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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】充電装置、及び、充電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240618BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240618BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240618BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/10 H
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019224554
(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公開番号】P2021093333
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】小田切 俊雄
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-266638(JP,A)
【文献】特開平06-325795(JP,A)
【文献】特開2003-189493(JP,A)
【文献】特開2012-054152(JP,A)
【文献】特開平04-322131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに積層されて直列接続された複数の蓄電セルを含む蓄電モジュールを充電するための充電装置であって、
前記蓄電モジュールのモジュール端子に接続され、前記複数の蓄電セルを一括して充電するための第1充電器と、
前記複数の蓄電セルのそれぞれのセル端子に接続され、前記複数の蓄電セルのそれぞれを個別に充電するための第2充電器と、
前記第1充電器による充電を行った後に、前記第2充電器による充電を行うように、前記第1充電器及び前記第2充電器を制御する制御部と、
備え、
前記制御部は、
前記第1充電器により定電流充電を行う第1処理と、
前記第1処理の後に、前記第2充電器による充電を行う第2処理と、
を実行し、
前記制御部は、前記第1処理の後に前記第1充電器により定電圧充電を行う第3処理を実行すると共に、前記第3処理において電流値が閾値以下になったときに、前記第3処理を終了して前記第2処理を実行する、
充電装置。
【請求項2】
互いに積層されて直列接続された複数の蓄電セルを含む蓄電モジュールを充電するための充電装置であって、
前記蓄電モジュールのモジュール端子に接続され、前記複数の蓄電セルを一括して充電するための第1充電器と、
前記複数の蓄電セルのそれぞれのセル端子に接続され、前記複数の蓄電セルのそれぞれを個別に充電するための第2充電器と、
前記第1充電器による充電を行った後に、前記第2充電器による充電を行うように、前記第1充電器及び前記第2充電器を制御する制御部と、
を備え、
前記複数の蓄電セルのそれぞれは、互に積層されてシール部材により一体化された一対のバイポーラ電極によって構成されており、
前記バイポーラ電極は、第1面及び第1面の反対側の第2面を含む電極板と、前記第1面に形成された正極層と、前記第2面に形成された負極層と、を有し、
前記セル端子は、前記電極板のそれぞれに設けられると共に前記シール部材の外側まで延在しており、
前記第2充電器は、前記セル端子における前記シール部材の外側に位置する部分に接続されている、
充電装置。
【請求項3】
前記複数の蓄電セルのそれぞれは、互に積層されてシール部材により一体化された一対のバイポーラ電極によって構成されており、
前記バイポーラ電極は、第1面及び第1面の反対側の第2面を含む電極板と、前記第1面に形成された正極層と、前記第2面に形成された負極層と、を有し、
前記セル端子は、前記電極板のそれぞれに設けられると共に前記シール部材の外側まで延在しており、
前記第2充電器は、前記セル端子における前記シール部材の外側に位置する部分に接続されている、
請求項1に記載の充電装置。
【請求項4】
互いに積層されて直列接続された複数の蓄電セルを含む蓄電モジュールを充電するための充電方法であって、
前記蓄電モジュールのモジュール端子を用いて、前記複数の蓄電セルを一括して充電する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記複数の蓄電セルのそれぞれを個別に充電する第2工程と、
