(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】家具システム
(51)【国際特許分類】
A47B 7/00 20060101AFI20240618BHJP
A47B 96/18 20060101ALI20240618BHJP
F16B 12/32 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
A47B7/00 A
A47B96/18 C
F16B12/32 B
(21)【出願番号】P 2020084868
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】滝野 達也
(72)【発明者】
【氏名】繁田 佳祐
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-142572(JP,A)
【文献】特開2012-066133(JP,A)
【文献】特開平11-244053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 96/18
A47B 7/00
F16B 12/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間脚に支持された中間ステー上で、対をなす天板の端部同士を突き合わせてなる家具システムであって、
前記中間ステー内に、前記両天板同士を引き寄せて突き合わせる天板引込み機構を着脱可能に設けており、
前記天板引込み機構を前記中間ステー内に収容している家具システム。
【請求項2】
前記天板引込み機構は、
対応する天板にそれぞれ係合する対をなす引込み部材と、これら引込み部材を相寄る方向に付勢して前記天板同士を引寄せる付勢手段とを備えたものである請求項1記載の家具システム。
【請求項3】
中間脚に支持された中間ステー上で、対をなす天板の端部同士を突き合わせてなる家具システムであって、
前記中間ステー内に、前記両天板同士を引き寄せて突き合わせる天板引込み機構を着脱可能に設けており、
前記天板引込み機構は、対応する天板にそれぞれ係合する対をなす引込み部材と、これら引込み部材を相寄る方向に付勢して前記天板同士を引寄せる付勢手段とを備え、
前記付勢手段は、前記両引込み部材を少なくとも初期位置から前記天板同士が密接する引込み位置までの間で接離動作し得るように案内する案内要素と、前記両引込み部材を初期位置方向に付勢するばね要素と、このばね要素の弾性力に抗して前記両引込み部材を前記引込み位置方向に移動させるねじ送り要素とを備えたものである家具システム。
【請求項4】
前記中間ステーが、前記天板引込み機構を内部に収納可能な中空体状のものであり、この中間ステーの天壁に、前記ばね要素の伸縮を利用して前記天板引込み機構を当該中間ステー内に収容するための開口部が設けられている請求項3記載の家具システム。
【請求項5】
中間脚に支持された中間ステー上で、対をなす天板の端部同士を突き合わせてなる家具システムであって、
前記中間ステー内に、前記両天板同士を引き寄せて突き合わせる天板引込み機構を着脱可能に設けており、
前記天板引込み機構は、前記中間ステーに遊動可能に保持されたものであり、当該天板引込み機構により前記両天板を突き合わせて緊締した状態でも、これら両天板を前記中間ステーに対して遊動させることができるように構成されている家具システム。
【請求項6】
中間脚に支持された中間ステー上で、対をなす天板の端部同士を突き合わせてなる家具システムであって、
前記中間ステー内に、前記両天板同士を引き寄せて突き合わせる天板引込み機構を着脱可能に設けており、
前記天板引込み機構は、対応する天板にそれぞれ係合する対をなす引込み部材と、これら引込み部材を相寄る方向に付勢して前記天板同士を引寄せる付勢手段とを備え、
前記天板が、少なくとも端部において天壁と係合孔を有する底壁との間に空間を有する中空体構造をなすものであり、
前記引込み部材が、前記中間ステー内に収容された基端部と、この基端部の上縁から中間部を介して前記中間ステー外に突出し前記係合孔を通して前記天板内に挿入される先端部とを備えたものであり、当該引込み部材の前記中間部で前記係合孔の開口縁を前記天板同士を引寄せる方向に付勢し得るように構成されている家具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議用のテーブルやワークステーション等として好適に使用される家具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の家具システムとして、中間脚に支持された中間ステー上で、隣接する天板の端部同士を突き合わせて連結したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、この種の家具システムは、中間ステーの両側に連結金具を配置し、これら両連結金具の先端部を対応する各天板の下面に形成された凹陥部の内側面に係合させ、これら両連結金具の基端部を前記中間ステーに貫通させたボルトとナットとによって相寄る方向に緊締することによって、両天板を突き合わせ状態で連結することができるようになっている。
