(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】ヘアカラー剤用包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20240618BHJP
B65D 30/02 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B65D30/02
(21)【出願番号】P 2020090458
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-026278(JP,A)
【文献】特開平10-298777(JP,A)
【文献】特開平08-033867(JP,A)
【文献】特公昭54-018664(JP,B2)
【文献】特開2019-104501(JP,A)
【文献】特開2006-069039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B65D 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノエタノールアミンを含有するヘアカラー剤を密封包装する包装袋であって、その層構成中に金属又は合金から成るバリア層を有し、かつ、最内層にシーラント層が配置された包装袋において、前記バリア層表面に表面処理層が設けられ、この表面処理層に接して接着層が設けられており、前記接着層がイソシアネート化合物を含む接着剤を硬化して構成されていると共に、前記表面処理層が、ジルコニウム原子を含むアクリル樹脂であって、
水酸基を持たないアクリル樹脂で構成されていることを特徴とするヘアカラー剤用包装袋。
【請求項2】
前記イソシアネート化合物が、2官能のイソシアネートモノマーを3官能化させたイソシアネートモノマーの誘導体から成ることを特徴とする請求項1記載のヘアカラー剤用包装袋。
【請求項3】
前記バリア層が、厚さ5~50μmのアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘアカラー剤用包装袋。
【請求項4】
前記接着層に接して押出し樹脂層が配置され、かつ、この押出し樹脂層によって前記シーラント層が接着されており、このシーラント層と前記バリア層とのラミネート強度が3.0mN/15mm幅以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のヘアカラー剤用包装袋。
【請求項5】
前記押出し樹脂層が、厚さ15~30μmの熱可塑性ポリエチレン樹脂からなることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のヘアカラー剤用包装袋。
【請求項6】
前記シーラント層が、20~80μmの厚さであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のヘアカラー剤用包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘアカラー剤用包装袋に関し、包装材中のバリア層にピンホールが生じ難い包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から医薬品や食品、電子材料等の分野において、酸素の侵入によりその品質が劣化するような内容物を包装する、酸素バリア性の高い包装袋が知られている(例えば、特許文献1参照)。酸素の影響を受け易い内容物として、ヘアカラー剤がある。ヘアカラー剤は容易に酸化され変色することと、モノエタノールアミンを含むなどして高い浸透性を有するため、包装袋には高いバリア性が必要であり、アルミ箔などの金属箔を組み合わせた包装袋が使用されることが多い。
【0003】
しかしながらアルミ箔などの金属箔は、ヘアカラー剤のような高い酸性もしくはアルカリ性の内容物によって腐食して、細かなピンホールを生じることが知られている。ピンホールを生じるとバリア性が劣化してその部分から酸素が侵入し、ヘアカラー剤に斑点状の変色が発生する。そのため、アルミニウム箔などの金属箔に化成処理を施すことが行われている。
【0004】
例えば特許文献2には、ヘアカラー剤用包装材として、アルミニウム箔とシーラントフィルムを熱可塑性樹脂の押し出しにより接着することによって、ヘアカラー剤によるデラミネーションを防止し、かつアルミニウム箔表面に表面処理を行うことによって腐食防止を行うものが開示されている。
【0005】
ところで、このような表面処理の一種として、ジルコニウム原子を含むアクリル樹脂を塗布して、その皮膜を形成する処理がある。
【0006】
しかしながら、前記アルミニウム箔表面にこのようなジルコニウム原子を含むアクリル樹脂の表面処理層を形成すると、この表面処理層上に強固に樹脂を接着することができないという問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-56289号公報
