(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】受容装置及び記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/26 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
B65H31/26
(21)【出願番号】P 2020104590
(22)【出願日】2020-06-17
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】濱田 展光
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-211821(JP,A)
【文献】特開2010-111463(JP,A)
【文献】特開平05-278921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する受入部材を備え、排出部から排出方向に排出されたシート状の媒体を前記受入部材において受け入れる受容装置であって、
前記受入部材は、前記媒体が接触する接触部を有し、
前記排出方向と交差する幅方向において、前記接触部の少なくとも一方の端部は、前記接触部に到達した前記媒体の少なくとも一方の端部よりも内側に位置
し、
前記受入部材の前記排出方向における前記接触部よりも下流の一部で且つ前記幅方向の端部は、前記媒体の前記幅方向の端部よりも外側に位置する、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項2】
可撓性を有する受入部材を備え、排出部から排出方向に排出されたシート状の媒体を前記受入部材において受け入れる受容装置であって、
前記受入部材は、前記媒体が接触する接触部を有し、
前記排出方向と交差する幅方向において、前記接触部の少なくとも一方の端部は、前記接触部に到達した前記媒体の少なくとも一方の端部よりも内側に位置
し、
前記受入部材の前記幅方向の端部には、前記排出方向の下流が上流よりも前記幅方向の外側に位置する斜辺部が形成されている、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項3】
可撓性を有する受入部材を備え、排出部から排出方向に排出されたシート状の媒体を前記受入部材において受け入れる受容装置であって、
前記受入部材は、前記媒体が接触する接触部を有し、
前記排出方向と交差する幅方向において、前記接触部の少なくとも一方の端部は、前記接触部に到達した前記媒体の少なくとも一方の端部よりも内側に位置
し、
前記受入部材には、前記接触部の前記幅方向の長さを調節可能な調節部が設けられている、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項4】
請求項1
から請求項3のいずれか1項に記載の受容装置において、
前記接触部は、前記媒体が前記受入部材に最初に接触する部位である、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項5】
請求項1
から請求項4のいずれか1項に記載の受容装置において、
前記接触部の前記幅方向の両端部は、前記媒体の前記幅方向の両端部よりも内側に位置する、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項6】
請求項1から
請求項5のいずれか1項に記載の受容装置において、
前記接触部は、前記幅方向から見て、前記排出方向の下流部分が上流部分よりも鉛直方向の下側に位置する傾斜配置されている、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項7】
請求項3に記載の受容装置において、
前記調節部は、前記接触部の前記幅方向の両端部が前記媒体の前記幅方向の両端部よりも内側に位置するように、前記接触部の前記幅方向の長さを調節可能とされている、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項8】
請求項3又は
請求項7に記載の受容装置において、
前記調節部は、
前記受入部材の前記幅方向の端部から中央部に向かって切り込まれる切込部と、
前記受入部材において前記切込部に対する前記排出方向の上流に位置する第1調節部と、
前記受入部材において前記切込部に対する前記排出方向の下流に位置する第2調節部と、
前記第1調節部及び前記第2調節部を前記媒体から離れた退避状態で保持する保持部と、を有する、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項9】
請求項8に記載の受容装置において、
前記退避状態では、
前記受入部材の前記幅方向の長さが、前記排出方向の上流から前記接触部に向かうほど短くなり、且つ前記排出方向の下流から前記接触部に向かうほど短くなっている、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項10】
請求項8又は
請求項9に記載の受容装置において、
前記調節部は、前記切込部の前記幅方向の長さを変更可能な変更部材を有する、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項11】
請求項10に記載の受容装置において、
前記変更部材は、前記受入部材において前記排出方向に複数設けられている、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項12】
請求項3又は
請求項7に記載の受容装置において、
前記受入部材は、前記接触部を含んで前記排出方向に分割された上流の第1受入部材と、下流の第2受入部材とを有し、
前記接触部には、前記第1受入部材の前記排出方向の下流端部と前記第2受入部材の前記排出方向の上流端部とで挟まれ、且つ前記上流端部の少なくとも一部と前記下流端部の少なくとも一部とを前記排出方向に接続及び分離可能な接離部材が設けられている、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項13】
請求項12に記載の受容装置において、
前記下流端部は、前記排出方向及び前記幅方向の両方と交差する交差方向において前記上流端部に重なり、且つ前記上流端部と前記媒体との間に位置し、
前記接離部材は、前記交差方向において前記下流端部と前記上流端部とに挟まれている、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項14】
請求項3又は
請求項7に記載の受容装置において、
前記調節部は、前記受入部材を前記排出方向に巻き取ることで前記接触部の前記排出方向の位置を変更する巻取部である、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項15】
請求項14に記載の受容装置において、
前記受入部材は、前記排出方向の上流から下流に向けて前記幅方向の長さが増加している、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項16】
請求項1から
請求項15のいずれか1項に記載の受容装置において、
前記幅方向における前記接触部の少なくとも一方の端部が、前記接触部に到達した前記媒体の少なくとも一方の端部よりも内側に位置するように、前記受入部材を前記幅方向に移動可能に支持する支持部が設けられた、
ことを特徴とする受容装置。
【請求項17】
装置本体に設けられ媒体に記録する記録部と、
前記装置本体から排出された前記媒体を受け入れる請求項1から
請求項16のいずれか1項に記載の受容装置と、を備えた、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受容装置及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の記録媒体の受け装置は、柔軟性を有するシート部材により構成されており、排出される記録媒体を該シート部材により受ける。シート部材における記録媒体の受け口には、排出フィルムが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、シート部材と排出フィルムが別体であるため、シート部材の状態だけでなく排出フィルムの状態も管理する必要があり、装置の取り扱いが煩雑となる。さらに、記録媒体と排出フィルムが接触するので、記録媒体の材質によっては、記録媒体と排出フィルムとの接触による摩擦力が大きくなり、記録媒体が排出フィルムに引っ掛かる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明に係る受容装置は、可撓性を有する受入部材を備え、排出部から排出方向に排出されたシート状の媒体を前記受入部材において受け入れる受容装置であって、前記受入部材は、前記媒体が接触する接触部を有し、前記排出方向と交差する幅方向において、前記接触部の少なくとも一方の端部は、前記接触部に到達した前記媒体の少なくとも一方の端部よりも内側に位置することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態1のプリンターを前方から見た斜視図。
【
