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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】紙製容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/20 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
B65D5/20 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021053990
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022151081
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】武口 史郎
(72)【発明者】
【氏名】志賀 好晃
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-512242(JP,A)
【文献】特開2019-172339(JP,A)
【文献】特開2004-161311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製のブランクシートから組み立てられる紙製容器であって、
底面部と、前記底面部から立ち上がる複数の側面部と、当該複数の側面部の前記底面部とは反対側の端部から外側へ折り曲げられて上面を形成する複数のフランジ部と、を具備し、
前記複数のフランジ部のうち少なくとも1つのフランジ部は、その長手方向の端部に、他のフランジ部と接続するコーナー接続片を有し、
前記コーナー接続片と当該コーナー接続片に隣接する側面部との間には、前記複数の側面部と前記複数のフランジ部との間の折目から前記底面部側に所定角度傾斜した傾斜折目部または傾斜カット部が形成される
紙製容器。
【請求項2】
請求項1に記載の紙製容器であって、
前記底面部は、一対の長辺、一対の短辺及び二対のコーナー辺を有するように平面視で八角形状に形成され、
前記複数の側面部は、前記一対の長辺から立ち上がる一対の長側面部と、前記一対の短辺から立ち上がる一対の短側面部と、前記二対のコーナー辺から立ち上がる二対のコーナー側面部とを有し、
前記複数のフランジ部は、前記一対の長側面部に対応する一対の長フランジ部と、前記一対の短側面部に対応する一対の短フランジ部と、前記二対のコーナー側面部に対応する二対のコーナーフランジ部とを有し、
前記コーナー接続片は、前記一対の長フランジ部及び前記一対の短フランジ部の長手方向の各両端部に形成され、前記二対のコーナーフランジ部の各裏面に接着される
紙製容器。
【請求項3】
請求項2に記載の紙製容器であって、
前記傾斜折目部または傾斜カット部は、前記長フランジ部及び前記短フランジ部における、前記折目の延長線と前記長側面部及び前記短側面部の各側辺の延長線との交点よりも内側にその開始端を有する
紙製容器。
【請求項4】
請求項3に記載の紙製容器であって、
前記コーナー接続片は、前記傾斜折目部または傾斜カット部によって規定される幅狭部と、当該幅狭部から延在し前記コーナーフランジ部の裏面に位置する幅広部とを有する
紙製容器。
【請求項5】
請求項4に記載の紙製容器であって、
前記長側面部または前記短側面部の両側上端に、前記幅狭部と幅広部の幅差分の高さを有し、複数の当該紙製容器をスタッキングする際に当該紙製容器間に当該高さに対応する隙間を形成させるスタッキングリブをさらに有する
紙製容器。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかに記載の紙製容器であって、
前記ブランクシートにおいて、前記各コーナー側面部と前記コーナー接続片と前記長側面部または前記短側面部とに囲まれる部分は、前記各コーナー側面部に接続された状態で前記コーナー接続片及び前記長側面部または前記短側面部の形状に沿ってカットされる
紙製容器。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかに記載の紙製容器であって、
前記コーナーフランジ部の前記コーナー側面部とは反対側の端部は、第1の曲率半径のR形状を有し、
前記コーナー接続片の前記長側面部または前記短側面部とは反対側の端部は、前記第1の曲率半径と同一または略同一の第2の曲率半径のR形状を有する
紙製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品等を包装するための、ブランクシートから組み立てられた紙製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙製のブランクシートから組み立てられ上端にフランジを有するトレー状の容器が知られている。
【0003】
