(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】固体撮像素子の取付け構造、撮像装置、固体撮像素子の取付け方法及び撮像装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/50 20230101AFI20240618BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240618BHJP
H04N 25/00 20230101ALI20240618BHJP
【FI】
H04N23/50
G02B7/02 Z
G02B7/02 C
H04N25/00
(21)【出願番号】P 2020037211
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100158702
【氏名又は名称】岡野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 誠
(72)【発明者】
【氏名】舛金 秀秋
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-230118(JP,A)
【文献】国際公開第2017/072985(WO,A1)
【文献】特開2013-222772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/40 -23/76
H04N 23/90 -23/959
G02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材と、
レンズが取付けられたレンズ保持部材と、を備え、
前記固体撮像素子が前記レンズの光軸に対し位置調整された状態で、前記固体撮像素子保持部材が前記レンズ保持部材に固定される固体撮像素子の取付け構造であって、
前記レンズ保持部材には高さが変更可能とされる複数の支柱部材が設けられ、
前記固体撮像素子保持部材は、前記固体撮像素子が前記レンズの光軸に対し位置調整され前記
複数の支柱部材の先端部に当接した状態で前記レンズ保持部材に固定され
、
前記レンズ保持部材には、前記固体撮像素子の幅方向両側部に対応する、それぞれの側方位置に2本の前記支柱部材が設けられ、
前記固体撮像素子保持部材は、前記支柱部材の先端部に当接した状態で、それぞれの前記側方位置ごとに、2本の前記支柱部材の間で固定用ネジ部材により前記レンズ保持部材に固定されるものであり、
前記支柱部材は、前記レンズ保持部材に進退可能に設けられる支柱用ネジ部材であり、
前記固体撮像素子保持部材は、前記支柱用ネジ部材の先端部に当接した状態で前記レンズ保持部材に固定され、
前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材との間であって、それぞれの前記側方位置における前記支柱用ネジ部材と前記固定用ネジ部材との間には、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材との固着用、かつ、前記支柱用ネジ部材及び前記各固定用ネジ部材の緩み止め用の接着剤が塗布されることを特徴とする固体撮像素子の取付け構造。
【請求項2】
前記固体撮像素子保持部材は、前記固体撮像素子を固定したセンサ基板が固定される金属製の剛性プレートである請求項1に記載の固体撮像素子の取付け構造。
【請求項3】
固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材と、
レンズが取付けられたレンズ保持部材と、を備える撮像装置であって、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の固体撮像素子の取付け構造により、前記固体撮像素子が前記レンズの光軸に対し位置調整された状態で、前記固体撮像素子保持部材が前記レンズ保持部材に固定されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材と、
レンズが取付けられたレンズ保持部材と、を備え、
前記固体撮像素子を前記レンズの光軸に対し位置調整した状態で、前記固体撮像素子保持部材を前記レンズ保持部材に固定する固体撮像素子の取付け方法であって、
前記固体撮像素子を前記レンズの光軸に対し位置調整する位置調整工程と、
前記固体撮像素子を前記レンズの光軸に対し位置調整した状態で、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材に高さが変更可能に設けられる複数の支柱部材の先端部とを当接させる当接工程と、
