(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
G03G21/00 318
G03G21/00 370
(21)【出願番号】P 2020140285
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鴨田 雄二
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-234004(JP,A)
【文献】特開2009-169237(JP,A)
【文献】特開2016-109799(JP,A)
【文献】特開2015-018031(JP,A)
【文献】特開2011-128305(JP,A)
【文献】特開2010-191108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0251916(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に滑剤を供給する滑剤供給部と、
回転可能であり、前記像担持体に当接して前記像担持体上に供給された前記滑剤を固定化する固定化部材と、
前記固定化部材の回転を制御する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、前記固定化部材を回転させる第1リフレッシュ動作を実行し、前記第1リフレッシュ動作において、前記像担持体に当接する前記固定化部材の当接領域と異なる領域が前記像担持体に当接するよう、前記固定化部材を前記当接領域に相当する角度回転させる、
画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記固定化部材により前記滑剤を固定化する場合、前記固定化部材の回転を停止させる、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記当接領域が摩耗したと推測される場合、前記固定化部材を回転させる、
請求項
1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記像担持体の移動距離に応じて、前記固定化部材を回転させる、
請求項
1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記像担持体の移動距離と、前記像担持体を介して用紙に形成される画像の印字率に関する印字率情報とに応じて、前記固定化部材を回転させる、
請求項
1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記印字率情報として、前記像担持体の軸方向における前記画像の印字率の平均を用いる、
請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記印字率情報として、前記像担持体の軸方向において分割された前記画像の部分印字率を用いる、
請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
像担持体上に滑剤を供給する滑剤供給部と、
回転可能であり、前記像担持体に当接して前記像担持体上に供給された前記滑剤を固定化する固定化部材と、
前記固定化部材の回転を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記固定化部材を回転させる第1リフレッシュ動作を実行し、前記第1リフレッシュ動作において、前記像担持体を介して用紙に形成される画像の印字率に関する印字率情報として、前記像担持体の軸方向において分割された前記画像の部分印字率を用い、前記像担持体の移動距離と前記印字率情報とに応じて、前記固定化部材を回転させる、
画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記像担持体が移動する方向と同じ方向に前記固定化部材を回転させる、
請求項
1から8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記像担持体を介して用紙に形成される画像の印字率が所定の印字率より低い場合、前記像担持体が移動する方向と同じ方向に前記固定化部材を回転させる、
請求項
9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
像担持体上に滑剤を供給する滑剤供給部と、
回転可能であり、前記像担持体に当接して前記像担持体上に供給された前記滑剤を固定化する固定化部材と、
前記固定化部材の回転を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記固定化部材を回転させる第1リフレッシュ動作を実行し、前記第1リフレッシュ動作において、前記像担持体を介して用紙に形成される画像の印字率が所定の印字率より低い場合、前記像担持体が移動する方向と同じ方向に前記固定化部材を回転させる、
画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記像担持体が移動する方向と逆の方向に前記固定化部材を回転させる、
請求項
1から8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記像担持体を介して用紙に形成される画像の印字率が所定の印字率以上である場合、前記像担持体が移動する方向と逆の方向に前記固定化部材を回転させる、
請求項
12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
像担持体上に滑剤を供給する滑剤供給部と、
回転可能であり、前記像担持体に当接して前記像担持体上に供給された前記滑剤を固定化する固定化部材と、
前記固定化部材の回転を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記固定化部材を回転させる第1リフレッシュ動作を実行し、前記第1リフレッシュ動作において、前記像担持体を介して用紙に形成される画像の印字率が所定の印字率以上である場合、前記像担持体が移動する方向と逆の方向に前記固定化部材を回転させる、
画像形成装置。
【請求項15】
像担持体上に滑剤を供給する滑剤供給部と、
回転可能であり、前記像担持体に当接して前記像担持体上に供給された前記滑剤を固定化する固定化部材と、
前記固定化部材の回転を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記像担持体の移動の停止時間と、前記像担持体の停止時における前記像担持体の周囲の環境とに応じて、前記固定化部材を回転させるか否かを判断し、前記像担持体の移動と共に前記固定化部材を所定時間回転させる第2リフレッシュ動作を実行する、
画像形成装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記第2リフレッシュ動作において、前記像担持体が移動する方向と逆の方向に前記固定化部材を回転させる、
請求項1
5に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記固定化部材を清掃する清掃部材を備える、
請求項
16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記固定化部材は、円筒形状を有する、
請求項1から
17のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記固定化部材は、弾性部材を有する、
請求項1から
18のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置(プリンター、複写機、ファクシミリ、これらの複合機など)には、感光体ドラムなどの像担持体上に残存したトナーを除去するクリーニングブレードを有するクリーニング装置が備えられている。また、像担持体とクリーニングブレードとの摩擦力を低減するため、像担持体上に潤滑剤としての滑剤を供給する滑剤供給装置を備えたものもある。このような滑剤供給装置は、滑剤が棒状に形成された滑剤棒、滑剤棒の滑剤を像担持体に供給するブラシ、像担持体上に供給された滑剤を固定化する固定化ブレードなどを備えている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、滑剤の固定化に通常使用されている固定化ブレードは、例えば、像担持体との摺動により摩耗が進行するため、使用初期からの使用時間に伴って、像担持体との当接状態が変化していく。具体的には、固定化ブレードの摩耗が進行すると、固定化ブレードと像担持体との当接ニップにおける当接圧力(例えば、当接ニップにおける最大の当接圧力)が低下していく。固定化ブレードは、当接ニップにおける当接圧力が低下した場合、像担持体上に供給された滑剤を十分に固定化することができず、固定化されずに固定化ブレードを通過する滑剤が増加する。
