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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】車両用樹脂部品、車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/27 20180101AFI20240618BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20240618BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240618BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240618BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240618BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20240618BHJP
【FI】
F21S43/27
F21V17/00 200
F21V5/00 100
F21W103:00
F21W103:35
F21W103:45
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020080276
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021174744
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上野 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】長田 真太郎
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0100690(US,A1)
【文献】特開2000-260207(JP,A)
【文献】特開2000-016165(JP,A)
【文献】特開平09-001589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 1/00- 8/00
F21V 9/00-15/04
F21V 17/00-17/20
F21W 103/00
F21W 103/35
F21W 103/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂部材と、第2樹脂部材と、を備え、
前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材とは、多色成形により、一体に成形されていて、
前記第1樹脂部材は、1次成品であって、第1本体部と、前記第1本体部に設けられている第1接合部と、を有し、
前記第2樹脂部材は、2次成品であって、第2本体部と、前記第2本体部に設けられている第2接合部と、を有し、
前記第1接合部と前記第2接合部とは、相互に、接合面を介して、一体に接合されていて、
前記第1接合部は、前記接合面に沿って成形金型の抜き方向に対して反対方向に突出して設けられている第1突出部を有し、
前記第2接合部は、前記接合面に沿って前記成形金型の抜き方向に対して反対方向に突出して設けられている第2突出部を有し、
前記接合面は、少なくとも1箇所において折れた複数の接合面から構成されていて、
複数の前記接合面は、少なくとも、前記成形金型の抜き勾配と同一の勾配の第1接合面と、前記成形金型の抜き勾配よりも大きい勾配の第2接合面と、から構成されていて、
前記第1接合面は、前記第2接合面に対して、前記第1突出部および前記第2突出部の突出方向側に形成されていて、
前記第2接合面は、前記第1樹脂部材および前記第2樹脂部材の表面から前記第1接合面側に向けて形成されている、
ことを特徴とする車両用樹脂部品。
【請求項2】
前記接合面の折れた箇所のうち少なくとも1箇所は、前記第1本体部の板厚の延長線および前記第2本体部の板厚の延長線よりも、前記第1突出部および前記第2突出部の突出方向側に、位置する、
ことを特徴とする請求項に記載の車両用樹脂部品。
【請求項3】
前記接合面の折れた箇所のうち少なくとも1箇所は、前記第2接合面において前記第1接合面側の個所であって、前記第1本体部の前記第1樹脂部材の表面に対して反対側の裏面の延長線および前記第2本体部の前記第2樹脂部材の表面に対して反対側の裏面の延長線よりも、前記第1突出部および前記第2突出部の突出方向側に、位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用樹脂部品。
【請求項4】
前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材とは、相互にランプ機能が異なる車両用灯具のランプレンズである、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用樹脂部品。
【請求項5】
ランプハウジングと、
