縮空気吐出部は、前記洗浄液吐出部の周囲に配置されるとともに前記周壁部の内面に対して前記圧縮空気の吐出口が向けられたエアノズルで構成されてなり、
前記洗浄液吐出部は、前記エアノズルよりも前記載置面からの高さが高くなるように配置されて前記洗浄液を噴射する洗浄液ノズルで構成されてなる、
請求項4又は5に記載の容器の洗浄装置。
【請求項7】
前記エアノズルの吐出口は、前記圧縮空気が前記周壁部の内面に沿って前記底部まで螺旋流となるように、前記エアノズルの設置面に対して斜め上方に向けて設けられてなる、
請求項6に記載の容器の洗浄装置。
【請求項8】
前記洗浄液ノズルは、前記底部に向けて前記洗浄液を吐出する第1吐出口と、前記周壁部の内面に沿って前記洗浄液を吐出する第2吐出口と、を備えた回転ノズルである、
請求項6又は7に記載の容器の洗浄装置。
【請求項9】
前記洗浄機構は、前記底部と前記周壁部の内面に噴射された後の異物を含有する洗浄液を回収する洗浄液回収部をさらに有し、
前記筐体に搭載されて前記洗浄液回収部で回収された前記異物を含有する洗浄液を貯留可能な廃液タンクを備える、
請求項4~8のいずれか一項に記載の容器の洗浄装置。
【請求項10】
前記筐体の上部には前記載置台を設置する設置開口が形成されるとともに、
前記設置開口には、前記洗浄液を筐体周囲に飛散させずに前記載置面に導水する着脱可能な導水枠壁が設けられてなる、
請求項1~9のいずれか一項に記載の容器の洗浄装置。
【請求項11】
前記載置面は、前記開口が底位となるように周縁から当該開口に向けてロート状となっている、
請求項1~10のいずれか一項に記載の容器の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙コップや樹脂カップに例示される容器の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば水やコーヒー等の飲料が容器に封入されて自動販売機や店舗などで提供されている。かような容器の材質としては、例えば紙、PETなどの合成樹脂、ガラスあるいはアルミニウムなどの金属が用いられている。
【0003】
そして近年では容器に注入される飲料も多様化しており、上記した水やコーヒーの他にフォームミルクやカラメルソースあるいはムースフォームなどをさらに添加した飲料も人気を博している。従って、飲用者が飲料を飲み終えた際には、飲料のみならず例えば上記したフォームミルクやソースなどトッピングの一部が容器に残存したままで廃棄されることもあった。
一方で例えば下記に例示する特許文献のように、工場の製造ラインや自動販売機に併設される飲料容器の洗浄装置も知られている。
【0004】
例えば特許文献1では、利用者が持参した容器の保持手段と、この容器を洗浄するための洗浄手段と、洗浄後に液滴を除去し乾燥するための乾燥手段と、乾燥後に殺菌するための殺菌手段と、これらの手段の動作を制御するための制御手段とを備えた飲料用自動販売機が提案されている。
【0005】
また、例えば特許文献2では、PETボトルの大規模充填ラインなどに設置される、PET容器のロータリー洗浄装置が提案されている。さらには、例えば特許文献3のように、容器を浸漬する洗浄槽にコップの少なくとも一部を浸漬させて洗浄を行う飲料容器の洗浄装置も存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-51904号公報
【文献】特開2007-75703号公報
【文献】実開昭57-194455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献を含む従来構造の洗浄装置においては未だに改善すべき点が次のとおり存在する。
すなわち昨今では環境負荷の低減や省資源・省エネルギー化の意識が高まって、飲用を終えた容器の再利用も重要視されてきている。例えば上記した紙コップや樹脂製コップは廃棄後に回収されて再利用されるが、この際に上記した飲料の一部やトッピング等の異物が付着した状態では清浄化のための追加工程が必要となりコスト増となってしまう。
【0008】
従って例えば利用者などが容器を予め洗浄してから回収することは、その後の再利用における工程での省エネ化・省資源化に資する点で有効である。しかしながら例えば特許文献3で提案されるごとき洗浄槽を用いるごとき形態では、この洗浄のための装置規模が大掛かりとなってしまうだけでなく漏水対策など複雑な機構も必要となってしまう。
【0009】
また、特許文献2で提案される洗浄装置は、大量生産に好適な工場の生産ラインなどには好適ではあるものの、例えば小規模な店舗や家庭内での使用には不向きであることは言うまでもない。
さらに特許文献1で提案される洗浄装置においても、飲料用自動販売機に併設可能である点では簡易的ではあるものの、飲料容器の内部だけでなく外部も洗浄する機構や殺菌機構も備えている点で装置構成がやはり大規模となってしまい、洗浄機構や殺菌機構のメンテナンスも必要となる点において導入障壁は相当高いと言わざるを得ない。
【0010】
