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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】発光素子ヘッドおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/447 20060101AFI20240618BHJP
   B41J 2/45 20060101ALI20240618BHJP
   H04N 1/036 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B41J2/447 101B
B41J2/447 101P
B41J2/45
H04N1/036
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020159616
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053037
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】荒井 茂
(72)【発明者】
【氏名】八木 響二
(72)【発明者】
【氏名】八嶋 俊
(72)【発明者】
【氏名】森 淳一郎
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-226712(JP,A)
【文献】特開平08-258337(JP,A)
【文献】特開2013-059900(JP,A)
【文献】特開2013-230573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/385 - 2/415
B41J 2/43 - 2/465
H04N 1/024 - 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に列状に配される発光素子からなる第1の発光素子列と、
主走査方向に列状に配される発光素子からなり、前記第1の発光素子列と少なくとも一部が副走査方向に重複して配される第2の発光素子列と、
前記発光素子の光出力を結像させて感光体を露光し静電潜像を形成させるための光学素子と、
前記第1の発光素子列および前記第2の発光素子列が重複する重複箇所の何れかの箇所に設けられた切換箇所で、これらを切り換えて発光させる切換手段と、
を備え、
前記静電潜像は、予め定められたスクリーン角度を有するスクリーンによりスクリーン処理された網点により形成され、
前記切換手段は、前記静電潜像中で前記切換箇所に対応する位置を結んだときに、前記スクリーン角度に沿った線分を含むジグザグ形状になるとともに、網点と重なる位置になるように、当該切換箇所を決める発光素子ヘッド。
【請求項2】
前記切換手段は、主走査方向に予め定められた幅の中で、前記ジグザグ形状を決めることを特徴とする請求項1に記載の発光素子ヘッド。
【請求項3】
前記切換手段は、規則性を有しないように前記ジグザグ形状を決めることを特徴とする請求項2に記載の発光素子ヘッド。
【請求項4】
前記切換手段は、トナーの色ごとに定まるスクリーン角度に応じて前記ジグザグ形状を決めることを特徴とする請求項1に記載の発光素子ヘッド。
【請求項5】
前記切換手段は、トナーの色ごとに定まるスクリーン角度に応じたマスクを適用することで前記切換箇所を決めることを特徴とする請求項4に記載の発光素子ヘッド。
【請求項6】
前記ジグザグ形状は、前記スクリーン角度に沿った線分と、当該スクリーン角度に沿った線分に対し、直交する方向に沿った線分とからなることを特徴とする請求項1に記載の発光素子ヘッド。
【請求項7】
前記第1の発光素子列および前記第2の発光素子列のそれぞれは、前記発光素子を主走査方向に並べて配した発光素子アレイチップを並べることで構成されることを特徴とする請求項1に記載の発光素子ヘッド。
【請求項8】
主走査方向に列状に配される発光素子からなる、第1の発光素子列および当該第1の発光素子列と少なくとも一部が副走査方向に重複して配される第2の発光素子列と、当該発光素子の光出力を結像させて感光体を露光し静電潜像を形成させるための光学素子と、を用いて、トナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
記録媒体に転写した前記トナー像を記録媒体に定着し、画像を形成する定着手段と、
前記第1の発光素子列および前記第2の発光素子列が重複する重複箇所の何れかの箇所に設けられた切換箇所で、これらを切り換えて発光させる切換手段と、
を備え、
記録媒体に形成された画像は、予め定められたスクリーン角度を有するスクリーンによりスクリーン処理された網点により形成され、
前記切換手段は、記録媒体に形成された画像中で前記切換箇所に対応する位置を結んだときに、前記スクリーン角度に沿った線分を含むジグザグ形状になるとともに、網点と重なる位置になるように、当該切換箇所を決める画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子ヘッド、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した、プリンタや複写機、ファクシミリ等の画像形成装置では、帯電された感光体上に、画像情報を光記録手段によって照射することにより静電潜像を得た後、この静電潜像にトナーを付加して可視化し、記録媒体上に転写して定着することによって画像形成が行なわれる。かかる光記録手段として、レーザを用いて主走査方向にレーザ光を走査させて露光する光走査方式の他、近年では、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等の発光素子を主走査方向に多数、配列してなる発光素子ヘッドを用いた光記録手段が採用されている。
【0003】
