(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】事前に濡れさせたコンタクト側壁表面を備える集積回路パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/50 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
H01L23/50 L
(21)【出願番号】P 2019570362
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(86)【国際出願番号】 US2018038364
(87)【国際公開番号】W WO2018236930
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-20
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】小松 大基
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 誠
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-112961(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0172275(US,A1)
【文献】米国特許第09576886(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
個々のリードフレームを有するリードフレームストリップを封止することであって、前記リードフレームストリップが前記個々のリードフレームに取り付けられるICダイを含み、少なくとも2つの隣接する個々のリードフレームがコンタクト要素を共有する、前記封止することと、
コンタクト側壁表面を形成するために、前記コンタクト要素に隣接する前記封止されたリードフレームストリップにトレンチを部分的にソーイングすることと、
前記トレンチの一部に事前錫めっき材料を堆積することと、
前記コンタクト側壁表面を前記事前錫めっき材料で覆うために、前記事前錫めっき材料をリフローすることと、
前記封止されたリードフレームストリップを個々のICパッケージに分離することであって、前記個々のICパッケージの各々が前記コンタクト側壁表面を有し、前記事前錫めっき材料が前記コンタクト側壁表面上に保護層を形成する、前記分離することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記事前錫めっき材料が銀ナノ粒子を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記事前錫めっき材料がはんだである、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記事前錫めっき材料がインクジェットプリンタを用いて堆積される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記封止されたフレームストリップを個々のICパッケージに分離することが、前記トレンチより薄い切り口を生成する、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記封止されたリードフレームストリップを個々のICパッケージに分離する前に、前記トレンチの全ての残りの非充填部分を背面充填することを更に含む、方法。
【請求項7】
方法であって、
個々のリードフレームを有するリードフレームストリップを封止することであって、前記リードフレームストリップが前記個々のリードフレームに取り付けられる集積回路(IC)ダイを含み、少なくとも2つの隣接する個々のリードフレームがコンタクト要素を共有する、前記封止することと、
コンタクト側壁表面を形成するために前記コンタクト要素に隣接して前記封止されたリードフレームストリップにトレンチを部分的にソーイングすることと、
前記トレンチの一部に事前錫めっき材料を堆積することと、
前記コンタクト側壁表面を前記事前錫めっき材料で覆うために前記事前錫めっき材料をリフローすることであって、前記事前錫めっき材料が前記コンタクト側壁表面上に保護層を形成する、前記リフローすることと、
前記トレンチの全ての残りの部分を充填材料で充填することと、
