(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】紙製容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/20 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
B65D5/20 C
(21)【出願番号】P 2021053991
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】武口 史郎
(72)【発明者】
【氏名】志賀 好晃
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-512242(JP,A)
【文献】特開2019-172339(JP,A)
【文献】特開2004-161311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製のブランクシートから組み立てられる紙製容器であって、
平面視で、一対の長辺、一対の短辺及び二対のコーナー辺を有する八角形状に形成された底面部と、
前記一対の長辺から立ち上がる一対の長側面部と、前記一対の短辺から立ち上がる一対の短側面部と、前記二対のコーナー辺から立ち上がる二対のコーナー側面部とからなる側面部と、
前記一対の長側面部と接続する一対の長フランジ部と、前記一対の短側面部と接続する一対の短フランジ部と、前記二対のコーナー側面部と接続する二対のコーナーフランジ部とからなる、当該紙製容器の上面を形成するフランジ部と、を具備し、
前記コーナーフランジ部のうち少なくとも1つは、他のコーナーフランジ部と異なる形状を有するマーカー部を有する
紙製容器。
【請求項2】
請求項1に記載の紙製容器であって、
前記マーカー部は、凹状の切欠きである
紙製容器。
【請求項3】
請求項2に記載の紙製容器であって、
前記マーカー部は、波形状に形成された複数の凹状の切欠きである
紙製容器。
【請求項4】
請求項1に記載の紙製容器であって、
前記マーカー部は、前記上面と同一面上の外側へ突出する凸部である
紙製容器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の紙製容器であって、
前記マーカー部は、前記長フランジ部または前記短フランジ部を介して隣接する2つの前記コーナーフランジ部に形成される
紙製容器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の紙製容器であって、
前記マーカー部は、前記コーナーフランジ部のうち、組立時に前記長フランジ部または短フランジ部と他のフランジ部と重ならない領域に形成される
紙製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品等を包装するための、ブランクシートから組み立てられた紙製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙製のブランクシートから組み立てられ上端にフランジを有するトレー状の容器が知られている。
【0003】
例えば下記特許文献1には、紙を主材料とするブランクシートから組立てられたトレー状の容器本体と、この容器本体の内面に被覆された樹脂フィルムと、を備える組立紙容器において、容器本体に、底面と、この底面から立ち上がる複数の側面と、これらの複数の側面と接続して組立後に上面が面一となる上端フランジと、を設けたことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなブランクシートから組み立てられる紙製容器には、ブランクシートに文字や図形等が印刷される場合がある。また当該紙製容器には、食品等の内容物が収容された後、フランジが樹脂フィルムによってシールされることになるが、消費者が当該樹脂フィルムを剥離する場合には、剥離がしやすいようにフランジのコーナーにタブが設けられる場合があり、そのタブの位置が、上記印刷された文字や図形の向きに対して所定の方向に定められる場合がある(例えば、フランジに「ここから剥がしてください。」といった剥離開始箇所を示す文字が印刷される場合、タブもその位置に定められることになる)。
【0006】