備え、
前記第1工程において定電流充電を行った後に前記複数の蓄電セルの一括した定電圧充電を実施し、電流値が閾値以下になったときに、前記定電圧充電を終了して前記第2工程を実施する、
充電方法。
【請求項5】
互いに積層されて直列接続された複数の蓄電セルを含む蓄電モジュールを充電するための充電方法であって、
前記蓄電モジュールのモジュール端子を用いて、前記複数の蓄電セルを一括して充電する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記複数の蓄電セルのそれぞれのセル端子を用いて、前記複数の蓄電セルのそれぞれを個別に充電する第2工程と、
を備え、
前記複数の蓄電セルのそれぞれは、互に積層されてシール部材により一体化された一対のバイポーラ電極によって構成されており、
前記バイポーラ電極は、第1面及び第1面の反対側の第2面を含む電極板と、前記第1面に形成された正極層と、前記第2面に形成された負極層と、を有し、
前記セル端子は、前記電極板のそれぞれに設けられると共に前記シール部材の外側まで延在しており、
前記第2工程では、前記セル端子における前記シール部材の外側に位置する部分を介して、前記複数の蓄電セルのそれぞれを個別に充電する、
充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置、及び、充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、双極型二次電池が記載されている。この双極型二次電池は、長方形のSUS箔からなる集電体の一方の面に正極層が形成され、他方の面に負極層が形成された双極型電極を、セパレータに電解質を保持させてなる電解質層を挟んで積層し、複数枚直列に配設した構成を有している。この双極型二次電池においては、正極層と負極層との間に電解質層を挟んだ積層構造により単電池層が構成されている。集電体には、SUSが露出した露出部が形成されている。露出部には、導電性接着剤を用いてリード線が電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-117626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような二次電池を充電する際には、例えば、積層方向の両端部に位置する単電池層の集電体を端子とし用いることにより、複数の単電池層を一括して充電することが考えられる。しかしながら、この場合には、双極型電極の製造バラつきに起因して、各単電池層の電圧にバラツキが発生する結果、単電池層のそれぞれの充電状態が不均一となるおそれがある。一方で、単電池層のそれぞれを構成する集電体の露出部に設けられたリード線を用いて、単電池層のそれぞれを個別に充電しようとすると、リード線の抵抗値に応じて最大電流値が制限されることから、長時間の充電が必要となる。
【0005】
そこで、本発明は、充電時間を短縮しつつ複数の蓄電セルを均等に充電可能な充電装置、及び、充電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る充電装置は、互いに積層されて直列接続された複数の蓄電セルを含む蓄電モジュールを充電するための充電装置であって、蓄電モジュールのモジュール端子に接続され、複数の蓄電セルを一括して充電するための第1充電器と、複数の蓄電セルのそれぞれのセル端子に接続され、複数の蓄電セルのそれぞれを個別に充電するための第2充電器と、第1充電器による充電を行った後に、第2充電器による充電を行うように、第1充電器及び第2充電器を制御する制御部と、を備える。
【0007】
本発明に係る充電方法は、互いに積層されて直列接続された複数の蓄電セルを含む蓄電モジュールを充電するための充電方法であって、蓄電モジュールのモジュール端子を用いて、複数の蓄電セルを一括して充電する第1工程と、第1工程の後に、複数の蓄電セルのそれぞれを個別に充電する第2工程と、を備える。
【0008】
これらの充電装置及び充電方法においては、蓄電モジュールを構成する複数の蓄電セルを一括して充電した後に、複数の蓄電セルのそれぞれを個別に充電する。したがって、複数の蓄電セルを一括して充電するのみの場合と比較して、蓄電セルを均等に充電可能である。また、複数の蓄電セルのそれぞれを個別に充電するのみの場合と比較して、充電時間を短縮可能である。
【0009】
