(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】アクティブアンテナのためのフォトニックビームフォーミング
(51)【国際特許分類】
H04B 10/60 20130101AFI20240618BHJP
【FI】
H04B10/60
(21)【出願番号】P 2023569772
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2022065853
(87)【国際公開番号】W WO2022258815
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2024-01-10
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512276430
【氏名又は名称】エアバス ディフェンス アンド スペイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラグナ、ヴィクター マヌエル フェルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】バラキエル、カタルジナ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】マクマナス、ニアル
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/170466(WO,A1)
【文献】特開2013-172400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星ペイロードのためのフォトニックビームフォーミングシステムであって、
1つ又は複数の信号ビームを受信する複数のN個のアンテナ要素からの複数のN個の電気信号を、光搬送波上に変調して、それぞれの複数のN個の光信号を出力するように構成された変調ステー
ジ、
ここで、整数L>1についてN=2
L
である;及び
前記複数のN個の光信号を受信する入力を有するネットワーク、ここで、前記ネットワークは、前記1つ又は複数の信号ビームを
、前記複数のN個のアンテナ要素に対する所定の複数のN個のビーム角度の各々に
分解して、前記複数のN個の光信号の各1つについて、前記複数
のN個の光信号のうちの他のN-1の各々が、それぞれの位相シフトによって前記複数のN個の光信号のうちの前記1つに対して位相シフトされる状態で、前記複数のN個の光信号のうちの前記1つを総和するこ
とによって、前記ネットワークの出力から、前記所定の複数のN個のビーム角度の各々に対応する複数のN個のビームフォーミングされた信号を出力するように配置されている;
を備え、前記それぞれの位相シフトの各々は、前記複数のN個の光信号のうちの前記1つが、総和されると前記他のN-1個の位相シフトされた複数の光信号の各々と干渉して、前記所定の複数のN個のビーム角度のうちのそれぞれ1つを有するビームフォーミングされた信号を形成するようになっており
、
前記ネットワークは、複数
のL・2
L-1
個の2×2光カプラを含み
、前記複数のL・2
L-1
個の2×2光カプラの各々は、2つの光信号入力及び2つの光信号出力を有し、各2×2光カプラは、前記2×2光カプラによって前記2×
2光カプ
ラの前記2つの光信号入力に入力された前記複数
のN個の光信号のそれぞれのペア間で適用される位相シフトを制御する制御入力を有し
、
光高速フーリエ変換(OFF
T)
が、前記複数の
L・2
L-1
個の2×2光カプラの各々において適用される前記それぞれの位相シフトを制御するこ
と、及び前記ネットワークの前記入力及び前記出力の間に2
L-1
個のカプラのLランクのシーケンスにおいて前記複数のL・2
L-1
個の2×2光カプラを配置することによって前記複数のN個の光信号に適用され、ここで、前記Lランクは、前記ネットワークの前記出力における出力ランク、及び前記シーケンスにおいて前記出力ランクに先行する1つ又は複数の更なるランクを含み、
それにより、前記1つ又は複数の更なるランクにおける前記複数のL・2
L-1
個の2×2光カプラの各々について、前記2つの光出力のうちの第1のものが、前記シーケンスにおける後続ランクにおける第1のカプラの入力に接続され、前記2つの光出力のうちの第2のものが、前記シーケンスにおける前記後続ランクにおける第2のカプラの入力に接続される、フォトニックビームフォーミングシステム。
【請求項2】
前記複数
のL・2
L-1
個の2×2光カプラの各々は、その入力の各々において調節可能位相シフタを含み、各調節可能位相シフタは、それぞれのビームフォーミング制御入力によって制御される、請求項1に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
【請求項3】
前記複数
のL・2
L-1
個の2×2光カプラの各々は、その入力のうちの一方において調節可能位相シフタ、及びその入力のうちの他方において固定位相シフタを含み、前記調節可能位相シフタは、それぞれのビームフォーミング制御入力によって制御される、請求項1に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
【請求項4】
前
記衛星ペイロードにおける処理のために前記ネットワークによって出力された前記ビームフォーミングされた信号のサブセットを選択するように構成されたスイッチングステージを更に備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
【請求項5】
前記スイッチングステージは、ビームホッピングスキームに従って前記ビームフォーミングされた信号の前記サブセットを選択するように構成されている、請求項4に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
【請求項6】
衛星ペイロードのためのフォトニックビームフォーミングシステムであって
、
複数のN個の光信号を受信する入力を有するネットワーク、ここで、前記ネットワークは、前記複数のN個の光信号の各1つについて、前記複数
のN個の光信号のうちの他のN-1の各々が、それぞれの位相シフトによって前記複数のN個の光信号のうちの前記1つに対して位相シフトされる状態で、前記複数のN個の光信号のうちの前記1つを総和するこ
とによって、複数のN個のアンテナ要素に対する所定の複数のN個のビーム角度のうちのそれぞれ1つ又は複数において、前記ネットワークの出力における前記複数のN個の入力光信号から、1つ又は複数のビームフォーミングされた信号を生成するように配置されており、
ここで、整数L>1についてN=2
L
であり、
前記それぞれの位相シフトの各々は、前記複数のN個の光信号のうちの前記1つが、総和されると前記他のN-1個の位相シフトされた複数の光信号の各々と干渉して、前記所定の複数のN個のビーム角度のうちのそれぞれ1つを有するビームフォーミングされた信号を形成するようになっ
ている;及び
前記複数
のN個のアンテナ要素による前記1つ又は複数のビームにおける送信のために、前記1つ又は複数のビームフォーミングされた光信号を1つ又は複数の電気信号に変換するように構成された変換ステージ;
を備え、前記ネットワークは、複数
のL・2
L-1
個の2×2光カプラを含み
、前記複数のL・2
L-1
個の2×2光カプラの各々は、2つの光信号入力及び2つの光信号出力を有し、各2×2光カプラは、前記2×2光カプラによって前記2×
2光カプ
ラの前記2つの光信号入力に入力された前記複数
のN個の光信号のそれぞれのペア間で適用される位相シフトを制御する制御入力を有
し;
光逆高速フーリエ変換(OIFF
T)が、前記複数の
L・2
L-1
個の2×2光カプラの各々において適用される前記それぞれの位相シフトを制御するこ
と、及び前記ネットワークの前記入力及び前記出力の間に2
L-1
個のカプラのLランクのシーケンスにおいて前記複数のL・2
L-1
個の2×2光カプラを配置することによって前記複数のN個の光信号に適用され、ここで、前記Lランクは、前記ネットワークの前記出力における出力ランク、及び前記シーケンスにおいて前記出力ランクに先行する1つ又は複数の更なるランクを含み、
それにより、前記1つ又は複数の更なるランクにおける前記複数のL・2
L-1
個の2×2光カプラの各々について、前記2つの光出力のうちの第1のものが、前記シーケンスにおける後続ランクにおける第1のカプラの入力に接続され、前記2つの光出力のうちの第2のものが、前記シーケンスにおける前記後続ランクにおける第2のカプラの入力に接続される、フォトニックビームフォーミングシステム。
【請求項7】
前記複数
のL・2
L-1
個の2×2光カプラの各々は、その入力の各々において調節可能位相シフタを含み、各調節可能位相シフタは、それぞれのビームフォーミング制御入力によって制御される、請求項6に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
【請求項8】
前記複数
のL・2
L-1
個の2×2光カプラの各々は、その入力のうちの一方において調節可能位相シフタ、及びその入力のうちの他方において固定位相シフタを含み、前記調節可能位相シフタは、それぞれのビームフォーミング制御入力によって制御される、請求項6に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
