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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】分散型電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240618BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240618BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20240618BHJP
   H02M 7/493 20070101ALI20240618BHJP
【FI】
H02M7/48 R
H02J3/38 110
H02J3/46
H02M7/493
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020044676
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021145538
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 雅夫
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-274842(JP,A)
【文献】特開2010-226843(JP,A)
【文献】国際公開第2013/080878(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02J 3/38
H02J 3/46
H02M 7/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を供給する電力供給装置と、前記電力供給装置から入力された直流電力を交流に変換する複数のパワーコンディショナと、電力供給対象である負荷と商用電力系統とに接続された出力端とを備え、所定の出力電圧によって前記負荷に電力を供給する分散型電源システムであって、
前記商用電力系統との連系運転時には、前記複数のパワーコンディショナが並列接続されて前記負荷に電力が供給され、
前記複数のパワーコンディショナの各々は、単相のインバータを有し、
単相の商用電力系統との連系運転時には、前記複数のパワーコンディショナが並列接続されて同一の単相負荷に電力が供給され、
自立運転時には、前記負荷との接続を遮断するとともに、前記連系運転時とは異なる電気方式の電力を前記負荷とは異なる第二負荷にも供給し、
自立運転時には、前記複数のパワーコンディショナから電力供給し、
自立運転時には、前記単相負荷との接続を遮断するとともに、前記複数のパワーコンディショナの位相の異なる出力を組み合わせることで、三相負荷に三相電圧による電力を供給し、
自立運転時には、前記複数のパワーコンディショナのうち、太陽電池からの直流電力が入力され、且つ非絶縁型であるパワーコンディショナの出力は、三相のうち、GNDを中心に電圧が変化する相に接続され、
GNDを中心に電圧が変化しない相には、絶縁型であるパワーコンディショナまたは、蓄電池からの直流電力が入力されるパワーコンディショナの出力が接続されることを特徴とする、分散型電源システム。
【請求項2】
自立運転時には、太陽電池からの直流電力が入力されるパワーコンディショナからの出力と、蓄電池からの直流電力が入力されるパワーコンディショナからの出力は、三相のうち、異なる相に接続され、
前記太陽電池から入力される電力を前記蓄電池に充電可能としたことを特徴とする、請求項1に記載の分散型電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のインバータを備える分散型電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、分散型電源システムにおけるパワーコンディショナ(例えば、特許文献1を参照)には、単相インバータを有するものがあるが、この場合には、系統との連系時及び、自立運転時の双方の場合において、単相電圧を出力することとなる。一方、三相インバータを有するパワーコンディショナは、系統との連系時及び、自立運転時の双方の場合において、三相電圧を出力することとなる。このように、パワーコンディショナが有するインバータの種類に応じて、系統との連系時と、自立運転時においては、同じ電気方式の電圧による電力を供給することが通例であった。その結果、パワーコンディショナが電力供給する負荷の種類が制限されていた。
【0003】
図6には、従来の分散型電源システム100の概略構成例を示す。図6の例では、例えば、パワーコンディショナ120は、単相電圧を出力する単相インバータ10を有している。蓄電池や太陽電池等の電源供給装置からの直流電力が入力された単相インバータ10の出力は、リレー5a、5bを経由した後、出力端17、18、19において単相の系統1a及び単相の需要家負荷2、3に接続されている。同様に、単相インバータ10の出力は、リレー5c、5dを介して単相の自立運転負荷4に接続されている。