前記封止されたリードフレームストリップを個々のICパッケージに分離することであって、前記個々のICパッケージの各々が前記コンタクト側壁表面を有する、前記分離することと、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記充填材料がエポキシ化合物である、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記エポキシ化合物がモールド化合物である、方法。
【請求項10】
方法であって、
個々のリードフレームを有するリードフレームストリップを封止することであって、前記リードフレームストリップが前記個々のリードフレームに取り付けられる集積回路(IC)ダイを含み、少なくとも2つの隣接する個々のリードフレームがコンタクト要素を共有する、前記封止することと、
コンタクト側壁表面を形成するために前記コンタクト要素に隣接する前記封止されたリードフレームストリップ内にトレンチを部分的にソーイングすることと、
前記トレンチ内に事前錫めっき材料を堆積することと、
前記コンタクト側壁表面を前記事前錫めっき材料で覆うために前記事前錫めっき材料をリフローすることであって、前記事前錫めっき材料が前記コンタクト側壁表面上に保護層を形成し、前記リフローすることの後に前記トレンチの少なくとも一部に空いた部分を残す、前記リフローすることと、
前記封止されたリードフレームストリップを個々のICパッケージに分離することであって、前記ICパッケージの各々が前記コンタクト側壁表面を有する、前記分離することと、
を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記事前錫めっき材料が銀ナノ粒子を含む、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、前記事前錫めっき材料がはんだである、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、
前記事前錫めっき材料がインクジェットプリンタを用いて堆積される、方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法であって、
前記封止されたリードフレームストリップを個々のICパッケージに分離することが、前記トレンチよりも薄い切り口を生成する、方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法であって、
前記封止されたリードフレームストリップを個々のICパッケージに分離することの前に前記トレンチを充填材料で裏面充填することを更に含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記充填材料がエポキシ化合物である、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記エポキシ化合物がモールド化合物である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、集積回路パッケージに関し、より詳細には、事前に濡れさせた(pre-wetted)コンタクト側壁表面を備えるパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
クワッドフラットノーリード(QFN)及びデュアルフラットノーリード(DFN)などのフラットノーリードパッケージは、集積回路を印刷回路基板に物理的及び電気的に接続する。マイクロリードフレーム(MLF)及びSON(スモールアウトラインノーリード)としても知られるフラットノーリードは、スルーホールなしで集積回路(IC)を印刷回路基板(PCB)の表面に接続する幾つかのパッケージ技術のうちの1つである、表面実装技術である。フラットノーリードは、平坦な銅リードフレーム基板でつくられる、ほぼチップスケールのプラスチック封止されたパッケージである。パッケージ底部上の周囲ランドが、PCBへの電気的接続を提供する。フラットノーリードパッケージは、ICから出るPCBへの熱伝達を改善するための露出されたサーマルパッドを含む。
【0003】