図3】実施形態1のシート部材及びスライド部と用紙との配置関係を示す概略図。
【
図4】実施形態1のシート部材の接触部に用紙の先端部が接触した状態を示す概略図。
【
図5】実施形態1のシート部材の接触部及び用紙の縦断面図。
【
図6】実施形態1のスライド部が用紙に合わせて移動された状態を示す概略図。
【
図7】実施形態2のシート部材及びスライド部を示す概略図。
【
図8】実施形態2のシート部材の切離部及び切離部の周辺部を拡大した概略図。
【
図9】実施形態2のシート部材の接触部に用紙の先端部が接触した状態を示す概略図。
【
図10】実施形態3のシート部材及びスライド部を示す概略図。
【
図11】実施形態3のシート部材の接触部に用紙又は他の用紙の先端部が接触した状態を示す概略図。
【
図12】実施形態4のシート部材、スライド部及び用紙の配置関係を示す概略図。
【
図13】実施形態4の接触部に用紙が接触した後の状態を示す縦断面図。
【
図14】実施形態5のシート部材及びスライド部を示す概略図。
【
図15】実施形態5のシート部材の接触部に用紙又は他の用紙の先端部が接触した状態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の第1の態様から第18の態様までについて概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様に係る受容装置は、可撓性を有する受入部材を備え、排出部から排出方向に排出されたシート状の媒体を前記受入部材において受け入れる受容装置であって、前記受入部材は、前記媒体が接触する接触部を有し、前記排出方向と交差する幅方向において、前記接触部の少なくとも一方の端部は、前記接触部に到達した前記媒体の少なくとも一方の端部よりも内側に位置することを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、受入部材の状態のみを管理すればよいので、装置の取り扱いが容易となる。さらに、前記接触部の少なくとも一方の端部が、前記接触部に到達した前記媒体の少なくとも一方の端部よりも前記幅方向の内側に位置している。これにより、前記排出部から排出された前記媒体が前記受入部材に到達した際に、前記媒体の少なくとも一方の端部が前記受入部材と非接触状態となるので、前記媒体が前記受入部材に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0009】
第2の態様に係る受容装置は、第1の態様において、前記接触部は、前記媒体が前記受入部材に最初に接触する部位であることを特徴とする。
本態様によれば、前記排出部から排出された前記媒体が前記受入部材に到達した際に、前記媒体の先端部が、前記接触部に最初に接触することになる。これにより、前記媒体の前記先端部のうち引っ掛かりが生じ易い前記幅方向の端部が、前記受入部材と非接触状態となるので、前記媒体が前記受入部材に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0010】
第3の態様に係る受容装置は、第1の態様又は第2の態様において、前記接触部の前記幅方向の両端部は、前記媒体の前記幅方向の両端部よりも内側に位置することを特徴とする。
本態様によれば、前記媒体が前記受入部材に到達した際に、前記媒体の前記幅方向の両端部が前記受入部材と非接触状態となるので、前記媒体の一方の端部のみが非接触状態となる構成に比べて、前記媒体が前記受入部材に引っ掛かるのをさらに抑制することができる。
【0011】
第4の態様に係る受容装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1つにおいて、前記接触部は、前記幅方向から見て、前記排出方向の下流部分が上流部分よりも鉛直方向の下側に位置する傾斜配置されていることを特徴とする。
本態様によれば、自重により垂れ下がった状態となる前記媒体の先端部が、傾斜配置された前記接触部と接触することで、前記媒体の先端部に作用する前記接触部からの反力が抑制されるので、前記接触部が水平配置された構成に比べて、前記媒体の先端部の変形を抑制することができる。
【0012】
第5の態様に係る受容装置は、第1の態様から第4の態様のいずれか1つにおいて、前記受入部材の前記排出方向における前記接触部よりも下流の一部で且つ前記幅方向の端部は、前記媒体の前記幅方向の端部よりも外側に位置することを特徴とする。
本態様によれば、前記受入部材の前記接触部よりも下流の部位における前記幅方向の長さが、前記媒体の前記幅方向の長さよりも長くなっている。これにより、前記接触部から前記排出方向の下流へ移動された前記媒体が、前記受入部材によって支持されるので、前記受入部材に受け入れられた前記媒体の姿勢を安定させることができる。
【0013】
第6の態様に係る受容装置は、第1の態様から第5の態様のいずれか1つにおいて、前記受入部材の前記幅方向の端部には、前記排出方向の下流が上流よりも前記幅方向の外側に位置する斜辺部が形成されていることを特徴とする。
本態様によれば、前記受入部材の前記幅方向の端部に段差部分が無いので、前記接触部と接触した後の前記媒体の前記排出方向への移動を円滑に行うことができる。
【0014】
第7の態様に係る受容装置は、第1の態様から第6の態様のいずれか1つにおいて、前記受入部材には、前記接触部の前記幅方向の長さを調節可能な調節部が設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、前記幅方向の長さが異なる前記媒体が用いられた場合であっても、前記調節部において、使用される前記媒体の前記幅方向の長さに合わせて前記接触部の前記幅方向の長さが調節されることで、前記媒体の端部と前記受入部材との接触が抑制されるので、前記媒体の引っ掛かりを抑制することができる。
【0015】
第8の態様に係る受容装置は、第7の態様において、前記調節部は、前記接触部の前記幅方向の両端部が前記媒体の前記幅方向の両端部よりも内側に位置するように、前記接触部の前記幅方向の長さを調節可能とされていることを特徴とする。
本態様によれば、前記幅方向の長さが異なる前記媒体が用いられた場合において、前記媒体が前記受入部材に到達した際に、前記媒体の前記幅方向の両端部が前記受入部材と非接触状態となるので、前記媒体が前記受入部材に引っ掛かるのをさらに抑制することができる。
【0016】
第9の態様に係る受容装置は、第7の態様又は第8の態様において、前記調節部は、前記受入部材の前記幅方向の端部から中央部に向かって切り込まれる切込部と、前記受入部材において前記切込部に対する前記排出方向の上流に位置する第1調節部と、前記受入部材において前記切込部に対する前記排出方向の下流に位置する第2調節部と、前記第1調節部及び前記第2調節部を前記媒体から離れた退避状態で保持する保持部と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、前記接触部の前記幅方向の長さを調節しない場合、前記第1調節部と前記第2調節部が前記排出方向に並び、前記接触部の一部として機能する。
一方、前記接触部の前記幅方向の長さを調節する場合、前記保持部が前記第1調節部及び前記第2調節部を保持することで、前記第1調節部及び前記第2調節部が前記媒体から離れた退避状態となり、前記接触部の前記幅方向の長さが短くなる。このように、前記保持部による前記第1調節部及び前記第2調節部の保持の有無によって、前記接触部の前記幅方向の長さを調節できるので、少ない部品点数で調節を行うことができる。
【0017】
第10の態様に係る受容装置は、第9の態様において、前記退避状態では、前記受入部材の前記幅方向の長さが、前記排出方向の上流から前記接触部に向かうほど短くなり、且つ前記排出方向の下流から前記接触部に向かうほど短くなっていることを特徴とする。
本態様によれば、前記受入部材のうち、前記接触部では前記幅方向の長さが最も短くなるので、前記媒体が引っ掛かるのを抑制することができる。さらに、前記受入部材のうち前記接触部以外の部位で且つ前記排出方向の下流の部位では、前記受入部材と前記媒体との接触面積が増えるので、前記受入部材が前記媒体を安定して支持することができる。
【0018】
第11の態様に係る受容装置は、第9の態様又は第10の態様において、前記調節部は、前記切込部の前記幅方向の長さを変更可能な変更部材を有することを特徴とする。
本態様によれば、前記変更部材において前記切込部の前記幅方向の長さを変更することで、前記接触部の前記幅方向の長さが調節されるので、前記受入部材を変形させる部材を別途用いなくても、前記媒体の引っ掛かりを抑制することができる。
【0019】
第12の態様に係る受容装置は、第11の態様において、前記変更部材は、前記受入部材において前記排出方向に複数設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、前記媒体のサイズが変わる等の理由により、前記受入部材に対する前記媒体の先端部の接触位置が前記排出方向にずれることがあっても、ずれた位置に最も近い前記変更部材を用いて調節することで、前記媒体に合わせて前記接触部の前記幅方向の長さを調節できる。これにより、前記媒体の厚さ方向に作用する力に対する剛性等の特性が変わることがあっても、前記媒体の引っ掛かりを抑制することができる。
【0020】