【0004】
そのため、左右の連結部材やボルト・ナット等が中間ステーの外部に露出することになり、下肢空間が狭められるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上説明した課題を解消することができる家具システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係る家具システムは、中間脚に支持された中間ステー上で、対をなす天板の端部同士を突き合わせてなる家具システムであって、前記中間ステー内に、前記両天板同士を引き寄せて突き合わせる天板引込み機構を着脱可能に設けており、前記天板引込み機構を前記中間ステー内に収容しているものである。
【0008】
ここで、「天板の端部同士を突き合わせる」とは、天板の端部同士を直接突き合わせる状態と、天板の端部同士をスペーサ等の介在物を介して間接的に突き合わせる状態とを含む概念である。また、「中間ステー」は中間脚に一体に設けられたものであってもよい。
【0009】
請求項2記載の発明に係る家具システムは、請求項1記載のものであって、前記天板引込み機構が、対応する天板にそれぞれ係合する対をなす引込み部材と、これら引込み部材を相寄る方向に付勢して前記天板同士を引寄せる付勢手段とを備えたものである。
【0010】
請求項3記載の発明に係る家具システムは、中間脚に支持された中間ステー上で、対をなす天板の端部同士を突き合わせてなる家具システムであって、前記中間ステー内に、前記両天板同士を引き寄せて突き合わせる天板引込み機構を着脱可能に設けており、前記天板引込み機構は、対応する天板にそれぞれ係合する対をなす引込み部材と、これら引込み部材を相寄る方向に付勢して前記天板同士を引寄せる付勢手段とを備え、前記付勢手段が、前記両引込み部材を少なくとも初期位置から前記天板同士が密接する引込み位置までの間で接離動作し得るように案内する案内要素と、前記両引込み部材を初期位置方向に付勢するばね要素と、このばね要素の弾性力に抗して前記両引込み部材を前記引込み位置方向に移動させるねじ送り要素とを備えたものである。
【0011】
請求項4記載の発明に係る家具システムは、請求項3記載のものであって、前記中間ステーが、前記天板引込み機構を内部に収納可能な中空体状のものであり、この中間ステーの天壁に、前記ばね要素の伸縮を利用して前記天板引込み機構を当該中間ステー内に収容するための開口部が設けられているものである。
【0012】
請求項5記載の発明に係る家具システムは、中間脚に支持された中間ステー上で、対をなす天板の端部同士を突き合わせてなる家具システムであって、前記中間ステー内に、前記両天板同士を引き寄せて突き合わせる天板引込み機構を着脱可能に設けており、前記天板引込み機構は、前記中間ステーに遊動可能に保持されたものであり、当該天板引込み機構により前記両天板を突き合わせて緊締した状態でも、これら両天板を前記中間ステーに対して遊動させることができるように構成されているものである。
【0013】
請求項6記載の発明に係る家具システムは、中間脚に支持された中間ステー上で、対をなす天板の端部同士を突き合わせてなる家具システムであって、前記中間ステー内に、前記両天板同士を引き寄せて突き合わせる天板引込み機構を着脱可能に設けており、前記天板引込み機構は、対応する天板にそれぞれ係合する対をなす引込み部材と、これら引込み部材を相寄る方向に付勢して前記天板同士を引寄せる付勢手段とを備え、前記天板が、少なくとも端部において天壁と係合孔を有する底壁との間に空間を有する中空体構造をなすものであり、前記引込み部材が、前記中間ステー内に収容された基端部と、この基端部の上縁から中間部を介して前記中間ステー外に突出し前記係合孔を通して前記天板内に挿入される先端部とを備えたものであり、当該引込み部材の前記中間部で前記係合孔の開口縁を前記天板同士を引寄せる方向に付勢し得るように構成されているものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、中間ステー内に、両天板同士を引き寄せて突き合わせる天板引込み機構を設けているので前述した課題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る家具システムを示す斜視図。
