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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20240618BHJP
   B42F 9/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B42F7/00 J
B42F9/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020146034
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022041032
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】扶川 祥平
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-044024(JP,U)
【文献】特開2015-147401(JP,A)
【文献】実開昭48-051417(JP,U)
【文献】実開昭56-115276(JP,U)
【文献】登録実用新案第3199667(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0114704(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 7/00
B42F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ部を介して連結された表表紙及び裏表紙を有してなり、これら表表紙及び裏表紙が略面一をなすように展開し得る見開き姿勢と、前記表表紙及び裏表紙の各内面同士が対面し得る閉じ姿勢と、前記表表紙及び裏表紙の各外面同士が対面し得る折り返し姿勢とを採り得るように姿勢変更可能に構成されたファイルであって、
前記表表紙及び裏表紙の少なくとも一方の内面に、ポケットシートを含んで構成されたポケットが設けられたものであり、
前記ポケットシートに連設され、前記見開き姿勢において前記ヒンジ部の手前側に離間して位置するとともに前記折り返し姿勢において前記ヒンジ部と離間して位置する離間部が設けられているものであり、
前記裏表紙の内面に配設され下端縁及び外側端縁が前記裏表紙における下端縁及び外側端縁に連結された第一のポケットシートと、
前記表表紙の内面に配設され下端縁及び外側端縁が前記表表紙における下端縁及び外側端縁に連結された第二のポケットシートと、
前記第一のポケットシートにおける内側端縁と前記第二のポケットシートにおける内側端縁とを繋ぐ前記離間部とを備えたものであり、
前記表表紙の内面に配設され上下方向に長手をなし外側端縁が前記表表紙における外側端縁に接続された第三のポケットシートと、この第三のポケットシートとは別体をなし当該第三のポケットシートよりも手前側に配された前記第二のポケットシートとを備えたものであり、
前記第三のポケットシート及び前記第二のポケットシートが、前記表表紙の内面側に略L字状に配設されているファイル。
【請求項2】
略同一の大きさをなす表表紙及び裏表紙の間に前記ヒンジ部が設けられたものであり、表表紙及び裏表紙の何れか一方に対して他方が前記ヒンジ部を中心にして360°折れ曲がるように構成されている請求項1記載のファイル。
【請求項3】
前記離間部は、見開き姿勢において手前側に突出した形状をなしている請求項1又は2記載のファイル。
【請求項4】
前記第一のポケットシートと、前記離間部と、前記第二のポケットシートが、同一のシート材により一体に連設されたものである請求項1、2又は3記載のファイル。
【請求項5】
前記ポケットシートが、表表紙又は裏表紙と協働してポケットを形成し得るものである請求項1、2、3又は4記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を収容し得るファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からヒンジ部を介して連結された表表紙及び裏表紙を有し、これら表表紙及び裏表紙が略面一をなすように展開し得る見開き姿勢と、表表紙及び裏表紙の各内面同士が対面し得る閉じ姿勢との間で回転可能に構成されたファイルが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
