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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】画像形成装置および記録材案内装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/36 20060101AFI20240618BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20240618BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240618BHJP
   B41J 13/10 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B65H5/36
G03G15/16
G03G15/00 446
B41J13/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020041932
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021054649
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2019044238
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019181737
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】岡 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】下平 彬
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-178991(JP,A)
【文献】特開2008-003445(JP,A)
【文献】特開2007-304430(JP,A)
【文献】特開2012-032659(JP,A)
【文献】特開2016-114931(JP,A)
【文献】特開2008-139335(JP,A)
【文献】特開平11-322123(JP,A)
【文献】特開2006-208839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0039488(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 5/04
B65H 5/08- 5/20
B65H 5/24- 5/38
B65H 29/52
B41J 13/00- 13/32
G03G 15/00
G03G 13/02
G03G 13/14- 13/16
G03G 15/02
G03G 15/14- 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられる第1回転体と、
前記第1回転体と対向する位置に回転可能に設けられ、当該第1回転体との対向領域を通過する記録材を搬送する第2回転体と、
前記対向領域に向けて記録材を案内する案内部と、
前記案内部に設けられ当該案内部よりも弾性変形が容易な板状の部材であり、搬送されてくる記録材を板面に沿わせて案内するとともに、搬送方向下流側における厚みが上流側よりも薄い板材と
を有し
前記対向領域は、記録材に転写される画像を外周面に保持する像保持体を有し、
前記案内部は、本体と、当該本体から搬送方向下流側に向けて突出し、当該本体の厚みより薄い突出部とを有し、記録材の搬送経路が前記像保持体から離間する向きに湾曲する領域に設けられ、
前記板材は、前記突出部における前記像保持体とは反対側の面に設けられるとともに、当該突出部よりも搬送方向下流側に突出し、
前記突出部における前記反対側の面は、前記湾曲する搬送経路に沿う湾曲面を有し、
前記板材は、前記湾曲面に貼り付けられる
画像形成装置。
【請求項2】
前記板材は、互いに積層される第1層および第2層を有する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1層および前記第2層の間に設けられ当該第1層および当該第2層を互いに接着させる接着層を有し、
前記接着層は、前記第1層および前記第2層の各々における搬送方向下流側の端部を接着しない
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1層は、搬送方向下流側の端部の位置が前記第2層よりも上流側に位置し、
前記第1層は、前記第2層よりも厚みが厚い
ことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記板材は、搬送方向上流側の厚みが厚い領域である厚領域と、搬送方向下流側の厚みが薄い領域である薄領域とを有し、
前記薄領域の搬送方向下流側の端部は、搬送方向と交差する幅方向中央に向かうほど搬送方向下流側に延びる傾斜部を有し、
前記厚領域の搬送方向下流側の端部は、幅方向に沿って直線状に形成される
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記薄領域の搬送方向下流側の端部は、幅方向両側に各々設けられた前記傾斜部を斜辺とする台形である
ことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置
【請求項7】
記像保持体に形成される画像は、記録材よりも大きい寸法である
ことを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
【請求項8】
回転可能に設けられる第1回転体と、
前記第1回転体と対向する位置に回転可能に設けられ、当該第1回転体との対向領域を通過する記録材を搬送する第2回転体と、
前記対向領域に向けて記録材を案内する案内部と、
前記案内部に設けられ当該案内部よりも弾性変形が容易な板状の部材であり、搬送されてくる記録材を板面に沿わせて案内する板材と
を有し、
前記対向領域は、記録材に転写される画像を外周面に保持する像保持体を有し、
前記案内部は、本体と、当該本体から搬送方向下流側に向けて突出し、当該本体の厚みより薄い突出部とを有し、記録材の搬送経路が前記像保持体から離間する向きに湾曲する領域に設けられ、
前記板材は、前記突出部における前記像保持体とは反対側の面に設けられるとともに、当該突出部よりも搬送方向下流側に突出し、
前記板材は、互いに積層される第1層および第2層を有し、
前記第1層および前記第2層は、記録材の搬送方向下流側の端部の位置が互いに異なり、
前記突出部における前記反対側の面は、前記湾曲する搬送経路に沿う湾曲面を有し、
前記板材は、前記湾曲面に貼り付けられる
画像形成装置
【請求項9】
転可能に設けられる第1回転体と、当該第1回転体と対向する位置に回転可能に設けられる第2回転体とが対向し、記録材に転写される画像を外周面に保持する像保持体を有する対向領域に向けて記録材を案内する案内部と、
前記案内部に設けられ当該案内部よりも弾性変形が容易な板状の部材であり、搬送されてくる記録材を板面に沿わせて案内するとともに、搬送方向下流側における厚みが上流側よりも薄い板材と
を有
前記案内部は、本体と、当該本体から搬送方向下流側に向けて突出し、当該本体の厚みより薄い突出部とを有し、記録材の搬送経路が前記像保持体から離間する向きに湾曲する領域に設けられ、
前記板材は、前記突出部における前記像保持体とは反対側の面に設けられるとともに、当該突出部よりも搬送方向下流側に突出し、
前記突出部における前記反対側の面は、前記湾曲する搬送経路に沿う湾曲面を有し、
前記板材は、前記湾曲面に貼り付けられる