特許文献1には、発光素子列であるLPH(LED Print Head)を露光領域が一部重複するように千鳥状に配列し、画像処理部で網点ハーフトーン処理された網点ハーフトーン画像の網点の核が、発光素子列のつなぎ目位置で隣接する発行素子で書き込まれるように画像形成装置を構成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-226712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、1つの基板上の主走査方向に全ての発光素子を配列する発光素子ヘッドを作成するのは困難である。そのため、複数の基板を、副走査方向に一部重複させるとともに千鳥状になるように主走査方向に配列し、重複する箇所でこれらを切り換えて発光させる方法が採られることがある。ただし、この場合、切換えを行う切換箇所で、記録媒体に形成される画像に黒筋や白筋が生じることがある。
本発明は、網点に応じ切換箇所を変更しない場合に比較して、切換箇所で記録媒体に形成される画像に黒筋や白筋が生じにくい発光素子ヘッド等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、主走査方向に列状に配される発光素子からなる第1の発光素子列と、主走査方向に列状に配される発光素子からなり、前記第1の発光素子列と少なくとも一部が副走査方向に重複して配される第2の発光素子列と、前記発光素子の光出力を結像させて感光体を露光し静電潜像を形成させるための光学素子と、前記第1の発光素子列および前記第2の発光素子列が重複する重複箇所の何れかの箇所に設けられた切換箇所で、これらを切り換えて発光させる切換手段と、を備え、前記静電潜像は、予め定められたスクリーン角度を有するスクリーンによりスクリーン処理された網点により形成され、前記切換手段は、前記静電潜像中で前記切換箇所に対応する位置を結んだときに、前記スクリーン角度に沿った線分を含むジグザグ形状になるとともに、網点と重なる位置になるように、当該切換箇所を決める発光素子ヘッドである。
請求項2に記載の発明は、前記切換手段は、主走査方向に予め定められた幅の中で、前記ジグザグ形状を決めることを特徴とする請求項1に記載の発光素子ヘッドである。
請求項3に記載の発明は、前記切換手段は、規則性を有しないように前記ジグザグ形状を決めることを特徴とする請求項2に記載の発光素子ヘッドである。
請求項4に記載の発明は、前記切換手段は、トナーの色ごとに定まるスクリーン角度に応じて前記ジグザグ形状を決めることを特徴とする請求項1に記載の発光素子ヘッドである。
請求項5に記載の発明は、前記切換手段は、トナーの色ごとに定まるスクリーン角度に応じたマスクを適用することで前記切換箇所を決めることを特徴とする請求項4に記載の発光素子ヘッドである。
請求項6に記載の発明は、前記ジグザグ形状は、前記スクリーン角度に沿った線分と、当該スクリーン角度に沿った線分に対し、直交する方向に沿った線分とからなることを特徴とする請求項1に記載の発光素子ヘッドである。
請求項7に記載の発明は、前記第1の発光素子列および前記第2の発光素子列のそれぞれは、前記発光素子を主走査方向に並べて配した発光素子アレイチップを並べることで構成されることを特徴とする請求項1に記載の発光素子ヘッドである。
請求項8に記載の発明は、主走査方向に列状に配される発光素子からなる、第1の発光素子列および当該第1の発光素子列と少なくとも一部が副走査方向に重複して配される第2の発光素子列と、当該発光素子の光出力を結像させて感光体を露光し静電潜像を形成させるための光学素子と、を用いて、トナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写した前記トナー像を記録媒体に定着し、画像を形成する定着手段と、前記第1の発光素子列および前記第2の発光素子列が重複する重複箇所の何れかの箇所に設けられた切換箇所で、これらを切り換えて発光させる切換手段と、を備え、記録媒体に形成された画像は、予め定められたスクリーン角度を有するスクリーンによりスクリーン処理された網点により形成され、前記切換手段は、記録媒体に形成された画像中で前記切換箇所に対応する位置を結んだときに、前記スクリーン角度に沿った線分を含むジグザグ形状になるとともに、網点と重なる位置になるように、当該切換箇所を決める画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、網点に応じ切換箇所を変更しない場合に比較して、切換箇所で記録媒体に形成される画像に黒筋や白筋が生じにくい発光素子ヘッドを提供できる。
請求項2の発明によれば、黒筋や白筋が生じうる箇所で、切換箇所を変更する制御を行うことができる。
請求項3、4の発明によれば、黒筋や白筋が、さらに視認しにくくなる。
請求項5の発明によれば、切換箇所の決定が、より容易になる。
請求項6の発明によれば、黒筋や白筋が生じにくい位置に切換箇所を設定することができる。
請求項7の発明によれば、第1の発光素子列および第2の発光素子列を形成するのが、より容易になる。
請求項8の発明によれば、網点に応じ切換箇所を変更しない場合に比較して、切換箇所で記録媒体に形成される画像に黒筋や白筋が生じにくい画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態の画像形成装置の概要を示す図である。
図2】本実施の形態が適用される発光素子ヘッドの構成を示した図である。
図3】(a)は、発光素子ヘッドにおける回路基板および発光部の斜視図である。(b)は、発光部を、(a)のIIIb方向から見た図であり、発光部の一部を拡大した図である。
図4】(a)~(b)は、本実施の形態が適用される発光チップの構造を説明した図である。
図5】発光チップとして自己走査型発光素子アレイチップを採用した場合の信号発生回路の構成および回路基板の配線構成を示した図である。
図6】発光チップの回路構成を説明するための図である。
図7】(a)~(c)は、切換箇所でLEDのピッチが変化した結果、用紙に形成される画像に黒筋や白筋が生じる場合について示した図である。
図8】(a)~(b)は、網点について説明した図である。
図9】(a)~(d)は、本実施の形態の切換箇所について示した図である。
図10】(a)は、切換箇所と網点の位置との関係を示した図である。(b)は、(a)のようにする理由について説明した図である。
図11】(a)~(b)は、ジグザグ形状に規則性を持たせた場合の例を示している。
図12】本実施形態における信号発生回路の機能構成例を表すブロック図である。