【文献】特許第4945871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その層構成中に金属又は合金から成るバリア層を有し、このバリア層の表面にジルコニウム原子を含むアクリル樹脂の表面処理層を形成して、しかも、この表面処理層上に強固に樹脂を接着したヘアカラー剤用包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述のようにジルコニウム原子を含むアクリル樹脂の表面処理層上に樹脂を強固に接着することは困難であったが、本発明者等は、その原因が、前記接着剤に含まれるイソシアネート化合物と反応してこれを消費する化学基を前記アクリル樹脂が有しており、このため、接着剤が十分に硬化しないことにあることを発見した。例えば、水酸基である。
【0010】
そこで、本発明は、前記アクリル樹脂として、イソシアネート化合物と反応する化学基を持たないアクリル樹脂を使用することにより、前記表面処理層上に強固に樹脂を接着することを可能とした。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の発明は、モノエタノールアミンを含有するヘアカラー剤を密封包装する包装袋であって、その層構成中に金属又は合金から成るバリア層を有し、かつ、最内層にシーラント層が配置された包装袋において、前記バリア層表面に表面処理層が設けられ、この表面処理層に接して接着層が設けられており、前記接着層がイソシアネート化合物を含む接着剤を硬化して構成されていると共に、前記表面処理層が、ジルコニウム原子を含むアクリル樹脂であって、水酸基を持たない樹脂で構成されていることを特徴とするヘアカラー剤用包装袋である。
【0012】
次に、請求項2に記載の発明は、前記イソシアネート化合物が、2官能のイソシアネートモノマーを3官能化させたイソシアネートモノマーの誘導体から成ることを特徴とする請求項1記載のヘアカラー剤用包装袋である。
【0013】
次に、請求項3に記載の発明は、前記バリア層が、厚さ5~50μmのアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘアカラー剤用包装袋である。
【0014】
次に、請求項4に記載の発明は、前記接着層に接して押出し樹脂層が配置され、かつ、この押出し樹脂層によって前記シーラント層が接着されており、このシーラント層と前記バリア層とのラミネート強度が3.0mN/15mm幅以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のヘアカラー剤用包装袋である。
【0015】
次に、請求項5に記載の発明は、前記押出し樹脂層が、厚さ15~30μmの熱可塑性ポリエチレン樹脂からなることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のヘアカラー剤用包装袋である。
【0016】
次に、請求項6に記載の発明は、前記シーラント層が、20~80μmの厚さであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のヘアカラー剤用包装袋である。
【発明の効果】
【0017】
本発明においては、表面処理層に含まれるアクリル樹脂として、イソシアネート化合物と反応する化学基を持たないアクリル樹脂を使用しているため、接着剤に含まれるイソシアネート化合物を消費することがない。このため、接着剤が十分に硬化して、表面処理層と樹脂層とを強固に接着することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のヘアカラー剤用包装袋を構成する積層体の層構成例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明のヘアカラー剤用包装袋(以下、単に包装袋とも記す。)を構成する積層体1の層構成例を示す断面模式図である。包装袋は、印刷基材層11、インキ層12、中間基材層13、バリア層14、表面処理層15、接着層16、押出し樹脂層17、シーラント層18が順次積層された積層体1を、シーラント層18を対向させて周縁をヒートシールにより貼り合せ内部に収納部を設けて袋状に構成されている。また別途内容物の注出用に、注出口部材、ノズル、スパウト、キャップなどを適宜取り付けても良い。
【0021】
[印刷基材層11]
印刷基材層11は、耐熱性、ラミネート適性を有し、印刷適性を有するプラスチックフィルムであれば特に制限はなく、具体的にはポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66等)、ポリイミドなどが使用でき、その要求仕様に応じて適宜選択してよい。
【0022】
また、その厚みに関しても特に限定されるものではないが、通常は二軸延伸することによって得られる延伸フィルムが用いられ、9μm~50μmの範囲の厚みのものが望ましい。基材層としては上記から1種のみを使用した単層でも、2種以上を使用した多層でもよい。
【0023】
[インキ層12]
インキ層12は、隠蔽層とするほか、各種の文字情報、絵柄、デザインなどを設けても良く、公知の印刷法を適宜選択して設けることができ、例えばグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法を用いることができる。
【0024】
[中間基材層13]