記録材案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および記録材案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面にトナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上のトナー像を転写材に転写可能な転写装置と、該転写装置における転写位置に向けて転写材をガイドする転写材ガイド部材とを備えている画像形成装置において、上記転写材ガイド部材は、転写材の移動方向と直角な方向である幅方向一端側と他端側とで転写材の離間タイミングを異ならせる構成として、幅方向に沿ってガイド先端部を傾斜させた構成を備えていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010‐89925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば記録材に画像を転写する転写部へ記録材を案内する案内部に、この案内部よりも弾性変形が容易な板材を設ける構成が知られている。この板材は、案内部とともに記録材を転写部などに案内する。
【0005】
ここで、例えば板材が案内される記録材の先端が転写部へ向かう角度によっては、記録材に形成される画像の品質が低下することがあるため、記録材の先端側を相対的に強く支持したいという要望がある。一方で、記録材の後端を強く支持すると、例えば板材を通り抜けるときに記録材が撥ねることなどによって、画像の品質が低下することがあるため、記録材の後端側を相対的に弱く支持したいという要望もある。
【0006】
そこで、本発明では、記録材の搬送方向における板材の剛性が変化しない場合と比較して、記録材に形成される画像の品質低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、回転可能に設けられる第1回転体と、前記第1回転体と対向する位置に回転可能に設けられ、当該第1回転体との対向領域を通過する記録材を搬送する第2回転体と、前記対向領域に向けて記録材を案内する案内部と、前記案内部に設けられ当該案内部よりも弾性変形が容易な板状の部材であり、搬送されてくる記録材を板面に沿わせて案内するとともに、搬送方向下流側における厚みが上流側よりも薄い板材とを有し、前記対向領域は、記録材に転写される画像を外周面に保持する像保持体を有し、前記案内部は、本体と、当該本体から搬送方向下流側に向けて突出し、当該本体の厚みより薄い突出部とを有し、記録材の搬送経路が前記像保持体から離間する向きに湾曲する領域に設けられ、前記板材は、前記突出部における前記像保持体とは反対側の面に設けられるとともに、当該突出部よりも搬送方向下流側に突出し、前記突出部における前記反対側の面は、前記湾曲する搬送経路に沿う湾曲面を有し、前記板材は、前記湾曲面に貼り付けられる画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記板材は、互いに積層される第1層および第2層を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第1層および前記第2層の間に設けられ当該第1層および当該第2層を互いに接着させる接着層を有し、前記接着層は、前記第1層および前記第2層の各々における搬送方向下流側の端部を接着しないことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記第1層は、搬送方向下流側の端部の位置が前記第2層よりも上流側に位置し、前記第1層は、前記第2層よりも厚みが厚いことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記板材は、搬送方向上流側の厚みが厚い領域である厚領域と、搬送方向下流側の厚みが薄い領域である薄領域とを有し、前記薄領域の搬送方向下流側の端部は、搬送方向と交差する幅方向中央に向かうほど搬送方向下流側に延びる傾斜部を有し、前記厚領域の搬送方向下流側の端部は、幅方向に沿って直線状に形成されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記薄領域の搬送方向下流側の端部は、幅方向両側に各々設けられた前記傾斜部を斜辺とする台形であることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置である
求項に記載の発明は、前記像保持体に形成される画像は、記録材よりも大きい寸法であることを特徴とする請求項記載の画像形成装置である。
請求項に記載の発明は、回転可能に設けられる第1回転体と、前記第1回転体と対向する位置に回転可能に設けられ、当該第1回転体との対向領域を通過する記録材を搬送する第2回転体と、前記対向領域に向けて記録材を案内する案内部と、前記案内部に設けられ当該案内部よりも弾性変形が容易な板状の部材であり、搬送されてくる記録材を板面に沿わせて案内する板材とを有し、前記対向領域は、記録材に転写される画像を外周面に保持する像保持体を有し、前記案内部は、本体と、当該本体から搬送方向下流側に向けて突出し、当該本体の厚みより薄い突出部とを有し、記録材の搬送経路が前記像保持体から離間する向きに湾曲する領域に設けられ、前記板材は、前記突出部における前記像保持体とは反対側の面に設けられるとともに、当該突出部よりも搬送方向下流側に突出し、前記板材は、互いに積層される第1層および第2層を有し、前記第1層および前記第2層は、記録材の搬送方向下流側の端部の位置が互いに異なり、 前記突出部における前記反対側の面は、前記湾曲する搬送経路に沿う湾曲面を有し、前記板材は、前記湾曲面に貼り付けられる画像形成装置である
求項に記載の発明は、回転可能に設けられる第1回転体と、当該第1回転体と対向する位置に回転可能に設けられる第2回転体とが対向し、記録材に転写される画像を外周面に保持する像保持体を有する対向領域に向けて記録材を案内する案内部と、前記案内部に設けられ当該案内部よりも弾性変形が容易な板状の部材であり、搬送されてくる記録材を板面に沿わせて案内するとともに、搬送方向下流側における厚みが上流側よりも薄い板材とを有し、前記案内部は、本体と、当該本体から搬送方向下流側に向けて突出し、当該本体の厚みより薄い突出部とを有し、記録材の搬送経路が前記像保持体から離間する向きに湾曲する領域に設けられ、前記板材は、前記突出部における前記像保持体とは反対側の面に設けられるとともに、当該突出部よりも搬送方向下流側に突出し、前記突出部における前記反対側の面は、前記湾曲する搬送経路に沿う湾曲面を有し、前記板材は、前記湾曲面に貼り付けられる記録材案内装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、記録材の搬送方向における板材の厚みが変化しない場合と比較して、記録材に形成される画像の品質低下を抑制することができ、像保持体と板材との接触を抑制することができ、画像の品質不良が発生しやすい構成において、記録材の挙動を制御しやすくなる。
請求項2の発明によれば、板材の製造コストを低減し得る。
請求項3の発明によれば、層同士が離間する動作が許容される。
請求項4の発明によれば、搬送される記録材の先端の挙動を制御しやすくなる。
請求項5の発明によれば、搬送される記録材の先端および後端の挙動を制御しやすくなる。
請求項6の発明によれば、搬送される記録材の後端の挙動を制御しやすくなる
求項の発明によれば、画像の品質不良が発生しやすい構成において、記録材の挙動を制御しやすくなる。
請求項の発明によれば、記録材の搬送方向における板材の厚みが変化しない場合と比較して、記録材に形成される画像の品質低下を抑制することができ、像保持体と板材との接触を抑制することができ、画像の品質不良が発生しやすい構成において、記録材の挙動を制御しやすくな
求項の発明によれば、記録材の搬送方向における板材の厚みが変化しない場合と比較して、記録材に形成される画像の品質低下を抑制することができ、像保持体と板材との接触を抑制することができ、画像の品質不良が発生しやすい構成において、記録材の挙動を制御しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成を示す図である。
図2】本実施の形態が適用される搬送ガイド周辺の構成図である。
図3】主ガイド装置の斜視図である。
図4図3のIV-IVにおける主ガイド装置の断面図である。
図5】マイラの平面図である。