図13】本実施の形態の画像形成装置の動作について説明したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<画像形成装置の全体構成の説明>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の画像形成装置1の概要を示す図である。
この画像形成装置1は、一般にタンデム型と呼ばれる画像形成装置である。画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行なう画像形成部10を備える。また、この画像形成装置1は、各画像形成ユニット11で形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)保持させる中間転写ベルト20を具備する。さらに、この画像形成装置1は、中間転写ベルト20に転写されたトナー像を、記録媒体の一例である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写装置30を備える。さらにまた、この画像形成装置1は、用紙Pに二次転写されたトナー像を定着し、画像を形成する定着手段の一例である定着装置50を有している。さらに、画像形成装置1は、画像形成装置1の各機構部を制御するとともに、画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像出力制御部200を備える。
【0010】
画像形成部10は、例えば、電子写真方式にて各色成分トナー像が形成される複数(本実施の形態では4つ)の画像形成ユニット11(具体的には11Y(イエロー)、11M(マゼンタ)、11C(シアン)、11K(黒))を備える。画像形成ユニット11は、トナー像を形成するトナー像形成手段の一例である。
【0011】
各画像形成ユニット11(11Y、11M、11C、11K)は、使用されるトナーの色を除き、同じ構成を有している。そこで、イエローの画像形成ユニット11Yを例に説明を行う。イエローの画像形成ユニット11Yは、図示しない感光層を有し、矢印A方向に回転可能に配設される感光体ドラム12を具備している。この感光体ドラム12の周囲には、帯電ロール13、発光素子ヘッド14、現像器15、一次転写ロール16、およびドラムクリーナ17が配設される。これらのうち、帯電ロール13は、回転可能に感光体ドラム12に接触配置され、感光体ドラム12を予め定められた電位に帯電する。発光素子ヘッド14は、帯電ロール13によって予め定められた電位に帯電された感光体ドラム12に、光を照射し、静電潜像を書き込む。現像器15は、対応する色成分トナー(イエローの画像形成ユニット11Yではイエローのトナー)を収容し、このトナーによって感光体ドラム12上の静電潜像を現像する。一次転写ロール16は、感光体ドラム12上に形成されたトナー像を中間転写ベルト20に一次転写する。ドラムクリーナ17は、一次転写後の感光体ドラム12上の残留物(トナー等)を除去する。
【0012】
感光体ドラム12は、像を保持する像保持体として機能する。また、帯電ロール13は、感光体ドラム12の表面を帯電させる帯電手段として機能し、発光素子ヘッド14は、感光体ドラム12を露光し、静電潜像を形成させる静電潜像形成手段(発光装置)として機能する。さらに、現像器15は、静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段として機能する。
【0013】
像転写体としての中間転写ベルト20は、複数(本実施の形態では5つ)の支持ロールに回転可能に張架支持される。これらの支持ロールのうち、駆動ロール21は、中間転写ベルト20を張架するとともに中間転写ベルト20を駆動して回転させる。また、張架ロール22および25は、中間転写ベルト20を張架するとともに駆動ロール21によって駆動される中間転写ベルト20に従って回転する。補正ロール23は、中間転写ベルト20を張架するとともに中間転写ベルト20の搬送方向に略直交する方向の蛇行を規制するステアリングロール(軸方向一端部を支点として傾動自在に配設される)として機能する。さらに、バックアップロール24は、中間転写ベルト20を張架するとともに後述する二次転写装置30の構成部材として機能する。
また、中間転写ベルト20を挟んで駆動ロール21と対向する部位には、二次転写後の中間転写ベルト20上の残留物(トナー等)を除去するベルトクリーナ26が配設されている。
【0014】
詳しくは後述するが、本実施の形態において、画像形成ユニット11は、画像の濃度を補正するための予め定められた濃度による濃度補正用画像(基準パッチ、濃度補正用トナー像)を形成する。この濃度補正用画像は、装置の状態を調整する画像の一例である。
【0015】
二次転写装置30は、中間転写ベルト20のトナー像保持面側に圧接配置される二次転写ロール31と、中間転写ベルト20の裏面側に配置されて二次転写ロール31の対向電極をなすバックアップロール24とを備えている。このバックアップロール24には、トナーの帯電極性と同極性の二次転写バイアスを印加する給電ロール32が接触して配置されている。一方、二次転写ロール31は接地されている。
本実施の形態の画像形成装置1では、中間転写ベルト20、一次転写ロール16、および二次転写ロール31により、トナー像を用紙Pに転写する転写手段が構成される。
【0016】
また、用紙搬送系は、用紙トレイ40、搬送ロール41、レジストレーションロール42、搬送ベルト43、および排出ロール44を備える。用紙搬送系では、用紙トレイ40に積載された用紙Pを搬送ロール41にて搬送した後、レジストレーションロール42で一旦停止させ、その後予め定められたタイミングで二次転写装置30の二次転写位置へと送り込む。また、二次転写後の用紙Pを、搬送ベルト43を介して定着装置50へと搬送し、定着装置50から排出された用紙Pを排出ロール44によって機外へと送り出す。
【0017】