第13の態様に係る受容装置は、第7の態様又は第8の態様において、前記受入部材は、前記接触部を含んで前記排出方向に分割された上流の第1受入部材と、下流の第2受入部材とを有し、前記接触部には、前記第1受入部材の前記排出方向の下流端部と前記第2受入部材の前記排出方向の上流端部とで挟まれ、且つ前記上流端部の少なくとも一部と前記下流端部の少なくとも一部とを前記排出方向に接続及び分離可能な接離部材が設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、前記上流端部の少なくとも一部と前記下流端部の少なくとも一部とが、前記接離部材によって前記排出方向に接続及び分離可能とされている。そして、前記第1受入部材と前記第2受入部材とが前記接離部材によって接続された部位が前記接触部となる。このように、前記接離部材によって接続される部分の前記幅方向の長さを変更することで、前記接触部の前記幅方向の長さが変更されるので、前記接触部の前記幅方向の長さを調節し易くすることができる。
【0021】
第14の態様に係る受容装置は、第13の態様において、前記下流端部は、前記排出方向及び前記幅方向の両方と交差する交差方向において前記上流端部に重なり、且つ前記上流端部と前記媒体との間に位置し、前記接離部材は、前記交差方向において前記下流端部と前記上流端部とに挟まれていることを特徴とする。
本態様によれば、前記接触部よりも前記排出方向の下流に位置する前記第2受入部材が、前記交差方向において、前記第1受入部材及び前記接離部材よりも前記媒体から離れた場所に配置されるので、前記媒体と前記第2受入部材との接触に伴う前記媒体の引っ掛かりを抑制することができる。
【0022】
第15の態様に係る受容装置は、第7の態様又は第8の態様において、前記調節部は、前記受入部材を前記排出方向に巻き取ることで前記接触部の前記排出方向の位置を変更する巻取部であることを特徴とする。
本態様によれば、前記巻取部が前記受入部材を前記排出方向に巻き取ることで、前記接触部の前記排出方向の位置が変更される。これにより、前記媒体の厚さ方向に作用する力に対する剛性が変わる等して、前記媒体の先端部が前記受入部材に最初に接触する位置が前記排出方向にずれることがあっても、前記媒体の引っ掛かりを抑制することができる。
【0023】
第16の態様に係る受容装置は、第15の態様において、前記受入部材は、前記排出方向の上流から下流に向けて前記幅方向の長さが増加していることを特徴とする。
本態様によれば、前記受入部材の前記幅方向の長さが、前記排出方向において異なっている。このため、前記巻取部で前記受入部材の巻き取りが行われた場合、前記接触部となる部位の前記排出方向の位置が変更されるだけでなく、前記接触部となる部位の前記幅方向の長さも同時に変更されるようになっている。
ここで、前記幅方向の長さが異なる他の媒体が用いられた場合、前記他の媒体に合わせて、前記接触部の前記排出方向の位置及び前記幅方向の長さが同時に変更されるので、前記接触部の前記排出方向の位置及び前記幅方向の長さが別々に変更される構成に比べて、前記接触部の調節作業を行い易くすることができる。
さらに、前記排出方向の下流に向かうほど前記受入部材と前記媒体との接触面積が増えるので、前記接触部よりも前記排出方向の下流において、前記媒体を安定して支持することができる。
【0024】
第17の態様に係る受容装置は、第1の態様から第16の態様のいずれか1つにおいて、前記幅方向における前記接触部の少なくとも一方の端部が、前記接触部に到達した前記媒体の少なくとも一方の端部よりも内側に位置するように、前記受入部材を前記幅方向に移動可能に支持する支持部が設けられたことを特徴とする。
本態様によれば、前記支持部によって支持された前記受入部材は、前記幅方向の位置が変更可能となっている。ここで、前記受入部材の前記幅方向の中央となる位置と、前記媒体の前記幅方向の中央となる位置がずれている場合、前記媒体の前記幅方向の中央となる位置に合わせて、前記接触部の前記幅方向の中央となる位置を配置できるので、前記媒体の前記幅方向の一方が前記接触部に片寄って接触するのを抑制することができる。
【0025】
第18の態様に係る記録装置は、装置本体に設けられ媒体に記録する記録部と、前記装置本体から排出された前記媒体を受け入れる第1の態様から第17の態様のいずれか1つに記載の受容装置と、を備えたことを特徴とする。
本態様によれば、第1の態様から第17の態様のいずれか1つと同様の効果を得ることができる。
【0026】
以下、本発明の受容装置及び記録装置の一例について具体的に説明する。
なお、各図においてX軸に沿ったX方向は装置幅方向であり、シート状の媒体の一例である用紙Pの幅方向となる。-X方向は装置前面をユーザーと対面させた際にユーザーから見て左方向となり、+X方向は右方向となる。Y軸に沿ったY方向は装置奥行き方向である。+Y方向は装置背面から前面に向かう方向である。-Y方向は装置前面から背面に向かう方向である。X方向及びY方向は、水平方向である。Z軸に沿った方向は鉛直方向であり、+Z方向は鉛直上方、-Z方向は鉛直下方である。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交している。
【0027】
媒体Pが、後述するプリンター10から排出される排出方向を+A方向と称する。なお、排出方向とは反対の方向を-A方向と称する。方向を区別しない場合は、単にA方向と称する。A方向は、X方向と交差(直交)している。さらに、X方向から見て、A方向と直交する方向をB方向と称する。B方向は、A方向及びX方向と交差する交差方向の一例である。なお、A方向及びB方向は、排出中の用紙Pの姿勢によって変わるため、本実施形態では、用紙Pの先端部PSが後述する接触部34に到達した時点におけるA方向及びB方向として説明する。
プリンター10において使用可能な用紙Pを大きさに合わせて区別する必要がある場合、X方向の長さが最大となるサイズの用紙Pを用紙PAと称し、X方向の長さが最小となるサイズの用紙Pを用紙PBと称して区別する。
【0028】
[実施形態1]
図1には、記録装置の一例であるプリンター10が示されている。
プリンター10は、本体部11と、本体部11に設けられ用紙Pに記録するヘッドユニット16と、本体部11から排出された用紙Pを受け入れるスタッカーユニット20とを備える。具体的には、プリンター10は、液体の一例であるインクを用紙Pに吐出することによって、文字、写真等の画像を用紙Pに記録するインクジェット式のプリンターである。
本体部11は、装置本体の一例である。また、本体部11は、筐体12と、筐体12を支持する脚部13と、用紙Pを収容する不図示の収容部と、ユーザーによって操作及び各種の設定が行われる操作パネル14と、プリンター10の各部の動作を制御する制御部18とを有する。収容部、ヘッドユニット16及び制御部18は、筐体12内に収納されている。
【0029】
筐体12の+Y方向の前壁12Aには、排出部の一例である排出口17が形成されている。排出口17は、前壁12Aを貫通し且つX方向に延びている。記録された用紙Pは、排出口17から+A方向に排出される。
前壁12Aにおける排出口17に対する-Z方向の部位には、排出ガイド19が設けられている。排出ガイド19は、X方向から見て+Y方向に向けて突出する扇型状に形成されている。換言すると、排出ガイド19は、+Y方向に向かうほど-Z方向に下がる曲面19Aを有する。排出ガイド19のX方向の長さは、用紙PAのX方向の長さよりも長い。
【0030】
操作パネル14は、一例として、タッチパネル式の入力部として構成されている。操作パネル14では、ユーザーによって、用紙Pのサイズの設定やプリンター10の記録動作の開始及び終了の指示の入力が行われる。操作パネル14において入力された情報は、制御部18に送信される。また、操作パネル14には、ユーザーによって設定された用紙Pのサイズ情報が表示される。
ヘッドユニット16は、記録部の一例である。また、ヘッドユニット16は、不図示のキャリッジに取り付けられており、X方向の往復移動が可能とされている。ヘッドユニット16は、用紙Pにインクを吐出することで記録を行う。
制御部18は、操作パネル14から受信した情報に基づいて、プリンター10の各部の動作及び停止を制御する。また、制御部18は、使用される用紙Pのサイズと、後述するスライドフレーム26(
図2)のX方向の位置との組合せが、予め設定された組合せとは異なる場合に、操作パネル14にエラー情報を表示させる。つまり、ユーザーに対して、スライドフレーム26の位置が適切であるか否かが報知されるようになっている。
【0031】
図2に示されるように、スタッカーユニット20は、受容装置の一例であり、受入部材の一例であるシート部材30と、シート部材30をX方向に移動可能に支持する支持部の一例である支持フレーム22とを備える。そして、スタッカーユニット20は、排出口17からA方向に排出された用紙Pをシート部材30において受け入れる。
支持フレーム22は、X方向における後述する接触部34の少なくとも一方の端部が、接触部34に到達した用紙Pの少なくとも一方の端部よりも内側に位置するように、シート部材30をX方向に移動可能に支持する。