また、上記のような紙製容器の製造工程では、ブランキングラインで製造されたブランクシートを多段にわたって積み重ねてこの積層体をスタックとし、このスタックを、容器を組み立てる製函機(ケースフォーマー)や樹脂フィルムを被覆する熱圧着機等からなる一連の加工ラインの始端部に搬入した上で、スタックの最上段のブランクシートから順にディスタックフィーダによって一枚ずつピックアップして上記加工ラインに投入するのが一般的である。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載のような従来技術においては、上記ブランクシートを積み重ねる際に、ブランクシートを作業者が上記定められた方向とは異なる方向(例えば180度ずれた方向)に誤って積んでしまう場合がある。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、作業者が組立前のブランクシートを誤った方向に積んでしまうのを防止することが可能な紙製容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る紙製容器は、紙製のブランクシートから組み立てられる紙製容器であって、底面部と側面部とフランジ部とを有する。上記底面部は、平面視で、一対の長辺、一対の短辺及び二対のコーナー辺を有する八角形状に形成される。上記側面部は、上記一対の長辺から立ち上がる一対の長側面部と、上記一対の短辺から立ち上がる一対の短側面部と、上記二対のコーナー辺から立ち上がる二対のコーナー側面部とからなる。上記フランジ部は、上記一対の長側面部と接続する一対の長フランジ部と、上記一対の短側面部と接続する一対の短フランジ部と、上記二対のコーナー側面部と接続する二対のコーナーフランジ部とからなり、当該紙製容器の上面を形成する。上記コーナーフランジ部のうち少なくとも1つは、他のコーナーフランジ部と異なる形状を有するマーカー部を有する。
【0010】
この構成により、コーナーフランジ部にマーカー部を有することで、作業者は組立前の複数のブランクシートを当該マーカー部が常に同じ位置となるように積むことで、ブランクシートを誤った方向に積んでしまうのを防止することができる。
【0011】
上記マーカー部は、凹状の切欠きであってもよい。
【0012】
これにより、複数のブランクシートを積む際に、マーカー部を、例えば棒状のガイド部材に係合させてガイドさせることができ、作業効率が向上するとともに、ブランクシートの積層体を安定して保持することができる。
【0013】
上記マーカー部は、波形状に形成された複数の凹状の切欠きであってもよい。
【0014】
上記マーカー部は、上記上面と同一面上の外側へ突出する凸部であってもよい。
【0015】
上記マーカー部は、上記長フランジ部または上記短フランジ部を介して隣接する2つの上記コーナーフランジ部に形成されてもよい。
【0016】
これにより、マーカー部を隣接する2つのコーナーフランジ部に設けることで、意匠性を向上させると共に、右利きの人と左利きの人の双方に対応するために2つのコーナーフランジ部にタブが設けられる場合には、当該タブの位置とマーカー部の位置とを対応させることができる。
【0017】
上記マーカー部は、上記コーナーフランジ部のうち、組立時に上記長フランジ部または短フランジ部と他のフランジ部と重ならない領域に形成されてもよい。
【0018】
これにより、組立時に重ならずに余白として残る領域をマーカー部に有効活用することができ、またブランクシートにおいてマーカー部形成のためのカット処理を最低限で済ますことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、作業者が組立前のブランクシートを誤った方向に積んでしまうのを防止することができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る紙製容器の外観を示した平面側斜視図である。
【
図7】上記紙製容器のブランクシートを示す展開図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る紙製容器の外観を示した平面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る紙製容器の外観を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0022】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0023】
[紙製容器の概要]
図1は、本発明の一実施形態における紙製容器の外観を示した平面側斜視図である。また
図2は
図1の紙製容器の底面側斜視図である。また
図3は当該紙製容器の正面図であり、
図4は当該紙製容器の側面図であり、
図5は当該紙製容器の平面図であり、
図6は当該紙製容器の底面図である。また