車が安全及び高信頼性に対する現代の要求を満たすことを確実にするために、オートモーティブ業界は、OEM(original equipment manufacturers)に、回路基板アッセンブリに対して100%自動外観検査(AVI:automatic visual inspection)を実施することを要求する。しかしながら、クワッドフラットノーリード(QFN)パッケージは、パッケージが印刷回路基板(PCB)上に正常にはんだ付けされたかどうかをAVIが判定するために容易に観測可能なはんだ付け可能なピン/端子を有していない。パッケージ端部は、端子のための露出された銅を有する。これらは酸化しやすく、側壁はんだの濡れを困難にする。
【発明の概要】
【0004】
集積回路(IC)パッケージが封止パッケージを含み、封止パッケージは、リードフレームに取り付けられた集積回路ダイを含む。露出されたコンタクト側壁表面と露出されたコンタクト下側表面とを各々有するコンタクトのセットが、リードフレームによって形成される。はんだぬれ性材料の保護層が、各コンタクト側壁表面を覆う。
【0005】
自動外観検査(AVI)を行う方法において、集積回路(IC)パッケージが、基板上のパッドにはんだ付けされる。ICパッケージはコンタクトを有し、コンタクトの各々は、下側表面及び側壁表面を有する。ICパッケージ上のコンタクトの各々に対するはんだ外形が、視覚的に検査され得る。ICパッケージ上のコンタクトの各々について、はんだプロファイルが、コンタクト側壁を実質的に覆うフィレットを形成するとき、接合は合格となり得、そうではなく、はんだプロファイルがコンタクト側壁を実質的に覆うフィレットを形成しないとき、接合は不合格となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】コンタクト側壁が事前錫めっきされているQFN ICパッケージの例示である。
【0007】
【
図2】QFNパッケージが取り付けられたPCBの側部断面図であり、QFNパッケージをはんだ付けすることに関する問題を図示する。
【0008】
【
図3】
図1のQFNを形成するために用いられ得るリードフレームストリップの上面図である。
【0009】
【
図4】
図3のリードフレームストリップの部分のより詳細な図である。
【0010】
【
図5A】
図1のQFNのコンタクト側壁表面を事前錫めっきするために用いられ得るステップのシーケンスを図示する。
【
図5B】
図1のQFNのコンタクト側壁表面を事前錫めっきするために用いられ得るステップのシーケンスを図示する。
【
図5C】
図1のQFNのコンタクト側壁表面を事前錫めっきするために用いられ得るステップのシーケンスを図示する。
【
図5D】
図1のQFNのコンタクト側壁表面を事前錫めっきするために用いられ得るステップのシーケンスを図示する。
【
図5E】
図1のQFNのコンタクト側壁表面を事前錫めっきするために用いられ得るステップのシーケンスを図示する。
【
図5F】
図1のQFNのコンタクト側壁表面を事前錫めっきするために用いられ得るステップのシーケンスを図示する。
【
図5G】
図1のQFNのコンタクト側壁表面を事前錫めっきするために用いられ得るステップのシーケンスを図示する。
【0011】
【
図6】
図1のQFNの製造の間のインクジェットプリンタの使用を図示する。
【
図7】
図1のQFNの製造の間のインクジェットプリンタの使用を図示する。
【0012】
【
図8】PCB上にはんだ付けされた
図1のQFNの側面図を図示する。
【0013】
【
図9】QFN ICのパッケージングを図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面において、一貫性のため、同一の要素は同様の参照数字で示されている。
【0015】
コンタクト側壁はんだカバレージは50~90%の間で変動し得るので、従来のQFNパッケージで100%のAVIを実施することは困難となり得る。OEMは、アッセンブリプロセスが強調された粗悪なはんだ接合を有する真の故障と共に、疑似アッセンブリ故障に起因する歩留まり問題のために、付加的なコストを被り得る。AVIはX線撮像で補充され得るが、良好で信頼性のあるはんだ接合を検査するためにX線装置を用いると更なる費用が加わる。また、AVIシステムによっては、X線装置が利用できないことがある。
【0016】
一実施例が、AVIによって検証され得る信頼性のある側壁はんだカバレージを可能にするために、パッケージ製造の間に事前錫めっきされたコンタクト側壁を備えるQFNパッケージを含み得る。
【0017】