具体的には、支持フレーム22は、一例として、スライドレール24と、スライドフレーム26と、錘フレーム28とから成る。スライドレール24は、筐体12の-Z方向の端部に取り付けられており、X方向に延びている。また、スライドレール24は、Y-Z断面の形状が逆T字状となっている。
【0032】
スライドフレーム26は、X方向に延びており、後述するシート部材30のA方向の上流の端部を保持している。また、スライドフレーム26は、スライドレール24に支持され且つスライドレール24に対してX方向にスライド可能となっている。換言すると、スライドフレーム26は、筐体12に対してX方向の位置を変更可能となっている。なお、スライドフレーム26は、一例として、ユーザーによってX方向にスライドされる。筐体12には、スライドフレーム26のX方向の位置を検出する不図示のセンサーが設けられている。該センサーによる検出情報は、制御部18(
図1)に送られる。
錘フレーム28は、X方向に延びており、シート部材30のA方向の下流の端部を保持している。錘フレーム28の質量は、スライドフレーム26の質量よりも大きくなっており、錘フレーム28をプリンター10の設置場所の床FLに置くことで、錘フレーム28の位置がずれることが抑制されている。なお、シート部材30の位置をX方向にずらす場合には、錘フレーム28が、ユーザーによってX方向に移動されるようになっている。錘フレーム28を不図示のネジを用いて床FLに仮止めしてもよい。
【0033】
図3に示されるように、シート部材30は、B方向に所定の厚さを有し、A-X面に広がる部材である。また、シート部材30は、例えば、織布、不織布などで構成され、A方向の長さがX方向の長さよりも長い長尺の布である。シート部材30は、可撓性を有する。可撓性とは、シート部材30が自重によって湾曲状態に変化する特性をいう。
具体的には、シート部材30は、一例として、B方向から見て全体が鼓状に形成されている。また、シート部材30は、+A方向において、接触部34と、接触部34よりも上流の部位である上流部31と、接触部34よりも下流の部位である下流部36とを有する。
【0034】
上流部31は、B方向から見て、+A方向に対して逆向きの等脚台形の部位として形成されている。換言すると、上流部31のX方向の長さは、+A方向の上流から下流に向けて徐々に短くなっている。上流部31の-X方向の端部32は、+A方向と交差する方向に延び且つ+A方向の下流が上流よりもX方向の内側に位置する。内側とは、シート部材30のX方向の中心を通り且つA方向に延びる仮想の中心線Cに近い側を意味する。同様に、上流部31の+X方向の端部33は、+A方向と交差する方向に延び且つ+A方向の下流が上流よりもX方向の内側に位置する。
上流部31の+A方向の上流端におけるX方向の長さは、一例として、用紙PAのX方向の長さよりも長い。また、上流部31の+A方向の下流端におけるX方向の長さは、用紙PBのX方向の長さよりも短い。
【0035】
接触部34は、排出口17(
図1)から排出された用紙Pの先端部がシート部材30に最初に接触する部位として形成されている。実施形態1では、用紙Pのサイズが変更された場合でも、用紙Pの先端部がシート部材30に接触する位置が、+A方向においてほぼ同じ位置にあるものとして、シート部材30の構成を説明する。接触部34のX方向の長さ及びA方向の位置が異なるシート部材30を用意しておき、用紙Pのサイズに合わせてシート部材30を交換してもよい。また、接触部34は、シート部材30におけるX方向の長さが最も短い部位である。
なお、接触部34は、理想状態ではA方向の特定の位置においてX方向に長い線状部として設定されるが、実際は、用紙Pの先端部がシート部材30に到達する位置が、用紙Pに付着したインク量の違い等の誤差要因によってばらつくため、A方向に許容範囲の長さを有する部位として設定されている。
図3では、接触部34の+A方向の上流端を表す仮想線KAと、接触部34の+A方向の下流端を表す仮想線KBとが示されている。換言すると、シート部材30において、仮想線KAと仮想線KBとの間の部分が接触部34に相当する。接触部34において、用紙Pの先端部が接触する理想の狙いの位置を仮想線KCで示す。
X方向において、接触部34の少なくとも一方の端部は、接触部34に到達した用紙Pの少なくとも一方の端部よりも内側に位置するように設定される。具体的には、接触部34のX方向の両端部は、用紙PのX方向の両端部よりも内側に位置する。
【0036】
図2に示されるように、接触部34は、X方向から見て、+A方向の下流部分が上流部分よりもZ方向の下側に位置し、且つ+A方向の下流部分が上流部分よりも+Y方向に位置するように、傾斜配置されている。
本実施形態では、用紙Pの先端部が接触部34に接触した状態において、用紙Pと、湾曲したシート部材30の不図示の接線とが成す角度θが、一例として45°よりも小さくなっている。
【0037】
図3に示されるように、下流部36は、B方向から見て、+A方向に対して等脚台形の部位として形成されている。換言すると、下流部36のX方向の長さは、+A方向の上流から下流に向けて徐々に長くなっている。下流部36の-X方向の端部には、斜辺部37が形成されている。下流部36の+X方向の端部には、斜辺部38が形成されている。
斜辺部37、38は、+A方向と交差する方向に延び且つ+A方向の下流が上流よりもX方向の外側に位置する部位である。外側とは、シート部材30のX方向の中心を通り且つA方向に延びる仮想の中心線Cから、遠ざかる側を意味する。また、斜辺部37と斜辺部38は、中心線Cに対して線対称の関係にある。
【0038】
下流部36の+A方向の上流端におけるX方向の長さは、一例として、用紙PBのX方向の長さよりも短い。また、下流部36の+A方向の下流端におけるX方向の長さは、用紙PAのX方向の長さよりも長い。換言すると、シート部材30の+A方向における接触部34よりも下流の一部で且つX方向の端部は、用紙PのX方向の端部よりも外側に位置する。これにより、下流部36のX方向の両端部は、接触部34に近い位置では用紙PのX方向の両端部と接触せず、接触部34から遠い位置では用紙PのX方向の両端部と接触するようになっている。
【0039】
図示を省略するが、本実施形態に対する対比例として、用紙PよりもX方向の長さが長く且つA方向に長い長尺の布部材を張架した場合、自重によって、布部材のX方向の中央部は両端部よりも下がる。このため、用紙Pが布部材に対して所定の角度で接触する場合、布部材に最初に接触するのは、用紙PのX方向の両端部となる可能性が高い。
しかし、用紙PのX方向の両端部は、中央部に比べて、外力が作用した場合に変形され易い。このため、用紙Pの両端部が布部材に最初に接触してしまうと、用紙Pは、変形され易く且つ布部材に引っ掛かり易くなってしまう。
【0040】
次に、実施形態1のプリンター10及びスタッカーユニット20の作用について、
図1から
図6までを参照して説明する。なお、
図1から
図3までについては、個別の図番の記載を省略する。
プリンター10では、使用される用紙Pのサイズとスライドフレーム26のX方向の位置とが正しい組合せの場合、ヘッドユニット16による用紙Pへの記録が行われる。そして、ヘッドユニット16によって記録された用紙Pは、排出口17から+A方向に排出される。なお、ここでは用紙Pとして、用紙PBが用いられているものとする。
【0041】
図4に示されるように、用紙Pの先端部は、自重により下がりつつ接触部34に接触する。
図5に示されるように、接触部34のX方向の長さは、用紙PのX方向の長さよりも短い。このため、用紙Pの先端部PSが接触部34に到達したとき、用紙PのX方向の両端部は、接触部34即ちシート部材30には接触しない。これにより、用紙Pの両端部が変形され難くなるので、用紙Pの一部が接触部34に接触した場合に、用紙Pがシート部材30に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0042】
一方、用紙Pの先端部が接触部34に到達したとき、用紙PのX方向の両端部よりも内側の少なくとも一部は、接触部34に接触する。そして、接触部34と接触した用紙Pの一部は、シート部材30に沿って移動される。これにより、下流部36では、用紙Pの全面と下流部36とが接触しても、用紙Pがシート部材30に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0043】
図6に示されるように、プリンター10(
図1)において、用紙PBに代えて用紙PAが用いられる場合、予め、ユーザーに対して、スライドフレーム26のX方向の位置を変更するように、操作パネル14(
図1)において指示情報が報知される。そして、スライドフレーム26は、X方向の中心位置が用紙PAのX方向の中心位置に合うように、-X方向に移動される。また、スライドフレーム26の移動に合わせて、錘フレーム28も-X方向に移動される。
この状態において、排出口17から排出された用紙PAの先端部PSのうち、X方向の両端部を除く少なくとも一部は、接触部34と接触する。ここで、用紙PAのX方向の両端部がシート部材30と接触しないので、用紙PAがシート部材30に接触した場合に、用紙Pがシート部材30に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0044】