図7は当該紙製容器の組立前のブランクシートを示す展開図である。
【0024】
各図に示すように、本実施形態に係る紙製容器100は、1枚の紙製(例えばボール紙)のブランクシート50から製函機(ケースフォーマー)等で折り曲げられて、平面視で矩形の上面が開放されたトレー状に組立てられた容器である。もちろん、紙製容器100の形状は矩形に限られず、底面と、そこから立ち上がる側面を有し上面が開放されたトレー状であれば、他の多角形形状であっても構わない。
【0025】
各図に示すように、この紙製容器100は、底面部1と、この底面部1から立ち上がる複数の側面部2(2a、2b、2c)と、これらの複数の側面部2と接続して容器全体の上端に位置する矩形枠状のフランジ部3を有する。
【0026】
底面部1は、平面視で、一対の長辺、一対の短辺及び二対のコーナー辺を有する八角形状に形成されている。ブランクシート50においては、当該一対の長辺、一対の短辺及び二対のコーナー辺に対応して、例えばミシン刃によって形成されたミシン目状の一等の折目4a、一対の折目4b及び二対の折目4cが形成されている。当該各折目4により、側面部2として、底面部1の一対の長辺から立ち上がる一対の長側面部2a、一対の短辺から立ち上がる一対の短側面部2b及び二対のコーナー片から立ち上がる二対のコーナー側面部2cが形成される。
【0027】
各側面部2は、
図1~
図4に示すように、底面部1の外端から外側へ張り出し、底面部1に対して傾斜したテーパー面(傾斜面)となっている。しかし、側面部2が底面部1に対して直角となるように形成されても構わない。
【0028】
上記フランジ部3は、上記一対の長側面部2aに対応する一対の長フランジ部3aと、上記一対の短側面部2bに対応する一対の短フランジ部3bと、上記二対のコーナー側面部2cに対応する二対のコーナーフランジ部3cとを有する。
【0029】
図1、
図2、
図5、
図6、
図7に示すように、各フランジ部3は、ブランクシート50の各折目5(長側面部2aに対応する5a、短側面部2bに対応する5b、コーナー側面部2cに対応する5c)により、各側面部2の上端から外側へ略水平に張り出すように形成されている。
【0030】
このうち、長フランジ部3a及び短側面部3bは長方形状に形成され、コーナーフランジ部3cはその外側が円弧状のかまぼこ型形状に形成されている。
【0031】
図2、
図6及び
図7に示すように、上記長フランジ部3a及び短フランジ部3bは、それらの長手方向(X方向及びY方向)の両端部に、当該両端部から突出して上記各コーナーフランジ部3cと接続する片持ち梁状のコーナー接続片31を有する。具体的には、隣接する長フランジ部3aと短フランジ部3bの隣接端からそれぞれ突出した一対のコーナー接続片31が各コーナーフランジ部3cの各裏面に接着されることで、長フランジ部3a及び短フランジ部3bとコーナーフランジ部3cとが接続される。
【0032】
また
図2~
図4及び
図6に示すように、長側面部2a及び短側面部2bの両側上端部には、複数の当該紙製容器100をスタッキングする際に、当該紙製容器100間に所定の隙間を形成させて掴みやすくするためのスタッキングリブ22が計8つ設けられている。
【0033】
図2、
図6及び
図7に示すように、上記コーナーフランジ部3cの外端部(コーナー側面部2cとは反対側の端部)は、所定の曲率半径のR形状を有している。一方、上記コーナー接続片31の外側の端部(長側面部2a及び短側面部2bとは反対側の端部)も、上記コーナーフランジ部3cと同一または略同一の曲率半径のR形状を有している。
【0034】
これにより、コーナー接続片31のR形状とコーナーフランジ部3cのR形状とを合致させることで、コーナー接続片31がコーナーフランジ部3cに接着される際に位置合わせに多少ずれが生じた場合でも、当該ずれを目立たなくすることができる。
【0035】
なお図示しないが、組立後、当該紙製容器100の内面には樹脂フィルムが被覆される。樹脂フィルムは、紙製容器100の内面に溶着可能な熱可塑性樹脂からなる単層又は複層の50~500μm厚程度のフィルムであり、液体などの流動物を含む食品などの内容物が外部へ漏れ出さないようにする機能を有する。
【0036】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロビレン(PP)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。使用後に紙製の紙製容器100と分別して廃棄することを考えると、イージーピール性を持つフィルムが好ましい。この樹脂フィルムは、紙製容器100に所定の温度で例えば真空圧空形成により吸引圧着されて被覆される。