例えば下記特許文献1には、紙製のブランクシートから組み立てられる外端が八角形状の平面を構成する紙製容器であって、四隅に位置する側面以外の4つの側面の上端に形成されたフランジ片の左右端部には、側面の左右一対の側辺から外側へ張り出した一対のコーナー片が形成され、当該一対のコーナー片同士が、四隅の側面の上端の円弧状のコーナー下部片によって接着され接続されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-172339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、紙製容器の組立後に、特に容器の隅の一対のコーナー片について、折り曲げた方向とは逆方向に戻ろうとする力が発生し、それにより容器に反りが発生することがある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、折り曲げ戻りによる容器の反りを極力防ぐことが可能な紙製容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る紙製容器は、紙製のブランクシートから組み立てられる紙製容器であって、底面部と、上記底面部から立ち上がる複数の側面部と、当該複数の側面部の上記底面部とは反対側の端部から外側へ折り曲げられて上面を形成する複数のフランジ部と、を有する。
上記複数のフランジ部のうち少なくとも1つのフランジ部は、その長手方向の端部に、他のフランジ部と接続するコーナー接続片を有する。
上記コーナー接続片と当該コーナー接続片に隣接する側面部との間には、上記複数の側面部と上記複数のフランジ部との間の折目から上記底面部側に所定角度傾斜した傾斜折目または傾斜カット部が形成される。
【0008】
この構成により紙製容器は、コーナー接続片と側面部との間に傾斜折目部または傾斜カット部を有することで、フランジ部と側面部との間の折目でそのまま折り曲げる場合や当該折目の延長線上にカットする場合に比べて、組立時においてコーナー接続片を接続先のフランジ部側へ寄せることができ、それによりコーナー接続片の折り曲げ戻りによる容器の反りを極力防ぐことができる。ここで所定角度とは、例えば1度~5度程度であるがこれに限られない。
【0009】
上記底面部は、一対の長辺、一対の短辺及び二対のコーナー辺を有するように平面視で八角形状に形成されてもよい。この場合、上記複数の側面部は、上記一対の長辺から立ち上がる一対の長側面部と、上記一対の短辺から立ち上がる一対の短側面部と、上記二対のコーナー辺から立ち上がる二対のコーナー側面部とを有し、上記複数のフランジ部は、上記一対の長側面部に対応する一対の長フランジ部と、上記一対の短側面部に対応する一対の短フランジ部と、上記二対のコーナー側面部に対応する二対のコーナーフランジ部とを有してもよい。この場合上記コーナー接続片は、上記一対の長フランジ部及び上記一対の短フランジ部の長手方向の各両端部に形成され、上記二対のコーナーフランジ部の各裏面に接着される。
【0010】
これにより、各コーナーフランジ部と、それに隣接する2つのフランジ部の各コーナー接続片とを接続した際の折り曲げ戻りを極力防ぐことができる。
【0011】
上記傾斜折目部または傾斜カット部は、上記長フランジ部及び上記短フランジ部における、上記折目の延長線と上記長側面部及び上記短側面部の各側辺の延長線との交点よりも内側にその開始端を有してもよい。
【0012】
これにより、長側面部及び短側面部とコーナー側面部との間の稜線よりも長側面部及び短側面部側から傾斜を付けることで、組立時においてコーナー接続片をコーナーフランジ部側により近づけることができ、上記折り曲げ戻りをより防ぐことができる。
【0013】
上記コーナー接続片は、上記傾斜折目部または傾斜カット部によって規定される幅狭部と、当該幅狭部から延在し上記コーナーフランジ部の裏面に位置する幅広部とを有してもよい。
【0014】
上記長側面部または上記短側面部の両側上端に、上記幅狭部と幅広部の幅差分の高さを有し、複数の当該紙製容器をスタッキングする際に当該紙製容器間に当該高さに対応する隙間を形成させるスタッキングリブをさらに有してもよい。
【0015】
これにより、コーナー接続片に幅広部と幅狭部を形成した残り片をスタッキングリブとして有効活用することができる。
【0016】
上記ブランクシートにおいて、上記各コーナー側面部と上記コーナー接続片と上記長側面部または上記短側面部とに囲まれる部分は、上記各コーナー側面部に接続された状態で上記コーナー接続片及び上記長側面部または上記短側面部の形状に沿ってカットされてもよい。
【0017】
これにより、ブランクシート形成時に、コーナー側面部とコーナー接続片と長側面部または短側面部とに囲まれる部分を目抜きすることなくコーナー側面部に接続させたまま残し、無駄な目抜きカスの発生を防止しながら容器のコーナー部分の強度を向上させることができる。
【0018】
上記コーナーフランジ部の上記コーナー側面部とは反対側の端部は、第1の曲率半径のR形状を有してもよく、上記コーナー接続片の上記長側面部または上記短側面部とは反対側の端部は、上記第1の曲率半径と同一または略同一の第2の曲率半径のR形状を有してもよい。
【0019】
