(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】コンピューターで実行される方法、プログラムおよび介護情報提供装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240618BHJP
【FI】
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2020076604
(22)【出願日】2020-04-23
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河本 望
(72)【発明者】
【氏名】大河内 二郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真和
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-319041(JP,A)
【文献】特開2019-101612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューターで実行される方法であって、
複数の
介護施設の各々から送信されたスタッフの配置情報と、当該
介護施設から在宅復帰した入居者の数に基づく統計データを含むデータベースにアクセスするステップと、
ある
介護施設に配置されているスタッフの数、および、当該
介護施設における入居者の在宅復帰の目標値の入力を受けるステップと、
前記データベースから、前記スタッフの数と同じ数のスタッフが配置された1以上の
介護施設を抽出するステップと、
前記抽出された1以上の
介護施設に入所していた複数の入居者のうち、前記統計データが前記目標値よりも良い結果を表わす
介護施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出するステップと、
前記抽出されたリハビリテーションのメニューを出力するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記統計データは、平均在所日数を含み、
前記入力を受けるステップは、目標とする平均在所日数の入力を受けることを含み、
前記メニューを抽出するステップは、前記抽出された1以上の
介護施設に入所していた複数の入居者のうち、平均在所日数が前記目標とする平均在所日数よりも短い
介護施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
在宅復帰した入居者に対して行われた1以上のリハビリテーションのメニューの各々について、当該入居者の在所日数を関連付けるステップと、
前記1以上のリハビリテーションのメニューの各々について、当該メニューに関連付けられた在所日数の平均値を算出するステップと、
前記平均値を出力するステップとをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記統計データは、在宅復帰率を含み、
前記入力を受けるステップは、目標とする在宅復帰率の入力を受けることを含み、
前記メニューを抽出するステップは、前記抽出された1以上の
介護施設に入所していた複数の入居者のうち、在宅復帰率が前記目標とする在宅復帰率よりも高い
介護施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記データベースは、各
介護施設のスタッフの数に応じて分けられた複数の区分を含み、
各区分において、在所日数の複数の範囲が規定されており、
前記リハビリテーションのメニューを抽出するステップは、前記目標値よりも良い結果の範囲に属する1以上の
介護施設に関連付けられたリハビリテーションのメニューを抽出するステップを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
コンピューターで実行される方法であって、
複数の
介護施設の各々から送信されたスタッフの配置情報と、当該
介護施設から在宅復帰した入居者の数に基づく統計データを含むデータベースにアクセスするステップと、
ある
介護施設に配置されているスタッフの数、および、当該
介護施設における入居者の在宅復帰の目標値の入力を受けるステップと、
前記スタッフの数より多い数のスタッフが配置された1以上の
介護施設のうち、前記統計データが前記目標値よりも良い結果を表わす
介護施設におけるスタッフの構成を抽出するステップと、
前記抽出されたスタッフの構成を出力するステップとを含む、方法。
【請求項7】
前記抽出された1以上の
介護施設に入所していた複数の入居者のうち在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出するステップと、
前記抽出されたリハビリテーションのメニューを出力するステップとをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記統計データは、平均在所日数を含み、
前記入力を受けるステップは、目標とする平均在所日数の入力を受けることを含み、
前記メニューを抽出するステップは、前記抽出された1以上の
介護施設に入所していた複数の入居者のうち、平均在所日数が前記目標とする平均在所日数よりも短い
介護施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
在宅復帰した入居者に対して行われた1以上のリハビリテーションのメニューの各々について、当該入居者の在所日数を関連付けるステップと、
前記1以上のリハビリテーションのメニューの各々について、当該メニューに関連付けられた在所日数の平均値を算出するステップと、
前記平均値を出力するステップとをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記統計データは、在宅復帰率を含み、
前記入力を受けるステップは、目標とする在宅復帰率の入力を受けることを含み、
前記メニューを抽出するステップは、前記抽出された1以上の
介護施設に入所していた複数の入居者のうち、在宅復帰率が前記目標とする在宅復帰率よりも高い
介護施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記データベースは、各
介護施設のスタッフの数に応じて分けられた複数の区分を含み、
各区分において、在所日数の複数の範囲が規定されており、
前記リハビリテーションのメニューを抽出するステップは、前記目標値よりも良い結果の範囲に属する1以上の
介護施設に関連付けられたリハビリテーションのメニューを抽出するステップを含む、請求項7~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれかに記載の方法をコンピューターに実行させる、プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを格納したメモリーと、
前記プログラムを実行するプロセッサーとを備える、介護情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は情報を提供する技術に関し、より特定的には介護サービスの指標を改善し得るための情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
介護施設では、リハビリテーションの機会や介助その他の様々な介護サービスが提供されている。リハビリテーションのメニューに関し、例えば、特開2005-18653号公報(特許文献1)は、「介護施設で介護サービスとして実施するのに最適なリハビリメニューを介護施設側に提示して、被介護者にとっても満足のいく介護サービスを実施できるようにする」技術を開示している。この技術は、「登録された介護施設に関する施設情報やこの介護施設と契約している被介護者に関する被介護者情報が格納された顧客管理データベース3aや、介護サービスとして実施可能な各種リハビリメニューの情報が蓄積されたリハビリメニューデータベース3bを情報処理サーバ2に接続する。情報処理サーバは、施設端末を用いた介護施設側からの要求に応じて、顧客管理データベース3aに格納された施設情報や被介護者情報を適宜参照し、介護施設からの要求に沿ったリハビリメニューをリハビリメニューデータベース3bから検索して介護施設側に提示する。」というものである([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
介護施設への入居希望者が増えている一方、介護職員または専門職員の増員が容易でない。したがって、入居者の在所日数を短くし、在宅復帰率を高める必要性がある。また、限られたスタッフでリハビリテーションの効果を高める必要性がある。
【0005】
本開示は上述のような問題点を解決するためになされたものであって、在所日数の短縮化あるいは在宅復帰率の向上を支援する技術が開示される。他の実施の形態に従うと、限られたスタッフでリハビリテーションの効果が改善される技術が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)ある実施の形態に従うと、コンピューターで実行される方法が提供される。この方法は、複数の施設の各々から送信されたスタッフの配置情報と、当該施設から在宅復帰した入居者の数に基づく統計データを含むデータベースにアクセスするステップと、ある施設に配置されているスタッフの数、および、当該施設における入居者の在宅復帰の目標値の入力を受けるステップと、データベースから、スタッフの数と同じ数のスタッフが配置された1以上の施設を抽出するステップと、抽出された1以上の施設に入所していた複数の入居者のうち、統計データが目標値よりも良い結果を表わす施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出するステップと、抽出されたリハビリテーションのメニューを出力するステップとを含む。
【0007】
(2)ある局面において、統計データは、平均在所日数を含む。入力を受けるステップは、目標とする平均在所日数の入力を受けることを含む。メニューを抽出するステップは、抽出された1以上の施設に入所していた複数の入居者のうち、平均在所日数が目標とする平均在所日数よりも短い施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出することを含む。
【0008】
(3)ある局面において、上記方法は、在宅復帰した入居者に対して行われた1以上のリハビリテーションのメニューの各々について、当該入居者の在所日数を関連付けるステップと、1以上のリハビリテーションのメニューの各々について、当該メニューに関連付けられた在所日数の平均値を算出するステップと、平均値を出力するステップとをさらに含む。
【0009】