【請求項9】
前記ネットワークへの提供のために、前記入力された信号のうちの少なくとも1つを複数の入力信号にスイッチング及び/又は分割するように構成された光スイッチ及び/又はスプリッタを更に備える、請求項6~8のいずれか1項に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
【請求項10】
第1の複数のアンテナ要素から複数の信号を受信するように配置された請求項1
~3のいずれか1項に記載の第1のフォトニックビームフォーミングシステム;
前記第1のフォトニックビームフォーミングシステムによって出力された前記複数
のN個のビームフォーミングされた信号を処理するように配置された1つ又は複数のフォトニック信号プロセッサ;及び
前記1つ又は複数のフォトニック信号プロセッサによって出力された複数の信号を受信するとともに、第2の複数のアンテナ要素を介して1つ又は複数の送信ビームを出力するように配置された請求項6
~8のいずれか1項に記載の第2のフォトニックビームフォーミングシステム
を備える、フォトニック衛星ペイロード。
【請求項11】
前記変調ステージは、複数の電気光
学(EO)変調器を更に有し、前記フォトニックビームフォーミングシステムは
、
OFFTネットワークによって出力された前記複数
のN個のビームフォーミングされた信号
を電気ドメインに変換するように構成された複数の光検出器を有する変換ステージ;及び
前記変換ステージのために前記光搬送波及び光局部発振器信号を供給するように配置された光周波数生成ユニット
を更に備える、請求項1
~3のいずれか1項に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
【請求項12】
前記衛星ペイロードからの複数の電気信号を光搬送波上に変調して、前記ネットワークへの入力のためにそれぞれの複数の光信号を出力するように構成された変調ステージを更に備え;
前記変換ステージは、複数の光検出器を有し;
前記フォトニックビームフォーミングシステムは、前記変換ステージのために前記光搬送波及び光局部発振器信号を供給するように配置された光周波数生成ユニットを更に備える、請求項6
~8のいずれか1項に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
【請求項13】
第1の複数のアンテナ要素から複数の信号を受信するように配置された請求項11に記載の第1のフォトニックビームフォーミングシステム;
前記第1のフォトニックビームフォーミングシステムによって出力され
た複数のビームフォーミングされた電気信号を処理するように配置された1つ又は複数のデジタル信号プロセッサ;及び
前記1つ又は複数のデジタル信号プロセッサによって出力された複数の電気信号を受信するとともに、第2の複数のアンテナ要素を介して1つ又は複数の送信ビームを出力するように配置された請求項12に記載の第2のフォトニックビームフォーミングシステム
を備える、衛星ペイロード。
【請求項14】
請求項1
0に記載
のフォトニック衛星ペイロードを備える衛星。
【請求項15】
請求項13に記載の衛星ペイロードを備える衛星。
【請求項16】
請求項1~3のいずれか1項に記載のフォトニックビームフォーミングシステム;
1つ又は複数の干渉信号について前記フォトニックビームフォーミングシステムの前記ネットワークの前記出力をモニタリングし、前記1つ又は複数の干渉信号の1つ又は複数のそれぞれの干渉ビーム角度を決定するように構成された干渉モニタリングステージ;
前記ネットワークの前記出力において前記1つ又は複数の干渉ビーム角度をヌリングするように構成されたヌリングステージ;及び
前記1つ又は複数の干渉ビーム角度を伴うことなく逆OFFTを適用することによって前記フォトニックビームフォーミングシステムへ入力された前記信号を再構成するように構成された更なるネットワーク
を備える、干渉相殺システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波フォトニクスに関し、具体的には、衛星ペイロードとともに使用されるアクティブアンテナのためのフォトニックビームフォーミングに関する。
【背景技術】
【0002】
とりわけ無線電気通信システム、超高スループット衛星(VHTS)、レーダデバイス及び全球航法システムを含む多種多様な応用のために大型のアクティブアンテナがますます使用されている。アクティブアンテナの動作のための重要な実現要素のうちの1つは、ビームフォーミング技術であり、これは、アクティブアンテナから送信されるか又は当該アクティブアンテナにおいて受信される信号の指向性が、アクティブアンテナアレイの個々の要素間の位相の制御に基づいて操作されることを可能にする。
【0003】
典型的には、ビームフォーミングは、アナログ無線周波数(RF)及びデジタル技術を使用して実行される。フォトニックビームフォーマは、複数の利益を提供する代替的な実装を表す。例えば、フォトニックビームフォーミングは、ビーム配分における柔軟性を可能にしながら、広周波数帯域にわたって動作することが可能である。さらに、フォトニックビームフォーミングシステムは、典型的なRFビームフォーミングネットワークにおいて利用される導波路又は同軸ケーブルと比較して、組み立てが迅速であり、コネクタ当たりで高密度のファイバを提供し、柔軟性があり、低い曲げ半径を有する光ファイバを利用する。衛星ペイロードにおける展開について特に注目すべきこととして、フォトニックビームフォーミングシステムは、低電力を消費するとともに、低重量かつコンパクトな設計を提供するように設計され得る。
【0004】
フォトニックビームフォーミングに対する典型的な手法は、到来信号に対するビームフォーミングのために必要な位相シフトを適用するために完全に動的な「実時間遅延」(TTD)システムを使用することである。TTDビームフォーミングの解決手段は、各アンテナ要素からの信号間の相対位相及び遅延を制御することに依拠する。この結果、N個のアンテナ要素を備えるシステムのためにN×N制御入力がもたらされる。そのようなシステムは、Drummond他による「Photonic True-Time Delay Beamforming Based on Polarization-Domain Interferometers」(Journal Of Lightwave Technology, Vol.28, No. 17, September 1, 2010)において記載されており、これは、ビームフォーミングのために必要な位相シフトを提供するために調節可能TTDラインに依拠する。
【0005】
制御アーキテクチャの複雑性がアンテナ要素の数とともに二次的にスケーリングするので、大型アンテナアレイのための光ビームフォーミングの実装は困難になる。それゆえ、TTD光ビームフォーマのペイロード容量は、この複雑性によって制限される。
【0006】
本発明の実施形態は、光ビームフォーミングの改善された実装を提供することを目的とする。この削減は、フォトニックビームフォーミングシステムにおける光高速フーリエ変換(OFFT)ネットワークの使用によって達成される。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一態様によれば、衛星ペイロードのためのフォトニックビームフォーミングシステムであって、1つ又は複数の信号ビームを受信する複数のアンテナ要素からの複数の電気信号を、光搬送波上に変調して、それぞれの複数の光信号を出力するように構成された変調ステージ;及び複数の2×2光FFTカプラを有する光高速フーリエ変換(OFFT)ネットワーク、ここで、前記OFFTネットワークが、各光FFTカプラによって適用される位相シフトによって定義された複数のビーム角度に対応する複数のビームフォーミングされた信号を出力するように、各光FFTカプラは、前記光FFTカプラに入力される前記複数の光信号のペア間で位相シフトを適用するように配置されている、を備える、フォトニックビームフォーミングシステムが提供される。
【0008】
前記OFFTネットワークにおける前記複数の光FFTカプラの各々は、その入力の各々において調節可能位相シフタを含んでよく、各調節可能位相シフタは、それぞれのビームフォーミング制御入力によって制御されてよい。
【0009】
前記OFFTネットワークにおける前記複数の光FFTカプラの各々は、その入力のうちの一方において調節可能位相シフタ、及びその入力のうちの他方において固定位相シフタを含んでよく、前記調節可能位相シフタは、それぞれのビームフォーミング制御入力によって制御される。
【0010】
前記フォトニックビームフォーミングシステムは、前記ペイロードにおける処理のために前記OFFTによって出力された前記ビームフォーミングされた信号のサブセットを選択するように構成されたスイッチングステージを更に備えてよい。
【0011】
前記スイッチングステージは、ビームホッピングスキームに従って前記ビームフォーミングされた信号の前記サブセットを選択するように構成されてよい。
【0012】
