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特許7505191電子機器、断線警告方法および断線警告プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】電子機器、断線警告方法および断線警告プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04R 29/00 20060101AFI20240618BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20240618BHJP
   G01R 31/50 20200101ALI20240618BHJP
【FI】
H04R29/00 310
H04R3/00 310
G01R31/50
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020015215
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021125702
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 英雄
【審査官】佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-176157(JP,A)
【文献】特開2017-112428(JP,A)
【文献】特開2018-116493(JP,A)
【文献】特開2010-245758(JP,A)
【文献】特表2017-514549(JP,A)
【文献】特開2014-068066(JP,A)
【文献】特開2008-098740(JP,A)
【文献】特定小電力ハンディトランシーバーDJ-P221取扱説明書,[オンライン],2013年11月,インターネット<URL:https://www.alinco.co.jp/direct/topics/topics_file_download/?topics_id=3799&ext_no=02&index=0&disp=inline>,[検索日:2023年7月4日]
【文献】DJ-P221セットモードについて,[オンライン],2013年11月,インターネット<URL:https://www.alinco.co.jp/files/user/electron/dl/DJP221_setmode_inst.pdf>,[検索日:2023年7月4日]
【文献】DJ-P221(L/M)(アルインコ),月刊FBニュース,2013年11月号,[オンライン],2013年11月,インターネット<URL:https://www.fbnews.jp/201311/jaia/DJ-P221.html>,[検索日:2023年8月25日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-31/00
G01R 31/50-31/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵スピーカと、
2本の信号線を有する外部スピーカを動作可能に接続する接続端子と、
前記外部スピーカと前記接続端子との接続を検出する接続検出回路と、
前記内蔵スピーカと接続された前記外部スピーカとを、それぞれ異なる動作により駆動する増幅器と、
前記接続検出回路が前記外部スピーカと前記接続端子との接続を検出した場合には、前記増幅器が前記外部スピーカを駆動させる動作に制御する制御回路と、
前記増幅器が供給する音声信号の直流電位に基づいて、接続された前記外部スピーカの断線を検出する断線検出回路と、を備え、
前記接続端子は、前記外部スピーカの一方の前記信号線を前記増幅器の音声信号を出力する端子に接続するとともに他方の前記信号線をグランドに接続し、
前記制御回路は、前記接続検出回路が前記外部スピーカと前記接続端子との接続を検出した場合、前記増幅器の音声信号を出力する端子に接続する前記信号線に音声信号を供給するよう前記増幅器を制御し、さらに、前記断線検出回路が出力する直流電位の値から前記断線を判断し、前記断線を判断した場合には、前記増幅器に対して前記内蔵スピーカを駆動させる動作とし、前記内蔵スピーカから警告信号を出力させる制御を行う、
電子機器。
【請求項2】
前記増幅器は、前記内蔵スピーカおよび前記接続端子に音声信号を出力する第1信号出力回路と、前記内蔵スピーカに音声信号を出力する第2信号出力回路と、を有し、
前記断線検出回路は、前記増幅器の前記第1信号出力回路の直流電位に基づいて前記断線を検出し、