以上、説明した通り、スタッカーユニット20によれば、シート部材30の状態のみを管理すればよいので、シート部材30とは異なる他の部材の状態も管理する構成に比べて、スタッカーユニット20の取り扱いが容易となる。さらに、接触部34の少なくとも一方の端部が、接触部34に到達した用紙Pの少なくとも一方の端部よりもX方向の内側に位置している。これにより、排出口17から排出された用紙Pがシート部材30に到達した際に、用紙Pの少なくとも一方の端部がシート部材30と非接触状態となるので、用紙Pがシート部材30に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0045】
スタッカーユニット20によれば、排出口17から排出された用紙Pがシート部材30に到達した際に、用紙Pの先端部が、接触部34に最初に接触することになる。これにより、用紙Pの先端部のうち引っ掛かりが生じ易いX方向の端部が、シート部材30と非接触状態となるので、用紙Pがシート部材30に引っ掛かるのを抑制することができる。
また、用紙Pがシート部材30に到達した際に、用紙PのX方向の両端部がシート部材30と非接触状態となるので、用紙PのX方向の一方の端部のみが非接触状態となる構成に比べて、用紙Pがシート部材30に引っ掛かるのをさらに抑制することができる。
【0046】
スタッカーユニット20によれば、自重により垂れ下がった状態となる用紙Pの先端部が、傾斜配置された接触部34と接触することで、用紙Pの先端部に作用する接触部34からの反力が抑制されるので、接触部34が水平配置された構成に比べて、用紙Pの先端部の変形を抑制することができる。
また、シート部材30の接触部34よりも下流の下流部36におけるX方向の長さが、用紙PのX方向の長さよりも長くなっている。これにより、接触部34からA方向の下流へ移動された用紙Pが、シート部材30によって支持されるので、シート部材30に受け入れられた用紙Pの姿勢を安定させることができる。
【0047】
スタッカーユニット20によれば、シート部材30のX方向の端部に段差部分が無いので、接触部34と接触した後の用紙PのA方向への移動を円滑に行うことができる。
また、支持フレーム22によって支持されたシート部材30は、X方向の位置が変更可能となっている。ここで、シート部材30のX方向の中央となる位置と、用紙PのX方向の中央となる位置がずれている場合、用紙PのX方向の中央となる位置に合わせて、接触部34のX方向の中央となる位置を配置できるので、用紙PのX方向の一方が接触部34に片寄って接触するのを抑制することができる。
プリンター10によれば、スタッカーユニット20と同様の効果を得ることができる。
【0048】
[実施形態2]
次に、受容装置の一例である実施形態2のスタッカーユニット40について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、実施形態1のプリンター10の各部と共通する部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。また、実施形態1のプリンター10と同様の作用及び効果についても説明を省略する。
【0049】
図7には、スタッカーユニット40が示されている。スタッカーユニット40は、プリンター10(
図1)において、スタッカーユニット20(
図1)に代えて設けられている。また、スタッカーユニット40は、受入部材の一例であるシート部材42と、シート部材42をX方向に移動可能に支持する支持フレーム22とを備える。そして、スタッカーユニット40は、排出口17(
図1)から+A方向に排出された用紙Pをシート部材42において受け入れる。
【0050】
シート部材42は、B方向に所定の厚さを有している。また、シート部材42は、例えば、織布、不織布などで構成され、A方向の長さがX方向の長さよりも長い長尺の布である。さらに、シート部材42は、可撓性を有する。
具体的には、シート部材42は、一例として、B方向から見て全体が矩形状に形成されている。また、シート部材42は、+A方向において、接触部46と、接触部46よりも上流の部位である上流部44と、接触部46よりも下流の部位である下流部48とを有する。シート部材42には、接触部46のX方向の長さを調節可能な2つの調節部50が設けられている。2つの調節部50は、接触部46のX方向の両端部が用紙PのX方向の両端部よりも内側に位置するように、接触部46のX方向の長さを調節可能とされている。2つの調節部50の具体的な構成については、後述する。
【0051】
上流部44は、調節部50において接触部46のX方向の長さが調節されることで、B方向から見て逆向きの等脚台形として形成される。逆向きの等脚台形として形成された上流部44は、上流部31(
図3)と同様の構成であるため、説明を省略する。
下流部48は、調節部50において接触部46のX方向の長さが調節されることで、B方向から見て等脚台形として形成される。等脚台形として形成された下流部48は、下流部36(
図3)と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0052】
接触部46は、用紙Pの先端部PS(
図1)がシート部材42に最初に接触する部位として形成されている。実施形態2では、用紙Pのサイズが変更された場合でも、用紙Pの先端部がシート部材42に接触する位置が、+A方向においてほぼ同じ位置にあるものとして、シート部材42の構成を説明する。また、接触部46は、後述する調節部50によってX方向の長さが調節された後の状態において、シート部材42におけるX方向の長さが最も短くなる部位である。
【0053】
なお、接触部46は、理想状態ではA方向の特定の位置においてX方向に長い線状部として設定されるが、実際は、用紙Pの先端部がシート部材42に到達する位置が、用紙Pに付着したインク量の違い等の誤差要因によってばらつくため、A方向に許容範囲の長さを有する部位として設定されている。
図7における仮想線KAと仮想線KBとの間の部分が接触部46に相当する。
接触部46のX方向の両端部は、用紙PBのX方向の両端部よりも内側に位置する。また、接触部46は、X方向から見て、+A方向の下流部分が上流部分よりもZ方向の下側に位置し、且つ+A方向の下流部分が上流部分よりも+Y方向に位置するように、傾斜配置されている。
【0054】
2つの調節部50は、一例として、シート部材42のX方向の中央を通り且つA方向に延びる中心線Cに対して線対称に配置されている。つまり、2つの調節部50は、配置及び部材の向きを除いて同様の構成となっている。このため、+X方向の調節部50について説明し、-X方向の調節部50についての説明を省略する。
調節部50は、切込部52と、第1調節部54と、第2調節部56と、保持部58と、ファスナー62とを有する。
切込部52は、シート部材42の+X方向の端部から中央部に向かって切り込まれた部位である。また、切込部52は、接触部46に対する+X方向に位置している。換言すると、切込部52は、シート部材42の+X方向の端部から接触部46まで切り込まれた部位である。
【0055】
第1調節部54は、シート部材42において、切込部52に対する+A方向の上流に位置し、且つ上流部44に対する+X方向に位置している。さらに、第1調節部54は、上流部44と一体となっている。つまり、第1調節部54の-X方向の端部が、上流部44の+X方向の端部となる。また、第1調節部54は、B方向から見て直角三角形の部位として形成されている。換言すると、第1調節部54のX方向の長さは、A方向の上流から下流に向けて徐々に長くなっている。第1調節部54の+X方向端部における+A方向の端部を角部55と称する。
第1調節部54は、上流部44と同様に可撓性を有している。これにより、第1調節部54は、上流部44に対する裏方向となる-B方向への湾曲又は屈曲が可能となっている。第1調節部54が上流部44の裏側に湾曲又は屈曲されることで、上流部44及び接触部46のX方向の長さが調節可能となっている。
図7では、第1調節部54を上流部44の裏側に折り返す位置の例として、一点鎖線で示す仮想線K1、K2、K3が示されている。仮想線K1、K2、K3の順番で、接触部46のX方向の長さが次第に長くなっている。
【0056】
第2調節部56は、シート部材42において、切込部52に対する+A方向の下流に位置し、且つ下流部48に対する+X方向に位置している。さらに、第2調節部56は、下流部48と一体となっている。つまり、第2調節部56の-X方向の端部が、下流部48の+X方向の端部となる。また、第2調節部56は、B方向から見て逆向きの直角三角形の部位として形成されている。換言すると、第2調節部56のX方向の長さは、A方向の上流から下流に向けて徐々に短くなっている。第2調節部56の+X方向の端部におけるA方向の上流端部を角部57と称する。
第2調節部56は、下流部48と同様に可撓性を有している。これにより、第2調節部56は、下流部48に対する裏方向となる-B方向への湾曲又は屈曲が可能となっている。第2調節部56が下流部48の裏側に湾曲又は屈曲されることで、下流部48及び接触部46のX方向の長さが調節可能となっている。
図7では、第2調節部56を下流部48の裏側に折り返す位置の例として、仮想線K4、K5、K6が示されている。仮想線K4、K5、K6の順番で、接触部46のX方向の長さが次第に長くなっている。
【0057】
図8には、シート部材42における切込部52の周辺部をB方向の裏側から見た状態が示されている。