本発明の別の態様によれば、衛星ペイロードのためのフォトニックビームフォーミングシステムであって、複数の2×2光FFTカプラを有する光逆高速フーリエ変換、OIFFT、ネットワーク、ここで、前記OIFFTネットワークが、各光FFTカプラによって適用される位相シフトによって定義された1つ又は複数のビームのために複数のビームフォーミングされた光信号を出力するように、各光FFTカプラは、前記OIFFTネットワークに入力される複数の光信号のペア間で位相シフトを適用するように配置されている;及び複数のアンテナ要素による前記1つ又は複数のビームにおける送信のために、前記複数のビームフォーミングされた光信号を電気信号に変換するように構成された変換ステージを備える、フォトニックビームフォーミングシステムが提供される。
【0013】
前記OIFFTネットワークにおける前記複数の光FFTカプラの各々は、その入力の各々において調節可能位相シフタを含んでよく、各調節可能位相シフタは、それぞれのビームフォーミング制御入力によって制御されてよい。
【0014】
前記OIFFTネットワークにおける前記複数の光FFTカプラの各々は、その入力のうちの一方において調節可能位相シフタ、及びその入力のうちの他方において固定位相シフタを含んでよく、前記調節可能位相シフタは、それぞれのビームフォーミング制御入力によって制御されてよい。
【0015】
前記フォトニックビームフォーミングシステムは、前記OIFFTへの提供のために、前記入力された信号のうちの少なくとも1つを複数の入力信号にスイッチング及び/又は分割するように構成された光スイッチ及び/又はスプリッタを更に備えてよい。
【0016】
本発明の別の態様によれば、第1の複数のアンテナ要素から複数の信号を受信するように配置された上記で説明されたような第1のフォトニックビームフォーミングシステム;前記第1のフォトニックビームフォーミングシステムによって出力された前記複数のビームフォーミングされた信号を処理するように配置された1つ又は複数のフォトニック信号プロセッサ;及び前記1つ又は複数のフォトニック信号プロセッサによって出力された複数の信号を受信するとともに、第2の複数のアンテナ要素を介して1つ又は複数の送信ビームを出力するように配置された上記で説明されたような第2のフォトニックビームフォーミングシステムを備える、フォトニック衛星ペイロードが提供される。
【0017】
前記変調ステージは、複数の電気光学、EO、変調器を更に有してよく、前記フォトニックビームフォーミングシステムは、前記OFFTネットワークによって出力された前記複数のビームフォーミングされた信号を前記電気ドメインに変換するように構成された複数の光検出器を有する変換ステージ;及び前記変換ステージのために前記光搬送波及び光局部発振器信号を供給するように配置された光周波数生成ユニットを更に備えてよい。
【0018】
前記フォトニックビームフォーミングシステムは、前記衛星ペイロードからの複数の電気信号を光搬送波上に変調して、前記OIFFTネットワークへの入力のためにそれぞれの複数の光信号を出力するように構成された変調ステージを更に備えてよく;前記変換ステージは、複数の光検出器を有してよく;前記フォトニックビームフォーミングシステムは、前記変換ステージのために前記光搬送波及び光局部発振器信号を供給するように配置された光周波数生成ユニットを更に備えてよい。
【0019】
本発明の別の態様によれば、第1の複数のアンテナ要素から複数の信号を受信するように配置された上記で説明されたような第1のフォトニックビームフォーミングシステム;前記第1のフォトニックビームフォーミングシステムによって出力された前記複数のビームフォーミングされた電気信号を処理するように配置された1つ又は複数のデジタル信号プロセッサ;及び前記1つ又は複数のデジタル信号プロセッサによって出力された複数の電気信号を受信するとともに、第2の複数のアンテナ要素を介して1つ又は複数の送信ビームを出力するように配置された上記で説明されたような第2のフォトニックビームフォーミングシステムを備える、衛星ペイロードが提供される。
【0020】
本発明の別の態様によれば、上記で説明されたようなペイロードを備える衛星が提供される。
【0021】
本発明の別の態様によれば、上記で説明されたようなフォトニックビームフォーミングシステム;1つ又は複数の干渉信号について前記OFFTネットワークの前記出力をモニタリングし、前記1つ又は複数の干渉信号の1つ又は複数のそれぞれの干渉ビーム角度を決定するように構成された干渉モニタリングステージ;前記OFFTネットワークの前記出力において前記1つ又は複数の干渉ビーム角度をヌリングするように構成されたヌリングステージ;及び前記1つ又は複数の干渉ビーム角度を伴うことなく前記フォトニックビームフォーミングシステムへの前記信号入力を再構成するように構成されたOIFFTネットワークを備える、干渉相殺システムが提供される。
【0022】
以下の開示から明らかになるように、本発明の実施形態は、既存の実装と比較して、所与の数のアンテナ要素についてビームフォーミングを達成するために要求される制御入力の数の削減に関連付けられる。したがって、本発明の実施形態は、提供される改善されたスケーラビリティに起因する衛星ペイロードへの高い能力提供を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る、Rxフォトニックビームフォーミングシステムを示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る、2つの調節可能入力ポートを有する2×2光FFTカプラを示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る、8×8光高速フーリエ変換ネットワークを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る、1つの調節可能位相入力ポート、及び1つの固定位相入力ポートを有する、2×2光FFTカプラを示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る、デジタルペイロードプロセッサへの出力のために構成されたRxフォトニックビームフォーミングシステムを示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る、Txフォトニックビームフォーミングシステムを示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る、デジタルペイロードプロセッサからの出力の受信のために構成されたTxフォトニックビームフォーミングシステムを示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る、フォトニックRx及びTxビームフォーミングシステム及びフォトニックペイロードプロセッサを有する、フォトニックペイロードを示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る、デジタルペイロードプロセッサへの出力のために構成されたフォトニックRx及びTxビームフォーミングシステム、及びデジタルペイロードプロセッサを有する、デジタルペイロードを示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る、干渉相殺システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態は、ダウンリンクを介した送信のために、アップリンクを介して受信されたRF又は他の周波数帯域信号を処理する衛星ペイロードの文脈において、以下で説明される。ペイロードは、デジタル又はフォトニックであってよい。
【0025】
RF信号は、フェーズドアレイとして制御可能なアンテナ要素のアレイを各々が備える1つ又は複数のアクティブアンテナによって送信及び受信される。信号は、衛星ペイロードが同期される特定のスケジュールに従って定義されたカバレッジエリアを有する、1つ又は複数のビームにおいて送信及び受信される。
【0026】
ビームの指向性は、フォトニックビームフォーミングシステムによるアンテナ要素の制御に依存する。受信(Rx)ネットワークのケースでは、本発明の実施形態に係るフォトニックビームフォーミングシステムは、例えばRxアンテナの照準に対する複数のそれぞれのビーム角度の各々で受信される入力を表す複数のビームフォーミングされた信号が出力されるように、入力信号に対する位相オフセットを適用するように動作する。関連付けられたビーム内に含まれる情報は、ペイロードプロセッサによって処理される。相対位相オフセットは、方向であって、当該方向からアンテナ要素の対応するペアにおいて受信される信号が強め合うように結合する、方向を定義するために、アンテナ要素信号のペアに適用される。
【0027】
送信(Tx)ネットワークのケースでは、本発明の実施形態に係るフォトニックビームフォーミングシステムは、所望のビーム方向においてTxアンテナの要素の複数のペアから送信された信号間で強め合う干渉を引き起こす当該複数のペア間での位相オフセットを制御するように動作する。
【0028】
本発明の実施形態は、衛星ペイロード及びアンテナに適合し、これらとともに使用することができる、単独でのRx及びTxフォトニックビームフォーミングシステムに関する。本発明の他の実施形態は、アンテナとともに使用するための、デジタル又はフォトニックプロセッサを備えるペイロード、及びRx及びTxフォトニックビームフォーミングシステムに関する。
【0029】
Rxビームフォーミングシステム
