(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/01 20060101AFI20240618BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G03G15/01 J
G03G15/01 Y
G03G21/00 388
(21)【出願番号】P 2020142250
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹見 慎吾
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-037732(JP,A)
【文献】特開2015-068947(JP,A)
【文献】特開2012-226549(JP,A)
【文献】特開2009-063744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
G03G 13/01
13/34
15/00-15/01
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスカラー及び特色を含む複数色の画像を重ね合わせて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、
画像形成時の前記特色の使用用途
がコーティング用途か否かを判断し、コーティング用途であると判断した場合に、前記特色に対する画像調整の実施頻度を予め定められた実施頻度から変更する制御部を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記画像調整の実施頻度は、前回の画像調整時からの画像形成回数で規定され、
前記特色の使用用途がコーティング用途の場合は、前記実施頻度を規定する画像形成回数を変更する請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像調整の実施頻度は、前回の画像調整時からの経過時間で規定され、
前記特色の使用用途がコーティング用途の場合は、前記実施頻度を規定する経過時間を変更する請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像調整の実施頻度は、前回の画像調整時からの前記画像形成装置内の温度変化量で規定され、
前記特色の使用用途がコーティング用途の場合は、前記実施頻度を規定する温度変化量を変更する請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
プロセスカラー及び特色を含む複数色の画像を重ね合わせて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、
画像形成時の前記特色の使用用途
がコーティング用途であると判断した場合に、前記特色に対する画像調整の目標範囲を予め定められた目標範囲から変更する制御部を備える画像形成装置。
【請求項6】
前記画像調整の目標範囲は、基準値に対する測定値の許容幅で規定され、
前記特色の使用用途がコーティング用途の場合は、前記目標範囲を規定する許容幅を変更する請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記録媒体上において予め定められた閾値以上の割合を占める領域を前記特色で印刷する場合に、特色の使用用途がコーティング用途であると判断する請求項
1~6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記記録媒体上に形成する画像において、前記特色の領域が前記プロセスカラーの領域を包含する場合に、前記特色の使用用途がコーティング用途であると判断する請求項
1~7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記特色の使用用途がコーティング用途に指定されている場合に、前記特色の使用用途がコーティング用途であると判断する請求項
1~8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記特色の使用用途を印刷ジョブごとに判断する請求項1~
9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成装置は、複数色の特色を使用可能であり、
前記制御部は、前記特色の使用用途を前記特色ごとに個別に判断する請求項1~
10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記プロセスカラーは、イエロー、マゼンタ、シアンを含む請求項1~
11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記プロセスカラーは、ブラックを含む請求項1~
12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記特色は、白色又は透明色の少なくとも1つを含む請求項1~
13のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記プロセスカラー及び前記特色は、前記画像形成装置が備える色材の色に対応する請求項1~
14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記画像調整には、前記記録媒体上に形成される各色の画像位置のずれを補正するカラーレジスト調整を含む請求項1~
15のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記画像調整には、前記記録媒体上に形成される各色の最大濃度を補正する第1の濃度調整を含む請求項1~
16のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記画像調整には、前記記録媒体上に形成される各色の中間調濃度を補正する第2の濃度調整を含む請求項1~
17のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項19】
コンピューターを、
プロセスカラー及び特色を含む複数色の画像を重ね合わせて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置における画像形成時の前記特色の使用用途
がコーティング用途か否かを判断し、コーティング用途であると判断した場合に、前記特色に対する画像調整の実施頻度を予め定められた実施頻度から変更する制御部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項20】
コンピューターを、
プロセスカラー及び特色を含む複数色の画像を重ね合わせて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置における画像形成時の前記特色の使用用途
がコーティング用途であると判断した場合に、前記特色に対する画像調整の目標範囲を予め定められた目標範囲から変更する制御部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のプロセスカラーのトナー等(色材)に加えて、Y、M、C、K以外の特色として設けられたトナー等(色材)が使用できるものが知られている。特色は、コーティングなどの特殊用途に使用される場合があり、コーティング用途であれば、特色部分の画像調整(カラーレジスト調整や濃度調整等)が多少粗くても構わないことがある。
【0003】
例えば、下記の例1、例2のような場合は、特色部分の位置や濃度の調整に精度が求められる。
例1:YMCK図形内に、特色(例えば、白色)の文字を載せる
例2:YMCK図形内の特定領域を、特色(例えば、クリア(透明色))で加飾する
【0004】
一方、下記の例3、例4のような場合は、特色部分の位置や濃度の調整が粗くても構わない。
例3:YMCK図形より1mm程度大きな外形を、特色(白色など)で下刷りする
例4:YMCK図形を覆うように、特色(クリアなど)で上刷りして全面コートする
【0005】
上述の例3、例4の用途の場合に、特色に対してもプロセスカラーと同じ実施頻度や目標精度で画像調整を実施すると、調整時間が増加するため、生産性の低下や無駄なトナー消費が生じてしまう。
【0006】
例えば、特許文献1では、特色にはプロセスカラーとは異なる調整方法を用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、特色の使用用途に着目して画像調整を行うものではなく、特色の画像調整による生産性の低下や無駄なトナー消費を抑えることはできない。
【0009】
本発明の課題は、画像形成装置において、特色の画像調整による生産性の低下や無駄なトナー消費を必要最低限に抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
プロセスカラー及び特色を含む複数色の画像を重ね合わせて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、
画像形成時の前記特色の使用用途がコーティング用途か否かを判断し、コーティング用途であると判断した場合に、前記特色に対する画像調整の実施頻度を予め定められた実施頻度から変更する制御部を備える。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記画像調整の実施頻度は、前回の画像調整時からの画像形成回数で規定され、
前記特色の使用用途がコーティング用途の場合は、前記実施頻度を規定する画像形成回数を変更する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記画像調整の実施頻度は、前回の画像調整時からの経過時間で規定され、
前記特色の使用用途がコーティング用途の場合は、前記実施頻度を規定する経過時間を変更する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記画像調整の実施頻度は、前回の画像調整時からの前記画像形成装置内の温度変化量で規定され、
前記特色の使用用途がコーティング用途の場合は、前記実施頻度を規定する温度変化量を変更する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、
プロセスカラー及び特色を含む複数色の画像を重ね合わせて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、
画像形成時の前記特色の使用用途がコーティング用途であると判断した場合に、前記特色に対する画像調整の目標範囲を予め定められた目標範囲から変更する制御部を備える。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
前記画像調整の目標範囲は、基準値に対する測定値の許容幅で規定され、
前記特色の使用用途がコーティング用途の場合は、前記目標範囲を規定する許容幅を変更する。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6のいずれか一項に記載の発明において、
前記制御部は、前記記録媒体上において予め定められた閾値以上の割合を占める領域を前記特色で印刷する場合に、特色の使用用途がコーティング用途であると判断する。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1~7のいずれか一項に記載の発明において、