【0005】
上述したような像担持体に対する固定化が不十分な滑剤は、現像装置の現像ローラー部分を通過するときに、現像装置側に回収されやすい。固定化が不十分な滑剤が現像装置側に回収されてしまうと、像担持体上の滑剤の量(滑剤量)が減少してしまう。この場合、例えば、現像ローラー側との擦過などの影響を像担持体が受けやすくなり、像担持体上の滑剤量が減少しない場合と比較して、像担持体上の表面電位が変動しやすくなる。その結果、像担持体上の表面電位、ひいては、現像ローラーから像担持体に供給されるトナー量が変動し、最終的に形成される画像の濃度、つまり、画像の品質が変動する可能性があるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、形成される画像の品質の低下を抑制可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、
像担持体上に滑剤を供給する滑剤供給部と、
回転可能であり、前記像担持体に当接して前記像担持体上に供給された前記滑剤を固定化する固定化部材と、
前記固定化部材の回転を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記固定化部材を回転させる第1リフレッシュ動作を実行し、前記第1リフレッシュ動作において、前記像担持体に当接する前記固定化部材の当接領域と異なる領域が前記像担持体に当接するよう、前記固定化部材を前記当接領域に相当する角度回転させる。
また、本発明に係る画像形成装置は、
像担持体上に滑剤を供給する滑剤供給部と、
回転可能であり、前記像担持体に当接して前記像担持体上に供給された前記滑剤を固定化する固定化部材と、
前記固定化部材の回転を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記固定化部材を回転させる第1リフレッシュ動作を実行し、前記第1リフレッシュ動作において、前記像担持体を介して用紙に形成される画像の印字率に関する印字率情報として、前記像担持体の軸方向において分割された前記画像の部分印字率を用い、前記像担持体の移動距離と前記印字率情報とに応じて、前記固定化部材を回転させる。
また、本発明に係る画像形成装置は、
像担持体上に滑剤を供給する滑剤供給部と、
回転可能であり、前記像担持体に当接して前記像担持体上に供給された前記滑剤を固定化する固定化部材と、
前記固定化部材の回転を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記固定化部材を回転させる第1リフレッシュ動作を実行し、前記第1リフレッシュ動作において、前記像担持体を介して用紙に形成される画像の印字率が所定の印字率より低い場合、前記像担持体が移動する方向と同じ方向に前記固定化部材を回転させる。
また、本発明に係る画像形成装置は、
像担持体上に滑剤を供給する滑剤供給部と、
回転可能であり、前記像担持体に当接して前記像担持体上に供給された前記滑剤を固定化する固定化部材と、
前記固定化部材の回転を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記固定化部材を回転させる第1リフレッシュ動作を実行し、前記第1リフレッシュ動作において、前記像担持体を介して用紙に形成される画像の印字率が所定の印字率以上である場合、前記像担持体が移動する方向と逆の方向に前記固定化部材を回転させる。
また、本発明に係る画像形成装置は、
像担持体上に滑剤を供給する滑剤供給部と、
回転可能であり、前記像担持体に当接して前記像担持体上に供給された前記滑剤を固定化する固定化部材と、
前記固定化部材の回転を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記像担持体の移動の停止時間と、前記像担持体の停止時における前記像担持体の周囲の環境とに応じて、前記固定化部材を回転させるか否かを判断し、前記像担持体の移動と共に前記固定化部材を所定時間回転させる第2リフレッシュ動作を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、形成される画像の品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
【
図3】
図1に示した画像形成装置のドラムクリーニングユニットの一例を示す図である。
【
図4】固定化ローラーの構成の一例を示す断面図である。
【
図5】感光体ドラムの軸方向において印字率が部分的に異なる画像パターンの場合の固定化ローラーの摩耗状態を説明する図である。
【
図6】固定化ローラーを回転させる角度を説明する図である。
【
図7】感光体ドラムと固定化ローラーとの当接ニップにおいて、固定化ローラーが感光体ドラムと同じ方向に移動するように、固定化ローラーを回転させる場合を説明する図である。
【
図8】感光体ドラムと固定化ローラーとの当接ニップにおいて、固定化ローラーが感光体ドラムと逆の方向に移動するように、固定化ローラーを回転させる場合を説明する図である。
【
図9】固定化装置の他の一例(変形例5)を示す図である。
【
図10】従来の滑剤供給装置及び固定化装置を備えるドラムクリーニングユニットを示す図である。
【
図11】平均印字率と総印刷枚数に基づいて、第1リフレッシュ動作を実行する条件を示す表である。
【
図12】最大画像幅を感光体ドラムの軸方向に分割して設定する分割領域を説明する図である。
【
図13】平均印字率の全区間平均値に基づいて、固定化ローラーの回転方向を制御する条件を示す表である。
【
図14】比較例1、実施例1~4の評価方法で使用する縦帯を示す図である。
【
図15】比較例1、実施例1~4の評価結果を示す表である。
【
図16】比較例1、実施例5、6の評価結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。また、
図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。即ち、画像形成装置1は、感光体上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)の各色トナー像を中間転写体に一次転写し、中間転写体上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に二次転写することにより、画像を形成する。
【0013】
また、画像形成装置1には、CMYKの4色に対応する感光体を中間転写体の走行方向に直列配置し、中間転写体に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0014】
図1、
図2に示す画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60及び制御部70などを備える。
【0015】
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)71、ROM(Read Only Memory)72及びRAM(Random Access Memory)73などを備えている。CPU71は、ROM72から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM73に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部82に格納されているLUT(Look Up Table)などの各種データが参照される。記憶部82は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(所謂、フラッシュメモリ)又はハードディスクドライブで構成される。
【0016】