前記の請求項4に記載の車両用樹脂部品であるランプレンズと、
前記ランプハウジングと前記ランプレンズにより形成されている灯室内に配置されている光源と、
を備える、
ことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用樹脂部品に関する。また、この発明は、車両用樹脂部品であるランプレンズを備える車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
第1樹脂部材と第2樹脂部材とが、多色成形により、一体に成形されている車両用樹脂部品として、また、車両用樹脂部品であるランプレンズを備える車両用灯具として、たとえば、特許文献1に示すものがある。以下、特許文献1について説明する。
【0003】
特許文献1の一体化レンズは、第1樹脂部材としての先打ちしたレンズと、第2樹脂部材としての後打ちしたレンズとが、多色成形法により、接合されて成形されていて、先打ちレンズの接合部と後打ちレンズの接合部とには、接合部に沿ってレンズ面から後方に向けて立ち上げリブが、それぞれ、設けられている、ものである。
【0004】
また、特許文献1の車両用灯具は、前記の特許文献1の一体化レンズを備える、ものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-260207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる車両用樹脂部品(一体化レンズ)においては、第1樹脂部材(先打ちレンズ)および第2樹脂部材(後打ちレンズ)の板厚(肉厚)を薄くして、軽量化を図ることが重要である。
【0007】
また、かかる車両用灯具においては、第1樹脂部材(先打ちレンズ)および第2樹脂部材(後打ちレンズ)の板厚(肉厚)を薄くして、車両用樹脂部品(一体化レンズ)の軽量化を図ることが重要である。
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、第1樹脂部材および第2樹脂部材の板厚(肉厚)を薄くして、軽量化を図ることができる車両用樹脂部品、車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の車両用樹脂部品は、第1樹脂部材と、第2樹脂部材と、を備え、第1樹脂部材と第2樹脂部材とが、多色成形により、一体に成形されていて、第1樹脂部材が、1次成型品であって、第1本体部と、第1本体部に設けられている第1接合部と、を有し、第2樹脂部材が、2次成型品であって、第2本体部と、第2本体部に設けられている第2接合部と、を有し、第1接合部と第2接合部とが、相互に、接合面を介して、一体に接合されていて、第1接合部が、接合面に沿って成形金型の抜き方向に対して反対方向に突出して設けられている第1突出部を有し、第2接合部が、接合面に沿って成形金型の抜き方向に対して反対方向に突出して設けられている第2突出部を有し、接合面が、少なくとも1箇所において折れた複数の接合面から構成されている、ことを特徴とする。
【0010】
この発明の車両用樹脂部品において、複数の接合面が、成型金型の抜き勾配と同一の勾配の第1接合面と、成型金型の抜き勾配よりも大きい勾配の第2接合面と、から構成されていて、第1接合面が、第2接合面に対して、第1突出部および第2突出部の突出方向側に形成されている、ことが好ましい。
【0011】
この発明の車両用樹脂部品において、接合面の折れた箇所のうち少なくとも1箇所が、第1本体部の板厚の延長線および第2本体部の板厚の延長線よりも、第1突出部および第2突出部の突出方向側に、位置する、ことが好ましい。
【0012】
この発明の車両用樹脂部品において、第1樹脂部材と第2樹脂部材とが、相互にランプ機能が異なる車両用灯具のランプレンズである、ことが好ましい。
【0013】
この発明の車両用灯具は、ランプハウジングと、この発明の車両用樹脂部品であるランプレンズと、ランプハウジングとランプレンズにより形成されている灯室内に配置されている光源と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明の車両用樹脂部品、車両用灯具は、第1樹脂部材および第2樹脂部材の板厚(肉厚)を薄くして、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、この発明にかかる車両用樹脂部品、車両用灯具の実施形態を示す正面図(車両の後側から前側を見た図)である。
図2図2は、要部を示す一部拡大横断面説明図(図1におけるII-II線一部拡大断面説明図)である。
図3図3は、要部を示す一部拡大横断面説明図(図2に対応する一部拡大断面説明図)である。
図4図4は、要部を示す一部拡大横断面説明図(図2に対応する一部拡大断面説明図)である。図4(A)は、第2接合面の勾配を示す一部拡大横断面説明図である。図4(B)は、接合面の折れた箇所の位置を示す一部拡大横断面説明図である。図4(C)は、第1接合面と第2接合面との位置を入れ替えた場合を示す一部拡大横断面説明図である。