図6】(a)および(b)は、主ガイド装置の動作を説明する図である。
図7】変形例を説明するための図である。
図8】主ガイド装置の斜視図である。
図9図8のIX-IXにおける主ガイド装置の断面図である。
図10】第1マイラの平面図である。
図11】(a)および(b)は、主ガイド装置の動作を説明する図である。
図12】(a)および(b)は、用紙と第1マイラとの位置関係を示した図である。
図13】(a)~(c)は、第2の実施形態についての変形例を説明するための図である。
図14】(d)および(e)は、第2の実施形態についての変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
<画像形成装置1>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成を示す図である。
画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、トナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像を保持して記録材の一例としての用紙Sに二次転写する二次転写位置(ニップポイントNP)まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20に用紙Sを供給する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された用紙S上のトナー像を定着させる定着装置40などを備えている。
【0011】
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これらの作像装置10(Y,M,C,K)は、傾斜した状態で1列に並べて配置されている。
【0012】
各作像装置10(Y,M,C,K)は、感光体ドラム11を備える。この感光体ドラム11の周囲には、次のような各装置が配置されている。すなわち、感光体ドラム11を帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に光を照射して静電潜像を形成する露光装置13と、各静電潜像を対応する色の現像剤4で現像する現像装置14と、各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写装置15と、一次転写後における感光体ドラム11に付着する付着物を取り除いて清掃する清掃装置16などである。
【0013】
感光体ドラム11は、接地される円筒状の基材の周面に、感光材料からなる光導電性層を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から駆動を受けて矢印Aで示す方向に回転する。
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される帯電ロールで構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。
【0014】
露光装置13は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて感光体ドラム11に光を照射し、感光体ドラム11に静電潜像を形成する。露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列されたLED(Light Emitting Diode)を有する。
【0015】
現像装置14はいずれも、感光体ドラム11に形成された静電潜像を各色のトナーで現像する。この現像装置14は、その内部に、予め定められた色のトナーを含む現像剤4を収容している。この現像装置14では、現像剤4として、磁性を有するキャリアと、予め定められた色に着色されたトナーとを含む、所謂2成分現像剤を用いている。なお、現像剤4として、トナーのみからなる所謂一成分現像剤を用いてもよい。
【0016】
一次転写装置15は、感光体ドラム11の周囲に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
【0017】
清掃装置16は、例えば感光体ドラム11に接触して配置されるブレード部材を有しており、転写後かつ帯電前の感光体ドラム11上のトナーなどの付着物を除去する。
【0018】
中間転写装置20は、各作像装置10(Y,M,C,K)の上方に位置する。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22~26と、ベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を用紙Sに二次転写させる二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナーなどを取り除いて清掃するベルト清掃装置27とを有する。
【0019】
中間転写ベルト21は、例えばポリイミド樹脂などで形成される無端状のベルトである。また、ベルト支持ロール25は、二次転写手段を構成するバックアップロール且つ図示しない駆動装置によって回転駆動される駆動ロールとして構成される。ベルト支持ロール22は、中間転写ベルト21に張力を付与する張力付与ロール且つ中間転写ベルト21の蛇行を補正するベルト蛇行補正ロールとして構成される。ベルト支持ロール23,24は、中間転写ベルト21の走行位置などを保持する従動ロールとして構成される。ベルト支持ロール26は、ベルト清掃装置27により清掃される中間転写ベルト21の背面を支持する支持ロールとして構成されている。
【0020】
二次転写装置30は、中間転写装置20におけるベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分であるニップポイントNPにおいて、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写手段を構成する二次転写ロール31を備える。
【0021】
ベルト清掃装置27は、本体270と、二次転写後の中間転写ベルト21の周面に接触するように配置され付着物を取り除いて清掃する清掃板271とを有する。
【0022】
定着装置40は、加熱手段によって加熱されるドラム形態又はベルト形態の加熱回転体41と、この加熱回転体41の軸方向に沿う状態で回転するドラム形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを有する。この定着装置40では、加熱回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が加熱及び加圧を行う。
【0023】
給紙装置50は、作像装置10(Y,M,C,K)の下方側に配置される。この給紙装置50は、積載した用紙Sを収容する用紙収容体51と、用紙収容体51から用紙Sを1枚ずつ送り出す送出装置52,53とを有する。
【0024】
用紙Sは、例えば、複写機、プリンタなどに使用される普通紙、OHPシートやトレーシングペーパーなどの薄紙である。また、定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、用紙Sの表面もできるだけ平滑であることが好ましい。また、用紙Sとして、普通紙の表面を樹脂などでコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙などの坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども使用することができる。
【0025】
給紙装置50と二次転写装置30との間には、給紙装置50から送り出される用紙SをニップポイントNPまで搬送する用紙搬送ロール対54や搬送ガイド55などを有する給紙搬送路56が設けられている。用紙搬送ロール対54は、例えば用紙Sの搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。
【0026】