前記固体撮像素子保持部材と前記複数の支柱部材の先端部が当接した状態で、前記固体撮像素子保持部材を前記レンズ保持部材に固定する固定工程と、を備え、
前記レンズ保持部材には、前記固体撮像素子の幅方向両側部に対応する、それぞれの側方位置に2本の前記支柱部材が設けられ、
前記固定工程は、前記固体撮像素子保持部材と前記支柱部材の先端部が当接した状態で、前記固体撮像素子保持部材をそれぞれの前記側方位置ごとに、2本の前記支柱部材の間で固定用ネジ部材により前記レンズ保持部材に固定するものであり、
前記支柱部材は、前記レンズ保持部材に進退可能に設けられる支柱用ネジ部材であり、
前記当接工程は、前記固体撮像素子を前記レンズの光軸に対し位置調整した状態で、前記各支柱用ネジ部材の高さを変更し、前記固体撮像素子保持部材と前記各支柱用ネジ部材の先端部を当接させるものであり、
前記固定工程は、前記固体撮像素子保持部材を前記固定用ネジ部材により前記レンズ保持部材に固定した後、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材との間であって、それぞれの前記側方位置における前記支柱用ネジ部材と前記固定用ネジ部材との間に、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材との固着用、かつ、前記各支柱用ネジ部材及び前記各固定用ネジ部材の緩み止め用の接着剤を塗布することを特徴とする固体撮像素子の取付け方法。
【請求項5】
前記当接工程は、前記支柱部材の先端部が前記固体撮像素子保持部材に接触したことを検知して、前記支柱部材の高さの変更を停止する請求項4に記載の固体撮像素子の取付け方法。
【請求項6】
固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材と、
レンズが取付けられたレンズ保持部材と、を備える撮像装置の製造方法であって、
請求項4又は請求項5のいずれかに記載の固体撮像素子の取付け方法により、前記固体撮像素子を前記レンズの光軸に対し位置調整した状態で、前記固体撮像素子保持部材を前記レンズ保持部材に固定することを特徴とする撮像装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子の取付け構造及び前記取付け構造により固体撮像素子が取付けられた撮像装置、並びに固体撮像素子の取付け方法及び前記取付け方法により固体撮像素子が取付けられる撮像装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ、複写機、スキャナーなどにおいて、CCD(charge-coupled device)イメージセンサやCMOS(complementary metal oxide semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子を備える撮像装置が広く使われている。
【0003】
前記撮像装置は、レンズと、前記レンズを通して像を読み取る固体撮像素子(イメージセンサ)を備え、組立てに際し、前記固体撮像素子によるパターン像の読み取り等により、前記固体撮像素子の前記レンズの光軸に対する位置調整が行われる。
【0004】
特許文献1には、固体撮像素子を5軸方向に位置調整した後に、結像レンズが固定された結像レンズ保持部材と固体撮像素子を支持する中間保持部材を接着剤によって固着するとともに、前記固体撮像素子と前記中間保持部材を接着剤によって固着する技術が記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたように、固体撮像素子を接着剤により固定する場合には、被着面の清浄度のばらつきによって接着力が不均一となり、また、被着面間の傾きによって接着剤の厚さが不均一となることがあるため、レンズの光軸に対する固体撮像素子の位置ずれが生じる懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材とレンズが取付けられたレンズ保持部材を固定するに際し、レンズの光軸に対する固体撮像素子の位置ずれが生じない固体撮像素子の取付け構造、及び前記取付け構造により固体撮像素子が取付けられた撮像装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材とレンズが取付けられたレンズ保持部材を固定するに際し、レンズの光軸に対する固体撮像素子の位置ずれが生じない固体撮像素子の取付け方法、及び前記取付け方法により固体撮像素子が取付けられる撮像装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、