特許文献1に記載のファイルでは、表表紙及び裏表紙の内面に当該表表紙と裏表紙との間を掛け渡すようにポケットを形成するためのシート材が配設されている。そのため、シート材の存在によって、ヒンジ部を介して連結された表表紙及び裏表紙の回転範囲が制限されてしまい、表表紙及び裏表紙の各外面同士が対面し得る折り返し姿勢を採ることができないものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3210499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、少なくとも、見開き姿勢や閉じ姿勢だけでなく、表表紙及び裏表紙の各外面同士が対面し得る折り返し姿勢も無理なく採ることができるファイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0007】
請求項1に記載の発明は、ヒンジ部を介して連結された表表紙及び裏表紙を有してなり、これら表表紙及び裏表紙が略面一をなすように展開し得る見開き姿勢と、前記表表紙及び裏表紙の各内面同士が対面し得る閉じ姿勢と、前記表表紙及び裏表紙の各外面同士が対面し得る折り返し姿勢とを採り得るように姿勢変更可能に構成されたファイルであって、前記表表紙及び裏表紙の少なくとも一方の内面に、ポケットシートを含んで構成されたポケットが設けられたものであり、前記ポケットシートに連設され、前記見開き姿勢において前記ヒンジ部の手前側に離間して位置するとともに前記折り返し姿勢において前記ヒンジ部と離間して位置する離間部が設けられているものであり、前記裏表紙の内面に配設され下端縁及び外側端縁が前記裏表紙における下端縁及び外側端縁に連結された第一のポケットシートと、前記表表紙の内面に配設され下端縁及び外側端縁が前記表表紙における下端縁及び外側端縁に連結された第二のポケットシートと、前記第一のポケットシートにおける内側端縁と前記第二のポケットシートにおける内側端縁とを繋ぐ前記離間部とを備えたものであり、前記表表紙の内面に配設され上下方向に長手をなし外側端縁が前記表表紙における外側端縁に接続された第三のポケットシートと、この第三のポケットシートとは別体をなし当該第三のポケットシートよりも手前側に配された前記第二のポケットシートとを備えたものであり、前記第三のポケットシート及び前記第二のポケットシートが、前記表表紙の内面側に略L字状に配設されているファイルである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、略同一の大きさをなす表表紙及び裏表紙の間に前記ヒンジ部が設けられたものであり、表表紙及び裏表紙の何れか一方に対して他方が前記ヒンジ部を中心にして360°折れ曲がるように構成されている請求項1記載のファイルである。
【0010】
請求項に記載の発明は、前記離間部は、見開き姿勢において手前側に突出した形状をなしている請求項1又は2記載のファイルである。
【0012】
請求項に記載の発明は、前記第一のポケットシートと、前記離間部と、前記第二のポケットシートが、同一のシート材により一体に連設されたものである請求項1、2又は3記載のファイルである。
【0013】
請求項に記載の発明は、前記ポケットシートが、表表紙又は裏表紙と協働してポケットを形成し得るものである請求項1、2、3又は4記載のファイルである。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、見開き姿勢や閉じ姿勢だけでなく、表表紙及び裏表紙の各外面同士が対面し得る折り返し姿勢も無理なく採ることができるファイルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態を示す正面図(見開き姿勢)。
図2】同実施形態における正面図(折り返し姿勢)。
図3】同実施形態における左側面図(閉じ姿勢)。
図4】同実施形態における使用例を示す正面図(見開き姿勢)。
図5】同実施形態における使用例を示す正面図(見開き姿勢)。
図6】同実施形態における使用例を示す正面図(折り返し姿勢)。
図7図1におけるX-X線概略端面図。
図8図2におけるY-Y線概略端面図。
図9図3におけるZ-Z線概略端面図。
図10】同実施形態における部分拡大斜視図。
図11】同実施形態における構造説明用の展開図。
図12】同実施形態における構造説明用の正面図(第三のポケットシート)。
図13】本発明の他の実施形態を示す正面図(見開き姿勢)。
図14】本発明の他の実施形態を示す正面図(見開き姿勢)。
図15】本発明の他の実施形態を示す正面図(見開き姿勢)。
図16】本発明の他の実施形態を示す部分拡大斜視図(見開き姿勢)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図1~12を参照して説明する。
【0017】
この実施形態は、本発明を、用紙Aを収容し得るファイルに適用したものである。