図1は、コンタクト側壁が事前錫めっきされた、QFN ICパッケージ100の例示である。QFNパッケージ100の底部側が図示されている。クワッドフラットノーリード(QFN)及びデュアルフラットノーリード(DFN)などのフラットノーリードパッケージは、集積回路を印刷回路基板に物理的及び電気的に接続する。マイクロリードフレーム(MLF)及びSON(スモールアウトラインノーリード)としても知られるフラットノーリードは、スルーホールなしでICをPCBの表面に接続する幾つかのパッケージ技術のうちの1つである、表面実装技術である。フラットノーリードは、平坦な銅リードフレーム基板でつくられる、ほぼチップスケールのプラスチック封止パッケージである。パッケージ底部上の周囲ランドが、PCBへの電気的接続を提供する。フラットノーリードパッケージは、集積回路から出る(PCBへの)熱伝達を改善するための露出されたサーマルパッドを含む。熱伝達は、サーマルパッドにおける金属ビアによって更に促進され得る。QFNパッケージは、クワッドフラットパッケージ及びボールグリッドアレイに類似している。
【0018】
QFNパッケージ100は、コンタクト102及び103などの、底部側のパッケージの周囲に配列されるコンタクトのセットを含む。コンタクトの各々は、QFNパッケージ100の底部側の露出された表面と、露出された側壁とを有する。サーマルパッド104は、QFN100の底部側の露出された表面を有する。集積回路ダイ(図示せず)が、サーマルパッド104の他方の側に取り付けられる。アッセンブリ全体は、様々なタイプのエポキシ化合物などのモールディング化合物106に封止される。QFNが
図1に示されているが、他の実施例が、側壁コンタクト表面を有し得る1つ又は複数のコンタクトを含み得る他のタイプ集積回路パッケージを用い得る。
【0019】
図2は、QFNパッケージ211、221が取り付けられたPCB210の側部断面図であり、QFNパッケージをはんだ付けすることに関する問題を図示する。この断面図は、コンタクト212を含むQFN210の一部と、コンタクト222を含むQFN221の一部とを図示する。上述したように、QFNパッケージにおける各コンタクトは、露出されたコンタクト下側表面213、223と、露出されたコンタクト側壁表面214、224とを有する。
【0020】
PCB210のアッセンブリの間、215、225で示すように、はんだを用いてQFNがPCB210に取り付けられ得る。PCB210のアッセンブリの後、230で示すようなカメラを用いてAVIプロセスが成され得る。カメラ230は、カメラ230がPCB210の表面の上を移動し、あらゆるはんだ接合を視覚的に検査することを可能にするロボットアームに取り付けられ得る。あるいは、カメラ230は固定され得、カメラ230がPCB210上のすべてのはんだ接合を視覚的に検査し得るように、PCB210を移動させ得るロボットテーブルにPCB210が取り付けられ得る。
【0021】
はんだ接合215などのはんだ接合が、銅パッド216からコンタクト側壁表面214まで延びてコンタクト側壁表面全体を実質的に覆う、平滑なはんだフィレットを形成する場合、コンタクト212とPCBパッド216との間に良好なはんだ接合が形成されたと仮定することができる。本明細書において用いられる場合、「実質的に覆う」という用語は、はんだフィレットが、90~95%など、コンタクト側壁表面の大部分を覆うことを意味する。そのため、221で示すように、カメラ230がはんだ接合215の視野内にあるとき、AVIシステムは、はんだフィレットのサイズ及び構成に基づいて、良好なはんだ接合が形成されたと推論し得る。
【0022】
銅表面上に形成された酸化物など、コンタクト側壁表面224上の汚染は、はんだの濡れ性を阻害し得る。この場合、コンタクト側壁表面224は、はんだオペレーション後に露出されたままとなり得る。多くの場合、コンタクト222の底部表面223が汚染されない限り、コンタクト222とPCBパッド226との間に良好な接合が形成される。しかしながら、場合によっては、底部表面223上に汚染が存在する場合、又はPCBパッド226上に汚染が存在する場合、又は不充分なはんだが塗布された場合など、良好なはんだ接合が形成されないことがある。従って、はんだ接合225などのはんだ接合がコンタクト側壁表面224を吸い上が(wick up)らない場合、232で示すように、コンタクト222とPCBパッド226との間に良好なはんだ接合が形成されたことを視覚的検査によって知らせることは困難である。従って、はんだプロファイルが、コンタクト側壁の実質的な部分を覆うフィレットを含まない場合、接合が不合格となり得る。