前記制御部は、前記記録媒体上に形成する画像において、前記特色の領域が前記プロセスカラーの領域を包含する場合に、前記特色の使用用途がコーティング用途であると判断する。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1~8のいずれか一項に記載の発明において、
前記制御部は、前記特色の使用用途がコーティング用途に指定されている場合に、前記特色の使用用途がコーティング用途であると判断する。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項1~9のいずれか一項に記載の発明において、
前記制御部は、前記特色の使用用途を印刷ジョブごとに判断する。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項1~10のいずれか一項に記載の発明において、
前記画像形成装置は、複数色の特色を使用可能であり、
前記制御部は、前記特色の使用用途を前記特色ごとに個別に判断する。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項1~11のいずれか一項に記載の発明において、
前記プロセスカラーは、イエロー、マゼンタ、シアンを含む。
【0022】
請求項13に記載の発明は、請求項1~12のいずれか一項に記載の発明において、
前記プロセスカラーは、ブラックを含む。
【0023】
請求項14に記載の発明は、請求項1~13のいずれか一項に記載の発明において、
前記特色は、白色又は透明色の少なくとも1つを含む。
【0024】
請求項15に記載の発明は、請求項1~14のいずれか一項に記載の発明において、
前記プロセスカラー及び前記特色は、前記画像形成装置が備える色材の色に対応する。
【0025】
請求項16に記載の発明は、請求項1~15のいずれか一項に記載の発明において、
前記画像調整には、前記記録媒体上に形成される各色の画像位置のずれを補正するカラーレジスト調整を含む。
【0026】
請求項17に記載の発明は、請求項1~16のいずれか一項に記載の発明において、
前記画像調整には、前記記録媒体上に形成される各色の最大濃度を補正する第1の濃度調整を含む。
【0027】
請求項18に記載の発明は、請求項1~17のいずれか一項に記載の発明において、
前記画像調整には、前記記録媒体上に形成される各色の中間調濃度を補正する第2の濃度調整を含む。
【0028】
請求項19に記載の発明のプログラムは、
コンピューターを、
プロセスカラー及び特色を含む複数色の画像を重ね合わせて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置における画像形成時の前記特色の使用用途がコーティング用途か否かを判断し、コーティング用途であると判断した場合に、前記特色に対する画像調整の実施頻度を予め定められた実施頻度から変更する制御部、
として機能させる。
【0029】
請求項20に記載の発明のプログラムは、
コンピューターを、
プロセスカラー及び特色を含む複数色の画像を重ね合わせて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置における画像形成時の前記特色の使用用途がコーティング用途であると判断した場合に、前記特色に対する画像調整の目標範囲を予め定められた目標範囲から変更する制御部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、画像形成装置において、特色の画像調整による生産性の低下や無駄なトナー消費を必要最低限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2の制御部により実行される印刷制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図3のステップS1及びステップS2で実行される特色調整条件設定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】コーティング用途と判断される画像の一例を示す図である。
【
図6】コーティング用途と判断される画像の一例を示す図である。
【
図7】カラーレジスト調整で使用される検知パターンの一例を示す図である。
【
図8】濃度調整で使用される階調パターンの一例を示す図である。
【
図9A】デフォルトの最大濃度調整の目標範囲を示す図である。
【
図9B】特色がコーティング用途の場合の特色の最大濃度調整の目標範囲を示す図である。
【
図10A】デフォルトの中間調濃度調整の目標範囲を示す図である。
【
図10B】特色がコーティング用途の場合の特色の中間調濃度調整の目標範囲を示す図である。
【
図11A】コーティング用途と判断されない画像の一例を示す図である。
【
図11B】コーティング用途と判断されない画像の一例を示す図である。
【
図11C】コーティング用途と判断されない画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0034】
[画像形成装置1の構成]
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。
図2は、画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
【0035】
画像形成装置1は、CPU101(Central Processing Unit)、RAM102(Random Access Memory)及びROM103(Read Only Memory)を有する制御部10、記憶部11、操作部12、表示部13、インターフェース14、スキャナー15、画像処理部16、画像形成部17、定着部18及び搬送部19等を備える。制御部10は、バス21を介して記憶部11、操作部12、表示部13、インターフェース14、スキャナー15、画像処理部16、画像形成部17、定着部18及び搬送部19と接続されている。