【0004】
そして、系統との連系運転時には、リレー5a、5bを接続してリレー5c、5dを遮断することにより、パワーコンディショナ120から需要家負荷2、3に単相電圧による電力が供給される。一方、自立運転時には、リレー5a、5bを遮断してリレー5c、5dを接続することにより、パワーコンディショナ120から自立運転負荷4に単相電圧による電力が供給される。この場合、例えば三相の自立運転負荷には、電気方式が異なるので電力を供給することはできない。このように、パワーコンディショナ120が有するインバータの電気方式によって、電力を供給できる負荷の種類が制限されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許3656556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、パワーコンディショナが、系統との連系時と自立運転時において異なる電気方式で負荷に電力を供給することを可能とし、パワーコンディショナが電力供給する負荷の自由度を高められる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明は、直流電力を供給する電力供給装置と、前記電力供給装置から入力された直流電力を交流に変換する複数のパワーコンディショナと、電力供給対象である負荷と商用電力系統とに接続された出力端とを備え、所定の出力電圧によって前記負荷に電力を供給する分散型電源システムであって、
前記商用電力系統との連系運転時には、前記複数のパワーコンディショナが並列接続されて前記負荷に電力が供給され、
自立運転時には、前記負荷との接続を遮断するとともに、前記連系運転時とは異なる電
気方式の電力を前記負荷とは異なる第二負荷にも供給することを特徴とする、分散型電源システムである。
【0008】
本発明においては、複数台のパワーコンディショナからの出力電圧の利用の態様を変更することで、出力電圧の電気方式を切り替え可能とし、系統との連系時と自立運転時とで、電気方式の異なる負荷に電力を供給することが可能となる。ここで出力電圧の電気方式とは、三相、単相等の出力電圧の相数を意味する。また、本発明においては、自立運転時には、複数のパワーコンディショナから電力供給するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明においては、前記複数のパワーコンディショナの各々は、単相のインバータを有し、単相の商用電力系統との連系運転時には、前記複数のパワーコンディショナが並列接続されて同一の単相負荷に電力が供給され、自立運転時には、前記単相負荷との接続を遮断するとともに、前記複数のパワーコンディショナの位相の異なる出力を組み合わせることで、三相負荷に三相電圧による電力を供給することとしてもよい。
【0010】
これによれば、単相の商用電力系統との連系運転時には、単相のインバータを有する複数のパワーコンディショナを並列接続することで、単相の電力を付加に供給することが可能である。一方、自立運転時には、複数のパワーコンディショナの位相の異なる出力を組み合わせることで三相電圧を生成することが可能である。このことで、単相のインバータを有する複数のパワーコンディショナを用いて、系統との連系運転時と自立運転時で、単相負荷と三相負荷という異なる電気方式の負荷に電力を供給することが可能である。
【0011】
また、本発明においては、自立運転時には、前記複数のパワーコンディショナのうち、太陽電池からの直流電力が入力され、且つ非絶縁型であるパワーコンディショナの出力は、三相のうち、GNDを中心に電圧が変化する相に接続され、GNDを中心に電圧が変化しない相には、絶縁型であるパワーコンディショナまたは、蓄電池からの直流電力が入力されるパワーコンディショナの出力が接続されるようにしてもよい。
【0012】
ここで、複数のパワーコンディショナの出力を組み合わせて三相電圧を生成する場合、一つの相はGNDを中心に電圧が変化し、残りの二つの相は、GNDを挟んで互いに逆極性の範囲で電圧が変化する場合がある。このような場合に、GNDを中心に電圧が変化しない相に係るパワーコンディショナに太陽電池から電力を供給した場合には、太陽電池の電位がGNDに対して振れ、当該パワーコンディショナが非絶縁式である場合には漏洩電流が発生する虞がある。本発明においては、このような太陽電池における漏洩電流を抑制するために、太陽電池からの直流電力が入力され、且つ非絶縁型であるパワーコンディショナの出力は、三相のうち、GNDを中心に電圧が変化する相に接続することとした。一方、GNDを中心に電圧が変化しない相には、絶縁型であるパワーコンディショナまたは、漏洩電流が発生しない蓄電池からの直流電力が入力されるパワーコンディショナの出力が接続されるようにした。これによれば、分散型電源システムの電力供給装置として太陽電池を用いる場合に、GNDへの漏洩電流が発生することを抑制できる。
【0013】