図5図5は、この発明を実施しなかった場合の車両用樹脂部品、車両用灯具を示す正面図(車両の後側から前側を見た図)である。
図6図6は、この発明を実施しなかった場合の車両用樹脂部品、車両用灯具を示す一部拡大横断面説明図(図5におけるVI-VI線一部拡大断面説明図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明にかかる車両用樹脂部品、車両用灯具の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
なお、この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用樹脂部品、車両用灯具を車両(図示せず)に装備した際の前、後、上、下、左、右である。
【0018】
なお、図面は、この発明にかかる車両用樹脂部品、車両用灯具を示す概略図であるから、この発明にかかる車両用樹脂部品、車両用灯具の詳細な部分は、図面においては省略されている。また、図3および図4においては、ハッチングが省略されている。
【0019】
(実施形態の構成の説明)
図1から図4は、この発明にかかる車両用樹脂部品、車両用灯具の実施形態を示す。以下、この実施形態にかかる車両用樹脂部品、車両用灯具の構成について説明する。
【0020】
(車両用灯具1の説明)
図1から図3中、符号1は、この実施形態にかかる車両用灯具である。この例の車両用灯具1は、車両の後部の左右両側にそれぞれ装備されるリヤコンビネーションランプである。この例の車両用灯具1は、テールランプ、ストップランプ、テール・ストップランプ機能(以下、「テール・ストップランプ機能」と称する)と、バックアップランプ機能と、相互にランプ機能が異なるリヤコンビネーションランプである。
【0021】
車両用灯具1は、ランプハウジング10と、車両用樹脂部品であるランプレンズ11と、光源(図示せず)と、を備える。光源は、ランプハウジング10とランプレンズ11により形成されている灯室12内に配置されている。ランプレンズ11の表面(灯室12に対して反対側の面)は、車両の表面の意匠面の一部を構成する。
【0022】
ランプレンズ11は、相互にランプ機能が異なる第1ランプレンズ2と第2ランプレンズ3とから構成されている。第1ランプレンズ2は、テール・ストップランプ機能のランプレンズであって、赤色のランプレンズから構成されている。一方、第2ランプレンズ3は、バックアップランプ機能のランプレンズであって、白色(透明)のランプレンズから構成されている。
【0023】
また、灯室12は、テール・ストップランプ機能の灯室と、バックアップランプ機能の灯室とに、区分されている。さらに、光源は、テール・ストップランプ機能の灯室内に配置されている光源と、バックアップランプ機能の灯室内に配置されている光源と、を有する。
【0024】
(車両用樹脂部品であるランプレンズ11の説明)
車両用樹脂部品であるランプレンズ11(以下、「ランプレンズ11」と称する)は、図1から図4に示すように、第1樹脂部材としての第1ランプレンズ2(以下、「第1ランプレンズ2」と称する)と、第2樹脂部材としての第2ランプレンズ3(以下、「第2ランプレンズ3」と称する)と、を備えるものである。
【0025】
第1ランプレンズ2と第2ランプレンズ3とは、相互にランプ機能が異なる車両用灯具のランプレンズである。すなわち、第1ランプレンズ2は、テール・ストップランプ機能のランプレンズであって、赤色のランプレンズから構成されている。一方、第2ランプレンズ3は、バックアップランプ機能のランプレンズであって、白色(透明)のランプレンズから構成されている。
【0026】
第1ランプレンズ2と第2ランプレンズ3とは、多色成形(2色成形)により、一体に成形されている。第1ランプレンズ2は、1次成型品であって、第1本体部20と、第1本体部20に設けられている第1接合部21と、を有する。一方、第2ランプレンズ3は、2次成型品であって、第2本体部30と、第2本体部30に設けられている第2接合部31と、を有する。
【0027】
第1ランプレンズ2の第1接合部21と第2ランプレンズ3の第2接合部31とは、相互に、接合面4を介して、一体に接合されている。第1接合部21は、接合面4に沿って成形金型(図示せず)の抜き方向Aに対して反対方向に突出して設けられている第1突出部22を有する。第2接合部31は、接合面4に沿って成形金型の抜き方向Aに対して反対方向に突出して設けられている第2突出部32を有する。
【0028】
(接合面4の説明)
接合面4は、図2から図4に示すように、この例では、1箇所Bにおいて折れた2つの接合面41、42から構成されている。2つの接合面4は、成型金型の抜き勾配と同一の勾配の第1接合面41と、成型金型の抜き勾配よりも大きい勾配θ1の第2接合面42と、から構成されている。
【0029】
第1接合面41は、第2接合面42に対して、第1突出部22および第2突出部32の突出方向(成形金型の抜き方向Aに対して反対方向)側に形成されている。接合面4、41、42の折れた箇所(1箇所)Bは、第1本体部20の板厚の延長線(図3中の破線を参照)および第2本体部30の板厚の延長線(図3中の破線を参照)よりも、第1突出部22および第2突出部32の突出方向側に、位置する。