本発明は、上記した課題を一例に鑑みて為されたものであり、装置規模を相対的に小さくして省スペース化と省メンテナンス化及び低コスト化を図りつつ、それでいて廃棄前の容器に対して周囲に漏水せず洗浄液を噴射して容器内部を洗浄可能な容器の洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態における容器の洗浄装置は、(1)底部と周壁部を備えた有底筒状の容器に対し、前記底部と前記周壁部の内面に付着した異物を除去する容器の洗浄装置であって、前記容器が載置された際に前記底部と対向可能な開口が形成されるとともに、前記周壁部の開口縁が接触する載置面を備え、前記容器の載置方向に移動可能な載置台と、前記載置台を前記載置方向へ移動可能に支持する筐体と、前記筐体に搭載されて前記載置台を前記載置方向に沿って付勢する弾性部材と、前記筐体に搭載されて、前記開口の内で少なくとも一部が突出して前記底部と前記周壁部の内面に対して洗浄液を噴射する洗浄機構と、前記容器の開口縁が前記載置面に載置された状態での前記載置台における所定距離の移動に基づいて、前記洗浄機構を介して前記底部と前記周壁部の内面に対して洗浄液を噴射する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、上記(1)に記載の容器の洗浄装置においては、(2)前記筐体に搭載されて前記洗浄液を貯留可能な貯液タンクをさらに有し、前記制御手段は、圧縮空気を貯留可能なエアタンクと、前記圧縮空気を生成するコンプレッサーと、前記圧縮空気を用いて前記洗浄液を吸い上げる吸水ポンプと、を含み、前記圧縮空気を用いて前記吸水ポンプで前記貯液タンクから前記洗浄液を吸い上げることで、前記洗浄機構を介して前記底部と前記周壁部の内面に対して噴射されることが好ましい。
【0013】
また、上記(2)に記載の容器の洗浄装置においては、(3)前記圧縮空気が前記洗浄液に混合された混合流体が、前記洗浄液として前記洗浄機構を介して前記底部と前記周壁部の内面に対して噴射されることが好ましい。
【0014】
また、上記(又は(3)に記載の容器の洗浄装置においては、(4)前記洗浄機構は、前記洗浄液を吐出する洗浄液吐出部と、前記圧縮空気の一部が吐出される圧縮空気吐出部と、を含み、前記底部と前記周壁部の内面の少なくとも一方に付着した前記洗浄液が、前記圧縮空気吐出部を介して吐出された前記圧縮空気によって除去されることが好ましい。
【0015】
また、上記(4)に記載の容器の洗浄装置においては、(5)前記制御手段は、前記洗浄液を吸い上げるために用いられる圧縮空気の供給を停止する第1タイマーと、前記圧縮空気吐出部を介して前記底部と前記周壁部の内面に向けて吐出される圧縮空気の供給を停止する第2タイマーと、をさらに備え、前記第1タイマーを介して前記底部と前記周壁部の内面への前記洗浄液の供給が停止した後で、前記第2タイマーを介して前記底部と前記周壁部の内面に向けて吐出される圧縮空気の供給が停止されることが好ましい。
【0016】
また、上記(4)又は(5)に記載の容器の洗浄装置においては、(6)前記圧縮空気吐出部は、前記洗浄液吐出部の周囲に配置されるとともに前記周壁部の内面に対して前記圧縮空気の吐出口が向けられた複数のエアノズルで構成されてなり、前記洗浄液吐出部は、前記エアノズルよりも前記載置面からの高さが高くなるように配置されて前記洗浄液を噴射する洗浄液ノズルで構成されてなることが好ましい。
【0017】
また、上記(6)に記載の容器の洗浄装置においては、(7)前記エアノズルの吐出口は、前記圧縮空気が前記周壁部の内面に沿って前記底部まで螺旋流となるように、前記エアノズルの設置面に対して斜め上方に向けて設けられてなることが好ましい。
【0018】
また、上記(6)又は(7)に記載の容器の洗浄装置においては、(8)前記洗浄液ノズルは、前記底部に向けて前記洗浄液を吐出する第1吐出口と、前記周壁部の内面に沿って前記洗浄液を吐出する第2吐出口と、を備えた回転ノズルであることが好ましい。
【0019】
また、上記(4)~(8)のいずれかに記載の容器の洗浄装置においては、(9)前記洗浄機構は、前記底部と前記周壁部の内面に噴射された後の異物を含有する洗浄液を回収する洗浄液回収部をさらに有し、前記筐体に搭載されて前記洗浄液回収部で回収された前記異物を含有する洗浄液を貯留可能な廃液タンクを備えることが好ましい。
【0020】
また、上記(1)~(9)のいずれかに記載の容器の洗浄装置においては、(10)前記筐体の上部には前記載置台を設置する設置開口が形成されるとともに、前記設置開口には、前記洗浄液を筐体周囲に飛散させずに前記載置面に導水する着脱可能な導水枠壁が設けられてなることが好ましい。
【0021】
また、上記(1)~(10)のいずれかに記載の容器の洗浄装置においては、(11)前記載置面は、前記開口が底位となるように周縁から当該開口に向けてロート状となっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、装置規模を相対的に小さくして省スペース化と省メンテナンス化及び低コスト化を図りつつ廃棄前の容器に対して周囲に漏水せず洗浄液を噴射して容器内部を洗浄できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る飲料容器の洗浄装置を模式的に示す斜視図
図2】第1実施形態に係る飲料容器の洗浄装置を模式的に示す側面図
図3】第1実施形態に係る飲料容器の洗浄装置を模式的に示す正面図
図4】第1実施形態に係る飲料容器の洗浄装置における気体の流路構成を示す模式図
図5】第1実施形態に係る飲料容器の洗浄装置のうち洗浄機構の詳細構造を示す模式図
図6】第1実施形態に係る洗浄機構のうち洗浄ノズル周辺の詳細構造(その1)を示す模式図
図7】第1実施形態に係る洗浄機構のうち洗浄ノズル周辺の詳細構造(その2)を示す模式図
図8】第1実施形態に係る飲料容器の洗浄装置における洗浄開始前後での状態遷移を示す模式図
図9】第2実施形態に係る飲料容器の洗浄装置における流路構成を示す模式図