(4)ある局面において、統計データは、在宅復帰率を含む。入力を受けるステップは、目標とする在宅復帰率の入力を受けることを含む。メニューを抽出するステップは、抽出された1以上の施設に入所していた複数の入居者のうち、在宅復帰率が目標とする在宅復帰率よりも高い施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出することを含む。
【0010】
(5)ある局面において、データベースは、各施設のスタッフの数に応じて分けられた複数の区分を含む。各区分において、在所日数の複数の範囲が規定されている。リハビリテーションのメニューを抽出するステップは、目標値よりも良い結果の範囲に属する1以上の施設に関連付けられたリハビリテーションのメニューを抽出するステップを含む。
【0011】
(6)他の実施の形態に従う、コンピューターで実行される方法は、複数の施設の各々から送信されたスタッフの配置情報と、当該施設から在宅復帰した入居者の数に基づく統計データを含むデータベースにアクセスするステップと、ある施設に配置されているスタッフの数、および、当該施設における入居者の在宅復帰の目標値の入力を受けるステップと、スタッフの数より多い数のスタッフが配置された1以上の施設のうち、統計データが目標値よりも良い結果を表わす施設におけるスタッフの構成を抽出するステップと、抽出されたスタッフの構成を出力するステップとを含む。
【0012】
(7)ある局面において、上記方法は、抽出された1以上の施設に入所していた複数の入居者のうち在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出するステップと、抽出されたリハビリテーションのメニューを出力するステップとをさらに含む。
【0013】
(8)ある局面において、統計データは、平均在所日数を含む。入力を受けるステップは、目標とする平均在所日数の入力を受けることを含む。メニューを抽出するステップは、抽出された1以上の施設に入所していた複数の入居者のうち、平均在所日数が目標とする平均在所日数よりも短い施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出することを含む。
【0014】
(9)ある局面において、上記方法は、在宅復帰した入居者に対して行われた1以上のリハビリテーションのメニューの各々について、当該入居者の在所日数を関連付けるステップと、1以上のリハビリテーションのメニューの各々について、当該メニューに関連付けられた在所日数の平均値を算出するステップと、平均値を出力するステップとをさらに含む。
【0015】
(10)ある局面において、統計データは、在宅復帰率を含む。入力を受けるステップは、目標とする在宅復帰率の入力を受けることを含む。メニューを抽出するステップは、抽出された1以上の施設に入所していた複数の入居者のうち、在宅復帰率が目標とする在宅復帰率よりも高い施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出することを含む。
【0016】
(11)ある局面において、データベースは、各施設のスタッフの数に応じて分けられた複数の区分を含む。各区分において、在所日数の複数の範囲が規定されている。リハビリテーションのメニューを抽出するステップは、目標値よりも良い結果の範囲に属する1以上の施設に関連付けられたリハビリテーションのメニューを抽出するステップを含む。
【0017】
(12)他の実施の形態に従うと、上記のいずれかに記載の方法をコンピューターに実行させるプログラムが提供される。
【0018】
(13)さらに他の実施の形態に従うと、上記のプログラムを格納したメモリーと、プログラムを実行するプロセッサーとを備える介護情報提供装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
ある実施の形態において、入居者の在所日数を短くし得る情報が提示される。他の実施の形態において、在宅復帰率が高まり得る情報が提示される。さらに他の実施の形態において、限られたスタッフでリハビリテーションの効果が高まり得る情報が提示される。
【0020】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ある実施の形態に従うシステムの概要を表わす図である。
【
図2】ある実施の形態に従う見守りシステム100の構成の一例を示す図である。
【
図3】ケアサポートシステム20の各構成の概要を示すブロック図である。
【
図4】センサーボックス119を用いた見守りシステム100の概略を示す図である。
【
図5】コンピューターシステム400のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【
図6】クラウドサーバー150が備えるハードディスク5における在宅復帰率に関するデータの格納の一態様を表わす図である。
【
図7】管理サーバー200に接続されたモニター8に表示される画面の一例を表わす図である。
【
図8】ある施設における在所日数の分布を表わす図である。
【
図9】クラウドサーバー150から受信したデータに基づいて管理サーバー200のモニターに表示される画面の一態様を表わす図である。
【
図10】クラウドサーバー150のCPU1が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図11】ある実施の形態に従う管理サーバー200が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図12】施設毎に各入居者に対して行なわれたリハビリテーションの内容を表わす図である。
【
図13】クラウドサーバー150が備えるハードディスク5における平均在所日数に関するデータの格納の一態様を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0023】
[システムの概要]
図1を参照して、実施の形態で例示される技術思想の概要について説明する。
図1は、ある実施の形態に従うシステムの概要を表わす図である。ある局面に従うシステムは、1つ以上のケアサポートシステム(CSS)20-1,20-2・・・20-N(総称するときは「ケアサポートシステム20」と表わす)と、クラウドサーバー150とを備える。CSS20は、情報管理システムとして、例えば各介護施設(介護老人保健施設)にそれぞれ設けられる。クラウドサーバー150は、CPU1と、ハードディスク5とを備える。クラウドサーバー150は、例えば、介護サービスの情報を提供する事業者によって運営される。CSS20と、クラウドサーバー150とは、インターネットを介して通信可能である。
【0024】
CPU1は、ハードディスク5に格納されているデータを用いて各指標を算出する。当該指標は、在宅復帰率51と、在所日数の分布
図52と、リハビリテーションのメニュー別の平均在所日数53と、スタッフ配置数の提案54と、コスト・プロフィット分析結果55とを含む。
【0025】
例えば、CPU1は、在宅復帰率51を、以下の式で算出する。
【0026】
在宅復帰率51=退所先が「自宅等」である退所者数/当該介護施設からの退所者数
他の局面において、第2の在宅復帰率として、CPU1は、以下のようにして算出し得る。
【0027】
第2の在宅復帰率=在宅で介護を受けることになった人数/6ヶ月間の生存退所者数
CPU1は、在所日数の分布
図52として、各ケアサポートシステムから送られてきたデータのうち、入所から退所までの日数を各退所者について算出し、所定の範囲(例えば、180日未満、180日以上240日未満等)毎に集計する。
【0028】
他の局面において、CPU1は、退所済みの元入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニュー毎に、在所日数を集計する。さらに、CPU1は、当該集計値の算術平均値または中央値を算出して、平均在所日数53を導出する。
【0029】
他の局面において、CPU1は、在宅復帰率51の向上または平均在所日数53の短縮を希望する施設の運営者に専門職員の配置の参考情報を提示する。専門職員は、例えば、理学療法士、作業療法士の数および言語聴覚士を含む。より具体的には、CPU1は、各ケアサポートシステムから受信したスタッフの配置情報と、当該ケアサポートシステムが使用されている施設における在宅復帰率51または平均在所日数53とに基づいて、当該施設の運営者に対して、在宅復帰率51または平均在所日数53が同程度の施設におけるスタッフの配置情報を提示する。提示される配置情報は、各スタッフの内訳である。
【0030】
さらに他の局面において、CPU1は、コスト・プロフィット分析結果55を出力する。例えば、ある施設において介護職員が増えると人件費が増えることになるため、当該施設の運営者その他の経営者は、スタッフの増員を躊躇する恐れがある。しかし、介護職員を増やしたことで、各入居者に対して行なわれるリハビリテーションの機会が増えると、入居者の在所日数が短くなり、また、在宅復帰率が高くなる可能性がある。その結果、当該施設における平均在所日数53または在宅復帰率51が改善することで、当該施設に対する介護報酬の増加が期待される。そこで、CPU1は、スタッフの増加による人件費の増大分と、期待される介護報酬の増加分とを提示することで、運営者による意思決定の情報を提供する。ここで、スタッフの人件費は、当該施設において規定されている人件費、予め定められた標準的な人件費のいずれであっても良い。介護報酬については、関係当局において別途定められた数値が使用され得る。
【0031】
ハードディスク5は、データベース30を含む。データベース30は、1つ以上の施設の情報を保持している。ある局面において、データベース30は、施設ID(Identification)と、入居者固有テーブル300と、介護職員数38と、理学療法士数39と、作業療法士数40と、言語聴覚士数41とを含む。入居者固有テーブル300は、年齢32と、認知機能33と、病歴34と、希望・モチベーション35と、リハビリテーションの内容、時間、回数36と、リハビリテーションの担当者・担当チーム37とを含む。
【0032】
<システムの概要>
図2を参照して、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)に関する情報を取得可能な見守りシステム100について説明する。
図2は、ある実施の形態に従う見守りシステム100の構成の一例を示す図である。見守り対象の一例は、施設180の居室領域に設けられた各居室内の入居者である。
図2の見守りシステム100では、居室領域に、居室110,120が設けられている。居室110は、入居者111に割り当てられている。居室120は、入居者121に割り当てられている。
【0033】
見守りシステム100は、ゲートウェイサーバー130と、交換装置135と、アクセスポイント140と、管理サーバー200と、センサーボックス119と、センサーボックス119と通信する各種機器と、携帯端末161,162,163,164とを含む。