制御部70は、通信部81を介して、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークに接続された外部の装置(例えば、パーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部70は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成する。通信部81は、例えば、LANカード等の通信制御カードで構成される。
【0017】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11及び原稿画像走査装置12(スキャナー)などを備える。
【0018】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
【0019】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aに結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0020】
操作表示部20は、例えば、タッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部70から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況などの表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキーなどの各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部70に出力する。
【0021】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じた画像処理を行う回路などを備える。画像処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0022】
画像形成部40は、画像処理部30からの画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42などを備える。
【0023】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。そのため、
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号を付し、他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号を省略する。
【0024】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413(像担持体)、帯電装置414、ドラムクリーニングユニット(以降、クリーニングユニット)415などを備える。
【0025】
露光装置411は、例えば、半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。レーザー光の照射により感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されると、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。その結果、感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0026】
現像装置412は、例えば、現像ローラー412Aなどを有する二成分現像方式の現像装置であり、現像ローラー412Aから感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより、静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0027】
感光体ドラム413は、例えば、アルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)などを備える。この感光体ドラム413は、導電性円筒体の周面にアンダーコート層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層することで構成された光導電性を有する感光体であり、例えば、負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。感光体ドラム413は、その駆動モーター(図示省略)に供給される駆動電流を制御部70が制御することにより、一定の周速度(線速度)で回転される。
【0028】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
【0029】
クリーニングユニット415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるクリーニング部材としてのドラムクリーニングブレード(以降、クリーニングブレード)などを有する。クリーニングユニット415は、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーをクリーニングブレードによって除去する。このクリーニングユニット415のより詳しい構成については、
図3を参照して後述する。
【0030】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、駆動ローラー423A、バックアップローラー423Bなどを含む複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、ベルトクリーニング装置426などを備える。
【0031】
中間転写ベルト421は、複数の支持ローラー423にループ状に張架され、駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。一次転写ローラー422は、中間転写ベルト421を感光体ドラム413に圧接させており、これにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写する。二次転写ローラー424は、中間転写ベルト421を挟んでバックアップローラー423Bに圧接されており、これにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写する。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。なお、二次転写ローラー424に代えて、複数の支持ローラーに二次転写ベルトがループ状に張架されたベルト式の二次転写ユニットを採用してもよい。
【0032】
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接するベルトクリーニングブレードなどを有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0033】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52及び搬送経路部53などを備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズなどに基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aなどの複数の搬送ローラー対を有する。
【0034】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されると共に搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40、定着部60を経て画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0035】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着ベルト61、加熱ローラー62、定着ローラー63、加圧ローラー64などを備える。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。加圧ローラー64は、定着ベルト61との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