これにより、コーナー接続片のR形状とコーナーフランジ部のR形状とを合致させることで、コーナー接続片がコーナーフランジ部に接着される際に位置合わせに多少ずれが生じた場合でも、当該ずれを目立たなくすることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、折り曲げ戻りによる紙製容器の反りを極力防ぐことができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る紙製容器の外観を示した平面側斜視図である。
図2図1の紙製容器の底面側斜視図である。
図3図1の紙製容器の正面図である。
図4図1の紙製容器の側面図である。
図5図1の紙製容器の平面図である。
図6図1の紙製容器の底面図である。
図7】上記紙製容器のブランクシートを示す展開図である。
図8図2の紙製容器のA部分拡大図である。
図9図7のブランクシートのB部分拡大図である。
図10】上記ブランクシートの傾斜折目部が折り曲げられる様子を概念的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0023】
[紙製容器の概要]
図1は、本発明の一実施形態における紙製容器の外観を示した平面側斜視図である。また図2図1の紙製容器の底面側斜視図である。また図3は当該紙製容器の正面図であり、図4は当該紙製容器の側面図であり、図5は当該紙製容器の平面図であり、図6は当該紙製容器の底面図である。また図7は当該紙製容器の組立前のブランクシートを示す展開図である。
【0024】
各図に示すように、本実施形態に係る紙製容器100は、1枚の紙製(例えばボール紙)のブランクシート50から製函機(ケースフォーマー)等で折り曲げられて、平面視で矩形の上面が開放されたトレー状に組立てられた容器である。もちろん、紙製容器100の形状は矩形に限られず、底面と、そこから立ち上がる側面を有し上面が開放されたトレー状であれば、他の多角形形状であっても構わない。
【0025】
各図に示すように、この紙製容器100は、底面部1と、この底面部1から立ち上がる複数の側面部2(2a、2b、2c)と、これらの複数の側面部2と接続して容器全体の上端に位置する矩形枠状のフランジ部3を有する。
【0026】
底面部1は、一対の長辺、一対の短辺及び二対のコーナー辺を有するように平面視で八角形状に形成されている。ブランクシート50においては、当該一対の長辺、一対の短辺及び二対のコーナー辺に対応して、例えばミシン刃によって形成されたミシン目状の一等の折目4a、一対の折目4b及び二対の折目4cが形成されている。当該各折目4により、側面部2として、底面部1の一対の長辺から立ち上がる一対の長側面部2a、一対の短辺から立ち上がる一対の短側面部2b及び二対のコーナー片から立ち上がる二対のコーナー側面部2cが形成される。
【0027】
各側面部2は、図1図4に示すように、底面部1の外端から外側へ張り出し、底面部1に対して傾斜したテーパー面(傾斜面)となっている。しかし、側面部2が底面部1に対して直角となるように刑されても構わない。
【0028】
上記フランジ部3は、上記一対の長側面部2aに対応する一対の長フランジ部3aと、上記一対の短側面部2bに対応する一対の短フランジ部3bと、上記二対のコーナー側面部2cに対応する二対のコーナーフランジ部3cとを有する。
【0029】
図1図2図5図6図7に示すように、各フランジ部3は、ブランクシート50の各折目5(長側面部2aに対応する5a、短側面部2bに対応する5b、コーナー側面部2cに対応する5c)により、各側面部2の上端から外側へ略水平に張り出すように形成されている。
【0030】
このうち、長フランジ部3a及び短側面部3bは長方形状に形成され、コーナーフランジ部3cはその外側が円弧状のかまぼこ型形状に形成されている。しかし、コーナーフランジ部3cの形状はこれに限られず、例えばその外側が円弧状ではなく直線状に形成されていてもよい。
【0031】
図2図6及び図7に示すように、上記長フランジ部3a及び短フランジ部3bは、それらの長手方向(X方向及びY方向)の両端部に、当該両端部から突出して上記各コーナーフランジ部3cと接続する片持ち梁状のコーナー接続片31を有する。具体的には、隣接する長フランジ部3aと短フランジ部3bの隣接端からそれぞれ突出した一対のコーナー接続片31が各コーナーフランジ部3cの各裏面に接着されることで、長フランジ部3a及び短フランジ部3bとコーナーフランジ部3cとが接続される。
【0032】
また図2図4及び図6に示すように、長側面部2a及び短側面部2bの両側上端部には、複数の当該紙製容器100をスタッキングする際に、当該紙製容器100間に所定の隙間を形成させて掴みやすくするためのスタッキングリブ22が計8つ設けられている。
【0033】
図2図6及び図7に示すように、上記コーナーフランジ部3cの外端部(コーナー側面部2cとは反対側の端部)は、所定の曲率半径のR形状を有している。一方、上記コーナー接続片31の外側の端部(長側面部2a及び短側面部2bとは反対側の端部)も、上記コーナーフランジ部3cと同一または略同一の曲率半径のR形状を有している。