図1は、本発明の実施形態に係る、Rxフォトニックビームフォーミングシステム1を示す概略図である。フォトニックビームフォーミングシステム1は、RxアンテナのN個の要素20-1...20-nの各々から信号を受信し、これらを光ドメインに変換し、光高速フーリエ変換(OFFT)ネットワーク7を使用して、受信された信号の指向性を、それらのそれぞれのビーム角度に基づいてビームに分解する。
【0030】
本実施形態では、ビームフォーミングされた信号8-1...8-nのうちの少なくとも幾つかは、1つ又は複数のペイロードプロセッサによって処理するために出力される。ビームフォーミングされた信号8-1...8-nは、N個の要素20-1...20-nからの信号23-1...23-nのうちの各々の総和から形成され、それらの間の位相シフトは、特定のビーム角度の方向における信号23-1...23-n間の強め合う干渉を発生させる。
【0031】
信号パスは、
図1において左から右に向かって、それぞれの機能に関連付けられたモジュール、サブシステム、ネットワーク、ユニット又はコンポーネントを表す、本明細書において「ステージ」と称される一連のものを通して示されている。各ステージは、幾つかの実施形態では、物理的に別個であってよく、ここでは、アナログ及びデジタルドメインにおいて、信号は、電気ケーブルを介してステージ間で送信される。光ドメインでは、信号は、光ファイバを介してステージ間で送信される。代替的な実施形態では、ステージのうちの幾つか又は全てが、例えばフォトニック集積回路として、物理的に結合されてよい。これらの変換は、以下の説明全体を通して適応されることになる。
【0032】
N個の信号は、アレイとして配置されたそれぞれのN個のアンテナ要素20-1...20-nにおいて受信される。信号は、マイクロ波又はRF信号であってよいが、ペイロードによって要求される任意の適した周波数帯域に対応してよい。
【0033】
受信された信号は、例えば減衰器21-1...21-n、及び増幅22-1...22-nを使用する雑音の除去によって、当該技術分野において既知のように調整され、電気信号23-1...23-nとしてRxフォトニックビームフォーミングシステム1にフィードされる。
【0034】
ビームフォーミングシステム1において、N個の入力信号23-1...23-nは、変調ステージ2において光ドメインに変換される。N個の入力信号の各々は、特定の波長のそれぞれの光搬送波4-1...4-nを変調する。本実施形態では、各光搬送波4-1...4-nの波長は同じであり、光搬送波4-1...4-nは、周波数生成ユニット5によって同時生成される。変調ステージ2によって生成された複数の光信号6-1...6-nは、ビームフォーミングのためにOFFTステージ又はネットワーク7に入力される。
【0035】
OFFTネットワーク7によって提供されたビームフォーミングされた信号8-1...8nのうちの少なくとも幾つかは、ペイロードに搭載された1つ又は複数のプロセッサによって処理するために出力される。
【0036】
OFFTネットワーク7は、変調ステージ2から出力された複数の光信号6-1...6-nに高速フーリエ変換(FFT)動作を適用するように構成されており、当該OFFTネットワーク7は、入力信号6-1...6-nを、複数のビーム角度の各々に関連付けられた出力8-1...8-nに変換する。ビーム角度は、信号の複数のペア間で適用された位相オフセットに依存し、OFFTネットワーク7への一連の制御入力9によって位相オフセットを制御することによって、要求されるビームを取得するために所望に応じてビームフォーミングシステムを制御することが可能である。
【0037】
典型的なFFTアルゴリズムは、サンプルxn(0≦n≦N-1)のNのシーケンスの離散フーリエ変換(DFT)から導出され、ここで、N=2Lであり、Lは、整数である。DFTは、各サンプルxj+1(0≦j≦N-1)が、特定の位相オフセットΦによってそのそれぞれの隣接サンプルxjに対して位相シフトされているN個のサンプルを総和することを伴う。各サンプル間の位相オフセットは、ラジアン単位で表される場合、0≦k≦N-1のとき、DFTシーケンスにおける出力Xkについて、(2π/N)・kである。
【0038】
数学的に、これは、複素数iについて、式1によって表される:
【数1】
DFTを計算するプロセスを高速化するために、FFTは、N個の入力サンプルを「奇数」及び「偶数」部分行列に分割し、式2において示されているように、サイズN/2の2つのより小さいDFT問題を作成する:
【数2】
この分割プロセスは、それぞれ「奇数」及び「偶数」部分行列のサイズが2に等しくなる点まで、最大で2
L-1回、各部分行列に対して反復的に繰り返され得る。これらの2
L-1回のDFTの各々が計算され、完全DFT解を生成するために総和される。
【0039】
本発明の実施形態では、OFFTネットワーク7は、上記で説明されたプロセスに類似したプロセスにおいて、FFTを計算するのに使用される。このケースでは、N個のサンプルは、変調ステージ2によってOFFTネットワーク7に提供される、複数の光信号6-1...6-nを表す。
【0040】
2
L-1個の「奇数」及び「偶数」部分行列に対する解を計算するプロセスは、複数の2×2光カプラ(例えば、非対称指向性カプラ又はマルチモード干渉計を有する)を使用して実行され、これらは各々、本明細書において2×2光FFTカプラ30と称され、各カプラは、単一の2要素行列に類似している。
図2を参照して説明されるように、この計算は、カプラ30の2つの入力ポート33-1、33-2において入力位相を制御することによって達成される。
【0041】
2×2光FFTカプラ30の動作は、直交ハイブリッドカプラ(QHC)に類似しており、
図2においてその2つの入力ポート33-1、33-2の各々において入力光信号を受信するものとして表され、当該入力光信号は、結合の前にそれぞれの調節可能位相シフタ32-1、32-2によって制御可能に位相シフトされ得る。信号がカプラを通って進むにつれて、それらは、互いに干渉し、カプラの2つの出力ポートのうちの一方34-1において、2つの入力信号の総和、及び他方の出力ポート34-2において、2つの入力信号間の差が生成される。
【0042】
カプラへの入力信号間の相対位相は制御され得るので、信号が強め合うように干渉するのか又は弱め合うように干渉するのかを定義することが可能である。位相入力は、式(1)を満たすために要求されるそれぞれの位相シフトが、k、n及びNの特定の値について適切に光信号に適用され得るように、調節可能位相シフタ32-1、32-2のために制御入力31-1、31-2によって選択される。加えて、このようにして位相シフトを制御する能力は、例えば製造又は動作中のカプラにわたる温度変動によってもたらされる位相誤差の訂正を可能にする。温度効果補償のケースでは、カプラへの制御入力の部分は、カプラに近接した温度センサ、及び動的に必要な位相シフトを決定するペイロードのオンボードコントローラによって実行されるアルゴリズムを含むフィードバックループの一部を形成してよい。
【0043】
制御入力31-1、31-2は、ペイロードの一部を形成するコントローラによって提供されてよい。代替的には、制御入力31-1、31-2は、地上局から受信された信号の一部として提供されてよい。
【0044】
本発明の実施形態では、2L-1個の2×2光FFTカプラ30は、N個の信号を処理するためにL「ランク」の各々において配置される。このプロセスは、FFTを実装するときに2L-1個の2要素部分行列を計算することに類似する。当業者によって認識されるように、N個の入力信号についてのFFTの計算を提供するためにこのようにして計L・2L-1個のカプラ30を配置することが可能である。各カプラは2つの制御入力31-1、31-2を有するので、それゆえ、OFFTネットワーク7は、全体として、N log2(N)個の制御入力を要求することになる。
【0045】
8×8OFFTネットワーク40の一例が、本発明の実施形態に従って、
図3において示されている。ここで、信号は、アンテナ要素41-1...41-8において受信され、変調ステージ42において光搬送波上に変調され、8×8OFFTネットワーク40を通じて渡される。これは、8つのビームフォーミングされた信号44-1...44-8を出力し、各々が、それぞれのビーム角度に関連付けられる。
【0046】
上記で説明されたように、N個の信号23-1...23-nについて、OFFTネットワーク7は、N個のビームフォーミングされた光信号8-1...8-nを出力するためにN log
2(N)個の制御入力を要求する。
図3の8×8ビームフォーミングシステム40のケースでは、要求される制御入力の数は、調節可能位相シフタ43の数に対応し、24に等しい。
【0047】
より一般的には、幾つかの実施形態では、N点OFFTネットワーク7は、K個の相互接続されたモジュールから構成されてよく、ここで、各モジュールは、(N/K)点FFTを実行する。OFFTフォトニック集積回路(PIC)に基づいたK個のモジュールの各々は、構造及び性能の一貫性を改造するとともにスケーラビリティを可能にするために、同じ製造プロセスを使用して形成されてよい。
【0048】