次に、この画像形成装置1の基本的な作像プロセスについて説明する。今、図示外のスタートスイッチがオン操作されると、予め定められた作像プロセスが実行される。具体的に述べると、例えばこの画像形成装置1をプリンタとして構成する場合には、PC(パーソナルコンピュータ)等、外部から入力される画像データを画像出力制御部200が、まず受信する。受信された画像データは、画像出力制御部200によって画像処理が施され、画像形成ユニット11に供給される。そして、画像形成ユニット11は、各色のトナー像形成を行う。すなわち、各色のデジタル画像信号に応じて各画像形成ユニット11(具体的には11Y、11M、11C、11K)をそれぞれ駆動する。次に、各画像形成ユニット11では、帯電ロール13により帯電された感光体ドラム12に、発光素子ヘッド(LPH)14によりデジタル画像信号に応じた光を照射することで、静電潜像を形成する。そして、感光体ドラム12に形成された静電潜像を現像器15により現像し、各色のトナー像を形成させる。なお、この画像形成装置1を複写機として構成する場合には、図示しない原稿台にセットされる原稿をスキャナで読み取り、得られた読み取り信号を処理回路によりデジタル画像信号に変換した後、上記と同様にして各色のトナー像の形成を行うようにすればよい。
【0018】
その後、各感光体ドラム12上に形成されたトナー像は、感光体ドラム12と中間転写ベルト20とが接する一次転写位置で、一次転写ロール16によって中間転写ベルト20の表面に順次一次転写される。一方、一次転写後に感光体ドラム12上に残存するトナーは、ドラムクリーナ17によってクリーニングされる。
【0019】
このようにして、中間転写ベルト20に一次転写されたトナー像は中間転写ベルト20上で重ね合わされ、中間転写ベルト20の回転に伴って二次転写位置へと搬送される。一方、用紙Pは予め定められたタイミングで二次転写位置へと搬送され、バックアップロール24に対して二次転写ロール31が用紙Pを挟持する。
【0020】
そして、二次転写位置において、二次転写ロール31とバックアップロール24との間に形成される転写電界の作用で、中間転写ベルト20上に担持されたトナー像が用紙Pに二次転写される。トナー像が転写された用紙Pは、搬送ベルト43により定着装置50へと搬送される。定着装置50では、用紙P上のトナー像が加熱・加圧定着され、その後、機外に設けられた排紙トレイ(図示せず)に送り出される。一方、二次転写後に中間転写ベルト20に残存するトナーは、ベルトクリーナ26によってクリーニングされる。
【0021】
<発光素子ヘッド14の説明>
図2は、本実施の形態が適用される発光素子ヘッド14の構成を示した図である。
この発光素子ヘッド14は、ハウジング61と、発光素子として複数のLEDを備えた発光部63と、発光部63や信号発生回路100(後述の図3参照)等を搭載する回路基板62と、LEDから出射された光出力を結像させて感光体を露光し静電潜像を形成させるための光学素子の一例としてのロッドレンズ(径方向屈折率分布型レンズ)アレイ64とを備えている。
【0022】
ハウジング61は、例えば金属で形成され、回路基板62およびロッドレンズアレイ64を支持し、発光部63の発光点とロッドレンズアレイ64の焦点面とが一致するように設定されている。また、ロッドレンズアレイ64は、感光体ドラム12の軸方向(主走査方向)に沿って配置されている。
【0023】
<発光部63の説明>
図3(a)は、発光素子ヘッド14における回路基板62および発光部63の斜視図である。
図3(a)に示すように、発光部63は、LPHバー631a~631cと、焦点調整ピン632a~632bと、LEDの発光を制御する制御手段の一例である信号発生回路100とを備える。
【0024】
LPHバー631a~631cは、回路基板62上に、主走査方向に千鳥状になるように配置される。そして、LPHバー631a~631cのうち主走査方向に隣り合う2つが、副走査方向でその一部が重なるように配置され、継ぎ目部633a~633bを形成する。この場合、継ぎ目部633aは、LPHバー631aとLPHバー631bとが、副走査方向に重なるように配置されることで形成され、継ぎ目部633bは、LPHバー631bとLPHバー631cとが、副走査方向に重なるように配置されることで形成される。
【0025】
なお、LPHバー631a~631cをそれぞれ区別しない場合は、以後、単に、LPHバー631と言うことがある。また、焦点調整ピン632a~632bをそれぞれ区別しない場合は、以後、単に、焦点調整ピン632と言うことがある。さらに、継ぎ目部633a~633bをそれぞれ区別しない場合は、以後、単に、継ぎ目部633と言うことがある。
【0026】
図3(b)は、発光部63を、図3(a)のIIIb方向から見た図であり、発光部63の一部を拡大した図である。図3(b)では、LPHバー631aとLPHバー631bとの継ぎ目部633aについて図示している。
図3(b)に示すように、LPHバー631aおよびLPHバー631bには、発光素子アレイチップの一例としての発光チップCが、配される。発光チップCは、主走査方向に沿い、二列に向かい合わせて千鳥状に配置する。発光チップCは、LPHバー631aやLPHバー631bのそれぞれに、例えば、60個配される。なお以後、これら60個の発光チップCを、発光チップC1~C60と言うことがある。また、図示するように、発光チップCには、LED71が配される。つまり、この場合、LED71は、予め定められた個数毎に発光チップCに搭載されるとともに、主走査方向に沿って配列する。また、LED71は、発光チップC毎に主走査方向または主走査方向とは逆方向に向けて順次点灯する。
なお、ここでは図示していないが、LPHバー631cも、LPHバー631aおよびLPHバー631bと同様の構成を有する。そして、継ぎ目部633bも、継ぎ目部633aと同様の構成を有する。
【0027】
以上説明した構成によれば、LPHバー631aやLPHバー631cに配される複数のLED71は、主走査方向に列状に配されるLED71からなる第1の発光素子列であると捉えることができる。また、LPHバー631bに配される複数のLED71は、第1の発光素子列と少なくとも一部が副走査方向に重複して配され、主走査方向に列状に配されるLED71からなる第2の発光素子列であると捉えることができる。
また、継ぎ目部633a~633bは、第1の発光素子列および第2の発光素子列が重複する重複箇所の一例であると捉えることができる。
さらに、第1の発光素子列および第2の発光素子列のそれぞれは、LED71を主走査方向に並べて配した発光チップCを並べることで構成される、と言うこともできる。
【0028】