固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材と、
レンズが取付けられたレンズ保持部材と、を備え、
前記固体撮像素子が前記レンズの光軸に対し位置調整された状態で、前記固体撮像素子保持部材が前記レンズ保持部材に固定される固体撮像素子の取付け構造であって、
前記レンズ保持部材には高さが変更可能とされる複数の支柱部材が設けられ、
前記固体撮像素子保持部材は、前記固体撮像素子が前記レンズの光軸に対し位置調整され前記複数の支柱部材の先端部に当接した状態で前記レンズ保持部材に固定され、
前記レンズ保持部材には、前記固体撮像素子の幅方向両側部に対応する、それぞれの側方位置に2本の前記支柱部材が設けられ、
前記固体撮像素子保持部材は、前記支柱部材の先端部に当接した状態で、それぞれの前記側方位置ごとに、2本の前記支柱部材の間で固定用ネジ部材により前記レンズ保持部材に固定されるものであり、
前記支柱部材は、前記レンズ保持部材に進退可能に設けられる支柱用ネジ部材であり、
前記固体撮像素子保持部材は、前記支柱用ネジ部材の先端部に当接した状態で前記レンズ保持部材に固定され、
前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材との間であって、それぞれの前記側方位置における前記支柱用ネジ部材と前記固定用ネジ部材との間には、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材との固着用、かつ、前記支柱用ネジ部材及び前記各固定用ネジ部材の緩み止め用の接着剤が塗布されることを特徴とする。
【0009】
ここで、本発明において、前記支柱部材の高さとは、前記レンズ保持部材からの前記支柱部材の突出長さを意味するものであり、例えば、前記レンズの光軸が水平方向へ向く状態で前記固体撮像素子を前記レンズの前記光軸に対し位置調整する場合など、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材との位置関係によっては必ずしも上下方向に限定されるものではない。
【0013】
本発明の固体撮像素子の取付け構造は、
前記固体撮像素子保持部材が、前記固体撮像素子を固定したセンサ基板が固定される金属製の剛性プレートであることが好ましい。
【0014】
本発明の固体撮像素子の取付け構造は、
前記レンズ保持部材がカメラケースであり、前記剛性プレートが前記カメラケースに固定されることが好ましい。
【0015】
本発明は、
固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材と、
レンズが取付けられたレンズ保持部材と、を備える撮像装置であって、
上記いずれかの固体撮像素子の取付け構造により、前記固体撮像素子が前記レンズの光軸に対し位置調整された状態で、前記固体撮像素子保持部材が前記レンズ保持部材に固定されていることを特徴とする。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明は、
固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材と、
レンズが取付けられたレンズ保持部材と、を備え、
前記固体撮像素子を前記レンズの光軸に対し位置調整した状態で、前記固体撮像素子保持部材を前記レンズ保持部材に固定する固体撮像素子の取付け方法であって、
前記固体撮像素子を前記レンズの光軸に対し位置調整する位置調整工程と、
前記固体撮像素子を前記レンズの光軸に対し位置調整した状態で、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材に高さが変更可能に設けられる複数の支柱部材の先端部とを当接させる当接工程と、
前記固体撮像素子保持部材と前記複数の支柱部材の先端部が当接した状態で、前記固体撮像素子保持部材を前記レンズ保持部材に固定する固定工程と、を備え、
前記レンズ保持部材には、前記固体撮像素子の幅方向両側部に対応する、それぞれの側方位置に2本の前記支柱部材が設けられ、
前記固定工程は、前記固体撮像素子保持部材と前記支柱部材の先端部が当接した状態で、前記固体撮像素子保持部材をそれぞれの前記側方位置ごとに、2本の前記支柱部材の間で固定用ネジ部材により前記レンズ保持部材に固定するものであり、