また、本発明においては、自立運転時には、太陽電池からの直流電力が入力されるパワーコンディショナからの出力と、蓄電池からの直流電力が入力されるパワーコンディショナからの出力は、三相のうち、異なる相に接続され、前記太陽電池から入力される電力を前記蓄電池に充電可能としてもよい。これによれば、単相のインバータを有する複数のパワーコンディショナを用いて、系統との連系運転時と自立運転時で、単相負荷と三相負荷という異なる電気方式の負荷に電力を供給することを可能としつつ、三相のうちいずれかの相に係るパワーコンディショナに太陽電池から供給される直流電力を、他の相に係るパワーコンディショナに接続された蓄電池に充電する処理を行うことができる。
【0014】
なお、本発明における上記の課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することが可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、パワーコンディショナが、系統との連系時と自立運転時において異なる電気方式で負荷に電力を供給することを可能とし、パワーコンディショナが電力供給する負荷の自由度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例における分散型電源システムの概略構成を示す図である。
図2】本発明の実施例における分散電源システムの、自立運転時における出力電圧の状態と、波形を示す図である。
図3】本発明の実施例における分散電源システムの、自立運転時における出力電圧の波形の別例を示す図である。
図4】本発明の実施例における分散型電源システムの変形例の概略構成を示す図である。
図5】本発明の実施例における分散型電源システムの第二の変形例の概略構成を示す図である。
図6】従来の分散型電源システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。本適用例に係る分散電源システム1は、2台の単相のパワーコンディショナ20a、20bが備えられている。それらの内部に設けられた単相インバータ10a、10bの出力は、単相の系統1aと、単相の需要家負荷2、3に接続される。また、三相の自立運転負荷8に接続される。そして、系統1aとの連系運転時においては、単相インバータ10a、10bの単相の出力電圧による電力は、需要家負荷2、3に供給される。一方、自立運転時においては、単相インバータ10a、10bの出力電圧による電力は、自立運転負荷8に供給される。本実施例においては、この自立運転時において、単相インバータ10a、10bの出力電圧に、互いに120度の位相差を設けることで、三相電圧を生成する。その場合は、図2に示すように、本実施例では、単相インバータ10aから一相目の出力電圧V1を出力し、単相インバータ10bから120度遅れた二相目の出力電圧V2を出力する。三相目の出力は、V3=-(V1+V2)の出力電圧を出力することで、V2からさらに120度遅れた出力電圧を生成することができる。
【0018】
図5に示す例は、パワーコンディショナを3台有する例である。この例では、パワーコンディショナ20a、20bに加え、3台目のパワーコンディショナ20cを有する。このパワーコンディショナ20cは、単相インバータ10cを有する。パワーコンディショナ20cは太陽電池用のパワーコンディショナであり、太陽電池7cが発電する直流電力が入力される。そして、単相インバータ10cが出力電圧V3を出力する。
【0019】
この例では、単相インバータ10cの出力は、単相の系統1aと、単相の需要家負荷2、3に接続されている。また、三相の自立運転負荷8にも接続されている。そして、系統1aとの連系運転時には、単相インバータ10a、10b、10cが並列接続され、夫々の単相電圧による電力は、需要家負荷2、3に供給される。また、三相の自立運転負荷8には系統1bから三相電圧による電力が供給される。
【0020】
そして、自立運転時には、単相インバータ10bからは、単相インバータ10aの出力電圧に対して120度遅れた出力電圧が出力される。また、単相インバータ10cからは
、単相インバータ10aの出力電圧に対して240度遅れた出力電圧が出力される。このことで、三相の自立運転負荷8には各単相インバータ10a、10b、10cの出力の組み合わせによる三相電圧による電力が供給される。一方、需要家負荷2、3には、単相インバータ10cの出力に基づく、GNDを中心として変動する単相電圧による電力が供給される。
【0021】
これによれば、太陽電池7cの電位がGNDに対して大きく振れることがないので、太陽電池7cに漏洩電流が発生することを抑制できる。また、単相インバータ10a、10b、10cの各出力が接続されていることから、太陽電池7cにおいて発電された直流電力を単相インバータ10cから、単相インバータ10aまたは10bを経由して蓄電池7aまたは7bに充電する制御を行うことも可能である。
【0022】
<実施例1>