【0023】
図3は、
図1のQFN100を形成するために用いられ得るリードフレームストリップ340の上面図である。リードフレームストリップ340は、個々のリードフレームの一つ又はそれ以上のアレイを含み得る。リードフレームストリップ340は、典型的に、サーマルパッドとコンタクトとのパターンを形成するためにエッチング又はスタンピングされた銅シートから製造される。リードフレームストリップ340は、銅の酸化を防止し得、はんだ付けが容易な下側コンタクト表面を提供し得る、錫又はその他の金属でめっきされ得る。ICダイが、341、342で示すように、個々のリードフレームの各々に取り付けられ得る。
【0024】
図4は、リードフレームストリップ340の一部のより詳細な図である。個々のリードフレームの各々は、サーマルパッド404、405などのサーマルパッドを含む。個々のリードフレームの各々は、コンタクト402、403などの、サーマルパッドを囲むコンタクトのセットも含む。金属の犠牲ストリップが、全てのコンタクトを共に接続し、ソーイングプロセスがそれを除去するまで機械的サポートを提供する。ICチップ341、342などのICチップが各サーマルパッドに取り付けられる。次に、各IC上のボンドパッドをリードフレーム上のそれぞれのコンタクトに接続するために、ワイヤボンディングが実施され得る。次に、リードフレームストリップ340全体をモールド化合物の層で覆ってICを封止し得る。リードフレームストリップ340は、その後、切断線448、449に沿って切断することによって、個々のパッケージ化されたICにシンギュレートされ得る。
【0025】
線448、449に沿って切断する前に、隣り合うリードフレームのコンタクトが共に接続される。例えば、コンタクト402及び403は、切断線449に沿って切断する前は単一のユニットである。リードフレームストリップ340をソーイングすると、各QFNパッケージのコンタクト側壁が生成されるが、結果のコンタクト側壁はむき出しの銅表面である。これらの露出された銅コンタクト側壁は、
図2に関して説明したように、はんだの濡れ性を防止し得る酸化の影響を受ける。ここで、コンタクト側壁表面を事前錫めっきするために用いられ得るプロセスについてより詳細に説明する。
【0026】
図5A~
図5Gは、例えば、
図1のQFN100のコンタクト側壁表面を事前錫めっきするために用いられ得るステップのシーケンスを図示する。
図5A~
図5Gは、
図4に図示するように、リードフレームストリップ340の一部の断面図である。
図5Aは、封止プロセス後のリードフレームストリップ340を図示する。ICダイ341、342は、既知の又は今後開発されるダイ取り付けプロセスを用いて、それぞれのサーマルパッド404、405に取り付けられる。コンタクト要素401が、
図5Bに図示される後のステップで切断されて、個別のコンタクト402、403が形成される。ボンドワイヤ551が、ICダイ404上のボンドパッドを、コンタクト要素401の、後にコンタクト402となる部分に接続する。同様に、ボンドワイヤ552が、ICダイ405上のボンドパッドを、コンタクト要素401の、後にコンタクト403となる部分に接続する。モールド化合物506が、既知の又は今後開発されるプロセスを用いてリードフレームストリップ340に塗布されている。
【0027】
図5Bは、コンタクト要素401を個別のコンタクト402、403に分離する部分的に鋸切断されたトレンチ563を形成するためにソー(saw)562を用いるソーイングプロセスを図示する。ソーイングプロセスは、リードフレーム340の全体にわたって、(
図4で図示するように)各切断線448、449に沿って同様の部分的に鋸切断されたトレンチを形成する。上述のように、各コンタクト要素(コンタクト要素401など)を個別のコンタクト(コンタクト402、403など)にソーイングすると、むき出しの銅コンタクト側壁表面が形成される。犠牲金属も、部分的鋸切断によって除去され得る。
【0028】
部分的に鋸切断されたトレンチ563は、コンタクト402、403を完全に分離し、各コンタクト間の金属の犠牲ストリップを除去するために充分な深さであるが、封止されたリードフレームストリップ340を一ピースのままとするために充分な浅さである。
【0029】