【0034】
ゲートウェイサーバー130は、施設180の内部ネットワーク(イントラネット)と、施設180の外部ネットワーク16とを互いに接続する。外部ネットワーク16は、たとえば、インターネットや公衆電話回線網である。また、外部ネットワーク16には、クラウドサーバー150と、プッシュサーバー160と、無線基地局195とが接続されている。
【0035】
交換装置135は、施設180の内部ネットワークの各機器を互いに接続する。ある局面において、ルーターやスイッチが交換装置135として使用されてもよい。
図2に示される例では、交換装置135の数は2であるが、当該数はこれに限定されない。施設180の内部ネットワークは、複数の交換装置135の組み合わせによって構成されてもよい。
【0036】
アクセスポイント140は、携帯端末161,162を施設180の内部ネットワークに接続するために使用される。ある局面において、Wi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)ルーターが、アクセスポイント140として使用され得る。
【0037】
管理サーバー200は、施設180の中のセンサーボックス119からイベント情報を受信し、各居室の入居者の情報を管理する。また、管理サーバー200は、携帯端末161,162とも通信し、当該携帯端末を保持するスタッフを管理すると共に、各携帯端末に各種の通知を送信する。なお、管理サーバー200は、携帯端末161,162に通知を送信する場合、外部のプッシュサーバー160を使用してもよい。また、外部のクラウドサーバー150が、管理サーバー200の一部または全ての機能を備えていてもよい。
【0038】
センサーボックス119は、その筐体に内蔵されたカメラおよびセンサーと、居室110,120内の他の各種センサーと連携することにより、居室110,120内の入居者111,121に関する情報をそれぞれ取得する。当該情報は、各入居者の歩行を示す画像、体温や脈拍その他のバイタル情報等を含み得る。また、センサーボックス119は、内部ネットワークを介して、管理サーバー200に、取得した入居者111,121に関する情報を送信する。センサーボックス119の詳細は後述する。
【0039】
携帯端末161,162は、施設180で介護に従事する介護者その他のスタッフにより使用される。スタッフは、携帯端末161,162を用いて、介護記録等を入力できる。携帯端末161,162は、当該介護記録を管理サーバー200に送信する。また、入居者111,121に問題が発生した場合には、スタッフは、携帯端末161,162を用いて、管理サーバー200から通知を受信する。携帯端末161,162は、施設180の中ではアクセスポイント140と接続され、内部ネットワークを介して管理サーバー200と通信する。本明細書の例では、介護者141,142,143,144がそれぞれ携帯端末161,162,163,164を保持している。
【0040】
携帯端末163,164は、施設180の外からは、無線基地局195等を介して、ゲートウェイサーバー130を経由して管理サーバー200と通信することができる。携帯端末163,164が施設180の外から管理サーバー200と通信する場合、管理サーバー200から携帯端末163,164に提供されるサービスの一部は、入居者の情報を保護するために制限される場合がある。
【0041】
なお、携帯端末161,162、アクセスポイント140、交換装置135等の他の装置の数は、
図2に例示される数に限定されない。
【0042】
居室110,120は、それぞれ、設備として、家具112、ベッド113、および、トイレ114を含む。居室110,120のドアには、当該ドアの開閉を検出するドアセンサー118がそれぞれ設置されている。トイレ114のドアには、トイレ114の開閉を検出するトイレセンサー116が設置されている。ベッド113には、入居者111の排泄情報を取得する臭いセンサー117が設置されている。入居者111は、当該入居者111のバイタル情報を検出するバイタルセンサー290を装着している。検出されるバイタル情報の一例は、入居者の体温である。他の例は、入居者の呼吸である。さらに他の例は、入居者の心拍数である。さらに他の例は、これらの情報の中の2以上の種類の情報である。居室110では、入居者111はケアコール子機115を操作することができる。入居者111がケアコール子機115を操作すると、ケアコール子機115は、呼び出し信号を発信し、呼び出し信号は、センサーボックス119により受信される。センサーボックス119は、その受信した呼び出し信号を管理サーバー200に送信する。管理サーバー200は、入居者111から呼び出しを受けていることを通知する信号を携帯端末220に送信する。
【0043】
センサーボックス119は、居室110,120内の物体の挙動を検出するためのセンサーを内蔵する。センサーの一例は、物体の動作を検出するためのドップラーセンサーである。他の例は、カメラである。さらに他の例は、ケアコール子機115、ドアセンサー118、トイレセンサー116、臭いセンサー117、または、バイタルセンサー290である。センサーボックス119は、センサーとして、これらのセンサー中の少なくとも一つを含み得る。
【0044】
図3を参照して、見守りシステム100とも呼ばれるケアサポートシステム20の構成要素について説明する。
図3は、ケアサポートシステム20の各構成の概要を示すブロック図である。
【0045】
[センサーボックス119]
センサーボックス119は、制御装置101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、カメラ105と、ドップラーセンサー106と、無線通信装置107と、記憶装置108とを備える。
【0046】
制御装置101は、センサーボックス119を制御する。制御装置101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)その他のプロセッサー、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらの組み合わせなどによって構成される。
【0047】
通信インターフェイス104には、アンテナ(図示しない)などが接続される。センサーボックス119は、当該アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、管理サーバー200、携帯端末161,162,163,164その他の端末、アクセスポイント140、クラウドサーバー150、その他の通信端末などを含む。
【0048】
カメラ105は、一実現例では、近赤外カメラである。近赤外カメラは、近赤外光を投光するIR(Infrared)投光器を含む。近赤外カメラが用いられることにより、夜間でも居室110,120の内部を表わす画像が撮影され得る。他の実現例では、カメラ105は、可視光のみを受光する監視カメラである。さらに他の実現例では、カメラ105として、3Dセンサやサーモグラフィーカメラが用いられてもよい。センサーボックス119およびカメラ105は、一体として構成されてもよいし、個別の装置の組み合わせとして構成されてもよい。
【0049】
ドップラーセンサー106は、体動センサーとして機能する。ドップラーセンサー106は、マイクロ波、超音波その他の電波を発信及び受信して、居室110,120内の物体(例えば入居者111や介護職員等)の挙動(動作)を検出する。これにより、居室110,120の入居者111,121の生体情報が検出され得る。
【0050】
より具体的には、ドップラーセンサー106は、制御装置101に接続され、制御装置101の制御に従って、入居者111の呼吸に伴う胸部の体表の動きを測定する。ドップラーセンサー106は、マイクロ波や超音波を送信し(以下「送信波」ともいう。)、物体で反射されたマイクロ波や超音波(すなわち「反射波」)を受信し、送信波と反射波とに基づいて、ドップラー周波数成分のドップラー信号を出力する。物体が動いている場合、反射波の周波数が所謂ドップラー効果により当該物体の動いている速度に比例してシフトする。そのため、送信波の周波数と反射波の周波数とに差(ドップラー周波数成分)が生じる。ドップラーセンサー106は、このドップラー周波数成分の信号をドップラー信号として所定のサンプリングレートで生成し、制御装置101に当該ドップラー信号を出力する。制御装置101は、ドップラーセンサー106からドップラー信号を受信すると、この受信したドップラー信号を時系列に記憶装置108に格納する。なお、マイクロ波が送信波として使用されると、当該マイクロ波は、着衣を透過して入居者111の体表で反射する。そのため、入居者111が衣服を着ていても体表の動きを検知できる。
【0051】
一例では、各ドップラーセンサー106は、24GHz帯のマイクロ波を各居室110,120のベッド113に向けて放射し、入居者111,121等で反射した反射波を受信する。反射波は、入居者111,121の動作により、ドップラーシフトしている。ドップラーセンサー106は、当該反射波から、入居者111,121の呼吸状態や心拍数を検出し得る。
【0052】
無線通信装置107は、ケアコール子機115、ドアセンサー118、トイレセンサー116、臭いセンサー117、および、バイタルセンサー290からの信号を受信し、当該信号を制御装置101へ送信する。ケアコール子機115は、ケアコールボタン241を備える。ケアコールボタン241が操作されると、ケアコール子機115は、当該操作があったことを示す信号(例えば呼び出し信号)を発信する。発信された信号は、無線通信装置107によって受信される。ドアセンサー118、トイレセンサー116、臭いセンサー117、および、バイタルセンサー290は、それぞれの検出結果を送信すると、送信された信号は、無線通信装置107によって受信される。
【0053】
記憶装置108は、たとえば、フラッシュメモリーまたはハードディスク等の固定記憶装置、あるいは、外付けの記憶装置などの記録媒体である。記憶装置108は、制御装置101によって実行されるプログラム、および、当該プログラムの実行に利用される各種のデータを格納する。各種のデータは、入居者111,121の行動情報を含んでいてもよい。行動情報の詳細は後述する。
【0054】
上記のプログラムおよびデータのうち少なくとも一方は、制御装置101がアクセス可能な記憶装置であれば、記憶装置108以外の記憶装置(たとえば、制御装置101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリーなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、管理サーバー200や携帯端末161,162,163,164等)に格納されていてもよい。
【0055】
[行動情報]