前記支柱部材は、前記レンズ保持部材に進退可能に設けられる支柱用ネジ部材であり、
前記当接工程は、前記固体撮像素子を前記レンズの光軸に対し位置調整した状態で、前記各支柱用ネジ部材の高さを変更し、前記固体撮像素子保持部材と前記各支柱用ネジ部材の先端部を当接させるものであり、
前記固定工程は、前記固体撮像素子保持部材を前記固定用ネジ部材により前記レンズ保持部材に固定した後、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材との間であって、それぞれの前記側方位置における前記支柱用ネジ部材と前記固定用ネジ部材との間に、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材との固着用、かつ、前記各支柱用ネジ部材及び前記各固定用ネジ部材の緩み止め用の接着剤を塗布することを特徴とする。
【0019】
本発明の固体撮像素子の取付け方法は、
前記固体撮像素子保持部材が、前記固体撮像素子を固定したセンサ基板が固定される金属製の剛性プレートであり、
前記プレートにはドリルビット用の挿通孔が設けられ、
前記当接工程は、前記プレートの側から前記挿通孔に挿入されるドリルビットにより前記各支柱用ネジ部材を進退させて高さを変更し、前記固体撮像素子保持部材と前記各支柱用ネジ部材の先端部を当接させることが好ましい。
【0021】
本発明の固体撮像素子の取付け方法は、
前記当接工程が、前記各支柱部材(支柱用ネジ部材)の先端部が前記固体撮像素子保持部材に接触したことを検知して、前記各支柱部材(支柱用ネジ部材)の高さの変更を停止することが好ましい。
【0022】
本発明の固体撮像素子の取付け方法は、
前記固体撮像素子保持部材が、前記固体撮像素子を固定したセンサ基板が固定される金属製の剛性プレートであり、
前記プレートには前記各側方位置における前記各2本の支柱用ネジ部材に対応してドリルビット用の挿通孔が設けられる一方で、前記プレートの全面に絶縁処理が施され、
前記プレートの前記各挿通孔が開口する開口部の周囲には、それぞれ前記プレートの表裏両面を導通させる箔状の導電部材が配設されてなり、
前記当接工程は、前記プレートの表面に当接するコイルスプリングが遊嵌されるドリルビットを前記プレートの側から前記各挿通孔に挿入し、前記ドリルビットにより前記各支柱用ネジ部材を進退させて高さを変更し、前記各支柱用ネジ部材の先端部が前記プレートの裏面に接触したことを、前記ドリルビット、前記導電部材、及び前記コイルスプリングを介する通電により検知して、前記各支柱用ネジ部材の高さの変更を停止することが好ましい。
【0023】
本発明は、
固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材と、
レンズが取付けられたレンズ保持部材と、を備える撮像装置の製造方法であって、
上記いずれかの固体撮像素子の取付け方法により、前記固体撮像素子を前記レンズの光軸に対し位置調整した状態で、前記固体撮像素子保持部材を前記レンズ保持部材に固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の固体撮像素子の取付け構造は、前記レンズ保持部材には高さが変更可能とされる複数の支柱部材が設けられ、前記固体撮像素子保持部材は、前記固体撮像素子が前記レンズの光軸に対し位置調整され前記複数の支柱部材の先端部に当接した状態で前記レンズ保持部材に固定されるので、前記固体撮像素子が前記レンズの光軸に対し位置調整された状態を維持しつつ、前記固体撮像素子保持部材を前記レンズ保持部材に固定することができる。
したがって、本発明の固体撮像素子の取付け構造によれば、固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材とレンズが取付けられたレンズ保持部材を固定するに際し、レンズの光軸に対する固体撮像素子の位置ずれが生じない。
【0025】
また、本発明の固体撮像素子の取付け構造は、前記レンズ保持部材には、前記固体撮像素子の幅方向両側部に対応する、それぞれの側方位置に2本の前記支柱部材が設けられ、前記固体撮像素子保持部材が、前記支柱部材の先端部に当接した状態で、それぞれの前記側方位置ごとに、2本の前記支柱部材の間で固定用ネジ部材により前記レンズ保持部材に固定されるので、前記支柱部材と前記固定用ネジ部材が近接位置にあるため、前記固体撮像素子保持部材が前記固定用ネジ部材の締付荷重により変形する虞がない。