また、二次転写装置30と定着装置40との間には、二次転写装置30から送り出される用紙Sを搬送する搬送ガイド57,58が設けられている。さらに、定着装置40から送り出される用紙Sを搬送ガイド59に沿って設けられた用紙排出部60に排出する用紙排出ロール対61が配置されている。
【0027】
定着装置40と用紙排出ロール対61との間には、用紙搬送路を切り替える切替ゲート62が設けられている。用紙排出ロール対61は、その回転方向が逆転可能に構成されている。そして、用紙Sの両面に画像を形成する場合には、逆回転する用紙排出ロール対61によって、用紙Sが両面用搬送経路63へと搬送される。両面用搬送経路63は、表裏を反転させた状態で用紙Sを用紙搬送ロール対54へと搬送する用紙搬送ロール対64と、搬送ガイド65~68などを備える。
【0028】
また、画像形成装置1には、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御装置100が設けられている。この制御装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、あるいはこれらCPUやROMなどを接続するバス、通信インターフェイスなどを備えている。
【0029】
<画像形成装置1の動作>
以下、画像形成装置1による画像形成動作について説明する。
画像形成装置1が画像形成指示を受けると、作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40などが始動する。
【0030】
具体的には、各作像装置10(Y,M,C,K)において、各感光体ドラム11が回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を帯電させる。また、露光装置13が、感光体ドラム11に光を照射し静電潜像を形成し、各作像装置10(Y,M,C,K)が現像を行う。また、感光体ドラム11上のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15がトナー像を中間転写ベルト21に一次転写させる。
【0031】
また、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像をニップポイントNPまで搬送する。一方、給紙装置50では、用紙Sが送り出され、用紙搬送ロール対54が用紙Sを転写時期に合わせてニップポイントNPに送り出す。
【0032】
また、ニップポイントNPにおいては、二次転写装置30の二次転写ロール31が、中間転写ベルト21上のトナー像を用紙Sに一括して二次転写させる。続いて、トナー像が二次転写された用紙Sは定着装置40まで搬送される。そして、定着装置40は、トナー像を用紙Sに定着させる。定着後の用紙Sは、用紙排出部60に排出される。以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された用紙Sが出力される。
【0033】
なお、用紙Sの両面に画像を形成するときは、用紙排出ロール対61が用紙Sの後端を保持している間に用紙排出ロール対61が逆転方向にする。そして、用紙Sは、両面用搬送経路63を介して表裏が反転された状態で、用紙搬送ロール対54へと搬送される。用紙Sは、用紙搬送ロール対54によって再びニップポイントNPに供給され、裏面に画像が形成された後、用紙排出部60に排出される。
【0034】
<搬送ガイド55>
図2は、本実施の形態が適用される搬送ガイド55周辺の構成図である。
次に、図1および図2を参照しながら、搬送ガイド55周辺の概略構成について説明をする。
【0035】
図2に示すように、搬送ガイド55は、二次転写装置30の下方に設けられる。この搬送ガイド55は、主ガイド装置500と副ガイド装置600とを有する。主ガイド装置500および副ガイド装置600の各々は、給紙搬送路56を挟んで互いに対向する位置に配置される。ここで、主ガイド装置500は、用紙Sを案内するシュート510と、シュート510に設けられた薄板状もしくはシート状の部材であるマイラ520とを有する(詳細は後述)。また、副ガイド装置600は、用紙Sを案内するシュート610と、シュート610に回転可能に設けられた案内ローラ620を有する。
【0036】
主ガイド装置500および副ガイド装置600は、用紙搬送ロール対54(図1参照)から搬送されてきた用紙Sを、二次転写装置30に案内する。具体的には、用紙Sは、主ガイド装置500および副ガイド装置600の間を通る給紙搬送路56を介して、下側から上側に向けて進み、二次転写ロール31および中間転写ベルト21の間へと送り込まれる。
【0037】
なお、図2に示すように、給紙搬送路56は、主ガイド装置500および副ガイド装置600の間で湾曲している。さらに説明をすると、給紙搬送路56は、用紙Sの搬送方向下流側に進むにしたがって、中間転写ベルト21から離間する向き(図中右側)に湾曲している。ここで、主ガイド装置500は、用紙搬送ロール対54(図1参照)から搬送されてきた用紙Sの向きを変化させる構成として捉えることができる。また、図示の例においては、主ガイド装置500および副ガイド装置600間から二次転写ロール31に送り込まれる用紙Sは、二次転写ロール31に湾曲した状態で搬送されることとなる。
【0038】
このため、用紙Sの後端は、湾曲の外側に配置された主ガイド装置500で抑えられた状態となる。すなわち、用紙Sが主ガイド装置500を通過し終える際に、用紙Sの後端が中間転写ベルト21に向かって跳ね上がる力が蓄えられている。そして、本実施形態の画像形成装置1では、主ガイド装置500の構成によって用紙Sの後端の跳ね上げが抑えられている。
【0039】
[第1の実施形態]
次に、主ガイド装置500についてさらに詳しく説明を行う。ここでは、まず、主ガイド装置500の第1の実施形態について説明を行う。
<主ガイド装置500の構造>
図3は、主ガイド装置500の斜視図である。
図4は、図3のIV-IVにおける主ガイド装置500の断面図である。
図5は、マイラ520の平面図である。
次に、図2乃至図5を参照しながら、主ガイド装置500の構成について詳細に説明する。
【0040】
まず、上記のように、主ガイド装置500は、シュート510およびマイラ520を有する。これらのシュート510およびマイラ520は、用紙Sの搬送方向と交差する幅方向において用紙Sよりも広い幅である。
【0041】
シュート510は、樹脂などにより形成された板状部材である。このシュート510は、略直方体状のシュート本体515と、シュート本体515における搬送方向下流側から突出する突出部517とを有する。図示の例においては、シュート本体515および突出部517は、中間転写ベルト21とは反対側に互いに揃った面である湾曲面510Aを形成する。また、シュート510は、搬送方向下流側の方が、搬送方向上流側よりも、厚みが薄い。具体的には、突出部517の厚みt11が、シュート本体515の厚みt12よりも薄い。
【0042】
マイラ520は、マイラ520に沿って用紙Sが搬送されることにともない弾性変形が可能な板状部材である。さらに説明をすると、マイラ520は、シュート510よりも弾性変形が容易な部材である。このマイラ520は、シュート510の湾曲面510Aに設けられる。さらに説明をすると、マイラ520は、シュート510における中間転写ベルト21とは反対側の面に湾曲した状態で貼り付けて設けられる。
【0043】
なお、図示のマイラ520は、シュート510における中間転写ベルト21と反対側の面に貼り付けられることにより、シュート510における中間転写ベルト21側の面に貼り付ける構成よりも、中間転写ベルト21から離間した位置に配置される。このことにより、用紙Sがマイラ520を通過する際に、用紙Sによって押圧され撓んだマイラ520が中間転写ベルト21と接触することが抑制される。
【0044】
図4に示すように、マイラ520は、第1マイラ530、第2マイラ550、第1接着層570、および第2接着層590を有する。図示の例におけるマイラ520は、シュート510に対して、第2接着層590、第2マイラ550、第1接着層570、第1マイラ530の順に積層して設けられている。なお、図示のマイラ520は、複数のマイラである第1マイラ530および第2マイラ550を重ね合わせた構成として捉えることができる。また、マイラ520は、用紙搬送方向下流側に向かうにつれて厚みが薄くなる構成として捉えることができる。この場合、マイラ520の剛性は、用紙搬送方向下流側に向かうにつれて、小さくなる。