前記制御回路は、
前記接続検出回路が前記接続を検出していない場合には、前記増幅器を前記第1信号出力回路と前記第2信号出力回路とによる差動で音声信号を出力させる動作とし、
前記接続検出回路が前記接続を検出した場合には、前記増幅器に、前記第2信号出力回路からの音声信号の出力を停止させる動作とし、
前記接続検出回路が前記接続を検出し、かつ、前記断線検出回路が前記断線を検出した場合には、前記増幅器に、前記第2信号出力回路の前記停止を解除させるとともに、前記第1信号出力回路および前記第2信号出力回路から予め設定された警告信号を出力させる
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御回路は、前記電子機器の電源投入時から予め設定された期間において前記断線を検出した場合に、前記警告信号を出力させる
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
内蔵スピーカと、
2本の信号線を有する外部スピーカを動作可能に接続する接続端子と、
前記内蔵スピーカと接続された前記外部スピーカとを、それぞれ異なる動作により駆動する増幅器と、
を備える電子機器が行う断線警告方法であって、
前記外部スピーカと前記接続端子との接続を検出する接続検出ステップと、
前記外部スピーカと前記接続端子との接続を検出した場合には、前記増幅器が前記外部スピーカを駆動させるために2本の前記信号線のうち前記増幅器の音声信号を出力する端子に接続する1本の前記信号線に音声信号を供給するよう前記増幅器を制御する制御ステップと、
前記増幅器が供給する音声信号の直流電位の値から、接続された前記外部スピーカの断線を検出する断線検出ステップと、
前記断線を検出した場合には、前記増幅器に対して前記内蔵スピーカから警告信号を出力させる警告ステップと、を備える
断線警告方法。
【請求項5】
内蔵スピーカと、
2本の信号線を有する外部スピーカを動作可能に接続する接続端子と、
前記内蔵スピーカと接続された前記外部スピーカとを、それぞれ異なる動作により駆動する増幅器と、
を備える電子機器に実行させる断線警告プログラムであって、
前記外部スピーカと前記接続端子との接続を検出する接続検出ステップと、
前記外部スピーカと前記接続端子との接続を検出した場合には、前記増幅器が前記外部スピーカを駆動させるために2本の前記信号線のうち前記増幅器の音声信号を出力する端子に接続する1本の前記信号線に音声信号を供給するよう前記増幅器を制御する制御ステップと、
前記増幅器が供給する音声信号の直流電位の値から、接続された前記外部スピーカの断線を検出する断線検出ステップと、
前記断線を検出した場合には、前記増幅器に対して前記内蔵スピーカから警告信号を出力させる警告ステップと、を備える
断線警告プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器、断線警告方法および断線警告プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置などの電子機器は、内蔵スピーカおよび内蔵マイクを有するとともに、外部スピーカおよび外部マイクを有線接続するための接続端子を有する。このような電子機器は、外部スピーカおよび外部マイクが接続された場合に、自動的に内蔵スピーカおよび内蔵マイクが使用できないように設定されている。このような電子機器において、接続された外部スピーカおよび外部マイクが断線していることを検出する技術が開発されている。
【0003】
例えば特許文献1には、イヤホン等の信号出力装置とマイクロホンとが近接している装置のための断線検知回路を有する電子機器が記載されている。電子機器は、所定のパターンを有する第1のテスト信号を上記信号出力装置に送出する。次いで上記電子機器は、上記信号がマイクロホンに入力されて戻る信号を受信し、受信した信号を上記第1のテスト信号のパターンと同一のパターンを有する第1の基準信号と比較する。さらに上記電子機器は、上記第1のテスト信号が戻ってくるか否かを判断することにより、上記信号出力装置及び上記マイクロホンの断線が発生しているか否かを検知する。また、上記電子機器は、断線を検出すると、断線していることを通知するメッセージを表示部に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-068066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記電子機器は、表示部を見ないと断線が発生したことを知ることが出来ない。