【0036】
CPU101は、ROM103又は記憶部11に記憶されている制御用プログラムを読み出して実行し、各種演算処理を行う。
【0037】
RAM102は、CPU101に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。
【0038】
ROM103は、CPU101により実行される各種制御用のプログラムや設定データ(例えば、画像調整のデフォルトの実施条件)等を格納する。なお、ROM103に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられても良い。
【0039】
これらのCPU101、RAM102及びROM103を備える制御部10は、上述の各種制御用プログラムに従って画像形成装置1の各部を統括制御する。例えば、印刷ジョブ(以下、ジョブ)が入力されると、制御部10は、ジョブに基づいて、後述する印刷制御処理(
図3参照)を実行する。
【0040】
記憶部11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、スキャナー15により取得された画像データや、インターフェース14を介して外部から入力されたジョブの画像データ等が記憶される。なお、これらの画像データ等はRAM102に記憶されても良い。
また、記憶部11は、画像形成装置1で使用可能な各色(Y、M、C、K、T(透明色)、W(白色))ごとに、プリント数をカウントするカウンターや、前回の画像調整時のプリント数、前回の画像調整時の機内温度を記憶するエリアが設けられている。
【0041】
操作部12は、操作キーや表示部13の画面に重ねられて配置されたタッチパネル等の入力デバイスを備え、これらの入力デバイスに対する入力操作を操作信号に変換して制御部10に出力する。
【0042】
表示部13は、LCD(Liquid crystal display)等の表示装置を備え、画像形成装置1の状態や、タッチパネルへの入力操作の内容を示す操作画面等を表示する。
【0043】
インターフェース14は、NIC(Network interface card)等により構成され、PC(Personal Computer)等の外部装置との間でデータの送受信を行う。
【0044】
スキャナー15は、用紙に形成された画像を読み取り、R(赤)、G(緑)及びB(青)の色成分ごとの単色画像データを含む画像データを生成して画像処理部16に入力する。
【0045】
画像処理部16は、例えばラスタライズ処理部、色変換部、階調補正部、ハーフトーン処理部を備え、スキャナー15又はインターフェース14により入力されたジョブの画像データに各種画像処理を施して、記憶部11に記憶させる。
【0046】
画像形成部17は、記憶部11に記憶されたジョブの画像データに基づき、用紙に画像を形成(印刷)する。画像形成部17は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、及びK(黒)のプロセスカラーの色成分の色材と、プロセスカラー以外の特色(本実施形態では透明(T)及び白(W)の2つの特色)の色成分の色材に各々対応する6組の露光部171、感光体172及び現像部173を備えている。本実施形態では、上からT、Y、M、C、K、Wの順に露光部171、感光体172及び現像部173が並んでいる。また、画像形成部17は、転写体174及び2次転写ローラー175を備えている。
【0047】
露光部171は、発光素子としてのLD(Laser Diode)を備えている。露光部171は、画像データに基づいてLDを駆動し、帯電する感光体172上にレーザー光を照射、露光して感光体172上に静電潜像を形成する。現像部173は、露光された感光体172上に帯電する現像ローラーによりプロセスカラーに対応するトナー(Y,M,C,K)および特色に対応するトナー(T,W)の色材を供給して、感光体172上に形成された静電潜像を現像する。
T、Y、M、C、K及びWに対応する6つの感光体172上にT、Y、M、C、K及びWの各々のトナーで形成された画像(単色画像)は、各感光体172から転写体174上に順次重ねられて転写される。これにより、転写体174上にT、Y、M、C、K及びWを色成分とするカラー画像が形成される。転写体174は、複数の転写体搬送ローラーに巻き回された無端ベルトであり、各転写体搬送ローラーの回転に従って回転する。
2次転写ローラー175は、転写体174上のカラー画像を、給紙トレイ22又は外部に設けられる給紙装置から給紙された用紙上に転写する。詳しくは、用紙及び転写体174を挟持する2次転写ローラー175に所定の転写電圧が印加されることにより、転写体174上においてカラー画像を形成しているトナーが用紙側に引き寄せられて用紙に画像が転写される。
なお、画像形成部17の転写体174に対向する位置には、転写体174に形成された検知マークM(
図7参照)の位置を測定して制御部10に出力するための色ずれ検知センサー及び転写体174に形成された階調パターンの濃度を測定して制御部10に出力するための濃度センサーが備えられている。また、画像形成装置1内の温度(機内温度)を測定して制御部10に出力するための温度センサーも設けられている(いずれも図示せず)。
【0048】
定着部18は、画像が転写された用紙を加熱及び加圧して用紙に画像を定着させる定着処理を行う。
【0049】