【0045】
図4に示すように、第1マイラ530は、弾性変形可能な樹脂材(例えば、PET)などにより構成される板状部材である。第1マイラ530の厚みt21は、突出部517の厚みt11よりも薄い。また、第1マイラ530の搬送方向における長さは、シュート510よりも長い。また、図5に示すように、第1マイラ530は、平面視略長方形状である。さらに説明をすると、搬送方向下流側の端部531は、幅方向に沿って延びる略直線状の部分である。なお、詳細は後述するが、第1マイラ530は、搬送される用紙Sの先端SLの搬送方向を制御する機能を有する。
【0046】
また、図4に示すように、第2マイラ550は、弾性変形可能な樹脂材(例えば、PET)などにより構成される板状部材である。図示の例においては、第2マイラ550は、第1マイラ530と同一の材質により構成されている。第2マイラ550の厚みt22は、第1マイラ530の厚みt21よりも薄い。さらに説明をすると、第2マイラ550は、第1マイラ530よりも弾性変形が容易である。また、第2マイラ550の搬送方向における長さは、シュート510および第1マイラ530よりも長い。例えば、第2マイラ550の厚みt22は、0.1mmである。また、第1マイラ530、第1接着層570、および第2マイラ550により構成される部分の厚みt23は、例えば0.18~0.25mmである。付言すると、この例において、第1マイラ530、第1接着層570、および第2マイラ550により構成される部分の厚みt23は、第2マイラ550の厚みt22の1.8倍~2.5倍の範囲である。
【0047】
また、図5に示すように、第2マイラ550は、平面視略長方形状である。さらに説明をすると、第2マイラ550における搬送方向下流側の端部551は、幅方向の中央部が搬送方向下流側に突出した台形状である。この搬送方向下流側の端部551は、幅方向の中央側に進むに従い搬送方向下流側となる向きに傾斜した傾斜部553を有する。ここで、第2マイラ550が傾斜部553を有することにより、用紙Sの後端の姿勢が安定化する。すなわち、第2マイラ550の傾斜部553によって、第2マイラ550を通過した用紙Sの後端が、搬送方向上流側からみて曲がった姿勢(例えば、V字状や、逆V字状)となることを抑制し、用紙Sの後端を平らな姿勢とし得る。なお、詳細は後述するが、第2マイラ550は、搬送される用紙Sの後端の搬送方向を制御する機能を有する。
【0048】
再び図4を参照すると、第1接着層570は、所謂両面テープや接着剤などの接着性を有する部材である。第1接着層570は、第1マイラ530および第2マイラ550を接着する。
第2接着層590は、所謂両面テープや接着剤などの接着性を有する部材である。第2接着層590は、第2マイラ550とシュート510とを接着する。
【0049】
さて、図3に示すように、第1マイラ530、第2マイラ550、第1接着層570、および第2接着層590各々における搬送方向上流側の端部は揃えられている。一方で、第1マイラ530、第2マイラ550、第1接着層570、および第2接着層590各々における搬送方向下流側の端部は揃えられていない。
【0050】
具体的に説明をすると、図4に示すように、第1マイラ530における搬送方向下流側の端部531は、突出部517における搬送方向下流側の端部511の位置P1よりも、搬送方向下流側の位置P2に配置される。また、第2マイラ550における搬送方向下側の端部551の位置P3は、第1マイラ530の端部531の位置P2よりも、搬送方向下流側に位置する。言い替えると、第1マイラ530の端部531と、第2マイラ550の端部551とは、互いに異なる位置に配置される(位置P2および位置P3参照)。
【0051】
また、第1接着層570における搬送方向下流側の端部571の位置P4は、シュート510の突出部517における搬送方向下流側の端部511の位置P1よりも、搬送方向上流側に位置する。また、第2接着層590における搬送方向下流側の端部591は、シュート510の突出部517における搬送方向下流側の端部511とともに位置P1に配置される。言い替えると、第1接着層570の端部571と、第2接着層590の端部591とは、互いに異なる位置に配置される(位置P1および位置P4参照)。
【0052】
ここで、第1接着層570の端部571が、突出部517の端部511よりも搬送方向上流側に位置することにより、仮に製造段階において第1接着層570の位置にばらつきが生じた場合においても、第1接着層570の端部571が、突出部517の端部511よりも搬送方向下流側となることが抑制される。すなわち、第2マイラ550において突出部517よりも搬送方向下流側に突出する突出領域554が、第1接着層570によって接着されることが回避される。
【0053】
ここで、図示の例における第2マイラ550における突出領域554は、第1マイラ530に接着されていないため、第1マイラ530から独立して変形可能である。このことにより、第2マイラ550における突出領域554全体が、第1マイラ530から離間する向きに移動可能である。付言すると、第1接着層570は、第1マイラ530の端部531と第2マイラ550の端部551とを接着しない。このことにより、第1マイラ530および第2マイラ550の可動範囲が広がる。
【0054】
<主ガイド装置500の動作>
図6(a)および(b)は、主ガイド装置500の動作を説明する図である。具体的には、図6(a)は用紙Sの先端SLが通過する際の主ガイド装置500の動作を示し、図6(b)は用紙Sの後端SEが通過する際の主ガイド装置500の動作を示す。
次に、図1図6(a)および(b)を参照しながら、主ガイド装置500の動作を説明する。
【0055】
まず、図1および図6(a)を参照しながら、用紙Sの先端SLが通過する際の主ガイド装置500の動作を説明する。図6(a)に示すように、用紙搬送ロール対54から搬送されてくる用紙Sが主ガイド装置500を通過する際に、用紙Sに押圧されることによりマイラ520は撓む。このとき、第1マイラ530および第2マイラ550は、用紙Sが到達する前よりも、中間転写ベルト21側に押された状態となる。この押された状態の第1マイラ530および第2マイラ550によって案内される用紙Sは、二次転写ロール31および中間転写ベルト21が接触するニップポイントNPへと向かう。このとき、用紙Sの先端SLが中間転写ベルト21に対して接近する角度、すなわち用紙Sの先端SLが突入する角度である突入角AEは、第1マイラ530および第2マイラ550によって用紙Sが支持されていることから、支持されていない場合よりも小さくなる。さらに説明をすると、より剛性が高い第1マイラ530が用紙Sを支持することにより、用紙Sの先端SLが中間転写ベルト21と接触する位置が、ニップポイントNPに近づく。
【0056】
ここで、用紙Sの先端SLが、中間転写ベルト21の外周面を擦ると、中間転写ベルト21の外周面に形成された未定着のトナー像が乱される現象、所謂スマッジが発生することがある。しかしながら、本実施の形態においては、剛性が高い第1マイラ530が用紙Sの先端SLを案内し、突入角AEを小さくすることで、スマッジの発生が抑制される。さらに説明をすると、所謂フチなし印刷を実行する際などにおいて、中間転写ベルト21に形成されるトナー像が用紙Sよりも大きい場合、一般的にはスマッジがより発生しやすい状況となる。しかしながら、図示の例においては、中間転写ベルト21に形成されるトナー像が用紙Sよりも大きい場合においても、スマッジの発生を抑制し得る。
【0057】