【0018】
ファイルは、図1に示すように表表紙1及び裏表紙2が略面一をなすように展開し得る見開き姿勢(M)と、図3に示すように表表紙1及び裏表紙2の各内面同士が対面し得る閉じ姿勢(T)と、図2に示すように表表紙1及び裏表紙2の各外面同士が対面し得る折り返し姿勢(R)とを採り得るように姿勢変更可能に構成されている。なお、折り返し姿勢(R)は、閉じ姿勢(T)の表表紙1又は裏表紙2の何れ一方を、ヒンジ部Hを回転中心として360°回転させた姿勢である。
【0019】
ファイルは、ヒンジ部Hを介して連結された表表紙1及び第二シートたる裏表紙2と、裏表紙2の内面側に配設され当該裏表紙2と協働して用紙Aを収容し得るポケットたる第一ポケットP1を形成し得る第一シートたる第一のポケットシートS1と、表表紙1の内面側に配設され左右方向に長手をなし表表紙1と協働して用紙Aを収容し得るポケットたる第二ポケットP2を形成し得る第二のポケットシートS2と、表表紙1の内面側に配設され上下方向に長手をなし表表紙1と協働して用紙Aを収容し得るポケットたる第三ポケットP3を形成し得る第三のポケットシートS3と、第一のポケットシートS1と第二のポケットシートS2とを繋ぐように設けられヒンジ部Hに対して常に離間して配された離間部Bと、第一のポケットシートS1の端部に回転可能に取り付けられた回転式の綴じ具Gとを備えたものである。
【0020】
表表紙1及び裏表紙2は、それぞれ縦長矩形状をなしたものである。表表紙1及び裏表紙2における四つの角部の縁は丸く形成されている。見開き姿勢(M)において、表表紙1は左側に位置しており裏表紙2は右側に位置している。表表紙1及び裏表紙2は、左右方向中間部の上下方向に延びるヒンジ部Hを中心にして対称形状をなしている。表表紙1及び裏表紙2は、ヒンジ部Hを介して一体に接続したものとなっている。表表紙1及び裏表紙2における四つの角部の縁は丸く形成されているため、ヒンジ部Hの上下にはクサビ状に凹んだ部位が形成されている。
【0021】
ヒンジ部Hは、樹脂ヒンジと称されるタイプのものであり、表表紙1の内側端縁と裏表紙2の内側端縁の間に設けられている。ヒンジ部Hは、上下方向に直線状に延びてなる。この実施形態では、ヒンジ部Hの左右には、所定の間隔をあけて背幅を拡張させ得る補助折り線Fがヒンジ部Hに対して平行に形成されている。
【0022】
次に、裏表紙2側に設けられる第一ポケットP1を構成するポケットシートすなわち第一のポケットシートS1について説明する。
【0023】
第一のポケットシートS1は、裏表紙2と重なり合う位置に配設されている。第一のポケットシートS1は、裏表紙2に接続している。ファイルは、第一のポケットシートS1と裏表紙2の少なくとも二辺が連結されることにより用紙Aを収容し得る第一ポケットP1が設けられている。
【0024】
第一のポケットシートS1は、裏表紙2の内面側に配設され下端縁及び一方の側端縁たる外側端縁が裏表紙2における下端縁及び一方の側端縁たる外側端縁に連結されたものとなっている。
【0025】
この実施形態では、第一のポケットシートS1と裏表紙2とは同一の合成樹脂製のシート材により一体に形成されているため、第一のポケットシートS1の下端縁と裏表紙2における下端縁は折り線Eを介して一体に連設されたものとなっている。第一のポケットシートS1の外側端縁と裏表紙2における外側端縁は溶着により連結されている。
【0026】
第一のポケットシートS1は、略正方形状をなす第一ポケットシート本体s11と、第一ポケットシート本体s11における内側端縁の一部から延設された縦長矩形状をなす延出片s12とを備えたものである。
【0027】
第一ポケットシート本体s11は、他方の側端縁たる内側端縁の上端部近傍に、回転式の綴じ具Gを回転可能に支持するための軸孔jaが穿設されている。軸孔jaには、金属製の軸部材Jが挿入されるようになっている。
【0028】
回転式の綴じ具Gの基端部には、軸部材Jが挿入される図示しない軸部材挿入孔が形成されている。そして、綴じ具Gの基端部は、軸部材Jと第一ポケットシート本体s11との間で回転可能に支持されたものとなっている。
【0029】
延出片s12は、第一ポケットシート本体s11に対して片持ち支持された突出片状のものである。延出片s12は、基端部が折り曲げ可能に構成されている。延出片s12は、基端部が折り曲げられて第一ポケットシート本体s11の外面側に重なるように移動し得るものとなっている。
【0030】
延出片s12は、回転式の綴じ具Gにより外側から押圧されて、第一ポケットシート本体s11の外面側に押し付けられるようになっている。つまり、延出片s12と第一ポケットシート本体s11との間に挿入された用紙Aは、綴じ具Gにより押圧された延出片s12と第一ポケットシート本体s11とによって挟持されるように構成されている。