【0030】
ここで、第1接合面4、41の勾配は、この例では、約1°である。第2接合面4、42の勾配θ1は、この例では、約20°である。また、第2接合面4、42と第2ランプレンズ3の表面との間の角度θ2は、この例では、約70°である。このため、第2接合面4、42と第2ランプレンズ3の表面との間の角度部中にも、樹脂が充分にかつ確実に流れて充填される。
【0031】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0032】
テール・ストップランプ機能の光源を点灯発光させる。すると、テール・ストップランプ機能の光源からの光は、第1ランプレンズ2を透過して外部に出射する。これにより、第1ランプレンズ2は、発光して、テール・ストップランプ機能として機能する。
【0033】
バックアップランプ機能の光源を点灯発光させる。すると、バックアップランプ機能の光源からの光は、第2ランプレンズ3を透過して外部に出射する。これにより、第2ランプレンズ3は、発光して、バックアップランプ機能として機能する。
【0034】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0035】
この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1は、接合面4が1箇所Bにおいて折れた2つの接合面41、42から構成されている、ものである。これにより、この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1は、図2に示すように、第1ランプレンズ2の第1接合部21における内接円の直径D2と第2ランプレンズ3の第2接合部31における内接円の直径D3とを、それぞれ、小さくすることができる。
【0036】
すなわち、この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1は、第1ランプレンズ2の第1本体部20の板厚と第1ランプレンズ2の第1接合部21(第1突出部22を含む)の板厚T2との比(比率)、および、第2ランプレンズ3の第2本体部30の板厚と第2ランプレンズ3の第2接合部31(第2突出部32を含む)の板厚T3との比(比率)を、それぞれ、小さくすることができる。
【0037】
この結果、この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1は、第1ランプレンズ2および第2ランプレンズ3の成型時において、樹脂が第1本体部20および第2本体部30に先に流れて(図1中の実線矢印Fを参照)、樹脂の第1接合部21(第1突出部22を含む)および第2接合部31(第2突出部32を含む)への先流れを抑制することができる。
【0038】
したがって、この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1は、樹脂の第1接合部21(第1突出部22を含む)および第2接合部31(第2突出部32を含む)への先流れにより、第1本体部20および第2本体部30中にエアポケットやウエルドが発生することを抑制することができる。
【0039】
すなわち、この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1は、第1本体部20の板厚および第2本体部30の板厚を薄くしても、第1本体部20および第2本体部30中におけるエアポケットやウエルドの発生を抑制することができる。
【0040】
これにより、この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1は、第1本体部20の板厚および第2本体部30の板厚を薄くすることができ、軽量化を図ることができる。
【0041】
そして、この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1は、第1ランプレンズ2の第1接合部21(第1突出部22を含む)の板厚T2と第2ランプレンズ3の第2接合部31(第2突出部32を含む)の板厚T3とを、それぞれ、最小限に小さくすることにより、第1ランプレンズ2の第1本体部20の板厚と第2ランプレンズ3の第2本体部30の板厚とを、それぞれ、最小限に小さくすることができ、さらに、軽量化を図ることができる。
【0042】
この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1において、第1ランプレンズ2の第1接合部21(第1突出部22を含む)の最小限の板厚T2は、エジェクタピン(図示せず)の直径に基づき、この例では、約1.0mmである。第2ランプレンズ3の第2接合部31(第2突出部32を含む)の最小限の板厚T3は、第2接合部31(第2突出部32を含む)を成形する金型の凸部(板部)が第1ランプレンズ2の成型時(1次成型時)の圧力に耐え得るに必要な板厚であり、この例では、約1.0mmである。
【0043】