次に、図1および図6(b)を参照しながら、用紙Sの後端SEが通過する際の主ガイド装置500の動作を説明する。まず、図6(b)に示すように、用紙Sが主ガイド装置500を通過する際、用紙Sに押圧されることによりマイラ520は撓む。ここで、用紙Sの後端SEが第1マイラ530の搬送方向下流側の端部531を通過すると、用紙Sの後端SEは第2マイラ550のみによって支持される状態となる。このとき、第2マイラ550は、用紙Sの後端SEが第1マイラ530および第2マイラ550の両者によって支持されていた状態よりも、中間転写ベルト21側により押し曲げられた状態となる。このように、より押し曲げられた状態の第2マイラ550によって案内されることにより、用紙Sの後端SEが中間転写ベルト21に近づいて搬送されることが可能となる。また、上記のように第2マイラ550における突出領域554は、第1マイラ530から独立して変形可能であることから、第2マイラ550が中間転写ベルト21側により大きく撓むことが可能となる。
【0058】
ここで、用紙Sの後端SEがマイラ520を通過し終える際に、湾曲した状態の用紙Sがマイラ520の押圧力から開放されることにより、用紙Sの後端SEが撥ねることがある。この撥ねた用紙Sの後端SEが、例えば中間転写ベルト21を叩くことや、中間転写ベルト21に向かう風圧を発生させることで、中間転写ベルト21に形成されたトナー像が散るなどし、画像の品質を低下させることがある。この用紙Sの後端SEが撥ねる現象は、用紙Sの種別(例えば紙種、厚み、斤量の大きさなど)によって変化する。さらに説明をすると、例えば用紙Sが厚紙であり剛性が高い場合においては、用紙Sの後端SEがより大きく撥ね、画像の品質が低下しやすい。
【0059】
しかしながら、本実施の形態においては、第2マイラ550によって案内されることにより、用紙Sの後端SEが中間転写ベルト21に接触する際の衝撃が緩和される。いわば、第2マイラ550によって、用紙Sの後端SEが中間転写ベルト21にソフトランディングする。このことにより、中間転写ベルト21に形成されたトナー像のトナー散りが抑制される。
【0060】
さて、本実施の形態においては、マイラ520が第1マイラ530および第2マイラ550の両者を備えることによって、マイラ520によって案内される用紙Sにおける先端SLが通過する通過経路LPと、後端SEが通過する通過経路EPとは異なる経路となる。さらに説明をすると、後端SEが通過する通過経路EPは、先端SLが通過する通過経路LPよりも、中間転写ベルト21に近い配置となる。付言すると、図示の例においては、用紙Sにおける先端SLと後端SEとで、各々がマイラ520によって案内される向きが互いに異なる。
【0061】
ここで、一般的には、用紙Sの先端SLの突入角AEを規制するためには、用紙Sを案内する機能、すなわちガイド機能を高めるため、マイラ520をより厚くするほうが好ましい。一方で、用紙Sの後端SEの衝撃を緩和するためには、ソフトランディングを促進するため、マイラ520をより薄くするほうが好ましい。さらに説明をすると、先端SLの突入角AEを規制するべくマイラ520を厚くすると、マイラ520がより撓みにくくなるため後端SEの衝撃が強くなる。
【0062】
そこで、本実施の形態においては、マイラ520が第1マイラ530および第2マイラ550の両者を備えることによって、マイラ520に厚い部分(図5の領域521参照)と薄い部分(図5の領域523参照)を設ける。このことにより、マイラ520における厚い部分に突入角AEを規制する機能をもたせ、マイラ520における薄い部分にトナー散りを防止する機能をもたせる構成とした。言い替えると、マイラ520における厚い部分によって用紙Sの先端側を相対的に強く支持し、マイラ520における薄い部分によって用紙Sの後端側を相対的に弱く支持する。本実施の形態においては、例えば薄紙および厚紙で切り替わるなど、用紙Sの種別が変化した場合であっても、マイラ520の撓み量を安定化させ得る。
【0063】
<変形例>
図7は、変形例を説明するための図である。
次に、図7を参照しながら上記実施の形態の変形例について説明をする。また、以下の説明においては、上記の実施の形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0064】
上記の説明においては、シュート510に対して、第2接着層590、第2マイラ550、第1接着層570、第1マイラ530の順に積層して設けられていることを説明したが、これに限定されない。例えば、図7(a)に示すマイラ1520のように、シュート510に対して、第2接着層590、第1マイラ1530、第1接着層570、第2マイラ1550の順に積層してもよい。なお、図7(a)に示す第2マイラ1550は、用紙Sの後端SEを支持する際に、第1マイラ1530を押しながら撓む構成である。したがって、図4に示すマイラ520の第2マイラ550よりも、第2マイラ1550の撓みは制限される。
【0065】
また、上記の説明においては、第1マイラ530よりも第2マイラ550の厚みが薄いことを説明したが、これに限定されない。例えば、図7(b)に示すマイラ2520のように、第1マイラ2530および第2マイラ2550の厚みが互いに一致してもよい。あるいは、図示の例とは異なり、第1マイラ2530よりも第2マイラ2550の厚みの方が厚い構成であってもよい。
【0066】
また、上記の説明においては、マイラ520が第1マイラ530および第2マイラ550を重ねて形成されることを説明したが、これに限定されない。例えば、図7(c)に示すように、マイラ3520が1枚の板状部材により形成されてもよい。マイラ3520は、用紙搬送方向上流側の厚みが厚い厚領域3521と、用紙搬送方向下流側に厚領域3521よりも厚みが薄い薄領域3523とを有する。このマイラ3520は、接着層3570によってシュート510に固定される。なお、図4に示すマイラ520においては、厚みが一定の板状部材を重ねることで形成できるため、図7(c)に示すマイラ3520よりも製造コストを低減し得る。
【0067】
さらに、例えば、図7(d)に示すように、マイラ4520が1枚の板状部材により形成され、用紙搬送方向下流側に進むに従い厚みが薄くなる傾斜面4521を有する構成でもよい。なお、このマイラ4520は、接着層4570によってシュート510に固定される。
また、例えば、図7(e)に示すように、用紙搬送方向に沿って厚みが変化しないマイラ5520が1枚の板状部材により形成されるとともに、シュート5510が用紙搬送方向下流側に進むに従い厚みが薄くなる傾斜面5511を有する構成でもよい。なお、このマイラ5520は、接着層5570によってシュート5510に固定される。
【0068】
また、図示は省略するが、マイラ520が3枚(すなわち3層)以上の板状部材により構成されてもよい。また、マイラ520を複数の板状部材が、互いに異なる材質により構成されてもよい。
【0069】
[第2の実施形態]
次に、主ガイド装置500の第2の実施形態について説明を行う。
<主ガイド装置500の構造>
図8は、主ガイド装置500の斜視図である。
図9は、図8のIX-IXにおける主ガイド装置500の断面図である。
図10は、第1マイラ540の平面図である。図10は、図9のX方向から見た図である。
ここでは、図9および図10を主に参照しながら、主ガイド装置500の第2の実施形態の構成について詳細に説明する。
【0070】
第2の実施形態の主ガイド装置500は、第1の実施の形態に比較して、シュート510およびマイラ520を有する点では同様である。
また、シュート510の構成についても同様である。一方、マイラ520の構成は、第1の実施の形態とは異なる。よって、以下、マイラ520の構成について説明する。
【0071】
本実施の形態のマイラ520は、弾性変形が可能な板状部材であり、シュート510における中間転写ベルト21とは反対側の面に湾曲した状態で貼り付けて設けられる。この点では、第1の実施形態と同様である。
【0072】