次に、本実施の形態における行動情報について、説明する。行動情報は、たとえば入居者111,121が所定の行動を実行したことを表わす情報である。一例では、所定の行動は、入居者111,121が起きたことを表わす「起床」、入居者111,121がベッド(寝具)113から離れたことを表わす「離床」、入居者111,121がベッド(寝具)113から落ちたことを表わす「転落」、および、入居者111,121が倒れたことを表わす「転倒」の4つの行動を含む。
【0056】
さらに、行動情報は、入居者が介護を受けることを拒否するために行なう動作を含み得る。例えば、行動情報は、手で介護者を振り払う動作、脚で介護者を蹴ろうとする動作、ベッド113にしがみついて着替えを拒否する動作等を含み得る。
【0057】
ある実施の形態では、制御装置101が、各居室110,120に設置されたカメラ105が撮像した画像に基づいて、各居室110,120に関連付けられた入居者111,121の各行動情報を生成する。制御装置101は、たとえば、上記画像から入居者111,121の頭部を検出し、この検出した入居者111,121の頭部における大きさの時間変化に基づいて、入居者111,121の「起床」、「離床」、「転倒」および「転落」の通常の情報に加えて、「介護拒否」という情報を検出する。以下、行動情報の生成の一具体例を、より詳細に説明する。
【0058】
まず、記憶装置108に、居室110,120における各ベッド113の所在領域、第1閾値Th1、第2閾値Th2、および、第3閾値Th3が格納される。第1閾値Th1は、ベッド113の所在領域内において、横臥姿勢にあるときと座位姿勢にあるときとの間で入居者の頭部の大きさを識別する。第2閾値Th2は、ベッド113の所在領域を除く居室110,120内において、入居者の頭部の大きさに基づいて、当該入居者が立位姿勢にあるか否かを識別する。第3閾値Th3は、ベッド113の所在領域を除く居室110,120内において、入居者の頭部の大きさに基づいて、当該入居者が横臥姿勢にあるか否かを識別する。
【0059】
制御装置101は、対象画像から、例えば背景差分法やフレーム差分法によって、入居者111,121の人物の領域として、動体領域を抽出する。制御装置101は、さらに、当該抽出した動体領域から、例えば円形や楕円形のハフ変換によって、予め用意された頭部のモデルを用いたパターンマッチングによって、頭部検出用に学習したニューラルネットワークによって導出された閾値を用いて、入居者111,121の頭部領域を抽出する。制御装置101は、当該抽出された頭部の位置および大きさから、「起床」、「離床」、「転倒」および「転落」を検知する。
【0060】
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド113の所在領域内にあり、かつ、上記のように抽出された頭部の大きさが第1閾値Th1を用いることによって横臥姿勢の大きさから座位姿勢の大きさへと変化したことを検出した場合に、行動「起床」が発生したことを決定してもよい。
【0061】
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド113の所在領域内からベッド113の所在領域外へ移動した場合において、上記のように抽出された頭部の大きさに対して第2閾値Th2を適用することにより、頭部がある大きさから立位姿勢の大きさへと変化したことを検出したときには、行動「離床」が発生したと判定してもよい。
【0062】
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド113の所在領域内からベッド113の所在領域外へ移動した場合において、上記のように抽出された頭部の大きさに対して第3閾値Th3を適用することにより、頭部がある大きさから横臥姿勢の大きさへと変化したことを検出したときには、行動「転落」が発生したと判定してもよい。
【0063】
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド113の所在領域を除く居室110,120内に位置し、かつ、抽出された頭部の大きさが第3閾値Th3を用いることによって或る大きさから横臥姿勢の大きさへと変化したことを検出した場合には、行動「転倒」が発生したと決定してもよい。
【0064】
さらに、制御装置101は、画像データから入居者に加えて介護者を検出し、入居者と介護者との間隔を推定する。制御装置は、当該間隔が予め定められた通常の間隔よりも短いと推定すると、介護拒否行動が行なわれていると判断し得る。さらに、制御装置101は、入居者の動作が通常と違う動きを示していると判断すると、当該入居者は介護者に対して、介護拒否行動を示していると判断し得る。
【0065】
以上のようにして、一具体例では、センサーボックス119の制御装置101が、入居者111,121の各行動情報を生成する。なお、他の局面に従う見守りシステム100では、居室110,120内の画像を用いて、制御装置101以外の他の要素(例えば、クラウドサーバー150)が入居者111,121の行動情報を生成してもよい。
【0066】
[携帯端末220]
携帯端末220は、制御装置221と、ROM222と、RAM223と、通信インターフェイス224と、ディスプレイ226と、記憶装置228と、入力デバイス229とを含む。ある局面において、携帯端末161,162,163,164は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、腕時計型端末その他のウェアラブル装置等として実現される。
【0067】
制御装置221は、携帯端末161,162,163,164を制御する。制御装置221は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0068】
通信インターフェイス224には、アンテナ(図示しない)などが接続される。携帯端末161,162,163,164は、当該アンテナおよびアクセスポイント140を介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、センサーボックス119、管理サーバー200などを含む。
【0069】
ディスプレイ226は、たとえば、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、液晶ディスプレイ等によって実現される。入力デバイス229は、たとえばディスプレイ226に設けられたタッチセンサーによって実現される。当該タッチセンサーは、携帯端末161,162,163,164に対するタッチ操作を受け付け、当該タッチ操作に応じた信号を制御装置221へ出力する。
【0070】
記憶装置228は、たとえば、フラッシュメモリー、ハードディスクその他の固定記憶装置、あるいは、着脱可能なデータ記録媒体等により実現される。
【0071】
[見守りの概要]
図4を参照して、見守りシステム100を用いた見守りについて説明する。
図4は、センサーボックス119を用いた見守りシステム100の概略を示す図である。
【0072】
見守りシステム100は、見守り対象者(監視対象者)である入居者111,121その他の入居者を見守るために利用される。居室110の天井には、センサーボックス119が取り付けられている。他の居室にも同様にセンサーボックス119が取り付けられている。
【0073】
範囲31は、センサーボックス119による検出範囲を表わす。センサーボックス119が前述のドップラーセンサーを有する場合、当該ドップラーセンサーは、範囲31内で生じた人の挙動を検出する。センサーボックス119がセンサーとしてカメラを有する場合、当該カメラは、範囲31内の画像を撮影する。
【0074】
センサーボックス119は、たとえば、介護施設、医療施設、宅内などに設置される。
図4の例では、センサーボックス119は、天井に取り付けられており、入居者111およびベッド113を天井から撮影している。センサーボックス119の取り付け場所は天井に限られず、居室110の側壁に取り付けられてもよい。
【0075】
見守りシステム100は、カメラ105から得られた一連の画像(すなわち、映像)に基づいて入居者111に生じている危険を検知する。一例として、検知可能な危険は、入居者111の転倒や、危険個所(たとえば、ベッドの柵など)に入居者111がいる状態などを含む。
【0076】
見守りシステム100は、入居者111に危険が生じていることを検知した場合に、そことを介護者141,142等に報知する。報知方法の一例として、見守りシステム100は、入居者111の危険を介護者141,142の携帯端末161,162に通知する。携帯端末161,162は、当該通知を受信すると、入居者111の危険をメッセージ、音声、振動等で介護者141,142に報知する。これにより、介護者141,142は、入居者111に危険が生じていることを即座に把握でき、入居者111の元に素早く駆け付けることができる。
【0077】
さらに、見守りシステム100は、無線基地局195を介して、施設の外部にいる介護者143,144の携帯端末163,164にも、当該危険を通知し得る。
【0078】
なお、
図4には、見守りシステム100が1つのセンサーボックス119を備えている例が示されているが、他の局面において、見守りシステム100は、複数のセンサーボックス119を備えてもよい。また、
図4には、見守りシステム100が複数の携帯端末161,162を備えている例が示されているが、他の局面において、見守りシステム100は、一つの携帯端末でも実現され得る。
【0079】
[コンピューターシステムの構成]
図5を参照して、情報処理装置の一態様であるコンピューターシステム400の構成について説明する。
図5は、コンピューターシステム400のハードウェア構成を表わすブロック図である。コンピューターシステム400は、ゲートウェイサーバー130、クラウドサーバー150、プッシュサーバー160、または管理サーバー200として機能する。
【0080】
コンピューターシステム400は、主たる構成要素として、プログラムを実行するCPU1と、コンピューターシステム400の使用者による指示の入力を受けるマウス2およびキーボード3と、CPU1によるプログラムの実行により生成されたデータ、又はマウス2若しくはキーボード3を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM4と、データを不揮発的に格納するハードディスク5と、光ディスク駆動装置6と、通信インターフェイス(I/F)7と、モニター8とを含む。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。光ディスク駆動装置6には、CD-ROM9その他の光ディスクが装着される。
【0081】