図10】第3実施形態に係る飲料容器の洗浄装置を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、適宜図面を参照しつつ、本実施形態に係る飲料容器の洗浄装置について具体的に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例を説明するものであり、本発明を意図せず限定するものではなく、さらには上記特許文献を含む他の公知の構成を適宜補完して実施してもよい。また、以下では洗浄装置100を載置した際の鉛直方向であって容器(例えば飲料容器)を載置台10に載置する載置方向をZ方向、このZ方向と直交する平面にそれぞれX方向およびY方向を便宜的に設定する。
【0025】
≪第1実施形態≫
[容器200]
本実施形態で好適な容器200は、底部210と周壁部220を備えて周壁部220の上縁における開口縁230から飲料を注出可能な公知の有底筒状の容器が例示できる。かような容器としては、例えば公知の紙製、ガラス製、樹脂製あるいは金属製のコップや食用缶などが例示できる。
【0026】
また、上記した容器200に注入可能な物体としては、例えばコーヒーや紅茶あるいは水や炭酸飲料、酒類などの飲用液体(飲料)が例示できる。なお以下では洗浄装置100に適用可能な容器200の一例として飲料容器を例示するが、本発明における洗浄装置100の洗浄対象は上述のとおり飲料容器には限られない。
【0027】
すなわち本発明に適用可能な容器としては、当該容器に付着した異物を小規模店舗や家庭内で簡便に洗浄する本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、例えば飲料だけでなく固形状の食品を含む保存可能なする飲食物用容器、さらには薬剤や洗剤などの物品を保存可能な保存容器など種々の容器の全般を適用できる。
【0028】
[容器の洗浄装置100]
次に図1~7を参照しつつ、本実施形態における容器の洗浄装置100について説明する。なお上述のとおり、以下では容器200として飲料用の紙コップや樹脂製コップを例にして説明する。
【0029】
図1などから理解されるとおり、本実施形態における容器の洗浄装置100は、底部210と周壁部220を備えた有底筒状の飲料用コップ(容器200)に対し、前記した底部210と周壁部220の内面220aに付着した異物を除去する機能を有して構成されている。なお、本実施形態における「異物」には、上記した容器200に残存する内容物の一部(残留物)の他に埃などの汚れも含む。
【0030】
より具体的に容器の洗浄装置100は、載置台10、筐体20、弾性部材30、洗浄機構40及び制御手段50を少なくとも含んで構成されている。
載置台10は、図1及び図5から明らかなとおり、前記した容器200が載置された際に当該容器の底部210と対向可能な開口10aが形成されるとともに前記周壁部220の上縁(開口縁230)が接触する載置面11を備えて構成されている。
【0031】
かような載置台10の材質としては、例えばプラスチックなど公知の合成樹脂や、アルミニウムなどの金属材料などが例示できる。
また図5などから理解されるとおり、載置台10は、ネジなど公知の固定手段13aを介して載置板12上に搭載されている。また、この載置板12は、後述する弾性部材30の上部に搭載されており、この弾性部材30の作用の下で昇降可能とされている。
【0032】
従って本実施形態の載置台10は、上記した載置板12に搭載された状態で弾性部材30によって、容器200の載置方向に対して移動可能に構成されている。なお本実施形態では、作業者が載置台10に対して容器200を鉛直方向の下向き(重力方向)に沿って押し付けることで、載置板12に搭載された載置台10が前記した載置方向(すなわち重力方向)に移動される。
【0033】
なお図5に示すように、載置面11は、前記した開口10aが底位(重力方向に関して最も低い位置)となる円錐面のように、周縁10bから当該開口10aに向けてロート(漏斗)状の面となっていることが好ましい。これにより、載置面11に付着した洗浄液や異物が開口10aに向けて重力の作用によって流れ込むことが可能となり、さらには飲料容器200を載置する際のセンタリング機能も発揮することができる。
【0034】
また本実施形態の載置面11では、例えば規格の異なる(すなわち高さや開口縁230の径など)様々な飲料容器200を安定して載置することが可能となっている。
さらに本実施形態における載置面11の表面は、上記した洗浄液や異物に対して撥液性を示すための公知の撥液処理が施されていてもよい。かような撥液処理としては、例えば表面をフッ化するフッ素処理やフッ素膜を塗布する処理などが例示できる。
【0035】
筐体20は、後述する弾性部材30を搭載し、前記した載置台10を載置方向(図示ではZ方向)へ移動可能に支持する機能を有して構成されている。より具体的に本実施形態の筐体20は、載置台10や後述する洗浄機構40や制御手段50を搭載可能な中空直方体状のフレーム体が例示できる。
【0036】
かような筐体20の材質としては、上記した載置台10や後述するエアタンクや貯液タンクなどを搭載可能な強度と耐久性を具備する限りにおいて特に制限されず、例えば鋼材やアルミニウムなど公知の金属材料やエンジニアリングプラスチックなどの合成樹脂が例示できる。また、本実施形態の載置台10としては、例えば洗浄装置100などで洗浄された樹脂製の飲料容器を再利用して形成されていてもよい。
【0037】
また、本実施形態の筐体20は、図1図3に示すように、フレーム上面に相当する上部20aとフレーム底面に相当する底部20bとの間に、上部20aから順に上段部20c、中段部20dおよび下段部20eとに区画されている。なおこれらの図に示すように、底部20bにおける底面側には、筐体20の載置位置を固定するための固定脚23と、筐体20を水平方向に移動可能とする公知のキャスター24との少なくとも一方が設置されていることが好ましい。