【
図2】同実施形態に係る家具システムを示す斜視図。
【
図3】同実施形態に係る家具システムの要部を示す分解斜視図。
【
図4】同実施形態に係る家具システムの要部を示す分解斜視図。
【
図5】同実施形態に係る中間ステーの要部を示す平面図。
【
図6】同実施形態に係る中間ステー及び天板引込み機構を示す平面図。
【
図7】同実施形態に係る天板引込み機構を示す平面図。
【
図8】同実施形態に係る天板引込み機構を示す正面図。
【
図9】同実施形態に係る天板引込み機構を示す左側面図。
【
図10】同実施形態に係る天板引込み機構を示す右側面図。
【
図11】同実施形態に係る天板引込み機構の取付手順を示す説明図。
【
図12】同実施形態に係る天板引込み機構の取付手順を示す説明図。
【
図13】同実施形態に係る天板の取付手順を示す説明図。
【
図14】同実施形態に係る天板の取付手順を示す説明図。
【
図15】同実施形態に係る天板の取付手順を示す説明図。
【
図16】本発明の他の実施形態に係る天板引込み機構を示す斜視図。
【
図17】同実施形態に係る天板引込み機構を示す平面図。
【
図18】同実施形態に係る天板引込み機構を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態は、家具システムである会議用のテーブルTに本発明を適用した場合のものである。このテーブルTは、
図1及び
図2に示すように、天板1を中間脚ユニット2とこの中間脚ユニット2にビーム3を介して連結される端部脚4とによって支持させたものである。
【0018】
天板1は、
図1及び
図2に示すように、一端を中間脚ユニット2に支持させるとともに他端を端部脚4に支持させた平面視長方形状のもので、
図15に示すように、下面に取付用のナット15等が埋設されている。この実施形態では、配線挿通領域SSを介して対面配置された対をなす天板1が中間脚ユニット2の両側にそれぞれ配されている(以下、正面視左側の天板を「天板1(L)」と称し、正面視右側の天板を「天板1(R)」と称する場合がある)。天板1は、
図13~
図15に示すように、少なくとも端部において天壁11と係合孔13aを有する底壁13との間に空間1sを有する中空体構造をなすものであり、係合孔13aは、例えば底面視四角形状をなしている。具体的には、天板1の端部は、例えば、天壁11と、この天壁11の端縁から垂下させた端壁12と、この端壁12の下縁から内方に延びる底壁13と、天壁11の上面に添設された化粧板14とを備えてなり、前記天壁11と、端壁12と、底壁13とは板金製のものである。そして、
図3及び
図15に示すように、前記底壁13における端壁12近傍部分に底面視四角形状の係合孔13aが穿設されている。この実施形態では、左右の天板1(L)、1(R)は、スペーサ9を介して突き合わされ連結されている。このスペーサ9は、
図3に示すように、天板1の端壁12間に配されるスペーサ本体91と、このスペーサ本体91の両側面に突設され天板1の端壁12に設けられた位置決め孔12aに嵌合する突起92とを備えたものである。この実施形態では、天板1の奥行寸法の半分の長さ寸法を有するスペーサ9を2本使用して左右の天板1(L)、1(R)間に配設している。なお、図中では、正面視左側の天板の全てに符号1(L)、正面視右側の天板の全てに符号1(R)を付している。
【0019】
このテーブルTは、
図1、
図2及び
図4に示すように、ステー取付部50を有する中間脚である脚支柱5と、この脚支柱5のステー取付部50に取り付けられた中間ステー6と、この中間ステー6に取り付けられたビーム取付具7とを備えた中間脚ユニット2を具備し、その中間脚ユニット2によって天板1の一部を支持している。換言すれば、このテーブルTは、脚支柱5に支持された中間ステー6上で、対をなす天板1の端部同士を突き合わせてなるものである。そして、その中間ステー6内には、両天板1(L)、1(R)同士を引き寄せて突き合わせる天板引込み機構8が着脱可能に設けられている。
【0020】
中間ステー6は、
図4及び
図6に示すように、天板引込み機構8を内部に収納可能な中空体状のものであり、この中間ステー6の天壁61に、ばね要素たるコイルスプリング86の伸縮を利用して天板引込み機構8を当該中間ステー6内に収容するための開口部6aが設けられている。開口部6aは、後述するように、天板引込み機構8を中間ステー6内に着脱可能に挿入し得る形状をなしている。
【0021】
ここで、