次に、本発明の実施例について、図を参照しつつ詳細に説明する。本実施例における分散電源システム1では、電力供給装置の例である2つの蓄電池7a、7bに夫々接続された2台の単相のパワーコンディショナ20a、20bが備えられている。パワーコンディショナ20a、20bは、夫々、単相インバータ10a、10bを有している。この例では、単相インバータ10a、10bの出力は、リレー5a、5b及びリレー5c、5dを介して単相の系統1aと、単相の需要家負荷2、3に出力端17、18、19において接続されている。また、リレーSW6a、6b、6cを介して第二負荷としての三相の自立運転負荷8に接続されている。そして、リレー5a、5b及びリレー5c、5dが接続されることにより、単相インバータ10a、10bの単相電圧による電力は、需要家負荷2、3に供給される。また、リレーSW6a、6b、6cが、系統側に接続されることで、三相の系統1bからの出力が三相の自立運転負荷8に接続される。一方、リレーSW6a、6b、6cが、パワコン側に接続されることで、単相インバータ10a、10bの出力が三相の自立運転負荷8と接続される。
【0023】
そして、系統との連系運転時においては、リレー5a、5b及びリレー5c、5dが接続されることにより、単相インバータ10a、10bの単相電圧による電力は、需要家負荷2、3に供給される。一方、自立運転時においては、リレーSW6a、6b、6cが、パワコン側に接続されることで、単相インバータ10a、10bの出力電圧による電力は、自立運転負荷8に供給される。本実施例においては、この自立運転時において、単相インバータ10a、10bの出力電圧に、互いに120度の位相差を設けることで、三相電圧を生成する。
【0024】
図2には、その場合の単相インバータ10a、10bからの出力信号を示す。図2(a)は三相電圧の関係図、図2(b)は出力電圧値と同期信号の時間的推移を示す。図2(a)に示すように、本実施例では、単相インバータ10aから一相目の出力電圧V1を出力し、単相インバータ10bから120度遅れた二相目の出力電圧V2を出力する。三相目の出力は、V3=-(V1+V2)の出力電圧を出力することで、V2からさらに120度遅れた出力電圧を生成することができる。
【0025】
図2(b)のグラフ上段には、単相インバータ10a、10bからの出力波形を示す。図2(b)の下段には、単相インバータ10a、10bからの出力波形の位相を制御するための同期信号を示す。この例では単相インバータ10aが出力電圧V1と、同期信号(V1が0となるタイミングでONするパルス信号)を発信する。単相インバータ10bは、この同期信号を検知し、この同期信号に対して120度位相が遅れた出力電圧V2を出力する。これによれば、2台の単相インバータ10a、10bの単相電圧を組み合わせ、同期させることで三相電圧を生成し、自立運転時には三相の自立運転負荷8に電力を供給することが可能である。
【0026】
なお、本実施例において、単相インバータ10a、10bの単相電圧の組み合わせによる三相電圧の振幅を変更する際には、単相インバータ10aから発信される同期信号に、振幅情報を載せるようにしてもよい。図3には、その場合の出力電圧と同期信号の例を示す。図3の上段には、単相インバータ10a、10bからの出力電圧を示す。図3の下段には、単相インバータ10aから出力される同期信号を示す。この例では単相インバータ10aから出力される同期信号(V1が0となるタイミングでONするパルス信号)において、各パルスのONタイミングはV1が0となるタイミングを示す。そして、各パルスの幅は、そのタイミングにおける波形の振幅を示す。単相インバータ10bは、図2に示した例と同様、この同期信号に応じて120度位相が遅れた出力電圧V2を、直近の同期信号における振幅情報に基づいた振幅で出力する。これによれば、簡単な構成で、2台の単相インバータ10a、10bの単相電圧を組み合わせ、同期させることで三相電圧を生成し、振幅を自在に変化させることが可能である。
【0027】
<変形例1>
図4には、本実施例における変形例について示す。図1に示した実施例では、単相インバータ10aから単相インバータ10bに、二相目の出力電圧を生成するための同期信号を送信することとした。それに対し、変形例1においては、単相インバータ10aからの出力電圧を単相インバータ10bに入力し、その値を計測する。単相インバータ10bにおいては、計測値に基づいて、単相インバータ10aからの出力電圧V1に対して位相が120度遅れた出力電圧V2を生成し出力する。このような構成によっても、2台の単相インバータ10a、10bの単相電圧を組み合わせ、同期させることで三相電圧を生成し、自立運転時には三相の自立運転負荷8に電力を供給することが可能である。
【0028】
<変形例2>
図5には、本実施例における変形例2について示す。本変形例においては、パワーコンディショナを3台有する例について説明する。本実施例では、パワーコンディショナ20a、20bに加え、3台目のパワーコンディショナ20cを有する。このパワーコンディショナ20cは、単相インバータ10cを有している。また、パワーコンディショナ20cは太陽電池用のパワーコンディショナであり、太陽電池7cが発電する直流電力が入力される。そして、単相インバータ10cが出力電圧V3を出力する。すなわち、本変形例では3つのパワーコンディショナ20a、20b、20cが有する単相インバータ10a、10b、10cから夫々V1、V2、V3の出力電圧を出力する。V3=-(V2+V3)なる演算によってV3を生成するのではない。