図5Cは、ディスペンサ564から、部分的に鋸切断されたトレンチ563内に事前錫めっき材料565を堆積するプロセスを図示する。「事前錫めっき材料」という用語は、むき出しのコンタクト側壁表面上に酸化又は他の汚染物が形成されるのを防止するために、むき出しのコンタクト側壁表面の上に保護層を形成するために用いられ得る任意のタイプの材料を指す。事前錫めっき材料の保護層は、パッケージがPCBにはんだ付けされる際のはんだのためのぬれ性表面を提供する。
【0030】
事前錫めっき材料565は、フラックスを含み得るはんだペーストとし得る。この場合、ディスペンサ564は、例えば、MY600はんだジェットプリンタであり得、これは、PCB上にはんだペーストドットをディスペンスするためにも用いられ得る。
【0031】
別の実施例において、事前錫めっき材料565は、銀(Ag)ナノ粒子を含むインクであり得る。銀ナノ粒子は、典型的に、サイズが1nm~100nmの銀のナノ粒子である。「銀」であるとしばしば記載されるが、表面対バルク銀原子の比が大きいために、銀酸化物のパーセンテージが多いものもある。一般的に用いられる形状は球形の銀ナノ粒子であるが、菱形、八角形、又は他の形状を用いてもよい。
【0032】
この場合、ディスペンサ564は、単一ノズル又はマルチノズルのインクジェットディスペンサであり得る。幾つかの実施例において、インクジェットディスペンサ564は、例えば、500~1000個のインクジェットノズルを有し得る。ナノAgインクの堆積の前及び/又はその間に、むき出しの銅コンタクト側壁表面を洗浄するため、ギ酸などの還元ガスが用いられ得る。
【0033】
図5D及び
図5Eは、堆積された事前錫めっき材料565が加熱されて、リフローし、コンタクト402、403のコンタクト側壁表面を吸い上がってコンタクト側壁を濡らし、それによって、はんだ濡れ性材料の保護層で各コンタクト402、403のコンタクト側壁表面全体を覆う事前錫めっき層566、567を形成する、ベーキングプロセスを図示する。
【0034】
ベーキング温度は、事前錫めっき材料をリフローさせるために充分に高いが、封止材料506にダメージを与えるほど高くはないように、選択される。事前錫めっき材料565がはんだペーストである場合、約200~280℃の範囲の温度が用いられ得る。事前錫めっき材料565がナノAgである場合、例えば、約150~250℃の範囲の温度が用いられ得る。
【0035】
2つのコンタクト402、403のみが図示されているが、リードフレームストリップ340上のコンタクトの全てが同様に処理されている。
【0036】
図5Fは、部分的に鋸切断されたトレンチ563が充填材料568で充填され得る充填プロセスを図示する。充填材料568は、例えば、モールド化合物506と同様のエポキシ化合物であり得る。充填材料568は、例えば、既知の又は今後開発される印刷プロセスを用いて適用され得る。部分的に鋸切断されたトレンチ563を充填することにより、例えば、平滑な側部を有する最終的なQFNパッケージが得られ得る。
【0037】
図5Gは、ソー571を用いて(
図4に図示するように)切断線448、449を完全にソーイングすることによって、封止されたリードフレームストリップ340を個々のQFNパッケージにシンギュレートするソーイングプロセスを図示する。
【0038】
再び
図5Bを参照すると、部分的に鋸切断されたトレンチ563は、封止前の機械的サポートを提供したコンタクトの各々の間の犠牲金属ストリップを除去するために充分な幅の幅574を有する。ソー571は、部分的に鋸切断されたトレンチ563の幅574より狭い幅573を有する切り口(kerf)を生成するように選択され、その結果、事前錫めっきされた層566、567の少なくとも一部がコンタクト402、403のコンタクト側壁表面上に残り、各パッケージがシンギュレートされた後の保護層を形成する。
【0039】
図6は、リードフレーム340の底部表面の一部の拡大図である。この例において、コンタクトは約240μm幅であり、コンタクトとコンタクトとの間隔は約260μmである。部分的に鋸切断されたトレンチ563の幅574は、約200μmである。
【0040】
図7は、
図1のQFNの製造の間のマルチヘッドインクジェットプリンタの使用を図示する。上述したように、事前錫めっき材料565は、銀(Ag)ナノ粒子を含むインクであり得る。この場合、ディスペンサ564は、単一又はマルチノズルインクジェットディスペンサであり得る。幾つかの実施例において、インクジェットディスペンサ564が、例えば、500~1000個のインクジェットノズルを有し得る。ナノAgインクの堆積の前及び/又はその間に、露出された銅コンタクト側壁表面を洗浄するために、ギ酸などの還元ガスが用いられ得る。