図1はテーブルTを示す上面側からの全体斜視図であり、
図2は同テーブルTを示す底面側からの全体斜視図である。
図3は左右の天板1(L)、1(R)及びこれらの間に配されるスペーサ9を示す分解斜視図であり、
図4は中間ステー6および天板引込み機構8を示す分解斜視図である。
図5は中間ステー6の端部を示す平面図であり、
図6は中間ステー6の開口部6aに天板引込み機構8を挿入した状態を示す平面図である。
【0022】
天板引込み機構8は、
図7~
図10及び
図14に示すように、対応する天板1にそれぞれ係合する対をなす引込み部材81(以下、正面視左側の引込み部材を「引込み部材81(L)」と称し、正面視右側の引込み部材を「引込み部材81(R)」と称する場合がある)と、これら引込み部材81を相寄る方向に付勢して天板1同士を引寄せる付勢手段82とを備えたものである。なお、図中では、正面視左側の引込み部材の全てに符号81(L)、正面視右側の引込み部材の全てに符号81(R)を付している。
【0023】
引込み部材81は、
図7~
図14に示すように、中間ステー6内に収容された基端部81aと、この基端部81aの上縁から中間部81bを介して中間ステー6外に突出し前述した係合孔13aを通して天板1内に挿入される先端部81cとを備えたものであり、当該引込み部材81の中間部81bで係合孔13aの開口縁13xを天板1同士を引寄せる方向に付勢し得るように構成されている。
【0024】
具体的に説明すれば、
図7、
図8及び
図11~
図14に示すように、引込み部材81の基端部81aは、上方に開放されたボックス状のもので、平面視四角形状の底板811と、この底板811の外辺から上方に延出する外板812と、底板811の内辺から上方に延出する内板813と、底板811の両側辺から上方に起立させた側板814とを備えている。外板812の両側端は、両側板814の外面よりも突出しており、この外板812の両突出端には外方に延びる延出板815が設けられている。延出板815の上端部は、外板812の上縁よりも上方に突出させてある。そして、当該基端部81aが中間ステー6内に収容された状態では、基端部81aの底板811の下面が中間ステー6の底板62の内面に当接するとともに、延出板815の上端815xが中間ステー6の天壁61内面に近接し得るようになっている。
【0025】
引込み部材81の中間部81bは、
図8~
図14に示すように、基端部81aにおける外板812の上縁から上方に突出させたもので、その外板812と同一厚みを有する平板状をなしている。中間部81bは、基端部81aが中間ステー6内に収容された状態で、開口部6aを通して中間ステー6外に延出しており、その中間部81bが天板1の係合孔13aの開口縁13xに係合し得るようになっている。
【0026】
引込み部材81の先端部81cは、
図8~
図14に示すように、中間部81bの上端から上方に延出したもので、その中間部81bと同一の厚みを有する平板状をなしている。先端部81cは、幅寸法が上方に向かって漸次小さくなる形態をなし、基端部81aが中間ステー6内に収容された状態で、中間ステー6上に載置された天板1の係合孔13aを通して当該天板1内に挿入されるようになっている。
【0027】
左右対をなす引込み部材81は、同一の形状をなすもので、例えば、合成樹脂により一体に作られており、相互に180°姿勢を異ならせて配されている。しかして、各引込み部材81の基端部81aにおける外板812には、
図11~
図14に示すようにボルト挿通用の丸孔816がそれぞれ形成されているとともに、内板813にはその丸孔816に軸心を一致させた正多角形状をなす角孔811gがそれぞれ設けられている。そして、右側の引込み部材81(R)の基端部81aに雌ねじ孔83aを有した断面正多角形をなす棒状ナット83が固定されている。すなわち、基端部81aの角孔811gに回転不能に貫通させた棒状ナット83の端面を当該基端部81aの外板812に当接させ、その棒状ナット83に外板812の外側から丸孔816を通して挿入した固定用ボルト84を螺着することによって、当該棒状ナット83を右側の引込み部材81(R)に固定している。そして、右側の引込み部材81(R)に固定された棒状ナット83に左側の引込み部材81(L)の基端部81aに設けられた角孔811gをスライド可能に外嵌させることによって、左側の引込み部材81(L)が、右側の引込み部材81(R)に対して相対的に切離動作し得るようになっている。この状態で、左側の引込み部材81(L)の丸孔816に貫入させた調整用ボルト85を棒状ナット83に螺合させることによって、両引込み部材81の相対的な切離動作範囲を調整し得るようになっている。なお、両引込み部材81の基端部81a間には、棒状ナット83に巻装した状態で圧縮コイルスプリング86が介在させてあり、この圧縮コイルスプリング86の弾性反発力により両引込み部材81が初期位置(P)に保持される。この初期位置(P)は、前述したように調整用ボルト85を棒状ナット83に対して螺合進退させることによって変更することができる。