一方、本実施の形態のマイラ520は、図9に示すように、1枚の第1マイラ540をシュート510に貼り付けて設けられる点で第1の実施形態と異なる。即ち、図4に示すように、第1の実施形態のマイラ520は、シュート510に対して、第2接着層590、第2マイラ550、第1接着層570、第1マイラ530の順に積層して設けられている。即ち、2枚のマイラが、2層の接着層を介してシュート510に貼り付けられる構成となる。対して、本実施の形態のマイラ520は、シュート510に対して、第1接着層560、第1マイラ540の順に積層して設けられている。即ち、1枚のマイラである第1マイラ540が、第1接着層560を介してシュート510に貼り付けられる構成となる。よって、マイラ520は、用紙搬送方向下流側に向かうにつれて厚みは、薄くならず、一定となる。
【0073】
第1マイラ540は、弾性変形可能な樹脂材(例えば、PET)などにより構成される板状部材である。また、第1マイラ540は、厚みを、例えば0.18~0.25mmとすることができる。
第1接着層560は、所謂両面テープや接着剤などの接着性を有する部材である。第1接着層560は、第1マイラ540とシュート510とを接着する。
【0074】
第1マイラ540における搬送方向下流側の端部541は、突出部517における搬送方向下流側の端部511の位置P1よりも、搬送方向下流側の位置P3に配置される。なおここでは、位置P3は、図4の位置P3と同じ位置であるが、異なる位置としてもよい。
そして、第1マイラ540は、シュート510から搬送方向下流側に向け突出する突出領域544を有する。そのため、突出領域544は、シュート510から独立して変形可能である。このことにより、第1マイラ540における突出領域544は、シュート510とは独立して移動可能である。
【0075】
図10に示すように、第1マイラ540は、平面視略長方形状である。さらに説明をすると、第1マイラ540における搬送方向下流側の端部541は、幅方向の中央部が搬送方向下流側に突出した三角形状である。即ち、第1マイラ540は、用紙Sの搬送方向と交差する幅方向中央に向かうほど搬送方向下流側に延びる、と言うことができる。この搬送方向下流側の端部541は、幅方向の中央側に進むに従い搬送方向下流側となる向きに傾斜した傾斜部543を有する。傾斜部543は、端部541が、搬送方向と交差する幅方向中央に向かうほど搬送方向下流側に延びる、と言うことができる。第1マイラ540が傾斜部543を有することにより、用紙Sの後端の姿勢が安定化する。
【0076】
また、第1マイラ540には、スリット540Sが形成される。ここでは、スリット540Sは、6本形成され、それぞれスリット540S1~540S6として図示している。スリット540Sは、第1マイラ540をカッター等で、その一部を切断することで形成することができる。図示するスリット540Sは、用紙Sの搬送方向に沿う向きに形成される。即ち、図示する例では、図中縦方向に形成される。これにより、用紙Sとスリット540Sとが干渉することが抑制できる。つまり、スリット540Sが、搬送方向に沿う向きに形成されず、搬送方向と交差する向きに形成される場合、用紙Sがスリット540Sに引っ掛かりやすくなる。また、用紙Sがスリット540Sに入り込みやすくなる。この場合、用紙Sの搬送に支障が生じ、用紙Sが傾いて搬送されたり、用紙詰まりが生じることがある。対して、スリット540Sを、用紙Sの搬送方向に沿う向きに形成すると、用紙Sとスリット540Sとが干渉しにくくなり、用紙Sの搬送に支障が生じることを抑制できる。
【0077】
なお、図示するスリット540Sは、図中左側の傾斜部543および図中右側の傾斜部543において、それぞれほぼ等間隔で形成されているが、等間隔である必要は、必ずしもない。ただし、スリット540Sは、第1マイラ540の幅方向中央を挟み、対称に形成することが好ましい。対称でない場合、用紙Sを第1マイラ540に載せたときに、幅方向において、用紙Sを均等に支えることができず、用紙Sの搬送を乱す場合がある。
【0078】
さらに、スリット540Sは、傾斜部543に形成される。また、スリット540Sは、第1マイラ540の幅方向の中央には形成されない。詳しくは後述するが、このような形態で、スリット540Sを形成することで、第1マイラ540の用紙Sの搬送方向における剛性を変化させることができる。
【0079】
そして、スリット540Sは、シュート510の搬送方向下流側の端部511の位置P1から搬送方向下流側に向け形成されるとともに、第1マイラ540の搬送方向下流側の端部541に貫通して形成される。つまり、スリット540Sは、図9の位置P1から位置P3に至る箇所に形成される。これは、スリット540Sは、第1マイラ540における突出領域544の全体に渡り形成される、と言うこともできる。これにより、第1マイラ540の可動範囲をより大きくすることができる。
【0080】
<主ガイド装置500の動作>
次に、第2の実施形態における主ガイド装置500の動作について説明する。
図11(a)および(b)は、主ガイド装置500の動作を説明する図である。
具体的には、図11(a)は用紙Sの先端SLが通過する際の主ガイド装置500の動作を示し、図11(b)は用紙Sの後端SEが通過する際の主ガイド装置500の動作を示す。
【0081】
このうち、図11(a)における主ガイド装置500の動作は、マイラ520の形状が上述したように変更になったことを除き、同様である。つまり、用紙Sの先端SLが通過する際には、第2の実施形態のマイラ520でも、第1の実施形態の第1マイラ530と同様の動作を行う。
【0082】
次に、用紙Sの後端SEが通過する際の主ガイド装置500の動作を説明する。まず、図11(b)に示すように、用紙Sが主ガイド装置500を通過する際、用紙Sに押圧されることによりマイラ520は撓む。
このとき、マイラ520にスリット540Sが形成されているために、用紙Sの位置により、マイラ520の撓み量が変化する。
【0083】
図12(a)および(b)は、用紙Sと第1マイラ540との位置関係を示した図である。
このうち、図12(a)は、図11(a)と同様の状態であり、用紙Sの先端SLが第1マイラ540を通過する際の、用紙Sと第1マイラ540との位置関係を示した図である。
図示するように、用紙Sの先端SLが第1マイラ540を通過する際は、用紙Sは、搬送方向と交差する方向、即ち、第1マイラ540の幅方向のほぼ全体に載っている。つまり、用紙Sによる押圧力は、第1マイラ540の幅方向全体である領域R1に及ぼされ、用紙Sを第1マイラ540全体で受け止める状態になっている。この場合、領域R1の剛性は、より大きく、用紙Sによる第1マイラ540の撓み量は、小さい。
【0084】
一方、図12(b)は、図11(b)と同様の状態であり、用紙Sの後端SEが第1マイラ540を通過する際の、用紙Sと第1マイラ540との位置関係を示した図である。
図示するように、用紙Sの後端SEが第1マイラ540を通過する際は、用紙Sは、第1マイラ540の中央部541aだけに載っており、両端部541bには載っていない。つまり、用紙Sによる押圧力は、中央部541aに作用し、両端部541bには作用しない。このとき、第1マイラ540は、スリット540Sが形成されていることから、用紙Sからの押圧力は、中央部541aを挟む2本のスリット540S3とスリット540S4との間に挟まれた領域R4だけに作用する。この場合、領域R4の剛性は、領域R1の剛性に比較して、より小さい。そのため、第1マイラ540のうち領域R4の箇所だけが、より大きく撓む。つまりこのとき、第1マイラ540のうち領域R4の箇所は、図12(a)の状態よりも、中間転写ベルト21側により押し曲げられた状態となる。対して、他の箇所は撓まず、図12(a)と同様の状態を維持する。
【0085】
これにより、第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果が生じる。つまり、用紙Sが、第1マイラ540の領域R4によって案内されることにより、用紙Sの後端SEが中間転写ベルト21に接触する際の衝撃が緩和される。いわば、第1マイラ540の領域R4によって、用紙Sの後端SEが中間転写ベルト21にソフトランディングする。このことにより、中間転写ベルト21に形成されたトナー像のトナー散りが抑制される。
【0086】