コンピューターシステム400における処理は、各ハードウェアおよびCPU1により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスク5に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、CD-ROM9その他の記録媒体に格納されて、コンピュータープログラムとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なアプリケーションプログラムとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、光ディスク駆動装置6その他の読取装置によりその記録媒体から読み取られて、あるいは、通信インターフェイス7を介してダウンロードされた後、ハードディスク5に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU1によってハードディスク5から読み出され、RAM4に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU1は、そのプログラムを実行する。
【0082】
図5に示されるコンピューターシステム400を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本開示に係る技術思想の本質的な部分の一つは、RAM4、ハードディスク5、CD-ROM9その他の記録媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。記録媒体は、一時的でない、コンピューター読取可能なデータ記録媒体を含み得る。なお、コンピューターシステム400の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0083】
なお、記録媒体としては、CD-ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、IC(Integrated Circuit)カード(メモリーカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリー等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。
【0084】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0085】
[データ構造]
図6を参照して、ある実施の形態に従うクラウドサーバー150のデータ構造について説明する。
図6は、クラウドサーバー150が備えるハードディスク5における在宅復帰率に関するデータの格納の一態様を表わす図である。ハードディスク5は、データベースとして、テーブル610,620を保持している。ある局面において、テーブル610,620のデータは、見守りシステム100として機能するCSS20から定期的に受信するデータに基づいて導出される。他の局面において、テーブル610,620のデータは、介護施設における実態を管轄する当局から配信されてもよい。
【0086】
テーブル610は、介護老人保健施設(以下、単に「施設」ともいう)における在宅復帰率をリハビリテーションの専門職員数別に表している。ある実施の形態において、専門職員数は、理学療法士、作業療法士および言語聴覚士の合計である。一例として、専門職員の数が2人以下の施設の場合(施設数=272)、41.2%の施設について、その在宅復帰率が10%以下であり、在宅復帰率が50%超となるのは、9.2%の施設であることが読み取れる。他方、専門職員の数が5人を超える施設の場合(施設数=289)、37.4%の施設の在宅復帰率が50%超となり、逆に、在宅復帰率が10%以下となるのは、10.0%の施設となる。テーブル610から明らかなように、リハビリテーションの専門職員数が多いほど、在宅復帰率が高くなる可能性が読み取れる。
【0087】
ある局面において、クラウドサーバー150は、上記のデータに加えて、各人数毎の在宅復帰率の各々に関連付けられた施設情報を保持している。例えば、専門職員の数が5人を超える施設について、在宅復帰率が50%を超える施設の割合は37.4%であることから、当該施設の数は、108(=289×0.374)となる。したがって、108の施設それぞれについて、全ての入居者情報およびスタッフの配置(各専門職員の人数)が関連付けられている。
【0088】
より具体的には、各施設について、個人情報を保護するために、名前ではなく、入居者番号が識別情報として使用される。各入居者番号には、年令、性別、認知機能、病歴、希望・モチベーション、ADL状態、リハビリテーションの内容・時間と回数、および、リハビリテーションの担当者またはチームが関連付けられている。また、各施設の情報は、スタッフの配置情報として、介護職員の数、理学療法士の数、作業療法士の数および言語聴覚士の数を含む。これらの情報が、在宅復帰率の分布を構成する各施設毎、および、当該施設における入居者毎に関連付けられている。これらの情報の詳細は、
図7を参照して説明する。
【0089】
テーブル620は、介護老人保健施設における在宅復帰率を支援相談員数別に表している。例えば、支援相談員の数が1人以下の施設の場合(施設数=277)、35.0%の施設について、その在宅復帰率が10%以下であり、在宅復帰率が50%超となるのは、16.2%の施設であることが読み取れる。他方、支援相談員の数が4人を超える施設の場合(施設数=57)、38.6%の施設の在宅復帰率が50%超となり、逆に、在宅復帰率が10%以下となるのは、15.8%の施設となる。テーブル620からは、支援相談員の数が多いほど、在宅復帰率が高くなる可能性が読み取れる。
【0090】
ある局面において、クラウドサーバー150は、あるCSS20に設けられている管理サーバー200から、指定された専門職員数の分布における在宅復帰率の指定を受けると、その在宅復帰率を構成する上記の施設情報を管理サーバー200に送信する。例えば、管理サーバー200において、在宅復帰率として「50%超」が指定された場合、クラウドサーバー150は、在宅復帰率が「50%超」である施設それぞれについて、施設情報を管理サーバー200に送信する。
【0091】
管理サーバー200は、クラウドサーバー150から施設情報を受信すると、在宅復帰率が50%超である施設における専門職員の配置情報を当該施設情報から抽出する。さらに、管理サーバー200は、50%超の在宅復帰率を達成している施設における専門職員の配置をモニター8に表示する。モニター8に表示される専門職員の配置は、目的が達せられる可能性に関連しているといえる。
【0092】
一例として、ある施設(CSS20)の専門職員の数が4名の場合において当該施設の在宅復帰率が40%超かつ50%以下である例を説明する。例えば、当該施設の運営者が管理サーバー200に対して、希望する在宅復帰率として「50%超」を入力し、さらに、専門職員数を維持(=増員しない)と入力すると、クラウドサーバー150は、その入力に応答して、在宅復帰率が40%超かつ50%以下のデータベースから、在宅復帰率が50%超である19.7%(すなわち82カ所)の施設の情報を管理サーバー200に送信する。例えば、クラウドサーバー150は、82カ所の施設において各入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを、管理サーバー200に送信する。管理サーバー200のモニター8が各リハビリテーションの内容(メニュー)を、当該内容のリハビリテーションを受けた入居者数の多い順に表示する。運営者は、当該施設で行なわれているリハビリテーションのメニューと、表示されたリハビリテーションのメニューとの相違を認識することにより、専門職員の数を維持した状態で、在宅復帰率が向上し得るリハビリテーションのメニューを知ることができる。
【0093】
他の局面において、管理サーバー200は、あるCSS20の専門職員の数と、その運営者が希望する在宅復帰率との入力に応答して、最適な専門職員の数を提示することができる。例えば、ある施設の運営者が専門職員数を増やすことを考えている場合、現時点で当該施設に配置されている専門職員の職種毎の人員あるいは合計の人数と、希望する在宅復帰率とを管理サーバー200に入力する。管理サーバー200は、その人数と在宅復帰率とをクラウドサーバー150に送信する。クラウドサーバー150は、当該人数および在宅復帰率を管理サーバーから受信すると、該当するデータベースを抽出し、抽出した結果を管理サーバー200に送信する。
【0094】
一例として、ある施設の専門職員の数が4名であり在宅復帰率が45%である場合において、その運営者が希望する在宅復帰率が50%である例を説明する。運営者がこのような情報を管理サーバー200に入力すると、これらの情報はクラウドサーバー150に送られる。クラウドサーバー150は、その情報に対応するデータ群を特定し、特定したデータ群を構成する各データレコードを抽出する。テーブル610の例では、当該運営者の施設は、「3人以上4人以下」のカテゴリーに属し、在宅復帰率(45%)の点で、13.5%の分布に属することになる。そこで、クラウドサーバー150は、専門職員の数が一人多いデータ群として、「4人超5人以下」のデータ群を特定する。さらに、在宅復帰率が50%超である33.9%の施設83カ所(=245×0.339)について、核施設における専門職員数の配置(例えば、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士または支援相談員の数)を管理サーバー200に送信する。管理サーバー200がクラウドサーバー150から受信したデータをモニター8に表示すると、運営者は、専門職員の数を一人増員する際に、どのように増員することで、在宅復帰率を向上させることができるかを知ることができる。
【0095】
図7を参照して、モニター8に表示される画面について説明する。
図7は、管理サーバー200に接続されたモニター8に表示される画面の一例を表わす図である。モニター8は、入居者属性710と、施設情報740とを表示する。
【0096】
入居者属性710は、領域720,730を含む。入居者属性710は、当該施設に入居している全ての入居者についての情報を含む。領域720は、年令、性別、認知機能、病歴、希望・モチベーション、ADL状態、リハビリ内容・時間と回数、リハビリ担当者またはチーム等の当該入居者に固有な又は関連付けられた情報項目を含む。領域730は、当該情報項目に応じた情報を表示する。
【0097】
例えば、「認知機能」の欄は、認知機能の障害の有無、障害が有る場合にはその具体的な内容あるいはその内容を示す番号を表示する。「病歴」の欄は、当該入居者の過去の又は現在の疾病の内容、治療歴などを表示する。「希望・モチベーション」は、当該入居者の希望またはモチベーションを表示する。入居者の希望またはモチベーションの一例は、自由に歩行ができるようになること、自宅に帰ること、等であるが、その他の希望やモチベーションであってもよい。希望・モチベーションは、入所時に、あるいは、その後の観察時に適宜入力される。
【0098】