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、接続された外部スピーカの断線を容易に認識することができる電子機器等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる電子機器は、内蔵スピーカ、接続端子、接続検出回路、増幅器、制御回路および断線検出回路を有する。接続検出回路は、外部スピーカを動作可能に接続する接続端子と外部スピーカとの接続を検出する。増幅器は、内蔵スピーカと接続された外部スピーカとを、それぞれ異なる動作により駆動する。制御回路は、接続検出回路が接続を検出した場合には、増幅器が外部スピーカを駆動させる動作に制御する。断線検出回路は、接続された外部スピーカの断線を検出する。また上記制御回路は、断線検出回路が断線を検出した場合には、増幅器に対して内蔵スピーカを駆動させる動作とし、内蔵スピーカから警告信号を出力させる制御を行う。
【0008】
本発明にかかる断線警告方法は、内蔵スピーカと、外部スピーカを動作可能に接続する接続端子と、内蔵スピーカと接続された外部スピーカとを、それぞれ異なる動作により駆動する増幅器と、を備える電子機器が行う方法である。上記断線警告方法は、接続検出ステップ、制御ステップ、断線検出ステップおよび警告ステップを有する。接続検出ステップは、外部スピーカと接続端子との接続を検出する。制御ステップは、接続を検出した場合には、増幅器が外部スピーカを駆動させる動作に制御する。断線検出ステップは、接続された外部スピーカの断線を検出する。警告ステップは、断線を検出した場合には、増幅器に対して内蔵スピーカから警告信号を出力させる。
【0009】
本発明にかかる断線警告プログラムは、内蔵スピーカと、外部スピーカを動作可能に接続する接続端子と、内蔵スピーカと接続された外部スピーカとを、それぞれ異なる動作により駆動する増幅器と、を備える電子機器に実行させるプログラムである。上記断線警告プログラムは、接続検出ステップ、制御ステップ、断線検出ステップおよび警告ステップを有する。接続検出ステップは、外部スピーカと接続端子との接続を検出する。制御ステップは、接続を検出した場合には、増幅器が外部スピーカを駆動させる動作に制御する。断線検出ステップは、接続された外部スピーカの断線を検出する。警告ステップは、断線を検出した場合には、増幅器に対して内蔵スピーカから警告信号を出力させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接続された外部スピーカの断線を警告音により通知する電子機器等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態にかかる電子機器の回路図である。
図2】実施の形態にかかる電子機器に外部スピーカが接続された場合の回路図である。
図3】外部スピーカが接続された電子機器の信号を示すタイミングチャートである。
図4】外部スピーカが断線していた場合における電子機器の信号を示すタイミングチャートである。
図5】実施の形態にかかる電子機器のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0013】
<実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。まず、図1および図2を参照して、本実施の形態にかかる電子機器の構成について説明する。図1は、実施の形態にかかる電子機器の回路図である。図1に示す電子機器10は、無線通信により受信した音声信号を内蔵スピーカまたは外部スピーカにより出力する機能を有している。電子機器10は、例えば図示しないマイクを含むトランシーバを構成するものであってもよい。
【0014】
図2は、実施の形態にかかる電子機器10に外部スピーカ90が接続された場合の回路図である。電子機器10は、外部スピーカ90が接続されることにより、内蔵スピーカ11に代えて外部スピーカ90から音声を出力させることができる。
【0015】
電子機器10は主な構成として、内蔵スピーカ11、接続端子12、接続検出回路13、増幅器14、制御回路15および断線検出回路16を有する。さらに電子機器10は、表示装置17、無線通信回路18、スイッチ回路19、電源20等を有している。電子機器10は、任意の筐体に上記の各構成を収容する。
【0016】