それゆえ、ビームフォーミングにおけるOFFTネットワーク7の特定の使用は、N×N制御入力9を要求する典型的なTTDビームフォーミングシステムと比較して複雑性の低減を提供する。それゆえ、例えば1,000個の要素を有するアンテナについて、典型的なTTDビームフォーミングシステムでは1,000,000個の制御点を要求することになる一方、本発明の実施形態に係るビームフォーミングシステムでは3,000個のみを要求することになることが理解されるであろう。したがって、実施形態は、典型的なデバイスを用いて可能であるものよりもはるかにコンパクトであることに加えて、特にスケーリング可能である。ペイロード容量は、結果として大幅に増大され得、衛星トラフィックにおける増大する需要を満たし得る超高スループット衛星応用が可能になる。さらに、本明細書において説明されるフォトニックビームフォーミングシステムは、完全な電力プーリングを提供することができる。フォトニックビームフォーミングシステムが高度にスケーリング可能であるので、この電力プーリングによって与えられる利益もスケーリング可能である。
【0049】
本発明の幾つかの実施形態では、OFFTネットワーク7における(又は、以下でより詳細に説明されるOIFFTネットワークにおける)信号23-1...23-nのそれぞれのペア間の位相シフトを制御するのに使用される2×2光FFTカプラ30は、
図4の光FFTカプラ50に置き換えられ得る。
【0050】
そのようなカプラ50は、入力ポートのうちの一方56に対して固定位相シフト55、及び他方の入力ポート54に対して調節可能位相シフト53を実装する。調節可能位相シフト53は、制御入力51を介して制御可能である。複数のそのような位相カプラ50が、
図2の2×2光FFTカプラ30に類似した方式で、OFFTネットワーク7又はOIFFTネットワークを形成するように配置される場合、制御入力51は、それぞれのOFFT7及びOIFFTネットワークの制御入力である。
【0051】
調節可能位相シフタ53は、周囲の固定位相シフタ55からの任意の位相誤差(例えば、製造公差又は温度変化に起因する)を訂正するのに使用することができる。
【0052】
OFFTネットワーク7又はOIFFTネットワークにおいてそのようなカプラ50を実装することは、制御入力9の数をN log
2(N)から(N/2) log
2(N)に更に削減する。
図3を参照すると、これは、8×8OFFTネットワーク40について要求される制御入力の数を24から12に削減することになる。それゆえ、スケーラビリティは更に改善され、更に高い容量がペイロードに与えられる。
【0053】
幾つかの実施形態では、ペイロードプロセッサに出力される前に、複数のビームフォーミングされた信号8-1...8-nは、ビームフォーミングシステム1の出力に先行するステージにおける挿入損失を補償するために、
図1において示されたように、増幅ステージ10において増幅されてよい。利得ステージ10に加えて又はこれの代わりに、スイッチングステージ11が、M≦Nについて、ペイロードプロセッサに出力されることになるM個のビームのサブセットを選択するために実装されてよい。スイッチングステージ11は、制御入力(図示せず)を受信してよく、当該制御入力は、ペイロードのオンボードコントローラによって、又は地上局から提供されてよい。利得及び/又はスイッチング10、11の応用は、任意選択である。
【0054】
Nが大きくかつN=Mであり、すなわち、プロセッサがN個のポートを処理することが可能であるケースでは、スイッチングステージ11は、必須ではない。このケースでは、プロセッサは、ポートの数にスケーリングされてよく、デジタルビームフォーマを除去することによって得られる節電に起因して、信号再生を含んでよい。そのようなスキームは、ペイロードにおけるデジタルビームフォーミングネットワークの必要性が除去され得るので、フォトニックペイロードに適し得る。
【0055】
Nが低いケースでは、増幅10又はスイッチングステージ11のいずれも必須ではない。そのようなシナリオは、ビームの低い数が、デジタルビームフォーミングステージがペイロードプロセッサによって容易に実装されることを可能にする、デジタルペイロードとの使用に適し得る。そのようなシステムでは、ビームフォーミング動作は、本発明の実施形態のフォトニックビームフォーミングシステムがRFシステムのアナログビームフォーミングネットワークの役割を担うハイブリッド技術とみなすことができる。
【0056】
Nが非常に大きいケースについて、増幅10及びスイッチング11の両方のステージが要求され得る。このケースでは、十分にダイナミックなスイッチングステージ11がビームホッピングを可能にし得る。
【0057】
上記で説明されたように、変調ステージ2は、光搬送波4-1...4-n上に、複数のアンテナ要素20-1...20-nから受信された複数の電気信号を変調して、後続のビームフォーミングのために複数の光信号6-1...6-nを出力するように構成されている。変調ステージ2は、N個の入力信号23-1...23-nに対応する複数のN個の電気光学(EO)変調器3-1...3-nを備えてよい。N個のEO変調器3-1...3-nの各々には、光周波数生成ユニット5におけるマスタレーザから導出されたレーザ信号が供給され、当該レーザ信号は、例えば、1310nm又は1550nmの波長における光搬送波4-1...4-nとして機能する。光周波数生成(OFG)ユニット5は、制御入力(図示せず)を受信して、生成されたレーザビームの波長を決定してよい。制御入力は、ペイロードのオンボードコントローラによって、又は地上局から提供されてよい。
【0058】
本発明の実施形態によれば、
図1のビームフォーミングシステム1から出力された信号は、更に処理され、電気ドメインに変換されてよい。変換ステージ66及び複数のアナログ対デジタル変換器(ADC)70-1...70-nは、デジタルペイロードにおける1つ又は複数のデジタル信号プロセッサによる信号の処理を可能にする。
【0059】
本発明の実施形態では、
図6において示されているように、そのような変換ステージ66は、入力として、M個のビームフォーミングされた光信号65-1…65-mを受信し、M個のビームフォーミングされた電気信号69-1...69-mを出力するように構成されている。M個のビームフォーミングされた電気信号69-1...69-nは、デジタル処理のためにM個のADC70-1...70-nに出力される。
【0060】
変換ステージ66は、OFFTネットワーク63によって出力された複数のビームフォーミングされた信号65-1...65-mを電気ドメインに変換するように構成された複数の光検出器67-1...67-m(PD)を含む。各PD67-1...67-mは、対応する光局部発振器68-1...68-m(LO)を使用して光信号を復調することによって変換を実行する。幾つかの実施形態では、LO68-1...68-mは、ホモダイン受信のために光搬送波62-1...62-nと同じ波長を有し、光搬送波62-1...62-mを生成した光周波数生成(OFG)ユニット64を使用して生成される。このようにして、光搬送波62-1...62-n及びLO68-1...68-mの間の実質的なコヒーレンスが、変調61及び変換66のステージへの同じレーザ信号の分散を介して達成される。他の実施形態では、周波数ヘテロダイン法が、適切な波長でのLO68-1...68-mの使用を介して達成される。
【0061】
上記で説明されたように、Mの値は、Nに等しいか又はこれよりも低く、幾つかの実施形態では、動作の特定の時点において、M個の信号のみがペイロードによって処理されるように要求され、かつM個のPD、M個のLO信号及びM個のADCのみが動作状態である場合(ここで、M<N)であっても、要求されるとN個の信号をハンドリングする能力を可能にするために、変換ステージ66においてN個のPD、N個のLO信号及びN個のADCが存在してよい。
【0062】
Txビームフォーミングシステム
Rxビームフォーミングシステム1に関して概略された原理は、本発明の実施形態に係るTxビームフォーミングシステム80にも同様に当てはまる。
【0063】
図6は、本発明の実施形態に係る、Txフォトニックビームフォーミングシステム80を示す概略図である。Txフォトニックビームフォーミングシステム80は、少なくとも1つのそれぞれのビーム角度において送信されることになる少なくとも1つの光入力信号81-1...81-pを受信する。以下で説明されるように、光入力信号81-1...81-pは、フォトニックペイロードプロセッサから出力されてもよいし、又は、デジタルペイロードプロセッサからの出力、及びデジタル対アナログ変換器(DAC)を介した変換の後に光ドメインに変換されてもよい。光逆高速フーリエ変換(OIFFT)ネットワーク84を使用して、Txフォトニックビームフォーミングシステム80は、スイッチ/スプリッタ82を通過した光入力信号83-1...83-nを、N個のアンテナ要素78-1...78-nの各々によって送信されることになるビームフォーミングされた信号85-1...85-nに変換し、指定された送信ビームを生成する。Nの値は、Rxビームフォーミングシステム1の実施形態と併せて説明されたNの値と同じである必要はなく、これはなぜならば、それは、利用される送信アンテナ設計に依存し、当該送信アンテナ設計は、所与のペイロードの受信アンテナと同じであってもよいし、又はこれとは異なってもよい。ビームフォーミングされた信号85-1...85-nは、アンテナ要素78-1...78-nによる後続の送信のために、変換ステージ88において電気ドメインに変換される。
【0064】
信号パスは、