「ADL状態」の欄は、例えば、基本的日常生活動作(BADL:Basic Activities of Daily Living)の状態を記述した情報を含む。ADLは、例えば、起居動作、移乗、移動、食事、更衣、排泄、入浴および整容等の動作を含み得る。したがって、ADL状態は、当該動作がどの程度できるか、あるいは、当該動作のためにどの程度の介護を必要とするか等の情報を含む。
【0099】
「リハビリ内容・時間と回数」の欄は、当該入居者が受けたリハビリテーションの内容と、当該リハビリテーションが行なわれた時間と、所定期間(例えば1ヶ月)に当該入居者が受けたリハビリテーションの回数とを表示する。
【0100】
「リハビリ担当者またはチーム」は、当該入居者に対してリハビリテーションを行なった担当者(例えば、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、その他介護職員等)または担当チームの情報(チームメンバー等)を表示する。
【0101】
施設情報740は、スタッフ配置を含む。より具体的には、スタッフ配置は、各種のスタッフの内訳と数とを含む。スタッフの種類は、介護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士または支援相談員等を含む。各スタッフの数は、施設の入所者100名に対する人数である。
【0102】
ある局面において、
図7に示されるデータは、管理サーバー200がクラウドサーバー150から受信したデータに基づいて表示される。例えば、管理サーバー200のユーザー(施設の運営者等)は、在宅復帰率が向上した施設の情報を知りたい場合、その施設の識別情報(施設ID)を入力すると、当該施設におけるスタッフ配置の情報が施設情報740として表示される。さらに、当該施設に入居している入居者の情報が入居者属性710として、例えば入居者IDの昇順または降順に表示される。ある施設の運営者は、管理サーバー200に表示されるこのようなデータを参照することで、自らが運営する施設の在宅復帰率を向上させるために、介護職員あるいは各専門職員を増員することでスタッフ配置を変更するという意思決定を行なうことができる。
【0103】
図8は、ある施設における在所日数の分布を表わす図である。在所日数の分布は、当該施設で運営される管理サーバー200において保持されており、管理サーバー200からクラウドサーバー150に送信される。送信は、管理サーバー200が管理者による送信指示の入力を検知したとき、クラウドサーバー150から送信要求を受信した時、または、1ヶ月毎若しくは半年毎のように予め定められたタイミングで行なわれる。
【0104】
ある局面において、クラウドサーバー150は、各施設から受領したデータに基づいて、在所日数の平均値、中央値、最小値、最大値等を算出する。算出は、クラウドサーバー150の管理者による指示を検知したとき、施設の管理サーバー200から算出指示を受信した時、あるいは、予め定められたタイミングで行なわれる。クラウドサーバー150は、算出した各値を管理サーバー200に送信する。
【0105】
図9を参照して、管理サーバー200に表示される他の画面について説明する。
図9は、クラウドサーバー150から受信したデータに基づいて管理サーバー200のモニターに表示される画面の一態様を表わす図である。ある局面において、モニター8は、テーブル910と、テーブル920とを表示する。
【0106】
ある施設の運営者が、平均在所日数を知りたい場合、管理サーバー200に施設IDを入力すると、施設IDはクラウドサーバー150に送信される。クラウドサーバー150は、当該施設IDで特定される施設についてリハビリテーションのメニュー毎に平均在所日数を算出し、その算出結果を管理サーバー200に表示する。管理サーバー200は、算出結果をテーブル910のように表示する。当該運営者は、リハビリメニュー毎の平均在所日数を確認することで、どのようなリハビリテーションのメニューが在所日数の短縮化に寄与するかを知ることができる。
【0107】
[制御構造]
図10を参照して、クラウドサーバー150の制御構造について説明する。
図10は、クラウドサーバー150のCPU1が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0108】
ステップS1010にて、CPU1は、各施設の管理サーバー200との接続を確立する。他の局面において、クラウドサーバー150と管理サーバー200とは、常時接続されていてもよい。
【0109】
ステップS1020にて、CPU1は、各施設の管理サーバー200から計測データを受信する。なお、管理サーバー200からクラウドサーバー150へのデータの送信は、定期的に、管理サーバー200における送信指示の検知、あるいは、クラウドサーバー150による送信依頼に基づいて行なわれる。計測データは、センサーボックス119によって取得された日常生活動作のデータ、リハビリテーションの内容その他のデータを含む。
【0110】
ステップS1030にて、CPU1は、受信した計測データをデータベースに格納する。ある局面において、CPU1は、受信したデータをハードディスク5において、各施設毎に構成されたテーブルに逐次格納する。
【0111】
ステップS1040にて、CPU1は、各項目の平均値または中央値を導出する。例えば、CPU1は、各施設について、各入居者の在所日数の平均値または中央値を算出する。他の局面において、CPU1は、さらに詳細に、各リハビリテーション毎に、そのリハビリテーションを受けた入居者の在所日数を算出する。
【0112】
ステップS1050にて、CPU1は、いずれかの施設の管理サーバー200から最新のデータベースのダウンロード依頼の受信を検知する。例えば、ある施設の運営者が平均在所日数の短縮化あるいは在宅復帰率の向上のために介護職員の増員あるいは構成の変更を検討する場合があり得る。当該運営者が、参考情報を得るためにデータベースへのアクセス操作を当該施設の管理サーバー200に対して行うと、管理サーバー200は、ダウンロード要求をクラウドサーバー150に送信する。ある局面において、クラウドサーバー150は、ダウンロード要求の受信に応答して、要求されたデータベースを管理サーバー200に送信する。他の局面において、クラウドサーバー150は、管理サーバー200によって指定された指標を算出して、その指標を管理サーバー200に送信する。算出される指標は、平均在所日数、在宅復帰率その他の情報を含む。その他の局面において、クラウドサーバー150は、各施設において各入居者に対して行われたリハビリテーションのメニューの詳細、あるいは、各施設における介護職員の構成の情報を、管理サーバー200に送信する。
【0113】
ステップS1060にて、CPU1は、当該ダウンロード依頼を送信した管理サーバー200にデータベースを送信する。データベースは、例えば、ステップS1040において算出された平均値または中央値を含む。さらに、データベースは、ある局面において、管理サーバー200において指定された在宅復帰率を達成した複数の施設の各々について、介護職員および専門職員の種類および数を含む。このようなデータベースを受信した管理サーバー200のユーザー(すなわち、施設の運営者)は、目標とする在宅復帰率を達成するために、他の施設の例を参照することにより、望ましい介護職員または専門職員の種類および数を知ることができる。
【0114】
ステップS1070にて、CPU1は、管理サーバーから他のリクエストを受信したか否かを判断する。他のリクエストは、例えば、ある施設において指定された入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューの履歴、当該リハビリテーションを行なった担当者またはチームの構成等の送信要求を含む。CPU1は、他のリクエストを受信したと判断すると(ステップSにてYES)、制御をステップS1080に切り替える。そうでない場合には(ステップSにてNO)、CPUは、処理を終了する。
【0115】
ステップS1080にて、CPU1は、リクエストに応じた処理を実行する。その後、CPU1は、制御をステップS1070に戻す。
【0116】
図11を参照して、管理サーバー200の制御構造について説明する。
図11は、ある実施の形態に従う管理サーバー200が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0117】
ステップS1110にて、管理サーバー200のCPU1は、管理サーバー200のユーザー(例えば、施設の運営者)の操作に基づいて、データベースにアクセスして各施設の実績データを読み出す。ある局面において、管理サーバー200は、クラウドサーバー150から受信したデータをデータベースとして保持している。他の局面において、管理サーバー200は、ユーザーによる操作に応答して、その都度、クラウドサーバー150にアクセスして、各施設からアップロードされたデータベースを取得してもよい。
【0118】
ステップS1120にて、CPU1は、提案を求める施設に関する各項目の入力を受け付ける。例えば、ユーザーは、管理サーバー200に、当該施設におけるスタッフ配置の情報(介護職員の数および専門職員の内訳および数)と、現在の在宅復帰率(例えば「45%」)と、希望する在宅復帰率(例えば「50%超」)とを入力する。
【0119】
ステップS1130にて、CPU1は、項目毎に近似した1組以上の実績データを検索する。検索されるデータは、専門職員の増員に関するユーザーの意向として管理サーバー200に入力されるデータに基づいて行なわれる。
【0120】
例えば、ある局面において、ユーザーは、専門職員数の増員を希望していない場合には、リハビリテーションのメニューあるいは回数を変更することにより、在宅復帰率の向上を試みる場合があり得る。そこで、当該ユーザーが管理サーバー200に対して、専門職員の増員を希望していない旨を入力した場合、CPU1は、現在の専門職員数のデータ群のうち、在宅復帰率が50%超を達成したグループに属する各施設に関連付けられたデータを抽出する。抽出されるデータは、当該グループに属する入居者それぞれに対して行なわれたリハビリテーションの内容、回数、リハビリテーションを担当したスタッフ、そのスタッフの種類(例、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等)を含む。
【0121】
より具体的には、CPU1は、上記データベースのうち、当該施設における専門職員の数に対応するデータ群にアクセスする(
図6のテーブル610)。例えば、ユーザーの運営する施設におけるスタッフの数が4名の場合には、CPU1は、テーブル610における「3人超4人以下」のデータ群にアクセスする。現在の在宅復帰率として「45%」が入力されたことに基づいて、CPU1は、当該ユーザーの施設が、在宅復帰率40%超50%以下のグループに属することを特定する。
【0122】