本発明に係る充電装置では、制御部は、第1充電器により定電流充電を行う第1処理と、第1処理の後に、第2充電器による充電を行う第2処理と、を実行してもよい。このように、比較的大きな電流を流しやすい一括した充電で定電流充電を利用することにより、充電時間を確実に短縮可能である。
【0010】
本発明に係る充電装置では、制御部は、第1処理の後に第1充電器により定電圧充電を行う第3処理を実行すると共に、第3処理において電流値が閾値以下になったときに、第3処理を終了して第2処理を実行してもよい。このように、電流値が一定以下となった後に定電圧充電を利用した個別の充電に移行することにより、より確実に充電時間を短縮可能である。
【0011】
本発明に係る充電装置では、複数の蓄電セルのそれぞれは、互に積層されてシール部材により一体化された一対のバイポーラ電極によって構成されており、バイポーラ電極は、第1面及び第1面の反対側の第2面を含む電極板と、第1面に形成された正極層と、第2面に形成された負極層と、を有し、セル端子は、電極板のそれぞれに設けられると共にシール部材の外側まで延在しており、第2充電器は、セル端子におけるシール部材の外側に位置する部分に接続されていてもよい。このように、個別の充電に用いられるセル端子は、蓄電セルを構成するバイポーラ電極の電極箔のそれぞれに設けられてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、充電時間を短縮しつつ複数の蓄電セルを均等に充電可能な充電装置、及び、充電方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る蓄電モジュール、及び、充電装置を示す模式的な図である。
図2図2は、充電中の各蓄電セルの(a)電圧値及び(b)電流知の変化を示すグラフである。
図3図3は、充電中の各蓄電セルの(a)電圧値及び(b)電流知の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図面の説明においては、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0015】
図1は、本実施形態に係る蓄電モジュール、及び、充電装置を示す模式的な図である。図1に示される蓄電モジュール11は、一例として、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリの一部として用いられ得る。蓄電モジュール11は、略直方体形状を呈する単電池である。蓄電モジュール11は、例えば、ニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池等の二次電池である。蓄電モジュール11は、電気二重層キャパシタであってもよい。蓄電モジュール11は、全固体電池であってもよい。
【0016】
ここでは、蓄電モジュール11は、バイポーラ型のリチウムイオン二次電池である。蓄電モジュール11は、積層方向において正極集電板12と負極集電板13とによって挟まれており、正極集電板12及び負極集電板13を介して後述する充電器110に電気的に接続され得る。
【0017】
蓄電モジュール11は、積層体(電極積層体)14と、シール部材15と、を備えている。積層体14は、複数のバイポーラ電極16、複数のセパレータ17、1つの正極終端電極18、及び、1つの負極終端電極19を有している。複数のバイポーラ電極16は、ここでは、一方向に互いに積層されている。以下では、バイポーラ電極16の積層方向を単に「積層方向」という場合がある。積層体14は、積層方向に沿った側面14sを有している。
【0018】
正極終端電極18は、積層方向における積層体14の一端において、バイポーラ電極16に積層されている。負極終端電極19は、積層方向における積層体14の他端において、バイポーラ電極16に積層されている。セパレータ17は、隣り合うバイポーラ電極16の間、バイポーラ電極16と正極終端電極18との間、及び、バイポーラ電極16と負極終端電極19との間に介在されている。
【0019】
バイポーラ電極16は、電極板21、正極層(電極層)22、及び、負極層(電極層)23を有している。電極板21は、積層方向に交差する第1面21a及び第1面21aの反対側の第2面21bを含む。第1面21aには正極層22が設けられ、第2面21bには負極層23が設けられている。すなわち、電極板21は、積層方向に沿って正極層22と負極層23とによって挟まれている。なお、バイポーラ電極16は、一方の面に正極層22が形成された導電板と、一方の面に負極層23が形成された別の導電板とを、電極層が形成されていない面同士が接触するように重ね合されて形成されてもよい。
【0020】