【0038】
さらに本実施形態の筐体20には、図1及び図5から明らかなとおり、筐体20の上部20aに載置台10を設置するための設置開口21が形成されている。また、この設置開口21には、容器200を洗浄するための洗浄液を筐体周囲に飛散させずに載置面11に導水する着脱可能な導水枠壁22が設けられていることが好ましい。
【0039】
なお筐体20のうち中段部20dには、この筐体20に搭載されて洗浄液を貯留可能な貯液タンク60が設置されている。また、筐体20の下段部20eには、この筐体20に搭載されて後述する洗浄液回収部43で回収された異物を含有する洗浄液を貯留可能な廃液タンク70が設置されている。さらにこの筐体20には、図2などに示すように、上記した中段部20dと下段部20eに跨って、圧縮空気を貯留可能なエアタンク51が搭載可能なエアタンク設置部が設けられていることが好ましい。
【0040】
このような導水枠壁22は、一例として、金属または樹脂で形成された底面が開口したボウル状の周状枠体が例示できる。そしてこの導水枠壁22が設置開口21の開口周りに沿って設置されることで、筐体周囲に飛散した洗浄液や異物は後述する洗浄液回収部43へ効率的に流れ込むことが可能となる。また、導水枠壁22は、図5に示すように、ボルトなどの公知の固定具22aを介して筐体20に固定されている。従って本実施形態では、汚れが付着した導水枠壁22を筐体20に対して簡易に取り外することができ、メンテナンス性を向上させることが可能となっている。
【0041】
弾性部材30は、前記した筐体20に搭載されて載置台10を載置方向(本実施形態では鉛直方向でもあるZ方向)に沿って付勢する機能を有して構成されている。より具体的には、図1、2及び5から理解されるとおり、弾性部材30は、基端部が筐体20における上段部20cに設置されるとともに上端部が載置台10に接続された公知のスプリング部材が例示できる。
【0042】
なお本実施形態では弾性部材30の一例として公知のスプリング部材を例示したが、例えばゴム部材など他の公知の弾性体を適用してもよい。
また、弾性部材30の他形態として、弾性体を適用する形態に限れられず上記した機能を具備する限りにおいて、例えば不図示の電源に接続された公知の油圧シリンダや空圧シリンダなどの電動アクチュエーターで構成されていてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、弾性部材30としてのスプリング部材は載置台10の四隅に対応するように合計4本が上段部20c内に設けられているが、載置台10を安定して降下または上昇可能であればスプリング部材は4本に限られず、例えば3本のスプリング部材としたり、公知のガイドを介して1本又は2本のスプリング部材としてもよい。
【0044】
洗浄機構40は、図5図7から理解されるとおり、前記した筐体20に搭載されて、前記した開口10aの内で少なくとも一部が突出して飲料容器200における底部210と周壁部220の内面220aに対して洗浄液を噴射する機能を有して構成されている。なお、本実施形態で好適な洗浄液としては、上記した異物が除去可能であれば特に制限されず、例えば水道水や公知のアルコール含有水などが例示できる。
【0045】
より具体的に本実施形態の洗浄機構40は、前記した洗浄液を吐出する洗浄液吐出部41と、後述するエアタンク51から供給される圧縮空気の一部が吐出される圧縮空気吐出部42と、を含んで構成されている。また、本実施形態の洗浄機構40は、図5などに示すように、上記した洗浄液吐出部41から吐出された洗浄液を回収する洗浄液回収部43と、これら洗浄液吐出部41や圧縮空気吐出部42などが搭載される本体部44を含んで構成されている。
【0046】
図5などに示すように、洗浄機構40の本体部44は、ネジなど公知の締結手段13bを介して載置台10および載置板12に連結されている。
そして例えば洗浄時においては、飲料容器200における底部210と周壁部220の内面220aの少なくとも一方に付着した洗浄液が、前記した圧縮空気吐出部42を介して吐出された圧縮空気によって除去される。
【0047】
このうち本実施形態の圧縮空気吐出部42は、図7などに示すように、圧縮空気が流通可能な公知の流路と、洗浄液吐出部41の周囲に配置されるとともに周壁部220の内面220aに対して圧縮空気の吐出口が向けられたエアノズル42Nを含んで構成されている。より具体的に本実施形態のエアノズル42Nは、前記した洗浄液吐出部41の周囲を囲んで断続的に配置される複数のエアノズル42N(第1エアノズル42Naおよび第2エアノズル42Nb)で構成されている。
なお後述する第3実施形態のように、本発明の洗浄装置において圧縮空気吐出部42は必ずしも必須ではなく、例えば容器洗浄後の水切り処理を不要とすればこの圧縮空気吐出部42は適宜省略してもよい(第2実施形態でも同様)。
【0048】
また本実施形態では、上記2つのエアノズル42Nを例示したが、スペースの制約を満たす限りにおいて3つ以上の任意のエアノズル42Nを設置してもよい。また、異物や洗浄液を除去可能な程度の後述する上昇旋回流が生成可能であれば、エアノズル42Nは必ずしも複数設置される必要はなく、単一のエアノズル42Nのみ設置される形態であってもよい。また、かようなエアノズルの具体的構造としては、上記した吐出口からエアを噴射可能であれば特に制限されず、例えば公知のエアノズルを適用したりグリスニップルを流用したりして公知の種々のノズル部品が適用できる。
【0049】