【0036】
図3は、クリーニングユニット415の一例を示す図である。クリーニングユニット415は、クリーニング装置100、滑剤供給部210、固定化装置220などを備える。これらは、図示省略した支持枠体に取り付けられて収容されている。なお、本実施の形態において、滑剤供給部210と固定化装置220が滑剤供給装置200を構成する。
【0037】
クリーニング装置100は、クリーニングブレード101と支持板金102とを備えている。クリーニングブレード101は、支持板金102に取り付けられて支持されている。支持板金102は、支持枠体(図示省略)に取り付けられて支持されている。クリーニングブレード101は、ウレタンゴムなどの弾性部材を平板状のシートに成形したものであり、感光体ドラム413の軸方向(主走査方向)の幅とほぼ同等の幅を有する。クリーニングブレード101は、ここでは、その先端(エッジ)を感光体ドラム413の回転方向R1に対向するように当接させるカウンター方式の構成となっている。具体的には、クリーニングブレード101は、感光体ドラム413が回転方向R1に回転するとき、クリーニングブレード101の先端部分が突っ張ることとなるカウンター方向から所定の当接角及び侵入量で摺接するように配置されている。
【0038】
画像形成時には、感光体ドラム413の回転方向R1への回転に伴い、クリーニングブレード101によって感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーが掻き取られる。
【0039】
滑剤供給部210は、滑剤棒211とブラシ212とを備えている。滑剤棒211は、潤滑剤を固形化して棒状に成形したものである。滑剤棒211は、付勢部材を有するホルダー(共に図示省略)に支持されて支持枠体に固定されている。この付勢部材は、例えば、圧縮スプリングであり、滑剤棒211がブラシ212と接触した状態を保持するため、滑剤棒211をブラシ212に向けて所定の押圧荷重で押圧している。滑剤棒211の幅は、クリーニングブレード101などの幅よりも狭い。滑剤棒211は、例えば、鉛筆硬度でF~HB相当の硬度を有している。滑剤棒211に使用される潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛(ZnSt)である。
【0040】
ブラシ212は、滑剤棒211の滑剤を感光体ドラム413上に供給する役割を有する。ブラシ212は、例えば、ポリエステルなどの繊維が植設された基布を芯金に巻き付けたローラー状のブラシであり、感光体ドラム413の軸方向の幅とほぼ同等の幅を有する。ブラシ212は、滑剤棒211の表面及び感光体ドラム413の表面に接触するように配置され、感光体ドラム413の回転方向R1とは反対向きの回転方向R2に回転して、感光体ドラム413上に滑剤を供給する。
【0041】
固定化装置220は、感光体ドラム413の回転方向R1において、滑剤供給部210の下流側に配置され、滑剤供給部210により感光体ドラム413上に供給された滑剤を固定化するものである。
【0042】
ところで、従来、滑剤を固定化する固定化装置においては、後述の
図10に示すような固定化ブレード311が使用されていた。このような固定化ブレード311は、感光体ドラム413との摺動により摩耗が進行する。固定化ブレード311の摩耗が進行すると、固定化されずに固定化ブレード311を通過する滑剤が増加する。
【0043】
感光体ドラム413に対する固定化が不十分な滑剤は、現像装置412の現像ローラー412A部分を通過するときに、現像装置412側に回収されやすい。固定化が不十分な滑剤が現像装置412側に回収されてしまうと、感光体ドラム413上の滑剤量が減少してしまう。この場合、例えば、現像ローラー412A側との擦過などの影響を感光体ドラム413が受けやすくなり、感光体ドラム413上の表面電位が変動しやすくなる。その結果、感光体ドラム413上の表面電位、ひいては、現像ローラー412Aから感光体ドラム413に供給されるトナー量が変動し、最終的に形成される画像の濃度、つまり、画像の品質が変動する可能性があるという問題があった。
【0044】
そこで、本実施の形態において、固定化装置220は、回転可能であり、感光体ドラム413に当接して感光体ドラム413上に供給された滑剤を固定化する固定化部材(
図3に示す固定化ローラー221を参照)を備える。また、固定化装置220は、固定化部材の回転を制御する制御部70(
図2を参照)を備える。制御部70は、固定化部材により滑剤が固定化される場合、固定化部材の回転を停止させる。そして、制御部70は、感光体ドラム413に当接する固定化部材の当接領域の摩耗状態に応じて、固定化部材を回転させて、上記の当接領域と異なる固定化部材の領域を感光体ドラム413に当接させる。
【0045】
このような構成を有する固定化装置220について、
図3を参照して説明を行う。
図3に示すように、固定化装置220は、固定化部材である固定化ローラー221を備える。また、固定化装置220は、図示は省略しているが、支持部材、モーターなどを備える。
【0046】
固定化ローラー221は、感光体ドラム413の軸方向の幅とほぼ同等の幅を有する。固定化ローラー221は、支持部材に回転可能に取り付けられて支持されている。支持部材は、支持枠体に取り付けられて支持されている。固定化ローラー221は、支持部材により、所定の押圧力で感光体ドラム413側に押圧されて、感光体ドラム413に当接されており、これにより、当接ニップを形成し、所定のニップ幅を確保している。この際、固定化ローラー221のニップ幅(面圧)と滑剤が当接ニップに突入する楔角とが、従来から使用されている固定化ブレードと同等以上となるように、固定化ローラー221は感光体ドラム413側に押圧されている。
【0047】
また、固定化ローラー221は、モーターにより駆動されており、モーターは、制御部70により駆動されている。具体的には、制御部70は、駆動信号を出力することにより、モーターを駆動して、固定化ローラー221を回転方向R3又は回転方向R4に回転させる。また、制御部70は、駆動信号の出力を停止することにより、モーターの駆動を停止して、固定化ローラー221の回転を停止させる。このように、制御部70は、モーターを制御して、固定化ローラー221の回転動作を制御する。
【0048】
固定化ローラー221の構成について、
図4を参照して説明する。
図4は、固定化ローラー221の構成の一例を示す断面図である。
【0049】
固定化ローラー221は、円柱形状又は円筒形状であり、芯金221aと、弾性層221bと、表層221cとを有する。芯金221aは、金属製の円柱体又は円筒体である。弾性層221bは、芯金221aの外周面に設けられており、ゴムなどの弾性部材により形成されている。表層221cは、弾性層221bの外周面を覆う層であり、弾性部材により形成されている。
【0050】
上述した構成を有する固定化装置220は、以下のように動作させる。具体的には、制御部70は、固定化ローラー221を回転させない状態で感光体ドラム413に当接させて、感光体ドラム413上に供給された滑剤を固定化する。
【0051】
また、制御部70は、感光体ドラム413に当接する固定化ローラー221の当接ニップ(当接領域)の摩耗状態に応じて、固定化ローラー221を回転させて、上記の当接領域と異なる固定化ローラー221の領域を感光体ドラム413に当接させる。
【0052】
更に具体的には、制御部70は、感光体ドラム413の回転数や画像形成した用紙の枚数などから、感光体ドラム413の移動距離を求めておく。そして、制御部70は、感光体ドラム413の移動距離が所定の移動距離より大きい場合、固定化ローラー221を回転させる第1リフレッシュ動作(固定化部材制御方法)を実行する。所定の移動距離としては、感光体ドラム413との摺擦により固定化ローラー221の摩耗が進行したと予測される移動距離が設定される。この第1リフレッシュ動作により、固定化ローラー221を回転させて、固定化ローラー221の未使用の領域を感光体ドラム413に当接させる。つまり、固定化ローラー221の未使用の領域が感光体ドラム413に当接するように、固定化ローラー221を所定角度回転させる。
【0053】