【0028】
付勢手段82は、
図6、
図7及び
図11~
図14に示すように、両引込み部材81を少なくとも初期位置(P)から天板1同士が密接する引込み位置(Q)までの間で接離動作し得るように案内する案内要素821と、両引込み部材81を初期位置(P)方向に付勢するばね要素たるコイルスプリング86と、このコイルスプリング86の弾性力に抗して両引込み部材81を前記引込み位置(Q)方向に移動させるねじ送り要素822とを備えたものである。
【0029】
この実施形態の場合、案内要素821は、
図6、
図7及び
図11~
図14に示すように、右側の引込み部材81(R)に固定された棒状ナット83と、左側の引込み部材81(L)に設けられ棒状ナット83に回転不能に且つスライド可能に嵌合する角孔811gを有する基端部81aとを備えたものである。また、この実施形態におけるねじ送り要素822は、右側の引込み部材81(R)に固定された棒状ナット83と、左側の引込み部材81(L)に回転可能に支持されその棒状ナット83に螺合する調節用ボルト85とからなるものである。
【0030】
中間ステー6の天壁61に開設された開口部6aは、
図5及び
図6に示すように、両引込み部材81の基端部81aが通過可能な太溝部分6a1と、この太溝部分6a1の左端近傍に設けられ左側の引込み部材81(L)の外板812及び延出板815が通過可能な第1の細溝部分6a2と、調整用ボルト85の頭部85aが通過可能な凹欠部分6a3と、太溝部分6a1の右端近傍に設けられ右側の引込み部材81(R)の外板812及び延出板815が通過可能な第2の細溝部分6a4とを備えたものである。
【0031】
この開口部6aを通して中間ステー6内に天板引込み機構8を挿入する手順は、次の通りである。まず、調整用ボルト85をコイルスプリング86の付勢力に抗して締め込んだり緩めたりすることによって、両引込み部材81を所定の初期位置(P)に保持させる。ここで、「引込み位置(Q)」とは、両引込み部材81により両天板1の端部同士がスペーサ9を介して強く付き合い緊締される位置を意味し、「初期位置(P)」とは両引込み部材81が引込み位置(Q)よりも離間している待機用の位置を意味している。この実施形態の場合は、両引込み部材81の基端部81aが中間ステー6の側壁63内面に当接又は近接し得る位置を「初期位置(P)」としている。
【0032】
この状態から
図11に示すように、天板引込み機構8を傾けて左側の引込み部材81(L)を先に開口部6aに挿入し、しかる後に、
図12に示すように両引込み部材81をコイルスプリング86の付勢力に抗して若干接近させつつ右側の引込み部材81(R)をも開口部6aを通して中間ステー6内に挿入する。両引込み部材81を接近させる操作は、これら両引込み部材81の先端部81cを摘まんで相寄る方向に付勢することにより行う。そして、天板引込み機構8が中間ステー6内に装填された段階で両先端部から手を放すと、コイルスプリング86の弾性反発力によって両引込み部材81が離間し、元の初期位置(P)に自己復帰する。中間ステー6内で天板引込み機構8が初期位置(P)に自己復帰すると、この天板引込み機構8をそのままの姿勢で開口部6aから外に抜き出すことができなくなる。この装着状態では、中間ステー6の上面から両引寄せ部材81の先端部81c及び中間部81bが突出することになる。装着状態の天板引込み機構8は中間ステー6に対して大きく遊動することはないが、後述する引込み位置(Q)に接近させた場合には、引込み部材81の基端部81aと中間ステー6の側壁63との間に隙間が形成されるため、天板引込み機構8全体が、中間ステー6に対して比較的大きく遊動できることになる。
【0033】
このようにして、中間ステー6に天板引込み機構8を装着した後、その中間ステー6上に左右の天板1の端部を載置すると、両引寄せ部材81の先端部81cの案内作用によりこれら先端部81cが対応する天板1の下面に設けられた係合孔13aにそれぞれ導かれ、天板1内部に挿入される。左右の天板1の端部が中間ステー6に載置された段階では、左右側の引込み部材81(R)の先端部81cが対応する天板1の係合孔13aを通して当該天板1内に挿入されるとともに、各引込み部材81の中間部81bが対応する係合孔13aの縁に臨むことになる。
【0034】