上述のとおり本実施形態では、前記したエアノズル42Nの吐出口は、図7に示すように、前記した圧縮空気が飲料容器200の周壁部220の内面220aに沿って底部210まで上昇する螺旋流(この洗浄時における飲料容器内での空気流を本実施形態では「上昇螺旋流」とも称する)となるように、エアノズル42Nの設置面に対して斜め上方(本例では洗浄液吐出部41とは逆向きの径方向外側で且つ鉛直上方向き)に向けて設けられてなることが好ましい。これにより、飲料容器200の内部に残存する洗浄液や異物を効率的に除去して後述する洗浄液回収部43で回収することが可能となっている。
【0050】
なお、本実施形態では、エアノズル42Nによって発生する上昇螺旋流は、周壁部220の内面220aのうち開口縁230付近に最初に接触するように吐出口の設置高さが設定されている。これにより、飲料容器200の飲み口(開口縁230)付近に付着する異物を効率的に除去することが可能となっている。
【0051】
一方で、本実施形態の洗浄液吐出部41は、図5図6などに示すように、洗浄液が流通可能な公知の流路と、前記したエアノズル42Nよりも上記載置面からの高さが高くなるように配置されて洗浄液を噴射する洗浄液ノズル41zを含んで構成されている。かような洗浄液ノズル41zの具体的構造としては、上記した洗浄液を吐出口から噴射可能であれば特に制限されず、例えば洗浄液の噴射反力によって回転しながら周囲に洗浄液を吐出可能な公知の種々の回転ノズルが例示できる。
【0052】
かような洗浄液ノズル41zは、図6に示すように、飲料容器200の底部210に向けて洗浄液の一部を吐出する第1吐出口41aと、周壁部220の内面220aに沿って洗浄液の残部を吐出する第2吐出口41bと、を備えた回転ノズルが例示できる。なお本実施形態では、第2吐出口41bは、洗浄液ノズル41zの周方向に沿って断続的に複数設けられている(本実施形態では周方向に関して3つ設けられている)ことが好ましい。
【0053】
また同図から理解されるとおり、洗浄液ノズル41zは、それぞれステンレスで形成された公知のベアリング41cと止め輪41dを介して基部41eに回転可能となるように取り付けられている。さらに洗浄液ノズル41zが取り付けられた基部41eは、例えばネジ留など公知の締結手段Fxを介して本体部44に取り付けられている。
【0054】
これにより洗浄液ノズル41zは、洗浄時には第1吐出口41aを介して底部210に対して洗浄液を噴射するのと並行して周壁部220に対しても回転しながら第2吐出口41bを介して洗浄液を噴射することが可能となり、飲料容器200に対して高い洗浄力を発揮することが可能となっている。
【0055】
上述のとおり、本実施形態の洗浄機構40は、図5に示すように、飲料容器200における底部210と周壁部220の内面220aに噴射された後の異物を含有する洗浄液を回収する洗浄液回収部43をさらに有して構成されている。より具体的に本実施形態の洗浄液回収部43は、図7に示すように、前記した洗浄液吐出部41の周囲に配置されるとともに後述する廃液タンク70に接続された回収孔と、この回収孔を介して回収された洗浄液を受水する回収カップ43gなどで構成されている。なお回収カップ43gは後述する回収用流路56Eを介して上記した廃液タンク70と接続されており、この回収カップ43gで受水した使用済の洗浄液(異物も混入している)は廃液タンク70で回収される。
【0056】
本実施形態における回収孔は、同図に示すように、洗浄液吐出部41に対してエアノズル42Nと同心円上に配置されるように、上記洗浄液吐出部41の周囲に断続的に配置される複数の回収孔43a~43fで構成されることが好ましい。なお本実施形態では上記同心円上においてエアノズル42Nを避けるように合計6つの回収孔が設置されているが、エアノズル42Nの設置数やスペースの制約を満たす限りにおいて6つ以外の任意の数の回収孔を設置する形態であってもよい。
【0057】
制御手段50は、飲料容器200の上縁(開口縁230)が載置面11に載置された状態での載置台10における所定距離dの移動に基づいて、洗浄機構40を介して飲料容器200に対して洗浄液を噴射する機能を有して構成されている。
より具体的に本実施形態の制御手段50は、上記した状態で載置台10が所定距離d(図8参照)だけ降下したとき、洗浄機構40を介して飲料容器200における底部210と周壁部220の内面220aに対して洗浄液を噴射する機能を有して構成されている。なお、所定距離dの具体例としては、載置台10や筐体20の大きさなどに応じて適宜設定可能であり、本実施形態では一例として5~10mm程度のストロークが設定可能となっている。
【0058】
より具体的に本実施形態の制御手段50は、上記した圧縮空気を貯留可能なエアタンク51と、この圧縮空気を生成する公知のコンプレッサー52と、それぞれ後述する2つのタイマー付き開閉弁と、貯液タンク60から洗浄液を吸い上げる吸水ポンプ55と、後述する各種のバルブと、を含んで構成されている。なお図1などから理解されるとおり、本実施形態のコンプレッサー52は、騒音抑制などの観点から、筐体20のうち下段部20eに設置されることが好ましい。
【0059】
なお本実施形態の洗浄装置100におけるコンプレッサー52は、第1コンプレッサー52Aと第2コンプレッサー52Bの二つで構成されているが、単一のコンプレッサーでもよい。
そして本実施形態の洗浄装置100では、このコンプレッサー52で生成された圧縮空気を利用して吸水ポンプ55で貯液タンク60に貯留された洗浄液を吸い上げることで、上記した洗浄機構40を介して飲料容器200における底部210と周壁部220の内面220aに対して洗浄液が噴射される構成となっている。
【0060】