電極板21は、箔状の導電部材であり、略矩形状を呈している。電極板21は、例えば、金属箔又は合金箔である。金属箔は、例えば、銅箔、アルミニウム箔、チタン箔、又は、ニッケル箔等である。合金箔は、例えば、ステンレス鋼箔(例えば、JIS G 4305:2015にて規定されるSUS304、SUS316、SUS301、SUS304等)、メッキ処理が施された鋼板(例えばJIS G 3141:2005にて規定される冷間圧延鋼板(SPCC等))メッキ処理が施されたステンレス鋼板、又は、上記金属の合金箔である。電極板21が合金箔である場合、或いは、電極板21がアルミニウム箔以外の金属箔である場合、電極板21の表面はアルミニウムで被覆されていてもよい。電極板21の厚さは、例えば、5μm以上70μm以下である。
【0021】
正極層22は、正極活物質と導電助剤と結着剤とを含む層状部材であり、略矩形状を呈している。本実施形態の正極活物質は、例えば、複合酸化物、金属リチウム、及び硫黄等である。複合酸化物の組成には、例えば、鉄、マンガン、チタン、ニッケル、コバルト、及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。複合酸化物の例には、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)が挙げられる。結着剤は、活物質又は導電助剤を集電体の表面に繋ぎ止め、電極中の導電ネットワークを維持する役割を果たすものである。
【0022】
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体を例示することができる。これらの結着剤を単独で又は複数で採用すれば良い。導電助剤は、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等である。粘度調整溶媒は、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等である。
【0023】
負極層23は、負極活物質と導電助剤と結着剤とを含む層状部材であり、略矩形状を呈している。本実施形態の負極活物質は、例えば、黒鉛、人造黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、金属化合物、リチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物、ホウ素添加炭素等である。リチウムと合金化可能な元素の例としては、シリコン(ケイ素)及びスズが挙げられる。導電助剤及び結着剤は正極層22と同様のものを用いることができる。
【0024】
正極終端電極18は、電極板21と、電極板21の第1面21aに形成された正極層22と、含む。正極終端電極18においては、電極板21の第2面21bには負極層23等の電極層が形成されていない。正極終端電極18は、電極板21の第1面21a及び正極層22がバイポーラ電極16側(積層体14の内側)に向くようにバイポーラ電極16に積層されている。
【0025】
負極終端電極19は、電極板21と、電極板21の第2面21bに形成された負極層23と、を含む。負極終端電極19においては、電極板21の第1面21aには、正極層22等の電極層が形成されていない。負極終端電極19は、電極板21の第2面21b及び負極層23がバイポーラ電極16側(積層体14の内側)に向くようにバイポーラ電極16に積層されている。
【0026】
セパレータ17は、隣り合うバイポーラ電極16の間、バイポーラ電極16と正極終端電極18との間、及びバイポーラ電極16と負極終端電極19との間に介在された層状部材であり、略矩形状を呈している。セパレータ17は、隣り合うバイポーラ電極16の間、バイポーラ電極16と正極終端電極18との間、及びバイポーラ電極16と負極終端電極19との間の短絡を防止する部材である。セパレータ17は、正極層22及び負極層23に含まれる電解質によって構成されている。セパレータ17は、固体電解質によって構成される場合、略矩形板形状を呈してもよい。
【0027】
セパレータ17は、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルムである。セパレータ17は、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等でもよい。セパレータ17は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されてもよい。
【0028】