図6において左から右に向かって示されている。
図1のRxビームフォーミングシステム1に関して説明されたように、アナログ及びデジタルドメインにおいて、信号は、電気ケーブルを介してステージ間で送信される。光ドメインでは、信号は、光ファイバを介してステージ間で送信される。代替的な実施形態では、ステージのうちの幾つか又は全てが物理的に結合されてよい。
【0065】
Txビームフォーミングシステム80では、送信アンテナアレイのN個の要素78-1...78-nによってそれらのそれぞれのビーム角度において送信されることになるN個の光信号83-1...83-nは、OIFFTネットワーク84に入力される。OIFFTネットワーク84は、複数のN個の入力信号83-1...83-nに逆高速フーリエ変換(IFFT)を適用するように構成されており、これは、入力信号83-1...83-nを、N個のアンテナ要素78-1...78-nから送信されることになる複数のN個のビームフォーミングされた信号85-1...85-nに変換して、所望の送信ビームを生成する。
【0066】
OIFFTネットワーク84は、上記で概略されたOFFTネットワーク7の動作に類似した方式で動作する。しかしながら、入力ビームの指向性を分解するためにアンテナ要素信号に位相シフトを適用する代わりに、OIFFTネットワーク84は、送信ビームを所望の方向にステアリングするためにN個の入力信号83-1...83-nに位相シフトを適用する。
【0067】
OIFFTネットワーク84は、それが信号を送信のために空間ドメインからアンテナドメインに変換することに起因して「逆」とみなすことができ、一方、OFFTネットワーク7は、アンテナドメイン信号を、アンテナアレイにおける受信後に空間ドメインに変換するものとみなすことができる。
【0068】
送信されたビームの方向は、N個の光入力信号83-1...83-nの複数のペア間で適用される位相オフセットに依存する。OIFFTネットワーク84への一連の制御入力86によって位相オフセットを制御することによって、アンテナアレイにおける要素78-1...78-nから送信されることになるN個のビームフォーミングされた信号85-1...85-nが干渉して所望の方向における送信ビームを生成するように、N個の光入力信号83-1...83-n間の干渉を制御することが可能である。
【0069】
OIFFTネットワーク84への制御は、Txビームフォーミングシステム80が結合される衛星ペイロードの軌道位置に依存し得る。したがって、送信されるビームの指向性を定義するのに使用される、OIFFTネットワーク84への制御入力86は、地球の表面に対する衛星ペイロードの位置に基づいて計算されてよい。衛星の相対位置は、軌道データに基づいて、ペイロードプロセッサによって決定されてよく、代替的には、衛星の位置は、地上局からの信号において提供されてよい。
【0070】
送信のためにアンテナアレイに出力される前に、変換ステージ88において複数のビームフォーミングされた信号85-1...85-nを電気ドメインに変換することが必要である。送信される信号は、マイクロ波又はRF信号であってよいが、ペイロードによって要求される任意の適した周波数帯域に対応してよい。送信の前に、信号は、例えば高電力増幅79-1...79-nによって、当該技術分野において既知のように調整される。
【0071】
変換ステージ88は、本発明の幾つかの実施形態に係るRxビームフォーミングシステム1における
図5に関連して説明されたステージ66に類似していてよい。変換ステージ88は、OIFFTネットワーク84によって出力された複数のビームフォーミングされた信号85-1...85-nを電気ドメインに変換するように構成された複数のN個の光検出器89-1...89-n(PD)を含む。各PD89-1...89-nは、光周波数生成(OFG)ユニット91を使用して生成された光局部発振器90-1...90-n(LO)からのレーザ入力を使用して光信号を復調することによって変換を実行してよい。本実施形態では、各光搬送波の波長は同じであり、光搬送波は、OFG91によって同時生成される。OFGユニット91は、制御入力(図示せず)を受信して、生成されたレーザの波長を決定してよい。
【0072】
変換ステージ88は、代替的には、適切なLOレーザ波長の使用によって、周波数ヘテロダイン法を実行するためにN個のLOレーザ90-1...90-nを利用してよい。
【0073】
幾つかの実施形態では、分割ステージ82は、信号がOIFFTネットワーク84に入力される前に含まれる。そのようなステージ82は、Txビームフォーミングシステム80が、N>Pについて、P個のペイロードプロセッサ信号81-1...81-pからN個の送信信号を出力することが必要なケースに含まれ得る。幾つかの実施形態では、Pは、Rxビームフォーミングシステム1の実施形態に関して上記で説明されたMと同じ値を有してよいが、M及びPの具体的な値は、使用されるペイロードプロセッサに依存する。分割ステージ82は、制御入力(図示せず)を受信してよく、これは、ペイロードのオンボードコントローラによって、又は地上局から提供されてよい。スイッチングステージが、ビームが送信されることになる先の地球上のロケーションの数及びビームホッピングが利用されることになるか否かに依存して、分割ステージの代わりに、又はこれに加えて使用されてよい。
【0074】
スイッチング/分割ステージ82に加えて又はこれの代わりに、幾つかの実施形態では、変換ステージ88に出力される前であるが、OIFFTネットワーク84の後で、複数のビームフォーミングされた信号85-1...85-nは、Txビームフォーミングシステム80における挿入損失を補償するために、増幅ステージ87において増幅される。これは、特にNが大きい場合に当てはまる。
【0075】
N=Pであるケースでは、分割ステージ82は、必須ではない。このケースでは、デジタルビームフォーマを除去することによって得られる節電に起因して、ペイロードプロセッサは、要素信号の数にスケーリングされてよく、信号再生を含んでよい。
【0076】
本発明の実施形態によれば、
図6のビームフォーミングシステム80への入力信号81-1...81-pは、デジタルペイロードプロセッサによって処理済みであってよい。このケースでは、ペイロードプロセッサから受信された信号をビームフォーミングのために光ドメインに変換することが必要である。
【0077】
図7を参照して説明されるように、本発明の実施形態は、P個のデジタル対アナログ(DAC)変換器97-1...97-p及びTxビームフォーミングシステム100内の変調ステージ101を含めることによって上述の変換を達成し得る。変調ステージ101は、ペイロードプロセッサから受信された複数の信号102-1...102-pを、光搬送波104-1...104-p上に変調して、スイッチ/スプリッタ110を介してOIFFTネットワーク107に入力するためのそれぞれの複数の光信号105-1...105-pを出力するように構成されている。
【0078】
P個の入力信号の各々は、特定の波長の光搬送波104-1...104-nを変調する。本実施形態では、各光搬送波104-1...104-pの波長は同じであり、光搬送波104-1...104-pは、光周波数生成(OFG)ユニット106によって同時生成される。変調ステージ101によって生成された複数の光信号は、上記で概略されたように、ビームフォーミングのためにOIFFTネットワーク107に入力される。
【0079】
変調ステージ101は、ペイロードプロセッサから受信された信号に対応する複数のP個の電気光学(EO)変調器103-1...103-pを備えてよい。P個のEO変調器103-1...103-pの各々には、光周波数生成ユニット106におけるマスタレーザから導出されたレーザ信号が供給され、当該レーザ信号は、光搬送波104-1...104-pとして機能する。OFG106ユニットは、制御入力(図示せず)を受信して、生成されたレーザの波長を決定してよい。
【0080】
P個のEO変調器103-1...103-pの各々において受信されるレーザ入力は、Txビームフォーミングシステム100の変換ステージ108中に変換のために使用されるLOレーザ109-1...109-nの生成において使用されるものと同じOFGユニット106を使用して生成されてよい。代替的には、レーザ入力は、Txビームフォーミングシステム100の変換ステージ108中に変換のために使用されるものとは異なるOFGユニット106を使用して生成されてよい。
【0081】
フォトニックペイロード
本発明の実施形態によれば、
図1の第1のRxビームフォーミングシステム130及び
図6の第2のTxビームフォーミングシステム140は、
図8において示されるように、フォトニックペイロード120を形成するためにフォトニック処理ステージ134に接続されてよい。ペイロードは、衛星121内のアンテナ要素122-1...122-n及び123-1...123-n及び関連付けられた減衰器及び増幅器とともに示されている。
【0082】