このように本実施形態における制御手段50は、図4などに示すように、上記した洗浄液を吸い上げるために用いられる圧縮空気の供給を停止する第1タイマー付き開閉弁53と、圧縮空気吐出部42を介して飲料容器200における底部210と周壁部220の内面220aに向けて吐出される圧縮空気の供給を停止する第2タイマー付き開閉弁54と、をさらに備えて構成されている。
【0061】
<飲料容器200に対する洗浄液の噴射態様>
次に図4図8を対比しながら本実施形態における飲料容器200に対する洗浄液の噴射態様について詳述する。
上述のとおり、例えば店舗や自宅等で飲用者が飲料容器200における飲料を摂取した後は、周壁部220の内面220aには飲料の一部などの異物が残留することがある。このとき飲用者は、本実施形態の洗浄装置100を用いて、飲み終えた飲料容器200の上記内面220aを洗浄できる。
【0062】
すなわち、まず図8に示すように、飲用者は、飲料容器200の底部210が鉛直上方を向くようにして載置面11に開口縁230を接触させて載置台10に飲料容器200を載置する。その後、同図に示すように、飲用者は、飲料容器200の開口縁230が載置面11に載置された状態で載置台10を鉛直下方に向けて所定距離dだけ降下させる。
【0063】
そして上記した所定距離dの降下を契機(トリガー、スイッチ)としてバルブVb(例えばメカバルブなど公知のバルブが例示できる)が開き、図4に示すように、コンプレッサー52は圧縮空気を生成してエアタンク51を介して第1エア流路56Aと第2エア流路56Bにそれぞれ圧縮空気を供給する制御を行う。このとき、上記所定距離dの降下を契機(トリガー、スイッチ)として、上記第1タイマー付き開閉弁53および第2タイマー付き開閉弁54が計時を開始する。
【0064】
すると、第2エア流路56Bを流れる圧縮空気は公知の吸水ポンプ55(プロセスポン
プ)に供給されることで、貯液タンク60に貯留された洗浄液が吸引されて洗浄液流路57を流通して上記した洗浄液吐出部41に供給される。なお、吸水ポンプ55の具体例については、圧縮空気で動作可能である限り特に制限されず、例えば公知のダイヤフラムポンプなどの往復ポンプや、ギアポンプなどの回転ポンプを適用できる。
【0065】
なお本実施形態では、吸水ポンプ55の一例としてダイヤフラムポンプを適用している。
そして洗浄液吐出部41に供給された洗浄液は、上述のとおり洗浄液ノズル41zの第1吐出口41aと第2吐出口41bとから飲料容器200における底部210や周壁部220の内面220aに向けて噴射される。
【0066】
一方で第1エア流路56Aに供給された圧縮空気は、上記した圧縮空気吐出部42に供給される。この圧縮空気吐出部42に供給された圧縮空気は、上記したエアノズル42N(第1エアノズル42Naおよび第2エアノズル42Nb)を介して上昇螺旋流となって飲料容器200内に噴射される。
このように本実施形態では、洗浄液吐出部41からの洗浄液吐出と圧縮空気吐出部42からの圧縮空気吐出とが並行して実行されるため、圧縮空気と洗浄液とが混合された混合流体が洗浄液として洗浄機構40を介して飲料容器200における底部210と周壁部220の内面220aに対して噴射されることになる。
【0067】
そして本実施形態では、上述のとおり載置台10における所定距離dの降下を契機として第1タイマー付き開閉弁53および第2タイマー付き開閉弁54が計時を開始している。このとき本実施形態の洗浄装置100では、第1タイマー付き開閉弁53に基づく洗浄液吐出部41からの洗浄液の噴射停止よりも、第2タイマー付き開閉弁54に基づく圧縮空気吐出部42からの圧縮空気の噴射停止が、時系列でみた場合に後ろとなるように異なるタイミングで実行されるよう設定されている。
【0068】
また、本実施形態では、例えば利用者が飲料容器200を介した押圧を解除することで載置台10が弾性部材30を介して元の位置に戻った場合には、上記したバルブVbが閉じてコンプレッサー52を介した圧縮空気の供給が停止される。さらに本実施形態では、利用者が飲料容器200を介した押圧を維持した場合には、上記した第1タイマー付き開閉弁53及び第2タイマー付き開閉弁54を介した洗浄液などの停止処理が実行されるように設定されている。
【0069】
従って本実施形態の洗浄装置100では、第1タイマー付き開閉弁53を介して飲料容器200における底部210と周壁部220の内面220aへの洗浄液の供給が停止した後で、第2タイマー付き開閉弁54を介して上記した底部210と周壁部220の内面220aに向けて吐出される圧縮空気の供給が停止されることになる。
【0070】
これにより、飲料容器200における底部210と周壁部220の内面220aが洗浄液によって洗浄された後に、圧縮空気の上昇螺旋流によって残留物の除去を含めた水切り処理を実行することが可能となっている。また、飲料容器200の洗浄に用いられた使用済の洗浄液は、上記した回収孔と回収カップ43gおよび回収用流路56Eを経由して廃液タンク70で回収される。
【0071】
なお図4に示すように、本実施形態の洗浄装置100においては、第1エア流路56Aと第2エア流路56Bとの分岐点BP1よりも上流側に設けられたバイパス起点BP2から分岐して、この分岐点BP1よりも下流における第1エア流路56Aとのバイパス合流点BP3へ接続されるバイパス流路56Cをさらに具備してもよい。
また、同図から理解されるとおり、バイパス流路56Cには、圧縮空気の逆流を防止するため逆止弁Vr1が設けられていることが好ましい。なお逆止弁Vr1の構造としては、上記機能が達成可能であれば特に制限はなく、公知の種々の気体用逆止弁を適用してもよい。
【0072】