【0026】
本発明の固体撮像素子の取付け構造は、前記支柱部材が、前記レンズ保持部材に進退可能に設けられる支柱用ネジ部材であり、前記レンズ保持部材には、前記固体撮像素子の幅方向両側部に対応する、それぞれの側方位置に2本の前記支柱用ネジ部材が設けられ、前記固体撮像素子保持部材は、前記支柱用ネジ部材の先端部に当接した状態で、それぞれの前記側方位置ごとに、2本の前記支柱用ネジ部材の間で固定用ネジ部材により前記レンズ保持部材に固定されるので、前記固定撮像素子保持部材を、前記レンズ保持部材側からの前記支柱用ネジ部材と前記固体撮像素子保持部材側からの前記固定用ネジ部材とで挟み込む形で、前記レンズ保持部材に対し強く固定することができる。
【0027】
本発明の固体撮像素子の取付け構造は、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材との間であって、それぞれの前記側方位置における前記支柱用ネジ部材と前記固定用ネジ部材との間には、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材との固着用、かつ、前記支柱用ネジ部材及び前記各固定用ネジ部材の緩み止め用の接着剤が塗布されるので、前記接着剤の硬化収縮により、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材とが強固に引き付けられて固着されるとともに、前記支柱用ネジ部材及び前記各固定用ネジ部材の緩みを防止することができる。
【0028】
本発明の固体撮像素子の取付け構造は、前記固体撮像素子保持部材が、前記固体撮像素子を固定したセンサ基板が固定される金属製の剛性プレートであれば、前記固体撮像素子の発熱による前記固体撮像素子保持部材の変形を防止し、レンズの光軸に対する固体撮像素子の位置ずれを防止することができる。
【0029】
本発明の撮像装置は、固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材と、レンズが取付けられたレンズ保持部材と、を備え、レンズの光軸に対する固体撮像素子の位置ずれが生じない固体撮像素子の取付け構造により、前記固体撮像素子が前記レンズの光軸に対し位置調整された状態で、前記固体撮像素子保持部材が前記レンズ保持部材に固定されている。
したがって、本発明の撮像装置によれば、レンズの光軸に対する固体撮像素子の位置ずれがない。
【0030】
また、本発明の固体撮像素子の取付け方法は、前記固体撮像素子を前記レンズの光軸に対し位置調整する位置調整工程と、前記固体撮像素子を前記レンズの光軸に対し位置調整した状態で、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材に高さが変更可能に設けられる複数の支柱部材の先端部とを当接させる当接工程と、前記固体撮像素子保持部材と前記複数の支柱部材の先端部が当接した状態で、前記固体撮像素子保持部材を前記レンズ保持部材に固定する固定工程と、を備えるので、前記固体撮像素子が前記レンズの光軸に対し位置調整された状態を維持しつつ、前記固体撮像素子保持部材を前記レンズ保持部材に固定することができる。
したがって、本発明の固体撮像素子の取付け方法によれば、固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材とレンズが取付けられたレンズ保持部材を固定するに際し、レンズの光軸に対する固体撮像素子の位置ずれが生じない。
【0031】
本発明の固体撮像素子の取付け方法は、前記レンズ保持部材には、前記固体撮像素子の幅方向両側部に対応する、それぞれの側方位置に2本の前記支柱部材が設けられ、前記固定工程が、前記固体撮像素子保持部材と前記支柱部材の先端部が当接した状態で、前記固体撮像素子保持部材をそれぞれの前記側方位置ごとに、2本の前記支柱部材の間で固定用ネジ部材により前記レンズ保持部材に固定するので、前記支柱部材と前記固定用ネジ部材が近接位置にあるため、前記固体撮像素子保持部材が前記固定用ネジ部材の締付荷重により変形する虞がない。
【0032】
本発明の固体撮像素子の取付け方法は、前記支柱部材が、前記レンズ保持部材に進退可能に設けられる支柱用ネジ部材であり、前記レンズ保持部材には、前記固体撮像素子の幅方向両側部に対応する、それぞれの側方位置に2本の前記支柱用ネジ部材が設けられ、前記固定工程が、前記固体撮像素子保持部材と前記支柱用ネジ部材の先端部が当接した状態で、前記固体撮像素子保持部材をそれぞれの前記側方位置ごとに、2本の前記支柱用ネジ部材の間で固定用ネジ部材により前記レンズ保持部材に固定するので、前記固定撮像素子保持部材を、前記レンズ保持部材側からの前記支柱用ネジ部材と前記固定撮像素子保持部材側からの前記固定用ネジ部材とで挟み込む形で、前記レンズ保持部材に対し強く固定することができる。