【0031】
つまり、ファイルは、裏表紙2と第一ポケットシート本体s11との間に設けられた第一ポケットP1に用紙Aを収容し得るだけでなく、第一ポケットシート本体s11に設けられた綴じ具Gを利用することにより、第一ポケットシート本体s11の外面側にも単数又は複数枚の用紙Aを保持させることができるようになっている。
【0032】
第一のポケットシートS1の面積は、裏表紙2の面積よりも小さく設定されている。より具体的には、第一ポケットシート本体s11の高さ寸法は、裏表紙2の高さ寸法よりも低く設定されている。第一ポケットシート本体s11の左右方向の寸法は、裏表紙2の左右方向の寸法よりも短く設定されている。
【0033】
この実施形態では、第一ポケットシート本体s11の高さは、第一ポケットP1に収容されたB5サイズの用紙(プリント等)の上端部が出る高さに設定されている。すなわち、第一ポケットシート本体s11の高さは、B5サイズの用紙の上下寸法よりも短く設定されている。
【0034】
第一ポケットシート本体s11の左右方向の寸法は、図4の使用例に示されるように、綴じ具Gに保持されたA4サイズの用紙Aの外側端縁aeが裏表紙2の外側端縁よりも内側に位置し得る長さに設定されている。
【0035】
この実施形態では、第一ポケットシート本体s11及び裏表紙2の横幅寸法は、綴じ具Gに保持されたA4サイズの用紙Aの外側端縁aeが表表紙2の外側端縁よりも内側に位置し得るだけでなく、綴じ具Gに保持された用紙Aの外側端縁aeが指を掛け難くなる程に内側に行き過ぎない位置に設定されている。
【0036】
ファイルは、上述した構成をなす第一のポケットシートS1、及び、裏表紙2とによって、用紙Aを収容し得る第一ポケットP1が形成されている。第一ポケットP1は、上端側及び内側端側が開放されているとともに下端側及び外側端側が閉止されている。
【0037】
綴じ具Gは、「回転式綴じ具」又は「スライド式綴じ具」と称される既知の構成のものである。綴じ具Gは、合成樹脂により作られている。
【0038】
綴じ具Gは、第一ポケットシート本体s11に対して回転可能に取り付けられている。他のポケットシートすなわち表表紙1の内面側に配された第二のポケットシートS2、及び、第三のポケットシートS3は、第一ポケットシート本体s11に枢着された綴じ具Gの回動端t1に干渉しない位置に配設されている。
【0039】
綴じ具Gは、第一ポケットシート本体s11の裏面側に位置するプレート状のベース部g1と、第一ポケットシート本体s11の表面側に位置するプレート状の押圧部g2と、ベース部g1と押圧部g2とを繋ぐ連結部g3とを備えた断面視略コ字状をなすものである。
【0040】
綴じ具Gを第一ポケットシート本体s11に対して回転させ、綴じ具Gにおけるベース部g1と押圧部g2との間に、第一ポケットシート本体s11及び延出片s12を位置させると、当該第一ポケットシート本体s11と延出片s12との間に配された用紙Aは一定の挟圧力により挟持されることになる。
【0041】
続いて、表表紙1側に設けられたポケットたる第二ポケットP2を構成する第二のポケットシートS2、及び、表表紙1側に設けられたポケットたる第三ポケットP3を構成する第三のポケットシートS3について説明する。
【0042】
第二のポケットシートS2は、横長矩形状をなしている。第二のポケットシートS2は、表表紙1の内面側に配設され下端縁及び外側端縁が、表表紙1における下端縁及び外側端縁に溶着により連結されたものとなっている。第二のポケットシートS2及び表表紙1とによって形成される第二ポケットP2は、上端側及び内側端側が開放されているとともに下端側及び外側端側が閉止されている。
【0043】
第三のポケットシートS3は、縦長矩形状をなしている。第三のポケットシートS3は、表表紙1の内面側に配設され外側端縁の上部のみが表表紙1における外側端縁に溶着により連結されたものとなっている。第三のポケットシートS3の下部は、表表紙1と第二のポケットシートS2との間に位置するようになっている。
【0044】
第三のポケットシートS3及び表表紙1とによって形成される第三ポケットP3は、上端側及び内側端側が開放されているとともに外側端側が閉止されている。第三のポケットシートS3の下端縁側は表表紙1に対して接合されていないが、第三ポケットP3の下端縁の近傍には、第二ポケットP2の下端縁と表表紙1の下端縁とが接合した部位が設けられているため実質的に開放されないものとなっている。
【0045】