このようにして、制御部70は、固定化ローラー221の当接ニップが摩耗したと推測したとき、固定化ローラー221の未使用の領域を感光体ドラム413に当接させている。そして、固定化ローラー221の未使用の領域を感光体ドラム413に当接させることにより、当接ニップの面圧が低下しないようにしている。これにより、固定化ローラー221で滑剤を固定化する量が低減しないようにして、固定化させずに固定化ローラー221を通過する滑剤を低減するようにしている。
【0054】
このように、固定化されずに固定化ローラー221を通過する滑剤が低減するので、現像装置412側に回収される滑剤量が低減し、感光体ドラム413上の滑剤量が低減(変動)しないようになる。そして、感光体ドラム413上の滑剤量が変動しないようになるので、現像ローラー412A側との擦過などによる感光体ドラム413の表面電位の変動も抑制される。感光体ドラム413の表面電位の変動が抑制される結果、感光体ドラム413上のトナー量の変動も抑制され、形成される画像の濃度の変動も抑制されて、形成される画像の品質の低下を抑制することができる。
【0055】
また、制御部70は、固定化ローラー221の当接ニップが摩耗したと推測したとき、固定化ローラー221の未使用の領域を感光体ドラム413に当接させるので、固定化ローラー221の全周を使用し終わるまでが、固定化ローラー221の寿命となる。従来の固定化ブレードと比較すると、固定化ローラー221の寿命は数倍も長いものとなり、固定化する部材としては、その長寿命化を図ることができる。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態において、固定化装置220は、回転可能であり、感光体ドラム413に当接して感光体ドラム413上に供給された滑剤を固定化する固定化ローラー221と、固定化部材の回転を制御する制御部70とを備える。
【0057】
このように構成した本実施の形態によれば、固定化ローラー221により感光体ドラム413上に供給された滑剤が固定化される場合、固定化ローラー221の回転を停止させる。そして、固定化ローラー221の当接領域が摩耗すると、固定化ローラー221の未使用の領域を感光体ドラム413に当接させる第1リフレッシュ動作を実行するので、固定化ローラー221の当接領域の面圧を低下しないようにすることができる。これにより、固定化ローラー221で滑剤を固定化する量が低減しないようにして、固定化ローラー221を通過する滑剤を低減するようにしている。この結果、現像装置412側に回収される滑剤量が低減し、感光体ドラム413上の滑剤量が低減しないようになる。このため、感光体ドラム413の表面電位の変動が抑制されて、形成される画像の濃度の変動も抑制されて、形成される画像の品質の低下を抑制することができる。
【0058】
なお、本実施の形態では、固定化部材を円柱又は円筒形状の固定化ローラー221としているが、固定化部材は、回転可能であれば、例えば、多角柱形状のものでもよい。
【0059】
<変形例1>
上記の実施の形態では、制御部70は、感光体ドラム413の回転数や画像形成した用紙の枚数などから、感光体ドラム413の移動距離を求め、この移動距離に基づいて、固定化ローラー221の摩耗状態(摩耗しているか否か)を推測している。
【0060】
上記の実施の形態に対し、本変形例は、固定化ローラー221の摩耗状態の推測条件に相違があり、これ以外は、上記の実施の形態と同様の構成である。具体的には、本変形例では、制御部70は、上記の移動距離に加えて、感光体ドラム413を介して用紙に形成される画像の印字率に関する印字率情報も考慮する。更に具体的には、制御部70は、印字率情報として、感光体ドラム413の軸方向における画像の印字率の平均(平均印字率)を用いる。
【0061】
感光体ドラム413の軸方向における平均印字率を考慮するのは、感光体ドラム413との摺擦による固定化ローラー221の摩耗量が、クリーニングブレード101をすり抜けて固定化ローラー221に到達するトナーの外添剤の量の影響を受けるからである。具体的には、感光体ドラム413の軸方向における平均印字率が低くなるほど、固定化ローラー221に到達するトナーの外添剤の量は少なくなる。そして、固定化ローラー221に到達するトナーの外添剤の量が少なくなるほど、固定化ローラー221の摩耗量が大きくなる。つまり、感光体ドラム413の軸方向における平均印字率が低くなるほど、固定化ローラー221の摩耗量が大きくなる。このように、感光体ドラム413の移動距離に加えて、感光体ドラム413の軸方向における平均印字率も考慮して、固定化ローラー221の摩耗状態を推測する。
【0062】
そのため、例えば、後述の
図11に例示するように、平均印字率が所定の印字率より低い場合、所定の印字率以上の場合より、第1リフレッシュ動作を実行する実行枚数(感光体ドラム413の移動距離に相当する数値)を少なくする。つまり、平均印字率に応じて、第1リフレッシュ動作を実行する感光体ドラム413の移動距離を設定している。
【0063】
以上説明したように、本変形例において、制御部70は、感光体ドラム413の移動距離と感光体ドラム413の軸方向における平均印字率とに基づいて、固定化ローラー221が摩耗状態を推測する。そして、固定化ローラー221が摩耗したと推測した場合、上記の実施の形態の第1リフレッシュ動作を実行する。
【0064】
このように構成した本変形例によれば、感光体ドラム413の移動距離と感光体ドラム413の軸方向における平均印字率とに基づいて、固定化ローラー221の摩耗状態を推測するので、固定化ローラー221の摩耗状態をより正確に推測することができる。そして、この推測に基づいて、上記の実施の形態の第1リフレッシュ動作を実行するので、上記の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
なお、ここでは、印字率情報として、感光体ドラム413の軸方向における平均印字率を用いたが、同等の統計的な数値であれば、他の数値、例えば、基準値に対する偏差などでもよい。
【0066】
<変形例2>
上記の実施の形態では、制御部70は、感光体ドラム413の回転数や画像形成した用紙の枚数などから、感光体ドラム413の移動距離を求め、この移動距離に基づいて、固定化ローラー221の摩耗状態を推測している。また、上記の変形例1では、制御部70は、感光体ドラム413の軸方向における平均印字率も考慮して、固定化ローラー221の摩耗状態を推測している。
【0067】
上記の実施の形態に対し、本変形例も、固定化ローラー221の摩耗状態の推測条件に相違があり、これ以外は、上記の実施の形態と同様の構成である。そして、上記の変形例1に対し、本変形例は、制御部70が用いる印字率情報が相違する。具体的には、本変形例では、制御部70は、上記の移動距離に加えて、印字率情報として、感光体ドラム413の軸方向において分割された画像の部分印字率を用いる。更に具体的には、制御部70は、例えば、画像幅を感光体ドラム413の軸方向で複数の分割領域に分割し、各分割領域における印字率の平均を部分印字率として用いる。
【0068】
各分割領域における平均印字率を考慮するのは、画像パターンによって、クリーニングブレード101からすり抜けて、固定化ローラー221に到達するトナーの外添剤の量が固定化ローラー221の幅方向で異なるからである。固定化ローラー221に到達するトナーの外添剤の量が固定化ローラー221の幅方向で異なると、固定化ローラー221の摩耗量が、その幅方向で異なることになる。この結果、感光体ドラム413上の滑剤量が幅方向で不均一になり、形成される画像にノイズが発生することになる。
【0069】
図5は、感光体ドラム413の軸方向(用紙Sの幅方向)において印字率が部分的に異なる画像パターンの場合の固定化ローラー221の摩耗状態を説明する図である。
【0070】
幅方向において印字率が部分的に大きく異なる画像パターンを連続的に画像形成する場合、例えば、
図5に示すように、幅方向において、中心部分の印字率が低く、両端部分の印字率が高い画像パターンを連続的に画像形成する場合を一例として考えてみる。この場合、幅方向における印字率の高低に応じて、固定化ローラー221の幅方向における摩耗量に大小が生じる。具体的には、印字率の高い両端部分に対応する固定化ローラー221の部分の摩耗量は小さくなり、印字率の低い中心部分に対応する固定化ローラー221の部分の摩耗量は大きくなる。この結果、感光体ドラム413上の滑剤量が幅方向において不均一になり、形成される画像にノイズが発生することになる。また、感光体ドラム413上の滑剤量が幅方向において不均一になると、クリーニングブレード101の摩耗も幅方向で不均一となり、クリーニングブレード101によるクリーニングが幅方向でムラを生じることになる。