搬送部19は、用紙を挟持した状態で回転することで用紙を搬送する用紙搬送ローラーを複数備え、所定の搬送経路で用紙を搬送する。搬送部19は、定着部18により定着処理が行われた用紙の表裏を反転させて2次転写ローラー175へ搬送する反転機構191を備えている。画像形成装置1では、用紙の両面に画像を形成する場合に反転機構191による用紙の表裏の反転が行われて両面に画像が形成された後に用紙が排紙トレイ23に排出される。用紙の片面にのみ画像を形成する場合には、反転機構191による用紙の表裏の反転が行われることなく片面に画像が形成された用紙が排紙トレイ23に排出される。
【0050】
[画像形成装置1の動作]
以下、画像形成装置1の動作について説明する。
インターフェース14を介して入力されるジョブは、ジョブの設定情報及び画像データにより構成される。ジョブの画像データは、ジョブで印刷に使用する色ごとの画像データにより構成される。ジョブの設定情報には、ジョブで使用する用紙の種類やサイズ、印刷部数、片面/両面印刷、集約などの他、特色の使用用途の指定情報が含まれる。本実施形態において、特色の使用用途は、外部装置に表示されるプリンタードライバーの設定画面上で、特色の色ごとに、例えば、コーティング、その他(非コーティング)、自動判別、の3つの中から指定することができる。また、入力されたジョブ情報は、表示部13に一覧表示され、一覧から選択されたジョブの設定情報は操作部12により設定し直すことが可能であり、特色の使用用途についても操作部12により指定し直すことが可能である。
【0051】
図3は、インターフェース14を介して入力されたジョブの印刷を実行する際に制御部10により実行される印刷制御処理の流れを示すフローチャートである。
図3に示す処理は、制御部10のCPU101とROM103に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0052】
まず、制御部10は、特色Tと特色Wの画像調整の実施条件を設定する(ステップS1、ステップS2)。
【0053】
図4は、
図3のステップS1及びステップS2において実行される特色調整条件設定処理の流れを示すフローチャートである。特色調整条件設定処理は、制御部10のCPU101とROM103に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
なお、ステップS1においては、
図4の特色はTの色を指し、ステップS2においては、
図4の特色はWの色を指す。
【0054】
まず、制御部10は、ジョブの画像データに基づいて、特色の使用があるか否かを判断する(ステップS101)。
特色の使用がないと判断した場合(ステップS101;NO)、制御部10は、特色調整条件設定処理を終了し、
図3の次のステップに移行する。
【0055】
特色の使用があると判断した場合(ステップS101;YES)、制御部10は、ジョブの設定情報に基づいて、特色の使用用途としてコーティング用途が指定されているか否かを判断する(ステップS102)。
【0056】
特色の使用用途としてコーティング用途が指定されていると判断した場合(ステップS102;YES)、制御部10は、特色の使用用途がコーティング用途であると判断し(ステップS106)、ステップS107に移行する。
【0057】
特色の使用用途としてコーティング用途が指定されていないと判断した場合(ステップS102;NO)、制御部10は、ジョブの設定情報に基づいて、特色の使用用途の自動判別が指定されているか否かを判断する(ステップS103)。
特色の使用用途の自動判別が指定されていると判断した場合(ステップS103;YES)、制御部10は、ジョブの画像データに基づいて、特色の印刷領域が印刷可能領域(≒用紙サイズ)の90%以上であるかを判断する(ステップS104)。
特色の印刷領域が印刷可能領域の90%以上であると判断した場合(ステップS104;YES)、制御部10は、特色の使用用途がコーティング用途であると判断し(ステップS106)、ステップS107に移行する。
【0058】
例えば、
図5に示すように、用紙の全領域(すなわち、印刷可能領域の全領域)か、それに準ずる領域(本実施形態では印刷可能領域の90%以上)を特色で印刷する場合、制御部10は、特色の使用用途がコーティング用途であると判断する。
なお、ステップS104の判断に用いる閾値(90%)は一例であり、これに限定されるものではない。
【0059】
特色の印刷領域が印刷可能領域の90%以上ではないと判断した場合(ステップS104;NO)、制御部10は、特色の印刷領域がプロセスカラーの印刷領域を包含するか否かを判断する(ステップS105)。
特色の印刷領域がプロセスカラーの印刷領域を包含すると判断した場合(ステップS105;YES)、制御部10は、特色の使用用途がコーティング用途であると判断し(ステップS106)、ステップS107に移行する。
【0060】
例えば、
図6に示すように、プロセスカラー(Y、M、C、K)の印刷領域の論理和となる領域を特色の印刷領域が包含する場合には、制御部10は、特色の使用用途がコーティング用途であると判断する。
【0061】
ステップS107において、制御部10は、特色の画像調整の目標範囲をデフォルトから変更するとともに(ステップS107)、特色の画像調整の実施頻度をデフォルトから変更して画像調整の実施条件を設定し(ステップS108)、特色調整条件設定処理を終了し、
図3の次のステップに移行する。
【0062】
図5、
図6に示すように、特色の使用用途がコーティング用途である場合、用紙に形成される特色の位置や濃度に厳密な精度が要求されるわけではないため、用紙に形成される特色部分の位置や濃度の調整の精度が多少粗くても構わない。そこで、ステップS107においては、カラーレジスト調整、濃度調整の目標範囲を予め定められたデフォルトの目標範囲より広く変更する。また、ステップS108においては、カラーレジスト調整、濃度調整の実施頻度を予め定められたデフォルトの実施頻度より低く変更する。なお、本実施形態における画像調整のデフォルトの実施頻度や目標範囲は、プロセスカラーと特色で共通である。