【0034】
これにより、コーナー接続片31のR形状とコーナーフランジ部3cのR形状とを合致させることで、コーナー接続片31がコーナーフランジ部3cに接着される際に位置合わせに多少ずれが生じた場合でも、当該ずれを目立たなくすることができる。
【0035】
なお、組立後、当該紙製容器100の内面には樹脂フィルムが被覆されていてもよい。この場合樹脂フィルムは、紙製容器100の内面に溶着可能な熱可塑性樹脂からなる単層又は複層の50~500μm厚程度のフィルムであり、液体などの流動物を含む食品などの内容物が外部へ漏れ出さないようにする機能を有する。
【0036】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロビレン(PP)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。使用後に紙製の紙製容器100と分別して廃棄することを考えると、イージーピール性を持つフィルムが好ましい。この樹脂フィルムは、紙製容器100に所定の温度で例えば真空圧空形成により吸引圧着されて被覆される。
【0037】
[ブランクシート]
次に、図7を用いて、ブランクシート50について説明する。
【0038】
図7に示すように、ブランシート50の中央には、組立後に紙製容器100の底面となる前述の八角形状の底面部1がある。そして、当該底面部1から、長辺の折目4aの外側に逆台形状の上記長側面部2aが、短辺の折目4bの外側に逆台形状の短側面部2bが、斜辺の折目4cの外側に長方形状のコーナー側面部2cがそれぞれ形成されている。
【0039】
さらに、当該長側面部2aから折目5aの外側に上記長フランジ部3aが、短側面部2bから折目5bの外側に上記短フランジ部3bが、コーナー側面部2cから折目5cの外側に上記コーナーフランジ部3cがそれぞれ形成されている。
【0040】
そして、長フランジ部3a及び短いフランジ部3bの両端であって、各コーナーフランジ部3cとの境界に亘っては、上述したコーナー接続片31が形成されている。
【0041】
ここで、当該ブランクシート50において、コーナー側面部2cとコーナー接続片31と長側面部2aまたは短側面部2b(上記スタッキングリブ22を含む)とに囲まれる三角形状の部分21は、上記各コーナー側面部2cに接続された状態で、コーナー接続片31及び長側面部2aまたは短側面部2bの形状に沿ってカットされる。そして図1及び図5に示すように、組立時において、当該部分21は、長側面部2aまたは短側面部2bの両側端部に重なるように位置し、側面補強部21として機能する。当該部分21が、長側面部2aまたは短側面部2bの両側端部に糊等で接着されてもよい。また上記樹脂フィルムによって、長側面部2aまたは短側面部2bの両側端部と重なった状態で一体的に被覆されることで当該両側面部に固定されてもよい。
【0042】
このように、ブランクシート50の形成時に、コーナー側面部2cとコーナー接続片31と長側面部2aまたは短側面部2bとに囲まれる部分21を目抜きすることなくコーナー側面部2cに接続させたまま残し、紙製容器100の組立時に長側面部2aまたは短側面部2bに接着することで、無駄な目抜きカスの発生を防止しながら、紙製容器100のコーナー部分の強度を向上させることができる。
【0043】
[コーナー接続片及びその折り曲げ戻り防止用の傾斜線部]
次に、上記コーナー接続片31の詳細と、当該コーナー接続片31と長側面部2a及び短側面部2bとの間に形成された傾斜線部について説明する。
【0044】
図8は、図2の紙製容器100の一点鎖線円A部分の拡大図である。また図9は、図7のブランクシート50の一点鎖線円B部分の拡大図である。
【0045】
これらの図に示すように、コーナー接続片31と、当該コーナー接続片31に隣接する長側面部2a及び短側面部2b(のスタッキングリブ22)との間には、長側面部2a及び短側面部2bと長フランジ部3a及び短フランジ部3bとの間の折目5aから底面部1側に所定角度傾斜した傾斜線部7が形成されている。
【0046】
詳細は後述するが、当該傾斜線部7は、紙製容器100の組立時に、コーナー接続片31が折目5aで折り曲げられコーナーブランク部3cに接着された後に、当該コーナー接続片31に折り曲げた方向とは逆方向に戻ろうとする力(折り曲げ戻り)が発生し、それにより紙製容器100に反りが発生するのを防止するために設けられる。
【0047】
図9に示すように、傾斜線部7は、ブランクシート50における長側面部2a(及び短側面部2b)のカット側辺の延長線と上記折目5a(及び5b)との交点Pを基準として、当該折目5a(及び折目5b)に沿って内側に所定距離隔てた位置にその開始端を有する。
【0048】