【0033】
本発明の固体撮像素子の取付け方法は、前記固定工程が、前記固体撮像素子保持部材を前記固定用ネジ部材により前記レンズ保持部材に固定した後、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材との間であって、それぞれの前記側方位置における前記支柱用ネジ部材と前記固定用ネジ部材との間に、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材との固着用、かつ、前記各支柱用ネジ部材及び前記各固定用ネジ部材の緩み止め用の接着剤を塗布するので、前記接着剤の硬化収縮により、前記固体撮像素子保持部材と前記レンズ保持部材とが強固に引き付けられて固着されるとともに、前記各支柱用ネジ部材及び前記各固定用ネジ部材の緩みを防止することができる。
【0034】
本発明の固体撮像素子の取付け方法は、前記当接工程が、前記各支柱部材(支柱用ネジ部材)の先端部が前記固体撮像素子保持部材に接触したことを検知して、前記各支柱部材(支柱用ネジ部材)の高さの変更を停止することとすれば、前記各支柱用ネジ部材の先端部が前記固体撮像素子保持部材に当接する際の衝撃により生じる位置ずれを防止することができる。
【0035】
本発明の撮像装置の製造方法は、固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材と、レンズが取付けられたレンズ保持部材と、を備える撮像装置の製造方法であって、レンズの光軸に対する固体撮像素子の位置ずれが生じない固体撮像素子の取付け方法により、前記固体撮像素子を前記レンズの光軸に対し位置調整した状態で、前記固体撮像素子保持部材を前記レンズ保持部材に固定する。
したがって、本発明の撮像装置の製造方法によれば、レンズの光軸に対する固体撮像素子の位置ずれが生じない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図5】固体撮像素子をレンズ光軸に対し位置調整した状態の説明図。
【
図6】支柱用ボルトをセンサボードに当接させる様子の説明図。
【
図7】センサボードをカメラケースに固定した状態の説明図。
【
図8】センサボードとカメラケースの固定部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はセンサボードの斜視図を示す。
図2はセンサボードの分解図を示す。
図3はカメラケースの斜視図を示す。
図4はセンサボードとカメラケースとの関係図を示す。
本発明の実施の形態において、撮像装置は、センサボード1と、前記センサボード1が固定されるカメラケース2を備える。
【0038】
前記センサボード1は、
図1及び
図2においてラインセンサ等の固体撮像素子を下面に固定してなるセンサ基板12、前記センサ基板12が固定される金属製の剛性プレート13を備える。
前記剛性プレート13には開口131が形成されており、前記センサ基板12は、前記固体撮像素子が前記開口131に位置するように前記固体撮像素子の近傍において繋ぎボルト3により前記剛性プレート13に固定される。
【0039】
前記剛性プレート13には、前記固体撮像素子の幅方向両側部に対応する側方位置(前記開口部131の両側部)に、後述するドリルビット51を挿入するためのドリルビット用挿通孔133が各2つ設けられる。前記各ドリルビット用挿通孔133は前記ドリルビット51よりも大きな直径を有する。
【0040】
前記剛性プレート13には全面に絶縁処理が施され、前記各ドリルビット用挿通孔133が開口する開口部の周囲には、
図1及び
図2に示すように前記剛性プレート13の上下両面を導通させる銅箔テープ135が配設される。
【0041】
前記剛性プレート13の前記両側方位置における前記各ドリルビット用挿通孔133の間には、後述する固定用ボルト4を挿入するための固定用ボルト用挿通孔137が設けられる。前記固定用ボルト用挿通孔137は、前記固定用ボルト4よりも大きな直径を有する。
【0042】
前記カメラケース2は、
図3において上方にレンズ装着部21を有し、前記レンズ装着部21にレンズ22が装着される。