【0063】
ここで、カラーレジスト調整は、用紙に形成される各色の画像位置のずれを補正するための調整である。
カラーレジスト調整では、
図7に示すような、各色の画像形成位置の検知用の検知マークMを副走査方向に並べた色ずれ検知パターンを転写体174上に形成して色ずれ検知センサーで測定する。そして、各色の検知マークMの位置と基準とするK色の検知マークMとの位置のずれ量(例えば、主走査方向のずれ量と副走査方向のずれ量)を算出し、ずれ量が目標範囲内に収まっているかを判断する。例えば、各色の1番目の検知マークMとK色の1番目の検知マークM、各色の2番目の検知マークMとK色の2番目の検知マークM、・・・をそれぞれ比較し、主走査方向のずれ量の平均をその色の主走査方向のずれ量、副走査方向のずれ量の平均をその色の副走査方向のずれ量として算出する。なお、
図7に示すように、色ずれ検知パターンでは各色の副走査方向の書き出しタイミングをずらしているため、測定結果からその書き出しタイミングのずれ量を除き、対象色の検知マークMとK色の検知マークMとの相対的な位置関係をもとにずれ量を算出する。各色の主走査方向のずれ量と副走査方向のずれ量が、それぞれ目標範囲内に収まらない場合は、目標範囲に収まらない色の主走査と副走査の書き出しタイミングを変更する。各色の主走査方向のずれ量と副走査方向のずれ量が、それぞれ目標範囲内に収まるまで、上記調整動作を繰り返す(リトライする)。
なお、色ずれ検知パターンの形成と測定は、画像調整の実行が必要な色のみを対象とする。また、主走査方向のずれ量と副走査方向のずれ量だけでなく、部分横倍ずれ量、全体横倍ずれ量、ボウずれ量、スキニーずれ量等の他のずれ量を算出して調整してもよい。
【0064】
カラーレジスト調整の目標範囲としては、各色の主走査方向のずれ量、副走査方向のずれ量が、それぞれ基準となるK色の位置から所定の許容幅(例えば、±1μm)の範囲内に設定されている。ステップS107においては、特色の許容幅を、例えば±10μmに広げる。
また、カラーレジスト調整の実施頻度としては、各色とも、予め、例えば前回の画像調整実施時から所定の画像形成回数(例えば、1000ページ)以上印刷したか、又は機内温度(画像形成装置1内に設置されている温度センサーにより検出された温度)が所定の温度(±3℃)以上変化した場合に設定されている。ステップS108においては、特色の実施頻度を、例えば、前回の画像調整実施時から3000ページ以上印刷した場合、又は機内温度が±5℃以上変化した場合に変更する。
【0065】
濃度調整は、用紙に形成される各色の最大濃度及び中間調濃度をそれぞれ予め定められた目標値に補正するための調整である。
濃度調整では、
図8に示すような、複数の階調からなる各色の階調パターンを転写体174上に形成して濃度検知センサーで測定する。そして、対象の階調における基準曲線上(基準濃度曲線)の目標値(基準値)を中心とした目標範囲内に、測定値が収まっているかを判断する(
図9A、
図9B、
図10A、
図10B参照)。目標範囲内に収まらない場合は、現像条件や露光条件等の画像形成条件を変更して再度調整を行う(リトライする)。
【0066】
例えば、最大濃度調整では、最大階調における基準曲線上の目標値を中心とした目標範囲内に、最大階調の測定値が収まっているかを判断する(
図9A、
図9B参照)。目標範囲に収まっていない場合には、現像バイアス及び感光体172の帯電電位等を変更する。測定値が目標範囲内に収まるまで、パターンの形成、測定、画像形成条件の変更を繰り返す。
例えば、中間調濃度調整では、予め定められた中間調の階調における基準曲線上の目標値を中心とした目標範囲内に、その階調の測定値が収まっているかを判断する(
図10A、
図10B参照)。目標範囲に収まっていない場合には、露光部171の露光出力(レーザー出力)を変更する。測定値が目標範囲内に収まるまで、階調パターンの形成、測定、画像形成条件の変更を繰り返す。
なお、階調パターンの形成と測定は、画像調整の実行が必要な色のみを対象とする。
【0067】
最大濃度調整の目標範囲としては、各色とも、予め、例えば目標値を中心として所定の許容幅の範囲内(例えば、±20[step](濃度検知センサーのA/D変換値で±20[step])の範囲内)に設定されている(
図9A参照)。ステップS107においては、特色の目標範囲を、例えば目標値を中心として±50[step]の範囲内に広げる(
図9B参照)。
また、最大濃度調整の実施頻度としては、各色とも、予め、例えば前回の画像調整実施時から所定の画像形成回数(例えば、1500ページ)以上印刷したか、又は機内温度が所定の温度(例えば、±3℃)以上変化した場合に設定されている。ステップS108においては、特色の実施頻度を、例えば、ページ数条件をなしとし、機内温度が±5℃以上変化した場合に変更して、実施頻度を減らす。
【0068】
中間調濃度調整の目標範囲としては、各色とも、予め、例えば目標値を中心として所定の許容幅の範囲内(例えば、±15[step]の範囲内(濃度検知センサーのA/D変換値で±15[step])の範囲内)に設定されている(
図10A参照)。ステップS107においては、特色の目標範囲を、例えば目標値を中心として±40μmの範囲内に広げる(
図10B参照)。
また、中間調濃度調整の実施頻度としては、各色とも、予め、例えば前回の画像調整実施時から所定の閾値(例えば、1000ページ)以上印刷したか、又は機内温度が所定の温度(±3℃)以上変化した場合に設定されている。ステップS108においては、特色の実施頻度を、例えば、ページ数条件をなしとし、機内温度が±5℃以上変化した場合に変更して、実施頻度を減らす。