保持部58は、第1調節部54及び第2調節部56を用紙Pから離れた状態である退避状態で保持する。具体的には、保持部58は、一例として、雌部材59と、雄部材61とから成るマジックテープ(登録商標)として構成されている。
雌部材59は、不図示の環状の繊維が複数並んだ部材である。また、雌部材59は、上流部44、下流部48、第1調節部54及び第2調節部56のそれぞれの-B方向の面に跨って取り付けられている。
雄部材61は、不図示のフックが複数並んだ部材である。また、雄部材61は、一例として、第1調節部54及び第2調節部56のそれぞれの-B方向の面で且つ角部55、57に取り付けられている。
ここで、仮想線S1、S2で示されるように、仮想線K1、K4において谷折りされた第1調節部54及び第2調節部56は、雄部材61が雌部材59と係合することで、保持部58によって保持される。換言すると、第1調節部54及び第2調節部56は、保持部58によって保持された状態である保持状態となることで、元の位置への移動が規制されている。第1調節部54及び第2調節部56は、保持部58における雄部材61と雌部材59との係合が解除されることで、元の位置へ移動可能となる。
【0058】
ファスナー62は、切込部52のX方向の長さを変更可能な変更部材の一例である。また、ファスナー62は、エレメント63、64と、スライダー65とから成る。
エレメント63は、第1調節部54の+A方向における下流の端部に設けられ、X方向に沿って延びている。エレメント64は、第2調節部56の+A方向における上流の端部に設けられ、X方向に沿って延びている。エレメント63とエレメント64が噛み合っている部分は、接触部46に含まれる。エレメント63とエレメント64との噛み合いが解除されている部分は、切込部52に含まれる。
スライダー65には、不図示の引手が設けられている。また、スライダー65は、+X方向に移動されることで、エレメント63とエレメント64とをA方向に噛み合わせさせる。また、スライダー65は、-X方向に移動されることで、エレメント63とエレメント64との噛み合わせを解除させる。このように、スライダー65は、+X方向に移動されることで、接触部46のX方向の長さを増加させ且つ切込部52のX方向の長さを減少させる。また、スライダー65は、-X方向に移動されることで、接触部46のX方向の長さを減少させ且つ切込部52のX方向の長さを増加させる。
【0059】
図7に示されるように、既述の退避状態では、シート部材42のX方向長さが、+A方向の上流から接触部46に向かうほど短くなり、且つ+A方向の下流から接触部46に向かうほど短くなっている。
【0060】
次に、スタッカーユニット40の作用について説明する。
図9に示されるように、予め、使用される用紙Pに合わせてスライダー65(
図8)が操作されることで、切込部52のX方向の長さが調節される。そして、第1調節部54及び第2調節部56が-B方向に折り曲げられ、雄部材61が雌部材59(
図8)と係合されることで、第1調節部54及び第2調節部56が保持状態となる。
ここで、接触部46のX方向の長さは、用紙PのX方向の長さよりも短い。このため、用紙Pの先端部PSが接触部46に到達したとき、用紙PのX方向の両端部は、接触部46即ちシート部材42には接触しない。これにより、用紙Pの両端部が変形され難くなるので、用紙Pがシート部材42に接触した場合に、用紙Pがシート部材42に引っ掛かるのを抑制することができる。
一方、用紙Pの先端部が接触部46に到達したとき、用紙PのX方向の両端部よりも内側の少なくとも一部は、接触部46に接触する。そして、接触部46と接触した用紙Pの一部は、シート部材42に沿って移動される。これにより、下流部48では、用紙Pの全面と下流部48とが接触しても、用紙Pがシート部材42に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0061】
以上、説明した通り、スタッカーユニット40によれば、X方向の長さが異なる用紙Pが用いられた場合であっても、調節部50において、使用される用紙PのX方向の長さに合わせて接触部46のX方向の長さが調節されることで、用紙Pの端部とシート部材42との接触が抑制されるので、用紙Pの引っ掛かりを抑制することができる。
また、X方向の長さが異なる用紙Pが用いられた場合において、用紙Pがシート部材42に到達した際に、用紙PのX方向の両端部がシート部材42と非接触状態となるので、用紙Pがシート部材42に引っ掛かるのをさらに抑制することができる。
【0062】
スタッカーユニット40によれば、接触部46のX方向の長さを調節しない場合、第1調節部54と第2調節部56がA方向に並び、接触部46の一部として機能する。
一方、接触部46のX方向の長さを調節する場合、保持部58が第1調節部54及び第2調節部56を保持することで、第1調節部54及び第2調節部56が用紙Pから離れた退避状態となり、接触部46のX方向の長さが短くなる。このように、保持部58による第1調節部54及び第2調節部56の保持の有無によって、接触部46のX方向の長さを調節できるので、少ない部品点数で調節を行うことができる。
【0063】
スタッカーユニット40によれば、シート部材42のうち、接触部46ではX方向の長さが最も短くなるので、用紙Pが引っ掛かるのを抑制することができる。さらに、シート部材42のうち接触部46以外の部位で且つA方向の下流の部位では、シート部材42と用紙Pとの接触面積が増えるので、シート部材42が用紙Pを安定して支持することができる。
また、ファスナー62において切込部52のX方向の長さを変更することで、接触部46のX方向の長さが調節されるので、シート部材42を変形させる部材を別途用いなくても、用紙Pの引っ掛かりを抑制することができる。
【0064】
[実施形態3]
次に、受容装置の一例である実施形態3のスタッカーユニット70について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、実施形態1のプリンター10の各部と共通する部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。また、実施形態1のプリンター10と同様の作用及び効果についても説明を省略する。さらに、実施形態2のスタッカーユニット40と同様の構成、作用及び効果についても説明を省略する。
【0065】
図10には、スタッカーユニット70が示されている。スタッカーユニット70は、プリンター10(
図1)において、スタッカーユニット20(
図1)に代えて設けられている。また、スタッカーユニット70は、スタッカーユニット40(
図7)において、2つの調節部50(
図7)に代えて、2つの調節部72が設けられている。
2つの調節部72は、一例として、シート部材42の中心線Cに対して線対称に配置されている。つまり、2つの調節部72は、配置及び部材の向きを除いて同様の構成となっている。このため、+X方向の調節部72について説明し、-X方向の調節部72についての説明を省略する。
【0066】
調節部72は、3つの切込部52と、第1調節部54と、第2調節部56と、4つの保持部58と、3つのファスナー62とを有する。
3つの切込部52は、シート部材42の+X方向の端部において、+A方向に間隔をあけて配置されている。3つの切込部52を区別する場合、+A方向の上流から順に、切込部52A、52B、52Cと称する。
4つの保持部58は、シート部材42の+X方向の端部において、3つの切込部52によって+A方向に分断された4つの部位にそれぞれ設けられている。
3つのファスナー62は、3つの切込部52に1つずつ設けられている。換言すると、ファスナー62は、シート部材42において+A方向に複数設けられている。3つのファスナー62を区別する場合、A方向の上流から順に、ファスナー62A、62B、62Cと称する。用紙PBよりも大きく且つ用紙PAよりも小さい通常サイズの用紙Pが使用される場合、ファスナー62Bが非係合状態とされ、ファスナー62A、62Cが係合状態とされる。
【0067】
スタッカーユニット70では、3つのファスナー62のうち2つのファスナー62が係合状態とされ、1つのファスナー62が非係合状態とされることで、非係合状態のファスナー62に対する+A方向の上流に第1調節部54が形成され、+A方向の下流に第2調節部56が形成されるようになっている。
つまり、スタッカーユニット70では、ファスナー62を選択して非係合状態とし、第1調節部54と第2調節部56を保持部58によって保持することで、用紙Pに合わせて、接触部46の位置を+A方向に変更可能となっている。なお、3つの接触部46を区別する場合、+A方向の上流から順に、接触部46A、46B、46Cと称する。
【0068】
次に、スタッカーユニット70の作用について説明する。
用紙PAの先端部PSは、通常サイズの用紙Pの先端部PSに比べて、排出開始時点から-Z方向に下がる傾向がある。換言すると、用紙PAの先端部PSが到達する位置は、通常サイズの用紙Pの先端部PSが到達する位置よりも-A方向に位置する可能性が高い。このため、用紙PAが使用される場合、ファスナー62A(
図10)が非係合状態とされ、ファスナー62B、62C(
図10)が係合状態とされる。