中間基材層13は、ヘアカラー剤に主要成分として含まれるモノエタノールアミンと溶解度パラメータ(SP値)が大きく異なる樹脂とすることで、相溶性が低下し内層側に設けられた金属または合金からなるバリア層14に何らかの理由によりピンホールが生じた場合でも、ヘアカラー剤がより外層側のインキ層および印刷基材層に浸透するのを抑制することができ、ピンホール部でバリア性が低下して内容物のヘアカラー剤にスポット状等の変色が発生するのを抑制できる。
【0025】
モノエタノールアミンのSP値は16.3であるところ、中間基材層13を構成する樹脂をSP値が11未満のものとすると、十分な差が得られることを見出した。具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、塩ビ・酢ビ共重合樹脂、エチルセルロース、酢酸セルロース、エポキシ樹脂などが例示できる。また、中間基材層13には金属蒸着または無機物蒸着がなされても良い。
【0026】
中間基材層13の厚さは特に限定するものではないが、8μm~50μmの範囲のものが好ましい。
【0027】
[バリア層14]
バリア層14は、金属箔からなる層であり、金属箔の材料としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス等が使用できるが、なかでも、汎用性、フレキシブル性の観点からアルミニウムまたはアルミニウム合金が特に望ましい。また、金属箔は、薄いほどピンホールが発生しやすいため、必要なバリア性を確保するためには厚さが5μm~50μmであることが望ましい。
【0028】
内容物を押し出して吐出させた後に起こるエアバックによる酸素流入を防ぐために包装袋にデッドホールド性を持たせる場合は、アルミニウム箔の場合、厚みを12μm以上とするとさらに好ましい。
【0029】
[表面処理層15]
表面処理層15は、バリア層14を構成する金属箔とこれに隣接する層とが、ヘアカラー剤が浸出したときにデラミネーションを起こすことがあるため、それを防ぐために設けられるもので、ジルコニウム原子を含むアクリル樹脂を塗布して形成したものであることが必要である。
【0030】
また、このアクリル樹脂が水酸基(OH基)等を有する場合には、接着層16を形成する接着剤に含まれるイソシアネート化合物がこの水酸基(OH基)等と反応して消費されて、金属箔と樹脂層との間のラミネート強度が低下するから、前記アクリル樹脂は、水酸基(OH基)等のイソシアネート化合物と反応する化学基を持たないことが必要である。
【0031】
このようにジルコニウム原子を含み、かつ、イソシアネート化合物と反応する化学基を持たないアクリル樹脂としては、例えば、日本ペイントサーフケミカルズ社製サーフコート147/148が使用できる。
【0032】
[接着層16]
接着層16は、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその水素添加体などの各種ジイソシアネート系モノマーを、トリメチロールプロパンやグリセロールなどの3官能の活性水素含有化合物と反応させたアダクトタイプや、水と反応させたビウレットタイプや、イソシアネート基の自己重合を利用したトリマー(イソシアヌレート)タイプなど3官能性の誘導体を用いると浸透性の強い内容物に対しても耐性が強く、デラミネーションを起こし難く好適である。またそれ以上の多官能性の誘導体を用いることも出来る。
【0033】
接着層16の厚みは特に限定するものではないが、接着力の観点からは、10nm~500nmであると好ましく、100nm~250nmであるとより好ましい。
【0034】
[押出し樹脂層17]
押出し樹脂層17は、前記表面処理層15及び接着層16と共同して、バリア層14とシーラント層18とを強固に接着する役割を果たすものである。すなわち、前記表面処理層15は前記バリア層14に接して設けられ、前記接着層16は前記表面処理層15に接して設けられる。そして、この接着層16とシーラント層18との間に溶融した樹脂を押し出し、この樹脂で構成した押出し樹脂層17を介在させて接着層16とシーラント層18とを押圧してすることにより、バリア層14、表面処理層15、接着層16、押出し樹脂層17及びシーラント層18を一体化することができる。
【0035】
なお、ジルコニウム原子を含み、かつ、イソシアネート化合物と反応する化学基を持たないアクリル樹脂によって前記表面処理層15を構成し、イソシアネート化合物を含む接着剤を硬化して接着層16を構成したとき、シーラント層18とバリア層14とを、3.0mN/15mm幅以上の高いラミネート強度で強固に接着一体化することが可能である。
【0036】
押出し樹脂層17としては、熱可塑性のポリエチレン樹脂が好適に用いられ、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなどが例示できる。その厚さは15μm以上30μm以下が好ましい。
【0037】
[シーラント層18]