【0069】
このように、特色の使用用途がコーティングの場合に、特色の画像調整の実施頻度を減らすことにより、画像調整が入った際に特色分のパターンを描画する時間が省略できるとともに、特色の画像調整の目標範囲を広げることにより、特色が目標範囲内に収まらずに過剰なリトライ動作が実行されることを防止でき、生産性の低下とトナー消費を最低限に抑えることができる。
【0070】
一方、ステップS102においてコーティング用途が指定されていないと判断し、かつステップS103において特色の使用用途の自動判別が指定されていないと判断した場合(ステップS103;NO)、または、ステップS104において特色の印刷領域が90%以上ではないと判断し、かつステップS105において特色の印刷領域がプロセスカラーの印刷領域を包含していないと判断した場合(ステップS105;NO)、制御部10は、特色の使用用途がその他(非コーティング)であると判断する(ステップS109)。そして、制御部10は、特色の画像調整の実施条件をデフォルトの条件に設定し(ステップS110)、特色調整条件設定処理を終了して
図3の次のステップに移行する。
【0071】
図11A~
図11Cは、自動判別により特色の使用用途がその他(非コーティング)に設定される場合の例を示す。
例えば、
図11Aに示すように、プロセスカラーの印刷領域内に特色の印刷領域が含まれる場合、特色の使用用途としては、プロセスカラーの印刷領域内に特色で文字を載せる、プロセスカラーの印刷領域内の特定領域を特色で加飾する等が考えられ、これらは特色部分の位置や濃度に精度が求められる。
また、例えば、
図11Bに示すように、特色の印刷領域とプロセスカラーの印刷領域が一部重なっている場合や、
図11Cに示すように、特色の印刷領域とプロセスカラーの印刷領域が隣接して境界が存在するような場合についても、特色部分の位置や濃度に精度が求められる。
このように、特色の使用用途がその他(非コーティング)の場合、特色部分の位置や濃度に精度が求められるため、カラーレジスト調整、濃度調整の目標範囲を予め定められたデフォルトの(プロセスカラーと同等の)目標範囲のまま変更しない。また、カラーレジスト調整、濃度調整の実施頻度についても、予め定められたデフォルトの(プロセスカラーと同等の)実施頻度のまま変更しない。よって、精度のよい画像調整が可能となる。
【0072】
図3のステップS3において、制御部10は、印刷動作の準備を開始する(ステップS3)。例えば、画像形成部17、定着部18、搬送部19等を駆動させる。
次いで、制御部10は、用紙の搬送開始が可能になるまで待機する(ステップS4)。
【0073】
次いで、制御部10は、前回の画像調整実施時からの機内温度の変化量が所定の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS5)。
制御部10は、記憶部11に記憶されている前回の画像調整実施時の機内温度を参照し、前回の画像調整実施時からの機内温度の変化量(例えば、前回の画像調整時の機内温度と現在の機内温度との差分)が所定の閾値以上であるか否かを判断する。この判断は、ジョブで使用する色ごとに、設定されている画像調整の実施頻度に応じた閾値を用いて行う。前回の画像調整実施時からの機内温度の変化量が所定の閾値以上となる色が存在した場合は、ステップS5の判断はYESとなり、前回の画像調整実施時からの機内温度の変化量が所定の閾値以上となる色が存在しない場合は、ステップS5の判断はNOとなる。
【0074】
前回の画像調整実施時からの機内温度の変化量が所定の閾値以上であると判断した場合(ステップS5;YES)、制御部10は、ステップS7に移行し、画像調整動作を実施する(ステップS7)。
【0075】
前回の画像調整実施時からの機内温度の変化量が所定の閾値以上ではないと判断した場合(ステップS5;NO)、制御部10は、前回の画像調整実施時からのプリント数が所定の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS6)。
制御部10は、記憶部11に記憶されている、前回の画像調整実施時のプリント数と現在のプリント数との差分を算出し、前回の画像調整実施時からのプリント数が所定の閾値以上であるか否かを判断する。この判断は、ステップS5と同様に、ジョブで使用する色ごとに、設定されている画像調整の実施頻度に応じた閾値を用いて行う。前回の画像調整実施時からのプリント数が所定の閾値以上となる色が存在した場合は、ステップS6の判断はYESとなり、前回の画像調整実施時からのプリント数が所定の閾値以上となる色が存在しない場合は、ステップS6の判断はNOとなる。
【0076】
前回の画像調整実施時からのプリント数が所定の閾値以上であると判断した場合(ステップS6;YES)、制御部10は、ステップS7に移行し、画像調整動作を実施する(ステップS7)。
【0077】
ステップS7において、制御部10は、画像調整の実行が必要な色(すなわち、前回の画像調整実施時からの機内温度の変化量が所定の閾値以上に該当する色、又は、前回の画像調整実施時からのプリント数が所定の閾値以上に該当する色)を対象として、カラーレジスト調整及び濃度調整を実施する。プロセスカラーの各色及び非コーティング用途の特色については、色ずれや濃度が予め定められた(デフォルトの)目標範囲内となるように調整を実施する。コーティング用途の特色については、デフォルトの閾値とは異なる目標範囲内(
図4のステップS107で変更された目標範囲内)となるように調整を実施する。
【0078】
次いで、制御部10は、今回画像調整を行った色について、記憶部11に記憶されている、前回の画像調整時の機内温度とプリント数を更新し(ステップS8)、ステップS9に移行する。