この載置状態から、両天板1の端部間にスペーサ9を介在させた上で、調整ボルト85を六角レンチ等の工具で中間ステー6外から回転操作して両引込み部材81を相寄る方向、すなわち、引込み位置(Q)方向に移動させると、各引込み部材81の中間部81bがそれぞれ対応する係合孔13aの縁に当接し、左右の天板1を相寄る方向に付勢することになる。その結果、左右の天板1の端部は相寄る方向に突き合わされ、両引込み部材81が引込み位置(Q)付近に達した段階で両天板1がスペーサ9を介して緊締連結される。なお、天板引込み機構8は、前述したように中間ステー6に対して遊動可能であるため、この天板引込み機構8と緊締連結された左右の天板1とは、この段階では中間ステー6に対して左右方向に遊動できる状態にある。
【0035】
左右の天板1が天板引込み機構8により緊締連結された段階で、天板1の下面に埋設されたナット15を中間ステー6の天壁61に設けられたボルト挿通孔6bに対応させ、止着用ボルト16をそのボルト挿通孔6bを通してナット15に螺着することによって両天板1を中間ステー6に固定することができる。止着用ボルト16を緊締して天板1を中間ステー6に固定するまでは、天板引込み機構8により相互に連結された天板1を中間ステー6に対して遊動させることができるので、止着用ボルト16のナット15への装着作業や、両天板1の中間ステー6に対する微妙な位置合わせなどを円滑に行うことができる。
【0036】
ここで、
図7は本実施形態の天板引込み機構8を示す平面図、
図8は同正面図、
図9は同左側面図、
図10は同右側面図である。また、
図11は天板引込み機構8を傾けて左側の引込み部材81(L)を開口部6aに挿入する直前の状態を示す断面図、
図12は右側の引込み部材81(R)を開口部6aに挿入する直前の状態を示す断面図、
図13は中間ステー6に両天板1を載置する直前の状態を示す断面図、
図14はスペーサ9を介して両天板1を突き合わせた状態を示す断面図である。これら
図11~
図14は、
図6におけるA-A線に対応する部位に沿った天板1、中間ステー6、天板引込み機構8及びスペーサ9のみを示す断面図である。
図15は中間ステー6への天板1の固定態様を示す作用説明図であり、
図6におけるB-B線に対応する部位に沿った天板1、中間ステー6、天板引込み機構8及びスペーサ9のみを示す断面図である。
【0037】
このような構成のものであれば、天板1同士を連結するための天板引込み機構8を中間ステー6内に収容しているので、中間ステー6外に天板1を連結するための機構類を配しているものに比べて下肢空間を広くすることができる。そして、外観も良好なものとなる上に、天板1下が煩雑になって使用者の動きを制限するような不具合も緩和することができる。また、天板引込み機構8を中間ステー6に着脱可能に設けているので、中間ステー6と天板引込み機構8とを別々の製造ラインで製造することが容易になり、また、天板引込み機構8の動作確認なども確実に行うことができる。
【0038】
また、対をなす引込み部材81を、案内要素821により安定した状態で切離動作し得るようにするとともに、ねじ送り要素822を有する付勢手段82により両引込み部材81を相寄る方向に付勢するように構成しているので、円滑かつ強力に両天板1を引寄せて連結することができる。
【0039】
さらに、天板引込み機構8は、両引込み部材81を相寄る方向に変位させながら中間ステー6の開口部6aを通して当該中間ステー6内に挿入する構成をなしており、挿入後はコイルスプリング86の弾性反発力によって両引込み部材81が初期位置(P)に自己復帰するようになっている。そのため、一旦中間ステー6に装着された天板引込み機構8は、前述した特殊な操作をしない限りは中間ステー6から脱落することはない。中間ステー6内で初期位置(P)に自己復帰した両引込み部材81は、その基端部81aにおける延出板815が中間ステー6の側壁63内面に当接又は近接する状態となる。また、初期位置(P)においては各基端部81aの延出板815の上端815xは、中間ステー6の天壁61内面に近接している。そのため、当該天板引込み機構8が中間ステー6に対して必要以上に揺れ動いたり脱落するのを防止することができる。
【0040】
また、天板引込み機構8は、中間ステー6に遊動可能に保持されたものであり、当該天板引込み機構8により両天板1を突き合わせて緊締した状態でも、これら両天板1を中間ステー6に対して遊動させることができるように構成されている。そのため、両天板1を最終的に固定する前に、これら天板1を中間ステー6に対して微妙に位置調整することができる。したがって、この実施形態では、固定用ボルト15を天板1のナット14に螺着する際の装着作業が比較的容易になるとともに、両天板1を正確に中間ステー6の所定箇所に固定することができる。