【0029】
この例では、単相インバータ10cの出力は、リレー5e、5fを介して単相の系統1
aと、単相の需要家負荷2、3に接続されている。また、リレーSW6a、6cを介して三相の自立運転負荷8に接続されている。そして、系統1aとの連系運転時には、リレー5a、5b、リレー5c、5d、リレー5e、5fが接続され、リレーSW6a、6b、6cが、系統側に接続される。また、リレーSW9a、9b、9cが、リレー5a、5b、リレー5c、5d、リレー5e、5fを通過した後の各単相インバータ10a、10b、10cの出力側に接続される。このことで、単相インバータ10a、10b、10cが並列接続され、夫々の単相電圧による電力は、需要家負荷2、3に供給される。また、三相の自立運転負荷8には系統1bから三相電圧による電力が供給される。なお、三相負荷・単相負荷は、直接パワーコンディショナに接続する以外にも、トランスを介して接続することが可能であることは、言うまでもない。また、自立運転時の配線は、各パワーコンディショナの接続箇所が、各相に1台ずつの構成で配線を示しているが、多数台のパワーコンディショナが存在する場合は、各相にさらに並列で接続されて、結合された構成とすることも可能である。
【0030】
そして、自立運転時には、リレー5a、5b、リレー5c、5d、リレー5e、5fが遮断され、リレーSW6a、6b、6cが、パワコン側に接続される。また、リレーSW9a、9cが、リレー5a、リレー5c、リレー5e、5fを通過する前の各単相インバータ10a、10b、10cの出力に接続される。また、リレーSW9bは、GNDに接続される。そして、単相インバータ10aから同期信号が単相インバータ10b、10cに送信される。そして、単相インバータ10bからは、単相インバータ10aの出力電圧に対して120度遅れた単相電圧が出力される。また、単相インバータ10cからは、単相インバータ10aの出力電圧に対して240度遅れた単相電圧が出力される。このことで、三相の自立運転負荷8には各単相インバータ10a、10b、10cの単相電圧の組み合わせによる三相電圧による電力が供給される。一方、単相インバータ10cの出力に基づく、GNDを中心として変動する単相電圧による電力が需要家負荷2、3に供給される。
【0031】
ここで、本変形例では前述のように、単相インバータ10cには太陽電池7cからの直流電力が入力される。そして、単相インバータ10cの出力はGNDを中心として変動するように構成されている。これによれば、太陽電池7cの電位がGNDに対して大きく振れることがないので、太陽電池7cに漏洩電流が発生することを抑制できる。また、本変形例では、単相インバータ10a、10bの出力は、GNDを中心に変動するように構成されていない。しかしながら、単相インバータ10a、10bには蓄電池7a、7bからの直流電力が入力されている。よって、漏洩電流の問題は生じない。
【0032】
本変形例では、単相インバータ10a、10b、10cは非絶縁型であることを前提としているが、仮に、単相インバータ10a、10b、10cが絶縁型のインバータである場合には、そもそも太陽電池7cに漏洩電流の問題は生じないので、必ずしも、単相インバータ10cの出力電圧がGNDを中心として変動するように構成する必要はない。
【0033】
なお、本変形例においては、単相インバータ10a、10b、10cの各出力が接続されていることから、太陽電池7cにおいて発電された直流電力を単相インバータ10cから、単相インバータ10aまたは10bを経由して蓄電池7aまたは7bに充電する制御を行ってもよい。これによれば、太陽電池7cによる発電電力をより有効活用することが可能である。
【0034】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
直流電力を供給する電力供給装置(7a、7b、7c)と、前記電力供給装置から入力された直流電力を交流に変換する複数のパワーコンディショナ(20a、20b、20c)と、電力供給対象である負荷(2、3)と商用電力系統(1a)とに接続された出力端(17、18、19)とを備え、所定の出力によって前記負荷に電力を供給する分散型電源システム(1)であって、
前記商用電力系統との連系運転時には、前記複数のパワーコンディショナが並列接続されて前記負荷に電力が供給され、
自立運転時には、前記負荷との接続を遮断するとともに、前記連系運転時とは異なる電気方式の電力を前記負荷とは異なる第二負荷(8)に供給することを特徴とする、分散型電源システム。
【符号の説明】
【0035】
1・・・分散型電源システム
1a・・・単相商用電力系統
1b・・・三相商用電力系統
2、3・・・単相需要家負荷
7a、7b・・・電力供給装置(蓄電池)
7c・・・電力供給装置(太陽電池)
8・・・三相の自立運転負荷
10a、10b、10c・・・単相インバータ
20a、20b、20c・・・パワーコンディショナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6