また、継ぎ目部633a~633bでは、この箇所の何れかの箇所に設けられた切換箇所Kpで、第1の発光素子列と第2の発光素子列とを切り換えて発光させる。つまり、この切換箇所Kpで、点灯させるLPHバー631を、切り換える。この場合、LED71を点灯させるLPHバー631は、LPHバー631a→LPHバー631b→LPHバー631cの順になる。
【0029】
図3(b)では、白丸で図示されたLED71が点灯し、黒丸で図示されたLED71は、点灯しない。即ち、図3(b)では、切換箇所Kpで、LPHバー631aのLED71からLPHバー631bのLED71に点灯が切り換えられることを示している。そして、切換箇所Kpの図中左側では、LPHバー631aのLED71が点灯し、切換箇所Kpの図中右側では、LPHバー631bのLED71が点灯する。
切換箇所Kpは、継ぎ目部633a~633bの中で自由に設定することができ、切換の制御は、信号発生回路100が行う。よって、信号発生回路100は、切換箇所Kpで、第1の発光素子列と第2の発光素子列とを切り換えて発光させる切換手段として機能する。
【0030】
焦点調整ピン632a~632bにより、回路基板62は、図3(a)で両矢印方向で示す上下方向に移動させることができる。つまり、回路基板62を昇降させることができる。そして、回路基板62を昇降させることで、発光部63と感光体との距離を変更することができる。これにより、LPHバー631a~631cと、感光体との距離が変更され、LED71から出射され、感光体に結像する光出力の焦点を調整することができる。なお、焦点調整ピン632a~632bにより、回路基板62を、焦点調整ピン632a側および焦点調整ピン632b側の双方を上方向に移動させることができる。また、焦点調整ピン632a側および焦点調整ピン632b側の双方を下方向に移動させることもできる。さらに、焦点調整ピン632a側および焦点調整ピン632b側の何れか一方を上方向に移動させ、他方を下方向に移動させることもできる。焦点調整ピン632a~632bは、信号発生回路100の制御により、動作するようにしてもよく、手動により動作するようにしてもよい。
【0031】
<発光素子アレイチップの説明>
図4(a)~(b)は、本実施の形態が適用される発光チップCの構造を説明した図である。
図4(a)は、発光チップCをLEDの光が出射する方向から見た図である。また、図4(b)は、図4(a)のIVb-IVb断面図である。
発光チップCには、発光素子アレイの一例として主走査方向に列状に配される複数のLED71が等間隔で配されている。また、基板70の両側に発光素子アレイを駆動する信号を入出力するための電極部の一例としてのボンディングパッド72が発光素子アレイを挟むようにして配されている。そして、それぞれのLED71には光が出射する側にマイクロレンズ73が形成されている。このマイクロレンズ73により、LED71から出射した光は集光され、感光体ドラム12(図2参照)に対して、効率よく光を入射させることができる。
このマイクロレンズ73は、光硬化性樹脂等の透明樹脂からなり、より効率よく光を集光するためその表面は非球面形状をとることが好ましい。また、マイクロレンズ73の大きさ、厚さ、焦点距離等は、使用されるLED71の波長、使用される光硬化性樹脂の屈折率等により決定される。
【0032】
<自己走査型発光素子アレイチップの説明>
なお、本実施の形態では、発光チップCとして例示した発光素子アレイチップとして自己走査型発光素子アレイ(SLED:Self-Scanning Light Emitting Device)チップを使用するのが好ましい。自己走査型発光素子アレイチップは、発光素子アレイチップの構成要素としてpnpn構造を持つ発光サイリスタを用い、発光素子の自己走査が実現できるように構成したものである。
【0033】
図5は、発光チップCとして自己走査型発光素子アレイチップを採用した場合の信号発生回路100の構成および回路基板62の配線構成を示した図である。
信号発生回路100には、画像出力制御部200(図1参照)より、ライン同期信号Lsync、画像データVdata、クロック信号clk、およびリセット信号RST等の各種制御信号が入力されるようになっている。そして、信号発生回路100は、外部から入力されてくる各種制御信号に基づいて、例えば画像データVdataの並べ替えや出力値の補正等を行い、各発光チップC(C1~C60)のそれぞれに対して発光信号φI(φI1~φI60)を出力する。なお、本実施の形態では、各発光チップC(C1~C60)のそれぞれに、1個ずつ発光信号φI(φI1~φI60)が供給されるようになっている。
【0034】
また、信号発生回路100は、外部から入力されてくる各種制御信号に基づき、各発光チップC1~C60に対してスタート転送信号φS、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2を出力する。
【0035】
回路基板62には、各発光チップC1~C60のVcc端子に接続される電力供給用のVcc=-5.0Vの電源ライン101およびGND端子に接続される接地用の電源ライン102が設けられている。また、回路基板62には、信号発生回路100のスタート転送信号φS、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2を送信するスタート転送信号ライン103、第1転送信号ライン104、第2転送信号ライン105も設けられている。さらに、回路基板62には、信号発生回路100から各発光チップC(C1~C60)に対して発光信号φI(φI1~φI60)を出力する60本の発光信号ライン106(106_1~106_60)も設けられている。なお、回路基板62には、60本の発光信号ライン106(106_1~106_60)に過剰な電流が流れるのを防止するための60個の発光電流制限抵抗RIDが設けられている。また、発光信号φI1~φI60は、それぞれ、後述するようにハイレベル(H)およびローレベル(L)の2状態を取りうる。そして、ローレベルは-5.0Vの電位、ハイレベルは±0.0Vの電位となっている。
【0036】
図6は、発光チップC(C1~C60)の回路構成を説明するための図である。