【0041】
図8は、PCB810上にはんだ付けされた
図1のQFN100の側部断面図を図示する。QFNは、サーマルパッド104と、コンタクト102、103によって表されるような、サーマルパッド104を囲むコンタクトのセットとを有するリードフレームを含む。コンタクトの各々は、QFNパッケージ100の底部側の露出された表面と、露出された側壁とを有する。例えば、コンタクト102は、QFNパッケージ100の底部側の露出された下側表面813と、露出されたコンタクト側壁814とを有する。同様に、コンタクト103は、QFNパッケージ100の底部側の露出された下側表面823と、露出されたコンタクト側壁824とを有する。各コンタクト側壁表面は、
図5A~
図5Gに関してより詳細に記載したプロセスによって事前錫めっきされている。ICダイ341は、既知の又は今後開発されるダイ取り付け材料854を用いてサーマルパッド104に取り付けられる。
【0042】
コンタクト102は、はんだ815によってPCB810上のパッド816に接続される。同様に、コンタクト103は、はんだ825によってPCB810上のパッド826に接続される。サーマルパッド104は、はんだ830によってパッド831に接続され得る。PCB810は、非導電性基板上に積層された銅シートからエッチングされた、導電性トラック、パッド、及びその他の特徴を用いて、電子的構成要素を機械的にサポートし、電気的に接続する。構成要素(例えば、コンデンサ、抵抗器、又は能動デバイス)は、概して、PCB上にはんだ付けされる。高度なPCBは、基板に埋め込まれた構成要素を含み得る。
【0043】
PCB810は、片側層(一つの銅層)、両側層(二つの銅層)、又は、多層(外側層及び内側層)とし得る。異なる層上の導体がビアで接続され得る。ガラスエポキシが主要な絶縁基板であるが、種々の実施例が、様々なタイプの既知の又は今後開発されるPCBを用い得る。
【0044】
より詳細に上述したように、コンタクト側壁表面814、824などのQFN100のコンタクト側壁表面を事前錫めっきすることによって、はんだ接合815、825によって示されるように、各コンタクトはんだ接合が、コンタクト側壁表面を吸い上がり、フィレットを形成し得る。その後、AVIが、適切なはんだ接合が形成されたかどうかを信頼性をもって決定し得る。
【0045】
図9は、QFN ICの製造を図示するフローチャートである。半導体ウェハが、集積回路のセットを形成するように製造され得、集積回路のセットは、ボックス900に示されるように、既知の又は今後開発される処理技術を用いて、個々のダイにシンギュレートされ得る。
【0046】
次に、ボックス902で示すように、ダイのセットが単一リードフレームストリップに取り付けられ得、既知の又は今後開発されるダイ取り付け処理を用いてリードフレームストリップ上のコンタクトにワイヤボンディングされ得る。
【0047】
次に、既知の又は今後開発される封止材料を用いて、ボックス904で示すように、モールド化合物を用いてリードフレームストリップ全体が封止され得る。
【0048】
ボックス906に示されるように、封止されたリードフレームストリップは、部分的にソーイングされ、
図4及び
図5Bに関してより詳細に記載したように、各個々のリードフレーム間に部分的に鋸切断されたトレンチを形成する。各部分的に鋸切断されたトレンチは、隣り合う個々のリードフレーム間のコンタクトを完全に分離し、各コンタクト間の金属の犠牲ストリップを除去するために充分に深いが、封止されたリードフレームストリップが一ピースのままであるために充分な浅さである。
【0049】
ボックス908で示されるように、事前錫めっき材料が、ディスペンサから、部分的に鋸切断されたトレンチにディスペンスされ得る。事前錫めっき材料は、フラックス、銀(Ag)ナノ粒子を含むインクなどを含み得る、はんだペーストであり得る。ナノAgインクの堆積の前及び/又はその間に、むき出しの銅コンタクト側壁表面を洗浄するために、ギ酸などの還元ガスが用いられ得る。
【0050】
ボックス910に示されるように、ベーキングプロセスが実施され得、堆積された事前錫めっき材料が加熱され、リフローし、コンタクトのコンタクト側壁表面を吸い上がってコンタクト側壁を濡らし、それによって、各コンタクトのコンタクト側壁表面全体を覆う事前錫めっき層を形成する。