シール部材15は、積層体14に含まれる複数のバイポーラ電極16、複数のセパレータ17、正極終端電極18、及び負極終端電極19を保持する部材であり、絶縁性を有している。より詳細には、シール部材15は、バイポーラ電極16、正極終端電極18、及び負極終端電極19を構成する電極板21を保持している。シール部材15は、積層体14の側面14sを封止する。
【0029】
シール部材15は、積層方向からみたとき、電極板21の外形に倣う外形の枠状(ここでは矩形枠状)を呈しており、電極板21の外縁部21cにおいて、積層方向に隣り合う電極板21の間に介在されている。電極板21の間に介在するシール部材15は、電極板21の外縁部21cにおいて第1面21aに接合(例えば溶着)されている。なお、シール部材15は、電極板21の第2面21bにさらに接合(例えば溶着)されていてもよいし、シール部材15同士が互いに接合(例えば溶着)されていてもよい。
【0030】
一方、シール部材15は、積層方向における積層体14の一端では、正極終端電極18の電極板21の積層体14の外側に臨む第2面21b上にも配置され、当該第2面21bにも接合(例えば溶着)されている。さらに、シール部材15は、負極終端電極19の電極板21の積層体14の外側に臨む第1面21a上に配置され、当該第1面21aに接合(例えば溶着)されている。
【0031】
積層方向からみて、正極終端電極18の電極板21の第2面21bにおけるシール部材15に囲われる領域には、正極集電板12が配置されている。すなわち、積層方向における積層体14の一端には、積層方向からみて正極集電板12を囲うようにシール部材15が配置されることとなる。また、積層方向からみて、負極終端電極19の電極板21の第1面21aにおけるシール部材15に囲われる領域には、負極集電板13が配置されている。すなわち、積層方向における積層体14の他端には、積層方向からみて負極集電板13を囲うようにシール部材15が配置されることとなる。
【0032】
シール部材15を形成する材料は、耐熱性を示す樹脂部材等である。耐熱性を示す樹脂部材の例としては、ポリイミド、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)及びPA66等が挙げられる。
【0033】
シール部材15によって封止された空間(シール部材15と電極板21とによって囲われた領域)Sには、図示しない電解液が収容されている。電解液の例は、環状カーボネート、環状エステル、鎖状カーボネート、鎖状エステル、エーテル類等が使用できる。電解液に含まれる支持塩は、例えばリチウム塩である。リチウム塩は、例えば、LiBF、LiPF、LiN(FSO、LiN(SOCF、LiN(SO、もしくはこれらの混合物である。
【0034】
ここで、蓄電モジュール11では、互に隣り合う一対の電極板21によって1つの蓄電セル50が構成されている。すなわち、蓄電モジュール11は、互に積層されて直列接続された複数の蓄電セル50を含む。複数の蓄電セル50のそれぞれは、互に積層されてシール部材15により一体化された一対のバイポーラ電極16等によって構成されている。そして、蓄電モジュール11では、この蓄電セル50のそれぞれが個別に後述する充電器120に電気的に接続可能とされている。
【0035】
より具体的には、バイポーラ電極16等の電極板21の外縁部21cには、板状(箔状)の導電部材24(例えばリード線)が接合されて一体化されており、当該導電部材24がシール部材15の側面14sに沿った外側面15sから外部に突出している。すなわち、導電部材24は、電極板21のそれぞれに設けられると共にシール部材15の外側まで延在したセル端子である。蓄電セル50のそれぞれは、この導電部材24を介して充電器120に接続され得る。なお、導電部材24を接合することなく、集電板(電極板21)の一部がシール部材15の側面14sに沿った外側面15sから外部に突出し、セル端子として構成されてもよい。
【0036】
一方で、蓄電モジュール11では、正極集電板12及び負極集電板13が、複数の蓄電セル50の一括した電気的な接続を可能とするモジュール端子として機能する。なお、ここでは、バイポーラ電極16等とは、バイポーラ電極16、正極終端電極18、及び、負極終端電極19を意味する。
【0037】
引き続いて、図1に示された充電装置100について説明する。充電装置100は、充電器(第1充電器)110、複数の充電器(第2充電器)120、及び、制御部130を備えている。充電器110は、複数の蓄電セル50のモジュール端子としての正極集電板12及び負極集電板13のそれぞれに電気的に接続されている。これにより、充電器110は、蓄電モジュール11を構成する複数の蓄電セル50を一括して充電可能とされている。