希望する在宅復帰率として「50%超」が入力されたことに基づいて、CPU1は、当該データ群における在宅復帰率が「50%」のグループに属する施設におけるリハビリテーションのメニューを抽出する。
図6の例では、在宅復帰率が「50%」のグループに属する施設の数は、82(=416×0.197)であるため、在宅復帰率50%以上を達成した82カ所の施設の各々について、当該施設の該当する入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出する。
【0123】
他方、他の局面において、ユーザーが専門職員の数の増員を予定している旨を管理サーバー200に入力している場合には、CPU1は、現在の専門職員の数よりも一人多い専門職員を配置している施設のデータを抽出する。ユーザーの前提が上記の場合、CPU1は、テーブル610における「4人超5人以下」のデータ群にアクセスする。このデータ群において、83カ所(=245×0.339)の施設が「在宅復帰率50%超」のグループに属している。そこで、CPU1は、83カ所の施設について、専門職員数の配置を抽出する。さらに、CPU1は、83カ所の施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれていたリハビリテーションのメニュー、回数、担当したスタッフ、専門職員の種類等の情報も抽出し得る。
【0124】
ステップS1140にて、CPU1は、検索した実績データから、ユーザーに要求されたデータを導出する。ある局面において、ユーザーが専門職員の増員を希望していない場合には、CPU1は、上述の通り、同一の専門職員数が配置された施設の内、「在宅復帰率50%超」に属する施設(82カ所)について、在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションの内容おける専門職員数の内訳を抽出する。さらに、CPU1は、専門職員数の内訳の配置の平均値および中央値を、職種毎に算出する。
【0125】
他の局面において、ユーザーが専門職員の増員を予定している場合には、CPU1は、「4人超5人以下」のデータ群から、在宅復帰率が50%超の施設におけるスタッフ配置の情報を抽出する。さらに、CPU1は、83カ所(=245×0.339))について、専門職員数の平均値または中央値を算出する。また、CPU1は、該当する83カ所の施設について、在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションの内容、回数および専門職員数の内訳(理学療法士、作業療法士および言語聴覚士)の各々の平均値または中央値を算出する。
【0126】
ステップS1150にて、CPU1は、ステップS1140において算出されたデータを、管理サーバーのモニター8に表示する。ユーザーは専門職員を増やす場合に、モニター8に表示される上記平均値または中央値を参考にして、どの領域の専門職員を増やすべきかを判断することができる。
【0127】
図12を参照して、クラウドサーバー150のハードディスク5におけるデータの格納の一態様について説明する。
図12は、施設毎に各入居者に対して行なわれたリハビリテーションの内容を表わす図である。ある局面において、ハードディスク5は、各施設毎に設けられたテーブル1210を保持している。テーブル1210は、領域1211,1212,1213,1214,1215,1216を含む。領域1211は、リハビリテーションが行なわれた年月日を保持している。領域1212は、リハビリテーションを受けた被介護者の識別情報IDを保持している。領域1213は、リハビリテーションが行なわれた時間を保持している。領域1214は、リハビリテーションの担当者を識別する情報を保持している。領域1215は、リハビリテーションのメニューを保持している。領域1216は、リハビリテーションが行なわれた際に観察されて領域1214で特定されるリハビリテーションの担当者によって入力された事象を保持している。
【0128】
図12に示されるデータは、例えば、被介護者のリハビリテーションを担当したスタッフによって携帯端末220から入力される。ある局面において、当該スタッフは、携帯端末220に表示される画面からリハビリテーションのメニューを選択し、リハビリテーションを受けた被介護者ID(名前あるいは番号)と、リハビリテーションが行なわれた時間と、観察記録とを入力する。観察記録は、介護職員あるいは専門職員による被介護者の観察記録である。観察記録は、ある局面において、被介護者について特筆すべき事象、リハビリテーションの際にスタッフが気づいた現象等を含む。携帯端末220は、リハビリテーションが行なわれた日時と、被介護者IDと、スタッフの識別データ(担当者ID)と、当該リハビリテーションが行なわれた時間と、担当者IDと、リハビリテーションのメニューと、当該観察記録とを、クラウドサーバー150に送信する。クラウドサーバー150のCPU1は、ハードディスク5に、これらのデータを逐次格納する(領域1211~1216)。
【0129】
[在所日数]
図13を参照して、在所日数に基づくリハビリテーションのメニューあるいは介護職員の最適な配置について説明する。
図13は、クラウドサーバー150が備えるハードディスク5における平均在所日数に関するデータの格納の一態様を表わす図である。ハードディスク5は、データベースとして、テーブル1310を保持している。
【0130】
テーブル1310は、各施設をリハビリテーションの専門職員数別に5グループに分けて、当該施設における平均在所日数の分布を表している。その分布のもとになったデータは、ハードディスクに別途格納されている。
【0131】
ある実施の形態において、専門職員数は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士および支援相談員の合計である。一例として、専門職員の数が2人以下の施設の場合(施設数=289)、平均在所日数が120日以下の施設は、27か所(=272×0.100)に過ぎない。逆に、102か所(=272×0.374)の施設において、平均在所日数が360日超となる。専門職員の数が4人になると、平均在所日数が120日以下の施設は、103か所(=416×0.248)となる。この場合、平均在所日数が360日超となるのは、82か所(=416×0.197)である。したがって、リハビリテーションの専門職員数が多いほど、平均在所日数が短くなる傾向にあることが読み取れる。
【0132】
ある局面において、クラウドサーバー150は、上記のデータに加えて、各人数毎の平均在所日数の各々に関連付けられた施設情報を保持している。例えば、専門職員の数が2人以下である施設について、平均在所日数が360日を超える施設の割合は37.4%であることから、当該施設の数は、108(=289×0.374)となる。したがって、該当する108の施設それぞれについて、全ての入居者情報およびスタッフの配置が関連付けられている。
【0133】
より具体的には、各施設について、個人情報を保護するために、名前ではなく、入居者番号が識別情報として使用される。各入居者番号には、年令、性別、認知機能、病歴、希望・モチベーション、ADL状態、リハビリテーションの内容・時間と回数、および、リハビリテーションの担当者またはチームが関連付けられている。また、各施設の情報は、スタッフの配置情報として、介護職員の数、理学療法士の数、作業療法士の数および言語聴覚士の数を含む。これらの情報が、平均在所日数の分布を構成する各施設毎、および、当該施設における入居者毎に関連付けられている。これらの情報の詳細は、
図7に示されたものと同じであるので、その説明を繰り返さない。
【0134】
ある局面において、クラウドサーバー150は、あるCSS20に設けられている管理サーバー200から、平均在所日数の指定を受けると、その平均在所日数を構成する上記の施設情報を管理サーバー200に送信する。例えば、管理サーバー200において、専門職員数が3名、増員なし、および、平均在所日数として「360日超」が指定された場合、クラウドサーバー150は、専門職員数が3名のデータ群について、平均在所日数が「360日以下」である施設それぞれについて、施設情報を管理サーバー200に送信する。施設情報は、各施設を識別する施設ID、各施設において各入居者に対して行われたリハビリテーションの履歴情報(メニューまたは内容、回数、リハビリテーションを担当した専門職員の種類(理学療法士、作業療法士、および、言語聴覚士))、当該入居者の属性情報を含む。
【0135】
管理サーバー200は、クラウドサーバー150から施設情報を受信すると、平均在所日数が360日以下である施設における専門職員の配置情報およびリハビリテーションの履歴情報を当該施設情報から抽出する。さらに、管理サーバー200は、在所日数の区分ごとに、当該区分に属する施設における専門職員の配置をモニター8に表示する(
図9)。
【0136】
より具体的には、一例として、ある施設(CSS20)の専門職員の数が3名の場合において当該施設の平均在所日数が360日超である例を説明する。当該施設の運営者が管理サーバー200に対して、希望する平均在所日数として「在所日数300日超360日以下」を入力し、さらに、「専門職員数を維持」(=増員しない)と入力すると、クラウドサーバー150は、その入力に応答して、専門職員数が「3人超4人以下」のデータベースから、「在所日数300日超360日以下」の区分に属する施設56か所(=416×0.135)の情報を管理サーバー200に送信する。送信される情報は、上記の専門職員の配置情報、リハビリテーションの履歴情報、および、当該施設の各入居者の属性情報を含む。
【0137】
管理サーバー200は、クラウドサーバー150から受信した情報に基づいて、現在の平均在所日数よりも短い平均在所日数を達成している施設における専門職員の配置、リハビリテーションのメニュー、回数、当該リハビリテーションを受けた入居者の属性(病歴、ADL状態等)をモニター8に表示する。これにより、管理サーバー200のユーザー(例えば、ある施設の運営者)は、専門職員を増やすことなく、リハビリテーションのメニューの改善により平均在所日数を短くするための参考情報を得ることができる。
【0138】
他の局面において、管理サーバー200は、あるCSS20の専門職員の数と、その運営者が希望する平均在所日数とに応答して、最適な専門職員の数を提示することができる。例えば、ある施設の運営者が専門職員数を増やすことを考えている場合、現時点で当該施設に配置されている専門職員の職種毎の人員あるいは合計の人数と、希望する平均在所日数とを管理サーバー200に入力する。管理サーバー200は、その人数と平均在所日数とをクラウドサーバー150に送信する。クラウドサーバー150は、当該人数および平均在所日数を管理サーバーから受信すると、該当するデータベースを抽出し、抽出した結果を管理サーバー200に送信する。
【0139】