発光チップCは、60個の転送サイリスタS1~S60、60個の発光サイリスタL1~L60を備えている。なお、発光サイリスタL1~L60は、転送サイリスタS1~S60と同様のpnpn接続を有しており、その中のpn接続を利用することで発光ダイオード(LED)としても機能するようになっている。また、発光チップCは、59個のダイオードD1~D59および60個の抵抗R1~R60を備えている。さらに、発光チップCは、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、そして、スタート転送信号φSが供給される信号線に、過剰な電流が流れるのを防止するための転送電流制限抵抗R1A、R2A、R3Aを有している。なお、発光素子アレイ81を構成する発光サイリスタL1~L60は、図中左側からL1、L2、…、L59、L60の順で配列され、発光素子列を形成している。また、転送サイリスタS1~S60も、図中左側からS1、S2、…、S59、S60の順で配列され、スイッチ素子列すなわちスイッチ素子アレイ82を形成している。さらに、ダイオードD1~D59も、図中左からD1、D2、…、D58、D59の順で配列されている。さらにまた、抵抗R1~R60も、図中左からR1、R2、…R59、R60の順で配列されている。
【0037】
次に、発光チップCにおける各素子の電気的な接続について説明する。
各転送サイリスタS1~S60のアノード端子は、GND端子に接続されている。このGND端子には、電源ライン102(図5参照)が接続され、接地される。
【0038】
また、奇数番目の転送サイリスタS1、S3、…、S59のカソード端子は、転送電流制限抵抗R1Aを介してφ1端子に接続されている。このφ1端子には、第1転送信号ライン104(図5参照)が接続され、第1転送信号φ1が供給される。
【0039】
一方、偶数番目の転送サイリスタS2、S4、…、S60のカソード端子は、転送電流制限抵抗R2Aを介してφ2端子に接続されている。このφ2端子には、第2転送信号ライン105(図5参照)が接続され、第2転送信号φ2が供給される。
【0040】
また、各転送サイリスタS1~S60のゲート端子G1~G60は、各転送サイリスタS1~S60に対応して設けられた抵抗R1~R60をそれぞれ介してVcc端子に接続されている。このVcc端子には、電源ライン101(図5参照)が接続され、電源電圧Vcc(-5.0V)が供給される。
【0041】
さらに、各転送サイリスタS1~S60のゲート端子G1~G60は、対応する同番号の発光サイリスタL1~L60のゲート端子に、1対1でそれぞれ接続されている。
【0042】
また、各転送サイリスタS1~S59のゲート端子G1~G59には、ダイオードD1~D59のアノード端子が接続されており、これらダイオードD1~D59のカソード端子は、それぞれに隣接する次段の転送サイリスタS2~S60のゲート端子G2~G60に接続されている。すなわち、各ダイオードD1~D59は、転送サイリスタS1~S60のゲート端子G1~G60を挟んで直列接続されている。
【0043】
そして、ダイオードD1のアノード端子すなわち転送サイリスタS1のゲート端子G1は、転送電流制限抵抗R3Aを介してφS端子に接続されている。このφS端子には、スタート転送信号ライン103(図5参照)を介してスタート転送信号φSが供給される。
【0044】
次に、各発光サイリスタL1~L60のアノード端子は、各転送サイリスタS1~S60のアノード端子と同様に、GND端子に接続されている。
【0045】
また、各発光サイリスタL1~L60のカソード端子は、φI端子に接続されている。このφI端子には、発光信号ライン106(発光チップC1の場合は発光信号ライン106_1:図5参照)が接続され、発光信号φI(発光チップC1の場合は発光信号φI1)が供給される。なお、他の発光チップC2~C60には、それぞれ、対応する発光信号φI2~φI60が供給される。
【0046】
<切換箇所Kpで生じる黒筋および白筋の説明>
本実施の形態では、上述したように、LPHバー631a→LPHバー631b→LPHバー631cの順で、LED71を点灯させるLPHバー631を切り換える。しかしながら、このとき切換箇所Kpで、LED71のピッチが変化することで、用紙Pに形成される画像に黒筋や白筋が生じることがある。
【0047】
図7(a)~(c)は、切換箇所KpでLED71のピッチが変化した結果、用紙Pに形成される画像に黒筋や白筋が生じる場合について示した図である。
このうち、図7(a)は、切換箇所Kpで、LPHバー631aのLED71とLPHバー631bのLED71とが副走査方向に一直線に並び、その結果、それぞれのLED71のピッチが、切換箇所Kpで、理想ピッチであるαμmになっている場合を示している。つまり、LPHバー631aのそれぞれのLED71およびLPHバー631bのそれぞれのLED71のピッチは、αμmである。そして、切換箇所Kpでの、LPHバー631aのLED71とLPHバー631bのLED71とのピッチについても、理想ピッチであるαμmになっている。即ち、図7(a)は、切換箇所Kpでも理想ピッチであるαμmが維持される場合を示している。この場合、切換箇所Kpで、LPHバー631aのLED71からLPHバー631bのLED71に切り換えを行っても、用紙Pに形成される画像に黒筋や白筋が生じない。
【0048】
一方、図7(b)~(c)は、切換箇所Kpで、LPHバー631aのLED71とLPHバー631bのLED71とが副走査方向に一直線に並ばず、主走査方向にずれが生じている場合を示している。
このうち、図7(b)は、LPHバー631aのLED71とLPHバー631bのLED71とのピッチが、切換箇所Kpで、理想ピッチであるαμmより小さいα-βμmになっている場合を示している。この場合、切換箇所Kpで、LPHバー631aのLED71からLPHバー631bのLED71に切り換えを行うと、形成される画像の濃度が、切換箇所Kpで密になる。その結果、用紙Pに形成される画像に副走査方向に延びる黒筋が生じることになる。
【0049】
対して、図7(c)は、LPHバー631aのLED71とLPHバー631bのLED71とのピッチが、切換箇所Kpで、理想ピッチであるαμmより大きいα+γμmになっている場合を示している。この場合、切換箇所Kpで、LPHバー631aのLED71からLPHバー631bのLED71に切り換えを行うと、形成される画像の濃度が、切換箇所Kpで粗になる。その結果、用紙Pに形成される画像に副走査方向に延びる白筋が生じることになる。