内蔵スピーカ11は、増幅器14に接続しており、増幅器14から受け取る電気信号を音声に変換して出力する。より具体的には、内蔵スピーカ11は、スピーカを駆動させるための2本の信号線のうち、一方が増幅器14の端子14Aに接続し、他方が端子14Bに接続しており、それぞれからスピーカを駆動するための信号を受け取る。
【0017】
接続端子12は、オプションとして電子機器10に接続できる外部スピーカ90を接続するためのインタフェースである。接続端子12は、例えば、フォーンジャック、フォーンコネクタまたはAUX端子(AUX=auxiliary)等と一般に称されるものが採用され得る。接続端子12は、第1接点121、第2接点122、第3接点123および第4接点124を有している。接続端子12は、上記の筐体から外部スピーカ90が接続可能に露呈するように構成される。
【0018】
第1接点121および第2接点122は、外部スピーカ90が有する2本の信号線の内の負極側と接触するための接点である。第1接点は、グランドに接続している。第2接点は、外部スピーカ90が接続されていない場合には第4接点と接触しており、外部スピーカ90が接続されたときには第4接点と非接触になるように構成されている。第2接点は抵抗103を介して電源101に接続している。
【0019】
第3接点123は、外部スピーカ90が有する2本の信号線の内の正極側と接触するための接点である。第3接点123は、コンデンサ105を介して、増幅器14の端子14Bに接続している。外部スピーカ90が接続された場合、端子14Bから供給される音声信号は、コンデンサ105を介することにより、交流成分である音声信号が供給される。
【0020】
接続検出回路13は、外部スピーカ90を動作可能に接続する接続端子12と外部スピーカ90との接続を検出する。接続検出回路13は、抵抗103を介して接続端子12の第2接点122に接続する電源101を有している。また、接続検出回路13は、接続端子12の第4接点とグランドとを抵抗104を介して接続する信号線を有している。また接続検出回路13は、接続端子12の第4接点124と制御回路15の端子15Dとを接続する信号線を有している。図1に示すように、第2接点122から延びる信号線は二股に分岐し、一方が抵抗104に接続し、他方が端子15Dに接続している。このような構成により、接続検出回路13は、外部スピーカ90が接続されていない場合には、抵抗103と抵抗104に生じる中間電位を端子15Dに伝達する。
【0021】
増幅器14は、所定の電気信号である音声信号を増幅し、増幅した音声信号をスピーカに供給することによりスピーカを駆動する。本実施の形態において増幅器14は、内蔵スピーカ11または接続された外部スピーカ90を駆動する。増幅器14は、主な構成として、第1信号出力回路141および第2信号出力回路142を有している。第1信号出力回路141は、端子14Bを介して、内蔵スピーカ11および接続端子12に音声信号を出力する。図1に示すように、端子14Bは、内蔵スピーカ11に音声信号を供給する信号線を有するとともに、かかる信号線から分岐した信号線がコンデンサ105を介して接続端子12の第3接点123および断線検出回路16に接続している。第2信号出力回路142は、端子14Aを介して、内蔵スピーカ11に音声信号を出力する。
【0022】
増幅器14は、内蔵スピーカ11を駆動させる場合には、BTL(Balanced Transformer Less)モードにより動作する。すなわち増幅器14は、内蔵スピーカ11を駆動させる場合には、第1信号出力回路141および第2信号出力回路142のそれぞれに対して、互いに位相が逆となる音声信号を出力させる。
【0023】
一方、増幅器14は、外部スピーカ90を駆動させる場合には、SE(Single Ended)モードにより動作する。すなわち増幅器14は、外部スピーカ90を駆動させる場合には、第1信号出力回路141から音声信号を出力し、第2信号出力回路142からは音声信号を出力しない。これにより、内蔵スピーカ11は駆動せず、外部スピーカ90が駆動する。
【0024】
増幅器14は、外部から電気信号としての音声信号を受け取り、受け取った音声信号を第1信号出力回路141および第2信号出力回路142に供給する。より具体的には増幅器14は、無線通信回路18に接続し、無線通信回路18から音声信号を受け取る。また増幅器14は、スイッチ回路19に接続しており、スイッチ回路19を介して電源20から電力の供給を受ける。さらに増幅器14は、制御回路15に接続し、制御回路15からモード設定信号を受け取る。モード設定信号は、増幅器14を、BTLモードまたはSEモードのいずれかで動作させるかを設定する信号を含む。またモード設定信号は、BTLモードにおいて警告信号を出力することを設定する信号を含む。警告信号を出力する場合には、増幅器14は、無線通信回路18から受け取る音声信号に代えて、電子機器10が有する音源回路が生成する警告信号を出力する。