なお、この実施形態では、第二のポケットシートS2及び第三のポケットシートS3の双方と、表表紙1とが協働することにより、用紙Aを収容し得るL字状のポケットPLを形成し得るものとなっている。
【0046】
すなわち、L字状のポケットPLは、表表紙1の内面に配設され上下方向に長手をなし外側端縁が表表紙1における外側端縁に接続された第三のポケットシートS3と、第三のポケットシートS3とは別体をなし当該第三のポケットシートS3よりも手前側すなわち見開き姿勢(M)における正面視手前側に配された第二のポケットシートS2とを備えたものである。そして、第三のポケットシートS3及び第二のポケットシートS2が、表表紙1の内面側に略L字状に配設されたものとなっている。
【0047】
L字状のポケットPLは、比較的面積の小さい用紙Cを柔軟に収容し得るものとなっている。例えば、図4に示すように、葉書サイズ又はそれよりも小さいサイズの用紙Cを収容する場合には、第二のポケットシートS2と第三のポケットシートS3の間に当該用紙Cを挿入することにより、用紙Cを好適に収容することができるとともに必要な時にスムーズに取り出すことができるようになっている。なお、図4において、符号Cで示された用紙Cは、A4サイズやB5サイズよりも小さい大きさをなし、学習で使用される字隠し用の合成樹脂製の色シート(赤シート)を例示している。
【0048】
また、図5に示すように、A4サイズやB5サイズの用紙Aを収容する場合には、表表紙1と第二のポケットシートS2との間、及び、表表紙1と第三のポケットシートS3との間に当該用紙Aを挿入することにより、用紙Aを好適に収容することができるとともに必要な時にスムーズに取り出すことができるようになっている。
【0049】
次に、離間部Bについて説明する。
【0050】
離間部Bは、第一のポケットシートS1及び第二のポケットシートS2に連設され、表表紙1及び裏表紙2の内面側に配設され各表紙1、2と協働してポケットたる中間ポケットPcを形成し得るものである。離間部Bは、見開き姿勢(M)の正面視においてヒンジ部Hの手前側に離間して位置するとともに折り返し姿勢(R)においてヒンジ部Hと離間する位置に設けられている。離間部Bは、第一のポケットシートS1における内側端縁s1eと第二のポケットシートS2における内側端縁s2eとを繋ぐ部位をなしている。
【0051】
離間部Bは、見開き姿勢(M)において手前側に突出した形状をなしている。具体的には、図7及び図10に示すように、離間部Bは、見開き姿勢(M)において、手前側に山形に突出した形状をなしている。離間部Bは、見開き姿勢(M)においてヒンジ部Hと略合致する位置に形成された稜線部b1と、稜線部b1の左側に位置する矩形板状をなす左側板部b2と、稜線部b1の右側に位置する矩形板状をなす右側板部b3とを備えたものである。
【0052】
離間部Bは、第一のポケットシートS1における左側端縁の下部分と第二のポケットシートS2の右側端縁との間に介設されている。換言すれば、左側板部b2の左側端縁は第二のポケットシートS2に接続しており、右側板部b3の右側端縁は第一のポケットシートS1の左側端縁に接続している。
【0053】
離間部Bは、上端側、及び、下端側が開放されている。つまり、離間部Bは、第一、第二のポケットシートS1、S2に対して片持ち状に支持され、表表紙1及び裏表紙2と協働して用紙Aを収容し得る中間ポケットPcを形成し得るものとなっている。
【0054】
この実施形態では、第一のポケットシートS1と、離間部Bと、第二のポケットシートS2が、同一のシート材により一体に連設されたものとなっている。
【0055】
なお、図11に示すように、表表紙1、裏表紙2、第一のポケットシートS1、離間部B、及び、第二のポケットシートS2は、同一の合成樹脂製のシート材により一体に形成されている。一方で、図12に示すように、第三のポケットシートS3は、先に述べた表表紙1を含むシート材とは別体の合成樹脂製のシート材により形成されている。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係るファイルは、ヒンジ部Hを介して連結された表表紙1及び裏表紙2を有してなり、表表紙1及び裏表紙2が略面一をなすように展開し得る見開き姿勢(M)と、表表紙1及び裏表紙2の各内面同士が対面し得る閉じ姿勢(T)と、表表紙1及び裏表紙2の各外面同士が対面し得る折り返し姿勢(R)とを採り得るように姿勢変更可能に構成されたものである。
【0057】
そして、表表紙1及び裏表紙2の内面に、当該表表紙1及び裏表紙2と協働してポケットたる第一ポケットP1及び第二ポケットP2を形成し得るポケットシートたる第一のポケットシートS1及び第二のポケットシートS2が配設されたものである。
【0058】