なお、用紙Sが搬送されるに従い、用紙Sの押圧力が作用する領域は、図12(a)に示した領域R1から、領域R2、領域R3を経て、図12(b)に示した領域R4に作用するに至る。即ち、用紙Sが搬送されるに従い、第1マイラ540の剛性は、段階的に小さくなる。よって、マイラ520の撓み量は、段階的に大きくなり、用紙Sも中間転写ベルト21側に段階的に近づく。これにより、用紙Sの後端SEが中間転写ベルト21にソフトランディングしやすくなる。
【0087】
また、上述したように、スリット540Sは、傾斜部543に形成される。つまり、スリット540Sを、傾斜部543に形成することで、剛性が異なる上記領域R1~R4を設定することができる。また、スリット540Sは、第1マイラ540の幅方向の中央には形成されない。中央にスリット540Sを形成した場合は、上記領域R1~R4を設定することができない。
【0088】
第2の実施形態では、1枚のマイラである第1マイラ540を使用してマイラ520を作成する。第1マイラ540は、幅方向中央に向かうほど搬送方向下流側に延びるため、搬送方向下流側に向かうにつれて、第1マイラ540の剛性は小さくなる。そして本実施の形態では、さらに第1マイラ540にスリット540Sを設けるため、搬送方向下流側に向かうにつれて、第1マイラ540の剛性はさらに小さくなる。よって、スリット540Sを設けることで、剛性の変化の範囲をさらに広くしている。これにより、第1の実施形態のように、マイラ520を、用紙搬送方向下流側に向かうにつれて厚みが薄くなる構成とするのと同等の効果が得られる。
【0089】
<変形例>
次に、第2の実施形態についての変形例について説明する。
図13(a)~(c)、および図14(d)および(e)は、第2の実施形態についての変形例を説明するための図である。ここでは、第1マイラ540の形状やスリット540Sの形状を変更した変形例を示している。
【0090】
図13(a)は、スリット540Sの長さを、図10の場合と比較して、短くした場合を示している。この場合、6本のスリット540S1~540S6は、シュート510の搬送方向下流側の端部511の位置P1(図9参照)を起点として形成されるのではなく、位置P1よりも搬送方向下流側の位置を起点として形成される。
スリット540Sを短くした場合、第1マイラ540の撓み量がより小さくなり、可動範囲もより小さくなる。また、第1マイラ540の剛性の変化の幅も小さくなる。よって、スリット540Sの長さを変化させることで、第1マイラ540の剛性や撓み量の調整を行うことができる。
【0091】
図13(b)は、第1マイラ540の形状を、第1の実施形態の第2マイラ550と同様に、台形状とした場合を示している。この場合、端部541は、端部541の幅方向中央部に形成される水平部545と、端部541の幅方向両端部に形成される傾斜部543を有する。そして、スリット540Sは、上述したように、傾斜部543に形成され、水平部545には形成されない。ここでは、スリット540Sとして、4本のスリット540S1~540S4を形成した場合を示している。
【0092】
図13(c)は、第1マイラ540の端部541の形状を円弧状とした場合を示している。この場合の端部541も円弧状の傾斜部543を有すると言うことができる。そして、スリット540Sは、傾斜部543に形成される。ここでは、スリット540Sとして、6本のスリット540S1~540S6を形成した場合を示している。
【0093】
図14(d)は、複数のスリット540Sを放射状になるように形成した場合を示している。この場合、スリット540Sは、シュート510の搬送方向下流側の端部511の位置P1を起点として形成され、端部541に貫通して形成される。しかし、スリット540Sが、形成される方向は、用紙Sの搬送方向に沿っておらず、この搬送方向に斜めに交差する方向となる。ここでは、スリット540Sとして、4本のスリット540S1~540S4を放射状に形成した場合を示している。
【0094】
図14(e)は、スリット540Sが形成される方向を第1マイラ540の幅方向とした場合を示している。ここでは、幅方向に形成された2本のスリット540Sを1組とし、この2本のスリット540Sの中央部を挟み、互いに対向するようにして形成している。即ち、中央部にはスリット540Sは、形成されない。ここでは、6本のスリット540S1~540S6が形成されている。そして、スリット540S1と540S6とが対向する場合を示している。同様に、スリット540S2と540S5とが対向し、スリット540S3と540S4とが対向する。そして、これにより対向するスリット540Sのそれぞれの間にスリット540Sが形成されない中央部が3つ形成される。この中央部の間隔は、それぞれts1、ts2、ts3であり、ts1>ts2>ts3である。これにより、用紙Sが搬送されるに従い、第1マイラ540の剛性は、徐々に小さくなる。
【0095】
さて、上記の説明においては、主ガイド装置500が用紙Sを二次転写装置30に案内することを説明したが、これに限定されない。例えば、定着装置40(図1)に用紙Sを案内する構造として、主ガイド装置500を用いてもよい。
具体的には、第1の実施形態では、主ガイド装置500の第1マイラ530および第2マイラ550によって、用紙Sの先端SLを加熱回転体41側に案内することで、用紙Sにおけるしわの発生が抑制される。また、第2マイラ550によって、用紙Sの後端SEを加圧用回転体42側に案内することで定着ムラの発生を抑制する。
また、第2の実施形態では、主ガイド装置500の第1マイラ540によって、用紙Sの先端SLを加熱回転体41側に案内することで、用紙Sにおけるしわの発生が抑制される。また、第1マイラ540によって、用紙Sの後端SEを加圧用回転体42側に案内することで定着ムラの発生を抑制する。
【0096】
また、詳細な説明は省略するが、図1に示す画像形成装置1とは異なる画像形成方式として、感光体ドラムにトナー像を形成し、感光体ドラムから用紙Sにトナー像が転写される構成において、感光体ドラムに用紙Sを案内する構造として、上記の主ガイド装置500を用いてもよい。
【0097】
なお、上記の説明における用紙Sは記録材の一例である。二次転写装置30は、転写部の一例である。シュート510は、案内部の一例である。マイラ520および第1マイラ540は、板材の一例である。第1マイラ530は、第1層の一例である。第2マイラ550は、第2層の一例である。領域521は厚領域の一例である。領域523は薄領域の一例である。傾斜部553は傾斜部の一例である。中間転写ベルト21は、像保持体および第1回転体の一例である。シュート本体515は、本体の一例である。突出部517は、突出部の一例である。二次転写ロール31は第2回転体の一例である。主ガイド装置500は、記録材案内装置の一例である。
【0098】
なお、上記実施例の形態では、電子写真方式の画像形成装置1を例として説明したが、電子写真方式以外の画像形成装置に、本発明上記実施の形態を適用してもよい。例えば、インクジェット方式の画像形成装置に適用してもよい。具体的には、インク吐出ヘッドを用いて中間転写体上にインク画像を描画し、このインク画像を中間転写体から用紙に転写する方式の画像形成装置に適用してもよい。インクジェット方式の画像形成装置の場合も電子写真方式と同様、用紙による衝撃や風圧が緩和され、中間転写体上のインクが散ったり、動いたりすることが抑制される。
更に、記録材に画像を転写する方式の画像形成装置であれば、その他の方式の画像形成装置に適用してもよい。
【0099】
上記では種々の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態や変形例同士を組み合わせて構成してももちろんよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0100】
1…画像形成装置、21…中間転写ベルト、30…二次転写装置、55…搬送ガイド、500…主ガイド装置、510…シュート、520…マイラ、530、540…第1マイラ、540S…スリット、550…第2マイラ、S…用紙、SL…先端、SE…後端
図1
図2
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