図8を参照すると、Rxビームフォーミングシステム130によって出力されたビームフォーミングされた信号133-1...133-nは、1つ又は複数のフォトニック信号プロセッサ134に入力されてよい。1つ又は複数のフォトニックプロセッサ134は、増幅、フィルタリング、スイッチング、多重化/逆多重化、結合/分割、振幅調整、時間オフセット調整及び位相調整のうちの1つ又は複数を含めて、ビームフォーミングされた信号133-1...133-nを処理する。1つ又は複数のフォトニックプロセッサ134は、ダウンリンクを介して地球に送信されることになる処理された信号138-1...138-nを出力し、これらをTxビームフォーミングシステム140に提供する。Rxビームフォーミングシステム130及びTxビームフォーミングシステム140は、それぞれ、第1の122-1...122-n及び第2の123-1...123-nのアンテナ要素とインターフェース接続する。幾つかの実施形態では、第1の122-1...122-n及び第2の123-1...123-nのアンテナ要素は、物理的に別個のアンテナに関連付けられるが、代替的な実施形態では、第1の122-1...122-n及び第2の123-1...123-nのアンテナ要素は、単一のアンテナアレイの同じ要素である。
【0083】
Rxビームフォーミングシステム130は、任意選択のスイッチング及び増幅ステージを含んでよい。同様に、Txビームフォーミングシステム140は、任意選択の分割及び増幅ステージを含んでよい。増幅及びスイッチング/分割ステージは、
図8において示されている実施形態では示されていない。
【0084】
フォトニックペイロード120は、Rxビームフォーマ130におけるOFFTネットワーク131、OFG137に制御入力132を提供するように構成されたオンボードコントローラ135を備えてよい。同様に、ペイロードコントローラ135は、Rxビームフォーマ140におけるOIFFTネットワーク141、分割ステージ及びOFG137に制御入力142を提供するように構成されてよい。コントローラ135は、これらのデバイスに制御入力132、142を提供するように事前プログラミングされてよく、加えて又はその代わりに、コントローラ135は、ビームフォーミングシステム130、140を提供するために制御入力132、142を表す命令を地上局136から受信してよい。
【0085】
存在する場合、コントローラ135によって任意選択のスイッチング及び分割ステージに提供される制御入力は、ビームホッピング動作を促進してよい。同様に、コントローラによってOFG137に提供される制御入力は、周波数ヘテロダイン法を促進してよい。
【0086】
Rx及びTxビームフォーミングシステム130、140のアンテナアレイ122-1...122-n、123-1...123-nは、同じアレイになるように配置されてよく、送受信機アンテナ配置が形成される。代替的には、Rx及びTxビームフォーミングシステム130、140のアンテナアレイ122-1...122-n、123-1...123-nは、異なるアンテナアレイであってよい。
【0087】
同様に、Rx及びTxビームフォーミングシステム130、140のOFG137は、同じOFG137であってよい。代替的には、Rx及びTxビームフォーミングシステム130、140のOFG137は、異なるOFG(図示せず)であってよい。
【0088】
デジタルペイロード
図9を参照して説明されるように、ペイロードは、本発明の実施形態に係る、1つ又は複数のデジタル信号プロセッサ154を備えるデジタルペイロード150であってよい。そのようなプロセッサ150は、入力として、
図5に係る第1のRxビームフォーミングシステム152の出力153-1...153-nを受信するように構成されてよい。同様に、デジタルプロセッサ154は、
図7に従って第2のTxビームフォーミングシステム156によってビームフォーミングするために信号155-1...155-nを出力するように構成されてよい。Rxビームフォーミングシステム152及びTxビームフォーミングシステム156は、それぞれ、第1の151-1...151-n及び第2の157-1...157-nのアンテナ要素とインターフェース接続する。幾つかの実施形態では、第1の151-1...151-n及び第2の157-1...157-nのアンテナ要素は、物理的に別個のアンテナに関連付けられるが、代替的な実施形態では、第1の151-1...151-n及び第2の157-1...157-nのアンテナ要素は、単一のアンテナアレイの同じ要素である。
【0089】
デジタルペイロード150は、
図8のフォトニックペイロード120に類似した方式で動作してよい。加えて、デジタルペイロード150は、追加の又は代替的な機能を提供してよく、例えば、デジタルペイロード150は、更なるデジタルビームフォーミング、Rxビームフォーミングシステム152によって出力されるビーム153-1...153-nの指向性の更なる分解を促進し得る。
【0090】
干渉相殺
図10を参照して説明されるように、
図1のフォトニックRxビームフォーミングシステム1は、アンチジャミングのために適応されてよく、本発明の実施形態に係る
図10の干渉相殺システム170が形成される。干渉相殺170システムは、入力として、N個のRxアンテナ要素171-1...171-nから取得されたN個の信号172-1...172-nを取り込み、
図1を参照して前述で説明されたRxビームフォーミングシステム173を使用して、これらの信号をビームに形成する。これらのビームは、いずれの干渉信号の存在もそれぞれ決定し、当該干渉信号を相殺するために、干渉モニタリングステージ178及びヌリングステージ179に出力される。残りの信号は、OIFFTネットワーク181に出力され、当該OIFFTネットワーク181は、1つ又は複数の干渉信号を伴わずに入力信号172-1...172-nを再構成する。最終的に、信号は、デジタルビームフォーミングを含む、デジタルペイロードによる更なるデジタル処理のために、電気信号183-1...183-nへの復調のために変換ステージ182を通過する。
【0091】
干渉相殺システム170は、RxアンテナのN個の要素171-1...171-nの各々から取得された信号を受信し、これらを光ドメインに変換してN個の光信号174-1...174-nを生成し、光高速フーリエ変換(OFFT)ネットワーク175を使用して、受信された信号172-1...172-nの指向性を、それらのそれぞれのビーム角度に基づいてビームに分解する。ビームを形成するプロセスは、Rxビームフォーミングシステム173によって実行され、
図1を参照して上記で説明されたものと同じ方式で実行される。
図1のRxビームフォーミングシステム1の任意選択のスイッチング11及び増幅10ステージは、干渉相殺システム170のために要求されない。
【0092】
OFFTネットワーク175の出力は、N個の光出力信号176-1...176-nのサブセットに対する一連の低利得タップ177-1...177-nを含み、タップ177-1...177-nは、光信号をデジタルドメインに変換するために光検出器(図示せず)及びアナログ対デジタル変換器(図示せず)を含む。IMS178は、例えば、各ビームについての期待電力レベルとの比較に基づいて、OFFTネットワーク175の出力において1つ又は複数の干渉信号の存在を決定するように動作する。期待電力レベルは、例えば特定のカバレッジスキームの知識に従って受信されることが期待される信号に基づいており、オンボードペイロードコントローラ、又は地上局のいずれかからの制御入力(図示せず)を介して設定される。
【0093】
干渉信号の存在を識別した後、IMS178は、干渉源の存在を示す1つ又は複数のビームをヌリングステージ179に通知する。ヌリングステージ179は、例えば電界吸収変調器を使用して、OFFTネットワーク175によって出力された計算済みビーム角度のヌリング又は減衰を実行する。利得(図示せず)が、残りのOFFT出力に適用されて、所望の信号に対する1つ又は複数の干渉源信号の拒絶を高め、これらは、次に、N個のアンテナ要素信号181-1...182-nを、ただし干渉源が除去された状態で、再構成するためにOIFFTネットワーク180を通過する。
【0094】
複数の再構成された信号181-1...181-nは、アナログ対デジタル変換器184-1...184-nへの送信のために当該複数の再構成された信号181-1...181-nを複数の再構成された電気信号183-1...183-nに変換するように構成された変換ステージ182によって、入力として取り込まれ、アナログ対デジタル変換器184-1...184-nは、更なる処理のためにデジタルペイロードに出力する。変換ステージ182は、Txビームフォーミングシステム80を参照して説明されたステージ88に類似した方式で動作する。
【0095】
当業者であれば、実行される特定のタイプのフォトニック及びデジタル処理、及びアンテナ要素の数に依存して、特許請求の範囲内に入る多様な構成が可能であることを理解するであろう。したがって、相互に適合可能である、上記で説明された実施形態の特徴は、特許請求の範囲内に入る更なる実施形態として組み合わされ得、ビームフォーミングステージにおける光高速フーリエ変換又は光逆高速フーリエ変換のうちの少なくとも1つが、本明細書において説明された利点を衛星ペイロードに提供する。
[項目1]
衛星ペイロードのためのフォトニックビームフォーミングシステムであって、
1つ又は複数の信号ビームを受信する複数のN個のアンテナ要素からの複数のN個の電気信号を、光搬送波上に変調して、それぞれの複数のN個の光信号を出力するように構成された変調ステージ;及び