【0025】
制御回路15は、電子機器10の各構成に接続し、電子機器10が有する各構成の動作を制御する。制御回路15は例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMCU(Micro Controller Unit)などと称される演算回路、揮発性または不揮発性のメモリおよびその他の回路により構成される。また制御回路15は、所定のプログラムを実行するものであってもよい。制御回路15は、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせにより所定の機能を実現するものであってもよい。
【0026】
制御回路15は、端子15A~15Eを有している。端子15Aは増幅器14に接続し、増幅器14に対してモード設定信号を送信する。端子15Bは、断線検出回路16に接続し、断線検出回路16からの信号を受け取る。端子15Cは、電源スイッチ100に接続し、電源スイッチの状態を監視するための信号を受け取る。端子15Dは、接続検出回路13に接続し、接続検出回路13から外部スピーカ90が接続されたか否かを示す信号を受け取る。端子15Eは、スイッチ回路19に接続し、スイッチ回路19に対してオンまたはオフを指示する信号を送信する。また制御回路15は表示装置17に接続しており、表示装置17に表示させる内容を制御する。
【0027】
制御回路15は、上述の構成により、外部スピーカ90の接続を検出する信号および外部スピーカ90の断線を検出する信号の状態に応じて、増幅器14に以下に説明する3つの動作をさせる。
【0028】
第1に、制御回路15は、外部スピーカ90の接続を検出しない場合には、増幅器14に内蔵スピーカ11を駆動させる。より具体的には、制御回路15は、接続検出回路13から外部スピーカ90の接続を検出する信号を受け取っていない場合には、増幅器14に対して、内蔵スピーカ11に音声信号を出力させる動作とするためのモード設定信号を送信する。この場合、増幅器14は、第1信号出力回路141と第2信号出力回路142との差動により内蔵スピーカ11を駆動させる。
【0029】
第2に、制御回路15は、外部スピーカ90の接続を検出した場合には、増幅器14に内蔵スピーカ11に代えて外部スピーカ90を駆動させる。より具体的には、制御回路15は、接続検出回路13から外部スピーカ90の接続を検出した信号を受け取った場合には、増幅器14に対して、第2信号出力回路142からの音声信号の出力を停止させる動作とするためのモード設定信号を送信する。第2信号出力回路142からの音声信号の出力が停止することにより、内蔵スピーカ11は駆動を停止する。一方、外部スピーカ90は、第1信号出力回路141から音声信号を受け取り、音声を出力できる。
【0030】
第3に、制御回路15は、接続された外部スピーカ90の断線を検出した場合には、増幅器14に内蔵スピーカ11を駆動させる。より具体的には、制御回路15は、断線検出回路16から断線を検出する信号を受け取った場合、増幅器14に対して、内蔵スピーカ11を駆動させる動作とするためのモード設定信号を送信する。さらに制御回路15は、内蔵スピーカ11から所定の警告信号を出力させる制御を行う。警告信号は、例えば任意の周波数を有するビープ音の音声信号であってもよい。電子機器10は、内蔵スピーカ11から警告信号を出力させるために、警告信号を出力する音源回路を有している。例えば、増幅器14は、このような音源回路を含むものであっても良い。あるいは、電子機器10は、制御回路15により制御される音源回路を別個に有していてもよい。
【0031】
このように、断線した外部スピーカ90が接続された場合には、電子機器10は、接続検出回路13が外部スピーカ90の接続を検出し、かつ、断線検出回路16が外部スピーカ90の断線を検出する。そして電子機器10は、増幅器14に対して、第2信号出力回路142の停止を解除させるとともに、第1信号出力回路141および第2信号出力回路142から予め設定された警告信号を出力させる。
【0032】