【0051】
ボックス912で示すように、部分的に鋸切断されたトレンチが充填材料で充填され得る背面充填プロセスが実施され得る。充填材料は、例えば、ステップ904で用いられるモールド化合物と同様のエポキシ化合物であり得る。充填材料は、例えば、既知の又は今後開発される印刷プロセスを用いて塗布され得る。部分的に鋸切断されたトレンチを充填することが、例えば、平滑な側部を有する最終的なQFNパッケージをもたらし得る。
【0052】
ボックス914に示されるように、ソーイングプロセスが実施され得、封止されたリードフレームストリップが、既知の又は今後開発されるソーイングプロセスを用いて各個々のリードフレーム間を完全にソーイングすることによって、個々のQFNパッケージにシンギュレートされる。ステップ906で形成された部分的に鋸切断されたトレンチは、封止前に機械的サポートを提供したコンタクトの各々の間の犠牲金属ストリップを除去するために充分に幅広い幅を有する。最終的なソープロセスは、部分的に鋸切断されたトレンチの幅より狭い幅を有する切り口を生成するように選択され、その結果、事前錫めっきされた層の少なくとも一部がコンタクトのコンタクト側壁表面上に残るようにする。
【0053】
コンタクト側壁酸化の問題に対する以前の解決策では、隣り合うコンタクトを完全には分離しない部分的な切断を行い、続いて、電気めっきオペレーションを行っていた。電気めっきを行うために各コンタクトに対する電気伝導率が必要とされるため、コンタクトを完全に分離することはできなかった。従って、シンギュレーション後、コンタクト側壁表面の一部は、酸化を受けたむき出しの銅であった。実施例は、コンタクト側壁表面の一部のみの酸化から生じる問題を克服する。
【0054】
他の実施例
本明細書においてナノAgインクが事前錫めっき材料として記載されているが、錫ナノ粒子、金ナノ粒子などの他のタイプの導電性インクを用いてもよい。
【0055】
QFNパッケージに基づく例示の一実施例が本明細書に記載されているが、他の実施例が、デュアルフラットノーリードパッケージ(DFN)、シングルフラットノーリードパッケージ、頂部露出パッドリードレスパッケージ、シン(thin)リードレスパッケージ、及びウルトラシン(ultra thin)リードレスパッケージなどの他のリードレス構成を用い得る。
【0056】
本明細書において、完成したリードフレームストリップをシンギュレートするためにソーイングを説明するが、別の実施例が、レーザー切断、ウォータージェット切断などの他の手法をシンギュレーションのために用い得る。
【0057】
本明細書において銅リードフレームストリップが記載されているが、他の実施例が、酸化を受ける、他の導電性金属又は非金属性材料から構築されたリードフレームを用い得る。
【0058】
本明細書において、リードフレームの表面の錫めっきが、露出されたコンタクト下側表面を保護するように記載されているが、別の実施例が、リードフレーム表面の酸化を防止し、はんだぬれ性である別の材料を用いて、リードフレームストリップの表面を処理し得る。
【0059】
本明細書において、幾つかの相互接続層を有し得るガラスエポキシ印刷回路基板が記載されているが、別の実施例が、多層セラミックなどの異なる基板を用い得る。
【0060】
本記載において、「結合」という用語及びその派生語は、間接的、直接的、光学的、及び/又はワイヤレスの電気的接続を意味する。従って、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的な電気的接続を介するものであり得、他のデバイス及び接続を介した間接的な電気的接続を介するものであり得、光学的電気的接続を介するものであり得、及び/又はワイヤレス電気的接続を介するものであり得る。
【0061】
本明細書において、方法のステップが逐次的に提示及び説明され得るが、図示及び説明したステップのうちの1つ又は複数が、省略され得、繰り返され得、同時に実施され得、かつ/又は、図示され及び/又は本明細書で説明された順序とは異なった順序で実施され得る。従って、実施例は、図示され及び/又は本明細書で説明されるステップの特定の順序に限定されない。
【0062】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。