前記1つ又は複数の信号ビームを、前記複数のN個の光信号に光高速フーリエ変換、OFFT、を適用することによって前記N個のアンテナ要素に対する所定の複数のN個のビーム角度の各々に分解するように配置されたネットワーク、ここで、前記OFFTは、前記複数のN個の光信号の各1つについて、前記複数の光信号のうちの前記他のN-1の各々が、それぞれの位相シフトによって前記複数のN個の光信号のうちの前記1つに対して位相シフトされる状態で、前記複数のN個の光信号のうちの前記1つを総和することを含む;
を備え、前記それぞれの位相シフトの各々は、前記複数のN個の光信号のうちの前記1つが、総和されると前記他のN-1個の位相シフトされた複数の光信号の各々と干渉して、前記所定の複数のN個のビーム角度のうちのそれぞれ1つを有するビームフォーミングされた信号を形成するようになっており、前記OFFTの前記出力は、前記所定の複数のN個のビーム角度の各々に対応する複数のN個のビームフォーミングされた信号であり;
前記ネットワークは、複数の2×2光カプラを含み、各2×2光カプラは、前記2×2光カプラによって前記2×2カプラに入力された前記複数の光信号のそれぞれのペア間で適用される位相シフトを制御する制御入力を有し、前記ネットワークは、OFFTが、前記複数の2×2光カプラの各々において適用される前記それぞれの位相シフトを制御することによって実装されるように構成されている、フォトニックビームフォーミングシステム。
[項目2]
前記複数の2×2光カプラの各々は、その入力の各々において調節可能位相シフタを含み、各調節可能位相シフタは、それぞれのビームフォーミング制御入力によって制御される、項目1に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
[項目3]
前記複数の2×2光カプラの各々は、その入力のうちの一方において調節可能位相シフタ、及びその入力のうちの他方において固定位相シフタを含み、前記調節可能位相シフタは、それぞれのビームフォーミング制御入力によって制御される、項目1に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
[項目4]
前記ペイロードにおける処理のために前記ネットワークによって出力された前記ビームフォーミングされた信号のサブセットを選択するように構成されたスイッチングステージを更に備える、項目1~3のいずれか1項に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
[項目5]
前記スイッチングステージは、ビームホッピングスキームに従って前記ビームフォーミングされた信号の前記サブセットを選択するように構成されている、項目4に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
[項目6]
衛星ペイロードのためのフォトニックビームフォーミングシステムであって、
複数のN個の光信号に光逆高速フーリエ変換、OIFFT、を適用することによって前記N個のアンテナ要素に対する所定の複数のN個のビーム角度のうちのそれぞれ1つ又は複数において、前記複数のN個の入力光信号から、1つ又は複数のビームフォーミングされた信号を生成するように配置されたネットワーク、ここで、前記OIFFTは、前記複数のN個の光信号の各1つについて、前記複数の光信号のうちの前記他のN-1の各々が、それぞれの位相シフトによって前記複数のN個の光信号のうちの前記1つに対して位相シフトされる状態で、前記複数のN個の光信号のうちの前記1つを総和することを含み、
前記それぞれの位相シフトの各々は、前記複数のN個の光信号のうちの前記1つが、総和されると前記他のN-1個の位相シフトされた複数の光信号の各々と干渉して、前記所定の複数のN個のビーム角度のうちのそれぞれ1つを有するビームフォーミングされた信号を形成するようになっており、前記OIFFTの前記出力は、前記所定の複数のN個のビーム角度の各々に対応する複数のN個のビームフォーミングされた光信号のうちの1つ又は複数である;及び
複数のアンテナ要素による前記1つ又は複数のビームにおける送信のために、前記1つ又は複数のビームフォーミングされた光信号を1つ又は複数の電気信号に変換するように構成された変換ステージ;
を備え、前記ネットワークは、複数の2×2光カプラを含み、各2×2光カプラは、前記2×2光カプラによって前記2×2カプラに入力された前記複数の光信号のそれぞれのペア間で適用される位相シフトを制御する制御入力を有し、前記ネットワークは、OIFFTが、前記複数の2×2光カプラの各々において適用される前記それぞれの位相シフトを制御することによって実装されるように構成されている、フォトニックビームフォーミングシステム。
[項目7]
前記複数の2×2光カプラの各々は、その入力の各々において調節可能位相シフタを含み、各調節可能位相シフタは、それぞれのビームフォーミング制御入力によって制御される、項目6に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
[項目8]
前記複数の2×2光カプラの各々は、その入力のうちの一方において調節可能位相シフタ、及びその入力のうちの他方において固定位相シフタを含み、前記調節可能位相シフタは、それぞれのビームフォーミング制御入力によって制御される、項目6に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
[項目9]
前記ネットワークへの提供のために、前記入力信号のうちの少なくとも1つを複数の入力信号にスイッチング及び/又は分割するように構成された光スイッチ及び/又はスプリッタを更に備える、項目6~8のいずれか1項に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
[項目10]
第1の複数のアンテナ要素から複数の信号を受信するように配置された項目1~5のいずれか1項に記載の第1のフォトニックビームフォーミングシステム;
前記第1のフォトニックビームフォーミングシステムによって出力された前記複数のビームフォーミングされた信号を処理するように配置された1つ又は複数のフォトニック信号プロセッサ;及び
前記1つ又は複数のフォトニック信号プロセッサによって出力された複数の信号を受信するとともに、第2の複数のアンテナ要素を介して1つ又は複数の送信ビームを出力するように配置された項目6~9のいずれか1項に記載の第2のフォトニックビームフォーミングシステム
を備える、フォトニック衛星ペイロード。
[項目11]
前記変調ステージは、複数の電気光学、EO、変調器を更に有し、前記フォトニックビームフォーミングシステムは、
前記OFFTネットワークによって出力された前記複数のビームフォーミングされた信号を前記電気ドメインに変換するように構成された複数の光検出器を有する変換ステージ;及び
前記変換ステージのために前記光搬送波及び光局部発振器信号を供給するように配置された光周波数生成ユニット
を更に備える、項目1~5のいずれか1項に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
[項目12]
前記衛星ペイロードからの複数の電気信号を光搬送波上に変調して、前記ネットワークへの入力のためにそれぞれの複数の光信号を出力するように構成された変調ステージを更に備え;
前記変換ステージは、複数の光検出器を有し;
前記フォトニックビームフォーミングシステムは、前記変換ステージのために前記光搬送波及び光局部発振器信号を供給するように配置された光周波数生成ユニットを更に備える、項目6~9のいずれか1項に記載のフォトニックビームフォーミングシステム。
[項目13]
第1の複数のアンテナ要素から複数の信号を受信するように配置された項目11に記載の第1のフォトニックビームフォーミングシステム;
前記第1のフォトニックビームフォーミングシステムによって出力された前記複数のビームフォーミングされた電気信号を処理するように配置された1つ又は複数のデジタル信号プロセッサ;及び
前記1つ又は複数のデジタル信号プロセッサによって出力された複数の電気信号を受信するとともに、第2の複数のアンテナ要素を介して1つ又は複数の送信ビームを出力するように配置された項目12に記載の第2のフォトニックビームフォーミングシステム
を備える、衛星ペイロード。
[項目14]
項目10又は13に記載のペイロードを備える衛星。
[項目15]
項目1~3のいずれか1項に記載のフォトニックビームフォーミングシステム;
1つ又は複数の干渉信号について前記フォトニックビームフォーミングシステムの前記ネットワークの前記出力をモニタリングし、前記1つ又は複数の干渉信号の1つ又は複数のそれぞれの干渉ビーム角度を決定するように構成された干渉モニタリングステージ;
前記ネットワークの前記出力において前記1つ又は複数の干渉ビーム角度をヌリングするように構成されたヌリングステージ;及び
前記1つ又は複数の干渉ビーム角度を伴うことなく逆OFFTを適用することによって前記フォトニックビームフォーミングシステムへの前記信号入力を再構成するように構成された更なるネットワーク
を備える、干渉相殺システム。
【要約】
フォトニックビームフォーミングシステムにおいて使用される光高速フーリエ変換が説明される。そのようなビームフォーミングシステムとともに使用されるデジタル及びフォトニックペイロードと一緒に、アクティブアレイアンテナとともに使用される送信及び受信フォトニックビームフォーミングシステムが説明される。