上述のとおり本実施形態では、コンプレッサー52で生成される圧縮空気が洗浄液吐出部41や圧縮空気吐出部42の動力源となっているため、洗浄液の吐出量に依っては圧縮空気吐出部42からの吐出圧を充分に確保できない場合も想定される。このような場合には上記したバイパス流路56Cを追加することで、圧縮空気吐出部42からの充分な圧縮空気の吐出量を確保することも可能となる。
【0073】
以上説明した第1実施形態に係る洗浄装置100によれば、コンプレッサー52で生成される圧縮空気を作動流体として洗浄機構40を介して洗浄液とエアーを噴射して飲料容器200を洗浄可能となっている。したがって、例えばAC100V電源さえ確保できれば、例えばPLC等の高価な制御装置を用いずに装置規模を相対的に小さくして省スペース化と省メンテナンス化及び低コスト化を図りつつ、廃棄前の容器に対して片方の手だけを用いて周囲に漏水せず洗浄液を噴射して容器内部を洗浄できる。なお本実施形態の洗浄装置100で洗浄した飲料容器200は、例えば飲料用途や他の用途として再利用されることもできる。
【0074】
また、本実施形態の洗浄装置100は、上述のとおり簡易な構成で飲料容器200を洗浄できるため、例えば店舗の店員や容器の回収業者のみならず、飲用者自身の手によって容器の洗浄を行うことで環境保護活動の一助を担ってもらうことも可能となる。
【0075】
なお上記したAC100V電源は、例えばリチウムイオン二次電池や鉛蓄電池など公知の二次電池で構成してもよい。
また、本実施形態の洗浄装置100では貯液タンク60と廃液タンク70を備えて設置場所の制約を緩和しているが、この形態に限られず例えば公知の水道や排水経路と直接的に接続される形態であってもよい。
【0076】
また、洗浄液吐出部41からの洗浄液の吐出態様としては、上記した形態に限られず、例えば機能水(一例として不図示のエジェクタータイプやキャビテーションタイプの公知のマイクロバブル発生器によって生成したマイクロバブルが添加されたマイクロバブル水や、上記した電源で駆動可能な超音波生成器を介した超音波水など)を用いる形態であってもよい。
【0077】
≪第2実施形態≫
次に図9を用いて、第2実施形態に係る飲料容器の洗浄装置110について説明する。なお、既述した第1実施形態における洗浄装置100と同じ構成については、同じ参照番号を付してその説明は適宜省略する。
【0078】
まず第1実施形態に係る飲料容器の洗浄装置100では洗浄液吐出部41へ洗浄液を送り出す機構としてポンプ機構(ダイヤフラム式ポンプ)を用いたが、本実施形態ではこれに代えてシリンダ機構(シリンダ式駆動ポンプ58)を用いている点に主とした特徴がある。換言すれば、本発明に適用可能な吸水ポンプ55としては、ダイヤフラム式ポンプに留まらず、本実施形態で説明するシリンダ式駆動ポンプ58を含む圧縮空気で駆動可能な公知のエア駆動ポンプが適用できる。
【0079】
すなわち図9に示すように、本実施形態における飲料容器の洗浄装置110は、第1実施形態の洗浄装置100で説明した構成に対し、ダイヤフラム式ポンプに代えてシリンダ式駆動ポンプ58を含んで構成されている。
シリンダ式駆動ポンプ58は、シリンダチューブ58aと、ピストンロッド58bと、付勢バネ58cと、位置決めストッパ58dと、を少なくとも有している。また、シリンダチューブ58a内と洗浄液流路57とが接続されており、この洗浄液流路57を介して貯液タンク60から洗浄液を受水して洗浄機構40へ送水可能とされている。
【0080】
なお洗浄機構40とシリンダチューブ58aとの間の洗浄液流路57には、洗浄液流路57を流れる洗浄液がシリンダチューブ58a内に逆流してしまうことを防止する逆止弁Vrが設けられている。また、貯液タンク60とシリンダチューブ58aとの間の洗浄液流路57には、洗浄液流路57を流れる洗浄液が貯液タンク60に逆流してしまうことを防止する逆止弁Vrが設けられている。
【0081】
バイパス起点BP1から分岐した第2エア流路56Bは、シリンダチューブ58a内のうちピストンロッド58b側の空間と接続されている。
また、ピストンロッド58bの一端は、公知のシリンダヘッド(不図示)を有してシリンダチューブ58a内を移動可能に構成されている。一方で同図から理解されるとおり、ピストンロッド58bの他端とシリンダチューブ58aとの間には付勢バネ58cが設けられており、ピストンロッド58bの他端を位置決めストッパ58dに向けて押し出すように当該ピストンロッド58bの他端を付勢している。
【0082】
このように構成された洗浄装置110では、例えば動作開始時点の初期設定として、シリンダチューブ58a内には洗浄液が満たされた状態(すなわちピストンロッド58bの他端は位置決めストッパ58dと接触している)とされる。
そしてコンプレッサー52で生成された圧縮空気の一部は、バイパス起点BP1から分岐してシリンダチューブ58a内のうちピストンロッド58b側の空間に供給される。
【0083】
すると、ピストンロッド58bの一端は、この圧縮空気の作用によって付勢バネ58cの付勢力に抗してシリンダチューブ58a内の洗浄液を押し出すように移動する。これにより、シリンダチューブ58a内の洗浄液が洗浄液流路57を介して洗浄機構40へ送水される。また、シリンダチューブ58a内の洗浄液が送水された後は、付勢バネ58cの復元力によってピストンロッド58bの他端が位置決めストッパ58dへ向けて移動する。
【0084】
そして本実施形態ではシリンダチューブ58a内のうちピストンロッド58b側の空間に圧縮空気が供給され続けることから、このピストンロッド58b側の空間に供給される圧縮空気の作用によって、ピストンロッド58bの一端は、付勢バネ58cの付勢力に抗してシリンダチューブ58a内の洗浄液を押し出すように再び移動する。
【0085】