図11の上の図(A)に示されるように、排出された用紙PAの先端部PSで且つX方向の中央部は、接触部46Aと接触する。一方、先端部PSで且つX方向の両端部は、シート部材42と接触しないので、用紙PAの引っ掛かりを抑制することができる。
【0069】
次に、用紙PBの先端部PSは、通常サイズの用紙Pの先端部PSに比べて、-Z方向に下がり難い傾向がある。換言すると、用紙PBの先端部PSが到達する位置は、通常サイズの用紙Pの先端部PSが到達する位置よりも+A方向に位置する可能性が高い。このため、用紙PBが使用される場合、ファスナー62C(
図10)が非係合状態とされ、ファスナー62A、62B(
図10)が係合状態とされる。
図11の下の図(B)に示されるように、排出された用紙PBの先端部PSで且つX方向の中央部は、接触部46Cと接触する。一方、先端部PSで且つX方向の両端部は、シート部材42と接触しないので、用紙PBの引っ掛かりを抑制することができる。
【0070】
このように、スタッカーユニット70によれば、用紙Pのサイズが変わる等の理由により、シート部材42に対する用紙Pの先端部の接触位置がA方向にずれることがあっても、ずれた位置に最も近いファスナー62を用いて調節することで、用紙Pに合わせて接触部46のX方向の長さを調節できる。これにより、用紙PのB方向に作用する力に対する剛性等の特性が変わることがあっても、用紙Pの引っ掛かりを抑制することができる。
【0071】
[実施形態4]
次に、受容装置の一例である実施形態4のスタッカーユニット80について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、実施形態1のプリンター10の各部と共通する部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。また、実施形態1のプリンター10と同様の作用及び効果についても説明を省略する。
【0072】
図12には、スタッカーユニット80が示されている。スタッカーユニット80は、プリンター10(
図1)において、スタッカーユニット20(
図1)に代えて設けられている。また、スタッカーユニット80は、受入部材の一例であるシート部材82と、シート部材82をX方向に移動可能に支持する支持フレーム22とを備える。
シート部材82は、B方向に所定の厚さを有している。また、シート部材82は、例えば、織布、不織布などで構成されている。さらに、シート部材82は、可撓性を有する。さらに、シート部材82は、接触部46を含んで+A方向に分割された上流の第1受入部材84と、下流の第2受入部材87とを有する。
【0073】
第1受入部材84は、B方向から見て逆向きの等脚台形に形成される上流部85と、上流部85に対するX方向の一端部と他端部に一体で形成された2つの第1調節部54と、保持部58とを有する。
2つの第1調節部54は、第1受入部材84のX方向の中央を通りA方向に延びる中心線Cに対して線対称に配置されている。また、2つの第1調節部54には、それぞれ保持部58が設けられている。
上流部85のX方向の長さは、+A方向の上流から下流に向けて徐々に短くなっている。上流部85の+A方向の上流端におけるX方向の長さは、一例として、用紙PAのX方向の長さよりも長い。また、上流部85の+A方向の下流端部86におけるX方向の長さは、用紙PBのX方向の長さよりも短い。そして、第1受入部材84は、第1調節部54を用いた調節が行われない場合、B方向から見て四角形の部材となる。また、第1受入部材84は、第1調節部54を用いた調節が行われ且つ第1調節部54が保持部58によって保持された場合、B方向から見て逆向きの等脚台形の部材となる。
【0074】
第2受入部材87は、B方向から見て等脚台形に形成される下流部88と、下流部88に対するX方向の一端部と他端部に一体で形成された2つの第2調節部56と、2つの保持部58とを有する。
2つの第2調節部56は、中心線Cに対して線対称に配置されている。また、2つの第2調節部56には、それぞれ保持部58が設けられている。
下流部88のX方向の長さは、A方向の上流から下流に向けて徐々に長くなっている。下流部88のA方向の上流端部89(
図13)におけるX方向の長さは、一例として、用紙PAのX方向の長さよりも短い。また、下流部88の+A方向の下流端におけるX方向の長さは、用紙PBのX方向の長さよりも長い。
そして、第2受入部材87は、第2調節部56を用いた調節が行われない場合、B方向から見て四角形の部材となる。また、第2受入部材87は、第2調節部56を用いた調節が行われ且つ第2調節部56が保持部58によって保持された場合、B方向から見て等脚台形の部材となる。
【0075】
図13に示されるように、下流端部86は、B方向において上流端部89に重なり、且つ上流端部89と用紙Pとの間に位置する。接触部46には、接離部材92が設けられている。
接離部材92は、一例として、既述のマジックテープ(登録商標)で構成されている。また、接離部材92は、下流端部86と上流端部89とでB方向に挟まれ、且つ上流端部89の少なくとも一部と下流端部86の少なくとも一部とをA方向及びB方向に接続及び分離可能となっている。
このように、シート部材82における接触部46では、第2受入部材87が第1受入部材84に対して-B方向に位置する段差部93が形成されている。接触部46のX方向の長さは、接離部材92によって接続されるX方向の長さを調節することで変更可能となっている。
【0076】
次に、スタッカーユニット80の作用について説明する。
図12に示されるように、第1調節部54及び第2調節部56によって、接触部46のX方向の長さが用紙PのX方向の長さに合わせて調節される。この状態で、第1受入部材84と第2受入部材87とが接離部材92(
図13)によって接続される。これにより、シート部材82が形成される。
【0077】
図13に示されるように、第1受入部材84の下流端部86が第2受入部材87の上流端部89よりも+B方向に位置しているので、用紙PのA方向の先端部が接触部46に接触したとき、用紙Pの先端部PSは、段差部93に引っ掛かることなく移動され、第2受入部材87と接触する。
スタッカーユニット80によれば、上流端部89の少なくとも一部と下流端部86の少なくとも一部とが、接離部材92によってA方向及びB方向に接続及び分離可能とされている。そして、第1受入部材84と第2受入部材87とが接離部材92によって接続された部位が接触部46となる。このように、接離部材92によって接続される部分のX方向の長さを変更することで、接触部46のX方向の長さが変更されるので、接触部46のX方向の長さを調節し易くすることができる。
また、接触部46よりも+A方向の下流に位置する第2受入部材87が、B方向において、第1受入部材84及び接離部材92よりも用紙Pから離れた場所に配置されるので、用紙Pと第2受入部材87との接触に伴う用紙Pの引っ掛かりを抑制することができる。
【0078】
[実施形態5]
次に、受容装置の一例である実施形態5のスタッカーユニット100について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、実施形態1のプリンター10の各部と共通する部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。また、実施形態1のプリンター10と同様の作用及び効果についても説明を省略する。
【0079】
図14には、スタッカーユニット100が示されている。スタッカーユニット100は、プリンター10(
図1)において、スタッカーユニット20(
図1)に代えて設けられている。また、スタッカーユニット100は、受入部材の一例であるシート部材102と、調節部の一例である巻取部106と、シート部材102及び巻取部106をX方向に移動可能に支持する支持フレーム22と、を備える。
【0080】
シート部材102は、B方向に所定の厚さを有している。また、シート部材102は、例えば、織布、不織布などで構成され、A方向の長さがX方向の長さよりも長い長尺の布である。さらに、シート部材102は、可撓性を有する。具体的には、シート部材102は、一例として、A方向の上流に位置する台形部103と、台形部103に対する下流に位置する矩形部104とを有する。
【0081】
台形部103は、B方向から見て、等脚台形状に形成されている。換言すると、台形部103のX方向の長さは、+A方向の上流から下流に向けて徐々に長くなっている。台形部103のX方向の両端部において、+A方向の下流端は上流端よりもX方向の外側に位置している。
台形部103の+A方向の下流端におけるX方向の長さは、一例として、用紙PAの長さよりも長い。また、台形部103の+A方向の上流端におけるX方向の長さは、用紙PBのX方向の長さよりも短い。なお、用紙Pがシート部材102に最初に接触する接触部46は、台形部103において設定される。このように、シート部材102は、+A方向の上流から下流に向けてX方向の長さが増加している。
矩形部104のX方向の長さは、一例として、A方向において変わらない。また、矩形部104のX方向の長さは、用紙PAの長さよりも長い。
【0082】
巻取部106は、第1巻取部108と、第2巻取部114とから成る。
第1巻取部108は、収納ケース109と、第1巻取ローラー111と、第1モーター112とを含んで構成されている。