【0037】
[ブランクシート]
次に、
図7を用いて、ブランクシート50について説明する。
【0038】
図7に示すように、ブランシート50の中央には、組立後に紙製容器100の底面となる前述の八角形状の底面部1がある。そして、当該底面部1から、長辺の折目4aの外側に逆台形状の上記長側面部2aが、短辺の折目4bの外側に逆台形状の短側面部2bが、斜辺の折目4cの外側に長方形状のコーナー側面部2cがそれぞれ形成されている。
【0039】
さらに、当該長側面部2aから折目5aの外側に上記長フランジ部3aが、短側面部2bから折目5bの外側に上記短フランジ部3bが、コーナー側面部2cから折目5cの外側に上記コーナーフランジ部3cがそれぞれ形成されている。
【0040】
そして、長フランジ部3a及び短いフランジ部3bの両端であって、各コーナーフランジ部3cとの境界に亘っては、上述したコーナー接続片31が形成されている。
【0041】
ここで、当該ブランクシート50において、コーナー側面部2cとコーナー接続片31と長側面部2aまたは短側面部2b(上記スタッキングリブ22を含む)とに囲まれる三角形状の部分21は、上記各コーナー側面部2cに接続された状態で、コーナー接続片31及び長側面部2aまたは短側面部2bの形状に沿ってカットされる。そして
図1及び
図5に示すように、組立時において、当該部分21は、長側面部2aまたは短側面部2bの両側端部に重なるように位置し、側面補強部21として機能する。当該部分21が、長側面部2aまたは短側面部2bの両側端部に糊等で接着されてもよい。また上記樹脂フィルムによって、長側面部2aまたは短側面部2bの両側端部と重なった状態で一体的に被覆されることで当該両側面部に固定されてもよい。
【0042】
[逆積み防止用のマーカー部]
次に、上記コーナーフランジ部3cに設けられたマーカー部について説明する。
【0043】
各図に示すように、上記コーナーフランジ部3cのうち、上記長フランジ部3aまたは短フランジ部3bを介して隣接する2つのコーナーフランジ部3c(例えば、平面視で左上と左下の2つのコーナーフランジ部3c)には、他のコーナーフランジ部3cと異なる形状を有するマーカー部7が形成される。本実施形態においてマーカー部7は、凹状(例えば半円状)の切欠きとされる。
【0044】
当該マーカー部7は、紙製容器100の組立時において多数のブランクシート50を積み重ねておく際に、作業者がブランクシート50を誤った方向(180度異なった方向)に積んでしまうのを防止するために設けられる。
【0045】
すなわち、本実施形態に係る紙製容器100においては、ブランクシート50上に文字や図形等が印刷される場合がある。また組立後の紙製容器100には、食品等の内容物が収容された後、フランジ部3が、樹脂フィルムによってシールされることになるが、消費者が当該樹脂フィルムを剥離する場合には、剥離がしやすいようにいずれかのコーナーフランジ部3cに対応するフィルムのコーナーにタブが設けられる場合があり、そのタブの位置が、上記印刷された文字や図形の向きに対して所定の方向に定められる場合がある(例えば、いずれかのコーナーフランジ部3cに「ここから剥がしてください。」といった剥離開始箇所を示す文字が印刷される場合、タブもその位置に定められることになる)。
【0046】
また、紙製容器100の製造工程では、ブランキングラインで製造されたブランクシート50を多段にわたって積み重ねてこの積層体をスタックとし、このスタックを、紙製容器100を組み立てる製函機(ケースフォーマー)や上記樹脂フィルムを被覆する熱圧着機等からなる一連の加工ラインの始端部に搬入した上で、スタックの最上段のブランクシート50から順にディスタックフィーダによって一枚ずつピックアップして上記加工ラインに投入するのが一般的である。
【0047】
この場合、最初に積み重ねられたブランクシート50の方向は、加工ラインの終端まで変更されないため、上記ブランクシート50を積み重ねる段階で正しい方向に設置する必要がある。しかし、作業者が上記ブランクシート50を積み重ねる際に、上記印刷方向に対して定められた方向とは180度異なる方向に誤って積んでしまう場合がある。
【0048】
そこで本実施形態では、上記2つのコーナーフランジ部3cにマーカー部7を形成し、作業者は組立前の複数のブランクシートを当該マーカー部7が常に同じ位置となるように積むことで、ブランクシートを誤った方向に積んでしまうのを防止することができる。
【0049】
また