【0050】
図7(b)~(c)の現象は、LPHバー631aおよびLPHバー631bの主走査方向の相対的な位置ずれにより生ずる。つまり、図7(b)の場合は、LPHバー631aおよびLPHバー631bが、主走査方向で相対的に-βμmずれているときである。また、図7(c)の場合は、LPHバー631aおよびLPHバー631bが、主走査方向で相対的に+γμmずれているときである。しかしながら、LPHバー631の主走査方向の位置合わせを、マイクロメートルオーダで行うことは困難である。
【0051】
<黒筋や白筋を抑制する方法の説明>
そこで、本実施の形態では、切換箇所Kpを、以下に説明する方法で変更することで、上記問題の抑制を図っている。
本実施の形態の画像形成装置1で用紙Pに形成される画像は、予め定められたスクリーン角度を有するスクリーンによりスクリーン処理された網点により形成される。以下、この事項について説明を行う。
【0052】
図8(a)~(b)は、網点Dについて説明した図である。
上述した画像形成装置1で形成される画像は、図示する網点Dにより構成される。そしてこの網点Dの数や密度で、画像中の色の階調を作り出す。網点Dの配列は、予め定められた規則性を有する。
図8(a)は、網点Dが、水平方向である主走査方向に対し、45度の角度をなして配列した場合を示している。そしてこの角度をスクリーン角度と言う。即ち、この場合、スクリーン角度は、45度であると言うことができる。
さらに、図8(b)は、網点Dが、水平方向である主走査方向に対し、20度の角度をなして配列した場合を示している。即ち、この場合、スクリーン角度は、20度であると言うことができる。
【0053】
網点Dの画像は、画像出力制御部200による画像処理として、画像データに対しスクリーン処理をすることで作成される。そして、スクリーン角度は、スクリーン処理を行う際に使用されるスクリーンにより決まる。
スクリーン角度は、画像形成装置1で使用されるトナーの色ごとに異なる角度を有する。本実施の形態では、Y(イエロー)は、例えば、0度である。また、M(マゼンタ)は、例えば、75度である。さらに、11C(シアン)は、例えば、15度であり、K(黒)は、例えば、45度である。色ごとに異なるスクリーン角度を使用することで、用紙Pに形成される画像にモアレが発生することを抑制することができる。
【0054】
そして、本実施の形態では、画像の中で、切換箇所Kpに対応する位置を結んだときに、スクリーン角度に沿った線分を含むジグザグ形状になるとともに、網点と重なる位置になるように、切換箇所Kpを決める。
図9(a)~(d)は、本実施の形態の切換箇所Kpについて示した図である。
ここで、図9(a)~(b)は、スクリーン角度が45度の場合の切換箇所Kpについて示した図である。
このうち、図9(a)は、図8(a)と同様の図であり、スクリーン角度が45度のときの網点Dについて示した図である。そして、図9(b)は、図9(a)で示した網点Dを形成する際の切換箇所Kpを、用紙Pに形成される画像中で示した図である。
図9(b)に示すジグザグ形状は、画像の中で切換箇所Kpに対応する位置を結んだときに形成される。つまり、図中点で示した切換箇所Kpを線分Sで結んだときに、このようなジグザグ形状となる。そして、この線分Sは、水平方向である主走査方向に対しなす角度は、スクリーン角度である45度のものを含む。具体的には、線分Sは、スクリーン角度である45度に沿った線分S1と、スクリーン角度に沿った線分S1に対し、直交する方向に沿った線分S2とからなる。
【0055】
また、図9(c)は、図8(b)と同様の図であり、スクリーン角度が20度のときの網点Dについて示した図である。そして、図9(d)は、図9(c)で示した網点Dを形成する際の切換箇所Kpを、用紙Pに形成される画像中で示した図である。
図9(c)でも、点で示した箇所が切換箇所Kpであり、これらを線分Sで結んだときには、ジグザグ形状となる。そして、この線分Sは、水平方向である主走査方向に対しなす角度は、スクリーン角度である20度のものを含む。具体的には、線分Sは、スクリーン角度である20度に沿った線分S1と、スクリーン角度に沿った線分S1に対し、直交する方向に沿った線分S2とからなる。
【0056】
切換箇所Kpをこのように、画像の中でジグザグ形状になるようにすることで、図7(b)~(c)に示したように、LPHバー631aのLED71とLPHバー631bのLED71とが、主走査方向にずれている場合でも、形成される画像に黒筋や白筋が生じにくくなる。つまり、切換箇所Kpが一定の場所にある場合、用紙Pに形成される画像に副走査方向に延びる黒筋や白筋が生じやすい。対して、本実施の形態では、切換箇所Kpが、主走査方向で一定の場所にない。そのため、切換箇所Kpで画像の濃度が密や祖になったとしても、その箇所は、画像の中で主走査方向で一定の場所になく、上述したようなジグザグ形状になる。よって、用紙Pに形成された画像に副走査方向に延びる黒筋や白筋が生じにい。
【0057】
また、図10(a)は、切換箇所Kpと網点Dの位置との関係を示した図である。
図示するように、切換箇所Kpは、網点Dと重なる位置になるようにする。さらに、切換箇所Kpは、網点Dの中心付近になるようにすることが、より好ましい。
図10(b)は、図10(a)のようにする理由について説明した図である。
図では、網点Dに対し、この網点Dを形成するときのLED71の光量分布を示している。図示するように、網点Dの中心位置では、LED71の光量が最大となる。この場合、網点Dの中心付近では、LED71の光量が飽和状態にあると言うこともできる。これは、網点Dの中心付近では、光量分布の傾きが寝ていると言うこともできる。対して、網点Dの中心付近以外では、光量分布は、急激に変化する。これは、網点Dの中心付近以外では、光量分布の傾きが立っていると言うこともできる。
【0058】
そして、切換箇所Kpを、網点Dの中心付近とすると、LED71の光量が飽和状態にあるため、切換箇所Kpが、多少ずれてもLED71との光量の差は、ほとんどない。よって、切換箇所Kpを、網点Dの中心付近とした場合、切換箇所Kpでの濃度は、変化しにくい。よって、LPHバー631の主走査方向の位置ずれの影響を受けにくい。