より具体的には、上記傾斜角度は例えば4度であるが、これに限られず、紙製容器100や各部のサイズ等によっても適宜変更されうる。また紙製容器100が本実施形態と同サイズであっても、当該傾斜角度は例えば1度~5度の範囲内で変更されうる。これは、傾斜角度が1度よりも小さいと、上記折り曲げ戻り防止効果が得られず、傾斜角度が5度よりも大きいと歪が大きくなり、コーナー接続片31と接着されるコーナーフランジ部3cとの間に隙間が空いたり、接着後に破損しやすくなったりするからである。
【0049】
また上記所定距離は7.5mmであるが、これに限られず、紙製容器100や各部のサイズ等によっても適宜変更されうる。また紙製容器100が本実施形態と同サイズであっても、当該所定距離は例えば3mm~15mmの範囲内で変更されうる。これは、上記傾斜角度との関係にもよるが、所定距離が3mmよりも小さくなり上記傾斜線部7の開始端がより外側になった場合には、上記折り曲げ戻り防止効果が得られず、所定距離が15mmより大きくなり傾斜線部7の開始端がより内側になった場合には、上記折り曲げ戻り防止効果が過剰になる可能性があるからである。
【0050】
当該傾斜線部7は、上記開始端から上記交点P付近までミシン刃によって形成された折目である傾斜折目部7aと、当該傾斜折目部7aの端部以降に形成されたカット部である傾斜カット部7bとで構成される。傾斜カット部7bは、上記スタッキングリブ22の上辺を形成している。
【0051】
また上記コーナー接続片31は、傾斜線部7及びそれに対向する長フランジ部3a及び短フランジ部3bの外端辺によって規定される幅狭部31aと、当該幅狭部31aから延在しコーナーフランジ部3cの裏面に接着される幅広部31bとからなる。
【0052】
そして上記スタッキングリブ22は、図8及び図9に示すように、上記幅狭部31aと幅広部31bの幅差分の高さを有する。すなわち、コーナー接続片31に幅狭部31aと幅広部31bを形成した残り片をスタッキングリブ22として有効活用することができる。
【0053】
図10は、上記ブランクシート50において傾斜線部7が折り曲げられる様子を、傾斜線部7が設けられない場合と比較して、概念的に示した図である。同図(A)が傾斜線部7が設けられない場合を、同図(B)が傾斜線部7が設けられる場合を示す。
【0054】
同図(A)に示すように、傾斜線部7が設けられない場合、当然ながら、フランジ部3は側面部2に対して直線状の折目5に沿って直線的に折り曲げられる。
【0055】
一方、同図(B)に示すように、傾斜線部7が設けられる場合、フランジ部3は、傾斜線部7より内側の部分においては折目5に沿って直線的に折り曲げられるが、傾斜線部7の傾斜折目部7aにおいては、その傾斜角度に沿って斜め下方向(底面部1方向)に折り曲げられることになる。
【0056】
これにより、組立時においてコーナーフランジ部3cをコーナー接続片31側へ寄せることができ、それによりコーナー接続片31の折り曲げ戻りによる紙製容器100の反りを極力防ぐことができる。
【0057】
特に、傾斜線部7においては、上述したように、ブランクシート50における長側面部2aまたは短側面部2bのカット側辺(長側面部2a及び短側面部2bとコーナー側面部2cとの間の稜線)よりも内側(長側面部2a及び短側面部2b側)から傾斜を付けることで、組立時においてコーナーフランジ部3cをコーナー接続片31側により近づけることができ、上記折り曲げ戻りをより防ぐことができる。
【0058】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0059】
上述の実施形態における傾斜線部7の傾斜折目部7aと傾斜カット部7bの長さ比率は、図示したものに限られず、適宜変更可能である。また上述の実施形態においては、傾斜線部7は傾斜折目部7aと傾斜カット部7bとで形成されていたが、傾斜線部7の全てが傾斜折目部で形成されていてもよい。すなわち、傾斜折目部7aが、上記スタッキングリブ22の上辺の全体にわたって(R部の手前まで)設けられていてもよい。
【0060】
上述の実施形態で示した紙製容器100の大きさ及び形状は、図示したものに限られない。また上述の実施形態では、紙製容器100は、その底面が平面視で八角形の容器とされたが、容器の形状はこれに限られない。例えばその底面が平面視で四角形、六角形等の他の多角形とされてもよい。例えば四角形の容器では、コーナー接続片は平面の四辺に対応する4つのフランジ部の長手方向の一方の端部に設けられ、組立時に隣接するフランジ部に接続される。そしてこの容器の形状に応じて、上記傾斜線部7の形状や大きさ、上記傾斜角度、開始点の位置等も適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…底面部
2a…長側面部
2b…短側面部
2c…コーナー側面部
3a…長フランジ部
3b…短フランジ部
3c…コーナーフランジ部
4a、4b、4c…折目
5a、5b、5c…折目
7…傾斜線部
7a…傾斜折目部
7b…傾斜カット部
21…側面補強部
22…スタッキングリブ
31…コーナー接続片
31a…幅狭部
31b…幅広部
50…ブランクシート
100…紙製容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10