【0071】
そのため、形成される画像の画像幅を感光体ドラム413の軸方向で複数の分割領域に分割し、分割領域の各々における印字率の平均(部分印字率)を記憶しておく。
図5を例にとって説明すると、形成される画像の最大画像幅を感光体ドラム413の軸方向(用紙Sの幅方向)で中心部分及び両端部分の3つの分割領域に分割し、中心部分及び両端部分の分割領域の各々における部分印字率を記憶しておく。また、変形例1と同様に、部分印字率に応じて、第1リフレッシュ動作を実行する用紙枚数(感光体ドラム413の移動距離)を設定しておく(
図11を参照)。3つの分割領域の1つにおいて、部分印字率と用紙枚数が、例えば、
図11に示す条件を満たす場合、複数の分割領域の部分印字率に大きな差があり、固定化ローラー221が不均一に摩耗したと推測する。
【0072】
以上説明したように、本変形例において、制御部70は、感光体ドラム413の移動距離と複数の分割領域における部分印字率とに基づいて、固定化ローラー221が不均一に摩耗したか否かを推測する。そして、固定化ローラー221が不均一に摩耗したと推測した場合、上記の実施の形態の第1リフレッシュ動作を実行する。
【0073】
このように構成した本変形例によれば、複数の分割領域における平均印字率も考慮して、固定化ローラー221の摩耗状態を推測するので、固定化ローラー221が幅方向において不均一に摩耗していることを推測することができる。そして、この推測に基づいて、上記の実施の形態の第1リフレッシュ動作を実行するので、上記の実施の形態と同様の効果を得ることができる。更に本変形例の場合、固定化ローラー221が幅方向において不均一に摩耗していることを推測するので、感光体ドラム413上の滑剤量が幅方向において不均一になることを抑制して、形成される画像にノイズが発生することを抑制することができる。
【0074】
<変形例3>
上記の実施の形態では、制御部70は、固定化ローラー221の未使用の領域が感光体ドラム413に当接するように、固定化ローラー221を所定角度回転させている。
【0075】
上記の実施の形態に対し、本変形例では、固定化ローラー221のニップ幅を考慮して、固定化ローラー221を回転させており、これ以外は、上記の実施の形態と同様の構成である。具体的には、本変形例では、固定化ローラー221のニップ幅に基づいて、固定化ローラー221を回転させる角度を求め、求められた角度に基づいて、固定化ローラー221を回転させている。
【0076】
図6は、固定化ローラー221を回転させる角度を説明する図である。固定化ローラー221が感光体ドラム413に押圧されて当接されることで、固定化ローラー221と感光体ドラム413との間に当接ニップが形成され、当接ニップは所定のニップ幅を有することになる。制御部70は、このニップ幅を予め有し、また、このニップ幅に相当する固定化ローラー221のニップ相当角度も予め有している。そして、制御部70は、第1リフレッシュ動作を実行する際には、固定化ローラー221をニップ相当角度回転させるようにしている。本変形例においては、回転方向R3又はR4のいずれの方向に回転させてもよい。
【0077】
このようにして、固定化ローラー221をニップ相当角度回転させることで、現在の当接ニップに隣接する固定化ローラー221の未使用の領域を感光体ドラム413に当接させることができる。これにより、固定化ローラー221の全周を漏れなく使用することができ、上記の実施の形態と比較しても、固定化ローラー221の寿命は長いものとなり、固定化する部材として、その長寿命化を図ることができる。
【0078】
以上説明したように、本変形例において、制御部70は、第1リフレッシュ動作を実行する際に、固定化ローラー221を当接ニップのニップ幅に相当する角度回転させるようにしている。
【0079】
このように構成した本変形例によれば、第1リフレッシュ動作を実行する際に、固定化ローラー221を当接ニップのニップ幅に相当する角度回転させるので、上記の実施の形態と同様の効果を得ることができる。更に本変形例の場合、固定化ローラー221の全周を漏れなく使用して、固定化ローラー221の更なる長寿命化も図ることもできる。
【0080】
<変形例4>
上記の実施の形態では、制御部70が回転させる固定化ローラー221の回転方向は、
図3に示すように、回転方向R3又はR4にいずれかに回転可能としている。
【0081】
上記の実施の形態に対し、本変形例では、感光体ドラム413を介して用紙に形成される画像の印字率を考慮して、固定化ローラー221の回転方向を制御するようにしており、これ以外は、上記の実施の形態と同様の構成である。具体的には、本変形例では、感光体ドラム413の軸方向(用紙Sの幅方向)における平均印字率が所定の印字率より低い場合、感光体ドラム413の回転方向R1と逆の回転方向である回転方向R3に固定化ローラー221を回転させるようにしている。言い換えると、この場合、当接ニップにおいて固定化ローラー221が感光体ドラム413と同じ方向に移動するように、固定化ローラー221を回転方向R3に回転させている(ウイズ回転)。一方、平均印字率が所定の印字率以上の場合、感光体ドラム413の回転方向R1と同じ回転方向である回転方向R4に固定化ローラー221を回転させるようにしている。言い換えると、この場合、当接ニップにおいて固定化ローラー221が感光体ドラム413と逆の方向に移動するように、固定化ローラー221を回転方向R4に回転させている(カウンター回転)。
【0082】
固定化ローラー221の回転方向を制御する理由について、以下に説明する。感光体ドラム413に供給された滑剤は、固定化ローラー221に到達後、ある割合で固定化ローラー221により固定化(膜化)されて、固定化ローラー221を通過し、残りの割合で固定化ローラー221に堰き止められて、固定化ローラー221上に堆積する。固定化ローラー221上に堆積した滑剤は、固定化ローラー221の配置によっては、重力により落下することもあり、無駄に滑剤を消費することになる。このように、固定化ローラー221上に堆積した滑剤は、滑剤の供給効率を低下させる要因となるので、これを再利用できれば、滑剤の供給効率の向上に繋がる。
【0083】
ところが、固定化ローラー221上に堆積した滑剤には、クリーニングブレード101をすり抜けてきたトナーの外添剤も含まれている。堆積した滑剤に含まれるトナーの外添剤の比率が高い場合、このような滑剤を再利用すると、固定化ローラー221の当接ニップへの滑剤の侵入をトナーの外添剤が妨げる可能性が高くなる。このため、供給された滑剤量に対して、固定化ローラー221により固定化されて、固定化ローラー221を通過する滑剤量の比率が低下して、滑剤の供給効率が低下してしまう。
【0084】
そこで、本変形例においては、形成される画像の印字率を考慮して、固定化ローラー221の回転方向を制御して、堆積した滑剤に含まれるトナーの外添剤の比率が低い場合、このような滑剤を再利用可能にしている。
【0085】
具体的には、固定化ローラー221に到達するトナーの外添剤の量(外添剤量)が所定の外添剤量より小さい場合、例えば、平均印字率が所定の印字率より低い場合、
図7に示すように、固定化ローラー221を回転させる。つまり、第1リフレッシュ動作を実行する際には、
図7に示すように、当接ニップにおいて固定化ローラー221が感光体ドラム413と同じ方向に移動する回転方向R3に固定化ローラー221を回転させる。これにより、固定化ローラー221上に堆積した外添剤量が少ない滑剤を、回転方向R1における当接ニップの上流側近傍に送り込むことができる。つまり、固定化ローラー221上に堆積した外添剤量が少ない滑剤を再利用することができ、滑剤の供給効率の向上を図ることができる。
【0086】
一方で、固定化ローラー221に到達するトナーの外添剤量が所定の外添剤量以上の場合、例えば、平均印字率が所定の印字率以上の場合、
図8に示すように、固定化ローラー221を回転させる。つまり、第1リフレッシュ動作を実行する際には、