次に制御回路15の端子15Cに接続する回路構成について説明する。図に示すように、電子機器10は、電源スイッチ100および抵抗102を有している。抵抗102は、電源101と制御回路15の端子15Cとの間に介在する。電源スイッチは、抵抗102と制御回路15の端子15Cとを結ぶ信号線から分岐してグランドに接地する信号線に介在する。このような構成により、電源スイッチ100がオフからオンに変化すると、端子15Cにおける電位は低下する。制御回路15は端子15Cにおける電位を監視することにより、電子機器10を起動するか否かを判断している。
【0033】
断線検出回路16は、増幅器14の端子14Bから出力される音声信号の経路の状態から外部スピーカ90の断線を検出する。詳細には、断線検出回路16は、主な構成として、抵抗161およびコンデンサ162を有している。断線検出回路16は、増幅器14からの音声信号の経路を、抵抗161を介して制御回路15の端子15Bと接続する。抵抗161と端子15Bを接続する信号線は分岐したうえでコンデンサ162に接続し、さらにグランドに接地している。音声信号は交流信号であるため抵抗161とコンデンサ162により減衰し、端子15Bには直流電位のみ伝送される。このような構成により、断線検出回路16は、増幅器14の第1信号出力回路141の直流電位を抽出する。
【0034】
ここで、接続された外部スピーカ90が断線していない場合の直流電位は、接続された外部スピーカ90が断線している場合の直流電位よりも低い値となる。すなわち、断線検出回路16は、上述の構成により、接続された外部スピーカ90が断線していない状態であるか、断線している状態であるかを検出できる。
【0035】
表示装置17は、例えば液晶パネルを含む表示装置である。表示装置17は、制御回路15に接続し、制御回路15の指示に応じて種々の情報を表示する。制御回路15は、電子機器10の電源が投入された直後、予め設定された初期動作期間が経過した後に所定の情報を表示する。
【0036】
なお初期動作期間とは、例えば、電子機器10が有するプログラムにおける初期タスクを実行する期間または各構成要素に投入された電圧が安定するまでの期間であって、より具体的には200ミリ秒や500ミリ秒などである。初期動作期間において、電子機器10は、例えば、種々の設定を行う。また電子機器10は、初期動作期間において、自己診断機能により不具合が発生していないことをチェックしてもよい。電子機器10は、初期動作期間経過後において、外部スピーカ90の接続を検出し、さらに断線検出を行ってもよい。
【0037】
無線通信回路18は、アンテナを介して受け取った無線信号を所定の形式に従って処理することにより音声信号を生成する。無線通信回路18は、生成した音声信号を、増幅器14に供給する。無線通信回路18は、図示しないマイクから音声信号を受け取り、受け取った音声信号から無線信号を生成し、アンテナを介して無線信号を発信する機能を有しても良い。
【0038】
スイッチ回路19は、制御回路15からオンの信号受けると、電源20から供給される電力を増幅器14に供給する。またスイッチ回路19は、制御回路15からオフの信号を受けると、電源20から供給される電力の増幅器14への供給を停止する。電源20は、例えばリチウムイオン電池を含む直流電源を発生させる装置である。
【0039】
図2に示す外部スピーカ90は、電子機器10に接続して使用するためのスピーカであって、例えば任意のエンクロージャに収容されたスピーカと、一端がスピーカに接続され他端に接続プラグを有するケーブルにより構成される。接続プラグは、電子機器10の第1接点121および第2接点122に接続する負極側の端子と、第3接点123に接続する正極側の端子とを有する。
【0040】
次に、図3および図4を参照して電子機器10の状態の変化について説明する。図3は、外部スピーカ90が接続された電子機器10の信号を示すタイミングチャートである。図3に示すタイミングチャートは、横軸が時刻を示しており、縦軸は、6個の信号の推移が示されている。6個の信号は上から、本体電源のスイッチ信号、増幅器14の電源のスイッチ信号、増幅器14のバイアス信号、接続検出信号、断線検出信号および警告信号を示している。
【0041】
本体電源のスイッチ信号は、制御回路15の端子15Cの電位を示している。本体電源のスイッチ信号は、電源スイッチがオンになるとH(High)からL(Low)に変化する。図3に示すタイミングチャートにおいて、電子機器10は、時刻t1に電源スイッチがオンになり、本体電源のスイッチ信号は、HからLに切り替わっている。
【0042】
増幅器14の電源のスイッチ信号は、制御回路15の端子15Eの電位を示している。図3に示すように、時刻t1の後の時刻t2において、制御回路15は増幅器14の電源をオンにするために端子15Eの電位をLからHに変化させる。これによりスイッチ回路19がオンとなり、増幅器14に対して電源20から電力が供給される。