【0038】
充電器120は、複数の蓄電セル50のセル端子としての導電部材24のそれぞれに電気的に接続されている。充電器120は、導電部材24におけるシール部材15の外側に位置する部分に接続されている。これにより、充電器120は、蓄電モジュール11を構成する複数の蓄電セル50のそれぞれを個別に充電可能とされている。制御部130は、充電器110を用いた充電、及び、充電器120を用いた充電を制御する。
【0039】
そのために、制御部130は、充電器110及び充電器120と少なくとも電気的に接続されると共に、蓄電セル50の電圧等の充電状態を示す情報を取得可能とされている。そのために、導電部材24のそれぞれに対して、充電器120による充電のための2つの配線に加えて、蓄電セル50の電圧等を計測するための2つの配線を設けることができる。制御部130は、充電器110又は充電器120と一体に構成されていてもよいし、充電器110及び充電器120と別体に構成されていてもよい。
【0040】
制御部130は、CPU(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、データ送受信デバイスである通信モジュール、出力装置、及び、入力装置等を含むコンピュータシステムとして構成され得る。制御部130の以下の処理は、CPU、RAM等のハードウェア上に、所定のプログラムを読み込ませることにより、CPUの制御のもとで、通信モジュール、出力装置及び入力装置等を動作させるとともに、RAM等におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現され得る。
【0041】
充電装置100による以下の充電は、例えば、蓄電モジュール11のコンディショニング工程として実施され得る。コンディショニング工程は、蓄電モジュール11を最初に満充電状態まで充電する工程(初充電)である。コンディショニング工程において、蓄電セル50のそれぞれが均等に充電されず、電圧が低いままの蓄電セル50が発生すると、その後のエージング工程にて、当該蓄電セル50にSEI(Solid Electrolyte Interface)被膜が均一に形成され難くなるおそれがある。そこで、充電装置100では、以下のように蓄電モジュール11の充電を行う。
【0042】
すなわち、制御部130は、充電器110による複数の蓄電セル50の一括した充電を行った後に、充電器120による複数の蓄電セル50の個別の充電を行うように、充電器110及び充電器120を制御する。より具体的には、まず、制御部130が、充電器110による複数の蓄電セル50の一括した定電流充電を行う処理(第1処理)Aを実行する。図2及び図3は、充電中の各蓄電セルの(a)電圧値及び(b)電流知の変化を示すグラフである。図2に示されるように、ここでは、処理Aによって、電流値(充電電流)IAを一定値Iaとしつつ複数の蓄電セル50の一括した定電流充電が行われる。
【0043】
これにより、蓄電セル50のそれぞれの電圧値が上昇する。ただし、蓄電セル50の製造時に発生する容量のバラつきに起因して、蓄電セル50の電圧値の変化にもバラつきが生じる。ここでは、複数の蓄電セル50のうち、電圧変化の異なる3つの蓄電セル50A,50B,50Cの電圧値VA,VB,VCを例示する(蓄電セル50A,50B,50Cについては不図示)。
【0044】
制御部130は、最も変化(上昇率)の大きい蓄電セル50Aの電圧値VAが規定の電圧値Vaに到達した時点taにおいて処理Aを終了すると共に、充電器110による複数の蓄電セル50の一括した定電圧充電を行う処理(第3処理)Bを実行する。ここでは、処理Bによって、時点taにおけるそれぞれの電圧値VA,VB,VCをもって、複数の蓄電セル50の一括した定電圧充電が行われる。これにより、蓄電セル50の充電量の上昇に伴い電流値IAが低下していく。
【0045】
その後、図2,3に示されるように、制御部130は、電流値IAが一定値Iaから閾値Ib以下に減少した時点tbにおいて処理Bを終了すると共に、充電器120による複数の蓄電セル50のそれぞれの個別の充電を行う処理(第2処理)Cを実行する。処理Cの開始時においては、複数の蓄電セル50の全てについて、処理Bが終了した時点の電流値(例えば閾値Ib)での充電とされる。処理Cの開始時の電流値は、処理Aの開始時の電流値よりも小さな値である。
【0046】