【0041】
さらに、両天板1は、少なくとも端部において天壁11と係合孔13aを有する底壁13との間に空間1sを有する中空体構造をなすものであり、引込み部材81が、中間ステー6内に収容された基端部81aと、この基端部81aの上縁から中間部81bを介して中間ステー6外に突出し係合孔13aを通して天板1内に挿入される先端部81cとを備えたものであるため、両天板1を無理なく強力に引き込んで連結することが可能となる。すなわち、付勢手段であるねじ送り要素82が配されている引込み部材6の基端部81aに近い中間部81bで天板1の係合孔13aの縁を押圧するようにしているので、基端部81aから遠い先端部81cで天板1を押圧する場合に比べて両引込み部材81に作用する回転モーメントを無理なく軽減することが可能となり、円滑かつ強力に天板1同士を連結することができる。
【0042】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0043】
例えば、上述した実施形態の天板引込み機構8に代えて、以下に述べるような天板引込み機構80を採用してもよい。
【0044】
この天板引込み機構80も、
図16~
図18に示すように、対応する天板1にそれぞれ係合する対をなす引込み部材810と、これら引込み部材810を相寄る方向に付勢して天板1同士を引寄せる付勢手段82とを備えたものである。なお、
図17、
図18中では、正面視左側の引込み部材に符号810(L)、正面視右側の引込み部材に符号810(R)を付している。
【0045】
引込み部材810は、以下に述べる点を除き、上述した実施形態の引込み部材81と同様の構成を有する。この引込み部材810の基端部81aは、上方、前方及び後方に開放されたチャネル状のもので、平面視四角形状の底板811と、この底板811の外辺から上方に延出する外板812と、底板811の内辺から上方に延出する内板813を備えている。すなわち、この引込み部材810は、上述した実施形態の引込み部材81の側板814を省略し前後方向に開放させた態様のものである。
【0046】
この天板引込み機構80のその他の部位については、上述した実施形態における対応する各部位と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0047】
また、上述した実施形態では、中間ステーを有する中間脚ユニットを1つのみ有する会議用のテーブルに本発明を適用しているが、中間ステーを有する中間脚ユニットを複数有するテーブルに本発明を適用してもよい。
【0048】
中間脚ユニットは、中間ステーを当該中間ステーと別体をなす中間脚に支持させたものだけでなく、中間ステーと中間脚とが一体に設けられたものであってもよい。
【0049】
さらに、会議用のテーブルに限らず、ワークステーションその他の天板付き家具において、中間ステーを有する中間脚ユニットを少なくとも1つ有するものにも同様に本発明を適用してもよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、スペーサを介して天板同士を突き当てるようにしているが、天板同士を直接突き当てるようにしてもよい。
【0051】
さらに、上述した実施形態の天板引込み機構は、対をなす引込み部材がそれぞれ対応する天板に係合するようになっているが、一方の引込み部材のみが対応する天板に係合する構成を採用してもよい。換言すれば、一方の天板及び一方の引き込み部材をあらかじめ中間ステーに相対移動不能に固定しておき、他方の引き込み部材に他方の天板を係合させ、これら他方の引き込み部材及び他方の天板をそれぞれ一方の引き込み部材及び一方の天板に向けて引き寄せるようにする態様等を採用してもよい。
【0052】
加えて、上述した実施形態では、天板引込み機構が両引込み部材を初期位置方向すなわち互いに離間する方向に付勢するばね要素を有するが、ばね要素は必ずしも設ける必要はない。
【0053】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0054】
T…家具システム(テーブル)
1…天板
11…天板の天壁
13…天板の底壁
13a…係合孔
1s…空間
2…中間脚ユニット
5…中間脚(脚支柱)
6…中間ステー
61…中間ステーの天壁
6a…開口部
8、80…天板引込み機構
81、810…引込み部材
81a…引込み部材の基端部
81b…引込み部材の中間部
81c…引込み部材の先端部
82…付勢手段
821…案内要素
822…ねじ送り要素
86…ばね要素(圧縮コイルスプリング)