【0043】
増幅器14のバイアス信号は、第1信号出力回路141が出力する音声信号のバイアス電位すなわち端子14Bの電位を示している。図3に示すように、時刻t2の後の時刻t3から時刻t4において、端子14Bの電位はLからHに変化している。このようにバイアス電位がHになると、増幅器14は予め設定された音声信号を出力することが出来る。
【0044】
接続検出信号は、外部スピーカ90の接続を検出する信号であって、制御回路15の端子15Dの電位を示している。図3に示す例は、外部スピーカ90が接続された状態で本体電源が投入されているものとする。そのため図3に示すように、接続検出信号は少なくとも時刻t1以降において、Lである。
【0045】
断線検出信号は、接続されている外部スピーカ90が断線しているか否かを示す信号であって、制御回路15の端子15Bの電位を示している。端子15Bの電位は、増幅器14の電源がオンになる前はLである。増幅器14の電源がオンになり、バイアス電位が上昇すると、これに対応して端子15Bの電位が上昇する。端子15Bの電位は、外部スピーカ90が断線していない場合にはH1になり、外部スピーカ90が断線している場合にはH1より高いH2になるように設定されている。図3に示す例は、外部スピーカ90が断線していないものとする。そのため時刻t3から時刻t4にかけて増幅器14のバイアス信号がLからHに変化すると、これに対応して、断線検出信号はLからH1に変化する。
【0046】
警告信号は、制御回路15から増幅器14に対して警告信号を出力することを指示するための信号を示している。警告信号は例えば制御回路15の端子15Aから増幅器14に供給される。なお警告信号は制御回路15の端子15Aとは異なる端子および信号線から増幅器14に供給されてもよい。制御回路15は、増幅器14に警告信号を出力させる場合には警告信号としてHを出力し、増幅器14に警告信号を出力させない場合には警告信号としてLを出力する。
【0047】
また制御回路15には、初期動作期間P1が設定されている。図3の例の場合、制御回路15は、初期動作期間P1終了後の時刻t5において断線検出信号がH1であるかH2であるかを検出する。この場合、制御回路15は、増幅器14に警告信号を出力させる場合には時刻t5の後の時刻t6において警告信号をLからHに変化させる。ただし図3に示す例は外部スピーカ90が断線していない。そのため、警告信号はLが維持される。
【0048】
次に接続した外部スピーカ90が断線していた場合の例について説明する。図4は、外部スピーカ90が断線していた場合における電子機器10の信号を示すタイミングチャートである。図4に示すタイミングチャートは、断線検出信号および警告信号が図3に示すタイミングチャートと異なる。
【0049】
図4において、時刻t3からt4にかけて、増幅器14のバイアス信号がLからHに変化する。断線検出信号は、これに対応して、時刻t3からt4にかけてLからH2に変化する。H2は図3に示したH1より高い電位である。
【0050】
また外部スピーカ90が断線しているため、図4に示すように、時刻t6において、警告信号はLからHに変化する。これは、制御回路15が初期動作期間P1終了後の時刻t5において断線検出信号がH2であることを検出したためである。これにより電子機器10は、予め接続しておいた外部スピーカ90が断線していた場合、本体の電源をオンにした直後に内蔵スピーカ11から警告信号を出力する。なお図4に示した警告信号は、時刻t6の後、所定の期間後にHからLに変化する設定であってもよい。このように、制御回路15は、電子機器10の電源投入時から予め設定された期間(初期動作期間)において断線を検出した場合に、警告信号を出力させる。
【0051】
次に、図5を参照して電子機器10が行う外部スピーカの断線検出処理について説明する。図5は、実施の形態にかかる電子機器10が行うフローチャートである。図5に示すフローチャートは、電子機器10の制御回路15が行う処理について示している。
【0052】
まず制御回路15は、本体の電源がオンか否かを判断する(ステップS10)。より具体的には、制御回路15は、例えば、端子15Cの状態を監視し、端子15Cの電位がHからLに変化した場合に本体の電源がオンになったと判断する。本体の電源がオンになったと判断しない場合(ステップS10:No)、制御回路15は、ステップS10を繰り返す。本体の電源がオンになったと判断した場合(ステップS10:Yes)、制御回路15は、ステップS11に進む。