一例として、ある施設の専門職員の数が3名であり、増員を可能とし、希望する平均在所日数を「在所日数300日超360日以下」とした場合、運営者は、これらの情報を管理サーバー200に入力する。管理サーバー200は、入力された情報をクラウドサーバー150に送信する。
【0140】
クラウドサーバー150は、専門職員数として入力された「3名」よりも1人多い「4名」が属する区分「3人超4人以下」のデータベースを参照し、「在所日数300日超360日以下」に分類される56の施設(=416×0.135)の各々について、専門職員数、リハビリテーションの履歴情報、各入居者の属性情報をハードディスク5から読み出す。
【0141】
ある局面において、クラウドサーバー150は、各入居者に対して行われたリハビリテーションの履歴を集計し、リハビリテーションのメニューごとの平均在所日数を算出する。例えば、ある入居者が3種類のリハビリテーションを受け、その在所日数が320日である場合、クラウドサーバー150は、各リハビリテーションのメニューについて、在所日数を320日とカウントする。クラウドサーバー150は、該当する全ての入居者について、該当するリハビリテーションのメニューそれぞれについて在所日数をカウントし、各メニューの在所日数の平均値を算出する。クラウドサーバー150は、算出した平均値を管理サーバー200に送信する。このようにして算出された平均在所日数は、「在所日数300日超360日以下」に分類される56の施設において行われたリハビリテーションのメニュー毎の平均在所日数とされる。管理サーバー200は、リハビリテーションのメニュー毎に平均在所日数をモニターにグラフあるいは数値の形で表示する(
図9)。運営者は、その表示を見て、リハビリテーションのメニューとしてどのようなメニューを取り入れると効果的であるかを把握できるので、当該表示は、平均在所日数の短縮化のための参考情報となり得る。
【0142】
また、クラウドサーバー150は、平均在所日数が短い施設における専門職員の配置の平均値を算出して、その平均値を管理サーバー200に表示する。管理サーバー200は、その平均値を表示する。これにより、運営者は、専門職員を増やす場合に、その領域の専門職員を増やすべきかを知ることができる。
【0143】
以上のようにして、本開示によれば、各施設における現在および過去の入居者についての情報が、各施設に配置された管理サーバー200からクラウドサーバー150に送られる。当該情報は、各入居者に対して行われたリハビリテーションのメニューおよび内容、各施設における専門職員や介護職員の人数、在所日数その他の介護実績情報を含む。ある局面において、クラウドサーバー150は、管理サーバー200から送信される要求に基づき、各施設の実績の平均値その他の参考情報を算出して、当該参考情報を管理サーバー200に送信する。参考情報は、在所平均日数、在宅復帰率、専門職員数の平均値、専門職員を増員した場合の人件費の増加額、スタッフの増員の結果として見込まれる介護報酬の増加額等を含む。管理サーバー200を使用する施設の運営者あるいは経営者は、参考情報を見ながら、当該施設において専門職員を増加するべきか否かを判断できる。このようにして、ある実施の形態に従うと、在所日数の短縮化あるいは在宅復帰率の向上を支援することができる。他の実施の形態に従うと、限られたスタッフでリハビリテーションの効果が改善し得る。
【0144】
以上のようにして開示された技術的特徴は、以下のように要約され得る。
【0145】
(構成1)スタッフの配置の決定を支援するためにコンピューターシステム400で実行される方法によると、CPU1は、複数の施設の各々から送信されたスタッフの配置情報と、当該施設から在宅復帰した入居者の数に基づく統計データを含むデータベースにアクセスする。CPU1は、ある施設(例えば、管理サーバー200を使用する施設)に配置されているスタッフの数、および、当該施設における入居者の在宅復帰の目標値の入力を受ける。CPU1は、データベースから、スタッフの数と同じ数のスタッフが配置された1以上の施設を抽出する。CPU1は、抽出された1以上の施設に入所していた複数の入居者のうち、統計データが目標値よりも良い結果を表わす施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出する。CPU1は、抽出されたリハビリテーションのメニューを出力する。出力先は、CPU1に接続されたモニター8、当該コンピューターに接続された他のコンピューターのいずれであってもよい。
【0146】
(構成2)統計データは、平均在所日数を含む。CPU1は、目標とする平均在所日数の入力を受ける。CPU1は、抽出された1以上の施設に入所していた複数の入居者のうち、平均在所日数が目標とする平均在所日数よりも短い施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出する。
【0147】
(構成3)ある局面において、CPU1は、在宅復帰した入居者に対して行われた1以上のリハビリテーションのメニューの各々について、当該入居者の在所日数を関連付ける。CPU1は、1以上のリハビリテーションのメニューの各々について、当該メニューに関連付けられた在所日数の平均値を算出する。CPU1は、平均値を出力する。
【0148】
(構成4)ある局面において、統計データは、在宅復帰率を含む。CPU1は、目標とする在宅復帰率の入力を受ける。CPU1は、抽出された1以上の施設に入所していた複数の入居者のうち、在宅復帰率が目標とする在宅復帰率よりも高い施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出する。
【0149】
(構成5)ある局面において、データベースは、各施設のスタッフの数に応じて分けられた複数の区分を含む。各区分において、在所日数の複数の範囲が規定されている。CPU1は、目標値よりも良い結果の範囲に属する1以上の施設に関連付けられたリハビリテーションのメニューを抽出する。
【0150】
(構成6)他の実施の形態に従うと、スタッフの配置の決定を支援するためにコンピューターシステム400で実行される方法として、CPU1は、複数の施設の各々から送信されたスタッフの配置情報と、当該施設から在宅復帰した入居者の数に基づく統計データを含むデータベースにアクセスする。CPU1は、ある施設に配置されているスタッフの数、および、当該施設における入居者の在宅復帰の目標値の入力を受ける。CPU1は、スタッフの数より多い数のスタッフが配置された1以上の施設のうち、統計データが目標値よりも良い結果を表わす施設におけるスタッフの構成を抽出する。CPU1は、抽出されたスタッフの構成を出力する。
【0151】
(構成7)ある局面において、CPU1は、抽出された1以上の施設に入所していた複数の入居者のうち在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出する。CPU1は、抽出されたリハビリテーションのメニューを出力する。
【0152】
(構成8)ある局面において、統計データは、平均在所日数を含む。CPU1は、目標とする平均在所日数の入力を受ける。CPU1は、抽出された1以上の施設に入所していた複数の入居者のうち、平均在所日数が目標とする平均在所日数よりも短い施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出する。
【0153】
(構成9)ある局面において、CPU1は、在宅復帰した入居者に対して行われた1以上のリハビリテーションのメニューの各々について、当該入居者の在所日数を関連付ける。CPU1は、1以上のリハビリテーションのメニューの各々について、当該メニューに関連付けられた在所日数の平均値を算出する。CPU1は、平均値を出力する。
【0154】
(構成10)ある局面において、CPU1は、統計データは、在宅復帰率を含む。CPU1は、目標とする在宅復帰率の入力を受ける。CPU1は、抽出された1以上の施設に入所していた複数の入居者のうち、在宅復帰率が目標とする在宅復帰率よりも高い施設から在宅復帰した入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューを抽出する。
【0155】
(構成11)ある局面において、データベースは、各施設のスタッフの数に応じて分けられた複数の区分を含む。各区分において、在所日数の複数の範囲が規定されている。CPU1は、目標値よりも良い結果の範囲に属する1以上の施設に関連付けられたリハビリテーションのメニューを抽出する。
【0156】
以上のようにして、本実施の形態によれば、管理サーバー200あるいはクラウドサーバー150は、各施設の入居者についての平均在所日数あるいは在宅復帰率のような指標と、当該施設における専門職員の配置と、各入居者に対して行なわれたリハビリテーションのメニューとに基づいて、統計情報が導出される。ある施設の運営者が、上記指標の改善を希望する場合、当該指標よりも良い数値を達成した施設の参考情報が、上記統計情報から導出される。参考情報は、専門職員の配置、リハビリテーションのメニュー等を含む。さらに、専門職員を増員した場合の費用対効果も提示される。これにより、当該運営者は、指標の改善のために専門職員をどのように配置すれば良いかを知ることができる。
【0157】
なお、平均在所日数または在宅復帰率は、クラウドサーバー150および管理サーバー200のいずれにおいても算出される。また、各施設の情報はクラウドサーバー150に保存されている場合が例示されているが、当該情報は、いわゆるピアトゥピアの態様で、いずれかの管理サーバー200が他の管理サーバー200から取得されてもよい。
【0158】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本開示は、介護施設で使用されるコンピューターあるいは介護施設に情報を提供するサービスとして利用可能である。
【符号の説明】
【0160】
100 システム、101,221 制御装置、105 カメラ、106 ドップラーセンサー、107 無線通信装置、108,228 記憶装置、110,120 居室、111,121,ID 入居者、112 家具、113 ベッド、114 トイレ、115 ケアコール子機、116 トイレセンサー、117,ID センサー、118 ドアセンサー、119 センサーボックス、130 ゲートウェイサーバー、135 交換装置、140 アクセスポイント、141,142,143,144 介護者、150 クラウドサーバー、160 プッシュサーバー、161,162,163,164,220 携帯端末、195 無線基地局、200 管理サーバー、226 ディスプレイ、229 入力デバイス、241 ケアコールボタン、290 バイタルセンサー、300 入居者固有テーブル、400 コンピューターシステム、610,620,910,920,1210,1310 テーブル、710 入居者属性、720,730,1211,1212,1213,1214,1215,1216 領域。