対して、網点Dの中心付近以外では、光量分布は、急激に変化するため、切換箇所Kpが、多少ずれるとLED71との光量の差は、より大きくなる。よって、切換箇所Kpが、網点Dの中心付近以外とした場合、切換箇所Kpでの濃度が、変化しやすい。よって、LPHバー631の主走査方向の位置ずれの影響を受けやすい。
【0059】
また、図9(b)、(d)で示したように、ジグザグ形状は、規則性を有しないように決めることが好ましい。即ち、ジグザグ形状は、ランダムであり、切換箇所Kpがランダムに移動するように、決めることが好ましい。この場合、黒筋や白筋がさらに視認しにくくなる。ただし、これに限られるものではなく、ジグザグ形状に規則性を持たせることもできる。この場合でも、用紙Pに形成される画像に、黒筋や白筋が生じにくくなることについては同様である。
【0060】
図11(a)~(b)は、ジグザグ形状に規則性を持たせた場合の例を示している。
このうち図11(a)は、同様の長さを有する線分S1と線分S2とを交互に組み合わせた場合である。また、図11(b)は、2種類の長さを有する線分S1と線分S2とを組み合わせた場合である。なお、図11(a)~(b)は、スクリーン角度が、45度の場合である。
【0061】
また、ジグザグ形状は、主走査方向に予め定められた幅の中で決める必要がある。具体的には、図7(b)~(c)で示した問題は、LED71のずれがLPHバー631の継ぎ目部633で生じるため、継ぎ目部633の幅の範囲でジグザグ形状を決める必要がある。
【0062】
スクリーン角度は、上述したように、画像形成装置1で使用されるトナーの色ごとに、異なる角度に設定される。よって、ジグザグ形状は、トナーの色ごとに定まるスクリーン角度に応じて決める。これにより、切換箇所Kpが、色ごとに異なるようになり、黒筋や白筋がさらに視認しにくくなる。
さらに、実際にジグザグ形状を決めるには、この形状を有するマスクを用意し、このマスクを適用することで、切換箇所Kpを決めることが好ましい。つまり、トナーの色ごとに定まるスクリーン角度に応じたマスクを適用することで切換箇所Kpを決める。マスクを用意することで、切換箇所Kpの決定が、より容易になる。
【0063】
<信号発生回路100の機能構成の説明>
次に、信号発生回路100の機能構成について説明する。
図12は、本実施形態における信号発生回路100の機能構成例を表すブロック図である。なお、図12では、信号発生回路100が有する種々の機能のうち本実施形態に関係するものを選択して図示している。
図示するように、信号発生回路100は、画像データ等を取得する情報取得部111と、マスクを選択するマスク選択部112と、LPHバー631間のLED71の切り換えを制御する切換制御部113と、駆動信号を生成する駆動信号生成部114と、マスクの情報を記憶する記憶部115とを備える。
【0064】
情報取得部111は、画像出力制御部200から画像データを受け取る。この画像データは、上述の通り、PC等の外部から入力された画像データを、画像出力制御部200において画像処理等が施され、画像形成ユニット11で画像を形成するのに使用可能とされたものである。画像処理は、具体的には、例えば、ラスタライズ処理、色変換処理、パイルハイト処理、スクリーン処理等である。
また、情報取得部111は、画像形成装置1で使用するスクリーン角度に関する情報を取得する。このスクリーン角度は、画像形成装置1で使用するトナーの色ごとに、取得する。
【0065】
マスク選択部112は、情報取得部111が取得したスクリーン角度に関する情報を基に、切換箇所Kpを決定するのに使用するマスクを決定する。
切換制御部113は、切換箇所Kpで、点灯させるLPHバー631を、切り換える制御を行う。切換制御部113は、マスク選択部112により選択されたマスクの情報を記憶部115から取得する。そして、切換制御部113は、このマスクを適用することで、切換箇所Kpを決定する。
駆動信号生成部114は、LED71を点灯させるための駆動波形を生成し、駆動信号として出力する。具体的には、例えば、上述した発光信号φI、スタート転送信号φS、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2の駆動波形を生成し駆動信号として出力する。
【0066】
<画像形成装置1の動作の説明>
次に、画像形成装置1の動作について説明する。
図13は、本実施の形態の画像形成装置1の動作について説明したフローチャートである。
まず、情報取得部111が、印刷を行う画像データを取得する(ステップ101)。
また、情報取得部111は、画像形成装置1で使用するスクリーン角度に関する情報を、色ごとに取得する(ステップ102)。
次に、マスク選択部112は、スクリーン角度に応じ、切換箇所Kpを決定するためのマスクを決定する(ステップ103)。
そして、切換制御部113は、マスク選択部112が選択したマスクを記憶部115から取得し、このマスクにより切換箇所Kpを決定する(ステップ104)。
そして、駆動信号生成部114は、切換制御部113が決定した切換箇所Kpに基づき、駆動信号を生成し、出力する(ステップ105)。これにより、印刷が行われる。
【0067】
以上説明した形態によれば、切換箇所Kpで用紙Pに形成される画像に黒筋や白筋が生じにくくなる発光素子ヘッド14や画像形成装置1を提供することができる。
【0068】
なお、上述した例では、LPHバー631間の継ぎ目部633における濃度差の補正について説明したが、発光チップCの主走査方向の位置ずれにより、発光チップC間で生じる黒筋や白筋の抑制についても適用できる。
【0069】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0070】
1…画像形成装置、11…画像形成ユニット、12…感光体ドラム、14…発光素子ヘッド、16…一次転写ロール、20…中間転写ベルト、31…二次転写ロール、50…定着装置、63…発光部、64…ロッドレンズアレイ、71…LED、100…信号発生回路、200…画像出力制御部、631a~631c…LPHバー、632a~632b…焦点調整ピン、633a~633b…継ぎ目部、C1~C60…発光チップ、D…網点、S1、S2…線分、Kp…切換箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13