【0053】
次に、制御回路15は、外部スピーカが接続されているか否かを判断する(ステップS11)。より具体的には、制御回路15は、端子15Dの電位がLの場合に外部スピーカが接続された状態であると判断する。外部スピーカが接続されていると判断しない場合(ステップS11:No)、制御回路15は、ステップS13に進む。一方、外部スピーカが接続されていると判断する場合(ステップS11:Yes)、制御回路15は、ステップS12に進む。
【0054】
ステップS12において、制御回路15は、増幅器14に外部スピーカを駆動させる処理を行う。すなわちこの場合、制御回路15は、増幅器14に対して、接続検出回路が接続を検出した場合には、増幅器14に、第2信号出力回路142からの音声信号の出力を停止させる。これにより内蔵スピーカ11は駆動を停止するとともに、接続された外部スピーカに対しては、第1信号出力回路141から音声信号が供給されることになる。
【0055】
ステップS12の後、制御回路15は、接続された外部スピーカが断線していることを示す断線信号を検出したか否かを判断する(ステップS14)。より具体的には、制御回路15は、図3および図4において示した断線検出信号を監視し、端子15Bの電位に応じた判断を行う。端子15Bの電位がH1であって、断線信号を検出したと判断しない場合(ステップS14:No)、制御回路15は、断線検出処理を終了する。一方、端子15Bの電位がH1より高いH2であって、断線信号を検出したと判断した場合(ステップS14:Yes)、制御回路15は、ステップS15に進む。
【0056】
ステップS15において、制御回路15は、増幅器14に警告信号を出力させる(ステップS15)。すなわち制御回路15は、図4に示したように、警告信号を出力させるための信号をLからHに変化させる。これにより、制御回路15は、増幅器14に、第2信号出力回路142の停止を解除させるとともに、第1信号出力回路141および第2信号出力回路142から予め設定された警告信号を出力させる。制御回路15は、所定の警告信号を出力させると、断線検出処理を終了する。
【0057】
ステップS13において、制御回路15は、増幅器14に内蔵スピーカ11を駆動させるための処理を行う。すなわちこの場合、制御回路15は、増幅器14に対して、増幅器14を第1信号出力回路141と第2信号出力回路142とによる差動で音声信号を出力させる。そして、ステップS13の後、制御回路15は、断線検出処理を終了する。
【0058】
以上、実施の形態について説明した。実施の形態にかかる電子機器10は、上述の構成に限定されるものではない。例えば断線検出回路16は、増幅器14の第1信号出力回路141の直流電位を抽出することができれば上述の構成に限られない。断線検出回路16は、上述の構成に代えて、例えば直流電位を検出できるIC(Integrated Circuit)を利用してもよい。
【0059】
上述の電子機器10が行う断線検出処理において、制御回路15は、表示装置17に対して外部スピーカ90が断線していることを示す表示を出力してもよい。これにより電子機器10はユーザに対して外部スピーカ90が断線している旨のメッセージを視覚的に認識させることができる。
【0060】
以上に説明したとおり、実施の形態にかかる電子機器10は、外部スピーカが接続された場合に内蔵スピーカ11の駆動を停止するように構成されている一方、予め接続された外部スピーカが断線していた場合には、内蔵スピーカ11の停止を解除するとともに、内蔵スピーカ11から警告信号を出力させることができる。これによりユーザは、電子機器10の電源を投入した際に、外部スピーカが断線していることを簡便に認識できる。
【0061】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0062】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 電子機器
11 内蔵スピーカ
12 接続端子
13 接続検出回路
14 増幅器
14A、14B 端子
15 制御回路
15A~15E 端子
16 断線検出回路
17 表示装置
18 無線通信回路
19 スイッチ回路
20 電源
90 外部スピーカ
100 電源スイッチ
101 電源
102 抵抗
103 抵抗
104 抵抗
105 コンデンサ
141 第1信号出力回路
142 第2信号出力回路
161 抵抗
162 コンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5