シーラント層18は、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂などからなる層である。具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体などのエチレン系樹脂や、ホモ・ブロック・ランダムの各ポリプロピレン樹脂や、プロピレン-αオレフィン共重合体などのプロピレン系樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体やエチレン-メタクリル酸共重合体などのエチレン-α,β不飽和カルボン酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチルやエチレン-アクリル酸エチルやエチレン-メタクリル酸メチルやエチレン-メタクリル酸エチルなどのエチレン-α,β不飽和カルボン酸共重合体のエステル化物、カルボン酸部位をナトリウムイオン、亜鉛イオンで架橋した、エチレン-α,β不飽和カルボン酸共重合体のイオン架橋物、エチレン-無水マレイン酸グラフト共重合体やエチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸のような三元共重合体に代表される酸無水物変性ポリオレフィン、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体などのエポキシ化合物変性ポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体から選ばれる樹脂の単体あるいは2種以上のブレンド物などにより設けられる。
【0038】
これらの構成材料には、必要に応じて各種添加剤(酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤、各種フィラーなど)を添加しても構わない。またシーラント層18の厚みは、耐ピンホール性の観点から、20~80μmであることが好ましい。
【0039】
以上のように構成した積層体1を貼り合せた包装袋では、表面処理層に含まれるアクリル樹脂として、イソシアネート化合物と反応する化学基を持たないアクリル樹脂を使用しているため、接着剤が十分に硬化して、表面処理層15と押出し樹脂層17とを強固に接着することができる。この結果、印刷基材層11からシーラント層18まで、その全体が強固に一体化する。
【0040】
しかも、表面処理層15はジルコニウム原子を含むアクリル樹脂で構成されており、この表面処理層15がバリア層14に設けられているため、モノエタノールアミンを含有するヘアカラー剤を密封包装した場合でも、バリア層14とこれに隣接する層とがデラミネーションを起こすことがない。
【実施例】
【0041】
<実施例>
印刷基材層11として、延伸ナイロン(ONY)フィルム(コウジン製、ボニールw、厚さ15μm)を使用し、グラビア印刷法により白色印刷層を設けてインキ層12とした。
また、中間基材層13としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(フタムラ化学製、FE2001、厚さ12μm)を使用した。
【0042】
また、バリア層14として、アルミ箔(東洋アルミ製、8079材、厚さ9μm)を使用した。
【0043】
そして、ウレタン系接着剤(主剤:三井化学製、タケラックA626、硬化剤:三井化学製、タケネートA50)を用いて、印刷基材層11、インキ層12、中間基材層13、バリア層14の順に積層して、中間積層体を製造した。
【0044】
次に、アクリル樹脂として、日本ペイントサーフケミカルズ社製サーフコート147/148を使用し、このアクリル樹脂を前記中間積層体のバリア層14の表面に塗布して、表面処理層15を形成した。
【0045】
次に、接着剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットタイプを主成分とする接着剤を使用し、これを前記表面処理層15上に塗布して接着層16を形成した。
【0046】
次に、押出し樹脂層17を構成する樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)(日本ポリエチレン製、LC600A)を使用し、シーラント層18として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(フタムラ化学製、LL-MTNST)を使用した。そして、前記LDPEを加熱溶融して、前記接着層16とシーラント層18との間に膜状に押出し、全体を押圧して一体化することにより、積層体1を製造した。
【0047】
<比較例>
表面処理層15を構成するアクリル樹脂として日本ペイントサーフケミカルズ社製サーフコートEC1000A/Bを使用したほかは、実施例と同様に積層体1を製造した。
【0048】
なお、サーフコートEC1000A/Bは、ジルコニウム原子(Zr)を有するアクリル樹脂であり、OH基を有している。
【0049】
<評価>
実施例及び比較例の積層体について、引張試験機を使用してバリア層14と押出し樹脂層17との間で剥離し、そのラミネート強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0050】
【0051】
この結果から、イソシアネート化合物と反応する化学基を持たないアクリル樹脂で表面処理層15を構成した場合(実施例)の方が、そのラミネート強度が高いことが理解できる。
【符号の説明】
【0052】
1:積層体 11:印刷基材層 12:インキ層 13:中間基材層 14:バリア層 15:表面処理層 16:接着層 17:押出し樹脂層 18:シーラント層