図6に示すように、マーカー部7は、上記コーナーフランジ部3cのうち、組立時に上記長フランジ部3aまたは短フランジ部3bと重ならない領域に形成される。
【0050】
これにより、組立時に重ならずに余白として残る領域をマーカー部7に有効活用することができ、またブランクシート50においてマーカー部7形成のためのカット処理を最低限で済ますことができる。
【0051】
さらに、仮に長フランジ部3aまたは短フランジ部3bに同様のマーカー部7を形成する場合には、長フランジ部3aまたは短フランジ部3bの幅の半分ほどの幅をマーカー部7が占有してしまい、樹脂フィルムのシール強度が低くなるおそれがあるが、長フランジ部3aまたは短フランジ部3bと比べて最大で2倍以上の幅を有するコーナーフランジ部3cであれば、マーカー部7を形成してもシール強度の低下を防ぐことができる。
【0052】
また、本実施形態では、マーカー部7を凹状の切欠きとして形成することで、複数のブランクシート50を積む際に、マーカー部7を、例えば棒状のガイド部材に係合させてガイドさせることができ、作業効率が向上するとともに、ブランクシート50の積層体を安定して保持することができる。
【0053】
また、本実施形態では、隣接する2つ(平面視で左上と左下)のコーナーフランジ部3cにマーカー部7を設けることで、意匠性を向上させると共に、右利きの人と左利きの人の双方にとって樹脂フィルムの剥離を容易とするために当該2つのコーナーフランジ部3cにタブが設けられる場合には、当該タブの位置とマーカー部7の位置とを対応させることができる。
【0054】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態及びこれ以降の実施形態において、上記第1実施形態と同様の機能を有する箇所には同一の符号を付す。
【0055】
図8は、本実施形態に係る紙製容器100の外観を示した平面図である。同図に示すように、本実施形態におけるマーカー部7は、波形状に形成された複数(例えば3つ)の凹状の切欠きとして形成される。
【0056】
このような形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお本実施形態においてブランクシート50の積層時にマーカー部7をガイド部材に係合させる際には、上記3つの凹部のうちいずれかの凹部に合わせてガイド部材を構成すればよい。
【0057】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0058】
図9は、本実施形態に係る紙製容器100の外観を示した平面図である。同図に示すように、本実施形態におけるマーカー部7は、フランジ部3の上面と同一面上の外側へ突出する例えば半円状の凸部として形成される。
【0059】
このような形態によっても、上記第1及び第2実施形態と同様の効果を得ることができる。なお本実施形態においてブランクシート50の積層時にマーカー部7をガイド部材に係合させる際には、マーカー部7の凸形状に合わせて凹状のガイド部材を構成すればよい。
【0060】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0061】
マーカー部7の形状は、それが設けられたコーナーフランジ部3c以外のコーナーフランジ部3cと異なる形状を有するものであれば、上記各実施形態に示したものに限られない。例えば、マーカー部7は、V字状や矩形状の切欠きとして形成されてもよいし、V字状や矩形状の突起として形成されてもよい。
【0062】
上述の各実施形態においては、マーカー部7は4つのコーナーフランジ部3cのうち隣接する(平面視で左上及び左下の)2つのコーナーフランジ部3cに設けられた。しかしながら、当該隣接箇所は平面視で左上及び右上でもよいし、左下及び右下でもよい。
【0063】
さらに、マーカー部7は4つのコーナーフランジ部3cのうちいずれか1つのみに設けられてもよいし、いずれか3つに設けられてもよい。
【0064】
また紙製容器100の形状も、上述の各実施形態に示したものに限られず、適宜変更が可能であり、それに応じてマーカー部7の形状や大きさ等も適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…底面部
2a…長側面部
2b…短側面部
2c…コーナー側面部
3a…長フランジ部
3b…短フランジ部
3c…コーナーフランジ部
4a、4b、4c…折目
5a、5b、5c…折目
7…マーカー部
21…側面補強部
22…スタッキングリブ
31…コーナー接続片
50…ブランクシート
100…紙製容器