このように本実施形態では、圧縮空気の作用によってピストンロッド58bの一端がシリンダチューブ58a内の洗浄液を押し出すように移動することと、付勢バネ58cの復元力の作用によってピストンロッド58bの他端が位置決めストッパ58dに向けて移動することが、コンプレッサー52で生成された圧縮空気の供給中において繰り返される。
【0086】
これにより、貯液タンク60からシリンダ式駆動ポンプ58を介して断続的に洗浄液が洗浄機構40へ供給されることになる。この第2実施形態における洗浄装置110においても、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお上記した第1実施形態や第2実施形態では往復ポンプを用いて洗浄水を断続的に貯液タンク60から吸い上げる例を示したが、他の公知のエア駆動ポンプを用いて連続的に貯液タンク60から洗浄液を吸い上げて洗浄液吐出部41へ送り出す構成としてもよい。
【0087】
≪第3実施形態≫
次に図10を用いて、第3実施形態に係る飲料容器の洗浄装置120について説明する。なお、本実施形態でも既述した上記各実施形態と同じ構成については、同じ参照番号を付してその説明は適宜省略する。
【0088】
上記した第1実施形態や第2実施形態では貯液タンク60から洗浄液を洗浄機構40へ送水する機構として、公知の電源(商用電源や二次電池など)に接続されたコンプレッサー52で生成された圧縮空気を用いるエア駆動ポンプを適用していた。これに対して本実施形態に係る飲料容器の洗浄装置120では、電源や作動流体が不要な人力タイプのトグル機構式駆動ポンプ59を有している点に主とした特徴がある。
【0089】
すなわち図10に示すように、本実施形態における飲料容器の洗浄装置120は、第2実施形態の洗浄装置110で説明した構成に対し、シリンダ式駆動ポンプ58に代えてトグル機構式駆動ポンプ59を含んで構成されている。
トグル機構式駆動ポンプ59は、トグルリンク59aと、シリンダチューブ59bと、ピストンロッド59cと、付勢バネ59dと、トグルリンク59aとピストンロッド59cとを連結する連結部59eと、を少なくとも有している。
【0090】
また第2実施形態と同様に、シリンダチューブ59b内と洗浄液流路57とが逆止弁VrやVrを介してそれぞれ接続されており、この洗浄液流路57を介して貯液タンク60から洗浄液を受水して洗浄機構40へ送水可能とされている。
【0091】
本実施形態のトグルリンク59aにおいては、第1関節59a(例えば図10に示すごときローラーが好ましい)が上記した載置板12の底面を移動可能に支持するように設置され、第2関節59aが天井などの壁面に固定設置され、さらに上記したとおり第3関節59aが連結部59eを介してピストンロッド59cの他端と連結されている。
これにより、利用者(飲用者など)が載置台10を鉛直下方に向けて所定距離dだけ降下させることに連動して、載置板12とともに第1関節59aも下方へ移動することが可能となっている。
【0092】
このように構成された洗浄装置120では、動作開始時点の初期設定として、シリンダチューブ59b内には洗浄液が満たされた状態(すなわちピストンロッド59cの他端は鉛直上方に関する上限の位置にある)とされている。
そして利用者が飲料容器200を介して載置台10を降下させると、載置板12の降下に伴って第1関節59aの移動が倍力されて第3関節59aがピストンロッド59cの他端を鉛直下方へ押し出すように移動する。
【0093】
すると、ピストンロッド59cの一端は、この倍力された第3関節59aの移動作用によって付勢バネ59dの付勢力に抗してシリンダチューブ59b内の洗浄液を押し出すように移動する。これにより、シリンダチューブ59b内の洗浄液が洗浄液流路57を介して洗浄機構40へ送水される。
【0094】
一方で利用者が飲料容器200を載置台10から離間させると、弾性部材30を介して載置台10(載置板12)が上方へ移動し、この弾性部材30および付勢バネ59dの作用によってピストンロッド59cの一端は鉛直上方に移動する。すると、このピストンロッド59cの一端の移動に伴って、新たな洗浄液が貯液タンク60からシリンダチューブ59b内に供給されることになる。
【0095】
これにより、利用者が飲料容器200を載置面11に載置して載置台10を降下させると、この降下に連動して貯液タンク60からトグル機構式駆動ポンプ59を介して洗浄液が洗浄機構40へ供給されることになる。
この第3実施形態における洗浄装置120においても、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに第3実施形態では、洗浄液の送水に電源や圧縮空気を必要としないため、飲料容器の洗浄機能を維持しつつ装置コストを大幅に抑制できる。
【0096】
以上説明した各実施形態は本発明の趣旨を具現化した一例であり、本発明の上記趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。さらには本発明の上記趣旨を逸脱しない範囲で公知の構造や手法を適宜追加して変形してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、例えば飲み残しなど異物が付着した容器を小規模な店舗や家庭内において簡易な構成で効率的に洗浄可能な洗浄装置を製造することなどに利用できる。
【符号の説明】
【0098】
100、110、120 洗浄装置
10 載置台
20 筐体
30 弾性部材
40 洗浄機構
50 制御手段
60 貯液タンク
70 廃液タンク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10