以下、この発明を実施しなかった車両用樹脂部品110、車両用灯具100について、図5および図6を参照して説明する。図5および図6中、図1から図4と同符号は、同一物を示す。
【0044】
この発明を実施しなかった車両用樹脂部品110、車両用灯具100は、第1ランプレンズ200の第1接合部21(第1突出部22を含む)と第2ランプレンズ300の第2接合部31(第2突出部32を含む)とが、相互に、折れていない1つの面である接合面400を介して、一体に接合されている。
【0045】
これにより、この発明を実施しなかった車両用樹脂部品110、車両用灯具100において、図6に示すように、第1ランプレンズ200の第1本体部20における内接円の直径D20(第1ランプレンズ200の第1本体部20の板厚)と第1ランプレンズ200の第1接合部21(第1突出部22を含む)における内接円の直径D21(第1ランプレンズ200の第1接合部21の板厚)との比(比率)、および、第2ランプレンズ300の第2本体部30における内接円の直径D30(第2ランプレンズ300の第2本体部30の板厚)と第2ランプレンズ300の第2接合部31(第2突出部32を含む)における内接円の直径D31(第2ランプレンズ300の第2接合部31の板厚)との比(比率)が、それぞれ、大きい。
【0046】
この結果、この発明を実施しなかった車両用樹脂部品110、車両用灯具100においては、第1ランプレンズ200および第2ランプレンズ300の成型時、樹脂が、第1本体部20および第2本体部30に流れる前に、第1接合部21(第1突出部22を含む)および第2接合部31(第2突出部32を含む)に先に流れてしまう(図5中の実線矢印Fを参照)。
【0047】
したがって、この発明を実施しなかった車両用樹脂部品110、車両用灯具100においては、樹脂の第1本体部20および第2本体部30への先流れにより、第1本体部20および第2本体部30中にエアポケットEやウエルドが発生する場合がある。
【0048】
これにより、この発明を実施しなかった車両用樹脂部品110、車両用灯具100においては、第1本体部20および第2本体部30中におけるエアポケットEやウエルドの発生を抑制するために、第1本体部20の板厚および第2本体部30の板厚を薄くすることができず、軽量化を図ることができない。
【0049】
これに対して、この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1は、接合面4を1箇所Bにおいて折れた2つの接合面41、42から構成することにより、第1本体部20の板厚および第2本体部30の板厚を薄くすることができ、軽量化を図ることができる。
【0050】
この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1において、2つの接合面4、41、42は、成型金型の抜き勾配と同一の勾配の第1接合面4、41と、成型金型の抜き勾配よりも大きい勾配θ1の第2接合面4、42と、から構成されていて、第1接合面4、41は、第2接合面4、42に対して、第1突出部22および第2突出部32の突出方向側に形成されている。
【0051】
この結果、この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1は、第1本体部20の板厚および第2本体部30の板厚を薄くすることができ、軽量化を図ることができる。
【0052】
以下、第1接合面4A、41Aと第2接合面4A、42Aとの位置を入れ替えた場合について、図4(C)を参照して説明する。
【0053】
この場合の車両用樹脂部品11Aの第1ランプレンズ2Aと第2ランプレンズ3Aとは、第1接合面4A、41Aを、第2接合面4A、42Aに対して、第1突出部22Aおよび第2突出部32Aの突出方向に対して反対側に形成したものである。
【0054】
この場合の車両用樹脂部品11Aにおいて、第2ランプレンズ3Aの第2接合部31Aにおける内接円の直径D3Aが、この実施形態にかかる車両用樹脂部品11の第2ランプレンズ3の第2接合部31(第2突出部32を含む)における内接円の直径D3と比較して、大きくなる。
【0055】
この結果、この場合の車両用樹脂部品11Aにおいては、この実施形態にかかる車両用樹脂部品11のように、第1本体部20Aの板厚および第2本体部30Aの板厚を薄くして、軽量化を図ることができない。
【0056】
この場合の車両用樹脂部品11Aにおいては、接合面4A、41A、42Aの折れた箇所と第1ランプレンズ2Aの接合部21Aとの間の寸法TAが小さく、第2ランプレンズ3Aを成形する時(2次成型時)の圧力により、折れる場合がある。
【0057】
このように、第1接合面4A、41Aを、第2接合面4A、42Aに対して、第1突出部22Aおよび第2突出部32Aの突出方向に対して反対側に形成することは、好ましくない。
【0058】
この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1においては、接合面4、41、42の折れた1つの箇所Bが、第1本体部20の板厚の延長線および第2本体部30の板厚の延長線よりも、第1突出部22および第2突出部32の突出方向側に、位置する、ものである。