【0079】
一方、ステップS6において、前回の画像調整時からのプリント数が所定の閾値以下ではないと判断した場合(ステップS6;NO)、制御部10は、ステップS9に移行する。
【0080】
ステップS9において、制御部10は、搬送部19により印刷対象の用紙を搬送させて画像形成部17により画像形成を開始させる(ステップS9)。
【0081】
次いで、制御部10は、画像データのページ数や部数に基づいて、次の用紙への印刷が必要であるか否かを判断する(ステップS10)。
次の用紙への印刷が必要であると判断した場合(ステップS10;YES)、制御部10は、ステップS4に戻る。
次の用紙への印刷が必要ではないと判断した場合(ステップS10;NO)、制御部10は、最終ページのプリントが完了するのを待機し、最終ページのプリントが完了した場合(ステップS11;YES)、印刷制御処理を終了する。
【0082】
以上説明したように、画像形成装置1によれば、制御部10は、画像形成時の特色の使用用途に応じて、特色に対する画像調整の実施条件を変更する。
したがって、特色の画像調整による生産性の低下や無駄なトナー消費を必要最低限に抑えることができる。
【0083】
例えば、制御部10は、特色の使用用途がコーティング用途か否かを判断し、コーティング用途であると判断した場合に、特色に対する画像調整の実施条件を予め定められた実施条件とは異なる実施条件に変更する。したがって、画像調整に要求される精度が高くないコーティング用途の場合に画像調整の実施条件を変更することができるので、特色の画像調整による生産性の低下や無駄なトナー消費を必要最低限に抑えることができる。
【0084】
また、例えば、制御部10は、用紙上において予め定められた閾値以上の割合を占める領域を特色で印刷する場合に、特色の使用用途がコーティング用途であると判断するので、用紙に形成する画像の全領域かそれに準ずる広い領域を特色で印刷する場合に、画像調整の実施条件を変更することができる。
【0085】
また、例えば、制御部10は、用紙に形成する画像において、特色の領域がプロセスカラーの領域を包含する場合に、特色の使用用途がコーティング用途であると判断し、画像調整の実施条件を変更することができる。
【0086】
また、例えば、制御部10は、特色の使用用途がコーティング用途に指定されている場合に、特色の使用用途がコーティング用途であると判断するので、ユーザーがコーティング用途に指定した場合に、画像調整の実施条件を変更することができる。
【0087】
また、例えば、制御部10は、特色の使用用途がコーティング用途であると判断した場合に、特色に対する画像調整の実施頻度を予め定められた実施頻度から変更するので、特色の画像調整の実施頻度を減らして調整用のパターンの描画回数を抑えることができ、生産性の低下とトナー消費を最低限に抑えることが可能となる。
【0088】
また、例えば、制御部10は、特色の使用用途がコーティング用途であると判断した場合に、特色に対する画像調整の目標範囲を予め定められた目標範囲から変更するので、特色の画像調整の目標範囲を広くして目標範囲に収まらない場合のリトライ動作を低減することができ、生産性の低下とトナー消費を最低限に抑えることが可能となる。
【0089】
また、制御部10は、特色の使用用途を印刷ジョブごとに判断するため、印刷ジョブごとに、特色の使用用途に応じて画像調整の実施条件を変更することができる。
【0090】
また、画像形成装置1は、複数色の特色を使用可能であり、制御部10は、特色の使用用途を特色ごとに個別に判断するので、特色ごとに、その使用用途に応じて画像調整の実施条件を変更することができる。
【0091】
なお、上記実施形態及び変形例における記述は、本発明に係る画像形成装置の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、特色が透明と白色である場合を例にとり説明したが、特色は、プロセスカラー以外の色であれば特に限定されない。
また、上記実施形態では、Y、M、C、Kの4色のプロセスカラー及び特色を用いて用紙に画像を形成する画像形成装置に本発明を適用した場合について説明したが、Y、M、Cの3色のプロセスカラー及び特色を用いる画像形成装置に本発明を適用してもよい。また、K(ブラック)1色のプロセスカラー及び特色を用いる画像形成装置に本発明を適用してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、画像調整の実施頻度を前回の画像調整時からの画像形成回数及び温度変化量で規定することとして説明したが、前回の画像調整時からの経過時間で規定してもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、印刷に用いる記録媒体が用紙である場合を例にとり説明したが、例えば、OHPシートや布等の他の記録媒体を用いることとしてもよい。
【0094】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてHDDや半導体メモリーを使用した例を開示したが、この例に限定されない。
その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリー等の不揮発性メモリー、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0095】
その他、画像形成装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 画像形成装置
10 制御部
11 記憶部
12 操作部
13 表示部
14 インターフェース
15 スキャナー
16 画像処理部
17 画像形成部
18 定着部
19 搬送部
21 バス