図8に示すように、当接ニップにおいて固定化ローラー221が感光体ドラム413と逆の方向に移動する回転方向R4に固定化ローラー221を回転させる。これにより、固定化ローラー221上に堆積した外添剤量が多い滑剤を、回転方向R1における当接ニップの上流側近傍に送り込まないようにしている。つまり、固定化ローラー221上に堆積した外添剤量が多い滑剤を再利用しないようにすることで、滑剤の当接ニップへの侵入を外添剤が妨げることを抑制して、滑剤の供給効率の低下を抑制するようにしている。
【0087】
以上説明したように、本変形例において、制御部70は、形成される画像の印字率に応じて、固定化ローラー221の回転方向を制御するようにしている。
【0088】
このように構成した本変形例によれば、形成される画像の印字率に応じて、固定化ローラー221の回転方向を制御するので、上記の実施の形態と同様の効果を得ることができる。更に本変形例の場合、平均印字率が所定の印字率より低い場合、当接ニップにおいて固定化ローラー221が感光体ドラム413と同じ方向に移動する回転方向R3に固定化ローラー221を回転させるので、外添剤量が少ない滑剤を再利用することができる。この結果、滑剤の供給効率の向上を図ることができる。また、平均印字率が所定の印字率以上の場合、当接ニップにおいて固定化ローラー221が感光体ドラム413と逆の方向に移動する回転方向R4に固定化ローラー221を回転させるので、外添剤量が多い滑剤を再利用しないようにすることができる。この結果、滑剤の当接ニップへの侵入を外添剤が妨げることを抑制して、滑剤の供給効率の低下を抑制することができる。
【0089】
なお、ここでは、画像の印字率として、感光体ドラム413の軸方向(用紙Sの幅方向)における平均印字率を用いたが、同等の統計的な数値であれば、他の数値、例えば、基準値に対する偏差などでもよい。
【0090】
<変形例5>
上記の実施の形態では、固定化装置220は、固定化ローラー221と、固定化ローラー221の回転を制御し駆動する駆動機構(モーターなど)とを有する。
【0091】
上記の実施の形態に対し、本変形例では、固定化装置220は、上記の実施の形態での構成に加えて、固定化ローラー221の表面を清掃する清掃部材を有している。この清掃部材については、
図9を参照して後述する。
【0092】
高温高湿環境下において、画像形成処理の後、感光体ドラム413の動作(回転)が長時間停止した場合、感光体ドラム413の周方向の一部に帯電装置414からの放電生成物が長時間降り注ぐことになる。放電生成物は親水性であるため、感光体ドラム413において、放電生成物が降り注いだ部分は抵抗が下がってしまい、画像形成時に画像ノイズを引き起こす要因となる。このような場合、感光体ドラム413をリフレッシュさせる以下の第2リフレッシュ動作を実行することが有効である。第2リフレッシュ動作は、感光体ドラム413をリフレッシュさせる点で、固定化ローラー221をリフレッシュさせる第1リフレッシュ動作とは相違する。
【0093】
本変形例では、第2リフレッシュ動作において、感光体ドラム413及び固定化ローラー221を所定時間回転させて、感光体ドラム413上の放電生成物を滑剤と共に固定化ローラー221で回収するようにしている。所定時間としては、放電生成物が降り注いだ感光体ドラム413の部分を回収できる時間を設定する。
【0094】
また、制御部70は、第2リフレッシュ動作において、放電生成物の回収性を高めるため、感光体ドラム413の回転方向R1と同じ回転方向である回転方向R4に固定化ローラー221を回転させる。言い換えると、当接ニップにおいて固定化ローラー221が感光体ドラム413と逆の方向に移動するように、固定化ローラー221を回転方向R4に回転させている。
【0095】
ここで、
図9は、本変形例の固定化装置220を示す図である。本変形例では、固定化ローラー221を清掃するため、清掃ブラシ222(清掃部材)を有しており、清掃ブラシ222を清掃するため、フリッキング板223を有している。清掃ブラシ222は、固定化ローラー221に当接されて、固定化ローラー221の回転方向R4と同じ回転方向である回転方向R5に回転しており、これにより、固定化ローラー221上の放電生成物及び滑剤を清掃(除去)している。つまり、固定化ローラー221と清掃ブラシ222との当接部分において清掃ブラシ222が固定化ローラー221と逆の方向に移動するように、清掃ブラシ222を回転方向R5に回転させている(カウンター回転)。更に、フリッキング板223は、清掃ブラシ222に当接されており、これにより、清掃ブラシ222に付着した放電生成物及び滑剤を清掃(除去)している。
【0096】
なお、第2リフレッシュ動作は、画像形成装置1の再起動時(再開時)のスタートアップシーケンスに組み込まれるため、例えば、定着部60のウォームアップ時間以下の時間で終了できれば、生産性に対する影響はない。
【0097】
以上説明したように、本変形例において、固定化装置220は、固定化ローラー221を清掃する清掃ブラシ222(清掃部材)を備える。そして、制御部70は、感光体ドラム413の停止時間や停止時における周囲の環境に応じて、感光体ドラム413をリフレッシュさせる第2リフレッシュ動作を実行するか否かを判断する。感光体ドラム413の停止時間や停止時における周囲の環境が所定の条件(放電生成物が生成される条件)を満たす場合、第2リフレッシュ動作を実行して、感光体ドラム413上の放電生成物を滑剤と共に固定化ローラー221で回収するようにしている。
【0098】
このように構成した本変形例によれば、感光体ドラム413上の放電生成物を滑剤と共に固定化ローラー221で回収するので、感光体ドラム413を正常な抵抗に戻すことができ、画像形成時における画像ノイズの発生を抑制することができる。
【0099】
なお、感光体ドラム413の周囲の環境としては、周囲の温度や湿度などを考慮すればよい。
【実施例】
【0100】
上記の実施の形態に関して、本発明者は、以下に説明するように、実施例と比較例とを実施し、それらの評価を行った。
【0101】
評価にあたり、上記の実施の形態を実施例1とし、上記の変形例1を実施例2とし、上記の変形例2を実施例3とし、上記の変形例4を実施例4とし、上記の変形例5を実施例5、6とした。また、これらとの比較のため、
図10に示す固定化装置310を比較例1とした。
【0102】
図10に示す固定化装置310は、感光体ドラム413の表面に端部が当接される固定化ブレード311と、固定化ブレード311を取り付けて支持する支持板金312とを備える。なお、
図10において、クリーニング装置100、滑剤供給部210の構成は、上述した通りであるので、それらの説明は省略する。
【0103】
各実施例及び各比較例の共通の条件は、以下の通りである。
プロセス速度:400mm/s
クリーニングブレード101(材質:ポリウレタン、ゴム硬度:70°、厚み:2mm、当接力:30N/m、当接角:20°)
滑剤棒211(材質:ZnSt、押圧力:5N)
ブラシ212(外径:14mm、材質:アクリル、繊度:3d、密度:150KF/inch、感光体食込み量:1mm、カウンター回転)
なお、150KF/inchとは、1平方インチ当たり150000本の繊維が植毛されていることを意味する。
【0104】
また、実施例及び比較例の各々の構成は、以下の通りである。
【0105】
(実施例1~6)
固定化ローラー221(外径:13mm、芯金径:8mm、感光体食込み量:0.5mm、ニップ幅:5.2mm)
弾性層221b(厚み:2mm、材質:ウレタンスポンジ、硬度:20°(アスカーC))
表層221c(材料:ポリウレタン、厚み:0.5mm)
【0106】
(比較例1)
固定化ブレード311(材質:ポリウレタン、ゴム硬度:65°、厚み:1.5mm、感光体食込み量:0.5mm、トレイル、当接角α:50°)
【0107】
[実施内容]
各実施例での実施内容は、以下の通りである。
【0108】
(実施例1)
A4横200K枚印刷する毎に第1リフレッシュ動作を実行する。このとき、当接ニップとして固定化ローラー221の未使用な領域が感光体ドラム413に当接するように、固定化ローラー221を回転させた。具体的には、当接ニップにおいて固定化ローラー221が感光体ドラム413と逆の方向に移動する回転方向R4に固定化ローラー221を回転させた(カウンター回転)。
【0109】