収納ケース109には、+A方向に開口する不図示のスリットが形成されている。また、収納ケース109は、スライドフレーム26に取り付けられている。
第1巻取ローラー111は、収納ケース109に収納され且つX方向に沿った不図示の中心軸の周りに回転可能に支持されている。第1巻取ローラー111の外周面の一部には、台形部103の+A方向の上流端が取り付けられている。台形部103は、収納ケース109のスリットを通して+A方向に延びている。
第1モーター112は、制御部18(
図1)により駆動制御されることで、第1巻取ローラー111を巻取方向に回転させ又は引出方向に回転可能とする。
【0083】
第2巻取部114は、収納ケース115と、第2巻取ローラー116と、第2モーター117とを含んで構成されている。
収納ケース115には、-A方向に開口する不図示のスリットが形成されている。また、収納ケース115は、錘フレーム28に取り付けられている。
第2巻取ローラー116は、収納ケース115に収納され且つX方向に沿った不図示の中心軸の周りに回転可能に支持されている。第2巻取ローラー116の外周面の一部には、矩形部104の+A方向の下流端が取り付けられている。矩形部104は、収納ケース115のスリットを通して-A方向に延びている。
第2モーター117は、制御部18(
図1)により駆動制御されることで、第2巻取ローラー116を巻取方向に回転させ又は引出方向に回転可能とする。
このように、巻取部106は、調節部の一例であり、シート部材102を+A方向又は-A方向に巻き取ることで、シート部材102における接触部46の+A方向の位置を変更可能となっている。
【0084】
次に、スタッカーユニット100の作用について説明する。
図15の上の図(A)に示されるように、用紙PAを用いる場合、第1モーター112が駆動され、第1巻取ローラー111が回転されることで、台形部103の+A方向の上流端部が巻き取られると共に矩形部104の+A方向の下流端部が引き出される。これにより、接触部46のA方向の位置が、通常の位置に対して-A方向に移動される。そして、排出された用紙PAの先端部PSが接触部46に到達した場合、用紙PAのX方向の両端部がシート部材102に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0085】
図15の下の図(B)に示されるように、用紙PBを用いる場合、第2モーター117が駆動され、第2巻取ローラー116が回転されることで、矩形部104(
図14)の+A方向の下流端部が巻き取られると共に台形部103の+A方向の上流端部が引き出される。これにより、接触部46のA方向の位置が、通常の位置に対して+A方向に移動される。そして、排出された用紙PAの先端部PSが接触部46に到達した場合、用紙PAのX方向の両端部がシート部材102に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0086】
以上、説明した通り、スタッカーユニット100によれば、巻取部106がシート部材102を+A方向又は-A方向に巻き取ることで、接触部46のA方向の位置が変更される。これにより、用紙PのB方向に作用する力に対する剛性が変わる等して、用紙Pの先端部がシート部材102に最初に接触する位置が+A方向又は-A方向にずれることがあっても、用紙Pの引っ掛かりを抑制することができる。
また、スタッカーユニット100によれば、台形部103では、シート部材102のX方向の長さがA方向において異なっている。このため、巻取部106でシート部材102の巻き取りが行われた場合、接触部46となる部位のA方向の位置が変更されるだけでなく、接触部46となる部位のX方向の長さも同時に変更されるようになっている。
ここで、用紙PA、PBとはX方向の長さが異なる他の用紙Pが用いられた場合、他の用紙Pに合わせて、接触部46のA方向の位置及びX方向の長さが同時に変更されるので、接触部46のA方向の位置及びX方向の長さが別々に変更される構成に比べて、接触部46の調節作業を行い易くすることができる。
さらに、+A方向の下流に向かうほどシート部材102と用紙Pとの接触面積が増えるので、接触部46よりも+A方向の下流において、用紙Pを安定して支持することができる。
【0087】
本発明の実施形態1から実施形態5までに係るプリンター10、スタッカーユニット20、40、70、80、100は、以上のべたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0088】
スタッカーユニット20において、接触部34の+X方向の端部及び-X方向の端部のいずれか一方のみが、用紙PのX方向の端部よりも内側に位置していても、用紙Pの引っ掛かりを抑制することができる。接触部34のA方向の下流部分が上流部分とほぼ同じ高さに位置していてもよい。シート部材30のA方向における接触部34よりも下流の一部で且つX方向の端部は、用紙PのX方向の端部と同じ位置にあってもよく、用紙PのX方向の端部よりも内側の位置にあってもよい。シート部材30において、斜辺部37、38に代えて、B方向から見てX方向に凸又は凹となる曲線部が形成されていてもよい。支持フレーム22は、筐体12及び床FLに固定されていてもよい。また、支持フレーム22をリニアスライダーとして構成して、自動でX方向に移動させてもよい。
【0089】
スタッカーユニット40において、接触部46の+X方向の端部及び-X方向の端部のいずれか一方のみが、用紙PのX方向の端部よりも内側に位置していてもよい。接触部46のA方向の下流部分が上流部分とほぼ同じ高さに位置していてもよい。シート部材42のA方向における接触部46よりも下流の一部で且つX方向の端部は、用紙PのX方向の端部と同じ位置にあってもよく、用紙PのX方向の端部よりも内側の位置にあってもよい。
保持部58は、マジックテープ(登録商標)に限らず、例えば、2つの角部55に取り付けた紐を-B方向に引っ張り、結えてもよい。
シート部材42において、X方向の長さが、+A方向の下流から接触部46に向かうほど長くなっていてもよい。また、シート部材42において、切込部52のX方向の長さを変更可能としない場合、ファスナー62を設けずに切込みのみで切込部52を形成してもよい。
【0090】
スタッカーユニット70において、切込部52及びファスナー62の数は、3つに限らず、2つ又は4つ以上であってもよい。
スタッカーユニット80において、シート部材82はA方向に2分割されたものに限らず、3つ以上に分割されたものであってもよい。そして、用紙Pのサイズに合わせて、接触部46を形成すればよい。
スタッカーユニット100において、シート部材102を巻き取らずに、A方向にスライドさせてもよい。シート部材102は、+A方向の上流から下流に向けて、X方向の長さが同じか又は減少してもよい。巻取部106は、自動でシート部材102の巻き取りを行うものに限らず、ユーザーが手動でシート部材102を巻き取るものであってもよい。
【0091】
シート部材30、42、82、102は、布製に限らず、可撓性を有する樹脂製のシートでもよい。
プリンター10は、シリアル方式のヘッドユニット16に代えて、ラインヘッドが用いられてもよい。また、プリンター10は、ヘッドユニット16に代えて、電子写真方式の記録部を有してもよい。さらに、プリンター10は、X方向の一方に用紙Pを寄せるサイドレジスト方式のものに限らず、X方向における装置の中央と用紙Pの中央とを揃えるセンターレジスト方式のものであってもよい。
【符号の説明】
【0092】
10…プリンター、11…本体部、12…筐体、12A…前壁、13…脚部、
14…操作パネル、16…ヘッドユニット、17…排出口、18…制御部、
19…排出ガイド、19A…曲面、20…スタッカーユニット、22…支持フレーム、
24…スライドレール、26…スライドフレーム、28…錘フレーム、30…シート部材、
31…上流部、32…端部、33…端部、34…接触部、36…下流部、37…斜辺部、
38…斜辺部、40…スタッカーユニット、42…シート部材、44…上流部、
46…接触部、46A…接触部、46B…接触部、46C…接触部、48…下流部、
50…調節部、52…切込部、52A…切込部、52B…切込部、52C…切込部、
54…第1調節部、55…角部、56…第2調節部、57…角部、58…保持部、
59…雌部材、61…雄部材、62…ファスナー、62A…ファスナー、
62B…ファスナー、62C…ファスナー、63…エレメント、64…エレメント、
65…スライダー、70…スタッカーユニット、72…調節部、
80…スタッカーユニット、82…シート部材、84…第1受入部材、85…上流部、
86…下流端部、87…第2受入部材、88…下流部、89…上流端部、92…接離部材、
93…段差部、100…スタッカーユニット、102…シート部材、103…台形部、
104…矩形部、106…巻取部、108…第1巻取部、109…収納ケース、
111…第1巻取ローラー、112…第1モーター、114…第2巻取部、
115…収納ケース、116…第2巻取ローラー、117…第2モーター、C…中心線、
FL…床、K1…仮想線、K2…仮想線、K3…仮想線、K4…仮想線、K5…仮想線、
K6…仮想線、KA…仮想線、KB…仮想線、P…用紙、PA…用紙、PB…用紙、
S1…仮想線、S2…仮想線、θ…角度