【0059】
この結果、この実施形態にかかる車両用樹脂部品11、車両用灯具1は、第1本体部20の板厚および第2本体部30の板厚を薄くすることができ、軽量化を図ることができる。
【0060】
以下、接合面4、41、420の折れた1つの箇所Cが、第1本体部20の板厚の延長線および第2本体部30の板厚の延長線よりも、第1突出部22および第2突出部32の突出方向に対して反対側に、位置する場合について、図4(B)を参照して説明する。
【0061】
この場合において、第2接合面4、420と第2ランプレンズ3の表面との間の角度θ3(例えば、約30°)が、この実施形態にかかる第2接合面4、42と第2ランプレンズ3の表面との間の角度θ2(約70°)よりも、小さくなる。
【0062】
これにより、この場合においては、第2接合面4、420と第2ランプレンズ3の表面との間の角度部中に、樹脂が充分にかつ確実に流れて充填されず、好ましくない。
【0063】
(実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態においては、車両用樹脂部品11として、車両用灯具1のランプレンズ11の使用例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、車両用樹脂部品11として、車両用灯具1のランプレンズ11以外、たとえば、車両用灯具1の光学部材(インナーレンズなど)や装飾部材(インナーハウジング、インナーパネルなど)などの車両用樹脂部品にも使用できる。また、車両用灯具1以外の車両用部品や車両用装置の車両用樹脂部品にも使用できる。
【0064】
また、前記の実施形態においては、車両用灯具1として、リヤコンビネーションランプの使用例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、車両用灯具1として、リヤコンビネーションランプ以外、たとえば、フロントコンビネーションランプや車内ランプなどに使用するものであっても良い。
【0065】
さらに、前記の実施形態においては、車両用灯具1のランプレンズ11として、テール・ストップランプ機能の第1ランプレンズ2と、バックアップランプ機能の第2ランプレンズ3との使用例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、車両用灯具1のランプレンズ11として、テール・ストップランプ機能とバックアップランプ機能以外の機能のランプレンズなどに使用するものであっても良い。
【0066】
さらにまた、前記の実施形態においては、接合面4が1箇所Bにおいて折れた2つの接合面41、42から構成されている例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、接合面4が2箇所以上において折れた3つ以上の接合面から構成されているものであっても良い。
【0067】
なお、この発明は、前記の実施形態により限定されるものではない。特に、板厚T2、T3、勾配θ1、角度θ2などは、限定されない。
【符号の説明】
【0068】
1 車両用灯具
10 ランプハウジング
11 ランプレンズ(車両用樹脂部品)
12 灯室
2 第1ランプレンズ(第1樹脂部材)
20 第1本体部
21 第1接合部
22 第1突出部
3 第2ランプレンズ(第2樹脂部材)
30 第2本体部
31 第2接合部
32 第2突出部
4 接合面
41 第1接合面
42 第2接合面
100 車両用灯具
110 ランプレンズ(車両用樹脂部品)
200 第1ランプレンズ(第1樹脂部材)
300 第2ランプレンズ(第2樹脂部材)
400 接合面
420 第2接合面
11A ランプレンズ(車両用樹脂部品)
2A 第1ランプレンズ(第1樹脂部材)
20A 第1本体部
21A 第1接合部
22A 第1突出部
3A 第2ランプレンズ(第2樹脂部材)
30A 第2本体部
31A 第2接合部
32A 第2突出部
4A 接合面
41A 第1接合面
42A 第2接合面
A 金型の抜き方向
B 接合面4、41、42の折れた箇所
C 接合面4、41、420の折れた箇所
D2 内接円の直径(第1ランプレンズ2の第1接合部21の板厚)
D3 内接円の直径(第2ランプレンズ3の第2接合部31の板厚)
D20 内接円の直径(第1ランプレンズ200の第1本体部20の板厚)
D30 内接円の直径(第2ランプレンズ300の第2本体部30の板厚)
D21 内接円の直径(第1ランプレンズ200の第1接合部21の板厚)
D31 内接円の直径(第2ランプレンズ300の第2接合部31の板厚)
D3A 内接円の直径(第2ランプレンズ3Aの第2接合部における内接円の直径)
E エアポケット
F 樹脂の流れ
T2 第1接合部21の板厚
T3 第2接合部21の板厚
TA 寸法
θ1 第2接合面42の勾配(角度)
θ2 第2接合面42と第2ランプレンズ3の表面との間の角度
θ3 第2接合面420と第2ランプレンズ3の表面との間の角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6