前記カメラケース2には、前記センサボード1を固定するに際し前記固体撮像素子の幅方向両側部に対応する側方位置に、上下方向に進退可能で高さが調整可能な支柱用ボルト24が各2本設けられる。
【0043】
前記カメラケース2の前記両側方位置において前記各支柱用ボルト24の間には、前記センサボード1を固定する際に固定ボルト4を螺子止めするための固定用ボルト用螺子孔26が設けられる。
【0044】
本発明の実施の形態において、前記センサボード1と前記カメラケース2は、前記センサボード1に固体された固体撮像素子が前記カメラケース2に装着されたレンズ22の光軸23に対し、例えば
図4に示す5軸方向に位置調整された状態で固定される。
【0045】
ここで、
図4に示す5軸方向とは、レンズ22の光軸23に直交する面に対して平行なX軸方向及びY軸方向(X軸方向は固体撮像素子の主走査方向、Y軸方向は固体撮像素子の主走査方向に直交する方向)、前記レンズ22の光軸23に平行なZ軸方向、前記Y軸周りのβ回転方向、前記Z軸周りのγ回転方向の5軸方向である。
【0046】
図5は固体撮像素子をレンズの光軸に対し位置調整した状態の説明図を示す。
図5に示す例では、前記センサボード1は、前記固体撮像素子が前記レンズ22の光軸23に対し
図4に示す5軸方向に位置調整された状態で前記カメラケース2の直上に位置決めされている。
前記センサボード1が前記カメラケース2に対し位置決めされた後、前記カメラケース2に設けられる前記各支柱用ボルト24を上昇させて高さ調整し、前記センサボード1(剛性プレート13)の下面に前記各支柱用ボルト24の頭部を当接させる。
【0047】
図6は支柱用ボルトをセンサボードに当接させる様子の説明図を示す。
図6に示す例では、前記剛性プレート13に設けられる前記ドリルビット用挿通孔133に電動ドライバ5のドリルビット51を上方から挿入し、前記ドリルビット51により前記支柱用ボルト24を回転させて上昇させる。
ここでは、前記ドリルビット51にはコイルスプリング52が遊嵌されており、前記コイルスプリング52の下端が前記剛性プレート13の上面に配設される銅箔テープ135に当接した状態で、前記ドリルビット51により前記支柱用ボルト24を上昇させる。
【0048】
そして、前記支柱用ボルト24の頭部が前記剛性プレート13の下面に配設される前記銅箔テープ135に接触したことを、前記ドリルビット51、前記支柱用ボルト24、前記銅箔テープ135及び前記コイルスプリング52を介しての通電により検知して、前記ドリルビット51による前記支柱用ボルト24の上昇を停止する。
【0049】
図6に示す例では、前記各支柱用ボルト24の頭部が前記剛性プレート13の下面に接触したことを検知して、前記各支柱用ボルト24の高さの調整を停止するので、前記各支柱用ボルト24の頭部が前記剛性プレート13の下面に当接する際の衝撃により生じる前記固体撮像素子の前記レンズ22の光軸23に対する位置ずれを防止することができる。
【0050】
ここで、前記支柱用ボルト24には、例えば六角穴付きや十字穴付きの低頭ボルトを用いることができる。前記支柱用ボルト24が低頭ボルトであれば、前記支柱用ボルト24の頭部を前記剛性プレート13の下面に配設される前記銅箔テープ135に確実に接触させることができる。
また、前記銅箔テープ135に代えて、アルミ箔など他の箔状の導電部材を用いることができる。
【0051】
図6に示す例では、前記各支柱用ボルト24の頭部が前記剛性プレート13の下面に接触したことを通電により検知することとしたが、他の手段により接触を検知することもできる。
【0052】
前記カメラケース2に設けられる前記支柱用ボルト24を上昇させて高さ調整し、すべての前記支柱用ボルト24を前記センサボード1の下面に当接させた後、前記センサボード1の前記両側方位置において、前記固定用ボルト4を前記センサボード1上から前記固定用ボルト用挿通孔137を通して前記カメラケース2に設けられる前記固定用ボルト用螺子孔26にねじ込み、前記センサボード1を前記カメラケース2に固定する。
【0053】
図7はセンサボードをカメラケースに固定した状態の説明図を示す。
図8はセンサボードとカメラケースの固定部の説明図を示す。
図7に示す例では、前記センサボード1は、前記固体撮像素子が前記レンズ22の光軸23に対し位置調整された状態で前記カメラケース2の直上に位置決めされ、前記センサボード1の下面に前記各支柱用ボルト24の頭部が当接した状態で、前記センサボード1が前記各固定用ボルト4により前記カメラケース2に固定されている。
【0054】