第一のポケットシートS1及び第二のポケットシートS2に連設され、見開き姿勢(M)においてヒンジ部Hの手前側に離間して位置するとともに折り返し姿勢(R)においてヒンジ部Hと離間して位置する離間部Bが設けられている。
【0059】
このため、見開き姿勢(M)や閉じ姿勢(T)だけでなく、表表紙1及び裏表紙2の各外面同士が対面し得る折り返し姿勢(R)も無理なく採ることができるファイルを提供することができるものとなる。
【0060】
つまり、第一のポケットシートS1と第二のポケットシートS2との間を離間部Bにより繋いでいるため、折り返し姿勢(R)を採るべくヒンジ部Hを回転中心として表表紙1及び裏表紙2を所望の方向に回転させたとしても、表表紙1及び裏表紙2の回転は離間部Bによって阻害されず所定の位置にまで無理なく移動し得るものとなっている。
【0061】
換言すれば、本実施形態に示されるファイルであれば、表表紙1及び裏表紙2の内面側に当該表表紙1及び裏表紙2を跨ぐようなポケットが位置している場合であっても、折り返し姿勢(R)を採り得るものとなる。そのため、ファイルを使用する使用者は、使用態様のバリエーションとして折り返し姿勢(R)を選択することができるものとなり、快適な使用感や優れた利便性を得ることができるものとなっている。
【0062】
略同一の大きさをなす表表紙1及び裏表紙2の間にヒンジ部Hが設けられたものである。そして、表表紙1及び裏表紙2の何れか一方に対して他方がヒンジ部Hを中心にして360°折れ曲がるように構成されている。
【0063】
このため、見開き姿勢(M)や折り返し姿勢(R)において、表表紙1と裏表紙2との端縁が整然と揃い易く、外観に優れたファイルを提供することができるものとなっている。
【0064】
裏表紙2の内面に配設され下端縁及び外側端縁が裏表紙2における下端縁及び外側端縁に連結された第一のポケットシートS1と、表表紙1の内面に配設され下端縁及び外側端縁が表表紙1における下端縁及び外側端縁に連結された第二のポケットシートS2と、第一のポケットシートS1における内側端縁s1eと第二のポケットシートS2における内側端縁s2eとを繋ぐ離間部Bとを備えたものである。
【0065】
このため、ファイルは、表表紙1及び裏表紙2に架け渡されたポケット(第一ポケットP1・中間ポケットPc・第二ポケットP2)を有しているにもかかわらず、折り返し姿勢(R)を採り得るものとなっている。
【0066】
離間部Bは、見開き姿勢(M)において手前側に突出した形状をなしている。
【0067】
このため、離間部Bの突出形状を利用して、表表紙1側に位置する第二、第三のポケットシートS2、S3の外面側に載置した用紙Aと裏表紙2側に位置する第1のポケットシートS1の外面側に載置した用紙Aとを好適に仕切ることができるものとなっている。
【0068】
表表紙1の内面に配設され上下方向に長手をなし外側端縁が表表紙における外側端縁に接続された第三のポケットシートS3と、第三のポケットシートS3とは別体をなし当該第三のポケットシートS3よりも手前側すなわち見開き姿勢(M)における正面視手前側に配された第二のポケットシートS2とを備えたものであり、第三のポケットシートS3及び第二のポケットシートS2が、表表紙1の内面側に略L字状に配設されている。
【0069】
このため、表表紙1側に、L字状をなすようにして第二のポケットシートS2及び第三のポケットシートS3が配されているため、大きさの異なる用紙(用紙A、用紙Cなど)を取り出し易さや落下し難さ等に配慮して好適に選択し得るものとなっている。
【0070】
第一のポケットシートS1と、離間部Bと、第二のポケットシートS2が、同一のシート材により一体に連設されたものである。
【0071】
このため、製造し易く且つ連結強度に優れたものとなっている。
【0072】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0073】
ファイルに収容又は保持される用紙は、紙製のものに限られるものではなく、合成樹脂製や木製や金属製のものであってもよい。すなわち、用紙は、シート状のものであればどのようなものであってもよい。
【0074】
綴じ具は、回転式のものに限られず、種々のものを適用することができるのは言うまでもない。
【0075】
例えば、図13(a)に示すように、ファイルは、綴じ紐d1と当該綴じ紐d1に対して係脱し得る綴じ部材d2とによって構成された綴じ紐式の綴じ具Dを採用したものであってもよい。
【0076】
例えば、図13(b)に示すように、ファイルは、基板k1と当該基板k1に対して枢支され図示しないバネにより基板k1方向に付勢された押付フレーム部材k2とによって構成された綴じ具Kを採用したものであってもよい。