この処理Cでは、すでに規定の電圧値Vaに到達している蓄電セル50Aについては、処理Bから継続して、電圧値Vaでの定電圧充電が行われる。一方、処理Cでは、未だ規定の電圧値Vaに到達していない蓄電セル50B,50Cについては、処理Bの終了の時点tbにおける電流値(例えば閾値Ib)での定電流充電が行われる。
【0047】
したがって、処理Cが開始された後には、蓄電セル50Aについては電流値IAが減少を続けるが、蓄電セル50B,50Cについては、電流値IB,ICが例えば閾値Ibで一定とされると共に、それぞれの電圧値VB,VCが上昇される。その後、制御部130は、蓄電セル50B,50Cの電圧値VBが規定の電圧値Vaに到達した時点tcで、蓄電セル50Bの充電方式を定電圧充電に切り替える。
【0048】
さらに、制御部130は、蓄電セル50Cの電圧値VCが規定の電圧値Vaに到達した時点tdで、蓄電セル50Cの充電方式を定電圧充電に切り替える。すなわち、制御部130は、処理Cにおいて、複数の蓄電セル50のうちの電圧値が規定の電圧値Vaに到達したもののから順に、充電方式を定電流充電から定電圧充電に切り替える。その後、制御部130は、満充電状態となった蓄電セル50から順に充電器120による充電を終了する。
【0049】
以上のように、制御部130では、蓄電モジュール11のモジュール端子である正極集電板12及び負極集電板13を用いて、複数の蓄電セル50を一括して充電する第1工程(処理A)と、第1工程の後に、複数の蓄電セル50のそれぞれのセル端子である導電部材24を用いて、複数の蓄電セル50のそれぞれを個別に充電する第2工程と、を備える充電方法が実施されることとなる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る充電装置100及びその充電方法においては、蓄電モジュール11を構成する複数の蓄電セル50を一括して充電した後に、複数の蓄電セル50のそれぞれを個別に充電する。したがって、複数の蓄電セル50のそれぞれを個別に充電するのみの場合と比較して、充電時間を短縮可能である。また、複数の蓄電セル50を一括して充電するのみの場合と比較して、蓄電セル50を均等に充電可能である。
【0051】
また、充電装置100では、制御部130が、充電器110により定電流充電を行う処理Aと、処理Aの後に、充電器120による充電を行う処理Cと、を実行する。このように、比較的大きな電流を流しやすい一括した充電で定電流充電を利用すると共に、比較的大きな電流を流しにくい個別の充電で定電圧充電を利用することにより、確実に、充電時間を短縮しつつ均等な充電が可能となる。
【0052】
また、充電装置100では、制御部130が、処理Aの後に充電器110により定電圧充電を行う処理Bを実行すると共に、処理Bにおいて電流値が閾値以下になったときに、処理Bを終了して処理Cを実行する。このように、電流値が一定以下となった後に定電圧充電を利用した個別の充電に移行することにより、より確実に充電時間を短縮可能である。
【0053】
以上の実施形態は、本発明の一側面を説明したものである。したがって、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、任意に変形され得る。
【0054】
例えば、上記実施形態では、制御部130が、処理Aで定電流充電を行い、処理Bで定電圧充電を行い、処理Cで定電流充電及び定電圧充電を行う例を挙げたが、各処理での充電方式はこれらの例に限定されない。
【0055】
また、上記実施形態では、充電器110による複数の蓄電セル50の一括した充電の終了時の電流値と、充電器120による複数の蓄電セル50のそれぞれの個別の充電の開始時の電流値とが連続する例を挙げた。しかしながら、制御部130は、充電器110による複数の蓄電セル50の一括した充電から充電器120による複数の蓄電セル50のそれぞれの個別の充電に切り替える際に、電流値を、導電部材24の抵抗値に応じた電流値に不連続に変化させる(減少させる)ようにしてもよい。
【0056】
この場合、処理Aと処理Cとの間の処理Bを省略してもよい。すなわち、処理Aにおいて定電流充電を行った後に、電流値を、導電部材24の抵抗値に応じた電流値に不連続に減少させつつ、処理Cを実行することができる。
【符号の説明】
【0057】
11…蓄電モジュール、12…正極集電板(モジュール端子)、13…負極集電板(モジュール端子)、15…シール部材、16…バイポーラ電極、21…電極板、21a…第1面、21b…第2面、22…正極層、23…負極層、24…導電部材(セル端子)、50…蓄電セル、100…充電装置、110…充電器(第1充電器)、120…充電器(第2充電器)、130…制御部。
図1
図2
図3