(実施例2)
A4横100K枚印刷する毎に、100K枚印刷する間の画像形成領域全体の平均印字率を計算し、記憶する。そして、例えば、
図11に示す表の条件に従って、平均印字率と総印刷枚数に基づいて、第1リフレッシュ動作を実行する。例えば、画像形成領域全体の平均印字率が10%未満である場合には、平均印字率が10%未満の総印刷枚数が100K枚に到達した時点で、第1リフレッシュ動作を実行する。また、例えば、画像形成領域全体の平均印字率が10%以上である場合には、平均印字率が10%以上の総印刷枚数が200K枚に到達した時点で、第1リフレッシュ動作を実行する。第1リフレッシュ動作自体は、実施例1と同様に、当接ニップとして固定化ローラー221の未使用な領域が感光体ドラム413に当接するように、回転方向R4に固定化ローラー221を回転させた(カウンター回転)。また、第1リフレッシュ動作実施後に各平均印字率の総印刷枚数はリセットした。
【0110】
(実施例3)
ここでは、
図12に示すように、最大画像幅を感光体ドラム413の軸方向(用紙Sの幅方向)に9つに分割して、9つの分割領域を設定しており、A4横100K枚印刷する毎に、100K枚印刷する間の分割領域毎の平均印字率を計算し、記憶する。そして、9つに分割した分割領域において、少なくとも1つの分割領域における平均印字率が
図11に示した表の条件を満たす場合、第1リフレッシュ動作を実行する。第1リフレッシュ動作自体は、実施例1と同様に、当接ニップとして固定化ローラー221の未使用な領域が感光体ドラム413に当接するように、回転方向R4に固定化ローラー221を回転させた(カウンター回転)。また、第1リフレッシュ動作実施後に各平均印字率の総印刷枚数はリセットした。
【0111】
(実施例4)
A4横100K枚印刷する毎に、100K枚印刷する間の画像形成領域全体の平均印字率を計算し、記憶する。そして、例えば、
図11に示す表の条件に従って、平均印字率と総印刷枚数に基づいて、第1リフレッシュ動作を実行する。第1リフレッシュ動作を実行する際には、画像形成領域全体の平均印字率について、前回の第1リフレッシュ動作完了から今回の第1リフレッシュ動作開始までの間の平均値(平均印字率の全区間平均値)を計算しておく。そして、平均印字率の全区間平均値に基づき、固定化ローラー221の回転方向を制御する。例えば、
図13に示す表の条件に従って、平均印字率の全区間平均値が30%未満の場合はウイズ回転させ、平均印字率の全区間平均値が30%以上の場合は、実施例1と同様に、カウンター回転させる。ここで、ウイズ回転とは、上記の変形例4で説明したように(
図7も参照)、当接ニップにおいて固定化ローラー221が感光体ドラム413と同じ方向に移動する回転方向(回転方向R3)に固定化ローラー221を回転させることである。また、第1リフレッシュ動作実施後に各平均印字率の総印刷枚数はリセットした。
【0112】
(実施例5)
本実施例において、清掃ブラシ222及びフリッキング板223の構成は、以下の通りである。
清掃ブラシ222(外径:11mm、材質:PET(ポリエチレンテレフタレート)、繊度:6d、密度:100KF/inch、感光体食込み量:1mm、カウンター回転)
フリッキング板223(材質:ステンレススチール、厚み1mm、清掃ブラシ食込み量:1mm)
【0113】
高温高湿環境下において、画像形成処理後、感光体ドラム413の回転が停止した状態で画像形成装置を8時間以上放置し、8時間経過後のスタートアップシーケンスとして、第2リフレッシュ動作を実行する。第2リフレッシュ動作としては、画像形成装置の起動後、画像形成動作前に感光体ドラム413を回転させつつ、固定化ローラー221をウイズ回転させ、θ=1.5で30秒間回転させた(θは、感光体ドラム413と固定化ローラー221との速度比)。
【0114】
(実施例6)
実施例5と同様に、第2リフレッシュ動作を実行する。本実施例では、固定化ローラー221をカウンター回転させ、θ=0.5で30秒間回転させた。
【0115】
(比較例1)
上述した第1リフレッシュ動作、第2リフレッシュ動作は実行しない。
【0116】
[評価方法]
上述した実施例1~6及び比較例1は、以下のように評価した。
【0117】
(比較例1、実施例1~4)
NN環境(温度20℃、湿度50%)にて、横帯5%、横帯20%、縦帯(
図14を参照、平均印字率60%)の画像チャートを用いて、A4横400K枚の印刷を実施した。A4横100K枚の印刷毎に全面ハーフ画像(印字率40%)を印刷し、初期画像濃度からの濃度変動と画像ノイズを評価した。
図14において、〇は使用に問題がないレベルであり、△は使用上問題ないレベルであるが、〇より劣るレベルであり、×は使用に問題があるレベルであることを示す。また、初期滑剤重量からの消費量を比率(初期重量-耐久後重量)/初期重量×100[%]で評価した。
【0118】
(比較例1、実施例5、6)
HH環境(温度30℃、湿度80%)にて、画像チャートが横帯5%、A4横5K枚印刷を実施した直後に画像形成装置を電源OFFとする。8時間後に画像形成装置を起動し、全面ハーフ画像(印字率40%)をA3縦50枚連続で印刷し、画像ノイズの消滅枚数で評価した。
【0119】
[評価結果]
上述した実施例1~6及び比較例1の評価結果は、以下の通りである。
【0120】
(比較例1)
100K枚の印刷時点で、横帯5%及び縦帯60%の画像チャートは△レベルで、200K枚の印刷時点で、横帯5%の画像チャートの画像濃度変動と縦帯60%の画像チャートの画像濃度変動及び画像ノイズが×となった。低印字率では固定化ブレード311の摩耗進行が早いため、滑剤の固定化不足から感光体ドラム413上の滑剤量が低減するので、現像装置412での摩擦帯電の影響により画像濃度が薄くなってしまう。縦帯60%の画像チャートにおいては、
図14に示す帯部と非帯部の滑剤量の差が画像ノイズとなってしまう。300K枚の印刷時点で、横帯20%の画像チャートにおいても画像濃度変動が×となった(
図15を参照)。
【0121】
(実施例1)
100K枚の印刷時点で、横帯5%及び縦帯60%の画像チャートが△レベルでなるのは、比較例1と同等であるが、200K枚の印刷時点で、第1リフレッシュ動作が実行されるため、画像品質上×は発生しない(
図15を参照)。
【0122】
(実施例2)
100K枚の印刷時点で、縦帯60%の画像チャートのみ△レベルになるが、横帯5%の画像チャートは第1リフレッシュ動作が実行されるため〇となる。よって、実施例1よりも画像品質レベルは向上した(
図15を参照)。
【0123】
(実施例3)
縦帯60%の画像チャートにおいても、複数の分割領域の部分印字率に大きな差があることにより、第1リフレッシュ動作が100K枚の印刷時点で実行されるため、画像濃度変動及び画像ノイズは〇となる。実施例2よりも更に画像品質レベルは向上した(
図15を参照)。
【0124】
(実施例4)
平均印字率が30%未満においては、第1リフレッシュ動作で固定化ローラー221をウイズ方向に回転させるので、固定化ローラー221に堆積した滑剤を再利用することが可能となる。そのため、第1リフレッシュ動作において、固定化ローラー221の回転方向以外は同等の実施例2との比較において、滑剤消費率を6~10%低く抑えることができた(
図15を参照)。
【0125】
(実施例5、6)
第2リフレッシュ動作を実行する実施例5、6は、感光体ドラム413上の放電生成物が固定化ローラー221に回収されるので、比較例1と比較して、画像ノイズが消滅するまでに必要な用紙枚数が低減している(
図16を参照)。
【0126】
以上の実施例1~6及び比較例1の評価結果から、本発明により、形成される画像の品質の低下を抑制できることが確認できた。
【0127】
なお、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、又は、その主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 画像形成装置
10 画像読取部
20 操作表示部
30 画像処理部
40 画像形成部
50 用紙搬送部
60 定着部
70 制御部
100 クリーニング装置
101 クリーニングブレード
200 滑剤供給装置
210 滑剤供給部
211 滑剤棒
212 ブラシ
220 固定化装置
221 固定化ローラー
222 清掃ブラシ