【0077】
綴じ具を設ける位置は、上述した実施形態のような第一のポケットシートの内側端縁近傍に限られるものではない。
【0078】
例えば、図14(a)に示すように、ファイルは、ポケットシートたる第一のポケットシートS1の上端縁近傍に綴じ具Gを設けるようにしてもよい。
【0079】
例えば、図14(b)に示すように、ファイルは、ポケットシートたる第一のポケットシートS1の外側端縁近傍に綴じ具Gを設けるようにしてもよい。
【0080】
表表紙や裏表紙の具体的形態についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更し得るものであることは言うまでもない。
【0081】
例えば、図15に示すように、表表紙1に、閉じ姿勢(T)において裏表紙2側に設けられた綴じ具Gが挿入される連通孔Iを設けるようにしてもよい。このようなものであれば、閉じ姿勢(T)において、綴じ具Gの存在に起因したファイル全体の厚み寸法の増大を好適に抑制し得るものとなる。
【0082】
綴じ具は、上端部側を回動端とし、下端部側を第一のポケットシートに対して枢着させたものであってもよい。
【0083】
離間部の具体的な形状は上述した実施形態に示されたものに限られるものではなく、種々の形状に設定可能である。
【0084】
例えば、離間部Bは、図16(a)に示すように、頂部が平坦に形成された平坦頂部を有した山型形状のものであってもよいし、図16(b)に示すように、二本以上の複数の折り線b5が一定間隔で設けられ、滑らかな山型形状に近似した態様を採り得るものであってもよいし、図16(c)に示すように、折り線を設けることなく部材の可撓変形を利用して滑らかな山型形状を形成し得るものであってもよい。
【0085】
ポケットは、ポケットシートが表表紙や裏表紙と協働して形成されるものには限られず、表表紙や裏表紙が含まれずにポケットが形成されているものであってもよい。
【0086】
ポケットは、マチが設けられているものであってもよい。
【0087】
表紙と協働してポケットを形成し得るポケットシートは、表表紙及び裏表紙の少なくとも一方の内面に配設されたものであればよい。
【0088】
離間部は、ポケットシートと一体に連設されたものに限られるものではない。すなわち、離間部は、ポケットシートと別体に構成され、製造時において接着されることによりポケットシートと連設されるようなものであってもよい。
【0089】
ポケットシートは、綴じ具が設けられていなくてもよい。
【0090】
第一、第二、第三のポケットシートの具体的な形状は、適宜の形状に設定し得るものである。換言すれば、第一、第二、第三のポケットシートは、矩形状のものに限られず一部に傾斜した端縁や湾曲した端縁を有したものであってもよい。
【0091】
ポケットシートと表紙との連結箇所は、一辺だけのものとしてもよいし、二辺のものとしてもよいし、三辺のものとしてもよい。その他、連結箇所は、ポケットシートと表紙との間にポケットを形成し得るものであれば、種々設定可能である。
【0093】
ポケットは、一端側のみが閉塞されたものであってもよいし、一端側及び両側端側の三方向が閉塞されたものであってもよい。
【0094】
ファイルは、表表紙と裏表紙との間に背表紙が設けられたものであってもよい。この場合、背表紙と表表紙との間、及び、背表紙と裏表紙との間にそれぞれヒンジ部が形成されるものとなる。
【0095】
表表紙及び裏表紙の見開き姿勢とは、完全に面一に展開されるものに限られるものではない。換言すれば、見開き姿勢とは、部材の折り癖等に起因する凸凹の形態が出現している状態を含んだ意味である。
【0096】
また、上述した実施形態では、ポケットに収容される書類の一例としてA4サイズの用紙を示していたが、A4サイズとは異なるサイズ(例えば、A3サイズやB5サイズ等)のものであってもよいのはもちろんのことである。
【0097】
例えば、表表紙及び裏表紙にかけ渡すように、A3サイズの書類を収納するようにしてもよい。すなわち、表表紙及び裏表紙にそれぞれ設けられたポケットの上端側及び内側端側の二方向が開放されているため、かかる構成をA3サイズの書類の収納に好適に利用し得るものとなっている。
【0098】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…表表紙
2…裏表紙(第二シート)
G…綴じ具
S1…第一のポケットシート(ポケットシート・第一シート)
P1…第一ポケット
S2…第二のポケットシート
P2…第二ポケット
B…離間部
A…用紙
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