そのため、前記固体撮像素子が前記レンズ22の光軸23に対し位置調整された状態を維持しつつ、前記センサボード1を前記カメラケース2に固定することができる。
したがって、本発明の実施の形態によれば、前記センサボード1を前記カメラケース2に固定するに際し、レンズ22の光軸23に対する固体撮像素子の位置ずれが生じない。
【0055】
また、本発明の実施の形態によれば、前記センサボード1を、前記カメラケース2の側からの前記支柱用ボルト24と前記センサボード1の側からの前記固定用ボルト4とで挟み込む形で、前記カメラケース2に対し強く固定することができる。
【0056】
さらに、本発明の実施の形態によれば、前記センサボード1が前記各支柱用ボルト24の頭部に当接した状態で、前記各側方位置における前記各2本の支柱用ボルト24の間で前記固定用ボルト4により前記カメラケース2に固定されるので、前記支柱用ボルト24と前記固定用ボルト4が近接位置にあるため、前記センサボード1が前記固定用ボルト4の締付荷重により変形する虞がない。
【0057】
図8に示すように前記剛性プレート13と前記カメラケース2との間であって、前記各支柱用ボルト24と前記固定用ボルト4との間には、接着剤6を塗布することができる。その際、前記接着剤6は前記各支柱用ボルト24と前記固定用ボルト4に絡めて塗布することができる。
前記接着剤6は、前記センサボード1と前記カメラケース2の固着用、かつ、前記各支柱用ボルト24及び前記各固定用ボルト4の緩み止め用としての機能を有し、前記接着剤6の硬化収縮により、前記センサボード1と前記カメラケース2が強固に引き付けられて固着されるとともに、前記各支柱用ボルト24及び前記各固定用ボルト4の緩みを防止することができる。
【0058】
上記本発明の実施の形態において、前記センサボード1はラインセンサ等の固体撮像素子を固定したセンサ基板12が固定される金属製の剛性プレート13を備え、前記剛性プレート13を前記カメラケース2に固定することとしたが、前記剛性プレート13を用いることなく前記センサ基板12を前記カメラケース2に固定することもできる。
また、前記センサボード1は、前記固定用ボルト4により直接前記カメラケース2に固定することとしたが、例えばL字金具等を介して固定することもできる。
前記センサボード1が、前記センサ基板12を固定した前記剛性プレート13を備え、前記剛性プレート13を前記カメラケース2に固定することとすれば、前記固体撮像素子の発熱による前記センサボード1の変形を防止し、前記レンズ22の前記光軸23に対する固体撮像素子の位置ずれを防止することができる。
【0059】
上記本発明の実施の形態において、前記支柱用ボルト24は、前記カメラケース2における前記両側方位置に各2本設けられるものであったが、これに限定されるものでなく、例えば、前記支柱用ボルト24を、上記位置に加えて他の位置に設けたり、上記位置以外の他の位置に設けたりすることもできる。
【0060】
上記本発明の実施の形態において、前記カメラケース2に設けられる前記支柱用ボルト24は、前記センサボード1の上方からドリルビット51により回転上昇させることとしたが、これに限定されるものでなく、例えば前記カメラケース2の下方から回転上昇させることもできる。
また、固体撮像素子をレンズ22の光軸23に対し位置調整した状態で、前記センサボード1の下面に当接させる支柱部材として、前記支柱用ボルト24に代えて他の部材を用いることもできる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、その構成を適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の固体撮像素子の取付け構造、並びに固体撮像素子の取付け方法は、固体撮像素子が固定された固体撮像素子保持部材とレンズが取付けられたレンズ保持部材を固定するに際し、レンズの光軸に対する固体撮像素子の位置ずれが生じないため、極めて有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 センサボード(固体撮像素子保持部材)
12 センサ基板
13 剛性プレート
131 開口
133 ドリルビット用挿通孔
135 銅箔テープ
137 固定用ボルト用挿通孔
2 カメラケース(レンズ保持部材)
21 レンズ装着部
22 レンズ
23 光軸
24 支柱用ボルト
26 固定用ボルト用螺子孔
3 繋ぎボルト
4 固定用ボルト
5 電動ドライバ
51 ドリルビット
52 コイルスプリング
6 接着剤